JP2005162572A - セラミックス成形用水系バインダー - Google Patents

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JP2005162572A JP2003406777A JP2003406777A JP2005162572A JP 2005162572 A JP2005162572 A JP 2005162572A JP 2003406777 A JP2003406777 A JP 2003406777A JP 2003406777 A JP2003406777 A JP 2003406777A JP 2005162572 A JP2005162572 A JP 2005162572A
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充 石井
Masao Ishiguro
正雄 石黒
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Abstract

【課題】 セラミックスの分散性を高めることでこれを含むスラリーの成形性を向上でき、かつ高強度で加工性の良好なセラミックス成形体を得ることが可能なセラミックス成形用バインダーを提供すること。
【解決手段】(A)不飽和カルボン酸モノマー:5〜40質量%、(B)下記一般式(I)
【化1】
Figure 2005162572

(式中、R1は水素またはメチル基を示す。)
で表されるエポキシ基含有モノマー:1〜10質量%、および(C)共重合可能なビニル系モノマー:50〜94質量%を共重合させた共重合体からなるセラミックス成形用水系バインダー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セラミックス成形用水系バインダーに関する。
セラミックス成形体を製造する方法としては、例えば、バインダー樹脂にセラミックス微粉を混合・分散したスラリーをスプレードライヤー等により乾燥させて造粒体を作製し、この造粒体を加圧プレスして成形し、さらに切削、研磨等の加工を行った後、セラミックスを焼成する方法、上記スラリーをドクターブレード等によりシート状に形成してグリーンシートを作製し、シート乾燥後、セラミックスの焼成を行う方法などが知られている。
従来、これらの方法では、ブチラール樹脂等を有機溶剤に溶解してなる溶剤系バインダーが用いられることが多かった。
ところが、近年、PRTR法等により有機溶剤の総量規制が厳しくなるなど環境負荷の低減に対する試みが推進されていることや、有機溶剤を用いた場合には、人体に対する悪影響、火災,爆発等の危険性が懸念されることから、有機溶剤を用いない樹脂バインダーが求められるようになってきている。
かかる点に鑑み、ポリビニルアルコール,ポリビニルアセテート等の水溶性樹脂からなる水系バインダーが開発され、この水系バインダーが近年の主流になりつつある。
しかし、これらの水系バインダーをセラミックス成形に用いた場合、スラリー中でセラミックス粉体の凝集が起こり易いため、シート成形において平滑性の高いシートを得ることが困難となる。また、プレス成形をする場合でも、セラミックス微粒子の分散が悪いために不均一な成形体となる結果、焼成不良となってスラッジが発生し、得られたセラミックスの特性低下を招来してしまう。
これらの問題点を解決すべく、例えば、特許文献1(特開平4−219362号公報)、特許文献2(特開平9−175869号公報)には、アクリル酸エステルとカルボキシル基含有モノマーの共重合体とからなる水溶性アクリル樹脂を用いた水系バインダーが提案されている。
水溶性アクリル樹脂からなる水系バインダーを用いると、上述のポリビニルアルコール等を用いた水系バインダーに比べてセラミックスの分散性やスラリーの成形性は向上するものの、成形体の強度が不充分となる結果、成形体にクラックが発生したり、成形体が欠けたりするなどの加工性の低下を招く。このため、水溶性アクリル樹脂からなる水系バインダーは、成形後に精密加工を要するセラミックス製品には適していない。
さらに、特許文献3(特開平11−268959号公報)、特許文献4(特開平8−126354号公報)、特許文献5(特開平10−58419号公報)では、強度に優れた成形体が得られる成形方法が報告されているが、いずれの方法においても、スラリーの成形性および成形体の強度の両特性を満足しているとは言い難く、この点において、さらなる改良が求められているのが現状である。
特開平4−219362号公報 特開平9−175869号公報 特開平11−268959号公報 特開平8−126354号公報 特開平10−58419号公報
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、セラミックスの分散性を高めることでこれを含むスラリーの成形性を向上でき、かつ高強度で加工性の良好なセラミックス成形体を得ることが可能なセラミックス成形用バインダーを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、セラミックス成形体を成形後、加熱処理により強度を向上させる一般的な方法(特許文献5参照)において、(A)不飽和カルボン酸モノマーと、(B)エポキシ基含有モノマーと、(C)これら各モノマーと共重合可能なビニル系モノマーを所定割合で共重合させてなる水系バインダーを用いることで、セラミックスの分散性およびスラリーの成形性を向上できることを見出すとともに、セラミックス成形体を加熱することでその強度を著しく向上させることができ、切削等の精密加工が容易に行えるようになることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1.(A)不飽和カルボン酸モノマー:5〜40質量%、(B)下記一般式(I)
Figure 2005162572
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示す。)
で表されるエポキシ基含有モノマー:1〜10質量%、および(C)共重合可能なビニル系モノマー:50〜94質量%を共重合させた共重合体からなることを特徴とするセラミックス成形用水系バインダー、
2.前記(C)共重合可能なビニル系モノマーが、(メタ)アクリル酸C1〜8アルキルエステルを含み、この(メタ)アクリル酸C1〜8アルキルエステルの含有量が、前記(C)共重合可能なビニル系モノマー全体の50〜100質量%であることを特徴とする1のセラミックス成形用水系バインダー、
3.前記共重合体の重量平均分子量が、10000〜200000であることを特徴とする1または2のセラミックス成形用水系バインダー、
4.前記共重合体が、50〜250℃の範囲内で30分間から5時間熱処理した場合に熱処理後重量平均分子量/熱処理前重量平均分子量=1.5〜10を満たすことを特徴とする1〜3のいずれかのセラミックス成形用水系バインダー、
5.前記共重合が、乳化重合により行われることを特徴とする1〜4のいずれかのセラミックス成形用水系バインダー、
6.酸化物系セラミックス成形用であることを特徴とする1〜5のいずれかのセラミックス成形用水系バインダー
を提供する。
本発明によれば、(A)不飽和カルボン酸モノマーと、(B)エポキシ基含有モノマーと、(C)これら各モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとを所定割合で共重合させてなる水系バインダーを用いることにより、セラミックスの分散性とこれを含むスラリーの成形性との双方を向上させることができるとともに、得られた成形体をさらに加熱処理することで成形体強度を向上させることができる結果、研磨,切削等の成形体の精密加工が容易に行えるようになる。
本発明に係るセラミックス成形用水系バインダーは、(A)不飽和カルボン酸モノマー:5〜40質量%、(B)上記一般式(I)で表されるエポキシ基含有モノマー:1〜10質量%、および(C)共重合可能なビニル系モノマー:50〜94質量%を共重合させた共重合体からなることを特徴とする。
本発明において、(A)不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸,メタクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸,フマル酸,イタコン酸等のジカルボン酸、マレイン酸モノメチル,マレイン酸モノイソプロピル,フマル酸モノエチル,イタコン酸モノエチル等のジカルボン酸半エステル等が挙げられるが、所望の分子量の共重合体を得るための反応性およびコストを考慮すると、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸を用いることが好適である。なお、これらの不飽和カルボン酸モノマーは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
セラミックス成形用水系バインダーにおける(A)不飽和カルボン酸モノマーの共重合比は、5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%である。この共重合比が5質量%未満であると、セラミックス粉体の分散性が低下する可能性が高い。一方、40質量%を超えると、カルボキシル量が過剰になるため、バインダーの吸湿量が増加する可能性が高い。
(B)上記一般式(I)で表されるエポキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルが挙げられ、目的とする共重合体の経日安定性を高めるという点から、特に、メタクリル酸グリシジルが好適である。なお、これらのエポキシ基含有モノマーは、1種単独で、または2種組み合わせて用いることができる。
セラミックス成形用水系バインダーにおける(B)エポキシ基含有モノマーの共重合比は、1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、より好ましくは2〜7質量%である。この共重合比が1質量%未満であると、熱架橋反応が進行し難くなる可能性が高く、一方、10質量%を超えると、共重合体合成中に自己架橋を起こしてゲル化する可能性が高い。
(C)共重合可能なビニル系モノマーとしては、上記(A)成分および(B)成分と共重合可能なビニル基含有モノマーであれば、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸シクロヘキシル,(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル等の(メタ)アクリル酸C1〜8アルキルエステル、アクリル酸ラウリル,アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸C9以上アルキルエステル(以上においてCはアルキル基の炭素数を意味する)、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン等の(メタ)アクリルモノマー以外のビニル基含有モノマーなどが挙げられる。なお、これらのビニル系モノマーは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、特にセラミックスバインダーの基本性能である接着性を高めることを考慮すると、(メタ)アクリル酸C1〜8アルキルエステルが好適である。
これらの(メタ)アクリル酸C1〜8アルキルエステルは、(C)ビニル系モノマー全体に対して50〜100質量%、特に60〜90質量%の割合で用いることが好ましい。この割合が、50質量%未満であると、セラミックスの接着性が不充分となる虞がある。
また、アクリロニトリル、アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン等の(メタ)アクリルモノマー以外のビニル基含有モノマーを用いる場合、これらは、(C)ビニル系モノマー全体に対して、20質量%以下、特に5〜10質量%とすることが好適である。この割合が、20質量%を超えると、共重合体の安定性が悪くなる虞がある。
セラミックス成形用水系バインダーにおける(C)ビニル系モノマーの共重合比は、50〜94質量%、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは70〜90質量%である。この共重合比が50質量%未満であると、セラミックスの接着性が不充分となる可能性が高く、一方、94質量%を超えると、セラミックス粉体の分散性の低下を招く可能性が高い。
本発明に係るセラミックス成形用水系バインダーは、以上で説明した(A)〜(C)の各モノマーを共重合させた共重合体からなるものである。
ここで、(A)〜(C)の各モノマーを共重合させる方法としては、特に限定されるものではなく、転相重合、非水溶媒を用いた溶液重合、乳化重合などの公知の種々の重合法を用いることができるが、より簡便に重合工程が行えるという点から、乳化重合法を用いることが好ましい。
乳化重合を行う際に用いられる乳化剤としては、公知の種々のものを用いることができ、例えば、アニオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリビニルアルコール等を用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、過酢酸,過硫酸カリウム,過硫酸アンモニウム等の過酸化物系開始剤、2,2′−アゾビスプロパンアミジン塩酸塩等のアゾ系開始剤、レドックス系開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
なお、重合反応を行う際には、分子量を制御する目的で連鎖移動剤を配合することもできる。この連鎖移動剤としては、汎用されているn−ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
重合反応により得られた共重合体(エマルジョン)は、そのままセラミックス成形用水系バインダーとして使用することもでき、さらに、アンモニア、有機アミン等でこれを中和してから使用することもできる。中和することで、共重合体からなるバインダーを含むスラリーの混和安定性を高めることができる。
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,モノイソプロパノールアミン,N−メチルエタノールアミン,ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミン、トリメチルアミン,トリエチルアミン等のアルキルアミン、モルホリンなどを用いることができる。
本発明において、共重合体の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、10000〜200000が好ましく、より好ましくは10000〜100000、より一層好ましくは、20000〜50000である。重量平均分子量が、10000未満であると、セラミックス成形体の強度低下を招く虞があり、一方、200000を超えると、共重合体の粘度が著しく高くなる虞がある。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定値である。
本発明における共重合体または中和後の共重合体は、加熱することで架橋反応が進行し、その分子量が増加するものであるが、特に、50〜250℃の範囲内で30分間から5時間熱処理した場合に、熱処理後重量平均分子量/熱処理前重量平均分子量(以下、分子量増加率という)=1.5〜10を満たすことが好ましく、より好ましくは分子量増加率=2.0〜7.0、より一層好ましくは分子量増加率=2.5〜7.0である。
この分子量増加率が、1.5未満であると、加熱後のセラミックス成形体の強度が不充分となり、精密加工性が低下する虞がある。一方、10を超えると、焼成時におけるバインダーの脱脂性が低下する虞がある。
さらに、共重合体または中和後の共重合体のガラス転移温度(Tg)が、−20℃〜+50℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは−10℃〜+40℃である。ガラス転移温度が−20℃未満であると、成形体の金型からの離型性が低下する虞があり、一方、50℃を超えると、成形性が低下する虞がある。
このガラス転移温度は、(A)〜(C)の各モノマーの組合せや、それらの配合割合などのガラス転移温度に影響を及ぼす要因を適宜代えたり、可塑剤を添加したりして調整することができる。なお、ガラス転移温度は、FOXの式による算出値である。
以上のような共重合体からなるセラミックス成形用水系バインダーは、従来公知の各種セラミックス微粉体の成形に好適に用いることができる。セラミックス微粉体としては、例えば、アルミナ,フェライト,ジルコニア,マグネシア,ベリリア,チタニア,チタン酸バリウム,チタン酸ジルコン酸鉛,(Pb,La)(Zr,Ti)O3セラミックス(PLZT)、Pb(Zr,Ti)O3セラミックス(PZT),マンガン等の酸化物系または複合酸化物系セラミックス微粉体、炭化ケイ素,窒化ケイ素,サイアロン等の非酸化物系セラミックス微粉体が挙げられる。
本発明に係るセラミックス成形用水系バインダーを使用したセラミックス成形体の製造は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、セラミックス微粉体100質量部に対し、セラミックス成形用バインダーを固形分が0.5〜25質量部、好ましくは1.0〜20質量部となるように加える。この際、必要に応じて、成形助剤として、水70〜150質量部、可塑剤0.1〜5質量部、分散剤0.1〜5質量部、消泡剤0.1〜5質量部等を適宜加える。
得られた配合液を、ボールミル等で充分に混合して水性スラリーとし、このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧乾燥してセラミックス造粒体を得る。
その後、加圧プレス(圧力1×10-3〜2×10-3Pa)を行って成形体を作成後、50〜250℃で10分間から5時間、好ましくは30分間から3時間、熱処理を行うことで、セラミックス成形用水系バインダーである共重合体に架橋反応を起こさせて架橋構造を形成させることにより、高強度のグリーン成形体を得ることができる。
なお、成形助剤として用いられる可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール,グリセリン等の多価アルコール類、フタル酸エステル類等が挙げられる。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸アンモニウム塩、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン類、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。
以下、製造例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明では、特に言及する場合を除き、「質量%」および「質量部」は、それぞれ「%」および「部」と略記する。
[製造例1]共重合体の製造
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた装置に、脱イオン水515部、ポリオキシエチレン(n=5)ラウリルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩(乳化剤)15部、n−ドデシルメルカプタン6部および下記モノマー混合物の内10部を仕込み、窒素気流下で75℃まで加熱した。次いで、撹拌下で75℃に保ちながら、アゾビス−2−アミジンプロパン1.0部を溶解させた脱イオン水溶液10部を加えて重合反応を開始した。続いて、75℃に保ちながら残りのモノマー混合物290部を2時間かけて滴下した。さらに同温度で1時間保温して重合反応を完結させた。冷却後、10%アンモニア水でpHを8.0に調整し、脱イオン水で希釈して固形分濃度30%、ガラス転移点3℃の共重合体(S−1)を得た。
〈S−1モノマー組成〉
アクリル酸 60部
メタクリル酸グリシジル 21部
アクリル酸エチル 210部
メタクリル酸n−ブチル 9部
[製造例2]共重合体の製造
乳化剤としてアリルラウリルスルホサクシネートのナトリウム塩を使用し、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を溶解させた脱イオン水溶液10部を加え、モノマー組成を下記組成に代えた以外は、製造例1と同様の操作を行い、固形分濃度30%、ガラス転移温度−8℃の共重合体(S−2)を得た。
〈S−2モノマー組成〉
メタクリル酸 30部
メタクリル酸グリシジル 6部
アクリル酸メチル 210部
アクリル酸2−エチルヘキシル 54部
[製造例3〜5]共重合体の製造
モノマー組成を下記組成に代えた以外は、製造例1と同様の操作を行い、固形分濃度25%の共重合体(S−3)〜(S−5)を得た。
〈S−3モノマー組成〉
アクリル酸 30部
メタクリル酸グリシジル 6部
アクリル酸メチル 240部
アクリル酸ブチル 24部
〈S−4モノマー組成〉
アクリル酸 60部
メタクリル酸グリシジル 21部
アクリル酸メチル 150部
アクリル酸ブチル 69部
〈S−5モノマー組成〉
アクリル酸 90部
メタクリル酸グリシジル 21部
アクリル酸メチル 150部
アクリル酸ブチル 39部
[比較製造例1]共重合体の製造
重合温度を90℃に変更し、乳化剤としてポリオキシエチレン(n=30)ノニルフェニルエーテルを使用し、モノマー組成を下記組成に代えた以外は、製造例1と同様の操作を行い、固形分濃度30%の共重合体(H−1)を得た。
〈H−1モノマー組成〉
アクリル酸 90部
アクリル酸メチル 210部
[比較製造例2]重合体の製造
モノマー組成を下記組成に代えた以外は、比較製造例1と同様の操作を行い、固形分濃度30%の共重合体エマルジョン(H−2)、(H−3)を得た
〈H−2モノマー組成〉
メタクリル酸グリシジル 6部
アクリル酸メチル 270部
アクリル酸ブチル 24部
〈H−3モノマー組成〉
アクリル酸 90部
N−メチロールアクリルアミド 6部
アクリル酸メチル 150部
アクリル酸ブチル 54部
上記各製造例および比較製造例で得られた共重合体のモノマー組成、ガラス転移温度を表1に示す。なお、ガラス転移温度は、FOXの式により算出した値である。
Figure 2005162572

AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸、GMA:メタクリル酸グリシジル
NMAM:N−メチロールアクリルアミド、MA:アクリル酸メチル
EA:アクリル酸エチル、BA:アクリル酸ブチル、BMA:メタクリル酸ブチル
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
また、上記各製造例および比較製造例で得られた共重合体を室温で1日放置して乾燥させ、フィルム状の膜を作成した。この膜を、テトラヒドロフランに溶解させた溶液を非水系GPCに共して重量平均分子量を測定した。
さらに、フィルム状の膜を表2に示される温度の恒温槽に入れ、表2に示される所定時間放置して熱架橋反応を促進させた。反応後の膜を、テトラヒドロフランに溶解させた溶液を非水系GPCに共して重量平均分子量を測定した。なお、重量平均分子量は、下記に示す装置および条件にて測定した。これらの結果を表2に併せて示す。
〈GPC測定条件〉
GPC装置:HLC−81020GPC(東ソー(株)製)
カラム :TSK−GEL 5000HXL×4000HXL×2500HXL×1000HXL(東ソー(株)製)
移動層 :テトラヒドロフラン
流量 :サンプル側0.5μL/分、リファレンス側0.5μL/分
温度 :40℃
検出器 :示差屈折率計(RL−8000、東ソー(株)製)
Figure 2005162572
表2に示されるように、共重合体中に不飽和カルボン酸モノマーとエポキシ基含有モノマーとの両成分を含む本発明品に係る共重合体(S−1)〜(S−2)は、熱処理により架橋して分子量が増大していることがわかる。
[実施例1〜5および比較例1〜3]
イオン交換水85部にフェライト(TCN−1、戸田工業(株)製)100部、分散剤(A−6114、東亜合成(株)製)0.5部、および上記各製造例および比較製造例で得られた共重合体からなるセラミックス成形用水系バインダーをその固形分が5部になる量添加し、これらをボールミル中で混合し、スラリーを調製した。
得られたスラリーを、スプレードライヤーにて噴霧乾燥を行いフェライト造粒体を作成した。さらに、加圧プレス機により圧力1×10-3Paでプレス加工を行って0.45cm×4.0cm×0.75cmのフェライト成形体を得た。
上記各実施例、比較例で調製したスラリーの分散性、フェライトの成形性を評価するとともに、得られたフェライト成形体の加熱前後の強度を測定・評価した。結果を表3に示す。
Figure 2005162572
表3において、スラリー分散性、フェライト成形性、フェライト成形体強度は、下記の方法により、測定・評価した。
[1]スラリー分散性
調製したスラリーについて、下記基準を用い目視にて評価した。
○:良好な分散スラリー
×:分散不良
[2]フェライト成形性
プレス成形後の成形体表面について、走査型電子顕微鏡(S−2380N、(株)日立製作所製)にて造粒体のつぶれ性を観察し、これを下記基準により評価した。なお、比較例2では、フェライトの分散性が悪く成形不可能であった。
○:空隙が少なく造粒体のつぶれ性が良好な成形体
×:空隙が多く造粒体のつぶれ性が悪い成形体
[3]フェライト成形体強度
[3−1]熱処理前強度
各実施例および比較例で得られた各フェライト成形体を、JIS K7055に準拠した方法により、3点曲げ強度を測定した。
[3−2]熱処理後強度
各フェライト成形体を、表3に示した所定温度の恒温槽に入れ、表3に示した所定時間放置し、共重合体の熱架橋反応を進行させた成形体を、JIS K7055に準拠した方法により、3点曲げ強度を測定した。
表3に示されるように、本発明のセラミックス成形用水系バインダーを使用した各実施例では、調製したスラリーの分散性およびフェライトの成形性が良好であることがわかる。また、各実施例で得られたフェライト成形体は、加熱することでその強度が著しく増大していることがわかる。

Claims (6)

  1. (A)不飽和カルボン酸モノマー:5〜40質量%、
    (B)下記一般式(I)
    Figure 2005162572
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を示す。)
    で表されるエポキシ基含有モノマー:1〜10質量%、および
    (C)共重合可能なビニル系モノマー:50〜94質量%
    を共重合させた共重合体からなることを特徴とするセラミックス成形用水系バインダー。
  2. 前記(C)共重合可能なビニル系モノマーが、(メタ)アクリル酸C1〜8アルキルエステルを含み、この(メタ)アクリル酸C1〜8アルキルエステルの含有量が、前記(C)共重合可能なビニル系モノマー全体の50〜100質量%であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス成形用水系バインダー。
  3. 前記共重合体の重量平均分子量が、10000〜200000であることを特徴とする請求項1または2記載のセラミックス成形用水系バインダー。
  4. 前記共重合体が、50〜250℃の範囲内で30分間から5時間熱処理した場合に、熱処理後重量平均分子量/熱処理前重量平均分子量=1.5〜10を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックス成形用水系バインダー。
  5. 前記共重合が、乳化重合により行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックス成形用水系バインダー。
  6. 酸化物系セラミックス成形用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックス成形用水系バインダー。
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