JP2005154276A - 新規な有機ケイ素化合物および該有機ケイ素化合物の光学活性体 - Google Patents

新規な有機ケイ素化合物および該有機ケイ素化合物の光学活性体 Download PDF

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昭憲 北村
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Masao Yoshida
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Abstract

【課題】
医薬や農薬分野などにおける有機合成の(中間)原料、光学分割剤および不斉合成補助剤などに有用な新規な有機ケイ素化合物を提供することである。特に、不斉環境や不斉識別能を付与することが可能な新規化合物を提供することである。
【解決手段】
下記式(1)で表される新規な有機ケイ素化合物が、上記課題を解決することを見出した。
【化1】
Figure 2005154276

式(1)中、Ar1およびAr2はそれぞれ異なっていて、置換基があってもよいフェニル基、置換基があってもよい1−ナフチル基または置換基があってもよい2−ナフチル基を示し、Rは分岐があってもよい炭素数1〜6個のアルキル基または置換基があってもよいフェニル基を示し、X1、X2およびX3は同一または異なっても良く、分岐があっても良い炭素数1〜6個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子はたはヨウ素原子を示し、nは1〜20の整数を示す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な有機ケイ素化合物に関するものであり、有機合成における合成中間体、特に光学分割剤、不斉合成補助剤として有用な有機ケイ素化合物を提供するものである。
有機ケイ素化合物が有機合成において有用な化合物であることはよく知られている(例えば、非特許文献1参照)。アリルシランおよびビニルシランの特異な反応性や、その操作性の高さは代表的な例であり、このため精密有機合成において、欠くことのできないツールとして広く受け入れられている(例えば、非特許文献2参照)。特に、トリメチルシリル基に代表される(トリ)アルキル型の有機ケイ素化合物が多用されている。
また、有機ケイ素化合物は精密有機合成において、水酸基の保護基として特徴ある性質を有しており、確固たる地位を占めている(例えば、非特許文献3参照)。水酸基の保護基でもトリメチルシリル基およびt−ブチルジメチルシリル基などの(トリ)アルキル型の有機ケイ素化合物が多く用いられている。
このような状況下であるが、(トリ)アルキル基を有する有機ケイ素化合物において、アルキル基に不斉炭素を有し、かつその立体配置が明らかなものは、下記文献を除いてほとんど知られていない(例えば、非特許文献4参照、特許文献1参照)。これらの文献記載の有機ケイ素化合物は、その合成法による制約からケイ素原子のβ位以遠の炭素原子が不斉炭素である化合物に限定され、ケイ素原子の隣接炭素原子が不斉炭素であるものは合成できない。
ケイ素原子に結合した隣接炭素原子が不斉炭素であり、その立体配置が明らかなアルキルハロゲノシラン類の報告は、下記の不斉ヒドロシリル化反応の研究の中にわずかに見られるだけで、非常に限定されている(例えば、非特許文献5参照、例えば、特許文献2参照)。これらヒドロシリル化反応による合成法によれば、反応基質がオレフィン類に限定されるうえ、その合成法による制約からケイ素原子のβ位炭素原子上には必ず水素原子が1個以上結合したものが合成されることから、得られる有機ケイ素化合物が制約される。
このため、有機ケイ素化合物のキラリティーに起因した不斉誘導反応や光学分割の研究は、医・農薬分野における有機合成の(中間)原料として多様な光学活性化合物が望まれているにもかかわらず、これまでほとんど行われていない(例えば、非特許文献6参照)。
下記式(2)で表されるケイ素原子に結合した隣接炭素原子が不斉炭素である化合物が報告されている(例えば、特許文献3参照)。
Figure 2005154276
式(2)中、Ar1およびAr2はそれぞれ異なっていて、置換基があってもよいフェニル基、置換基があってもよい1−ナフチル基または置換基があってもよい2−ナフチル基を示し、R1は分岐があってもよい低級アルキル基または置換基があってもよいフェニル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。
また下記式(3)で表されるケイ素原子に結合した隣接炭素原子が不斉炭素である化合物が報告されている(例えば、特許文献4参照)。
Figure 2005154276
式(3)中、Ar1およびAr2はそれぞれ異なっていて、置換基があってもよいフェニル基、置換基があってもよい1−ナフチル基または置換基があってもよい2−ナフチル基を示し、R1は分岐があってもよい低級アルキル基または置換基があってもよいフェニル基を示し、Yはビニル基、アリル基、水素原子、アジド基、シアノ基、ジアルキルアミノ基、エノールエーテル基、またはケテンアセタール基のいずれかを示す。
特開平06−306087号公報(特許請求の範囲) 特開平05−17491号公報(実施例) 国際公開第03/074536号パンフレット(請求の範囲) 国際公開第03/074549号パンフレット(請求の範囲) Colvin,E.W."Silicon Reagents in Organic Synthesis," Academic Press, London,1988. Langkopf, E.;Schinzer D.Chem.Rev.,1995,95,p.1375−1408. Green,T.W.;Wuts P.G.M. "Protective Groups in Organic Synthesis,"3rd.Ed.,Wiley−Interscience,New York,1999,p.113−148. Chan,T.H.;Wang,D.Chem.Rev.,1992,92,p.995−1006. Hayashi,T.In"Comprehensive Asymmetric Catalysis." Jacobsen,E.N.;Pfaltz,A.;Yamamoto,H.(Ed),Springer Berlin,1999,p.319−333. Fleming,I.;Barbero, A,; Walter,D., Chem.Rev.,1997,97,p.2063−2192.
本発明の目的は、医薬や農薬分野などにおける有機合成の(中間)原料、光学分割剤および不斉合成補助剤などに有用な新規な有機ケイ素化合物を提供することである。特に、不斉環境や不斉識別能を付与することが可能な新規化合物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記式(1)で表される新規な有機ケイ素化合物が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記式(1)で表される化合物およびこれらの光学活性体である。
Figure 2005154276
式(1)中、Ar1およびAr2はそれぞれ異なっていて、置換基があってもよいフェニル基、置換基があってもよい1−ナフチル基または置換基があってもよい2−ナフチル基を示し、Rは分岐があってもよい炭素数1〜6個のアルキル基または置換基があってもよいフェニル基を示し、X1、X2およびX3は同一または異なっても良く、分岐があっても良い炭素数1〜6個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子はたはヨウ素原子を示し、nは1〜20の整数を示す。
本発明の有機ケイ素化合物は新規であり、ケイ素原子の隣接位に不斉炭素原子を有するうえ、その立体配置がR体およびS体のどちらも所望の光学活性体を得ることができるという特徴を有する。このため有機合成、特に不斉合成に関わる原料、中間原料、光学分割剤および不斉合成補助剤として有用である。その他に無機化合物の表面処理剤、ポリマーの改質剤、あるいは高分子樹脂の構成成分として用いることも可能である。特に本発明の新規有機ケイ素化合物の光学活性体で表面処理したシリカゲルや樹脂は、光学異性体分離カラムクロマトグラフィー用充填材としても用いることができる。
前記式(1)で表される有機ケイ素化合物は、例えば下記式(4)で表される化合物から通常の有機合成手段により製造することができる。
Figure 2005154276
式(4)中、Ar1およびAr2はそれぞれ異なっていて、置換基があってもよいフェニル基、置換基があってもよい1−ナフチル基または置換基があってもよい2−ナフチル基を示し、R1は分岐があってもよい炭素数1〜6個のアルキル基または置換基があってもよいフェニル基を示し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
式(1)並びに式(4)のAr1、Ar2およびRの置換基があってもよいフェニル基、置換基があってもよい1−ナフチル基または置換基があってもよい2−ナフチル基などにおける置換基としては、次のようなものが例示できる。この置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アセトキシ基、シリルオキシ基、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基およびアリル基などのアルケニル基、エチニル基、エポキシ基、ジアルキルアミノ基、並びにアシル基などである。そして、置換基としてのアルキル基は好ましくは炭素数1〜20で特に好ましくは炭素数1〜6個のアルキル基が例示できる。置換基としてのアルコキシ基は好ましくは炭素数1〜20で特に好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基が例示できる。置換基としてのシリルオキシ基に結合しているアルキル基としては炭素数1〜20で特に好ましくは炭素数1〜6個のアルキル基が例示できる。置換基としてのハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子または臭素原子が例示できる。置換基としてのアリール基は更にアルキル基または/およびアルコキシ基が結合していても良いものが例示できる。このアルキル基およびアルコキシ基は、上記記載のものが例示できる。置換基としてのビニル基およびアリル基などのアルケニル基は炭素数2〜20で好ましく、炭素数2〜8が例示できる。置換基としてのエポキシ基は炭素数2〜6のものが例示できる。置換基としてのジアルキルアミノ基のアルキル基の炭素数は1〜20で、特に好ましくは炭素数1〜6個のアルキル基が例示できる。置換基としてのアシル基のアルキル基の炭素数としては1〜20で、特に好ましくは炭素数1〜6個のアルキル基が例示できる。式(1)のX1、X2およびX3で表されるアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基などが例示され、好ましくはメトキシ基およびエトキシ基である。式(1)のnは1〜20であり、好ましくは2〜16であり、更に好ましくは3〜10である。しかし、これら記載に限定されるものではない。
本発明の式(1)で表される化合物は、式(4)で表される化合物(これはWO03/074536の記載を参照して合成できる)から下記式(5)で表される化合物を合成し(これはWO03/074535の記載を参照して合成できる)、これに適当な触媒の存在下トリアルコキシシランと反応させることによって容易に合成することができる。この触媒としてはオレフィンのヒドロシリル化に通常用いられるものが使用でき、例えば遷移金属触媒が使用でき、好ましくは白金触媒である。
Figure 2005154276
式(5)中、Ar1およびAr2はそれぞれ異なっていて、置換基があってもよいフェニル基、置換基があってもよい1−ナフチル基または置換基があってもよい2−ナフチル基を示し、Rは分岐があってもよい炭素数1〜6個のアルキル基または置換基があってもよいフェニル基を示し、mは0〜18の整数を示す。ここの置換基とは式(1)および式(4)のもので定義したものである。
式(4)で表される化合物のキラリティーを損なうことなく式(1)で表される化合物を一般に得ることができる。従って、光学活性な式(4)で表される化合物を用いれば、光学活性な式(1)で表される化合物を得ることができる。なお、式(1)で表される本発明の新規な有機ケイ素化合物は、キラルカラムを用いたHPLC分析により両異性体を識別することが可能であり、その光学純度を決定することができる。
またラセミ体の式(4)で表される化合物を用いて上記の各反応を行って得られた前記式(1)で表される化合物のラセミ体を、例えばキラルカラムを用いたHPLCによる分取によって光学分割して、両光学異性体(エナンチオマー)を得ることもできる。
式(1)で表される化合物は、式(4)の化合物に適当なグリニヤール試薬を反応させることによって合成することもできる。例えば式(1)においてn=1である化合物の1例である[ジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シリル]メチルトリエトキシシランは、クロロメチルトリエトキシシランにマグネシウムを作用させて調製したグリニヤール試薬を、式(4)の1例であるクロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランに反応させることによって得ることができる。この反応においても式(4)の化合物のキラリティーを損なうことはない。従って、光学活性な式(4)の化合物を用いれば、光学活性な式(1)の化合物を得ることができる。またラセミ体のクロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランを用いて本反応を行って得られた前記式(1)の化合物のラセミ体を、例えばキラルカラムを用いたHPLCによる分取によって光学分割して、両光学異性体(エナンチオマー)を得ることもできる。本反応は[ジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シリル]メチルトリエトキシシランに限ったものではなく、種々の前記式(1)で表される化合物の合成に適用できる。
本発明の式(1)で表される化合物の合成について、1−トリエトキシシリル−3−[ジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シリル]プロパン(下記式(6))を例として説明する。
Figure 2005154276
上記式(6)の化合物(1−トリエトキシシリル−3−[[(1−ナフチル)フェニルメチル]ジメチルシリル]プロパン)は、アリルグリニヤール試薬(ハロゲン化アリルとマグネシウムとから調製)と式(4)で表される化合物であるクロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランとからアリルジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランを合成し、これに適当な触媒の存在下トリエトキシシランと反応させることによって容易に合成することができる。この触媒としてはオレフィンのヒドロシリル化に通常用いられるものが使用でき、例えば遷移金属触媒が使用でき、好ましくは白金触媒であり、特に好ましくは塩化白金(IV)酸および白金(0)−1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体である。
以上の反応は1−トリエトキシシリル−3−[[(1−ナフチル)フェニルメチル]ジメチルシリル]プロパンに限ったものでなく、前記式(1)で表される有機ケイ素化合物(ただし、n=1である場合を除く)に適用できる。
○使用例
式(1)で表される化合物としては、例えば実施例1で合成した(R)−1−トリエトキシシリル−3−[[(1−ナフチル)フェニルメチル]ジメチルシリル]プロパンなどが例示でき、そしてこのものは例えばシリカゲルやガラス、ガラス繊維、樹脂、繊維などと反応させることにより、これを光学異性体分離剤として用いることができる。例えば、(R)−1−トリエトキシシリル−3−[[(1−ナフチル)フェニルメチル]ジメチルシリル]プロパンを担持したシリカゲルは、光学異性体分離クロマトグラフィー用充填剤として用いることができる。また、これを各種反応系に存在させれば不斉合成補助剤として用いることもできる。
以上、式(1)における使用法を例示したが、これらの例に限定されるものではない。また、式(1)を合成するときに用いる式(4)は、光学分割が容易にできることから、必要に応じてそれぞれの光学活性体を用いることができる。式(1)に誘導したものを用いて、例えばキラルカラムを用いたHPLCにより光学分割して、光学活性体を得ることもできる。
<実施例>
以下、本発明を合成例、参考例および実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。特に断りがない限り、アルゴン雰囲気下、市販の脱水溶媒を用いて各反応を実施した。また、シリカゲルカラムクロマトグラフィーは和光純薬工業(株)製ワコーゲルC−200を使用して実施した。化学式中の「*」は、光学活性体であることを示す。Mはモル濃度(mol/l)を示す。
また、1H−NMRは、重クロロホルム溶媒中、テトラメチルシランを内部標準として用いて測定し、そのケミカルシフト(δ/ppm)を示した。
○キラルHPLCの条件
分析装置:Waters社製LC−Module 1plus
分析カラム:Chiralcel OD−H(ダイセル化学工業(株)製カラム)
(4.6mmI.D.×250mm+ガードカラム50mm).
移動相:n−ヘキサン/クロロホルム(v/v)=96/4または98/2
流速:0.5mL/min
カラム温度:25℃
<合成例1>
○(1−ナフチル)フェニルメタンの合成
1−ブロモナフタレン(1.08mol)、マグネシウム(1.2mol)およびテトラヒドロフラン(THF,1.5L)より調製した1−ナフタレンマグネシウムブロミド溶液をベンジルクロリド(1.2mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5mmol)を含むTHF(500mL)溶液に30分間かけて滴下し、更に室温で1終夜攪拌した。この反応液に蒸留水(50mL)を加え反応を停止させた後、ここから溶媒を減圧留去した。ここに1M塩酸(500mL)を加え、ジエチルエーテル(500mLで3回)で抽出した。抽出層は合一し、これを1M塩酸(500mL)、蒸留水(500mLで2回)、飽和食塩水(500mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、ろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去して得られた残渣を減圧蒸留(27pa)した。減圧蒸留の140〜150℃の留分(220g)をエタノールから結晶化して(1−ナフチル)フェニルメタン(163.9g,mp61.5℃,収率70%)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、この1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.05−7.95(m,1H),7.90−7.82(m,1H),7.79−7.72(m,1H),7.51−7.37(m,3H),7.35−7.14(m,6H),4.43(s,2H).
<合成例2>
○クロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランの合成
合成例1で合成した(1−ナフチル)フェニルメタン(0.75mol)のTHF(800mL)溶液を−78℃に冷却した。この溶液に10M n−ブチルリチウムヘキサン溶液(0.825mol)を30分間かけて滴下した。滴下終了後そのままの温度で30分間攪拌した後、室温まで昇温して、更に1時間攪拌してリチウム塩を調製した。別途、ジクロロジメチルシラン(2.25mol)をn−ヘキサン(1L)に溶解し−78℃に冷却した。この溶液中に先のリチウム塩溶液を加え、その後、室温に昇温して1終夜攪拌した。生成した塩化リチウムをろ別し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留してクロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シラン(199.4g,bp153−155℃/27pa、収率85%)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、この1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.15−8.02(m,1H),7.87−7.67(m,3H),7.53−7.05(m,8H),4.55(s,1H),0.51(s,3H),0.48(s,3H).
<合成例3>
○O−ジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シリル−(S)−マンデル酸メチルの合成
Ebbersらの報告(Ebbers,E.J.;Ariaans,G.J.A.;Bruggink,A.;Zwanenburg,B.、Tetrahedron Asymmetry,1999,10,3701−3718.)を参考に合成した(S)−マンデル酸メチルエステル([α]D 26+144.3゜(c1.5,CH3OH),0.70mol)とイミダゾール(0.80mol)とを含むN,N−ジメチルホルムアミド(DMF,1L)溶液に、合成例2で合成したクロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シラン(0.64mol)を投入し、室温で1終夜攪拌した。この反応液を氷浴で冷却した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1L)中に入れて中和し、n−ヘキサン/酢酸エチルエステル(1/1(v/v),1Lで1回,500mLで3回)で抽出した。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)、蒸留水(500mLで2回)、飽和食塩水(500mLで2回)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これをろ過した後、ろ液から溶媒を減圧留去し、O−ジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シリル−(S)−マンデル酸メチル(ジアステレオマー混合物,粗精製品280g)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、この1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.13−8.03(m,1H),7.86−7.66(m,3H),7.51−7.02(m,13H),4.99(s,0.5H),4.96(s,0.5H),4.38(s,0.5H),4.34(s,0.5H),3.61(s,1.5H),3.58(s,1.5H),0.21(s,1.5H),0.18(s,1.5H),0.17(s,1.5H),0.15(s,1.5H).
得られた粗精製品はn−ヘキサン/酢酸エチルエステル(95/5(v/v),1.5L)から結晶化し、107.8gの高純度品(400MHz、1H−NMRによるジアステレオマー過剰率88.4%de)を得た。更にこの結晶をn−ヘキサン/酢酸エチルエステル(90/10(v/v),1L)から再結晶化し、95.4gの高純度ジアステレオマー(400MHz、1H−NMRによるジアステレオマー過剰率99%de、クロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランに対する収率34%)を得た。下記に機器データを示す。
mp113℃.
比旋光度:[α]D 23+38.6°(c1.03,CHCl3).
1H−NMR:δ8.12−8.03(m,1H),7.88−7.67(m,3H),7.49−7.02(m,13H),4.99(s,1H),4.34(s,1H),3.61(s,3H),0.21(s,3H),0.15(s,3H).
<参考例1>
○O−ジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シリル−(S)−マンデル酸メチル(高純度ジアステレオマー)の玉尾酸化反応による絶対配置の決定
合成例3で得たO−[(1−ナフチル)フェニルメチル]ジメチルシリル−(S)−マンデル酸メチルの高純度ジアステレオマー(400MHz、1H−NMRによるジアステレオマー過剰率99%de,5mmol)、炭酸水素カリウム(15mmol)、フッ化カリウム(15mmol)を含むメタノール/THF(1/1(v/v),40mL)懸濁液を0℃に冷却した。この懸濁液に30%過酸化水素水を0.5mLずつ6回(25mmol)に分けて加え、室温に昇温して2日間攪拌した。その後、反応液を0℃に冷却し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を1mLずつ10回に分けて加え、そのままの温度で30分間攪拌した。この反応液はセライトを通してろ過し、セライトをジエチルエーテル(25mLで4回)で洗浄した。集めたろ液を飽和食塩水(50mL)、蒸留水(50mL)、飽和食塩水(50mL)で順次洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これをろ過後、ろ液から溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチルエステル=10/1(v/v))で精製して、(1−ナフチル)フェニルメタノール(0.95g,収率81%)を得た。この反応については、下記反応式を参照。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.05−8.00(m,1H),7.89−7.77(m,2H),7.62(d,J=6.8Hz,1H),7.52−7.37(m,5H),7.35−7.22(m,3H),6.51(d,J=4.0Hz,1H),2.37(d,J=4.0Hz,1H).
得られたアルコールの比旋光度は[α]D 28+58.7°(c0.82,C66)であり、文献値{[α]D 25+59.5°(c0.82,C66),Seebach D.;Beck,A.K.;Roggo,S.;Wonnacott,A.Chem. Ber.,1985,118,3673−3682.}との比較から、得られた(1−ナフチル)フェニルメタノールがR配置であることが判った。この反応、いわゆる玉尾酸化反応は立体保持で進行することが広く知られている(玉尾皓平,有機合成化学協会誌,1988,46,861−878.)。従って,用いた高純度ジアステレオマーのO−ジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シリル−(S)−マンデル酸メチルはR配置であると決定した。
<合成例4>
○(R)−クロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランの合成
合成例3で合成して得たO−(R)−ジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シリル−(S)−マンデル酸メチル(0.216mol)にアセチルクロリド(1.13mol)を加えた懸濁液を0℃に冷却し、0.5Mの塩化亜鉛THF溶液(0.43mmol)を加えた。これを室温に昇温して1時間攪拌し、反応液は均一となった。さらに1終夜攪拌した。過剰に用いた塩化アセチルを反応液から減圧留去した後、n−ヘキサン(50mL)とアセトン(5mL)を加え、45分間攪拌した。ここから、溶媒を減圧留去した後、残渣を減圧蒸留して、(R)−クロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シラン(60.9g,収率91%)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、この下記に機器分析データを示す。
Figure 2005154276
bp158−160℃/40Pa.
mp73.5−76.0℃.
比旋光度:[α]D 23−10.6°(c1.02,CHCl3).
<参考例2>
○クロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランの鏡像体過剰率の算出
クロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランをメタノールと反応させてメトキシジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランを調製し、このキラルHPLC分析により鏡像体過剰率を求めた。このようにして求めたメトキシジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランの鏡像体過剰率を元のクロロシランの鏡像体過剰率とした。
・(R)−メトキシジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランの調製とキラルHPLC分析
合成例4で合成した(R)−クロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シラン(0.13mmol)に、別にイミダゾール83.7mg、メタノール0.065mL、クロロホルム6.4mLから調製した溶液1mLを室温で加え、しばらく攪拌した後、そのまま1終夜静置して、(R)−メトキシジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランを調製した。この合成は、下記反応式を参照。また、この1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.15−8.06(m,1H),7.87−7.69(m,3H),7.51−7.02(m,8H),4.34(s,1H),3.35(s,3H),0.18(s,3H),0.18(s,3H).
この反応液50μLにヘキサン450μLを加えてよく良く振盪した後、ろ液をキラルHPLC分析に供した(移動相:n−ヘキサン/クロロホルム(v/v)=96/4)。その結果、S体の保持時間は13.6min、R体のそれは17.4minであり、鏡像体過剰率は99.8%eeであった。
<合成例5>
○(R)−アリルジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランの合成
アリルブロミド(220mmol)、マグネシウム(475mmol)およびジエチルエーテル(200mL)から調製したアリルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル溶液を、合成例4で得た(R)−クロロジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シラン(109mmol,99.8%ee)のジエチルエーテル(100mL)溶液中に室温で加え、そのまま2時間攪拌した後、1終夜静置した。この反応液を氷の入った飽和塩化アンモニウム溶液(500mL)に注加してから分液し、さらに水層からジエチルエーテル抽出を行った(200mLで2回)。このジエチルエーテル層を合一し、飽和食塩水で洗浄し(500mLで2回)、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ液から溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=19/1(v/v))で精製し、アリルジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シラン29.64g(収率86%)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、(R)−アリルジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シランの1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.16−8.07(m,1H),7.86−7.67(m,2H),7.63−7.55(m,1H),7.52−7.35(m,3H),7.32−7.15(m,4H),7.10−7.03(m,1H),5.76−5.56(m,1H),4.87−4.69(m,2H),4.38(s,1H),1.61(d,J=8.0Hz,2H),0.14(s,3H).0.12(s,3H).
<実施例1>
○(R)−1−トリエトキシシリル−3−[ジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シリル]プロパンの合成
合成例5で得た(R)−アリルジメチル[(1−ナフチル)フェニルメチル]シラン(10.0mmol)をトルエン20mLに溶解し、ここに白金(0)−1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の0.1Mポリジメチルシロキサン溶液をトルエンで10倍に希釈した溶液83μL(アリルシランに対して100ppm)を加えた。反応系を70℃に加熱し、ここにトリエトキシシラン1.94mL(10.5mmol)を滴下し、70℃で4時間攪拌した。さらに同様にして白金(0)−1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体をアリルシランに対して100ppm追加し、70℃でさらに4時間攪拌した。反応液から溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=19/1(v/v))で精製し、(R)−1−トリエトキシシリル−3−[[(1−ナフチル)フェニルメチル]ジメチルシリル]プロパン2.80g(収率58%)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、(R)−1−トリエトキシシリル−3−[[(1−ナフチル)フェニルメチル]ジメチルシリル]プロパンの1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.12−8.10(m,1H),7.81−7.79(m,1H),7.71−7.69(m,1H)7.60−7.57(m,1H),7.47−7.37(m,3H),7.23−7.17(m,4H),7.07−7.03(m,1H),4.33(s,1H),3.72(q,J=7.1Hz,6H),1.48−1.28(m,2H),1.17(t,J=7.1Hz,9H),0.75−0.70(m,2H),0.63−0.58(m,2H),0.111(s,3H).0.107(s,3H).
このものをキラルHPLC分析した結果(移動相:n−ヘキサン/クロロホルム(v/v)=98/2)、R体の保持時間は16.9min、S体のそれは21.7minであり、鏡像体過剰率は、99.8%eeであった。
<合成例6>
○1−ブロモ−2−メトキシナフタレンの合成
水素化ナトリウム(60〜72%含有,14.78g)を石油エーテルで洗浄し、THF(100mL)に懸濁した。これに1−ブロモ−2−ナフトール(336mmol)のTHF溶液(100mL)を室温で1.5時間かけて滴下し、そのまま1時間かき混ぜた。ここにヨウ化メチル(675mmol)を室温で加えて攪拌した後、そのまま1終夜静置し、さらに6時間加熱還流した。この反応液に純水と酢酸エチルエステルとを加えて抽出し、この有機層(1.6L)を飽和食塩水で洗浄した。その後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)に供し、1−ブロモ−2−メトキシナフタレン(80.6g,収率100%)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、この1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.22(d,J=8.5Hz,1H),7.81−7.76(m,2H),7.57−7.53(m,1H),7.40−7.36(m,1H),7.25(d,J=9.0Hz,1H),4.01(s,3H).
<合成例7>
○(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメタンの合成
合成例6で合成し1−ブロモ−2−メトキシナフタレン(379mmol)、マグネシウム(759mmol)、1,2−ジブロモエタン(11.6mmol)およびTHF(700mL)より調製した2−メトキシ−1−ナフチルマグネシウムブロミド溶液をベンジルブロミド(757mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.09mmol)を含むTHF(100mL)溶液に42分間かけて滴下し、71時間加熱還流した後、室温で更に2日間攪拌した。この反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注加し、ジエチルエーテルで抽出した。この有機層(1.4L)を、飽和塩化アンモニウム水溶液、純水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、ろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去して得られた残渣にn−ヘキサンを加えて攪拌した後(150mLで2回)、固体をろ取した。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)に供し、(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメタン(51.8g,収率55%)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、この1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ7.90(d,J=8.5Hz,1H),7.81−7.78(m,2H),7.42−7.11(m,8H),4.48(s,2H),3.93(s,3H).
<合成例8>
○アリルジメチル[(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメチル]シランの合成
合成例7で合成した(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメタン(3mmol)のTHF(3mL)溶液を0℃に冷却した。この溶液に1.58M n−ブチルリチウムヘキサン溶液(3.14mmol)を加えた後、そのままの温度で1時間攪拌してリチウム塩を調製した。別にジクロロジメチルシラン(9.07mmol)をn−ヘキサン(3mL)に溶解し0℃に冷却した。この溶液に先のリチウム塩溶液を加えた後、そのままの温度で1時間攪拌した。デカンテーションにより得た上澄み液から溶媒を減圧留去してクロロジメチル[(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメチル]シランを得た。このクロロジメチル[(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメチル]シランのTHF溶液(3mL)に、別にアリルクロリト゛(6mmol)、マグネシウム(12.2mmol)、少量のヨウ素およびTHF(6mL)から調製したアリルマグネシウムクロリドのTHF溶液を室温で加え、30分間攪拌した後、室温で3日間静置した。この反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液とジエチルエーテルとを加えて分液し、さらに水層からジエチルエーテル抽出した。ジエチルエーテル抽出液を合一し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3回)、純水(2回)、および飽和食塩水(1回)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過したろ液から溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=95/5(v/v))で精製し、アリルジメチル[(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメチル]シラン0.828g(収率79%)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、この1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.01(d,J=8.5Hz,1H),7.78−7.76(m,2H),7.41−7.15(m,7H),7.06−7.02(m,1H),5.75−5.64(m,1H),4.81−4.78(m,1H),4.765−4.759(m,1H),4.32(s,1H),3.98(s,3H),1.61−1.59(m,2H),0.05(s,3H),−0.02(s,3H).
<実施例2>
○1−トリエトキシシリル−3−[ジメチル[(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメチル]シリル]プロパンの合成
合成例8で得たアリルジメチル[(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメチル]シラン(1mmol)をトルエン2mLに溶解し、ここに塩化白金(IV)酸六水和物の0.1Mベンゾニトリル溶液0.01mL(アリルシランに対して0.1mol%)を加えて攪拌した。ここにトリエトキシシラン(1.19mmol)を滴下し、均一になった後、室温で1終夜攪拌した。反応液から溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=19/1(v/v))で精製し、1−トリエトキシシリル−3−[ジメチル[(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメチル]シリル]プロパン0.250g(収率49%)を得た。この合成は、下記反応式を参照。また、1−トリエトキシシリル−3−[ジメチル[(2−メトキシ−1−ナフチル)フェニルメチル]シリル]プロパンの1H−NMRデータを下記に記載した。
Figure 2005154276
1H−NMR:δ8.02−7.99(m,1H),7.76−7.74(m,2H),7.39−7.00(m,8H),4.28(brs,1H),3.96(s,3H),3.72(q,J=7.1Hz,6H),1.47−1.20(m,2H),1.17(t,J=7.1Hz,9H),0.69−0.59(m,4H),0.03(s,3H).−0.03(s,3H).
本発明の有機ケイ素化合物は新規であり、ケイ素原子の隣接位に不斉炭素原子を有するうえ、その立体配置がR体およびS体のどちらも所望の光学活性体を得ることができるという特徴を有する。このため有機合成、特に不斉合成に関わる中間原料、光学分割剤および不斉合成補助剤として有用である。その他に無機化合物の表面処理剤、ポリマーの改質剤、あるいは高分子樹脂の構成成分として用いることも可能である。特に本発明の新規有機ケイ素化合物の光学活性体で表面処理したシリカゲルや樹脂は、光学異性体分離カラムクロマトグラフィー用充填材としても用いることができる。

Claims (2)

  1. 下記式(1)で表される有機ケイ素化合物。
    Figure 2005154276
    (式(1)中、Ar1およびAr2はそれぞれ異なっていて、置換基があってもよいフェニル基、置換基があってもよい1−ナフチル基または置換基があってもよい2−ナフチル基を示し、Rは分岐があってもよい炭素数1〜6個のアルキル基または置換基があってもよいフェニル基を示し、X1、X2およびX3は同一または異なっても良く、分岐があっても良い炭素数1〜6個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子はたはヨウ素原子を示し、nは1〜20の整数を示す。
  2. 請求項1記載の有機ケイ素化合物の光学活性体。
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