JP2004291588A - 化粧シート - Google Patents
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Abstract
【課題】室内空気汚染の原因となる有機化合物の使用を抑え、有機化合物の揮発を極力抑制することが可能な化粧シートおよびその製造方法を提供することを課題とするものである。
【解決手段】下からプライマー層2、基材シート3、模様層4および接着剤層5(この二層は順不同)、透明シート6、ならびに保護層7が順に積層した化粧シート1であって、模様層4を水性組成物、接着剤層5を電子線硬化性組成物、および保護層7を水性組成物もしくは電子線硬化性組成物を用いて形成することにより、課題を解決することができた。
【選択図】 図1
【解決手段】下からプライマー層2、基材シート3、模様層4および接着剤層5(この二層は順不同)、透明シート6、ならびに保護層7が順に積層した化粧シート1であって、模様層4を水性組成物、接着剤層5を電子線硬化性組成物、および保護層7を水性組成物もしくは電子線硬化性組成物を用いて形成することにより、課題を解決することができた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内空気汚染等に影響を与える揮発性有機化合物、特に、製造過程において用いられ、残存が予想される有機溶剤の含有を抑制した改良された化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化粧シートは、種々の対象物品の表面を被覆し、美観を付与するもので、その対象物品の種類は多いが、中でも、建築物の内外装、家具、家庭電機製品、もしくは厨房家具等の表面を被覆し、美観を与えるためによく使われている。
【0003】
化粧シートの構成は、上記したような用途のそれぞれに合わせた様々のものであり得るが、いずれの用途向けであっても、化粧シートとしては、対象物品を隠蔽し得る隠蔽性、耐久性、特に耐摩耗性、柔軟性、および強度等が一定レベル以上であることが望まれる。
【0004】
従来の化粧シートとしては、ポリ塩化ビニル樹脂の着色シートに印刷して模様層を設け、その上に、やはりポリ塩化ビニル樹脂の透明シートを熱融着させると共に、エンボス加工を施した二層のシートからなるものが多用されていた。しかしながら、このような化粧シートは、廃棄の際に、含有する可塑剤等が高温で分解し、有害物質を生じると言われ、ポリ塩化ビニル樹脂以外のシート、例えば、ポリプロピレン樹脂を中心とするポリオレフィン系樹脂のシートで代替されるようになり、代替に伴なう改良が進められた。
【0005】
また、近年、室内空気汚染の問題が提起され、最近では、汚染の原因となる有機化合物の揮発を極力抑制することが検討されている。
【0006】
そこで、ポリオレフィン系樹脂よりなる基材シートに設けた化粧柄の面に少なくとも紫外線硬化型樹脂からなる接着剤層、溶融押出しコーティングによる透明ポリオレフィン系樹脂よりなり、かつ該透明ポリオレフィン系樹脂層の表面が凹凸模様であることを特徴とする化粧シートが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポリオレフィン系樹脂等の基材シートが不透明着色シートであり、該基材シートの表側とする面に絵柄層が水性インキを用いて形成され、さらにその上に、接着層を介して、透明オーバーレイ層が形成されてなる化粧シートも提案されている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−278197号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−38849号公報(第3頁、図1)
【0008】
特許文献1に記載された発明においては、紫外線硬化型樹脂からなる硬化した接着剤層を有しているので、従来の溶剤に溶解したタイプの接着剤を用いる場合にくらべると、得られた化粧シートの接着剤層からの有機化合物の揮発が抑制されることが期待される。しかし、ポリ塩化ビニル樹脂シートにくらべて接着性の劣るポリオレフィン系樹脂シートを接着させることが主眼であり、化粧柄を形成する際に使用するインキ中の溶剤については何も考慮が払われていない。
【0009】
また、特許文献2に記載された発明においては、絵柄層が水性インキを用いて形成されているので、絵柄層からの有機化合物の揮発が抑制されることが期待される。しかし、ホットメルト接着剤を用いているので、加熱による接着には向くものの、接着剤層の耐熱性が乏しい。なお、接着剤としては、無溶剤型接着剤として、ウレタンアクリレート系もしくはエポキシアクリレート系等の電離放射線硬化性樹脂を用いた接着剤を使用する旨の記載があるものの、詳しい内容には触れられていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、室内空気汚染の原因となる有機化合物、特に、製造過程において用いられ、残存が予想される有機溶剤の使用を抑え、有機溶剤の揮発を極力抑制することが可能な化粧シートを提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明においては、従来と同様の二層のシートからなる化粧シートの模様層、を水性インキを用いて構成し、接着剤層を電離放射線硬化性組成物を用いて構成し、さらに保護層を、水性組成物、もしくは電離放射線硬化性組成物を用いて構成することにより、課題を解決することができた。
【0012】
第1の発明は、基材シート上に、模様層および接着剤層、透明シート、ならびに保護層が順に積層された積層構造を有しており、前記模様層が水性組成物を用いて形成されたものであり、前記接着剤層および前記保護層が、いずれも分子中に重合性不飽和モノマーもしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなるものであることを特徴とする化粧シートに関するものである。
【0013】
第2の発明は、基材シート上に、模様層および接着剤層、透明シート、ならびに保護層が順に積層された積層構造を有しており、前記模様層および前記保護層がいずれも水性組成物を用いて形成されたものであり、前記接着剤層が、分子中に重合性不飽和モノマーもしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなるものであることを特徴とする化粧シートに関するものである。
【0014】
第3の発明は、基材シート、もしくは透明シートのいずれか一方に水性組成物を用いて印刷し、乾燥させて、模様層を形成した後、前記基材シートおよび前記透明シートの両シートを、前記模様層が前記両シートの内側になるよう、電離放射線硬化性組成物からなる層を介して積層し、積層した後、電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて接着剤層を形成し、その後、前記透明シートの前記基材シートとは反対側の面に、水性組成物を用いて塗布し乾燥させて保護層を形成することからなり、前記電離放射線硬化性組成物は、分子中に重合性不飽和結合もしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなることを特徴とする化粧シートの製造方法に関するものである。
【0015】
第4の発明は、基材シート、もしくは透明シートのいずれか一方に水性インキを用いて印刷し、乾燥させて、模様層を形成した後、前記基材シートおよび前記透明シートの両シートを、前記模様層が前記両シートの内側になるよう、第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を介して積層し、積層した後、電離放射線を照射して、前記第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて接着剤層を形成し、その後、前記透明シートの前記基材シートとは反対側の面に、第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を形成し、形成後、電離放射線を照射して、前記第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて保護層を形成することからなり、前記第1および第2の電離放射線硬化性組成物は、いずれも、分子中に重合性不飽和結合もしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなることを特徴とする化粧シートの製造方法に関するものである。
【0016】
第5の発明は、基材シート、もしくは透明シートのいずれか一方に水性インキを用いて印刷し、乾燥させて、模様層を形成した後、前記基材シートおよび前記透明シートの両シートを、前記模様層が前記両シートの内側になるよう、第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を介して積層し、積層した後、前記透明シートの前記基材シートとは反対側の面に第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を形成し、形成後、電離放射線を照射して、前記第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて接着剤層を形成すると共に、前記第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて保護層を形成することからなり、前記第1および第2の電離放射線硬化性組成物は、いずれも、分子中に重合性不飽和結合もしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなることを特徴とする化粧シートの製造方法に関するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例の化粧シートの積層構造を示す断面図であって、図1(a)に示すように、本発明の化粧シート1は、図中の下面側より、プライマー層2、基材シート3、模様層4、接着剤層5、透明シート6、および保護層7が順に積層された積層構造を有するものである。あるいは、図1(b)に示すように、本発明の化粧シート1は、図中の下面側より、プライマー層2、基材シート3、接着剤層5、模様層4、透明シート6、および保護層7が順に積層された積層構造を有するものであってもよい。従って、模様層4と接着剤層5は順不同である。いずれにおいても、最下面のプライマー層2は、化粧シート1と被着体との接着性を向上させるためのものであるが、積層を省略してもよい。いずれも、所望により、最上面から必要な層まで及ぶエンボス加工による凹凸を有していてもよい。
【0018】
図1(a)および図1(b)を引用して説明した二例の違いは、図で言えば、模様層4が基材シート3の上側に積層されているか、もしくは、模様層4が透明シート10の下側に積層されているかの違いである。基材シート3および透明シート6のいずれもがポリオレフィン系樹脂シートで構成される場合、典型的な製造の手順は、基材シート3への印刷による模様層4の形成、模様層4上への接着剤層5の塗布形成、接着剤層5上への溶融押出しによる透明シート6の積層、およびコーティングによる保護層7の形成を、この順に行なうものであるから、模様層4の形成後に接着剤層5の塗布形成を行なうのに適した、図1(a)を引用して説明した化粧シート1の積層構造の方が好ましいが、予め、溶融押出しにより製造された透明シート6を用いることもでき、この場合には、図1(a)および図1(b)のいずれの積層構造であってもよい。
【0019】
本発明においては、(1)化粧シート1の模様層4を水性組成物を用いて構成し、接着剤層および保護層を電離放射線硬化性組成物を用いて構成するか、もしくは(2)模様層および保護層を水性組成物を用いて構成し、接着剤層を電離放射線硬化性組成物を用いて構成する点が特徴である。
【0020】
また、本発明においては、(1)の構成の化粧シート1を、模様層の形成、接着剤の塗布、シートどうしの積層、電離放射線の照射、保護層形成用の塗料の塗布、および電離放射線の照射の形成のように逐次行なうか、もしくは、その際の電離放射線の照射を保護層形成用の塗料の塗布後に1回で済ませる点、および(2)の構成の化粧シート1を、模様層の形成、接着剤の塗布、シートどうしの積層、電離放射線の照射、および保護層の形成のように逐次行なう点も特徴である。以下に、本発明の化粧シート1の各層を構成する、もしくはそのために用いる素材、および各層の積層法について、順次説明する。
【0021】
基材シート3としては、通常、化粧シートに用いられる素材であれば、原則的には、いずれも使用可能であり、大別すれば、各種の紙類、プラスチックフィルムもしくはプラスチックシート(以降、単に、プラスチックシートと言う。)、または金属箔もしくは金属シート等であり、必要に応じて、任意に複合して使用することができるが、印刷や塗装による美観の付与が容易であり、化粧シート1の製造時の加工や化粧シート1を対象物品の表面に適用するときの加工、例えば、折り曲げや成形に適している点でプラスチックフィルムもしくはプラスチックシートが適している。
【0022】
プラスチックシートとしては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6もしくはナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、またはポリイミド樹脂等の各種樹脂を素材とするものが使用できる。
【0023】
従来、上記のような素材からなるプラスチックシートのうちでも、特にポリ塩化ビニル樹脂シートが多用されたが、近年は、化粧シート1の廃棄の際に、含有する可塑剤等が高温で分解し、有害物質を生じると言われていることから、ポリ塩化ビニル樹脂等のように塩素を含む樹脂ではなく、塩素を含まずに、汎用性の高い、例えば、ポリプロピレン樹脂を中心とするポリオレフィン系樹脂のシートで代替されるようになっている。
【0024】
このようなポリオレフィン系樹脂としては、大別して、非エラストマーであるポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの2つのタイプがある。
【0025】
ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂の1つのタイプは非エラストマーであるが、具体的にはポリエチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型、シンジオタクチック型、又はこれらの混合型)、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体等の高結晶質のものである。
【0026】
ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂のもう1つのタイプは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーであって、以降に示す(1)〜(8)のようなものである。
【0027】
(1)主原料がハードセグメントである高結晶質の高密度ポリエチレン、又はアイソタクチックポリプロピレン等からなり、更に、ソフトセグメントとしてのエラストマー及び、必要に応じて無機充填剤を添加したもの。ここで、エラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム等がある。水素添加ジエンゴムは、上記のジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂(本発明においては、高密度ポリエチレン又はポリプロピレン)の結晶化を抑え、柔軟性を向上させたものである。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4−ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン系共重合体ゴムとしては、例えばエチレン/プロピレン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、適量架橋させてもよい。
【0028】
(2)ハードセグメントがアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントがアタクチックポリプロピレンであるもので、好ましくは、後者の割合が5重量%未満のもの(特公平6−23278号公報記載)。
【0029】
(3)エチレン/プロピレン/ブテンの共重合体で、ブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、またはイソブチレンの3種の構造異性体の1種を含むもの。次の(3a)〜(3c)が代表的である。
【0030】
(3a)エチレン/プロピレン/ブテンの3元のランダム共重合体であり、モノマー中のプロピレンが、好ましくは90重量%であるもの(特開平9−111055号公報記載)。
【0031】
(3b)プロピレン成分含有率が50重量%以上である、エチレン/プロピレン/ブテンの3元の共重合体からなる非晶質と、結晶質ポリプロピレンからなるもの(特開平5−77371号公報記載)。
【0032】
(3c)プロピレン及び/又は1−ブテンの含有量が50重量%以上の低結晶質と、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィンを含むものに、更に、油ゲル化剤を0.5重量%添加したもの(特開平7−316358号公報記載)。
【0033】
(4)ハードセグメントがポリエチレン、ポリプロピレン又はポリメチルペンテン等の結晶質であり、ソフトセグメントが部分架橋したエチレン/プロピレン非共役ジエン3元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムであるもの(特公昭53−21021号公報記載)。
【0034】
(5)ハードセグメントとしてのオレフィン系共重合体(結晶質)とソフトセグメントとしての未架橋モノオレフィン共重合体ゴムとを加熱しつつ剪断応力を加え、部分架橋させてあるもの(特公昭53−34210号公報記載)。
【0035】
(6)過酸化物と混合・加熱すると分子量が減って流動性が増す過酸化物分解型オレフィン重合体、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体、又はプロピレン/ブテン−1共重合体をハードセグメントとし、同様な操作で流動性が減る過酸化物架橋型モノオレフィン重合体、例えば、エチレン/プロピレン共重合体ゴム、エチレン/プロピレン/非共役ジエン3元共重合体ゴム等をソフトセグメントとし、更には、同様な操作で架橋せず、流動性も変わらない過酸化物非架橋型炭化水素ゴム、等を過酸化物の存在下で混合・加熱して得られるもの(特公昭56−15741号公報記載)。
【0036】
(7)エチレン/スチレン/ブタジエン共重合体(特開平2−139232号公報記載)。
【0037】
(8)水酸基又はカルボキシル基を持たせた上記(1)〜(7)のオレフィン系エラストマー。
【0038】
上記のポリオレフィン系樹脂は、紫外線吸収剤または光安定剤の添加剤を添加したものを使用することが好ましい。
【0039】
基材シート3は、対象物品に貼り付けたときの隠蔽性と、化粧シート1に付与する模様の外観を向上させる目的で、所望の色相に着色したものであってよい。基材シートの着色を行なうために配合する着色剤としては、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青、もしくはチタン白等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、もしくはフタロシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム、真鍮、もしくは二酸化チタン被覆雲母等の鱗片状箔片からなる光輝性顔料、または染料等が使用できる。また、着色剤に加えて、充填剤を配合した方がよく、充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、滑石、もしくはカオリナイト等を用いることができる。
【0040】
上記のような素材からなる基材シート3は、樹脂成分、着色剤、充填剤等を配合して加熱し溶融混合したものをTダイ等の溶融押出し手段によりシート化して作られる。基材シート3の厚みは、20μm〜150μm程度であるが、厚みは用途にもよるから、この厚みの範囲を超えてもよい。
【0041】
模様層4は、化粧シート1に、意匠的な外観を付与するための層であり、通常は、印刷用インキ組成物を用いた印刷法により形成する。図1を引用して説明したように、模様層4を積層する対象は、基材シート3の図中上面側でも、もしくは透明シート6の図中下面側でも、いずれでもよい。模様層4の絵柄は、任意のものでよく、用途に合わせて選択したものを用いる。印刷法としては、接着性を考慮した場合のバインダーの選択範囲が広い、グラビア印刷法が適しているが、これ以外の印刷法によってもよい。いわゆる印刷法のほかに、電子写真法やインキジェット等も、模様層4の積層手段として利用可能である。いずれにおいても印刷用インキ組成物等の組成物を適用した後、必要に応じて乾燥させる。
【0042】
模様層は、染料もしくは顔料等の着色剤とバインダ樹脂との組成物で形成される。模様層4が印刷法によるときは、これら着色剤とバインダ樹脂は、印刷用インキの成分である。プラスチックシートを印刷の対象とする印刷用インキ組成物は、通常、バインダ樹脂を有機溶剤で溶解したバインダ樹脂溶液中に、着色剤を分散させたものである。印刷用インキ組成物は、印刷によりプラスチックシートに転移した後、有機溶剤が揮発して乾燥しセットされるので、適度な乾燥性を有しているべきであるが、印刷用版に供給されてからプラスチックシートにインキが転移するまでの間は乾燥しない程度の乾燥の遅さが逆に要求されるため、比較的、分子量の高いものが用いられ、このことが、後日、化粧シート1からの有機化合物の揮発の原因の一つとなっている。
【0043】
そこで、比較的分子量の低い有機溶剤を使用するか、もしくは水を使用する必要に迫られる。本発明においては、有機溶剤の揮発を無くす観点から、水を使用することとし、水に溶解するか、もしくはエマルジョンとして水に分散する等してバインダ液を構成し得るバインダ樹脂を用いる。
【0044】
このようなバインダ樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル、もしくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、もしくはヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー、(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマーもしくはそのようなアミド系モノマーのN−アルコキシ置換体もしくは同N−メチロール置換体、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、もしくはジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、もしくはトリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー、酢酸ビニル、もしくはN−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー等の、各種モノマーの1種もしくは2種以上と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、もしくはイタコン酸等の不飽和カルボン酸の1種もしくは2種以上との共重合体からなる、アルカリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を使用することができる。
【0045】
あるいは、バインダ樹脂としては、例えば、ポリアルリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂)、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、もしくは水溶性フェノール系樹脂等の水溶性合成樹脂、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、もしくは多糖類等の水溶性天然高分子等も使用することができる。
【0046】
さらに、バインダ樹脂としては、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、もしくはポリウレタン系樹脂を使用することができる。
【0047】
また、バインダ樹脂としては、アクリル変性ウレタン樹脂、ポリエステル変性ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体変性ウレタン樹脂等のウレタン系樹脂、ポリオール系樹脂、もしくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル系樹脂との混合樹脂等を用いることができる。
【0048】
以上のような、水に溶解するか、もしくはエマルジョンとして水に分散する等してバインダ液を構成し得るバインダ樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。中でも好ましいバインダ樹脂は、ウレタン樹脂、もしくはアクリル樹脂であり、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂は、樹脂どうしのブレンドにより、もしくは樹脂を合成するためのモノマーどうしを共重合させる等して得られる、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンとして使用することがより好ましい。また、上記のバインダ樹脂液には、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがより好ましく、好ましいバインダ樹脂を用いた、ウレタン樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、もしくは、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンに、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがさらに好ましい。なお、この明細書中の「エマルジョン」は水を分散媒とする水系エマルジョンを指すものとし、「ウレタン/アクリルエマルジョン」は、上記のような複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンを指すものとする。
【0049】
本発明の化粧シート1の模様層4を形成するための印刷用インキ組成物としては、以上から選択された樹脂を用い、溶剤もしくは分散剤として、本質的に水のみを用いて構成されたバインダ液中に着色剤を分散させて調製した水性インキ組成物を用いることが望ましい。なお、溶剤もしくは分散剤としては、本質的に水のみを用いることが望ましいものの、バインダ樹脂の溶解性の点で、アルコール系等の有機溶剤の配合が必要とされる場合もあり得る。しかしながら、万一、そのような場合であっても、分子量の低い、例えば、分子中の炭素数が4以下のものを使用し、しかも少量の配合にとどめることが、製造後の化粧シート1からの有機化合物の揮発を抑制する意味で好ましい。
【0050】
接着剤層5は、化粧シート1を構成する基材シート3と透明シート6を模様層4を介して積層するためのものである。本発明の化粧シート1において、基材シート3および透明シート6は、好ましくは、いずれもプラスチックシートであるので、接着剤層5を形成する際に、通常、接着剤を溶解もしくは分散して液化している有機溶剤や水が浸透して乾燥することは期待できない。この点、粘着剤を用いれば、必ずしも浸透して乾燥する必要がないが、長期間、固化しないので、基材シート3と透明シート6間が固定されず、また、臭気が残存する問題もあるから、無溶剤で架橋し、固化する電離放射線硬化性組成物を用いて構成することが好ましい。電離放射線硬化性組成物としては、使用する電離放射線の透過性がの高い電子線を用い得る点、および光重合開始剤を配合する必要がない点では、電子線硬化性組成物が好ましく、化粧シート1を形成した後に経時的に劣化する恐れを解消することができるが、紫外線硬化性組成物も使用できる。
【0051】
このような電離放射線硬化性組成物としては、分子中に重合不飽和結合もしくはカチオン重合性官能基をもつプレポリマー、ポリマー及び/又はモノマーを適宜混合した組成物が好ましく用いられ、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性不飽和基、エポキシ基などのカチオン重合性官能基、もしくはチオール基を2個以上有する単量体、プレポリマー、またはポリマーから構成される。これらの単量体、プレポリマー、またはポリマーは、1種、もしくは2種以上を混合して使用する。
【0052】
ラジカル重合性不飽和基をもつプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、もしくはシリコン(メタ)アクリレートなどが使用できる。その分子量は、250〜10000のものが用いられる。ラジカル重合性不飽和基をもつポリマーとしては、重合度が1000程度のものが使用される。
【0053】
カチオン重合性官能基をもつプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、もしくはノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、もしくは芳香族系ビニルエーテルなどのビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。ラジカル重合性不飽和基をもつモノマーの例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、もしくはフェノキシ(メタ)アクリレートなどがある。
【0054】
ラジカル重合性不飽和基をもつ多官能モノマーの例としては、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、もしくはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどがある。
【0055】
カチオン重合性官能基をもつモノマーとしては、上記カチオン重合性官能基をもつプレポリマーのモノマーを利用できる。チオール基をもつモノマーには、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ジペンタエリスリトールテトラグリコレートなどがある。
【0056】
電離放射線硬化性組成物には、必要に応じて、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース誘導体などの熱可塑性樹脂を可塑剤又は粘着防止剤としたり、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナなどの微粉末からなる体質顔料を配合することができる。また、紫外線硬化性とするためには、適宜、光重合開始剤を配合する。なお、従来、電離放射線硬化性組成物には、粘度の調整等の目的で、有機溶剤を配合することがあるが、本発明においては、化粧シート1からの有機化合物の揮発を極力抑制する意味で、無溶剤とすることが望ましく、万一有機溶剤を加える場合でも、分子量の低い、例えば、分子中の炭素数が4以下のものを使用し、極力少量の配合にとどめることが望ましい。
【0057】
電離放射線硬化性組成物を基材シート3上、模様層4上、もしくは透明シート6上(図では下面側である。)に塗布するには、通常の塗布量の範囲で均一な塗布が行なえるグラビアコーティングやロールコーティングを利用できる。塗布量としては、0.5g/m2〜30g/m2(乾燥時)である。塗布量がこの範囲より少ないと、基材シート3が変形するときに生ずる凹凸模様状の変形を吸収できないことがあり、この範囲より多いと、接着性の向上が」見られないばかりか、硬化した接着剤層5のために化粧シート1に亀裂を発生することがある。
【0058】
接着剤層5は、基材シート3および透明シート6が、模様層4および接着剤層5を介して重ねられた後、基材シート3および透明シート6のいずれかの側から電離放射線を照射することにより硬化され、好ましくは、100〜300KV程度の加速電圧で、照射線量;10〜100kGy程度の電子線の照射、もしくは紫外線の照射を行なう。
【0059】
透明シート6は、シートを透明とする意味で、プラスチックシートであることが好ましく、プラスチックシートとしては、基材シート3の説明において挙げた各種樹脂を素材とするものが好ましいが、やはり、基材シート3の場合と同様、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩素を含まない樹脂のシートであって、汎用性の高い、例えば、ポリプロピレン樹脂を中心とするポリオレフィン系樹脂のシートであることがより好ましい。透明シート6は基材シート6と同様に、ただし、着色のための顔料、もしくは染料を配合せずにつくり、基材シート3と同様、厚みは、20μm〜150μm程度であるが、厚みは用途にもよるから、この厚みの範囲を超えてもよい。
【0060】
ところで、透明シート6としては、予めシート状に作られたものを用いることもできるが、樹脂を溶融押出ししてシート化する際に、基材シート3の上方に配置して、圧着することにより積層されたものであってもよい。このように、溶融押出しにより透明シート6の積層を行なった方が、一旦シート化した透明シート6を積層するのにくらべ、接着の際に必要とする熱を得やすく、エネルギー効率上も好ましい。また、溶融押出しにより透明シート6を積層するときは、冷却用のローラ(チルローラ)として、その表面に凹凸を付与してあるものを用いたエンボス加工を溶融押出しの直後の、未だ透明シート6が高温状態にあるときに行なうこともでき、予めシート状に作られた透明シート6を積層した後、加熱してエンボス加工するのにくらべて、エネルギー効率がよい。
【0061】
溶融押出しによるときは、基材シート3上に模様層4を積層し、模様層4上に接着剤層5を構成するための電離放射線硬化性組成物を塗布し、電離放射線硬化性組成物の塗布面上に透明シート6を溶融押出ししたものを、押出し直後に重ねて圧着し、その後、電離放射線を、基材シート3および透明シート6のいずれかの側から照射すればよい。
【0062】
保護層7は、化粧シート1の透明シート6上、即ち、最表面に積層され、化粧シート1の最表面の物理的および化学的性状を向上させるためのものである。保護層7も、従来であれば、合成樹脂を有機溶剤で溶解もしくは分散した塗料を塗布し、乾燥および硬化させて形成するのが普通である。このような塗料はコーティングヘッドから被塗布物への転移が完了するまでは乾燥してはならず、また、コーティング面が平滑化する(レベリング)に要する時間の間、乾燥しないことが要求されることから、塗料中の溶剤としては、やはり、比較的、分子量の高いものが用いられ、このことが、後日、化粧シート1からの有機化合物の揮発の原因の一つとなり得る。
【0063】
そこで、保護層7の形成に際しても、比較的分子量の低い有機溶剤を使用するか、もしくは水を使用する必要に迫られる。本発明の化粧シート1における保護層7は、模様層4と同様の、水に溶解するか、もしくはエマルジョンとして水に分散する等してバインダ液を構成し得るバインダ樹脂から構成され、これらのバインダ樹脂を樹脂成分とする水性保護層形成用組成物を適宜な塗布方法により塗布し、乾燥させることにより積層される。従って、具体的な樹脂も模様層の場合と同じであるが、中でも好ましいバインダ樹脂は、ウレタン樹脂、もしくはアクリル樹脂であり、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂は、ブレンドもしくは共重合させる等して得られる、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンとして使用することがより好ましい。また、バインダ樹脂液には、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがより好ましく、好ましいバインダ樹脂を用いた、ウレタン樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、もしくは、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンに、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがさらに好ましい。
【0064】
保護層7を形成するための水性組成物のバインダ樹脂液は、模様層4を形成するための水性組成物の場合と同様であるが、比較的まれな場合を除き、着色剤を配合せずに調製したものである。必要に応じて、形成後の保護層7の艶調整や表面の耐久性の向上の目的で、無機質の充填剤を配合して用いてもよい。
【0065】
保護層7は、上記のように水性組成物を用いて構成するほか、電離放射線硬化性組成物の硬化物で構成することもできる。この場合、保護層7を形成するための電離放射線硬化性組成物は、接着剤層5を形成するための電離放射線硬化性組成物と同様である。保護層7を形成するための電離放射線硬化性組成物も、接着剤層5形成用の場合と同様、無溶剤とすることが望ましく、万一有機溶剤を加える場合でも、分子量の低い、例えば、分子中の炭素数が4以下のものを使用し、極力少量の配合にとどめることが望ましい。
【0066】
保護層7を形成するには、透明シート6上に、保護層形成用の水性組成物もしくは保護層形成用の電離放射性線硬化性組成物を塗布し、前者の場合には、乾燥させることにより行ない、後者の場合には、電離放射線を照射して硬化させることにより行なえばよく、厚みが2〜25μm程度となるよう形成することが好ましい。この範囲よりも厚みが薄いと、表面の保護効果が十分でなく、また、この範囲よりも厚みが厚くても、表面の保護効果の向上が目立って見られないからである。
【0067】
なお、保護層7を電離放射線硬化性組成物を用いて形成する際には、電離放射線の照射を、接着剤層5の形成の際も含めると、2回行なうことになるが、透明シート6を基材シート3の上方に積層する際には電離放射線を照射せず、保護層7の形成の際に、接着剤層5の硬化も兼ねて電離放射線を照射してもよく、このようにすることにより、電離放射線の照射回数を単に減らせるだけでなく、プラスチックシート、とくにポリオレフィン系樹脂シートの劣化を防止することができるので、より好ましい。なお、化粧シート1に凹凸を形成するには、上記のようにして保護層を形成した後にエンボス加工を施すことが好ましく、電離放射線硬化性組成物を用いて保護層を形成する場合には、電離放射線の照射後にエンボス加工を施すことができる。
【0068】
なお、保護層7は、基材シート3上に透明シート6までを含む各層を積層した後に積層することが好ましく、保護層7の積層の際には、最下層のプライマー層2を伴なっていても伴なっていなくてもよい。また、予め、溶融押出しにより製造された透明シート6を用いる場合には、保護層7を、予め、透明シート6上に積層してもよいし、透明シート1を下層と積層した後に、保護層7を積層してもよい。
【0069】
最下面のプライマー層2は、化粧シート1を種々の対象物品に積層する際の、化粧シート1と対象物品との接着性を向上させるために、必要に応じて設けられるものである。プライマー接着は、何も積層されていない状態の基材シート3に積層するか、基材シート3上に透明シート6までを含む各層を積層した後に積層するか、または基材シート3上に保護層7までを含む各層を積層した後に積層することが好ましいが、これら以外のタイミングで積層してもよい。
【0070】
プライマー層2は、基材シートとの接着性が第1に要求されるから、基材シート1の材質にもよるが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等を単独、もしくは混合したもので構成することができるが、本発明においては、化粧シートからの有機溶剤の揮発を極力抑制する観点から、プライマー層2もまた、他の層と同様、水に溶解するか、もしくはエマルジョンとして水に分散する等してバインダ液を構成し得るバインダ樹脂から構成されていることが好ましく、これらのバインダ樹脂を樹脂成分とする水性保護層形成用組成物を適宜な塗布方法により塗布し、乾燥させることにより積層される。中でも好ましいバインダ樹脂は、ウレタン樹脂、もしくはアクリル樹脂であり、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂は、ブレンドもしくは共重合させる等して得られる、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンとして使用することがより好ましい。また、バインダ樹脂液には、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがより好ましく、好ましいバインダ樹脂を用いた、ウレタン樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、もしくは、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンに、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがさらに好ましい。また、基材シート3との密着性を確保する意味で、体質顔料を含有させることが好ましく、体質顔料としては、基材シート3の素材中に配合することが好ましい充填剤の中から選択することができる。
【0071】
本発明の化粧シート1は、上記のような構成を有しているので、従来のものにくらべ、総揮発性有機化合物の濃度が格段に少ない。本発明の化粧シート1の総揮発性有機化合物の濃度は、その絶対量を測定することも考えられるが、化粧シートから大気中に放散される有機溶剤を、測定環境における濃度として測定することがより現実的であるので、ここでは、JIS A1901(2003年)に定める小型チャンバー法に準拠し、下記の小型チャンバー容積等の諸条件にて測定した。
【0072】
測定に用いる小型チャンバーの容積は、JIS が規定する20L〜1000Lのうち、小型で取り扱いやすい20Lのものを使用した。この小型チャンバーを恒温槽内に保持し、恒温槽の温度を制御することにより、小型チャンバー内の温度を28±1.0℃に保った。また、湿度の制御は、乾燥空気と加湿空気の流量を制御して混合することにより行ない、小型チャンバー内の相対湿度を50±5%に保った。小型チャンバー内の換気は、換気回数が0.5±0.05回/hになるよう行ない、製造直後から開始した放散試験の経過日;1日における総揮発性有機化合物の濃度を、チャンバー内の空気を活性炭タイプの捕集管を用いて吸着させ、水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフを用いて検出することにより行なった。
【0073】
上記のようにして測定される総揮発性有機化合物の濃度は、400μg/m3以下であることが望ましく、この値は、厚生労働省のガイドライン以下である。実際に、化粧シート1が通常通りに使用され、使用環境等も格別特異な条件でなければ、その室内環境における総揮発性有機溶剤の濃度は、その化粧シート1が使用されていることのみによっては、400μg/m3を超えないものと想定される。揮発性有機化合物として扱われる炭素数が6以上の有機溶剤を、模様層4、接着剤層5、もしくは保護層7の少なくともいずれか一つの形成の際に、これら各層形成用の組成物に配合して使用すると、化粧シート1を製造する際の通常の乾燥条件では、上記の総揮発性有機化合物の濃度が400μg/m3以下となるような十分な乾燥を行なうことが難しいので、万一、溶解性の向上や塗布液の粘度の低下を目的とする場合でも、炭素数が5以下、より好ましくは4以下の有機溶剤を使用することが望ましい。
【0074】
【実施例】
(実施例1)
厚み60μmの着色ポリプロプレン樹脂シートの片面にグラビア印刷を行なって模様層を設けた。模様層形成用インキ組成物としては、ウレタン/アクリルエマルジョンをバインダ液とし、バインダ液中に着色剤やそのほかの添加物を配合した、ウレタン/アクリルエマルジョンエマルジョンタイプのものを用いた。
【0075】
次に模様層上に、接着剤層形成用組成物をロールコーティングにより塗布し、塗布量が3g/m2(乾燥時)になるよう接着剤層形成用組成物の層を設けた後、接着剤層形成用組成物の層の上に、溶融押出し法により、厚みが80μmの透明ポリプロピレン樹脂層を積層し、積層後、電子線照射装置を用いて、加速電圧;175kV、照射線量;50kGyの電子線を照射し、接着剤層を硬化させた。接着剤層形成用組成物としては、ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー70部、および脂肪族ジオール系モノマー30部(以降も含め、部数はいずれも質量基準である。)を混合したものを用いた。
【0076】
続いて、透明ポリプロピレン樹脂層上に、保護層形成用組成物をグラビア印刷法により塗布し、塗布量が4g/m2(乾燥時)になるよう保護層形成用組成物の層を設けた後、電子線照射装置を用いて、加速電圧;175kV、照射線量;50kGyの電子線を照射して硬化させ、保護層を形成し、化粧シートを得た。
【0077】
保護層形成用組成物としては、2官能ウレタンアクリレートオリゴマー40部、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー10部、シリカ5部、および酢酸エチル45部からなる組成物を用いた。
【0078】
(実施例2)
透明ポリプロピレン樹脂層を積層した後の電子線の照射を省き、保護層を形成する際の電子線の照射により、接着剤層および保護層の両層の硬化を行った以外は、実施例1と同様に行ない、化粧シートを得た。
【0079】
(実施例3)
保護層形成用組成物としては、アクリルエマルジョン100部にイソシアネート系架橋剤10部を配合した、2液硬化型アクリルエマルジョンタイプのものを用い、従って、保護層形成用組成物の層を設けた後の電子線の照射を行なわず、乾燥を行なって、保護層を形成し、化粧シートを得た。
【0080】
以上のようにして得た実施例1〜3の各化粧シートにつき、段落「0071」〜「0072」に記載したやり方で測定した総揮発性有機化合物の濃度の結果は330μg/m3であった。
【0081】
(比較例)
模様層形成用インキ組成物、接着剤層形成用組成物、および保護層形成用組成物のいずれも樹脂を有機溶剤で溶解および希釈したものを用いて、上記の実施例におけるのと同様の層構成を有する化粧シートを得た。
【0082】
模様層形成用インキ組成物としては、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体をメチルエチルケトンおよびトルエンを用いて溶解した樹脂溶液に、着色剤やそのほかの添加物を配合したタイプのものを、接着剤層形成用組成物としては、ウレタンプレポリマーの酢酸エチルおよびトルエンの混合溶液に溶解したもの100部にイソシアネート系架橋剤5部を配合した、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤組成物を、また、保護層形成用組成物としては、アクリル樹脂のイソプロパノールおよびトルエンの混合溶液に溶解したもの100部にイソシアネート系架橋剤10部を配合した、2液硬化型アクリル樹脂系のものを用いた。
【0083】
以上のようにして得た比較例の化粧シートにつき、実施例の場合と同様にして測定した総揮発性有機化合物の濃度の結果は、12000μg/m3であった。
【0084】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、基材シート上に模様層および接着剤層を介して透明シートが積層され、さらに保護層が積層された積層構造を有し、模様層が水性組成物で、また、接着剤層および保護層が電離放射線硬化性組成物を用いて構成されているので、室内空気汚染の原因となる有機化合物の揮発を極力抑制することが可能な化粧シートを提供することができる。
【0085】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明におけるのと同様な積層構造を有しており、模様層および保護層が水性組成物で、また、接着剤が電離放射線硬化性組成物を用いて構成されているので、室内空気汚染の原因となる有機化合物の揮発を極力抑制することが可能な化粧シートを提供することができる。
【0086】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の化粧シートの製造を、印刷および乾燥、接着剤の塗布、積層、および電離放射線の照射、並びに保護層形成用塗料の塗布および乾燥により行なえ、得られる製品からの有機化合物の揮発を極力抑制可能な化粧シートの製造方法を提供することができる。
【0087】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の化粧シートの製造を、印刷および乾燥、接着剤の塗布、積層、および電離放射線の照射、並びに保護層形成用塗料の塗布および電離放射線照射により行なえ、得られる製品からの有機化合物の揮発を極力抑制可能な化粧シートの製造方法を提供することができる。
【0088】
請求項5の発明によれば、請求項1の発明の化粧シートの製造を、印刷および乾燥、接着剤の塗布および積層、保護層形成用塗料の塗布、並びに、接着剤層および保護層の硬化を兼ねる電離放射線照射により行なえ、得られる製品からの有機化合物の揮発を極力抑制可能な化粧シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 プライマー層
3 基材シート
4 模様層
5 接着剤層
6 透明シート
7 保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内空気汚染等に影響を与える揮発性有機化合物、特に、製造過程において用いられ、残存が予想される有機溶剤の含有を抑制した改良された化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化粧シートは、種々の対象物品の表面を被覆し、美観を付与するもので、その対象物品の種類は多いが、中でも、建築物の内外装、家具、家庭電機製品、もしくは厨房家具等の表面を被覆し、美観を与えるためによく使われている。
【0003】
化粧シートの構成は、上記したような用途のそれぞれに合わせた様々のものであり得るが、いずれの用途向けであっても、化粧シートとしては、対象物品を隠蔽し得る隠蔽性、耐久性、特に耐摩耗性、柔軟性、および強度等が一定レベル以上であることが望まれる。
【0004】
従来の化粧シートとしては、ポリ塩化ビニル樹脂の着色シートに印刷して模様層を設け、その上に、やはりポリ塩化ビニル樹脂の透明シートを熱融着させると共に、エンボス加工を施した二層のシートからなるものが多用されていた。しかしながら、このような化粧シートは、廃棄の際に、含有する可塑剤等が高温で分解し、有害物質を生じると言われ、ポリ塩化ビニル樹脂以外のシート、例えば、ポリプロピレン樹脂を中心とするポリオレフィン系樹脂のシートで代替されるようになり、代替に伴なう改良が進められた。
【0005】
また、近年、室内空気汚染の問題が提起され、最近では、汚染の原因となる有機化合物の揮発を極力抑制することが検討されている。
【0006】
そこで、ポリオレフィン系樹脂よりなる基材シートに設けた化粧柄の面に少なくとも紫外線硬化型樹脂からなる接着剤層、溶融押出しコーティングによる透明ポリオレフィン系樹脂よりなり、かつ該透明ポリオレフィン系樹脂層の表面が凹凸模様であることを特徴とする化粧シートが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポリオレフィン系樹脂等の基材シートが不透明着色シートであり、該基材シートの表側とする面に絵柄層が水性インキを用いて形成され、さらにその上に、接着層を介して、透明オーバーレイ層が形成されてなる化粧シートも提案されている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−278197号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−38849号公報(第3頁、図1)
【0008】
特許文献1に記載された発明においては、紫外線硬化型樹脂からなる硬化した接着剤層を有しているので、従来の溶剤に溶解したタイプの接着剤を用いる場合にくらべると、得られた化粧シートの接着剤層からの有機化合物の揮発が抑制されることが期待される。しかし、ポリ塩化ビニル樹脂シートにくらべて接着性の劣るポリオレフィン系樹脂シートを接着させることが主眼であり、化粧柄を形成する際に使用するインキ中の溶剤については何も考慮が払われていない。
【0009】
また、特許文献2に記載された発明においては、絵柄層が水性インキを用いて形成されているので、絵柄層からの有機化合物の揮発が抑制されることが期待される。しかし、ホットメルト接着剤を用いているので、加熱による接着には向くものの、接着剤層の耐熱性が乏しい。なお、接着剤としては、無溶剤型接着剤として、ウレタンアクリレート系もしくはエポキシアクリレート系等の電離放射線硬化性樹脂を用いた接着剤を使用する旨の記載があるものの、詳しい内容には触れられていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、室内空気汚染の原因となる有機化合物、特に、製造過程において用いられ、残存が予想される有機溶剤の使用を抑え、有機溶剤の揮発を極力抑制することが可能な化粧シートを提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明においては、従来と同様の二層のシートからなる化粧シートの模様層、を水性インキを用いて構成し、接着剤層を電離放射線硬化性組成物を用いて構成し、さらに保護層を、水性組成物、もしくは電離放射線硬化性組成物を用いて構成することにより、課題を解決することができた。
【0012】
第1の発明は、基材シート上に、模様層および接着剤層、透明シート、ならびに保護層が順に積層された積層構造を有しており、前記模様層が水性組成物を用いて形成されたものであり、前記接着剤層および前記保護層が、いずれも分子中に重合性不飽和モノマーもしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなるものであることを特徴とする化粧シートに関するものである。
【0013】
第2の発明は、基材シート上に、模様層および接着剤層、透明シート、ならびに保護層が順に積層された積層構造を有しており、前記模様層および前記保護層がいずれも水性組成物を用いて形成されたものであり、前記接着剤層が、分子中に重合性不飽和モノマーもしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなるものであることを特徴とする化粧シートに関するものである。
【0014】
第3の発明は、基材シート、もしくは透明シートのいずれか一方に水性組成物を用いて印刷し、乾燥させて、模様層を形成した後、前記基材シートおよび前記透明シートの両シートを、前記模様層が前記両シートの内側になるよう、電離放射線硬化性組成物からなる層を介して積層し、積層した後、電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて接着剤層を形成し、その後、前記透明シートの前記基材シートとは反対側の面に、水性組成物を用いて塗布し乾燥させて保護層を形成することからなり、前記電離放射線硬化性組成物は、分子中に重合性不飽和結合もしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなることを特徴とする化粧シートの製造方法に関するものである。
【0015】
第4の発明は、基材シート、もしくは透明シートのいずれか一方に水性インキを用いて印刷し、乾燥させて、模様層を形成した後、前記基材シートおよび前記透明シートの両シートを、前記模様層が前記両シートの内側になるよう、第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を介して積層し、積層した後、電離放射線を照射して、前記第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて接着剤層を形成し、その後、前記透明シートの前記基材シートとは反対側の面に、第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を形成し、形成後、電離放射線を照射して、前記第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて保護層を形成することからなり、前記第1および第2の電離放射線硬化性組成物は、いずれも、分子中に重合性不飽和結合もしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなることを特徴とする化粧シートの製造方法に関するものである。
【0016】
第5の発明は、基材シート、もしくは透明シートのいずれか一方に水性インキを用いて印刷し、乾燥させて、模様層を形成した後、前記基材シートおよび前記透明シートの両シートを、前記模様層が前記両シートの内側になるよう、第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を介して積層し、積層した後、前記透明シートの前記基材シートとは反対側の面に第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を形成し、形成後、電離放射線を照射して、前記第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて接着剤層を形成すると共に、前記第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて保護層を形成することからなり、前記第1および第2の電離放射線硬化性組成物は、いずれも、分子中に重合性不飽和結合もしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなることを特徴とする化粧シートの製造方法に関するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例の化粧シートの積層構造を示す断面図であって、図1(a)に示すように、本発明の化粧シート1は、図中の下面側より、プライマー層2、基材シート3、模様層4、接着剤層5、透明シート6、および保護層7が順に積層された積層構造を有するものである。あるいは、図1(b)に示すように、本発明の化粧シート1は、図中の下面側より、プライマー層2、基材シート3、接着剤層5、模様層4、透明シート6、および保護層7が順に積層された積層構造を有するものであってもよい。従って、模様層4と接着剤層5は順不同である。いずれにおいても、最下面のプライマー層2は、化粧シート1と被着体との接着性を向上させるためのものであるが、積層を省略してもよい。いずれも、所望により、最上面から必要な層まで及ぶエンボス加工による凹凸を有していてもよい。
【0018】
図1(a)および図1(b)を引用して説明した二例の違いは、図で言えば、模様層4が基材シート3の上側に積層されているか、もしくは、模様層4が透明シート10の下側に積層されているかの違いである。基材シート3および透明シート6のいずれもがポリオレフィン系樹脂シートで構成される場合、典型的な製造の手順は、基材シート3への印刷による模様層4の形成、模様層4上への接着剤層5の塗布形成、接着剤層5上への溶融押出しによる透明シート6の積層、およびコーティングによる保護層7の形成を、この順に行なうものであるから、模様層4の形成後に接着剤層5の塗布形成を行なうのに適した、図1(a)を引用して説明した化粧シート1の積層構造の方が好ましいが、予め、溶融押出しにより製造された透明シート6を用いることもでき、この場合には、図1(a)および図1(b)のいずれの積層構造であってもよい。
【0019】
本発明においては、(1)化粧シート1の模様層4を水性組成物を用いて構成し、接着剤層および保護層を電離放射線硬化性組成物を用いて構成するか、もしくは(2)模様層および保護層を水性組成物を用いて構成し、接着剤層を電離放射線硬化性組成物を用いて構成する点が特徴である。
【0020】
また、本発明においては、(1)の構成の化粧シート1を、模様層の形成、接着剤の塗布、シートどうしの積層、電離放射線の照射、保護層形成用の塗料の塗布、および電離放射線の照射の形成のように逐次行なうか、もしくは、その際の電離放射線の照射を保護層形成用の塗料の塗布後に1回で済ませる点、および(2)の構成の化粧シート1を、模様層の形成、接着剤の塗布、シートどうしの積層、電離放射線の照射、および保護層の形成のように逐次行なう点も特徴である。以下に、本発明の化粧シート1の各層を構成する、もしくはそのために用いる素材、および各層の積層法について、順次説明する。
【0021】
基材シート3としては、通常、化粧シートに用いられる素材であれば、原則的には、いずれも使用可能であり、大別すれば、各種の紙類、プラスチックフィルムもしくはプラスチックシート(以降、単に、プラスチックシートと言う。)、または金属箔もしくは金属シート等であり、必要に応じて、任意に複合して使用することができるが、印刷や塗装による美観の付与が容易であり、化粧シート1の製造時の加工や化粧シート1を対象物品の表面に適用するときの加工、例えば、折り曲げや成形に適している点でプラスチックフィルムもしくはプラスチックシートが適している。
【0022】
プラスチックシートとしては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6もしくはナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、またはポリイミド樹脂等の各種樹脂を素材とするものが使用できる。
【0023】
従来、上記のような素材からなるプラスチックシートのうちでも、特にポリ塩化ビニル樹脂シートが多用されたが、近年は、化粧シート1の廃棄の際に、含有する可塑剤等が高温で分解し、有害物質を生じると言われていることから、ポリ塩化ビニル樹脂等のように塩素を含む樹脂ではなく、塩素を含まずに、汎用性の高い、例えば、ポリプロピレン樹脂を中心とするポリオレフィン系樹脂のシートで代替されるようになっている。
【0024】
このようなポリオレフィン系樹脂としては、大別して、非エラストマーであるポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの2つのタイプがある。
【0025】
ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂の1つのタイプは非エラストマーであるが、具体的にはポリエチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型、シンジオタクチック型、又はこれらの混合型)、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体等の高結晶質のものである。
【0026】
ポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂のもう1つのタイプは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーであって、以降に示す(1)〜(8)のようなものである。
【0027】
(1)主原料がハードセグメントである高結晶質の高密度ポリエチレン、又はアイソタクチックポリプロピレン等からなり、更に、ソフトセグメントとしてのエラストマー及び、必要に応じて無機充填剤を添加したもの。ここで、エラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム等がある。水素添加ジエンゴムは、上記のジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂(本発明においては、高密度ポリエチレン又はポリプロピレン)の結晶化を抑え、柔軟性を向上させたものである。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4−ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン系共重合体ゴムとしては、例えばエチレン/プロピレン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、適量架橋させてもよい。
【0028】
(2)ハードセグメントがアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントがアタクチックポリプロピレンであるもので、好ましくは、後者の割合が5重量%未満のもの(特公平6−23278号公報記載)。
【0029】
(3)エチレン/プロピレン/ブテンの共重合体で、ブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、またはイソブチレンの3種の構造異性体の1種を含むもの。次の(3a)〜(3c)が代表的である。
【0030】
(3a)エチレン/プロピレン/ブテンの3元のランダム共重合体であり、モノマー中のプロピレンが、好ましくは90重量%であるもの(特開平9−111055号公報記載)。
【0031】
(3b)プロピレン成分含有率が50重量%以上である、エチレン/プロピレン/ブテンの3元の共重合体からなる非晶質と、結晶質ポリプロピレンからなるもの(特開平5−77371号公報記載)。
【0032】
(3c)プロピレン及び/又は1−ブテンの含有量が50重量%以上の低結晶質と、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィンを含むものに、更に、油ゲル化剤を0.5重量%添加したもの(特開平7−316358号公報記載)。
【0033】
(4)ハードセグメントがポリエチレン、ポリプロピレン又はポリメチルペンテン等の結晶質であり、ソフトセグメントが部分架橋したエチレン/プロピレン非共役ジエン3元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムであるもの(特公昭53−21021号公報記載)。
【0034】
(5)ハードセグメントとしてのオレフィン系共重合体(結晶質)とソフトセグメントとしての未架橋モノオレフィン共重合体ゴムとを加熱しつつ剪断応力を加え、部分架橋させてあるもの(特公昭53−34210号公報記載)。
【0035】
(6)過酸化物と混合・加熱すると分子量が減って流動性が増す過酸化物分解型オレフィン重合体、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体、又はプロピレン/ブテン−1共重合体をハードセグメントとし、同様な操作で流動性が減る過酸化物架橋型モノオレフィン重合体、例えば、エチレン/プロピレン共重合体ゴム、エチレン/プロピレン/非共役ジエン3元共重合体ゴム等をソフトセグメントとし、更には、同様な操作で架橋せず、流動性も変わらない過酸化物非架橋型炭化水素ゴム、等を過酸化物の存在下で混合・加熱して得られるもの(特公昭56−15741号公報記載)。
【0036】
(7)エチレン/スチレン/ブタジエン共重合体(特開平2−139232号公報記載)。
【0037】
(8)水酸基又はカルボキシル基を持たせた上記(1)〜(7)のオレフィン系エラストマー。
【0038】
上記のポリオレフィン系樹脂は、紫外線吸収剤または光安定剤の添加剤を添加したものを使用することが好ましい。
【0039】
基材シート3は、対象物品に貼り付けたときの隠蔽性と、化粧シート1に付与する模様の外観を向上させる目的で、所望の色相に着色したものであってよい。基材シートの着色を行なうために配合する着色剤としては、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青、もしくはチタン白等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、もしくはフタロシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム、真鍮、もしくは二酸化チタン被覆雲母等の鱗片状箔片からなる光輝性顔料、または染料等が使用できる。また、着色剤に加えて、充填剤を配合した方がよく、充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、滑石、もしくはカオリナイト等を用いることができる。
【0040】
上記のような素材からなる基材シート3は、樹脂成分、着色剤、充填剤等を配合して加熱し溶融混合したものをTダイ等の溶融押出し手段によりシート化して作られる。基材シート3の厚みは、20μm〜150μm程度であるが、厚みは用途にもよるから、この厚みの範囲を超えてもよい。
【0041】
模様層4は、化粧シート1に、意匠的な外観を付与するための層であり、通常は、印刷用インキ組成物を用いた印刷法により形成する。図1を引用して説明したように、模様層4を積層する対象は、基材シート3の図中上面側でも、もしくは透明シート6の図中下面側でも、いずれでもよい。模様層4の絵柄は、任意のものでよく、用途に合わせて選択したものを用いる。印刷法としては、接着性を考慮した場合のバインダーの選択範囲が広い、グラビア印刷法が適しているが、これ以外の印刷法によってもよい。いわゆる印刷法のほかに、電子写真法やインキジェット等も、模様層4の積層手段として利用可能である。いずれにおいても印刷用インキ組成物等の組成物を適用した後、必要に応じて乾燥させる。
【0042】
模様層は、染料もしくは顔料等の着色剤とバインダ樹脂との組成物で形成される。模様層4が印刷法によるときは、これら着色剤とバインダ樹脂は、印刷用インキの成分である。プラスチックシートを印刷の対象とする印刷用インキ組成物は、通常、バインダ樹脂を有機溶剤で溶解したバインダ樹脂溶液中に、着色剤を分散させたものである。印刷用インキ組成物は、印刷によりプラスチックシートに転移した後、有機溶剤が揮発して乾燥しセットされるので、適度な乾燥性を有しているべきであるが、印刷用版に供給されてからプラスチックシートにインキが転移するまでの間は乾燥しない程度の乾燥の遅さが逆に要求されるため、比較的、分子量の高いものが用いられ、このことが、後日、化粧シート1からの有機化合物の揮発の原因の一つとなっている。
【0043】
そこで、比較的分子量の低い有機溶剤を使用するか、もしくは水を使用する必要に迫られる。本発明においては、有機溶剤の揮発を無くす観点から、水を使用することとし、水に溶解するか、もしくはエマルジョンとして水に分散する等してバインダ液を構成し得るバインダ樹脂を用いる。
【0044】
このようなバインダ樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル、もしくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、もしくはヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー、(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマーもしくはそのようなアミド系モノマーのN−アルコキシ置換体もしくは同N−メチロール置換体、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、もしくはジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、もしくはトリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー、酢酸ビニル、もしくはN−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー等の、各種モノマーの1種もしくは2種以上と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、もしくはイタコン酸等の不飽和カルボン酸の1種もしくは2種以上との共重合体からなる、アルカリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を使用することができる。
【0045】
あるいは、バインダ樹脂としては、例えば、ポリアルリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂)、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、もしくは水溶性フェノール系樹脂等の水溶性合成樹脂、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、もしくは多糖類等の水溶性天然高分子等も使用することができる。
【0046】
さらに、バインダ樹脂としては、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、もしくはポリウレタン系樹脂を使用することができる。
【0047】
また、バインダ樹脂としては、アクリル変性ウレタン樹脂、ポリエステル変性ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体変性ウレタン樹脂等のウレタン系樹脂、ポリオール系樹脂、もしくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル系樹脂との混合樹脂等を用いることができる。
【0048】
以上のような、水に溶解するか、もしくはエマルジョンとして水に分散する等してバインダ液を構成し得るバインダ樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。中でも好ましいバインダ樹脂は、ウレタン樹脂、もしくはアクリル樹脂であり、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂は、樹脂どうしのブレンドにより、もしくは樹脂を合成するためのモノマーどうしを共重合させる等して得られる、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンとして使用することがより好ましい。また、上記のバインダ樹脂液には、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがより好ましく、好ましいバインダ樹脂を用いた、ウレタン樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、もしくは、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンに、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがさらに好ましい。なお、この明細書中の「エマルジョン」は水を分散媒とする水系エマルジョンを指すものとし、「ウレタン/アクリルエマルジョン」は、上記のような複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンを指すものとする。
【0049】
本発明の化粧シート1の模様層4を形成するための印刷用インキ組成物としては、以上から選択された樹脂を用い、溶剤もしくは分散剤として、本質的に水のみを用いて構成されたバインダ液中に着色剤を分散させて調製した水性インキ組成物を用いることが望ましい。なお、溶剤もしくは分散剤としては、本質的に水のみを用いることが望ましいものの、バインダ樹脂の溶解性の点で、アルコール系等の有機溶剤の配合が必要とされる場合もあり得る。しかしながら、万一、そのような場合であっても、分子量の低い、例えば、分子中の炭素数が4以下のものを使用し、しかも少量の配合にとどめることが、製造後の化粧シート1からの有機化合物の揮発を抑制する意味で好ましい。
【0050】
接着剤層5は、化粧シート1を構成する基材シート3と透明シート6を模様層4を介して積層するためのものである。本発明の化粧シート1において、基材シート3および透明シート6は、好ましくは、いずれもプラスチックシートであるので、接着剤層5を形成する際に、通常、接着剤を溶解もしくは分散して液化している有機溶剤や水が浸透して乾燥することは期待できない。この点、粘着剤を用いれば、必ずしも浸透して乾燥する必要がないが、長期間、固化しないので、基材シート3と透明シート6間が固定されず、また、臭気が残存する問題もあるから、無溶剤で架橋し、固化する電離放射線硬化性組成物を用いて構成することが好ましい。電離放射線硬化性組成物としては、使用する電離放射線の透過性がの高い電子線を用い得る点、および光重合開始剤を配合する必要がない点では、電子線硬化性組成物が好ましく、化粧シート1を形成した後に経時的に劣化する恐れを解消することができるが、紫外線硬化性組成物も使用できる。
【0051】
このような電離放射線硬化性組成物としては、分子中に重合不飽和結合もしくはカチオン重合性官能基をもつプレポリマー、ポリマー及び/又はモノマーを適宜混合した組成物が好ましく用いられ、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性不飽和基、エポキシ基などのカチオン重合性官能基、もしくはチオール基を2個以上有する単量体、プレポリマー、またはポリマーから構成される。これらの単量体、プレポリマー、またはポリマーは、1種、もしくは2種以上を混合して使用する。
【0052】
ラジカル重合性不飽和基をもつプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、もしくはシリコン(メタ)アクリレートなどが使用できる。その分子量は、250〜10000のものが用いられる。ラジカル重合性不飽和基をもつポリマーとしては、重合度が1000程度のものが使用される。
【0053】
カチオン重合性官能基をもつプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、もしくはノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、もしくは芳香族系ビニルエーテルなどのビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。ラジカル重合性不飽和基をもつモノマーの例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、もしくはフェノキシ(メタ)アクリレートなどがある。
【0054】
ラジカル重合性不飽和基をもつ多官能モノマーの例としては、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、もしくはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどがある。
【0055】
カチオン重合性官能基をもつモノマーとしては、上記カチオン重合性官能基をもつプレポリマーのモノマーを利用できる。チオール基をもつモノマーには、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ジペンタエリスリトールテトラグリコレートなどがある。
【0056】
電離放射線硬化性組成物には、必要に応じて、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース誘導体などの熱可塑性樹脂を可塑剤又は粘着防止剤としたり、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナなどの微粉末からなる体質顔料を配合することができる。また、紫外線硬化性とするためには、適宜、光重合開始剤を配合する。なお、従来、電離放射線硬化性組成物には、粘度の調整等の目的で、有機溶剤を配合することがあるが、本発明においては、化粧シート1からの有機化合物の揮発を極力抑制する意味で、無溶剤とすることが望ましく、万一有機溶剤を加える場合でも、分子量の低い、例えば、分子中の炭素数が4以下のものを使用し、極力少量の配合にとどめることが望ましい。
【0057】
電離放射線硬化性組成物を基材シート3上、模様層4上、もしくは透明シート6上(図では下面側である。)に塗布するには、通常の塗布量の範囲で均一な塗布が行なえるグラビアコーティングやロールコーティングを利用できる。塗布量としては、0.5g/m2〜30g/m2(乾燥時)である。塗布量がこの範囲より少ないと、基材シート3が変形するときに生ずる凹凸模様状の変形を吸収できないことがあり、この範囲より多いと、接着性の向上が」見られないばかりか、硬化した接着剤層5のために化粧シート1に亀裂を発生することがある。
【0058】
接着剤層5は、基材シート3および透明シート6が、模様層4および接着剤層5を介して重ねられた後、基材シート3および透明シート6のいずれかの側から電離放射線を照射することにより硬化され、好ましくは、100〜300KV程度の加速電圧で、照射線量;10〜100kGy程度の電子線の照射、もしくは紫外線の照射を行なう。
【0059】
透明シート6は、シートを透明とする意味で、プラスチックシートであることが好ましく、プラスチックシートとしては、基材シート3の説明において挙げた各種樹脂を素材とするものが好ましいが、やはり、基材シート3の場合と同様、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩素を含まない樹脂のシートであって、汎用性の高い、例えば、ポリプロピレン樹脂を中心とするポリオレフィン系樹脂のシートであることがより好ましい。透明シート6は基材シート6と同様に、ただし、着色のための顔料、もしくは染料を配合せずにつくり、基材シート3と同様、厚みは、20μm〜150μm程度であるが、厚みは用途にもよるから、この厚みの範囲を超えてもよい。
【0060】
ところで、透明シート6としては、予めシート状に作られたものを用いることもできるが、樹脂を溶融押出ししてシート化する際に、基材シート3の上方に配置して、圧着することにより積層されたものであってもよい。このように、溶融押出しにより透明シート6の積層を行なった方が、一旦シート化した透明シート6を積層するのにくらべ、接着の際に必要とする熱を得やすく、エネルギー効率上も好ましい。また、溶融押出しにより透明シート6を積層するときは、冷却用のローラ(チルローラ)として、その表面に凹凸を付与してあるものを用いたエンボス加工を溶融押出しの直後の、未だ透明シート6が高温状態にあるときに行なうこともでき、予めシート状に作られた透明シート6を積層した後、加熱してエンボス加工するのにくらべて、エネルギー効率がよい。
【0061】
溶融押出しによるときは、基材シート3上に模様層4を積層し、模様層4上に接着剤層5を構成するための電離放射線硬化性組成物を塗布し、電離放射線硬化性組成物の塗布面上に透明シート6を溶融押出ししたものを、押出し直後に重ねて圧着し、その後、電離放射線を、基材シート3および透明シート6のいずれかの側から照射すればよい。
【0062】
保護層7は、化粧シート1の透明シート6上、即ち、最表面に積層され、化粧シート1の最表面の物理的および化学的性状を向上させるためのものである。保護層7も、従来であれば、合成樹脂を有機溶剤で溶解もしくは分散した塗料を塗布し、乾燥および硬化させて形成するのが普通である。このような塗料はコーティングヘッドから被塗布物への転移が完了するまでは乾燥してはならず、また、コーティング面が平滑化する(レベリング)に要する時間の間、乾燥しないことが要求されることから、塗料中の溶剤としては、やはり、比較的、分子量の高いものが用いられ、このことが、後日、化粧シート1からの有機化合物の揮発の原因の一つとなり得る。
【0063】
そこで、保護層7の形成に際しても、比較的分子量の低い有機溶剤を使用するか、もしくは水を使用する必要に迫られる。本発明の化粧シート1における保護層7は、模様層4と同様の、水に溶解するか、もしくはエマルジョンとして水に分散する等してバインダ液を構成し得るバインダ樹脂から構成され、これらのバインダ樹脂を樹脂成分とする水性保護層形成用組成物を適宜な塗布方法により塗布し、乾燥させることにより積層される。従って、具体的な樹脂も模様層の場合と同じであるが、中でも好ましいバインダ樹脂は、ウレタン樹脂、もしくはアクリル樹脂であり、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂は、ブレンドもしくは共重合させる等して得られる、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンとして使用することがより好ましい。また、バインダ樹脂液には、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがより好ましく、好ましいバインダ樹脂を用いた、ウレタン樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、もしくは、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンに、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがさらに好ましい。
【0064】
保護層7を形成するための水性組成物のバインダ樹脂液は、模様層4を形成するための水性組成物の場合と同様であるが、比較的まれな場合を除き、着色剤を配合せずに調製したものである。必要に応じて、形成後の保護層7の艶調整や表面の耐久性の向上の目的で、無機質の充填剤を配合して用いてもよい。
【0065】
保護層7は、上記のように水性組成物を用いて構成するほか、電離放射線硬化性組成物の硬化物で構成することもできる。この場合、保護層7を形成するための電離放射線硬化性組成物は、接着剤層5を形成するための電離放射線硬化性組成物と同様である。保護層7を形成するための電離放射線硬化性組成物も、接着剤層5形成用の場合と同様、無溶剤とすることが望ましく、万一有機溶剤を加える場合でも、分子量の低い、例えば、分子中の炭素数が4以下のものを使用し、極力少量の配合にとどめることが望ましい。
【0066】
保護層7を形成するには、透明シート6上に、保護層形成用の水性組成物もしくは保護層形成用の電離放射性線硬化性組成物を塗布し、前者の場合には、乾燥させることにより行ない、後者の場合には、電離放射線を照射して硬化させることにより行なえばよく、厚みが2〜25μm程度となるよう形成することが好ましい。この範囲よりも厚みが薄いと、表面の保護効果が十分でなく、また、この範囲よりも厚みが厚くても、表面の保護効果の向上が目立って見られないからである。
【0067】
なお、保護層7を電離放射線硬化性組成物を用いて形成する際には、電離放射線の照射を、接着剤層5の形成の際も含めると、2回行なうことになるが、透明シート6を基材シート3の上方に積層する際には電離放射線を照射せず、保護層7の形成の際に、接着剤層5の硬化も兼ねて電離放射線を照射してもよく、このようにすることにより、電離放射線の照射回数を単に減らせるだけでなく、プラスチックシート、とくにポリオレフィン系樹脂シートの劣化を防止することができるので、より好ましい。なお、化粧シート1に凹凸を形成するには、上記のようにして保護層を形成した後にエンボス加工を施すことが好ましく、電離放射線硬化性組成物を用いて保護層を形成する場合には、電離放射線の照射後にエンボス加工を施すことができる。
【0068】
なお、保護層7は、基材シート3上に透明シート6までを含む各層を積層した後に積層することが好ましく、保護層7の積層の際には、最下層のプライマー層2を伴なっていても伴なっていなくてもよい。また、予め、溶融押出しにより製造された透明シート6を用いる場合には、保護層7を、予め、透明シート6上に積層してもよいし、透明シート1を下層と積層した後に、保護層7を積層してもよい。
【0069】
最下面のプライマー層2は、化粧シート1を種々の対象物品に積層する際の、化粧シート1と対象物品との接着性を向上させるために、必要に応じて設けられるものである。プライマー接着は、何も積層されていない状態の基材シート3に積層するか、基材シート3上に透明シート6までを含む各層を積層した後に積層するか、または基材シート3上に保護層7までを含む各層を積層した後に積層することが好ましいが、これら以外のタイミングで積層してもよい。
【0070】
プライマー層2は、基材シートとの接着性が第1に要求されるから、基材シート1の材質にもよるが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等を単独、もしくは混合したもので構成することができるが、本発明においては、化粧シートからの有機溶剤の揮発を極力抑制する観点から、プライマー層2もまた、他の層と同様、水に溶解するか、もしくはエマルジョンとして水に分散する等してバインダ液を構成し得るバインダ樹脂から構成されていることが好ましく、これらのバインダ樹脂を樹脂成分とする水性保護層形成用組成物を適宜な塗布方法により塗布し、乾燥させることにより積層される。中でも好ましいバインダ樹脂は、ウレタン樹脂、もしくはアクリル樹脂であり、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂は、ブレンドもしくは共重合させる等して得られる、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンとして使用することがより好ましい。また、バインダ樹脂液には、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがより好ましく、好ましいバインダ樹脂を用いた、ウレタン樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、もしくは、複合化されたウレタン/アクリルエマルジョンに、イソシアネート系化合物等の架橋剤を配合して用いることがさらに好ましい。また、基材シート3との密着性を確保する意味で、体質顔料を含有させることが好ましく、体質顔料としては、基材シート3の素材中に配合することが好ましい充填剤の中から選択することができる。
【0071】
本発明の化粧シート1は、上記のような構成を有しているので、従来のものにくらべ、総揮発性有機化合物の濃度が格段に少ない。本発明の化粧シート1の総揮発性有機化合物の濃度は、その絶対量を測定することも考えられるが、化粧シートから大気中に放散される有機溶剤を、測定環境における濃度として測定することがより現実的であるので、ここでは、JIS A1901(2003年)に定める小型チャンバー法に準拠し、下記の小型チャンバー容積等の諸条件にて測定した。
【0072】
測定に用いる小型チャンバーの容積は、JIS が規定する20L〜1000Lのうち、小型で取り扱いやすい20Lのものを使用した。この小型チャンバーを恒温槽内に保持し、恒温槽の温度を制御することにより、小型チャンバー内の温度を28±1.0℃に保った。また、湿度の制御は、乾燥空気と加湿空気の流量を制御して混合することにより行ない、小型チャンバー内の相対湿度を50±5%に保った。小型チャンバー内の換気は、換気回数が0.5±0.05回/hになるよう行ない、製造直後から開始した放散試験の経過日;1日における総揮発性有機化合物の濃度を、チャンバー内の空気を活性炭タイプの捕集管を用いて吸着させ、水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフを用いて検出することにより行なった。
【0073】
上記のようにして測定される総揮発性有機化合物の濃度は、400μg/m3以下であることが望ましく、この値は、厚生労働省のガイドライン以下である。実際に、化粧シート1が通常通りに使用され、使用環境等も格別特異な条件でなければ、その室内環境における総揮発性有機溶剤の濃度は、その化粧シート1が使用されていることのみによっては、400μg/m3を超えないものと想定される。揮発性有機化合物として扱われる炭素数が6以上の有機溶剤を、模様層4、接着剤層5、もしくは保護層7の少なくともいずれか一つの形成の際に、これら各層形成用の組成物に配合して使用すると、化粧シート1を製造する際の通常の乾燥条件では、上記の総揮発性有機化合物の濃度が400μg/m3以下となるような十分な乾燥を行なうことが難しいので、万一、溶解性の向上や塗布液の粘度の低下を目的とする場合でも、炭素数が5以下、より好ましくは4以下の有機溶剤を使用することが望ましい。
【0074】
【実施例】
(実施例1)
厚み60μmの着色ポリプロプレン樹脂シートの片面にグラビア印刷を行なって模様層を設けた。模様層形成用インキ組成物としては、ウレタン/アクリルエマルジョンをバインダ液とし、バインダ液中に着色剤やそのほかの添加物を配合した、ウレタン/アクリルエマルジョンエマルジョンタイプのものを用いた。
【0075】
次に模様層上に、接着剤層形成用組成物をロールコーティングにより塗布し、塗布量が3g/m2(乾燥時)になるよう接着剤層形成用組成物の層を設けた後、接着剤層形成用組成物の層の上に、溶融押出し法により、厚みが80μmの透明ポリプロピレン樹脂層を積層し、積層後、電子線照射装置を用いて、加速電圧;175kV、照射線量;50kGyの電子線を照射し、接着剤層を硬化させた。接着剤層形成用組成物としては、ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー70部、および脂肪族ジオール系モノマー30部(以降も含め、部数はいずれも質量基準である。)を混合したものを用いた。
【0076】
続いて、透明ポリプロピレン樹脂層上に、保護層形成用組成物をグラビア印刷法により塗布し、塗布量が4g/m2(乾燥時)になるよう保護層形成用組成物の層を設けた後、電子線照射装置を用いて、加速電圧;175kV、照射線量;50kGyの電子線を照射して硬化させ、保護層を形成し、化粧シートを得た。
【0077】
保護層形成用組成物としては、2官能ウレタンアクリレートオリゴマー40部、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー10部、シリカ5部、および酢酸エチル45部からなる組成物を用いた。
【0078】
(実施例2)
透明ポリプロピレン樹脂層を積層した後の電子線の照射を省き、保護層を形成する際の電子線の照射により、接着剤層および保護層の両層の硬化を行った以外は、実施例1と同様に行ない、化粧シートを得た。
【0079】
(実施例3)
保護層形成用組成物としては、アクリルエマルジョン100部にイソシアネート系架橋剤10部を配合した、2液硬化型アクリルエマルジョンタイプのものを用い、従って、保護層形成用組成物の層を設けた後の電子線の照射を行なわず、乾燥を行なって、保護層を形成し、化粧シートを得た。
【0080】
以上のようにして得た実施例1〜3の各化粧シートにつき、段落「0071」〜「0072」に記載したやり方で測定した総揮発性有機化合物の濃度の結果は330μg/m3であった。
【0081】
(比較例)
模様層形成用インキ組成物、接着剤層形成用組成物、および保護層形成用組成物のいずれも樹脂を有機溶剤で溶解および希釈したものを用いて、上記の実施例におけるのと同様の層構成を有する化粧シートを得た。
【0082】
模様層形成用インキ組成物としては、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体をメチルエチルケトンおよびトルエンを用いて溶解した樹脂溶液に、着色剤やそのほかの添加物を配合したタイプのものを、接着剤層形成用組成物としては、ウレタンプレポリマーの酢酸エチルおよびトルエンの混合溶液に溶解したもの100部にイソシアネート系架橋剤5部を配合した、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤組成物を、また、保護層形成用組成物としては、アクリル樹脂のイソプロパノールおよびトルエンの混合溶液に溶解したもの100部にイソシアネート系架橋剤10部を配合した、2液硬化型アクリル樹脂系のものを用いた。
【0083】
以上のようにして得た比較例の化粧シートにつき、実施例の場合と同様にして測定した総揮発性有機化合物の濃度の結果は、12000μg/m3であった。
【0084】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、基材シート上に模様層および接着剤層を介して透明シートが積層され、さらに保護層が積層された積層構造を有し、模様層が水性組成物で、また、接着剤層および保護層が電離放射線硬化性組成物を用いて構成されているので、室内空気汚染の原因となる有機化合物の揮発を極力抑制することが可能な化粧シートを提供することができる。
【0085】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明におけるのと同様な積層構造を有しており、模様層および保護層が水性組成物で、また、接着剤が電離放射線硬化性組成物を用いて構成されているので、室内空気汚染の原因となる有機化合物の揮発を極力抑制することが可能な化粧シートを提供することができる。
【0086】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の化粧シートの製造を、印刷および乾燥、接着剤の塗布、積層、および電離放射線の照射、並びに保護層形成用塗料の塗布および乾燥により行なえ、得られる製品からの有機化合物の揮発を極力抑制可能な化粧シートの製造方法を提供することができる。
【0087】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の化粧シートの製造を、印刷および乾燥、接着剤の塗布、積層、および電離放射線の照射、並びに保護層形成用塗料の塗布および電離放射線照射により行なえ、得られる製品からの有機化合物の揮発を極力抑制可能な化粧シートの製造方法を提供することができる。
【0088】
請求項5の発明によれば、請求項1の発明の化粧シートの製造を、印刷および乾燥、接着剤の塗布および積層、保護層形成用塗料の塗布、並びに、接着剤層および保護層の硬化を兼ねる電離放射線照射により行なえ、得られる製品からの有機化合物の揮発を極力抑制可能な化粧シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 プライマー層
3 基材シート
4 模様層
5 接着剤層
6 透明シート
7 保護層
Claims (5)
- 基材シート上に、模様層および接着剤層、透明シート、ならびに保護層が順に積層された積層構造を有しており、前記模様層が水性組成物を用いて形成されたものであり、前記接着剤層および前記保護層が、いずれも分子中に重合性不飽和モノマーもしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなるものであることを特徴とする化粧シート。
- 基材シート上に、模様層および接着剤層、透明シート、ならびに保護層が順に積層された積層構造を有しており、前記模様層および前記保護層がいずれも水性組成物を用いて形成されたものであり、前記接着剤層が、分子中に重合性不飽和モノマーもしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなるものであることを特徴とする化粧シート。
- 基材シート、もしくは透明シートのいずれか一方に水性組成物を用いて印刷し、乾燥させて、模様層を形成した後、前記基材シートおよび前記透明シートの両シートを、前記模様層が前記両シートの内側になるよう、電離放射線硬化性組成物からなる層を介して積層し、積層した後、電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて接着剤層を形成し、その後、前記透明シートの前記基材シートとは反対側の面に、水性組成物を用いて塗布し乾燥させて保護層を形成することからなり、前記電離放射線硬化性組成物は、分子中に重合性不飽和結合もしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなることを特徴とする化粧シートの製造方法。
- 基材シート、もしくは透明シートのいずれか一方に水性インキを用いて印刷し、乾燥させて、模様層を形成した後、前記基材シートおよび前記透明シートの両シートを、前記模様層が前記両シートの内側になるよう、第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を介して積層し、積層した後、電離放射線を照射して、前記第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて接着剤層を形成し、その後、前記透明シートの前記基材シートとは反対側の面に、第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を形成し、形成後、電離放射線を照射して、前記第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて保護層を形成することからなり、前記第1および第2の電離放射線硬化性組成物は、いずれも、分子中に重合性不飽和結合もしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなることを特徴とする化粧シートの製造方法。
- 基材シート、もしくは透明シートのいずれか一方に水性インキを用いて印刷し、乾燥させて、模様層を形成した後、前記基材シートおよび前記透明シートの両シートを、前記模様層が前記両シートの内側になるよう、第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を介して積層し、積層した後、前記透明シートの前記基材シートとは反対側の面に第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を形成し、形成後、電離放射線を照射して、前記第1の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて接着剤層を形成すると共に、前記第2の電離放射線硬化性組成物からなる層を硬化させて保護層を形成することからなり、前記第1および第2の電離放射線硬化性組成物は、いずれも、分子中に重合性不飽和結合もしくはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、および/又はモノマーからなることを特徴とする化粧シートの製造方法。
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JP2007008150A (ja) * | 2005-06-02 | 2007-01-18 | Toppan Cosmo Inc | 化粧紙 |
JP2013199032A (ja) * | 2012-03-23 | 2013-10-03 | Dainippon Printing Co Ltd | 化粧板 |
JP2020032728A (ja) * | 2018-12-17 | 2020-03-05 | 大日本印刷株式会社 | エクステリア用化粧部材の製造方法 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003090554A patent/JP2004291588A/ja active Pending
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