JP2005161561A - 化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】揮発性有機化合物による室内空気汚染の問題を軽減ないしは解消できる化粧シートを提供する。
【解決手段】基材シート上に、少なくとも1)絵柄層及び2)最表面層として透明性保護層を有する化粧シートであって、当該透明性保護層が、紫外線吸収剤及び炭素数5以下の有機溶剤を含む塗料により形成されてなる、ことを特徴とする化粧シートに係る。
【選択図】なし

Description

本発明は、揮発性有機化合物による室内空気汚染が低減ないしは解消された化粧シートに関する。
化粧シートは、種々の対象物品の表面を被覆し、美観を付与するために用いられる。その対象物品の種類は多く、とりわけ建築物の内外装、家具、家庭電機製品、厨房家具等に良く使われる。
このような化粧シートとしては、例えばポリオレフィン系樹脂よりなる基材シート上に設けた化粧柄の面に少なくとも紫外線硬化型樹脂からなる接着剤層、溶融押出しコーティングによる透明ポリオレフィン系樹脂よりなり、かつ、当該透明ポリオレフィン系樹脂層の表面が凹凸模様であることを特徴とする化粧シートが提案されている(例えば特許文献1)。
また、ポリオレフィン系樹脂等の基材シートが不透明着色シートであり、当該基材シートの表側とする面に絵柄層が水性インキを用いて形成され、さらにその上に、接着層を介して、透明オーバーレイ層が形成されてなる化粧シートも提案されている(例えば、特許文献2)。
これらの化粧シートには、化粧シートを保護するための最表面層としていわゆるOP層(オーバープリント層)が形成される。この場合、耐候性を高めるために紫外線吸収剤を用いることも考えられる。
しかしながら、OP層を水系塗工剤で形成する場合、紫外線吸収剤を所定量含ませることが困難であるため、所望の耐候性を付与することが困難である。他方、紫外線吸収剤を含有させるために従来のような有機溶剤を使用することも考えられるが、当然ながら揮発性有機溶剤(VOC)の問題が発生する。この点において、従来の化粧シートは、さらなる改善の余地がある。
特開平10−278197号公報 特開2001−38849号公報
従って、本発明は、揮発性有機化合物による室内空気汚染の問題を軽減ないしは解消できる化粧シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の組成物によって形成された層構成を有する化粧シートが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の化粧シートに係る。
1.基材シート上に、少なくとも1)絵柄層及び2)最表面層として透明性保護層を有する化粧シートであって、
当該透明性保護層が、紫外線吸収剤及び炭素数5以下の有機溶剤を含む塗料により形成されてなる、
ことを特徴とする化粧シート。
2.透明性保護層以外の層の少なくとも1つの層が、紫外線吸収剤を含む前記項1記載の化粧シート。
3.透明性保護層以外の層の少なくとも1つの層が、透明性保護層に隣接する層である前記項2記載の化粧シート。
4.透明性保護層以外の層の少なくとも1つの層が、紫外線吸収剤を含み、かつ、当該紫外線吸収剤が、透明性保護層に含まれる紫外線吸収剤の紫外線吸収波長域と異なる紫外線吸収波長域を有する前記項2又は3に記載の化粧シート。
5.基材シート上に絵柄層、接着剤層、透明性樹脂層及び最表面層として透明性保護層を有する前記項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6.前記項1〜5のいずれかの化粧シートが被着体に積層されてなる化粧板。
本発明の化粧シートによれば、特定の塗料によって透明性保護層が形成されているので、揮発性有機化合物による室内空気汚染の問題を軽減ないしは解消するとともに、良好な耐候性を得ることができる。
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも1)絵柄層及び2)最表面層として透明性保護層を有する化粧シートであって、
当該透明性保護層が、紫外線吸収剤及び炭素数5以下の有機溶剤を含む塗料(以下「本発明塗料」という。)により形成されてなることを特徴とする。
本発明塗料は、炭素数5以下の有機溶剤を含む。炭素数5以下の有機溶剤(以下「本発明溶剤」ともいう。)としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ペンタノール等のアルコール類(特に脂肪族アルコール類);アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピルのカルボン酸エステル類等を挙げることができる。これら有機溶剤は、1種又は2種以上で用いることができる。これらの中でも、紫外線吸収剤の溶解性、ひいては耐候性の点において、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン及び酢酸エチルの少なくとも1種を用いることが特に好ましい。例えば、メチルエチルケトン及びイソプロピルアルコールの混合溶剤、酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤等を好適に用いることができる。
なお、炭素数6以上の有機溶剤は、本発明の効果を妨げない範囲で含まれていても良いが、特に本発明溶剤には含まれていないことが望ましい。すなわち、本発明では、炭素数6以上の有機溶剤を含まない溶剤を本発明溶剤として用いることが好ましい。
また、本発明では、本発明溶剤とともに、水を併用することもできる。すなわち、本発明では、水を含まない溶剤のほか、水を含む溶剤も使用することができる。この場合、本発明溶剤と水との割合は特に限定されず、用いる有機溶剤のの種類等に応じて適宜決定できるが、一般的には重量比で本発明溶剤:水=1:1〜50程度とすれば良い。
本発明塗料は、紫外線吸収剤を含有する。紫外線吸収剤は、主として波長280〜450nmの領域の紫外線を吸収するものであれば公知のもの又は市販品を使用することもできる。例えば、次の(1)〜(5)のようなものを好適に使用することができる。
(1)ベンゾフェノン系;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン−5−スルホン酸等。
(2)ベンゾトリアゾール系;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等。
(3)アクリレート系;エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等。
(4)サリシレート系;フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート。
(5)オキザニリド系;2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシドビスアニリド、2−エトキシン−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシドビスアニリド等。
(6)トリアジン系;2―(4,6−ジフェニル−1,3,5―トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5―トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリ[[3,5−ビスー(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]等。
これらの紫外線吸収剤は、1種又は2種以上で用いることができる。本発明では、これらの紫外線吸収剤の中でも、ベンゾトリアゾール系等を使用することがより好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、用いる紫外線吸収剤の種類等によって異なるが、一般的には、本発明塗料100重量部に対して0.5重量部以上、特に0.8〜3重量部程度、さらに0.8〜2.5重量部とすることが望ましい。
本発明塗料には、酸化防止剤、着色剤、熱安定剤、界面活性剤、光安定剤、帯電防止剤、可塑剤等の公知の添加剤がさらに含まれていても良い。
このように、本発明の化粧シートは、少なくとも透明性保護層(いわゆるOP層)が本発明塗料により形成されていれば良いが、透明性保護層以外の層の少なくとも1つの層も紫外線吸収剤を含んでいることが望ましい。特に、少なくとも透明性保護層に隣接する層(例えば透明性保護層)に紫外線吸収剤が含まれていることがより望ましい。これにより、良好な耐候性等を維持しつつ、より優れた紫外線吸収効果を達成することができる。
この場合、透明性保護層に含まれる紫外線吸収剤と、当該他の層に含まれる紫外線吸収剤とは、同じものであっても良いし、互いに異なっていて良い。特に、当該他の層に含まれる紫外線吸収剤が、透明性保護層に含まれる紫外線吸収剤の紫外線吸収波長域と異なることが好ましい。これによって、広い紫外線吸収波長域にわたって紫外線吸収効果を達成できるとともに、優れた耐候性、接着性等を得ることができる。
本発明は、前記のとおり、少なくとも透明性保護層が、本発明塗料により形成されていれば良い。従って、それ以外の層構成は基本的には従来の化粧シートと同様の構成を採用することができる。例えば、基材シート上に絵柄層、接着剤層、透明性樹脂層及び最表面層として透明性保護層を有する化粧シートを好適に採用することができる。以下、この化粧シートを具体例として説明する。
図1には、本発明の実施形態としての化粧シートの積層構造(断面図)の具体例を示す。以下、本発明の実施形態を図示しながら説明する。
図1(a)の態様では、図中の下面側より、プライマー層2、基材シート3、絵柄層4、接着剤層5、透明性樹脂層6及び透明性保護層7が順に積層されて化粧シート1が構成されている。図1(b)の態様では、図中の下面側より、プライマー層2、基材シート3、接着剤層5、絵柄層4、透明性樹脂層6及び透明性保護層7が順に積層されて化粧シート1が構成されていても良い。
図1(a)及び(b)からも明らかなように、両者の相違は、上記(a)が基材シート3の上側に絵柄層4が積層されているのに対し、上記(b)は絵柄層4が透明性樹脂層6の下側に積層されているという点である。両者の態様は、いずれも本発明に包含される。
なお、上記(a)及び(b)のいずれの場合においても、最下面のプライマー層2は、化粧シート1と被着体との接着性を向上させるためのものであるが、本発明では任意的な層である。また、いずれの場合も、所望により、最上面から必要な層まで及ぶエンボス加工による凹凸を有していても良い。
次に、本発明の化粧シート1を構成する各層について、図1に従って順に説明する。
プライマー層
最下面のプライマー層2は、化粧シート1と被着体(木質材、金属板等の基材)との接着性を向上させるために、必要に応じて設けることができる。プライマー層は、どの段階で形成しても良い。例えば、1)何も積層されていない状態の基材シート3にプライマー層2を積層する、2)基材シート3上に透明性樹脂層6までを含む各層を積層した後にプライマー層2を積層する、3)基材シート3上に透明性保護層7までを含む各層を積層した後にプライマー層2を積層することができる。また、これら以外の順序・方法で積層することもできる。
プライマー層2は、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等の各種樹脂を1種又は2種以上用いて形成することができる。
プライマー層の形成は、これらの樹脂成分を適当な溶媒に溶解又は分散して得られる塗料組成物を用い、これを公知の塗布手段又は印刷手段によって実施することができる。
上記塗料組成物としては、特に水性組成物を用いることが望ましい。より具体的には、樹脂成分(バインダー)が水又は水系溶媒に溶解又は分散してなる樹脂溶液又は樹脂分散液(樹脂エマルション)を好適に用いることができる。上記の水系溶媒としては、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を使用することができる。水溶性有機溶剤は特に限定されず、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類のほか、グリコール類、グリコールエーテル類等を挙げることができる。混合溶媒の水と水溶性有機溶剤との割合も樹脂成分の種類等に応じて適宜設定することができる。本発明において、水性組成物を用いることにより、室内空気汚染の防止に効果的に寄与することができる。なお、これらの水性組成物は、公知のもの又は市販品を使用することもできる。
特に、水性組成物に適した樹脂成分として、後記の絵柄層の形成で使用される水性組成物の樹脂成分と同様のものを使用することができる。
基材シート
基材シート3は、公知の化粧シートに用いられる素材であればいずれも使用可能である。例えば、各種の紙類、プラスチックス、金属又は合金、これらの複合材料等が挙げられる。これらの材料をシート、箔等の形態で使用すれば良い。この中でも、印刷又は塗装による美観の付与が容易であり、化粧シートの製造時の加工性あるいは化粧シートを対象物品の表面に適用するときの加工性(例えば、折り曲げ、成形)に優れているという点でプラスチックスが好ましい。
プラスチックスとしては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6もしくはナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂等を使用できる。
上記のような素材からなるプラスチックスのうちでも、有害物質を生じるおそれのないポリオレフィン系樹脂を用いることが望ましい。
このようなポリオレフィン系樹脂としては、非エラストマーであるポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの2つのタイプがある。
前者の非エラストマーとしては、具体的には、ポリエチレン(低密度、中密度又は高密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型、シンジオタクチック型、これらの混合型)、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体等の高結晶質のものが例示される。
後者のエラストマーとしては、次に示す(1)〜(8)のようなものが例示される。
(1)主原料がハードセグメントである高結晶質の高密度ポリエチレン、又はアイソタクチックポリプロピレン等からなり、更に、ソフトセグメントとしてのエラストマー及び、必要に応じて無機充填剤を添加したもの
ここで、エラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム等がある。水素添加ジエンゴムは、上記のジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂(本発明においては、高密度ポリエチレン又はポリプロピレン)の結晶化を抑え、柔軟性を向上させたものである。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4−ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン系共重合体ゴムとしては、例えばエチレン/プロピレン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、適量架橋させても良い。
(2)ハードセグメントがアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントがアタクチックポリプロピレンであるもので、好ましくは、後者の割合が5重量%未満のもの(特公平6−23278号公報記載)
(3)エチレン/プロピレン/ブテンの共重合体で、ブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、又はイソブチレンの3種の構造異性体の1種を含むもの
次の(3a)〜(3c)が代表的である。
(3a)エチレン/プロピレン/ブテンの3元のランダム共重合体であり、モノマー中のプロピレンが、好ましくは90重量%であるもの(特開平9−111055号公報記載)。
(3b)プロピレン成分含有率が50重量%以上である、エチレン/プロピレン/ブテンの3元の共重合体からなる非晶質と、結晶質ポリプロピレンからなるもの(特開平5−77371号公報記載)。
(3c)プロピレン及び/又は1−ブテンの含有量が50重量%以上の低結晶質と、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィンを含むものに、更に、油ゲル化剤を0.5重量%添加したもの(特開平7−316358号公報記載)。
(4)ハードセグメントがポリエチレン、ポリプロピレン又はポリメチルペンテン等の結晶質であり、ソフトセグメントが部分架橋したエチレン/プロピレン非共役ジエン3元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムであるもの(特公昭53−21021号公報記載)
(5)ハードセグメントとしてのオレフィン系共重合体(結晶質)とソフトセグメントとしての未架橋モノオレフィン共重合体ゴムとを加熱しつつ剪断応力を加え、部分架橋させてあるもの(特公昭53−34210号公報記載)
(6)過酸化物と混合・加熱すると分子量が減って流動性が増す過酸化物分解型オレフィン重合体、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体、又はプロピレン/ブテン−1共重合体をハードセグメントとし、同様な操作で流動性が減る過酸化物架橋型モノオレフィン重合体、例えば、エチレン/プロピレン共重合体ゴム、エチレン/プロピレン/非共役ジエン3元共重合体ゴム等をソフトセグメントとし、更には、同様な操作で架橋せず、流動性も変わらない過酸化物非架橋型炭化水素ゴム、等を過酸化物の存在下で混合・加熱して得られるもの(特公昭56−15741号公報記載)
(7)エチレン/スチレン/ブタジエン共重合体(特開平2−139232号
公報記載)
(8)水酸基又はカルボキシル基を持たせた上記(1)〜(7)のオレフィン
系エラストマー
上記のポリオレフィン系樹脂は、紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくとも1種を添加したものを使用することができる。これらの紫外線吸収剤及び光安定剤は、公知又は市販のものを使用すれば良い。
基材シートは、対象物品に貼り付けたときの隠蔽性を向上させる目的、化粧シートに付与する模様の外観を向上させる目的等で公知の着色剤により着色することもできる。
上記着色剤としては、例えばカーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青、チタン白等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料;アルミニウム、真鍮、二酸化チタン被覆雲母等の鱗片状箔片からなる光輝性顔料等が使用できる。また、インジゴ(藍)等で代表される天然染料、アゾ染料、インジゴイド染料、硫化染料、ニトロ染料、ニトロソ染料等の合成染料の各種の染料を使用することもできる。これら着色剤は、1種又は2種以上で用いることができる。
また、充填剤を配合することもできる。例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、滑石、カオリナイト等を用いることができる。これらは、1種又は2種以上で用いることができる。
基材シートの厚みは、一般的には20μm〜150μm程度であるが、化粧シートの用途等によっては上記範囲を超えても良い。
透明性樹脂層
透明性樹脂層6は、透明性を有するものであれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。好ましくは、基材シート3と同様の理由で、ポリプロピレン樹脂を代表とするポリオレフィン系樹脂を使用する。従って、透明性樹脂層6としてポリオレフィン系樹脂を使用する場合は、基材シート3を構成するものとして挙げた各種のポリオレフィン系樹脂を使用することができる。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、着色されていても良いが、特に着色剤を配合しない方が望ましい。
透明性樹脂層の形成方法は限定的でなく、例えば予め形成されたシート又はフィルムを隣接する層に積層する方法、透明性樹脂層を形成し得る樹脂組成物を溶融押出することにより隣接する層上に塗工する方法、隣接する層と一緒にラミネートする方法等のいずれも採用することができる。本発明では、特に溶融押出により透明性樹脂層を形成することが好ましい。とりわけ、透明性樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂を溶融押出によって塗工することが望ましい。具体的には、絵柄層上に予め接着剤層を形成し、当該接着剤層上にポリプロピレン系熱可塑性エラストマーを溶融押出して塗工することにより透明性樹脂層を好適に形成することができる。溶融押出の方法は、例えばTダイ等を用いる公知の方法に従って実施すれば良い。
本発明では、透明性樹脂層に紫外線吸収剤が含まれていることが望ましい。紫外線吸収剤としては、本発明塗料に使用される紫外線吸収剤と同様のものを使用することができる。この場合に用いる紫外線吸収剤は、前記のとおり、透明性保護層に含まれる紫外線吸収剤と同じものであっても良いし、互いに異なっていて良い。特に、透明性樹脂層に含まれる紫外線吸収剤が、透明性保護層に含まれる紫外線吸収剤の紫外線吸収波長域と異なることが好ましい。例えば、透明性保護層(OP層)にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が用いる場合には、透明性樹脂層にはトリアジン系紫外線吸収剤が含まれていることが好ましい。この場合には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤で吸収されにくい紫外線波長域(波長200〜300nm程度)の紫外線をトリアジン系紫外線吸収剤が吸収できるので、より優れた耐候性、接着性等を発揮することができる。
透明性樹脂層における紫外線吸収剤の含有量は特に限定されないが、一般的には1000〜20000重量ppm程度とすれば良い。
透明性樹脂層6の厚みは、基材シート3と同様、通常は20μm〜150μm程度であるが、化粧シートの用途等に応じて上記範囲を超えても良い。
絵柄層
絵柄層4は、化粧シートに、意匠的な外観を付与するためのものである。図1(a)又は(b)からも明らかなように、絵柄層4の形成は基材シート3側でも良いし、透明性樹脂層6側でも良い。
絵柄層4は、絵、文字、図等の任意のもので良く、用途に合わせて適宜組み合わせることができる
絵柄層の形成方法は限定されないが、一般的には印刷インキを用いる印刷法により好適に形成できる。印刷法としては、バインダーの選択範囲が広いという点でグラビア印刷法が適しているが、これ以外の印刷法によっても良い。また、印刷法のほかに、電子写真法、インキジェット法等も適用できる。
絵柄層は、染料、顔料等の着色剤と樹脂成分(バインダー)とを含む組成物により形成することができる。絵柄層4が印刷法により形成されるときは、上記組成物を印刷インキとして使用すれば良い。これらは、公知又は市販の塗料(印刷インキ)を使用することもできる。
本発明では、着色剤を含む水性組成物により形成されることが望ましい。この水性組成物としては、プライマー層の形成に使用される水性組成物と同様のものを用いることができる。上記のような水性組成物を絵柄層の形成に用いることによって、印刷時において印刷用版からプラスチックシートにインキが移るまでの間に乾燥することがない。しかも、有機溶剤と異なり、乾燥までの間に揮発して室内空気が汚染される問題も解消される。
水性組成物に適した樹脂成分としては、例えばアルカリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を用いることができる。この共重合体は、例えば(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー;(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマー又はそのようなアミド系モノマーのN−アルコキシ置換体又は同N−メチロール置換体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー等の1種又は2種以上と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸の1種又は2種以上との共重合体からなるものを挙げることができる。
また、例えばポリアルリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂)、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂等の水溶性合成樹脂、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、もしくは多糖類等の水溶性天然高分子等も使用することができる。
さらに、例えば天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂を使用することができる。
また、アクリル変性ウレタン樹脂、ポリエステル変性ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体変性ウレタン樹脂等のウレタン系樹脂、ポリオール系樹脂、もしくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル系樹脂との混合樹脂等も用いることができる。
これらの樹脂成分を含む水性組成物は、公知のもの又は市販品を使用することもできる。
また、水性組成物に配合される着色剤は、基材シートで使用される着色剤として挙げた顔料又は染料と同様のものを使用することができる。公知又は市販の着色剤を使用することもできる。
接着剤層
接着剤層5は、化粧シート1を構成する基材シート3と透明性樹脂層6を絵柄層4を介して積層するために形成される。
接着剤層5は、公知の接着剤を用いて形成することができる。例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂等の汎用されている樹脂あるいはその2液硬化物等を使用することができる。
本発明では、接着剤層は、VOC低減等の効果がより高められるという点で、水性組成物により形成されることが望ましい。水性組成物としては、前記の絵柄層等の形成で使用される水性組成物として掲げたものと同様のものを使用することができる。なお、水性組成物は、絵柄層等で使用される水性組成物と同一組成であっても良いし、互いに異なっていても良い。
透明性保護層
透明性保護層7は、化粧シート1の透明性樹脂層6上、すなわち最表面に積層されるものである。
透明性保護層7の形成は、前記のとおり、本発明塗料を用いて行う。すなわち、紫外線吸収剤及び炭素数5以下の有機溶剤を含む塗料により形成する。より具体的には、紫外線吸収剤及び炭素数5以下の有機溶剤を含む樹脂エマルジョンによって透明性保護層を好適に形成できる。この場合の樹脂成分としては、特に限定されず、公知の水系塗工剤等で使用されている樹脂成分を採用することができる。例えば、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系等を挙げることができる。また、樹脂成分として、電離放射性硬化型樹脂も用いることができる。本発明では、これら樹脂成分として、市販の樹脂エマルションを使用することもできる。
なお、本発明塗料は、着色剤を配合せずに使用することが望ましい。また、必要に応じて、形成後の透明性保護層7の艶調整、表面の耐久性の向上等の目的で、無機系充填剤等を配合することもできる。
透明性保護層7を形成するに際し、透明性樹脂層6上に本発明塗料を塗布し、乾燥させることにより透明性保護層を形成することができる。上記電離放射性硬化型樹脂を用いる場合には、電子線を照射して硬化させることにより行なえば良い。
本発明の化粧シートでは、透明性保護層の厚みが0.1〜25μm程度となるよう形成することが好ましい。この範囲に設定することによって、より優れた保護効果を得ることができる。
透明性保護層7は、基材シート3上に透明性樹脂層6までを含む各層を積層した後に積層することが好ましい。透明性保護層7の積層の際には、プライマー層2を伴なっていても伴なっていなくても良い。また、予め溶融押出しにより製造された透明シート6を用いる場合には、透明性保護層7を予め透明性樹脂層6上に積層しても良いし、透明性樹脂層1を下層と積層した後に透明性保護層7を積層しても良い。
本発明の化粧シート1の製造手順(積層工程)は特に限定されない。例えば、基材シート3及び透明性樹脂層6のいずれもがポリオレフィン系樹脂シートである場合は、基材シート3への印刷による絵柄層4の形成、絵柄層4上への接着剤層5の塗布形成、接着剤層5上への溶融押出しによる透明性樹脂層6の積層及びコーティングによる透明性保護層7の積層を行えば良い。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特徴とするところをより詳しく説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1〜5
着色材の添加により着色隠蔽したポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み60μm)を用意し、その表面(おもて面)及び裏面にコロナ放電処理を施した。この表面(おもて面)に2液硬化型ウレタン系樹脂をバインダーとした着色インキをグラビア印刷し、アクリル系樹脂をバインダーとしたインキで木目柄の絵柄層を形成した。また、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとしたプライマー層をグラビア印刷にて形成し、印刷シートを得た。
次いで、上記印刷シートの絵柄層の上に、2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤層を厚さ15μmで形成した後、その塗膜の上に透明ポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み80μm)をラミネートした。
次に、上記ラミネートにより得た積層体に透明ポリプロピレン系樹脂フィルム側の面から赤外線非接触方式のヒーターで加熱して透明ポリプロピレン系樹脂フィルムを柔らかくした後、直ちにその面に加熱下で加圧することによりエンボス加工を施し、木目導管溝模様の凹凸模様を賦形した。そして、この面にコロナ放電処理を施した後、表1に示す塗料及び紫外線吸収剤(添加量は重量%)を用いて塗工し、透明性保護層(厚さ2μm)を形成した。
本実施例では、各層(透明性保護層を除く。)の形成における塗料として、いずれも水系塗料(市販の水性組成物)を用いた。また、透明性樹脂層には、5000重量ppmのトリアジン系紫外線吸収剤を含有させた。
試験例1
実施例1で得られた化粧シートについて耐候性を調べた。耐候性は、アイスーパーUVテスター(製品名「SUV−W13」岩崎電気製)及びメタルウエザーメーター(製品名「KU−F4CI−A」ダイプラウィンテス製)をそれぞれ用い、各時間経過後の剥離強度(特に絵柄層と透明性樹脂層との層間強度)を調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2005161561
なお、表1中の塗料組成は、それぞれ以下の組成を示す。
組成A:ウレタン系エマルション樹脂35重量%、水63重量%及びイソプロピルアルコール2重量%の合計100重量%
組成B:アクリル系エマルション樹脂25重量%、イソプロピルアルコール50重量%及び酢酸エチル25重量%の合計100重量%
比較例1〜2
透明性保護層の形成するための塗料として、紫外線吸収剤を含まないほかは実施例1と同様の塗料を使用して透明性保護層を形成し、化粧シートを作製した。得られた化粧シートについて試験例1と同様の耐候性試験を実施した。その結果を表1に示す。
本発明の化粧シートの積層構造(断面図)の具体例を示す図である。
符号の説明
1 化粧シート
2 プライマー層
3 基材シート
4 絵柄層
5 接着剤層
6 透明性樹脂層
7 透明性保護層

Claims (6)

  1. 基材シート上に、少なくとも1)絵柄層及び2)最表面層として透明性保護層を有する化粧シートであって、
    当該透明性保護層が、紫外線吸収剤及び炭素数5以下の有機溶剤を含む塗料により形成されてなる、
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 透明性保護層以外の層の少なくとも1つの層が、紫外線吸収剤を含む請求項1記載の化粧シート。
  3. 透明性保護層以外の層の少なくとも1つの層が、透明性保護層に隣接する層である請求項2記載の化粧シート。
  4. 透明性保護層以外の層の少なくとも1つの層が、紫外線吸収剤を含み、かつ、当該紫外線吸収剤が、透明性保護層に含まれる紫外線吸収剤の紫外線吸収波長域と異なる紫外線吸収波長域を有する請求項2又は3に記載の化粧シート。
  5. 基材シート上に絵柄層、接着剤層、透明性樹脂層及び最表面層として透明性保護層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかの化粧シートが被着体に積層されてなる化粧板。
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