以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、図1〜図9を参照して、第1実施形態による磁性体の検査装置100の構成について説明する。検査装置100は、たとえば、検査対象としてのスチールワイヤロープW(以下、「ワイヤW」とする)の傷の有無または断線を検出するように構成されている。ワイヤWは、たとえば、クレーン装置、エレベータ、吊り橋、および、ロボット等に設けられている。また、ワイヤWは、磁性を有する素線材料(たとえば、鉄)が編みこまれる(たとえば、ストランド編みされる)ことにより形成され、X方向に延びるロープ状の長尺材からなる磁性体である。なお、ワイヤWは、特許請求の範囲の「長尺材」の一例である。
(本体ケースの構成)
図1に示すように、検査装置100は、磁界印加部1、検知部2、回路部3、バッテリー4、報知部5、および、操作部6を備える。そして、磁界印加部1、検知部2、回路部3、バッテリー4、報知部5、および、操作部6は、本体ケース70内に配置されている。また、本体ケース70は、検査装置100の筐体として構成されており、内部に検査装置100を構成する各部品が収納されている。なお、本体ケース70は、特許請求の範囲の「検知装置本体部」の一例である。
なお、以下の説明では、「ワイヤWの長手方向」とは、ワイヤWの延びる方向であり、図2のX方向を意味するものとして記載する。また、「ワイヤWの短手方向」とは、ワイヤWの横断面に沿った方向であり、図2のY方向またはZ方向を意味するものとして記載する。また、「上下方向」とは、図2のZ方向(上方向を矢印Z1方向、下方向を矢印Z2方向)を意味し、「左右方向」とは、図2のY方向(右方向を矢印Y1方向、左方向を矢印Y2方向)を意味するものとして記載する。また、X方向(Y方向、Z方向)に「沿った」方向とは、たとえば、X方向(Y方向、Z方向)となす角度が45度未満の大きさを意味するものとして記載している。
図2に示すように、本体ケース70は、把持部71と、第1ケース部72と、第2ケース部73とを含む。把持部71は、たとえば、第1ケース部72の矢印Z1方向側の面172から矢印Z1方向に延びる円柱形状を有するように形成されている。そして、把持部71は、操作者の手により把持された状態で、本体ケース70(装置全体)が操作者により保持されるように構成されている。すなわち、検査装置100は、把持部71が操作者に把持されることにより、検査装置100がワイヤWに相対移動可能に構成されている。そして、把持部71の内部には、回路部3およびバッテリー4が収納されている。また、把持部71の外側面には、報知部5、および、操作部6が設けられている。なお、第1ケース部72は、特許請求の範囲の「第1装置本体部」の一例である。また、第2ケース部73は、特許請求の範囲の「第2装置本体部」の一例である。
報知部5は、たとえば、ランプ等により構成されており、ワイヤWの検査結果(判定結果)に応じた回路部3(制御部34)からの指令に応じて、表示(たとえば、点灯または消灯)を行うように構成されている。たとえば、報知部5は、把持部71の第1ケース部72側の部分に配置されている。これにより、把持部71が操作者により把持された状態で、表示が操作者に視認される。
操作部6は、たとえば、押しボタン等により構成されており、把持部71が操作者により把持された状態で、操作者からの入力操作を受け付けるように構成されている。そして、操作部6は、受け付けた入力操作を回路部3に伝達するように構成されている。
ここで、図3および図4に示すように、第1実施形態では、本体ケース70は、ワイヤWの短手方向からワイヤWに着脱可能に構成されている。すなわち、本体ケース70は、ワイヤWに対して取付可能であるとともに、取り外し可能に構成されている。これにより、検査装置100は、所定の位置に固定された装置ではなく、操作者により携帯された状態で持ち運び可能に構成されている。言い換えると、検査装置100は、携帯型のワイヤ検査装置として構成されている。
図3に示すように、第1実施形態では、第1ケース部72は、ワイヤWの短手方向の一方側(矢印Z1方向側)に配置されている。また、第2ケース部73は、ワイヤWの短手方向の他方側(矢印Z2方向側)に配置されている。また、本体ケース70は、第1ケース部72と第2ケース部73とが分割された状態(図4参照)で、ワイヤWが配置される凹部81および82をワイヤWの短手方向(Y方向またはZ方向)に開放するとともに、第1ケース部72と第2ケース部73とが結合された状態(図3参照)で、凹部81および82をワイヤWの短手方向に閉鎖するように構成されている。すなわち、第1実施形態では、本体ケース70は、第1ケース部72と第2ケース部73との全体が、互いに離間して分割可能に構成されている。
具体的には、第1ケース部72および第2ケース部73は、それぞれ、箱状に形成されている。そして、箱状の第1ケース部72と第2ケース部73とがZ方向に隣接して配置されることにより、本体ケース70を構成している。そして、第1実施形態では、本体ケース70には、第1ケース部72に設けられた第1コネクタ部72aおよび72bと、第2ケース部73に設けられた第2コネクタ部73aおよび73bとが設けられている。そして、図4に示すように、本体ケース70は、第1コネクタ部72aおよび72bと、第2コネクタ部73aおよび73bとの係合が解除された状態(開放された状態)で、ワイヤWの短手方向の両側(矢印Z1方向側および矢印Z2方向側)に向かって離れて分割可能に構成されている。なお、第1コネクタ部72aおよび72bと、第2コネクタ部73aおよび73bとは、特許請求の範囲の「コネクタ部」の一例である。
詳細には、第1コネクタ部72aは、凹部81よりも矢印Y2方向側の第1ケース部72の矢印Z2方向側の部分に設けられている。第1コネクタ部72bは、凹部81よりも矢印Y1方向側の第1ケース部72の矢印Z2方向側の部分に設けられている。また、第2コネクタ部73aは、第1コネクタ部72aの矢印Z2方向側に対向して配置され、凹部82よりも矢印Y2方向側の第2ケース部73の矢印Z1方向側の部分に設けられている。また、第2コネクタ部73bは、第1コネクタ部72bの矢印Z2方向側に対向して配置され、凹部82よりも矢印Y1方向側の第2ケース部73の矢印Z1方向側の部分に設けられている。
そして、図3に示すように、第1ケース部72と第2ケース部73とが組み合わされた状態で、第1コネクタ部72aと第2コネクタ部73aとが、互いに係合するとともに、第1コネクタ部72bと第2コネクタ部73bとが、互いに係合するように構成されている。また、図4に示すように、本体ケース70は、第1ケース部72と第2ケース部73とが、分割された場合に、第1コネクタ部72aと第2コネクタ部73aとの係合が解除されるとともに、第1コネクタ部72bと第2コネクタ部73bとの係合が解除されるように構成されている。
また、凹部81は、第1ケース部72の第2ケース部73側(矢印Z2方向側)で、かつ、左右方向(Y方向)の中央部近傍において、矢印Z1方向に窪む半円弧形状を有する。また、凹部82は、第2ケース部73の第1ケース部72側(矢印Z1方向側)で、かつ、左右方向(Y方向)の中央部近傍において、矢印Z2方向に窪む半円弧形状を有する。これにより、本体ケース70は、凹部81および82により形成される空間にワイヤWが配置されるように構成されている。すなわち、本体ケース70は、第1ケース部72と第2ケース部73とが結合された状態で、ワイヤWの長手方向に延びる筒状を有する。そして、図3に示すように、凹部81および82の内側の直径D1は、ワイヤWの横断面方向の直径D2よりも大きい。
図4に示すように、検査装置100では、第1ケース部72と第2ケース部73とが分割された状態で、第1コネクタ部72a(または72b)と第2コネクタ部73a(または73b)との距離D3をワイヤWの直径D2よりも大きくして、ワイヤWから本体ケース70を矢印Y1方向または矢印Y2方向に移動させれば、ワイヤWから本体ケース70を取り外すことが可能である。
また、図2および図5に示すように、検査装置100は、把持部71が操作者により把持された状態で、ワイヤWに対してワイヤWの長手方向に移動可能に構成されている。すなわち、検査装置100は、ワイヤWを凹部81および82に配置した状態で、ワイヤWに沿ってスライド移動可能に構成されている。
(磁界印加部の構成)
図5に示すように、第1実施形態では、磁界印加部1は、第1ケース部72に配置された第1磁界印加部11と、第2ケース部73に配置された第2磁界印加部12とを含む。具体的には、第1磁界印加部11は、凹部81よりもワイヤWの矢印Z1方向側に配置されている。また、第2磁界印加部12は、凹部82よりもワイヤWの矢印Z2方向側に配置されている。ここで、第1実施形態では、第1磁界印加部11および第2磁界印加部12は、ワイヤWの長手方向に交差する方向(たとえば、Z方向)に磁界を印加するように構成されている。
たとえば、第1磁界印加部11は、第1ケース部72において、検知部2よりも矢印X1方向側の部分に配置された第1永久磁石11aと、検知部2よりも矢印X2方向側の部分に配置された第2永久磁石11bとを含む。また、第2磁界印加部12は、第2ケース部73において、検知部2よりも矢印X1方向側の部分に配置された第3永久磁石12aと、検知部2よりも矢印X2方向側の部分に配置された第4永久磁石12bとを含む。
また、第1永久磁石11aと第2永久磁石11bとは、発生させる磁界の向きが同一方向になるように配置されている。そして、第3永久磁石12aと第4永久磁石12bとは、発生させる磁界の向きが同一方向になるように配置されている。また、第1永久磁石11aと第3永久磁石12aとは、発生させる磁界の向きが略同一の向きになるように配置されている。また、第2永久磁石11bと第4永久磁石12bとは、発生させる磁界の向きが略同一の向きになるように配置されている。
これにより、凹部81および82の内部において印加される磁界の向きがZ方向になるように、第1永久磁石11a、第2永久磁石11b、第3永久磁石12a、および、第4永久磁石12bが配置されている。たとえば、図5では、磁界印加部1を、斜線部分をN極として、斜線を設けていない部分をS極として図示している。
これにより、第1磁界印加部11および第2磁界印加部12により、凹部81および82の内部において、Z方向に磁界が印加される。第1永久磁石11aと第3永久磁石12aとにより、凹部81および82の内部において、矢印Z2方向に磁界が印加される。また、第2永久磁石11bと第4永久磁石12bとにより、凹部81および82の内部において、矢印Z1方向に磁界が印加される。また、第1磁界印加部11および第2磁界印加部12が印加する磁界の大きさは、後述する励振コイル21が印加する磁界の大きさよりも大きく設定されている。
そして、図6に示すように、凹部81および82に配置されたワイヤWに磁界が印加されることにより、ワイヤWの磁化が第1磁界印加部11および第2磁界印加部12により印加された磁界の方向に整えられる。また、本体ケース70がワイヤWに対して移動されることにより、第1磁界印加部11および第2磁界印加部12の間を通過したワイヤWの磁化がワイヤWの略短手方向(Z方向)に整えられる。なお、図5に示すように、第1磁界印加部11および第2磁界印加部12を、それぞれ、検知部2のX方向の両側に配置することにより、X方向のいずれの方向に本体ケース70を移動させた場合でも、ワイヤWの磁化を予め整えることが可能になる。
また、第1永久磁石11aによる磁界(磁束)の向きと第2永久磁石11bによる磁界の向きがワイヤWの短手方向であるため、磁化の大きさそのものが小さくなる。すなわち、検査後のワイヤWに磁化の残留を低減することが可能になる。
(検知部の構成)
図7〜図9に示すように、検知部2は、磁界印加部1により磁界が印加されたワイヤWの磁化をワイヤWの長手方向に励振させるとともに、磁化が励振されたワイヤWの磁界に基づく検知信号を取得するように構成されている。
具体的には、図5に示すように、検知部2は、励振コイル21と、検知コイル22および23とを含む。また、励振コイル21と、検知コイル22および23とは、それぞれ、凹部81および82の中心C(図8参照)を中心軸として、長手方向に沿うように複数回巻回され、ワイヤWの延びるX方向(長手方向)に沿って筒状を有するように形成される導線部分を含むコイルループである。たとえば、励振コイル21は、検知コイル22および23により、X方向の両側から挟まれるように配置されている。
図7に示すように、励振コイル21は、第1ケース部72に配置された第1励振導線21aと、第2ケース部73に配置された第2励振導線21bとを含む。また、検知コイル22は、第1ケース部72に配置された第1検知導線22aと、第2ケース部73に配置された第2検知導線22bとを含む。また、検知コイル23は、第1ケース部72に配置された第3検知導線23aと、第2ケース部73に配置された第4検知導線23bとを含む。なお、第1励振導線21a、第1検知導線22a、および、第3検知導線23aは、特許請求の範囲の「第1導線部」の一例である。また、第2励振導線21b、第2検知導線22b、および、第4検知導線23bは、特許請求の範囲の「第2導線部」の一例である。また、図7の例では、各コイルの巻回回数を5回として図示しているが、巻回回数は、5回には限られない。
具体的には、第1ケース部72には、第1基板24が設けられている。また、第2ケース部73には、第2基板25が設けられている。たとえば、第1基板24および第2基板25は、XY平面に略平行に配置されている。そして、第1励振導線21a、第1検知導線22a、および、第3検知導線23aは、たとえば、第1基板24に導体パターンとして形成されている。また、第2励振導線21b、第2検知導線22b、および、第4検知導線23bは、たとえば、第2基板25に導体パターンとして形成されている。なお、第1基板24および第2基板25は、片面、両面、または、多層基板のいずれにより構成されていてもよい。
ここで、第1実施形態では、第1コネクタ部72aおよび72bと、第2コネクタ部73aおよび73bとは、第1ケース部72と第2ケース部73とが分割された状態で、第1励振導線21aと第2励振導線21bとの接続の解除、第1検知導線22aと第2検知導線22bとの接続の解除、および、第3検知導線23aと第4検知導線23bとの接続の解除を行うように構成されている。
また、図8に示すように、第1実施形態では、第1コネクタ部72aおよび72bと、第2コネクタ部73aおよび73bとは、第1ケース部72と第2ケース部73とが結合された状態で、第1励振導線21aと第2励振導線21bとを接続し、第1検知導線22aと第2検知導線22bとを接続し、第3検知導線23aと第4検知導線23bとを接続して、それぞれ、凹部81および82の中心Cとしたコイルループを形成させるように構成されている。
具体的には、図7(a)に示すように、第1コネクタ部72aには、第1端子74aが設けられている。第1コネクタ部72bには、第2端子74bが設けられている。図7(b)に示すように、第2コネクタ部73aには、第3端子75aが設けられている。第2コネクタ部73bには、第4端子75bが設けられている。
そして、第1端子74aおよび第2端子74bは、それぞれ、第1基板24の導体パターンに接続されており、第3端子75aおよび第4端子75bは、それぞれ、第2基板25の導体パターンに接続されている。たとえば、第1励振導線21a、第1検知導線22aおよび第3検知導線23aを構成する導体パターンは、第1端子74aと、第2端子74bとの間を、Y軸に平行な方向から矢印X1方向に傾斜した直線状に形成されている。また、第2励振導線21b、第2検知導線22bおよび第4検知導線23bを構成する導体パターンは、第3端子75aと、第4端子75bとの間を、Y方向に沿った方向に直線状に形成されている。また、第1検知導線22aの一端と、第3検知導線23aの一端とは第1基板24上(内)で接続されている。
また、回路部3は、第1基板24の接続部24a、24b、24cおよび24dにそれぞれ接続されている。具体的には、回路部3の交流電源部31は、接続部24aおよび24bを介して、励振コイル21に交流電流(励振電流)を供給するように構成されている。そして、回路部3の増幅器32は、接続部24cおよび24dを介して、検知コイル22および23の検知信号(差動信号)を取得するように構成されている。
図9に示すように、励振コイル21に励振電流が流されることにより、励振コイル21の内部において、励振電流に基づいて発生する磁界がX方向に沿って印加されるように構成されている。これにより、励振コイル21は、ワイヤWの磁化の状態を励振させる。具体的には、図9(a)のように、磁界印加部1により予め磁化が整えられている状態で、励振コイル21による磁界の印加がない場合には、傷等のない部分において、ワイヤWの磁化は、矢印Z2方向に略揃っている。ここで、図9(b)に示すように、励振コイル21に所定の周波数を有する交流電流(励振電流)が交流電源部31から流されることにより、ワイヤWの延びるX方向に磁界が振動する(矢印X1方向への磁界と矢印X2方向への磁界が周期的にあらわれる)ように磁界が印加される。また、励振コイル21に流れる時間変化する励振電流の向き(実線または点線)に伴って、励振コイル21により印加される磁界(実線または点線)の方向も変化する。
これにより、時間変化する磁界によりワイヤWの磁化が励振され、ワイヤWから発せられる磁界も時間変化する。その結果、ワイヤWと検知コイル22および23との相対位置を変化させることなく、ワイヤWの同じ部分による磁界が時間変化するため、磁界の変化を検知する検知コイル22および23により取得される検知信号に基づいて、ワイヤWの状態を判定することが可能になる。
そして、検知コイル22および23には、励振コイル21によりワイヤWの磁性体のX方向の磁界が変化することにより電圧(信号)が発生する。そして、検知コイル22および23は、励振コイル21のX方向の両側に配置されているため、差動コイルとして機能する。そして、検知コイル22および23は、検出信号(差動信号)を増幅器32に出力する。
(磁性体の状態の判定に関する構成)
図1に示すように、回路部3は、交流電源部31と、増幅器32と、AD(アナログデジタル)変換部33と、制御部34と、記憶部35と、通信部36とを含む。なお、制御部34は、特許請求の範囲の「判定部」の一例である。
交流電源部31は、バッテリー4からの直流の電力を交流の電力に変換して、励振コイル21に供給するように構成されている。増幅器32は、検知コイル22および23からの検知信号(差動信号)を増幅して、AD変換部33に出力するように構成されている。AD変換部33は、増幅器32により入力された検知信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換して、制御部34に出力するように構成されている。
制御部34は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)により構成されている。たとえば、制御部34は、AD変換部33から出力される検知信号を、励振電流の周期に同期させて検波するように構成されている。すなわち、制御部34は、検知信号(差動信号)に対して同期検波処理を行うように構成されている。
そして、制御部34は、検波された信号が、所定のしきい値を超えた場合に、報知部5により警報を示す表示を表示させるように構成されている。たとえば、報知部5は、ランプを点灯させることにより、警報を示す表示を行う(判定結果を報知する)ように構成されている。すなわち、第1実施形態では、制御部34は、検知信号(検波された信号)に基づいて、ワイヤWの状態の判定を行うように構成されている。また、制御部34は、検波された信号が、所定のしきい値を超えたことを示す信号(判定結果)を記憶部35に記憶させるように構成されている。
また、制御部34は、検波された信号が所定のしきい値を超えたことを示す信号(判定結果信号)を、通信部36を介して、たとえば、情報処理装置110に送信するように構成されている。たとえば、通信部36は、無線通信回路として構成されており、信号を無線通信により伝達するように構成されている。なお、所定のしきい値は、一の値に限らず、複数の値設けられていてもよく、判定結果には、いずれのしきい値を検波された信号が超えたのか否かを示す内容が含まれていてもよい。
(実験結果)
図10を参照して、第1実施形態による検査装置100の磁界印加部1によって、ワイヤWの磁性体が有する磁化を長手方向と交差する方向に均一化(整える)することによるノイズの低減の効果を検証するための実験結果について説明する。具体的には、第1実施形態による検査装置100と比較例による検査装置との比較結果について説明する。
比較例による検査装置として、第1実施形態による検査装置100から磁界印加部1を取り除いた装置を用いた。図10に示すように、比較例による検査装置の検出信号の測定結果では、ワイヤWの一部に断線がある箇所では、検出信号が比較的大きくなる一方、傷等がない部分(断線あり以外の部分)においても、検出信号(ノイズ)が大きくなる場合(図10中のノイズ部分)があった。この場合、比較例の検査装置では、シグナルノイズ比が低下することにより、誤判定される場合があると考えられる。
一方、第1実施形態による検査装置100の検出信号の測定結果では、ワイヤWの一部に断線がある箇所では、検出信号が比較的大きくなる一方、傷等がない部分(断線あり以外の部分)では、検出信号が比較例に比べて小さくなり、比較的大きなノイズは検出されなかった。したがって、第1実施形態による検査装置100では、比較例の検査装置に比べて、ノイズが低減されていることが判明した。
この結果から、ワイヤWに予め磁界印加部1によりワイヤWの短手方向に磁界を印加することにより、不均一な磁化となっていたワイヤWの磁化が均一化されて、ノイズを低減させることが可能であることが判明した。
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、磁性体の検査装置100に、ワイヤWに対してワイヤWの長手方向に交差する方向(Z方向)に磁界を印加する磁界印加部1と、磁界印加部1により磁界が印加されたワイヤWの磁化をX方向に励振させるとともに、励振された磁性体の磁界に基づく検知信号を取得する検知部2とを設ける。これにより、磁界印加部1によって予めZ方向に磁性体の磁化を小さくした状態で整えることができるので、磁性体の傷等がない部分で、かつ、磁化の大きさ及び方向が不均一となっている部分の磁化を予め均一化させることができる。その結果、ワイヤWの傷等がない部分の磁化を均一化した状態で、検知部2によりX方向にワイヤWの磁界を励振させることができるので、ワイヤWの磁化の大きさ及び方向が不均一であることに起因するノイズを低減した状態で、ワイヤW(磁性体)の傷等を検出することができる。また、検知部2および磁界印加部1が設けられた本体ケース70を、ワイヤWの短手方向からワイヤWに取付可能に構成することにより、ワイヤWをワイヤWの長手方向(先端部)から検査装置100に配置(挿入)することなく、ワイヤWの検査対象の位置に容易に本体ケース70を取り付けることができる。これにより、たとえば、使用中でありワイヤWの長手方向の両端部が他の装置や建築物に固定されている場合でも、容易にワイヤWに本体ケース70を取り付けることができる。また、傷等がない部分でも比較的磁化の大きさ及び方向が不均一になりやすい使用中(または使用後)のワイヤWに、容易に本体ケース70を取り付けることができるので、不均一な磁化を磁界印加部1によりワイヤWの短手方向に磁化を小さくした上で均一化する本発明は、特に効果的である。
また、第1実施形態では、上記のように、本体ケース70に、ワイヤWの短手方向の一方側に配置される第1ケース部72と、他方側に配置される第2ケース部73とを設けるとともに、第1ケース部72と第2ケース部73とが分割された状態で、ワイヤWが配置される凹部81および82をワイヤWの短手方向に開放するとともに、第1ケース部72と第2ケース部73とが結合された状態で、凹部81および82をワイヤWの短手方向に閉鎖するように構成する。これにより、第1ケース部72と第2ケース部73とを分割することによって、凹部81および82にワイヤWをワイヤWの短手方向から容易に配置することができるので、容易にワイヤWに本体ケース70を取り付けることができる。そして、ワイヤWに本体ケース70を取り付けた状態で、第1ケース部72と第2ケース部73とが結合することにより、本体ケース70がワイヤWからワイヤWの短手方向に脱離するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、本体ケース70を、第1ケース部72と第2ケース部73とが、互いに離間して分割可能に構成する。これにより、第1ケース部72と第2ケース部73とを互いに離間させることができるので、凹部81および82をワイヤWの短手方向に容易に開放させることができる。また、第1ケース部の一部と第2ケース部の一部とを固定して状態で、第1ケース部と第2ケース部とを離間させずに、第1ケース部と第2ケース部とを分割可能に構成する場合に比べて、一部を固定する機構が必要ない分、本体ケース70の構成を簡素化することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、検知部2に、第1ケース部72に配置された第1励振導線21a、第1検知導線22a、および、第3検知導線23a(この段落において「第1コイル部」)と、第2ケース部73に配置された第2励振導線21b、第2検知導線22b、および、第4検知導線23b(この段落において「第2コイル部」)とを設ける。また、本体ケース70に、第1ケース部72と第2ケース部73とが分割された状態で、第1コイル部と第2コイル部との接続を解除するとともに、第1ケース部72と第2ケース部73とが結合された状態で、第1コイル部と第2コイル部とを接続して凹部81および82の中心Cを中心とするコイルループを形成させる第1コネクタ部72aおよび72bと第2コネクタ部73aおよび73bを設ける。これにより、第1実施形態では、第1コネクタ部72aおよび72bと第2コネクタ部73aおよび73bにより第1コイル部と第2コイル部とを接続して凹部81および82の中心Cを中心とするコイルループを形成するので、第1ケース部72に第1コイル部を設けて、第2ケース部73に第2コイル部を設ける場合でも、検知信号の検出精度が低下するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、磁界印加部1に、第1ケース部72に配置された第1磁界印加部11と、第2ケース部73に配置された第2磁界印加部12とを設ける。これにより、第1磁界印加部11および第2磁界印加部12によりワイヤWの短手方向の両側からワイヤWに磁界を印加することができるので、ワイヤWの短手方向の一方側のみから磁界を印加する場合に比べて、ワイヤWの磁化をより均一化することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、磁界印加部1に、ワイヤWの長手方向に交差する方向に磁界を印加する第1永久磁石11a、第2永久磁石11b、第3永久磁石12a、および、第4永久磁石12bを設ける。これにより、電磁石により磁界を印加する場合と異なり、磁界を印加するために電力を供給する必要がないので、電力消費の増加を抑制することができる。そして、電磁石に電力を供給するための構成を設ける必要がないので、本体ケース70の構成が複雑化するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、本体ケース70には、検知信号に基づいて磁性体の状態の判定を行う制御部34が設けられている。これにより、本体ケース70において、磁性体の状態の判定結果を取得することができる。すなわち、本体ケース70から検知信号を外部に取り出すことなく、容易に判定結果を取得することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、本体ケース70に、制御部34の判定結果を報知する報知部5を設ける。これにより、本体ケース70を操作する操作者に判定結果を報知することができる。これにより、本体ケース70以外の装置を用いることなく、操作者に判定結果を認識させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、本体ケース70に、検知信号または検知信号に基づく信号を情報処理装置110に送信する通信部36を設ける。これにより、本体ケース70に配置されている検知部2により取得した検知信号または検知信号に基づく信号(たとえば、検波された信号または判定結果信号)を情報処理装置110に送信することができるので、情報処理装置110により検知信号または検知信号に基づく信号に基づいて、信号の解析等を行うことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、本体ケース70に、把持部71を設ける。これにより、操作者により容易に本体ケース70を把持させることができる。
[第2実施形態]
次に、図11〜図14を参照して、第2実施形態による検査装置200の構成について説明する。第2実施形態による検査装置200は、第1ケース部72と第2ケース部73との全体が離間して分割可能に構成されていた第1実施形態とは異なり、つがい部270を支軸として、第1ケース部272の一方側と第2ケース部273の一方側とが分割するように構成されている。なお、第1実施形態による検査装置100と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、第2実施形態による検査装置200は、磁界印加部201と、報知部205と、把持部271と、第1ケース部272と、第2ケース部273とを備える。磁界印加部201は、第1ケース部272の矢印X2方向側の部分272bに配置され、矢印B方向(矢印Z2方向)に磁界を印加する第1磁界印加部211と、第2ケース部273の矢印X2方向側の部分273bに配置され、矢印B方向(矢印Z2方向)に磁界を印加する第2磁界印加部212とを含む。
また、第1ケース部272と第2ケース部273とは、結合させた状態で、X方向に延びる円筒形状を有する。そして、第1ケース部272と第2ケース部との矢印Y1方向側の部分は、つがい部270により接続されている。これにより、図12に示すように、第1ケース部272と第2ケース部273とは、つがい部270の軸270aを支軸として、相対的に回動可能に構成されている。たとえば、第1ケース部272が第2ケース部273に対して回動されることにより、第1ケース部272の第1コネクタ部274と、第2ケース部273の第2コネクタ部275との係合が解除されて、第1コネクタ部274と第2コネクタ部275との間が開放された状態となり、ワイヤWを短手方向(Y方向)に通過させることが可能である。そして、図11に示すように、第1コネクタ部274と第2コネクタ部275とが係合した状態では、ワイヤWが配置される凹部281および282が閉鎖された状態になる。
図13および図14に示すように、検査装置200は、第1ケース部272と第2ケース部273とに渡って配置され、撓み変形可能なフレキシブルプリント基板224(以下、「基板224」)を備える。基板224には、第1コネクタ部274と第2コネクタ部275とが設けられている。
図14に示すように、基板224には、励振コイル221と、検知コイル222および223とが形成されている。そして、図11に示すように、第1コネクタ部274と第2コネクタ部275とが係合されることにより、励振コイル221と、検知コイル222および223とは、それぞれ、コイルループを形成する。なお、第2実施形態のその他の構成については、第1実施形態と同様である。
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、上記のように、第1ケース部272と第2ケース部273とを、つがい部270の軸270aを支軸として、相対的に回動可能に構成する。これにより、凹部281および282をワイヤWの短手方向に開放した状態でも、第1ケース部272と第2ケース部273とを一体的に持ち運ぶことができるので、利便性を向上させることができる。なお、第2実施形態のその他の効果については、第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、検査装置を、長尺材としてワイヤの検査するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、検査装置を、長尺材としてワイヤ以外の薄板、角材、円筒状のパイプ、針金、または、チェーン等を検査するように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、磁界印加部を、永久磁石によりワイヤの長手方向に交差する方向に磁界を印加するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、磁界印加部を、電磁石によりワイヤの長手方向に交差する方向に磁界を印加するように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、本体ケースに円柱状の把持部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図15および図16に示す第1変形例による本体ケース370には、円柱状の把持部が設けられておらず、第1本体部372、第2本体部373、第1コネクタ部374aまたは374b、第2コネクタ部375aまたは375bが把持部として機能するように構成されている。
また、上記第1および第2実施形態では、本体ケースに半円弧状に窪む凹部にワイヤを配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図15および図16に示す第1変形例による本体ケース370は、矩形状に窪む凹部381および382にワイヤWが配置されるように構成されている。
また、上記第1および第2実施形態では、基板を収納する第1ケース部および第2ケース部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図15および図16に示すように、基板324(および第1コネクタ部374aおよび374b)自体を第1本体部372として、基板325(および第2コネクタ部375aおよび375b)自体を第2本体部373として構成してもよい。この場合、第1変形例による本体ケース370は、比較的容易(安価)に構成することができるので、大量生産する場合に適している。
ここで、図15および図16に示す第1変形例による本体ケース370は、検知部2の各コイル部が形成された基板324および325と、基板324に設けられた第1コネクタ部374aおよび374bと、基板325に設けられた第2コネクタ部375aまたは375bとを含む。そして、図15に示すように、基板324および第1コネクタ部374aおよび374bは、第1本体部372として構成されており、基板325および第2コネクタ部375aおよび375bは、第2本体部373として構成されている。また、第1本体部372と第2本体部373とが結合された状態で、第1コネクタ部374aおよび374bと、第2コネクタ部375aおよび375bとが接続されて、検知部302の各コイル部がコイルループを構成する。また、図16に示すように、第1本体部372と第2本体部373とが分割されることにより、第1コネクタ部374aおよび374bと、第2コネクタ部375aおよび375bとの間を、ワイヤWが短手方向に通過させることが可能である。
また、上記第1および第2実施形態では、1つの励振コイルにより、ワイヤWの磁化を励振させるように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図17に示す第2変形例の検知部402のように、検知部402には、本体ケース470に配置された励振コイル421a、421bおよび421cと、検知コイル422および423とが設けられている。そして、ワイヤWの長手方向に沿って、励振コイル421a、検知コイル422、励振コイル421b、検知コイル423、および、励振コイル421cがこの順に配置されている。
また、上記第1および第2実施形態では、第1コネクタ部および第2コネクタ部により、コイルループを形成するように検知部を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図18〜図20に示す第3変形例の検知部502のように、第1コネクタ部および第2コネクタ部は設けられておらず、検知部502には、それぞれ、鞍型に形成された第1励振コイル521aおよび522aと、第2励振コイル521bおよび522bと、検知コイル523aおよび523bとが設けられている。
ここで、図18〜図20に示すように第3変形例による検知部502は、励振コイル521および522と検知コイル523とを含む。そして、図18および図19に示すように、励振コイル521および522は、検知コイル523をワイヤWの長手方向の両側から挟むように配置されている。そして、図19に示すように、第1励振コイル521aおよび522aと、第1検知コイル523aとは、矢印Z1方向側(ワイヤWの短手方向の一方側)の第1ケース部572に配置され、第2励振コイル521bおよび522bと、第2検知コイル523bとは、矢印Z2方向側(ワイヤWの短手方向の他方側)の第2ケース部573に配置されている。
そして、図18および図20に示すように、鞍型の第1励振コイル521aと鞍型の第2励振コイル521bとは、ワイヤWの長手方向に沿って流れる電流に起因する磁界が互いに打ち消し合う。同様に、鞍型の第1励振コイル522aと鞍型の第2励振コイル522bとは、ワイヤWの長手方向に沿って流れる電流に起因する磁界が互いに打ち消し合う。検知コイル523の近くにおいてワイヤWの短手方向にループ状に流れる電流に起因する磁界が同一の方向となるため、励振コイル521及び励振コイル522は、1つの励振コイルとして機能する。
ここで、図19に示すように、X方向において、励振コイル521または522と検知コイル523との隙間の長さ(大きさ)L2は、励振コイル521または522の長さL1よりも小さい。これにより、励振コイル521の矢印X1方向側の端部近傍で発生させた磁界によって生じる検知コイル523内の磁界を小さくすることができる。また、励振コイル521の矢印X2方向側の端部近傍で発生させた磁界が励振用の磁界として用いられる。また、励振コイル522の矢印X2方向側の端部近傍で発生させた磁界によって生じる検知コイル523内の磁界を小さくすることができる。また、励振コイル522の矢印X2方向側の端部近傍で発生させた磁界が励振用の磁界として用いられる。
また、上記第1および第2実施形態では、磁界印加部を、ワイヤの短手方向の両側に配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図21に示す第4変形例による磁界印加部601のように、ワイヤWの短手方向の片側(矢印Z1方向側)のみに配置してもよい。具体的には、磁界印加部601に把持部671を設けて、磁界印加部601の矢印Z2方向側の端部にワイヤWを配置するための凹部681が設けられている。または、第1ケース部および第2ケース部のうちの一方のみに磁界印加部が配置されるように、本体ケースが構成されていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、磁界印加部と検知部との両方を一体的に、本体ケースに配置する(収納する)例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、磁界印加部と検知部とを、互いに異なるケースに配置してもよい。たとえば、図21に示す磁界印加部601により、ワイヤWに磁界を予め印加した後に、図15に示す検知部302により、検知信号を検出してもよい。
また、上記第2実施形態では、第1ケース部と第2ケース部とを、つがい部の軸を支軸として、相対的に回動可能に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図22に示す第5変形例による本体ケース770のように、つがい部が設けられておらず、第1ケース部772と第2ケース部773とが離間して分割可能に構成されていてもよい。この場合、たとえば、把持部771は、第1ケース部772に接続されて配置されている。
また、上記第1および第2実施形態では、励振コイルと検知コイルとを、ワイヤの長手方向に沿って並列して配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図23に示す第6変形例による検知部802のように、検知コイル822および823の外周側(矢印Z1方向側および矢印Z2方向側)に励振コイル821が巻回されるように構成してもよいし、図示しないが、検知コイル822および823の内周側に励振コイル821が巻回されるように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、本体ケースに、制御部を設けてワイヤの状態を判定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本体ケースに、制御部を設けずに、本体ケースから検知信号(または検波された信号)を情報処理装置(外部機器)に伝達して、情報処理装置により、ワイヤの状態を判定するように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、本体ケースに、ランプとして構成された報知部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、情報処理装置(外部機器)に報知部を設けてもよいし、本体ケースに判定結果を報知するスピーカとして構成された報知部を設けてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、通信部を無線通信可能に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、通信部を有線通信可能に構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、把持部を円柱形状に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、把持部を四角柱形状に構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、把持部に、回路部、報知部、バッテリー、通信部、および、操作部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1ケース部または第2ケース部に回路部、報知部、バッテリー、通信部、および、操作部を設けてもよいし、回路部、報知部、バッテリー、通信部、および、操作部のうちの一部を、把持部に設けて、他部を第1ケース部または第2ケース部に設けてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、磁界印加部によりZ方向に磁界を印加する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、磁界印加部により印加される磁界の方向は、ワイヤの長手方向に交差する方向であればよく、Z方向よりも矢印X1方向側、矢印X2方向側、矢印Y1方向側、または、矢印Y2方向側に磁界を印加するように磁界印加部が構成されていてもよい。