JP2005156022A - 溶融炉の排ガス処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】排ガスの熱を有効利用できるとともに、効率よく排ガスを処理できる溶融炉の排ガス処理システムを提供する。
【解決手段】排ガス処理システム10において、溶融炉で発生した排ガスは二次燃焼室12で燃焼されてから、熱交換器14で燃焼エアと輻射式の熱交換が行われる。熱交換された排ガスは、空気冷却器16で開口部16Aから流入した外気エアと混合して空気冷却され、排ガス中に揮発する重金属類を積極的に析出される。空気冷却された排ガスは、水冷却器18内で噴霧管18Aから水を噴霧して急速に水冷却されてから、集塵装置20で溶融フライアッシュが集塵されて大気中へ排気される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶融炉の排ガス処理システムに係り、特に焼却灰を溶融炉で溶融した際に、排出される排ガスを処理する溶融炉の排ガス処理システムに関する。
従来、都市ゴミや下水汚泥などの廃棄物は廃棄物焼却炉などで焼却処分されるが、焼却の際に焼却灰が発生する。この焼却灰には有害物質を多く含まれるため、そのまま埋め立てを行うと環境汚染されるという問題がある上、焼却灰を完全にリサイクル又は再資源化することができないため、埋立スペースを必要とされる。
この焼却灰の処理方法としては、特許文献1で開示されているように、テルミット剤を混錬して溶融させるテルミット型の溶融炉がある。これにより、焼却灰を減容することができるとともに、溶融で生じるスラグは無害化しているため、コンクリート骨材又は道路用骨材などの資源として再利用することができる。
一方、溶融炉で発生した排ガスは、高温であるとともに、重金属類やダイオキシンなどの有害物質を含有する溶融フライアッシュが飛散した状態であるため、溶融炉から発生した排ガスは、系外へ排気する前に、排ガス処理する必要がある。
図3は、従来における溶融塔の排ガス処理システム70の流れを示す概略構成図である。
溶融の際に発生した排ガスは、二次燃焼室12で800°以上に燃焼されることにより、排ガスに含有されるダイオキシン類が分解無害化される。二次燃焼室12で燃焼された排ガスは、熱交換器14で図3の黒色点線矢印に流れる燃焼エアと熱交換される。これにより、排ガス温度を冷却して排ガス中に含まれる重金属類を析出できるとともに、排ガスの熱を溶融炉(図示せず)へ供給する燃焼エアの予熱として利用できるので、溶融炉(図示せず)の溶融を効率よく行うことができる。熱交換器14を通過した排ガスは、集塵装置20により溶融フライアッシュが回収されて系外へ排気される。これにより、大気を汚染することなく排ガスを排気することができる。
特開2001−90933号公報
しかしながら、従来における排ガスの処理では熱交換器に析出した重金属類が付着堆積するため、熱交換器の熱交換能力を低下させるとともに、排ガスの流路を閉塞して排ガスの処理効率を低下させるという問題があった。
また、重金属類を析出させるために、エアや水を噴霧して排ガスを冷却する冷却塔を熱交換器の上流に設けてもよいが、排ガスの熱を燃焼エアの予熱として有効利用できない上、噴霧するノズル周辺に重金属類が析出して堆積するため、噴霧するノズルが閉塞されて冷却効率が低下するという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、排ガスの熱を有効利用できるとともに、効率よく排ガスを処理できる溶融炉の排ガス処理システムを提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、溶融炉から排出される排ガスを処理して系外に排気する溶融炉の排ガス処理システムにおいて、前記排ガスを再燃焼する二次燃焼室と、前記再燃焼した排ガスを前記溶融炉へ供給する燃焼エアと熱交換する輻射式の熱交換器と、前記熱交換した排ガスを空気冷却する空気冷却器と、前記空気冷却した排ガスを水冷却する水冷却器と、前記水冷却した排ガスからフライアッシュを集塵する集塵機と、を備えたことを特徴とする。
請求項1によれば、先ず、二次燃焼室で排ガスを再燃焼することにより、溶融炉で生じた排ガス中のダイオキシン類を分解することができる。次に燃焼室で再燃焼された排ガスは、輻射式の熱交換器へ供給されて、溶融炉へ供給される燃焼エアと熱交換される。この熱交換において、輻射式の熱交換器の構造は排ガスが通過する流路を大径にできるので、熱交換による排ガス温度の低下により排ガス中の重金属が析出しても流路が閉塞しないようにできる。これにより、熱交換器内に析出した重金属類が付着堆積して排ガスの流路が閉塞するという従来の問題を解決することができる。
熱交換された排ガスは、空気冷却、水冷却の2段階冷却を行うとともに、空気冷却時に排ガス中に含まれる大部分の重金属類を析出させて回収する。この空気冷却器は、水冷却器よりも冷却能力は小さいが構造が簡単で水冷却器のように水を噴霧するためのノズルのように細管部分を必要としない。従って、析出した重金属類が空気冷却器内を閉塞させる等の不具合を生じさせることがない。そして、空気冷却により重金属を排ガスから除去した後で冷却能力の大きな水冷却を行う。このように、前段の空気冷却と後段の水冷却とを組み合わせることにより、冷却能力を確保しつつ、析出した重金属類で水噴霧のためのノズルが閉塞するという従来の問題を解決することができる。
空気冷却器と水冷却器で冷却された排ガスは、集塵機に供給され、排ガス中に存在する溶融フライアッシュを回収した後、大気中に放出される。
請求項2は請求項1において、前記熱交換器及び空気冷却器において、前記熱交換器出口の排ガス温度が740〜760°Cの範囲であるとともに、前記空気冷却器出口の排ガス温度が290〜310°Cの範囲であることを特徴とする。
請求項2によれば、溶融炉で発生する排ガス中には析出温度が300〜700°C程度の重金属類が多く含まれているので、熱交換器出口の排ガス温度を740〜760°Cの範囲とすれば、熱交換器内での重金属の析出を抑制できる。これにより、熱交換器を輻射式にしたことと相まって、熱交換器内が析出した重金属類で閉塞するという従来の問題を確実に解決することができる。この場合、熱交換器出口の排ガス温度は740°C以上としてもよいが、出口温度を高く設定しすぎると熱交換による熱回収効率が悪くなるので、上限は760°Cとすることが好ましい。
また、空気冷却器出口の排ガス温度を290〜310°Cの範囲とすれば、排ガス中の重金属を空気冷却において積極的に析出させることができる。この場合、空気冷却器出口の排ガス温度は290°C以下としてもよいが、出口温度を低く設定しすぎると空気冷却での所要時間が長くなるので、290〜310°Cの範囲とすることが好ましい。
請求項3は請求項1又は2において、前記輻射式の熱交換器は、外筒と、前記排ガスをその接線方向から流入させて旋回流を発生させるサイクロン構造の内筒とで二重筒構造に形成するとともに、前記外筒と前記内筒との間に前記燃焼エアを供給する通気ダクトを形成して成ることを特徴とする。
請求項3によれば、輻射式の熱交換器を内筒と外筒の二重筒構造とし、しかも内筒を該内筒の接線方向から排ガスを流入させて旋回流を発生させるサイクロン構造にした。これにより、二次燃焼室からの排ガスは、内筒にその接線方向から流入して、内筒内の上部から下部に向けて旋回する旋回流を形成するので、内筒内で重金属類が析出しても旋回流の遠心力で排ガスから分離されて内筒底部に蓄積される。このとき、溶融炉へ供給する燃焼エアは、内筒と外筒との間に形成された通気ダクトに供給されるので、内筒内の高温な排ガスとの間で輻射式の熱交換を行い加熱される。また、内筒の底部に蓄積された重金属類は定期的に排出すればよく、内筒の底部に開閉ダンパを設けて自動的に排出するようにすれば更によい。
以上説明したように本発明に係る溶融炉の排ガス処理システムによれば、二次焼却室で燃焼した排ガスを熱交換器で740〜760°Cの範囲で輻射式に熱交換してから、空気冷却器で290〜310°Cの範囲まで空気冷却し、水冷却器で温度低下させてから集塵機で集塵することにより、排ガスの熱を有効利用できるとともに、排ガスの処理を効率よく行うことができる。
以下添付図面に従って本発明に係る溶融炉の排ガス処理システムにおける好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の実施の形態である溶融炉の排ガス処理システム10の流れを示した概略構成図である。
排ガス処理システム10は、主に二次燃焼室12、熱交換器14、空気冷却器16、水冷却器18、集塵装置20、及び調整手段であるコントローラから構成される。
焼却灰溶融時に発生した排ガスは、まず二次燃焼室12に下方から供給されて、下方に設けられたバーナー12Aにより燃焼される。このとき、燃焼された溶融フライアッシュが底部に沈下して回収され、燃焼された排ガスは上方から排気されて熱交換器14へ供給される。なお、二次燃焼室12での排ガスの流れる方向は限定するものではなく、上方から供給して下方から排気してもよい。
熱交換器14へ供給された排ガスは、上流の溶融炉(図示せず)で燃焼を行うための燃焼エアと輻射式に熱交換されて冷却される。
図2は、輻射式の熱交換器14の透明斜視図である。図2に示すように、熱交換器14は、主に内筒24と、外筒26と、開閉ダンパ28とで構成される。
内筒24は、上部側面に排ガス給気管24Aが配設されるとともに、上部中央から挿入された状態で排ガス排気管24Bを設置される。これにより、図2に黒色矢印で示すように、内筒24は排ガスを接線方向から流入して旋回流を発生させ、内筒24の下部から排ガス排気管24Bを経て排気されるサイクロン構造を形成する。
また、外筒26は内筒24の外周を覆う状態に設置され、外筒26の下面には燃焼エア給気管26Aが配設されるとともに、外筒26の上面には燃焼エア排気管26Bが配設される。これにより、内筒24と外筒26の二重筒構造が形成され、外筒26は、図2の白色矢印で示すように、燃焼エアブロワ32から供給された燃焼エアを排ガスの流れと対向する方向に通気させて溶融炉(図示せず)へ供給する通気ダクトを形成する。
開閉ダンパ28は内筒24の底部に設置され、内筒24の内部に析出した重金属類や沈下した溶融フライアッシュを蓄積させる。また、開閉ダンパ28は開閉自在な構造を有しており、蓄積された重金属類及び溶融フライアッシュを排出機(図示せず)でシールして自動的に排出する。
空気冷却器16は上面に開口部16A及び調整ダンパ16Bが設けられており、熱交換器14から流入した排ガスは負圧により開口部16Aから流入した外気エアと混合し、空気冷却器16の出口の温度が290〜310°Cの範囲、好ましくは300°Cになるように空気冷却されて、水冷却器18へ供給される。
水冷却器18は内部上方に噴霧管18Aが配設されており、噴霧管18Aから下方へ水を霧状に噴霧することにより、水冷却器18に流入した排ガスを水冷却して集塵装置20へ供給する。水冷却器18の出口から排出される排ガス温度は、噴霧管18Aからの噴霧水量によって調整される。
集塵装置20は内部にバグフィルタ20Aが配置され、集塵装置20の下流近傍には排気ブロワ40が設置される。排気ブロワ40の駆動により集塵装置20の下方から流入した排ガスは、バグフィルタ20Aを通過することにより排ガス中に残存する溶融フライアッシュが回収されて安全無害化され、集塵装置20の上方から大気中へ排気される。
次に、上記の如く構成された溶融炉の排ガス処理システム10における作用について説明する。
まず、溶融炉(図示せず)で発生した排ガスを二次燃焼室12で燃焼することにより、排ガス中に飛散する溶融フライアッシュのダイオキシン類を燃焼して無毒化することができる。燃焼されて二次燃焼室12の底部に沈下した溶融フライアッシュは、安全無害化されたスラグとして再利用することができる。
次に、熱交換器14において、二次燃焼室12から供給されて内筒24内へ接線流入した排ガスは外筒26を通過する燃焼エアと輻射式の熱交換を行うため、高温である排ガスの熱によって燃焼エアを効率よく予熱することができる。
また、熱交換時に排ガスの温度低下により重金属類が析出したとしても、排ガスの流路は大径である上、析出した重金属類は内筒24の内壁を伝って開閉ダンパ28へ沈下して蓄積される。このため、重金属類の析出によって排ガスの流路を閉塞することを効果的に防止できる。
さらに、開閉自在な開閉ダンパ28が内筒24の底部に設置されているため、堆積した重金属類や溶融フライアッシュを自動的に系外へ排出することができる。
しかも、熱交換器14では、排ガス排気管24Bから排出される排ガス温度が740〜760°Cの範囲、好ましくは750°Cになるように、燃焼エアブロワ32によって燃焼エアの流量が調整されている。溶融炉(図示せず)で生じた排ガスには、析出温度が300〜700°Cの範囲の重金属類が多く含まれる。したがって、コントローラにより熱交換器14内の排ガス温度は少なくても740°以上に保持されるので、熱交換器14内での重金属類の析出を抑えることができる。
次に、空気冷却器16において、熱交換器14から供給された排ガスは、上面に設けられた開口部16Aから流入した外気エアと混合し、空気冷却器16の出口の排ガス温度が290〜310°C、好ましくは300°Cになるように空気冷却される。上述したように、排ガス中に多く含まれる重金属類の析出温度は300〜700°Cの範囲であるため、空気冷却器16において排ガス中の重金属類を積極的に析出させて回収することができる。
こうして空気冷却器16から排気される排ガスは略200°C以上の高温であるため、そのまま集塵装置20へ供給すると、バグフィルタ20Aが熱によって損傷される。そこで、水冷却器18で空気冷却器16から供給された排ガスに対して噴霧管18Aから水を噴霧することにより、急速に排ガスを冷却することができるので、集塵装置20へ供給して安全な排ガスとして大気中に排気することができる。このとき、空気冷却器16で排ガス中の重金属類がほとんど析出されているため、水冷却器18では重金属類が析出して噴霧管18Aを閉塞させることなく、排ガスを効率よく冷却することができる。
このように、排ガス処理システム10において、二次燃焼室12、熱交換器14、空気冷却器16、水冷却器18、集塵装置20を順番に設けることにより、最初の段階で排ガスの熱を燃焼などの熱源として有効的に利用できるので、熱源に要するコストを低減することができるとともに、重金属類の析出を行った後に冷却が行われるので、効率のよい冷却及び集塵を行うことができる。これにより、効率のよい排ガスの処理を行うことができる。
本発明の実施の形態である溶融炉の排ガス処理システムの流れを示した概略構成図 本発明の実施の形態である溶融炉の排ガス処理システムに設けられた熱交換器の概略構成を示す透明斜視図 従来の溶融炉の排ガス処理システムの流れを示した概略構成図
符号の説明
10…溶融炉の排ガス処理システム、12…二次燃焼室、14…熱交換器、16…空気冷却器、16A…開口部、16B…調整ダンパ、18…水冷却器、18A…噴霧管、20…集塵装置、20A…バグフィルタ、24…内筒、24A…排ガス給気管、24B…排ガス排気管、26…外筒、26A…燃焼エア給気管、26B…燃焼エア排気管、28…開閉ダンパ、32…燃焼エアブロワ、40…排気ブロワ

Claims (3)

  1. 溶融炉から排出される排ガスを処理して系外に排気する溶融炉の排ガス処理システムにおいて、
    前記排ガスを再燃焼する二次燃焼室と、
    前記再燃焼した排ガスを前記溶融炉へ供給する燃焼エアと熱交換する輻射式の熱交換器と、
    前記熱交換した排ガスを空気冷却する空気冷却器と、
    前記空気冷却した排ガスを水冷却する水冷却器と、
    前記水冷却した排ガスからフライアッシュを集塵する集塵機と、を備えたことを特徴とする溶融炉の排ガス処理システム。
  2. 前記熱交換器及び空気冷却器において、前記熱交換器出口の排ガス温度が740〜760°Cの範囲であるとともに、前記空気冷却器出口の排ガス温度が290〜310°Cの範囲であることを特徴とする請求項1の溶融炉の排ガス処理システム。
  3. 前記輻射式の熱交換器は、
    外筒と、前記排ガスをその接線方向から流入させて旋回流を発生させるサイクロン構造の内筒とで二重筒構造に形成するとともに、前記外筒と前記内筒との間に前記燃焼エアを供給する通気ダクトを形成して成ることを特徴とする請求項1又は2の溶融炉の排ガス処理システム。
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