JP2005162379A - ワイヤロープ断線検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイヤロープの残留磁化が殆ど残らない状態に確実に消磁できるようにしたワイヤロープ断線検出装置を提供する。
【解決手段】ワイヤロープ2に磁場を印加して飽和させる励磁部3と飽和した磁場の漏洩磁束を検出してワイヤロープ2の断線を検出する検出部10とを有する検出装置本体1を設け、検出装置本体1の検出移動方向S後側に、検出移動方向S前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さい消磁用交流電磁石12を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤロープの素線の断線を非破壊で検査する際にワイヤロープの残留磁化を消磁するようにしたワイヤロープ断線検出装置に関するものである。
スチールワイヤロープには、多くの種類や構造があり、用途に応じ適宜選定して使用されている。現在クレーン等で一般的に使用されているワイヤロープは、多くの素線をより合わせてストランドを形成し、このストランドを鋼芯の周りにより合せたストランドロープが一般的であるが、このようなワイヤロープにおいて、一部の素線が断線した場合にこの断線を放置しておくと他の素線に掛る荷重が増加して断線が誘発される可能性があるために、素線の断線は早期の段階で確実に検出する必要がある。特に鋼芯のワイヤロープが破断した場合には、従来の繊維芯のワイヤロープに比較して、損傷が外部よりも内部で先行して進行するという特徴がある。そのため、内部から生じた素線の断線は徐々に外部へ進行し、最終的にワイヤロープの切断に至る場合が多く、従って、従来の外観観察を主とするワイヤロープの検査では、適切な損傷評価が不可能なことが指摘されている。このため、非破壊で素線の断線が検査できる検査装置が必要となってきた。
非破壊でワイヤロープの素線の断線が検査できる装置として最も適しているのはX線検査装置であるが、X線検査装置は高価であると共にその取り扱いに専門の知識が必要であり、簡便に利用できないという問題があった。
このため、簡便に利用できる検査装置として、ワイヤロープに磁場を印加して飽和させるための永久磁石からなる励磁部と、飽和した磁場の漏洩磁束を検出してワイヤロープの断線を検出する検出部とを備えたワイヤロープ断線検出装置が提案されている。
この種のワイヤロープ断線検出装置は、ワイヤロープに沿って断線検出装置を移動させるのみでワイヤロープの断線が検出できるので利便性に優れている。
しかし、前記したように、ワイヤロープの断線を検出する際に、永久磁石によってワイヤロープを強力に磁化して飽和させるため、ワイヤロープに残留磁化が生じてしまう問題がある。ワイヤロープに残留磁化が生じると、ワイヤロープに鉄粉等が付着し、このためにワイヤロープが鉄粉等との摩擦によって損傷する虞れがあった。更に、ワイヤロープに残留磁化が生じると、ワイヤロープの磁気特性が変化するために2回目以降の断線検出時に正確な断線の検出ができなくなる問題があると共に、前記ワイヤロープに付着した鉄粉等が検出誤差を生じさせる原因ともなっていた。
このような問題に対処するため、励磁部に交流電磁石を用いて残留磁化を消磁するようにしたものが特許文献1及び特許文献2等に開示されている。
特開2000−351575号公報 特開平06−19852号公報
前記特許文献1及び特許文献2に示す如く、励磁部に交流電磁石を用いると、ワイヤロープの残留磁化はある程度低減されると考えられる。特に、断線位置がロープ表面に近い場合、低減効果があると考えられる。
しかし、励磁部に交流電磁石を用いても、交流電磁石によってワイヤロープに強力な磁場を形成した際に断線位置、交流周波数条件等によってワイヤロープに残留磁化が残る場合が屡々発生している。このように残留磁化が不安定に残ることによって、前記したワイヤロープに鉄粉等が付着することによる問題や、残留磁化によって2回目以降のワイヤロープの断線検出を正確に行えないといった問題が生じていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなしたもので、ワイヤロープの残留磁化が殆ど残らない状態に確実に消磁できるようにしたワイヤロープ断線検出装置を提供することを目的としてなしたものである。
請求項1に記載の発明は、ワイヤロープに磁場を印加して飽和させる励磁部と飽和した磁場の漏洩磁束を検出してワイヤロープの断線を検出する検出部とを有する検出装置本体をワイヤロープの長手方向に移動可能に設け、該検出装置本体の検出移動方向後側に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さい消磁用交流電磁石を配置したことを特徴とするワイヤロープ断線検出装置、に係るものである。
請求項2に記載の発明は、前記消磁用交流電磁石における検出移動方向前側のコイル密度は励磁部のコイル密度と等しいか又はそれより小さいことを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ断線検出装置、に係るものである。
請求項3に記載の発明は、前記検出装置本体の検出移動方向後側に、消磁用交流電磁石を一体に取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤロープ断線検出装置、に係るものである。
請求項4に記載の発明は、前記検出装置本体及び消磁用交流電磁石がワイヤロープに対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のワイヤロープ断線検出装置、に係るものである。
請求項5に記載の発明は、前記ワイヤロープに装着した検出装置本体の検出移動方向後側に、ワイヤロープの外周を包囲するように巻芯を配置し、該巻芯の外周に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が連続して小さくなるように包囲コイル線を巻付けて消磁用交流電磁石を構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤロープ断線検出装置、に係るものである。
請求項6に記載の発明は、前記励磁部を励磁コイルによる交流電磁石とし、励磁コイルの検出移動方向後側に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さい消磁用交流電磁石を配置し、前記励磁コイルのコイル線と消磁用交流電磁石のコイル線を接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤロープ断線検出装置、に係るものである。
請求項7に記載の発明は、前記ワイヤロープの外周を包囲するように巻芯を配置し、該巻芯の外周に、コイル密度が最大になるように包囲コイル線を巻付けて励磁部を形成すると共に、該励磁部に対応して検出部を配置することにより検出装置本体を構成し、更に、前記励磁部より検出移動方向後側の巻芯の外周に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が連続して小さくなるように前記励磁部の包囲コイル線を連続して巻付けることにより消磁用交流電磁石を構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤロープ断線検出装置、に係るものである。
上記手段では、ワイヤロープに検出装置本体を配置すると共に、該検出装置本体の検出移動方向後側に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さい消磁用交流電磁石を配置し、前記検出装置本体と消磁用交流電磁石をワイヤロープに沿って検出移動方向に移動させ、検出装置本体の励磁部により磁場を印加することによりワイヤロープを飽和した状態で検出部により飽和した磁場の漏洩磁束を検出することによりワイヤロープの断線を検出する。
励磁部による磁場の飽和によってワイヤロープに残留磁化が生じても、検出装置本体の後側から消磁用交流電磁石が移動し、該消磁用交流電磁石は前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さくしてあるので、消磁用交流電磁石によるヒステリシスループが徐々に小さくなることによってワイヤロープの残留磁化は確実に消磁される。
本発明のワイヤロープ断線検出装置によれば、検出装置本体の検出移動方向後側に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さい消磁用交流電磁石を配置し、前記検出装置本体と消磁用交流電磁石をワイヤロープに沿って検出移動方向に移動させるようにしたので、検出装置本体によってワイヤロープに残留磁化が生じても、前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さくしてある消磁用交流電磁石によって、ヒステリシスループが徐々に小さくなることによりワイヤロープの残留磁化は確実に消磁される。これにより、ワイヤロープに鉄粉等が付着する問題を防止でき、2回目以後のワイヤロープの断線も精度良く確実に検査できるようになる効果を奏し得る。
検出装置本体の検出移動方向後側に消磁用交流電磁石を一体に取り付けた構成では、構成がコンパクトになり、ワイヤロープ断線検出装置による作業性が向上できる。
励磁部を励磁コイルによる交流電磁石とし、該交流電磁石の検出移動方向後側に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さい消磁用交流電磁石を配置し、前記励磁コイルのコイル線と消磁用交流電磁石のコイル線を接続したことで、残留磁化が殆ど残らない状態に確実に消磁することができる上に、総てが連続した交流電磁石で構成されるので構造がシンプルとなり、磁石電源も1個備えれば良いため小型化が可能になる。
消磁用交流電磁石を、ワイヤロープの外周に巻芯を配置して該巻芯の外周にコイル線を巻付けて構成したので、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さくなるように消磁用交流電磁石のコイル密度を連続的に変化させることでき、よって消磁用交流電磁石によるヒステリシスループが連続的に小さくなるように変化させてワイヤロープの残留磁化を更に確実に消磁できる効果がある。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜図4は本発明のワイヤロープ断線検出装置を実施する形態の一例を示しており、図1、図2において1は検出装置本体であり、該検出装置本体1はワイヤロープ2に磁場を印加して飽和させる励磁部3を備えている。励磁部3には永久磁石又は電磁石を用いることができ、図1、図2では励磁部3に交流電磁石を用いた場合を示している。
前記励磁部3は、鉄芯4にコイル線5を巻付けた複数(図2では8個)の励磁コイル6を非磁性のコイルホルダ7に対して周方向等間隔に配置している。コイルホルダ7は、半割り形状の円筒体を連結部8で開閉可能に連結した構成を有しており、コイルホルダ7は前記連結部8を中心に回動させて開くことによりワイヤロープ2の外周へ着脱できるようになっている。各励磁コイル6は、コイルホルダ7に対して鉄芯4の軸中心線がワイヤロープ2の軸中心線と直交するように配置されている。各励磁コイル6におけるコイル線5の巻き方向は同一方向で巻数も同じであり、各励磁コイル6は1本のコイル線5により直列に接続されていて、該コイル線5の端部は導線14により磁石電源9に接続されている。
前記検出装置本体1は、前記励磁部3によって飽和した磁場の漏洩磁束を検出してワイヤロープ2の断線を検出するための検出部10を備えている。検出部10としては、検出コイル、ガウスメータ等が用いられる。図1の検出部10は漏洩磁束検出モニタ11に接続されて検査結果が表示されるようになっている。
前記検出装置本体1では、図2に示す如くワイヤロープ2を取り巻くようにコイルホルダ7をワイヤロープ2に装着し、励磁部3にてワイヤロープ2に磁場を印加して飽和させた状態で、検出部10にて飽和した磁場の漏洩磁束を検出することによりワイヤロープ2の断線を検出することができ、この状態で検出装置本体1をワイヤロープ2に沿って検出移動方向Sに移動させると、ワイヤロープ2の長手方向に対して連続して断線を検出することができる。
前記検出装置本体1の検出移動方向Sの後側には、消磁用交流電磁石12を配置している。図1では、前記検出装置本体1の検出移動方向後側にコイルホルダ7を延長し、その延長部7’に前記消磁用交流電磁石12を取り付けることにより、検出装置本体1と消磁用交流電磁石12が一体に構成された場合を示している。消磁用交流電磁石12は、図3、図4に示す如く、前記励磁コイル6と同様にワイヤロープ2を取り巻くように複数の消磁コイル13を配置している。
そして、上記消磁用交流電磁石12は、検出移動方向S前側の消磁コイル13のコイル密度を大きく、後側の消磁コイルのコイル密度を小さくしている。即ち、図4では最も前側の消磁コイル13aはコイル線6の巻数を最も大きくして大きな磁場強度H1を生じるようにしてあり、その後側の消磁コイル13bはコイル線6の巻数を前側の消磁コイル13aより小さい中位として中位の磁場強度H2を生じるようにしてあり、後側の消磁コイル13cはコイル線6の巻数を最も小さくして小さい磁場強度Hnを生じるようにしてある。
前記消磁用交流電磁石12は、すべての消磁コイル13a,13b,13cのコイル線6を繋いで形成することができ、このように接続したコイル線6の両端は導線14により交流磁石電源15に接続している。
前記消磁用交流電磁石12は、交流磁石電源15の通電により、最も前側の消磁コイル13aは、前記励磁コイル6によって印加される磁場の強度H’と等しいか又は該磁場の強度H’よりも僅かに低い値の磁場の強度H1になるようにコイル密度を設定している。
前記消磁用交流電磁石12の消磁コイル13は、図4では3段に設けた場合を例示したが、磁場の強度が徐々に滑らかに変化するように消磁コイル13は多段に設けることが好ましい。
以下に上記形態例の作用を説明する。
検出装置本体1と消磁用交流電磁石12とを一体に組み立てたコイルホルダ7は、連結部8を中心に開いてワイヤロープ2に嵌合させ更に連結部8を中心に閉じることによりワイヤロープ2の外周に装着する。続いて、磁石電源9により検出装置本体1の励磁部3に通電しワイヤロープ2に磁場を印加して飽和させると、検出部10は飽和した磁場の漏洩磁束を検出することができ、この磁場の漏洩磁束からワイヤロープ2の断線を検出することができる。この状態で検出装置本体1をワイヤロープ2に沿って検出移動方向Sに移動させることにより、ワイヤロープ2の長手方向に連続して断線を検出できる。
このとき、励磁部3で印加する磁場によってワイヤロープ2に残留磁化が生じる場合がある。
しかし、検出装置本体1の検出移動方向Sの後側には、検出装置本体1と一緒に移動する消磁用交流電磁石12を設けているので、ワイヤロープ2に生じた残留磁化を消磁することができる。即ち、図4に示す如く、最も前側の消磁コイル13aのコイル巻数を最も大(コイル密度大)、その後側の消磁コイル13bのコイル巻数を中(コイル密度中)、後側の消磁コイル13cのコイル巻数を小(コイル密度小)としているので、図5に示す如く、磁気誘導方向Bと直交する方向の磁場の強度Hとの関係を表わす消磁コイル13のヒステリシスループが、検出移動方向Sの前側から後側に向かってH1→H2→Hnのように順次小さくなる。このようにヒステリシスループが順次小さくなることによって、ワイヤロープ2に生じた残留磁化は殆ど残らない状態に確実に消磁されるようになる。
又、前記消磁用交流電磁石12では、多段に設けた消磁コイル13a,13b,13cを直列に接続したコイル線5の端部を導線14により1個の交流磁石電源15に接続しているので、交流磁石電源15によって一定の電流を流すのみで、検出移動方向S前側に大きい強度の磁場H1が形成され、後側に向かってH2,Hnの如く磁場の強度が順次小さくなるヒステリシスループを自然に形成することができる。
尚、ワイヤロープ2の残留磁化は、ワイヤロープ2の口径や材質、及び検出装置本体1の励磁部3によって与えられる磁場の強度等によって変化するので、これらの条件の変化に対応した残留磁化のデータを予め求めておき、その残留磁化を消磁するのに適した構成の消磁用交流電磁石12を予め用意しておくことができる。
上記したように、確実な消磁が行われることによって、残留磁化によってワイヤロープ2に鉄粉等が付着する問題を防止でき、2回目以後のワイヤロープ2の断線を精度良く確実に検査できるようになる。
尚、図1、図2においては検出装置本体1の励磁部3を交流電磁石の励磁コイル6で構成した場合について例示したが、励磁部3を永久磁石、直流磁石によって構成した場合にも、永久磁石、直流磁石によってワイヤロープ2に生じた残留磁化を消磁用交流電磁石12によって前記と同様にして確実に消磁することができる。
図6は、本発明のワイヤロープ断線検出装置を実施する形態の他の例を示したものであり、半割り形状で開閉が可能な検出装置本体1をワイヤロープ2に装着し、該検出装置本体1の検出移動方向S後側に、ワイヤロープ2の外周を包囲するように巻芯17を配置し、該巻芯17の外周に、検出移動方向S前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が連続して小さくなるように包囲コイル線5’を巻付けて消磁用交流電磁石12を構成する。上記巻芯17は、紙或いはプラスチック等の非導電、非磁性の材料を用いて製作する。前記包囲コイル線5’の両端部は導線14を介して交流磁石電源15に接続する。
図6の形態では、消磁用交流電磁石12を、ワイヤロープ2の外周に配置した巻芯17の外周に包囲コイル線5’を巻付けて構成したので、検出移動方向S前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さくなるように消磁用交流電磁石12のコイル密度を連続的に変化させることができる。従って、消磁用交流電磁石12によるヒステリシスループが連続的に小さくなるように変化し、これによってワイヤロープ2の残留磁化を更に確実に消磁することができる。
上記したように巻芯17の外周に包囲コイル線5’を巻付けた消磁用交流電磁石12は、ワイヤロープ2の取り外し等によってその端部が導出できる場合には、予め製作しておいた消磁用交流電磁石12をワイヤロープ2の端部から嵌合させて配置することができる。
一方、取り外しが不可能なワイヤロープ2に対しては、ワイヤロープ2の外周に巻芯17を配置し、更に該巻芯17の外周に包囲コイル線5’を巻付けることにより前記消磁用交流電磁石12を現地で製作することができる。上記消磁用交流電磁石12は安価に製作することができ、よって使い捨てとすることもできる。
又、例えばエレベータのワイヤロープ2等のように、物体の衝突や風雨に晒されることがなく、しかも取り外しが必要ない場所に設けられるワイヤロープでは、前記したように包囲コイル線5’による消磁用交流電磁石12はワイヤロープ2に装着したままとして所定の場所に待機させておき、ワイヤロープ2の断線検出を行う場合のみに使用するようにしてもよい。
図7は、本発明のワイヤロープ断線検出装置を実施する形態の更に他の例を示したものであり、図1と同一の構成部材には同じ符号を付して説明を省略する。図7では、検出装置本体1の励磁部3を図2の励磁コイル6と同様の励磁コイル16aによる交流電磁石とした場合を示しており、該励磁コイル16aの後側に消磁用交流電磁石12を一体に連続して形成している。即ち、励磁部3の励磁コイル16aの後側に、該励磁コイル16aのコイル密度を最大(磁場の強度H’)として、この励磁コイル16aの磁場の強度H’と同じかそれより僅かに低い磁場の強度H1となるコイル密度大の消磁コイル16bを接続し、更に該消磁コイル16bのコイル密度より小さいコイル密度中(磁場の強度H2)の消磁コイル16c、及び更に消磁コイル16cより小さいコイル密度小(磁場の強度Hn)の消磁コイル16dを順次接続して消磁用交流電磁石12を構成している。このとき、前記消磁コイル16b,16c,16dは、図3の消磁コイル13と同様に構成されている。上記した如く、励磁コイル16aと各消磁コイル16b,16c,16dを直列に接続したコイル線5の端部は導線14を介して1つの交流磁石電源18に接続している。
図7の構成では、励磁部3の励磁コイル16aによる磁場の印加によってワイヤロープ2に残留磁化が生じても、後側に備えた消磁用交流電磁石12の消磁コイル16b,16c,16dによりヒステリシスが後側に向かって順次H1→H2→Hnの如く小さくなることにより、残留磁化は殆ど残らない状態になって確実に消磁されるようになる。
更に、上記形態では検出装置本体1と消磁用交流電磁石12の総てを交流電磁石で構成しているので、構造がシンプルになると共に、1個の交流磁石電源18を備えれば済むために小型化が可能になる。
図8は、本発明のワイヤロープ断線検出装置を実施する形態の更に他の例を示したものであり、ワイヤロープ2の外周を包囲するように巻芯17を配置し、該巻芯17の外周に、コイル密度が最大になるように包囲コイル線5’を巻付けて励磁部3を形成すると共に、該励磁部3に対応して検出部10を配置することにより検出装置本体1を構成し、更に、前記励磁部3より検出移動方向S後側の巻芯17の外周に、検出移動方向S前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が連続して小さくなるように前記励磁部3の包囲コイル線5’を連続して巻付けることにより消磁用交流電磁石12を構成している。そして、前記包囲コイル線5’の両端部は導線14を介して1つの交流磁石電源18に接続している。
図8の形態では、検出装置本体1の励磁部3と、消磁用交流電磁石12を、1本の包囲コイル線5’を巻付けることによって構成したので、構造がシンプルになると共に、1個の交流磁石電源18を備えれば済むために小型化が可能になる。
更に、消磁用交流電磁石12のコイル密度を、検出移動方向S前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さくなるように連続的に変化させたので、消磁用交流電磁石12によるヒステリシスループが連続的に小さくなるように変化し、これによってワイヤロープ2の残留磁化を確実に消磁することができる。
又、上記したように巻芯17の外周に包囲コイル線5’を巻付けて形成した検出装置本体1及び消磁用交流電磁石12は、ワイヤロープ2の取り外し等によってその端部が導出できる場合には、予め製作しておいた検出装置本体1及び消磁用交流電磁石12をワイヤロープ2の端部から嵌合させて配置することができる。
一方、取り外しが不可能なワイヤロープ2に対しては、ワイヤロープ2の外周に巻芯17を配置し、該巻芯17の外周に包囲コイル線5’を巻付けることにより前記検出装置本体1の励磁部3と消磁用交流電磁石12を現地で製作することができる。このようにした検出装置本体1及び消磁用交流電磁石12は安価に製作することができるので、使い捨てとすることもできる。
又、例えばエレベータのワイヤロープ2等のように、取り外しが必要ない場所では、前記したように包囲コイル線5’によって形成した検出装置本体1及び消磁用交流電磁石12をワイヤロープ2に装着したままとして所定の場所に待機させておき、ワイヤロープ2の断線検出を行う場合のみに使用するようにしてもよい。
尚、本発明のワイヤロープ断線検出装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、励磁コイル、消磁コイルの構成、配置等は任意に変更し得ること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明のワイヤロープ断線検出装置の実施の形態の一例を示す概略側面図である。 図1のII−II方向矢視図である。 図1のIII−III方向矢視図である。 図3のIV−IV方向矢視図である。 本発明の作用を説明するためのヒステリシスループ線図である。 本発明のワイヤロープ断線検出装置を実施する形態の他の例を示す概略斜側面図である。 本発明のワイヤロープ断線検出装置を実施する形態の更に他の例を示す概略側面図である。 本発明のワイヤロープ断線検出装置を実施する形態の更に他の例を示す概略側面図である。
符号の説明
1 検出装置本体
2 ワイヤロープ
3 励磁部
5 コイル線
5’ 包囲コイル線
10 検出部
12 消磁用交流電磁石
13 消磁コイル
13a 消磁コイル
13b 消磁コイル
13c 消磁コイル
16a 励磁コイル
16b 消磁コイル
16c 消磁コイル
16d 消磁コイル
17 巻芯
18 交流磁石電源
S 検出移動方向

Claims (7)

  1. ワイヤロープに磁場を印加して飽和させる励磁部と飽和した磁場の漏洩磁束を検出してワイヤロープの断線を検出する検出部とを有する検出装置本体をワイヤロープの長手方向に移動可能に設け、該検出装置本体の検出移動方向後側に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さい消磁用交流電磁石を配置したことを特徴とするワイヤロープ断線検出装置。
  2. 前記消磁用交流電磁石における検出移動方向前側のコイル密度は励磁部のコイル密度と等しいか又はそれより小さいことを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ断線検出装置。
  3. 前記検出装置本体の検出移動方向後側に、消磁用交流電磁石を一体に取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤロープ断線検出装置。
  4. 前記検出装置本体及び消磁用交流電磁石がワイヤロープに対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のワイヤロープ断線検出装置。
  5. 前記ワイヤロープに装着した検出装置本体の検出移動方向後側に、ワイヤロープの外周を包囲するように巻芯を配置し、該巻芯の外周に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が連続して小さくなるように包囲コイル線を巻付けて消磁用交流電磁石を構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤロープ断線検出装置。
  6. 前記励磁部を励磁コイルによる交流電磁石とし、励磁コイルの検出移動方向後側に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が小さい消磁用交流電磁石を配置し、前記励磁コイルのコイル線と消磁用交流電磁石のコイル線を接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤロープ断線検出装置。
  7. 前記ワイヤロープの外周を包囲するように巻芯を配置し、該巻芯の外周に、コイル密度が最大になるように包囲コイル線を巻付けて励磁部を形成すると共に、該励磁部に対応して検出部を配置することにより検出装置本体を構成し、更に、前記励磁部より検出移動方向後側の巻芯の外周に、検出移動方向前側のコイル密度が大きく後側のコイル密度が連続して小さくなるように前記励磁部の包囲コイル線を連続して巻付けることにより消磁用交流電磁石を構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤロープ断線検出装置。
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