JP2009221550A - 粉末製造機及び粉末製造方法 - Google Patents

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Taku Miyamoto
卓 宮本
Shigeo Tanigawa
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Abstract

【課題】表面に絶縁層を被覆した所望の組成の金属粉末を容易に得る。
【解決手段】溶湯12は重力によって円筒形部分の底部に漏斗形状の部分が接続された形態の容器13の中に滴下する。容器13の中には、モーター14と回転駆動系15を介して回転する回転板16が設けられており、この回転板16上に溶湯12が滴下する。滴下した溶湯はこの回転板16上で薄い被膜となり、回転の際に遠心力によって回転板16の外側に細かくせん断された液滴となって噴出する。回転板16の外側に噴出された溶湯の液滴は、処理液層22もしくはこの液面に到達し、ここで処理液20によって急冷され、固化して粉末23となる。処理液20としては、純水ではなく、リン酸塩溶液等の化成処理液が用いられる。この化成処理液中においては、粉末の表面に、鉄の酸化膜の代わりに、絶縁層となるリン酸塩ガラスが形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶湯から粉末を製造する粉末製造機及び粉末製造方法に関する。
圧粉磁心用の軟磁性粉末として、最も用いられているのは鉄粉であるが、さらに低損失、特に低ヒステリシス損を有する圧粉磁心を得たい場合には、鉄よりも保磁力の小さいケイ素鋼の粉末が用いられ、さらにヒステリシス損を低減したい場合はFe-Si-Al合金、アモルファス合金、ナノ結晶合金の粉末が用いられている。アモルファス合金やナノ結晶合金の粉末を得るためには、たとえば、急冷薄帯を機械的に粉砕して得る方法、アトマイズにて直接粉末を得る方法等が適用されている。
急冷薄帯を機械的に粉砕して得る場合には、まず、たとえば単ロール法や双ロール法などにて急冷薄帯を作製し、その後、たとえばディスクミル、ボールミル、ピンミルなどの粉砕機を用いて粉砕し粉末を得る。しかし、良好な磁気特性を得られる急冷薄帯は、一般に粉砕しづらく、粉砕前に脆化熱処理を施す必要があること、また、粉砕によって粉末に粉砕歪みが導入されることなどから、急冷薄帯での良好な磁気特性が粉末に反映されない場合がある。
アトマイズ法にて直接粉末を得る場合には、アモルファス状態の粉末は、例えば溶湯を二段階の粉砕にて急冷する方法や不活性ガス等で噴霧した溶湯粒を急冷媒体に接触させて急冷する方法などによって効率よく製造されている。
急冷凝固法を用いる粉末製造機は、例えば特許文献1に記載されている。この粉末製造機の断面構造の概略が図2である。この粉末製造機50においては、ルツボ51に軟磁性粉末の材料(例えば金属)となる溶湯52が溜められている。溶湯52は重力によってルツボ51に連結した溶湯受皿53に溜まる。溶湯受皿53の上部には上蓋54が設置されるが、溶湯受皿53と上蓋54との間にはこれらが密着していない箇所(隙間55)が存在する。溶湯受皿53及び上蓋54には支持軸56が接続され、支持軸56はモーター57によって回転する。溶湯受皿53及び上蓋54は底部に排出管58が連結した容器59の中に収容されている。
この構造において、モーター57が溶湯受皿53及び上蓋54を回転させると、遠心力によって隙間55から溶湯52が細かくせん断された液滴となって噴出し、この液滴は、円筒形状の部分に底部が設けられた形態の容器59の内壁に達する。なお、容器59の上部は容器蓋60によって閉じられた構造となっている。
この円筒形状の部分の内壁の上部には冷却液吐出口61が設けられており、冷却液輸送管62を介してここから容器59の円筒形状の内壁の全面に冷却液層63が形成されるように冷却液が噴出される。冷却液としては例えば水や油が用いられる。噴出された液滴は冷却液層63に投入され、ここで急冷されて固化した粉末64となる。この粉末64が混合された冷却液は容器59の底部から重力によって排出管58から排出されるため、これを溜めて、冷却液を蒸発させる等の方法によって除去すれば、所望の粉末が得られる。
特にこの製造方法によれば、微細な溶湯の液滴は冷却水によって急冷されるため、アモルファス状となり、アモルファス粉末が得られる。
圧粉磁心用に用いる軟磁性粉末においては、粉末間の絶縁が渦電流損失を低減するために必要不可欠であり、粉末の表面に電気抵抗の高い薄くて均一な被膜もしくは軟磁性粉末同士を接触させないよう、粉末表面に均一に微細な絶縁粒子等を分散させることが求められる。
圧粉磁心は一般的に以下のような手順において製造される。所定の組成の軟磁性合金に機械粉砕やアトマイズ法を適用して、軟磁性粉末を作製し、その軟磁性粉末間の絶縁をとるため、例えば、水ガラスやリン酸シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の絶縁材料でかつ結着能力を有する材料を混合して粉末表面に絶縁層を形成させ、絶縁被膜で被覆された軟磁性粉末を製造する。絶縁層の形成には、例えばシリカやアルミナ粉末等の極小粒径なセラミックス粉末を混合して、圧粉した際に軟磁性粉末間の隙間に存在させることによって、絶縁するという方法、または、TEOS等の金属アルコキシドを粉末表面に付着させ、熱処理を施すことによって、絶縁層を形成させる方法等が行われている。
圧粉磁心は絶縁被覆させた軟磁性粉末に、例えばステアリン酸亜鉛等の潤滑剤とともに金型に充填し、プレス成形して所定の形状に製造される。また、プレス成形時の成形歪みが粉末に導入されるが、所定の温度で焼鈍することにより成形歪みを除去し、性能の向上が図られている。
特開平11−189809号公報
軟磁性材料のように、酸化されやすい材料の粉末を上記の製造方法によって製造する場合には、急冷される際に冷却液(水)中でその表面に例えば酸化鉄等の酸化膜もしくは錆びが形成される。この酸化膜もしくは錆びは薄いために上記の絶縁層としてはその絶縁性は不充分である上に、この上に上記の絶縁層を安定して形成することは困難である。さらには、軟磁性粉末はFe系合金組成であり、酸化鉄の生成は磁気特性の劣化させる要因となる。
従って、軟磁性材料の粉末を上記の製造方法で製造する際には、その表面に酸化膜が形成されないことが好ましい。このため、例えば軟磁性材料に防錆効果のあるクロム(Cr)を添加してこの形成を抑制することが行われている。しかしながら、この場合には粉末の組成自身が所望の組成とは異なることとなり、特にCrの添加によってこの材料の磁気特性は劣化する。
従って、冷却液を用いた急冷凝固法の粉末製造機においては、所望の組成の金属粉末を容易に得ることは困難であった。
また、粉末表面に絶縁性を持たせる処理は必要不可欠であるが、粉末作製と別工程となり、これらを同時に行うことが出きれば、生産コスト削減が可能となる。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、材料を溶融させた溶湯の液滴を生成する液滴生成手段と、該液滴を冷却液に投入させて急冷させることによって前記液滴を凝固させて粉末を製造する急冷手段を具備する粉末製造機であって、前記冷却液は、前記粉末表面に絶縁膜を形成する化成処理液であることを特徴とする粉末製造機に存する。
請求項1記載の発明の要旨は、材料を溶融させた溶湯の液滴を生成する液滴生成手段と、該液滴を冷却液に投入させて急冷させることによって前記液滴を凝固させて粉末を製造する急冷手段を具備する粉末製造機であって、前記冷却液は、前記粉末表面に絶縁膜を形成する化成処理液であることを特徴とする粉末製造機に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記粉末と前記冷却液との混合液を溜め、前記絶縁膜を形成する反応を生じさせる反応槽を具備することを特徴とする請求項1に記載の粉末製造機に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、前記反応槽には前記混合液を攪拌する攪拌手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の粉末製造機に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、前記液滴が投入される前の冷却液の温度を調整する冷却液管理手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粉末製造機に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、前記液滴生成手段において、回転する回転板に前記溶湯が滴下されることによって、前記液滴が生成されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の粉末製造機に存する。
請求項6記載の発明の要旨は、前記液滴生成手段において、前記溶湯が噴霧された微細な状態で前記回転板に滴下され、回転板の遠心力によって前記液滴が生成されることを特徴とする請求項5に記載の粉末製造機に存する。
請求項7記載の発明の要旨は、回転板の形状が、円盤または円錐形であることを特徴とする請求項1から請求項5または請求項6に記載の粉末製造機に存する。
請求項8記載の発明の要旨は、前記急冷手段において、前記回転板を収容する容器の内壁に前記冷却液からなる冷却液層が形成され、該冷却液層に前記液滴が投入されることを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の粉末製造機に存する。
請求項9記載の発明の要旨は、前記材料はCrを含まない軟磁性合金材料であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の粉末製造機に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、前記化成処理液はリン酸塩溶液または金属アルコキシド溶液であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の粉末製造機に存する。
請求項11記載の発明の要旨は、材料を溶融させた溶湯の液滴を生成し、該液滴を冷却液に投入させて急冷させることによって前記液滴を凝固させて粉末を製造する粉末製造方法であって、前記冷却液を、前記粉末表面に絶縁膜を形成する化成処理液とすることを特徴とする粉末製造方法に存する。
請求項12記載の発明の要旨は、前記粉末と前記冷却液との混合液を溜め、前記絶縁膜を形成する反応を生じさせることを特徴とする請求項11に記載の粉末製造方法。
請求項13記載の発明の要旨は、前記混合液を攪拌することを特徴とする請求項12に記載の粉末製造方法に存する。
請求項14記載の発明の要旨は、回転する回転板に前記溶湯を滴下することによって、前記液滴を生成することを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載の粉末製造方法に存する。
請求項15記載の発明の要旨は、前記回転板を収容する容器の内壁に前記冷却液からなる冷却液層を形成し、前記冷却液層に前記液滴を投入させることによって前記急冷を行うことを特徴とする請求項14に記載の粉末製造方法に存する。
本発明は以上のように構成されているので、表面に絶縁層を被覆した所望の組成の金属粉末を容易に得ることができる。
本発明の粉末製造機は、急冷凝固法によって溶湯から金属粉末を製造し、この際に粉末表面に酸化物を形成せず、代わりに所望の絶縁層を表面に形成する。本発明の実施の形態となる粉末製造機の構成を示す断面図が図1である。この粉末製造機10においては、以下に説明する粉末製造方法によって、絶縁層が形成された金属粉末が形成される。
図において、この粉末製造機10においては、ルツボ11に粉末の材料(例えば金属)を溶融した溶湯12が溜められている。ルツボ11の底部には細い管状の部分が設けられており。この中を溶湯12が通過し、滴下する。
ここでは、例えば磁性材料、特に軟磁性材料であるFe−Si−B系合金等の粉末を製造することができる。この材料は、特にその主成分であるFeが酸化されやすいという性質をもつ。溶湯12は、この材料が所定の組成で混合され、高温で溶融されたものである。このため、図示していないが、ルツボ11にはヒーター等の加熱手段を設け、溶湯12がルツボ11中で凝固しない構成とすることが好ましい。また、溶湯12の粘度は、その組成や温度で決定される。
溶湯12は、重力によって円筒形部分の底部に漏斗形状の部分が接続された形態の容器13の中に滴下する。容器13の中には、モーター14と回転駆動系15を介して回転する回転板16が設けられており、この回転板16上に溶湯12が滴下する構成とされている。この滴下量はルツボ11の底部の管状の部分の先端の開口で制御されるため、この開口が外部から制御できる構成とすることが好ましい。なお、容器13の上部は容器蓋17によって閉じられた構造となっている。
また、図示していないが、溶湯12はルツボから滴下された直後、不活性ガスによって噴霧し、回転板16上に溶湯粒として吹き付ける構造をとっている。回転板上に溶湯を滴下した場合と、溶湯粒として吹き付けた場合では、溶湯粒とした方が回転板上で薄い溶湯膜を形成でき、最終的にできあがる軟磁性粉末の粒径や球状度に影響する。溶湯と回転板の濡れ性と回転板上で凝固しない溶湯量を鑑みて、滴下かガス噴霧かを選択することが好ましい。
回転板16の上面は、図1に示されるように、周辺が低くなった形状となってもよく、滴下した溶湯はこの回転板16上で薄い被膜となり、回転の際に遠心力によって回転板16の外側に細かくせん断された液滴となって噴出する。すなわち、ルツボ11と回転板16は液滴を生成する液滴生成手段となる。
容器13における円筒形状の部分の内壁の上部には処理液吐出口18が設けられている。容器13の外部には、処理液供給槽19が設けられ、その中には処理液(冷却液)20が溜められており、処理液20はポンプ(図示せず)によって処理液輸送管21を介して処理液吐出口18に導かれ、処理液吐出口18から容器13の内壁に噴出する。処理液吐出口18の処理液噴出角度及び処理液吐出口18の数は、円筒形状の容器13の内壁に処理液層(冷却液層)22が略一様に形成されるように適宜設定される。この際、例えば、円筒形状の容器13の内壁に沿って旋回流が形成されるように、高圧で処理液20が高圧で噴出される形態とする。従って、容器13の底部には処理液20が溜められ、その液面以上の高さにおいては、その内壁には処理液層22が形成されている。なお、この液面は回転駆動系15よりも高く、回転板16の上面よりは低く設定されている。
従って、回転板16の外側に噴出された溶湯の液滴は、処理液層21もしくはこの液面に投入され、ここで処理液20によって急冷され、固化して粉末23となる。この粉末の大きさや形状は、回転板16の回転数、溶湯12の回転板16上への滴下量、液滴が形成される際の溶湯12の粘度等で決定される。
アモルファス状の軟磁性粉末を得るためには、溶湯の液適が処理液に投入されて瞬時に急冷されることが望ましく、液適の粒度が細かい程良い。特に10μm以下の液適では急冷が効果的に行われるため、液適を10μm以下となるように、回転板16上への滴下量、回転数を選択することが良い。
従って、容器13、処理液吐出口18、処理液供給層19、処理液20は液滴を凝固させて粉末を製造する急冷手段となる。
ここで、処理液20としては、純水ではなく、リン酸塩溶液等の化成処理液が用いられる。この化成処理液中においては、粉末の表面に、鉄の酸化膜の代わりに、絶縁層となるリン酸塩ガラスが形成される。すなわち、粉末23の表面においては、酸化鉄等の酸化膜が形成されるよりも前にこの絶縁層が形成される。従って、処理液20は、液滴を急冷する冷却液としての役割と、絶縁層を粉末22上に形成するという役割を果たす。
絶縁層がその表面に形成された粉末23と処理液20との混合液は容器13の漏斗形状の底部から反応槽24に導かれ、ここに溜まる。反応槽24には温度調整機構25が設けられており、この混合液の温度が調整される。従って、この混合液の反応槽24における滞留時間と温度を調整することによって、混合液中の反応を更に促進し、厚い絶縁層を形成することができ、かつ形成される絶縁層の厚さを制御できる。なお、図示していないが、この処理を厳密に制御するため、反応槽24と容器13の底部との間には弁を設け、この弁を開閉することによって所定の間だけこの混合液が反応槽24に流れ込む形態とすることが好ましい。また、反応槽24においては、例えばスターラや振動を用いた攪拌手段を設け、この混合液を攪拌すれば、絶縁層を均一に厚く形成することができるため、好ましい。
なお、容器13の中において粉末23の表面において既に充分な厚さの絶縁層が形成されている場合には、反応槽24は不要、あるいは容器13よりも下流で絶縁層を形成する反応を生じさせる必要はない。
その後、所望の厚さの絶縁層が形成された粉末23が分散された処理液20(混合液)は外部に取り出され、水洗、乾燥等の処理を経た後に粉末23だけが取り出される。
なお、粉末23の表面への絶縁層の形成をより精密に制御するために、処理液供給層19にも温度調整機構26を設けることが好ましい。これによって、処理液(冷却液)20においては、液滴が混合される前後においてその温度が精密に制御される。従って、絶縁層の膜厚の制御もより精密に行われる。また、この際に温度管理だけでなく、処理液20の濃度管理も行うことがより好ましい。すなわち、処理液20の温度、濃度を管理する処理液管理手段(冷却液管理手段)を設けることが好ましい。
以上の構成により、表面に絶縁層が形成された粉末23を得ることができる。この際、液滴が凝固してこの粉末23が形成される際に、その表面に酸化膜は形成されず、代わりに処理液20によって所望の絶縁層を形成させることができる。特に、反応槽24における温度や滞留時間を制御することにより、絶縁層を厚く、かつその厚さを適宜制御することが可能である。
従って、粉末23の材料が例えばFe−Si−B系合金のように酸化しやすいものであっても、その表面に安定して絶縁層を形成することができる。この際、この材料自身の組成を変更することは不要であるため、その磁気特性に悪影響を与えることもない。
すなわち、表面に絶縁層が被覆された所望の組成の粉末23を容易に得ることができる。
また、粉末23の製造と酸化層の形成を同時に、あるいは連続して行うことができる。従って、粉末の製造効率が著しく向上する。
なお、上記の例においては、粉末となる液滴は、回転する回転板16を用いて形成されたが、これに限られるものではない。例えば、他のせん断式の方法で液滴を形成し、これを処理液中で同様に急冷させて粉末を得ることもできる。
また、液滴を処理液(化成処理液)によって急冷する方法についても、上記の例に限られるものではなく、例えば容器の形状は上記の例に限られない。液滴を凝固させた粉末を含む処理液を処理槽に集めることのできる構成であれば任意である。
また、上記の例では粉末材料は鉄系合金(軟磁性体材料)としたが、これに限られるものではない。表面が酸化しやすく、かつその表面に所望の絶縁層を形成することが必要である粉末を製造する場合に、本願発明は同様に適用できることは明らかである。すなわち、上記の粉末製造方法を具現する形態の粉末製造機であれば任意である。
(実施例)
以下、本発明の実施例について説明する。以下の実施例においては、いずれも軟磁性体粉末を製造している。
(実施例1)
図1の構成の粉末製造機において、Fe−Si−B合金(組成Fe80Si1010)からなる溶湯(温度1350℃)を用いて、滴下量を10g/minとし、これを回転数(10000rpm)で回転する回転板上に滴下して液滴を形成した。この際に、回転板の表面には10μm〜50μmの薄い溶湯の膜が形成された。
処理液をステアリン酸水溶液(濃度2.0mol/L)として、反応槽における温度を60℃に制御し、2.0hour保持した。この際、スターラを500rpm程度の回転数で回転させて攪拌し、粉末が沈殿しない状態を維持した。その後に水洗を施した後、大気中で125℃、1時間の熱処理を行い、乾燥させて粉末を得たところ、前記の材料の組成の粉末(粒径5μm〜80μm)となっていた。その表面には、厚さが0.01〜1μm程度のリン酸塩被膜絶縁層が形成されていた。
(実施例2)
同様に、Fe−Si−B−Cu合金(組成Fe81.5Si14Cu1.5)からなる溶湯(温度1350℃)を用いて、滴下量を10g/minとし、これを回転数(10000rpm)で回転する回転板上に窒素ガス(6MPa)で噴霧して溶湯粒を形成し、回転板の表面には5μm〜20μmの薄い溶湯の膜が形成された。
処理液を金属アルコキシド溶液(TEOS:テトラエトキシシラン (濃度33.0mol/L))として、反応槽における温度を(60℃)に制御し、3.0hour保持した。この際、スターラを500rpm程度の回転数で回転させて攪拌し、粉末が沈殿しない状態を維持した。その後に水洗を施した後、大気中で125℃、1時間の熱処理を行い、乾燥させて粉末を得たところ、前記の材料の組成の粉末(粒径5μm〜50μmm)となっていた。その表面には、厚さが0.01〜1μm程度のSiO2絶縁層が形成されていた。
従って、本発明の粉末製造機及び本発明の粉末製造方法によって、表面に絶縁層を被覆した所望の組成の粉末を容易に得ることができることが確認された。これらの粉末を低温で焼結させることにより、損失の小さな磁心を製造することができた。
本発明の実施の形態となる粉末製造機の断面構造の概略を示す図である。 従来の粉末製造機の断面構造の概略を示す図である。
10、50 粉末製造機
11、51 ルツボ
12、52 溶湯
13、59 容器
14、57 モーター
15 回転駆動系
16 回転板
17、60 容器蓋
18 処理液吐出口
19 処理液供給槽
20 処理液(冷却液)
21 処理液輸送管
22 処理液層(冷却液層)
23、64 粉末
24 反応槽
25 温度管理手段
26 温度管理手段(冷却液管理手段)
53 溶湯受皿
54 上蓋
55 隙間
56 支持軸
58 排出管
61 冷却液吐出口
62 冷却液輸送管
63 冷却液層

Claims (15)

  1. 材料を溶融させた溶湯の液滴を生成する液滴生成手段と、該液滴を冷却液に投入させて急冷させることによって前記液滴を凝固させて粉末を製造する急冷手段を具備する粉末製造機であって、
    前記冷却液は、前記粉末表面に絶縁膜を形成する化成処理液であることを特徴とする粉末製造機。
  2. 前記粉末と前記冷却液との混合液を溜め、前記絶縁膜を形成する反応を生じさせる反応槽を具備することを特徴とする請求項1に記載の粉末製造機。
  3. 前記反応槽には前記混合液を攪拌する攪拌手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の粉末製造機。
  4. 前記液滴が投入される前の冷却液の温度を調整する冷却液管理手段を具備することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粉末製造機。
  5. 前記液滴生成手段において、
    回転する回転板に前記溶湯が滴下されることによって、前記液滴が生成されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の粉末製造機。
  6. 前記液滴生成手段において、
    前記溶湯が噴霧された微細な状態で前記回転板に滴下され、回転板の遠心力によって前記液滴が生成されることを特徴とする請求項5に記載の粉末製造機。
  7. 回転板の形状が、円盤または円錐形であることを特徴とする請求項1から請求項5または請求項6に記載の粉末製造機。
  8. 前記急冷手段において、
    前記回転板を収容する容器の内壁に前記冷却液からなる冷却液層が形成され、該冷却液層に前記液滴が投入されることを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の粉末製造機。
  9. 前記材料はCrを含まない軟磁性合金材料であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の粉末製造機。
  10. 前記化成処理液はリン酸塩溶液または金属アルコキシド溶液であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の粉末製造機。
  11. 材料を溶融させた溶湯の液滴を生成し、該液滴を冷却液に投入させて急冷させることによって前記液滴を凝固させて粉末を製造する粉末製造方法であって、
    前記冷却液を、前記粉末表面に絶縁膜を形成する化成処理液とすることを特徴とする粉末製造方法。
  12. 前記粉末と前記冷却液との混合液を溜め、前記絶縁膜を形成する反応を生じさせることを特徴とする請求項11に記載の粉末製造方法。
  13. 前記混合液を攪拌することを特徴とする請求項12に記載の粉末製造方法。
  14. 回転する回転板に前記溶湯を滴下することによって、前記液滴を生成することを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載の粉末製造方法。
  15. 前記回転板を収容する容器の内壁に前記冷却液からなる冷却液層を形成し、前記冷却液層に前記液滴を投入させることによって前記急冷を行うことを特徴とする請求項14に記載の粉末製造方法。
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