JP2005154863A - 圧粉磁心用金属粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉末に対する被覆処理の高能率化を図り得るだけでなく、圧粉特性を高めて、圧粉磁心にした場合に磁気特性を一層向上させることができる、圧粉磁心用金属粉末の有利な製造方法を提案する。
【解決手段】容器内1に強磁性体金属粉末2を収容し、該容器内に設置した撹拌羽根3を先端部の回転速度:1.5 m/s 以上で回転させると共に、被覆液の噴霧を司る噴霧ガス6に流動用ガスを兼務させて、強磁性体金属粉末の上方から 3.0 m/s以上の速度で該金属粉末中に吹き込むことによって、該強磁性体金属粉末を撹拌流動させつつ、該強磁性体金属粉末を60℃以上、110 ℃以下の温度に加熱保持することによって、該噴霧ガスにより強磁性体金属粉末の表面に噴霧された被覆液を乾燥させて被覆層を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、絶縁性に優れ、かつ圧粉体としたときに優れた磁気特性が得られる圧粉磁心用金属粉未の製造方法に関するものである。
本発明に係る圧粉磁心用金属粉未は、各種自動車部品や電気部品等に用いられる強磁性体圧粉磁心の原料として好適なものである。
粉末冶金技術は、複雑な形状の部品をニアネット形状でしかも高寸法精度に製造することが可能であるため、切削コストの大幅な低減が可能となる。このため、自動車部品、電気部品等において粉末冶金製品が広く採用されている。
かような自動車部品、電気部品等に用いられる粉末冶金製品において、原料となる粉末は、これらの部品の用途や要求される特性に応じて適宜選択される。
近年、かような部品の特性を一層向上させるために、粉末の表面を種々の物質で被覆した被覆粉末が検討されている。特に電気部品等に使用される圧粉磁心には、鉄粉等の強磁性体金属粉末の表面を絶縁層で被覆したものが提案されている。
例えば、特許文献1には、鉄を主成分とする軟磁性粉末を、PやMg,Si,Bなどを含むガラス状絶縁層で被覆した圧粉磁心が提案されている。
また、特許文献2には、リン酸塩の被覆を施した低酸素粉末が提案されている。
特開平6−260319号公報 特表2000−504785号公報
しかしながら、特許文献1に開示の圧粉磁心では、成形圧を 6 t/cm2超にするとガラス状絶縁層の破壊を招くことがあるため、高圧成形が難しいという問題があった。高圧成形ができないと高い圧粉密度が得られず、ひいては圧粉体の強度や磁束密度等の磁気特性において高特性が望めない。
また、特許文献2に開示の粉末では、その製造に際し、被覆液の溶媒として水を用いた場合、粉末の酸素含有量が原粉の酸素含有量よりも0.2 %以上高くなり、好ましくないことから、エタノール等の有機溶剤を使用する必要がある。このため、取り扱いが困難となるだけでなく、後処理等を含めた処理装置が複雑になるという問題があった。
ところで、粉末の表面に被覆層を形成する方法としては、被覆層の主成分となる物質を含有する被覆液に粉末を浸漬後、乾燥する方法、被覆液を粉末と機械的に混合し乾燥する方法、粉未に被覆液を噴霧、乾燥する方法等がある。
しかしながら、被覆液に粉末を浸漬後、乾燥する方法では、粉末と被覆液を分離することが容易ではない上、乾燥に多大のエネルギーを必要とする不利がある。特に被覆液が粉末と反応を伴う場合には、粉末と被覆液の接触時間の違いにより被覆が不均一になる可能性が高い。
また、被覆液を粉末と機械的に混合する方法では、粉末の表面全体を均一に被覆液と接触させ、均一な被覆層を形成させることは困難である。
この点、粉末に被覆液を噴霧、乾燥させる方法では、上記したような問題は少ない。
以下、この粉末に被覆液を噴霧、乾燥させる方法について述べる。
図1は、粉末に被覆液を噴霧して被覆層を形成する場合に、従来から使用されている装置の一例を摸式的に示す断面図である。
同図に示したように、容器1内に粉体2を収容し、容器1の底部に設置した撹拌羽根3を回転軸4を中心にして回転させて、粉体2を撹拌する。図中の矢印aは回転軸4の回転の向きを示し、矢印bは撹拌による粉体2の流れを示す。
また、粉体2の上方には、噴霧ガスと被覆液を同時に供給する二流体ノズル5が配設されている。この二流体ノズル5に噴霧ガス6と被覆液7を供給することにより、該被覆液7は粉体2に噴霧される。
そして、被覆液7には、被覆層の主成分となる物質が溶解または分散しているので、被覆液7を粉体2に噴霧しつつ被覆液7を乾燥させることによって、粉体2の表面に被覆層が形成される。
なお、撹拌と噴霧を組み合わせた表面被覆法の例としては、特許文献3に、フッ素化合物皮膜で構成される保護層を磁石用合金粉末に被覆する例が示されているが、同文献3には、撹拌速度や噴霧ガスの吹き込み速度については何ら記載されていない。
特開平2000−34502号公報
図1に示した装置を用いた場合、容器1内の粉体2の流れは、撹拌羽根3の回転による撹拌(すなわち矢印b)のみであるので、粉体2の上方から噴霧された被覆液7を、粉体2の表面全面に均一に付着させることは極めて難しい。
上記の方法の改良案として、非特許文献1において、その図4.11.5に転動流動層として示されるような装置を用いる方法が検討されている。
すなわち、図2に示すように、容器1の底部から、容器内に流動用ガス8を吹き込みながら、容器1の側面から被覆液7を粉体2中に噴霧することにより、容器1内の粉体2に均一に被覆層を形成しようとするものである。なお、図中の矢印cは流動用ガス8による粉体2の舞い上がりを示している。また、流動とは、矢印cのような粉体の舞い上がりをいう。
粉体工学便覧(第2版、粉体工学会編、日刊工業新聞社刊)P .375
つまり、この装置では、粉体2の流れとして、撹拌羽根3の回転による撹拌(すなわち矢印b)に加えて、流動用ガス8の吹き込みによる舞い上がり(すなわち矢印c)が発生する。このようにして舞い上がった粉体2に、被覆液7を噴霧することによって、粉体2の表面全面に均一に被覆層が形成される。
しかしながら、この装置では、全体の構造が複雑になり、設備保全の負荷が増大する不利がある。
この点、発明者らは先に、上記の問題を解決するものとして、特許文献3において、新規な粉体の被覆方法を提案した。
この方法は、容器内に粉体を収容し、前記容器の底部に配設した撹拌羽根を先端部の回転速度 1.5 m/s以上で回転させ、同時に前記粉体の上方から 3.0 m/s以上の流速で流動用ガスを前記粉体中に吹き込むことによって前記粉末を撹拌流動させると共に、前記粉体の上方から被覆液を噴霧することにより、前記粉体に前記被覆液を付与しかつ前記被覆液を乾燥させ、被覆層を形成することからなる粉体の被覆方法である。
上記の被覆方法の開発により、粉体に対して簡便かつ均一に被覆層を形成することが可能となった。
本発明は、上記の被覆技術をさらに改善したもので、粉末の撹拌流動処理および被覆液の乾燥処理を、所定の温度範囲で行うことによって、被覆処理の高効率化を図ると共に、被覆した粉体を圧粉磁心にした場合に磁気特性の一層の向上を図ることができる、圧粉磁心用金属粉末の有利な製造方法を提案することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.強磁性体金属粉末の表面に、被覆液としてリン酸およびアルミニウムイオンを含有する水溶液を噴霧し、乾燥させることによって、該金属粉末の表面に被覆層を形成するに際し、
容器内に強磁性体金属粉末を収容し、該容器内に設置した撹拌羽根を先端部の回転速度:1.5 m/s 以上で回転させると共に、被覆液の噴霧を司る噴霧ガスに流動用ガスを兼務させて、強磁性体金属粉末の上方から 3.0 m/s以上の速度で該金属粉末中に吹き込むことによって、該強磁性体金属粉末を撹拌流動させつつ、該強磁性体金属粉末を60℃以上、110℃以下の温度に加熱保持することによって、該噴霧ガスにより強磁性体金属粉末の表面に噴霧された被覆液を乾燥させて被覆層を形成することを特徴とする圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
2.強磁性体金属粉末の表面に、被覆液としてリン酸およびアルミニウムイオンを含有する水溶液を噴霧し、乾燥させることによって、該金属粉末の表面に被覆層を形成するに際し、
容器内に強磁性体金属粉末を収容し、該容器内に設置した撹拌羽根を先端部の回転速度:1.5 m/s 以上で回転させると共に、被覆液の噴霧系統とは別途に設けた流動ガス噴射用ノズルから流動用ガスを、強磁性体金属粉末の上方から 3.0 m/s以上の速度で該金属粉末中に吹き込むことによって、該強磁性体金属粉末を撹拌流動させつつ、該強磁性体金属粉末を60℃以上、110 ℃以下の温度に加熱保持することによって、該噴霧ガスにより強磁性体金属粉末の表面に噴霧された被覆液を乾燥させて被覆層を形成することを特徴とする圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
3.前記強磁性体金属粉末の加熱手段が、容器全体を加熱するものであることを特徴とする上記1または2記載の圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
4.前記強磁性体金属粉末の加熱手段が、流動用ガスの温度を調整するものであることを特徴とする上記2記載の圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
5.前記撹拌羽根を先端部の回転速度:1.5 〜30 m/sで回転させると共に、前記強磁性体金属粉末の上方から 3.0〜500 m/s の速度で流動用ガスを前記強磁性金属粉末に吹き込みつつ、前記強磁性体金属粉末を60℃以上、90℃以下の温度に加熱保持することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
本発明によれば、取り扱いが容易な水溶液の被覆液を用い、簡便な手段で強磁性金属粉末の表面に高圧成形が可能な絶縁性の被覆層を均一に形成することができる。
また、本発明により被覆層を形成させた強磁性金属粉末を用いて製造した圧粉磁心では、高比抵抗(従って低鉄損)および高磁束密度を達成することができる。
本発明では、原料として、鉄などの強磁性金属を主成分とする強磁性体金属粉末を使用する。具体的な例としては、アトマイズ鉄粉、還元鉄粉、鉄基合金鋼粉およびステンレス鋼粉などが挙げられる。かかる強磁性体金属粉末の平均粒径は50〜150 μm 程度とするのが好適である。
また、被覆材の原料であるリン酸としては、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン酸、四リン酸およびそれらの塩などが有利に適合する。なお、これらはいずれも水に可溶なものである。
一方、アルミニウムイオンを供給するアルミニウム化合物としては、アルミニウムを含むものであればどのようなものでもかまわないが、例えばアルミニウムのリン酸塩、硝酸塩、酢酸塩および水酸化物等などが有利に適合する。
その他、本発明では、アルミニウム以外の金属を含む金属化合物を併用することもできる。そのような金属化合物としては、Mg,Mn,Zn,Co,Ti,Sn,Ni,Fe,Zr, Sr, Y, Cu,Ca,VおよびBaなどの金属元素を含有する、リン酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩および水酸化物等などが例示される。
なお、これらの金属化合物も水に可溶なものである。
さらに、本発明では、被覆液中において、被覆層を形成する物質の濃度は 0.5〜20質量%程度とするのが好適である。
また、被覆層を形成する物質中のリンの含有量をP(mol)、全金属元素の含有量をM(mol)とすると、そのモル比P/Mを1以上、10未満とすることが好ましい。P/M比が1未満では、金属表面での化成反応が不十分であり、金属粉末表面の化成膜の密着性が低下するため、成形体の強度や絶縁性の低下を招き、一方P/M比が10以上になると、被覆処理後に遊離したリン酸が残存するようになり、金属粉末の腐食が生じるおそれがあるからである。好ましいP/M比は、1以上、5以下の範囲である。さらに、比抵抗のばらつきや不安定化を効果的に防止するには、P/M比を2以上、3以下と範囲に制御するのが一層有利である。
なお、強磁性体金属粉末に対する被覆液の噴霧量は、粉体1kg当たり1〜100 mg/s程度が好適である。
以下、本発明を具体的に説明する。
図3および図4に、本発明の圧粉磁心用金属粉末の製造に用いて好適な装置の例を模式で示す。図3は、噴霧ガスに流動用ガスを兼務させた場合、また図4は、被覆液の噴霧系統とは別途に流動ガス噴射用ノズルを設けた場合である。なお、図4において、流動ガス噴射が別途あるので、噴霧用ノズルは必ずしも二流体ノズルに限定しなくてもよい。
構成の骨子は、前掲図1に示した装置と共通するので、同一の番号を付して示し、図中番号9が流動ガス噴射用ノズル、10が流動用ガスである。
さて、図3に示したところにおいて、容器1内に粉末2を収容し、粉末2全体が撹拌され、均一に混合されるように設置した撹拌羽根3を回転軸4を中心にして回転させる。
この際、撹拌羽根の直径は、 100〜2000mm程度で、容器の内径(底面の断面形状が非円形の場合は内接する円の径)の 0.7〜1倍程度とすることが好ましい。
なお、撹拌羽根は、図3、図4に示したように、容器内において一段に限定されるものではなく、二段以上設置してもよい。
また、容器は、円筒状とすることが好ましいが、水平断面が六角形や八角形などの多角形、さらには楕円などほぼ円形であれば好適に使用することができる。
さらに、容器への粉末の充てん量は、粉末層の厚み(充填される高さ)が撹拌羽根の直径の2分の1以下とすることが好ましい。
表1に、上記した撹拌羽根の回転速度が粉末の撹拌に及ぼす影響について調査した結果を示す。
実験は、粉末としてアトマイズ純鉄粉(JFEスチール(株)製 KIPTM-304AS)を円筒容器(容器内径:12.7cm, 31.0cm, 62.2cm)内に収容し、粉末を静止させた後、撹拌羽根を30秒間回転させた。円筒容器内に収容した粉末は2kg,20kg,200 kgとし、それぞれの粉末量の1質量%の染料を粉末層表面の一箇所より加え、その後撹拌羽根の回転数を種々変化させて、粉末の混合状態を目視で観察した。なお、撹拌羽根としては、その直径が円筒容器の内径の約 0.9倍のものを用いた。また、撹拌羽根は、図3同様、容器内の粉末全体が撹拌され、均一に混合される位置に一段設置した。
Figure 2005154863
同表から明らかなように、撹拌羽根の先端部の回転速度が 1.5 m/s以上であれば、粉末は容器内で十分に撹拌され、均一に混合されることが確認された。
但し、粉末粒子の強度や靱性によっては、回転速度が30 m/sを超えると、せん断力により粒子が変形または破壊して、粉末特性が大きく変化するので好ましくない。従って、撹拌羽根の先端部の回転速度の上限は30 m/s程度とするのが好ましい。
次に、強磁性体金属粉末に対する流動用ガスの吹き込み速度が、粉末の撹拌に及ぼす影響について調査した。
図3に示した装置では、噴霧ガス6を流動用ガスとして兼用させる。一方、図4に示した装置では、被覆液の噴霧系統とは別途に設けた流動ガス噴射用ノズル9から流動用ガス10を吹き込む。
いずれの場合でも、流動用ガスを吹き込むことによって、粉末2の舞い上がり(すなわち矢印c)を発生させることができる。
なお、上記した噴霧ガス6や流動用ガス10としては、用途に応じて窒素ガスなどの不活性ガスを用いても良いが、一般には空気で良い。また、これらのガスは、通常室温とするが、後述するように、必要に応じて流動用ガスの温度を調整することができる。
表2に、上記した流動用ガスの吹き込み速度が粉末の撹拌に及ぼす影響について調査した結果を示す。
実験は、前述の実験と同じアトマイズ純鉄粉を容器1内(水平断面が直径:約180 mmの円形)に収容し、撹拌羽根を使用せず、粉末を静止させた後、流動ガス噴射用ノズル9を粉末2の上面に接する位置に固定し、室温の空気を流動用ガス10として噴射した。この時の流動用ガス10の流速は、流動用ガス10が粉末2に接触する位置における流速(すなわち流動用ガス10を粉末2中に吹き込む速度)である。
上記の条件下で、流動ガス噴射用ノズルの噴射孔の面積を1.04mm2, 13.9mm2, 55.0mm2に変更すると共に、流動用ガスの流量を表2に示すように種々変化させた場合における、粉末の舞い上がりの有無を目視で観察した。
Figure 2005154863
同表から明らかなように、流動用ガスを粉末中に吹き込む速度が 3.0 m/s以上であれば、粉末の舞い上がりが認められた。
但し、吹き込み速度が 500 m/sを超えると、流動用ガスの噴射装置の負荷が増大して設備故障の原因になるので、吹き込み速度の上限は 500 m/s程度とするのが好ましい。
本発明は、上記した表1,表2の知見から、撹拌羽根による撹拌と流動用ガスによる粉体の舞い上がりを、同時に発生(以下、撹拌流動という)させることによって、粉末の表面全面に被覆液を均一に被覆することができ、その結果、均一な被覆層を形成できる。
ここで、流動用ガス(または噴霧ガス)を粉末に吹き込む位置は、任意に設定することができるが、図3および図4に示したように、撹拌羽根の先端部近傍(すなわち撹拌羽根による撹拌が最も活発な領域)に上方より吹き込むと、舞い上がりが効率よく発生するため好ましい。また被覆液は、舞い上がりが発生している領域に向けて噴霧することが好ましい。
なお、本発明では、容器の底部には流動用ガスの配管や吹き込み装置を配設する必要はない。また、噴霧を行う領域の粉末のみを舞い上がらせれば良いため、流動用ガスの流量は少なくて済む。
従って、簡便な手段で、被覆液を粉末全体に均一に噴霧し逐次乾燥させることによって、粉末の表面に被覆層を形成することができる。
さらに、被覆液が噴霧された個々の粉末粒子は、他の粒子が噴霧されている間も流動するガスに触れるので、噴霧工程中に乾燥も進行する。しかしながら、乾燥を促進するために、容器を加熱したり、流動用ガスを加熱して送風することもできる。
ところで、かような加熱処理を併用して被覆した粉末を圧粉磁心にした場合に磁気特性が効果的に向上する場合があることが新たに知見された。
そこで、発明者らは、この加熱処理が、圧粉磁心の磁気特性に及ぼす影響について検討を行った。
その結果、強磁性体金属粉末を撹拌流動させつつ、この強磁性体金属粉末を60℃以上、110 ℃以下の温度に加熱保持することにより、被覆処理の効率が向上するだけでなく、圧粉磁心の磁気特性が有利に向上することの知見を得た。
図5に、強磁性体金属粉末の加熱保持温度が、被覆した粉体を圧粉磁心とした時の磁気特性(比抵抗)に及ぼす影響について調べた結果を示す。
同図から明らかなように、加熱保持温度が60℃以上、110 ℃以下の範囲で、800 μΩm以上という高い比抵抗が得られている。
ここに、強磁性体金属粉末の加熱温度が60℃に満たないと、乾燥処理に長時間を要して被覆処理効率の低下を招き、一方加熱温度が 110℃を超えると圧粉磁心とした場合の絶縁性が低下して、効果的に圧粉磁心の磁気特性を向上させることが難しくなる。
なお、粉末を 110℃超に加熱すると圧粉体の絶縁性が低下する原因としては、 110℃超でアルミニウムを含むリン酸化合物は加水分解が進み易い不安定な物質へと相変態することが知られており(津波古充朝:「無機高分子」CMC (1985)、P.265 〜266 )、この不安定な物質で構成される被覆層が十分な絶縁性を示さないためと考えられる。
また、圧粉体の絶縁性を安定化させるには、加熱温度は90℃以下とすることがより好ましい。
粉体の乾燥を促進する方法としては、容器全体を加熱することによって、粉末を加熱する方法が特に有利である。粉末自体を加熱することにより、乾燥に必要なガスの流量を少なくすることができ、装置の構造を簡略化できる。また、容器全体の加熱方法としては、容器自体に蒸気やオイル等の熱媒体を循環させる方法や容器にリボンヒーターを巻き付けて加熱する方法等がある。
また、流動用ガスを加熱して送風することによっても、粉体の乾燥を促進させることができる。
表3の発明例1〜6および比較例1〜5は、図3に示す装置を用い、粉末2としてアトマイズ純鉄粉(JFEスチール(株)製 KIPTM-304AS;平均粒径:75μm 、見かけ密度:3.0 Mg/m3)を使用した。また、被覆液7としては、リン酸およびアルミニウムイオンを含有する固形分濃度:5質量%の水溶液を使用した。上記被覆液のP/M比は3とした。
上記粉末2を容器1に充てんし、撹拌羽根3の先端部の回転速度、噴霧ガス6の吹き込み速度および粉末2の温度を種々に変化させて、20kgの粉末2を撹拌流動させながら、被覆液7を粉末2の上方から2000秒間噴霧し、逐次乾燥させて、被覆層を形成した。
なお、容器1としては、直径が300 mmの円筒状容器を使用し、撹拌羽根3の羽根直径は280 mmとした。また、流動用ガスを兼ねる噴霧ガス6は、室温の空気を使用した。被覆液の時間当たりの噴霧量は400 mg/sとした。
また、表3の発明例7〜9は、図4に示す装置を用い、粉末2および被覆液7は、上記と同じものを用いた。
上記粉末2を容器1に充填し、撹拌羽根3の先端部の回転速度を一定(=8.0 m/s)として、噴霧ガス6と流動用ガス10の吹き込み速度および粉末2の温度を種々に変化させて、20kgの粉末2を撹拌流動させながら、被覆液7を粉末2の上方から2000秒間噴霧し、逐次乾燥させて被覆層を形成した。また、流動用ガス10と噴霧ガス6は共に室温の空気を用いた。被覆液の時間当たりの噴霧量は400 mg/sとした。
なお、いずれの場合も、粉末の温度は、容器全体を加熱することにより調整した。
かくして得られた被覆層を有する粉末を、 980 MPaまたは1470 MPaで加圧成形し、リング形状(外径:38mm,内径:25mm,厚さ:6.2 mm)の試料を作製した。
得られた試料の比抵抗および磁束密度について調べた結果を表3に併記する。
なお、比抵抗(μΩm)は四端子法で測定した。この比抵抗が大きいほど、粉末の絶縁性が優れており、均一な被覆層が形成されたことを示している。
また、磁束密度は、リングコアに1次側:100 ターン、2次側:20ターンの巻線を施し、直流磁化特性測定装置を用いて 10 kA/mの磁化を印加した時の磁束密度B10k で評価した。
Figure 2005154863
表3中、比較例1は、撹拌羽根先端部の回転速度と噴霧ガスの流速が本発明の範囲を外れる例であり、比較例2は、撹拌羽根先端部の回転速度が本発明の範囲を外れる例であり、比較例3は、噴霧ガスの流速が本発明の範囲を外れる例であり、比較例4および5は粉末の温度が本発明の範囲を外れる例である。
発明例1〜9では、比抵抗が 801〜1320μΩmであったのに対して、比較例1〜5では17〜184 μΩmの比抵抗しか得られなかった。また、発明例1〜9では、B10k が1.62〜1.68Tであったのに対して、比較例1〜5では1.45〜1.55Tであった。
このように、本発明に従い被覆層を形成した鉄粉はいずれも、980 MPa 以上の高圧成形が可能であり、また圧粉体の比抵抗が大きいことから絶縁性に優れ、さらに高い磁束密度を得られることが確かめられた。
本発明に従い得られた圧粉磁心用金属粉末は、均一な絶縁被覆層を有し、また高圧成形が可能であるので、損失(鉄損)が小さくかつ磁束密度が高い圧粉磁心を製造するための原料として極めて有用である。
粉末に被覆液を噴霧して被覆層を形成する従来装置の一例を模式的に示す断面図である。 粉末に被覆液を噴霧して被覆層を形成する従来装置の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の圧粉磁心用金属粉末の製造に用いて好適な装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の圧粉磁心用金属粉末の製造に用いて好適な装置の他の例を模式的に示す断面図である。 強磁性体金属粉末の加熱保持温度が、圧粉磁心の比抵抗に及ぼす影響を示す図である。
符号の説明
1 容器
2 粉体
3 撹拌羽根
4 回転軸
5 二流体ノズル
6 噴霧ガス
7 被覆液
8 流動用ガス
9 流動ガス噴射ノズル
10 流動用ガス

Claims (5)

  1. 強磁性体金属粉末の表面に、被覆液としてリン酸およびアルミニウムイオンを含有する水溶液を噴霧し、乾燥させることによって、該金属粉末の表面に被覆層を形成するに際し、
    容器内に強磁性体金属粉末を収容し、該容器内に設置した撹拌羽根を先端部の回転速度:1.5 m/s 以上で回転させると共に、被覆液の噴霧を司る噴霧ガスに流動用ガスを兼務させて、強磁性体金属粉末の上方から 3.0 m/s以上の速度で該金属粉末中に吹き込むことによって、該強磁性体金属粉末を撹拌流動させつつ、該強磁性体金属粉末を60℃以上、110℃以下の温度に加熱保持することによって、該噴霧ガスにより強磁性体金属粉末の表面に噴霧された被覆液を乾燥させて被覆層を形成することを特徴とする圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
  2. 強磁性体金属粉末の表面に、被覆液としてリン酸およびアルミニウムイオンを含有する水溶液を噴霧し、乾燥させることによって、該金属粉末の表面に被覆層を形成するに際し、
    容器内に強磁性体金属粉末を収容し、該容器内に設置した撹拌羽根を先端部の回転速度:1.5 m/s 以上で回転させると共に、被覆液の噴霧系統とは別途に設けた流動ガス噴射用ノズルから流動用ガスを、強磁性体金属粉末の上方から 3.0 m/s以上の速度で該金属粉末中に吹き込むことによって、該強磁性体金属粉末を撹拌流動させつつ、該強磁性体金属粉末を60℃以上、110 ℃以下の温度に加熱保持することによって、該噴霧ガスにより強磁性体金属粉末の表面に噴霧された被覆液を乾燥させて被覆層を形成することを特徴とする圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
  3. 前記強磁性体金属粉末の加熱手段が、容器全体を加熱するものであることを特徴とする請求項1または2記載の圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
  4. 前記強磁性体金属粉末の加熱手段が、流動用ガスの温度を調整するものであることを特徴とする請求項2記載の圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
  5. 前記撹拌羽根を先端部の回転速度:1.5 〜30 m/sで回転させると共に、前記強磁性体金属粉末の上方から 3.0〜500 m/s の速度で流動用ガスを前記強磁性金属粉末に吹き込みつつ、前記強磁性体金属粉末を60℃以上、90℃以下の温度に加熱保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧粉磁心用金属粉末の製造方法。
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