JP2005153716A - 自動制動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制動制御システムは、所定条件の場合に車輪の制動力を調整して自車両を減速する自動ブレーキ制御部10と、操舵角速度及び操舵角加速度のうちの少なくとも一方を検出するための操舵状態検出部2と、自動ブレーキ制御部10により自車両を減速している場合、操舵状態検出部2が検出した操舵角速度及び操舵角加速度のうちの少なくとも一方に基づいて、車輪の制動力を調整して自車両にヨーモーメントを付与するためのゲイン設定部21及び第1ヨーモーメント算出部22とを備える。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、自動ブレーキ制御中に車両の回頭性を高める制御を最適に行うことができる自動制動制御装置の提供を目的とする。
第1の実施形態は、本発明を適用した制動制御システムである。図1は、その制動制御システムの構成を示す。
制動制御システムは、自動ブレーキ制御部10、操舵状態検出部2、ヨーモーメント制御部20、車輪制動力制御部30及びブレーキ装置3を備えている。
そして、自動ブレーキ制御部10は、目標減速度Xg*を車輪制動力制御部30に出力する。その一方で、自動ブレーキ制御部10は、ブレーキアシスト機能を介入させた場合、自動ブレーキフラグemg_fをONにして、この自動ブレーキフラグemg_fをヨーモーメント制御部20に出力する。
操舵状態検出部2は、操舵角速度θ´及び操舵角加速度θ´´を得る。具体的には、前記ハンドル角θに基づいて操舵角速度θ´及び操舵角加速度θ´´を算出する。そして、操舵状態検出部2は、この操舵角速度θ´及び操舵角加速度θ´´をヨーモーメント制御部20に出力する。
先ずステップS1において、ヨーモーメント制御部20は、各種センサ類や自動ブレーキ制御部10から、ハンドル角θ、車速V、ヨーレイトψ´、車両前後加速度Xg、車両横加速度Yg、ヨーレイトφ´、路面μ及び自動ブレーキフラグemg_fを読み込む。
続いてステップS2において、ヨーモーメント制御部20は、操舵状態検出部2から操舵角速度θ´及び操舵角加速度θ´´を読み込む。
先ずステップS11において、ゲイン設定部21に、横加速度Yg、操舵角速度θ´、操舵角加速度θ´´、車速V、路面μ及び自動ブレーキフラグemg_fが入力される。
続いてステップS12において、ゲイン設定部21は、自動ブレーキフラグemg_fがONか否かを判定する。ここで、ゲイン設定部21は、自動ブレーキフラグemg_fがONの場合(emg_f=ON)、ステップS13に進み、自動ブレーキフラグemg_fがONでない場合(emg_f=OFF)、ステップS14に進む。
ステップS14では、ゲイン設定部21は、係数T1A,T2Aをそれぞれ0にする。そして、ゲイン設定部21はステップS15に進む。
ステップS15では、ゲイン設定部21は、下記(1)式のように車速Vを変数として車速応答ゲインKvを決定する。
Kv=f(V) ・・・(1)
Kθ´=f(θ´) ・・・(2)
続いてステップS17において、ゲイン設定部21は、下記(3)式のように操舵角加速度θ´´を変数として操舵角加速度ゲインKθ´´を決定する。
Kθ´´=f(θ´´) ・・・(3)
続いてステップS18において、ゲイン設定部21は、下記(4)式のように路面摩擦係数μを変数として路面摩擦係数ゲインKμを決定する。
Kμ=f(μ) ・・・(4)
Kyg=f(Yg) ・・・(5)
続いてステップS20において、ゲイン設定部21は、下記(6)式のように、前記ステップS16〜ステップS19で得た各種ゲインKθ´,Kθ´´,Kμ,Kygのうちからセレクトハイにより1つのゲインを選択して、その選択したゲインを選択ゲインKxにする。
Kx=max(Kθ´,Kθ´´,Kμ,Kyg) ・・・(6)
T1=Kv×Kx×T1A ・・・(7)
T2=Kv×Kx×T2A ・・・(8)
以上のようにヨーモーメント制御部20は、ゲイン設定部21により操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2を算出する。
この場合、係数T1A,T2Aは、例えば操舵角速度θ´が大きい場合、具体的には操舵角速度ゲインKθ´が他のゲインである各種ゲインKθ´´,Kμ,Kygよりも大きい場合、操舵角速度ゲインKθ´、すなわち操舵角速度θ´の大きさに応じて設定される。また、係数T1A,T2Aは、例えば操舵角加速度θ´´が大きい場合、具体的には操舵角加速度ゲインKθ´´が他のゲインである各種ゲインKθ´,Kμ,Kygよりも大きい場合、操舵角加速度ゲインKθ´´、すなわち操舵角加速度θ´´の大きさに応じて設定される。
続いてステップS4において、ヨーモーメント制御部20は、第1ヨーモーメント算出部22により、ヨーモーメント(以下、第1ヨーモーメントという。)ΔMffを算出する。
第1ヨーモーメント算出部22には、操舵角速度θ´、操舵角加速度θ´´並びに前記ステップS3で算出した操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2が入力されており、第1ヨーモーメント算出部22は、これら値に基づいて第1ヨーモーメントΔMffを算出する。下記(9)式は、その第1ヨーモーメントΔMffの算出式の一例を示す。
ΔMff=T1×θ´+T2×θ´´ ・・・(9)
ここで、自動ブレーキフラグemg_fがONの場合(emg_f=ON)、操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2が、0となることなく、横加速度Yg、操舵角速度θ´、操舵角加速度θ´´、車速V及び路面μに応じて設定されるので、第1ヨーモーメントΔMffは、その設定された操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2に応じて算出される。一方、自動ブレーキフラグemg_fがONでない場合(emg_f=OFF)、操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2は0になるので、第1ヨーモーメントΔMffも0になる。
第2ヨーモーメント算出部23には、ハンドル角θ、車速V及びヨーレイトψ´が入力されており、第2ヨーモーメント算出部23は、これら値に基づいて第2ヨーモーメントΔMfbを算出する。下記(10)式は、その第2ヨーモーメントΔMfbの算出式の一例を示す。
ΔMfb=f(θ,V,ψ´) ・・・(10)
続いてステップS6において、ヨーモーメント制御部20は、修正ヨーモーメント算出部24により、修正ヨーモーメント(出力ヨーモーメント)ΔMを算出する。具体的には、修正ヨーモーメント算出部24は、下記(11)式のように、前記第1ヨーモーメントΔMffと第2ヨーモーメントΔMfbとの総計として修正ヨーモーメントΔMを算出する。
ΔM=ΔMff+ΔMfb ・・・(11)
そして、ヨーモーメント制御部20は、算出した修正ヨーモーメントΔMを車輪制動力制御部30に出力する。
第2ブレーキ圧算出部32は、自車両に目標減速度Xg*が発生するような減速用絶対圧Pを算出する。この第2ブレーキ圧算出部32は、算出した減速用絶対圧Pを出力ブレーキ圧算出部33に出力する。
ブレーキ装置3は、出力ブレーキ圧算出部33からのブレーキ圧指令値に基づいて、各輪のブレーキ圧を調整する。これにより、車両は、自動ブレーキ制御により減速挙動を示すとともに、前記修正モーメントΔMを実現するような旋回挙動を示すようになる。
ここで、図6は、ブレーキ装置3により調整された各輪のブレーキ圧の経時変化を示す。なお、この図6に示すブレーキ圧の経時変化は、運転者が自車両を左旋回させたときのものである。
左前輪のブレーキ圧は、図6中(A)に示すように、前記減速用絶対圧Pになった後、所定のタイミングで左右前輪ブレーキ差圧ΔPf分だけ大きくなる(P+ΔPf)。また、右前輪のブレーキ圧は、図6中(B)に示すように、前記減速用絶対圧Pを発生させて、前記所定のタイミングで左右前輪ブレーキ差圧ΔPf分だけ小さくなる(P−ΔPf)。また、左後輪のブレーキ圧は、図6中(C)に示すように、前記減速用絶対圧Pになった後、前記所定のタイミングで左右後輪ブレーキ差圧ΔPr分だけ大きくなる(P+ΔPr)。また、右後輪のブレーキ圧は、図6中(D)に示すように、前記減速用絶対圧Pを発生させて、前記所定のタイミングで左右後輪ブレーキ差圧ΔPr分だけ小さくなる(P−ΔPr)。
ここで、自動ブレーキ制御部10は、運転者によるブレーキ操作がある大きさになったときブレーキアシスト機能を介入させて、運転者によるブレーキ操作量に対する目標減速度Xg*の値を大きい値に変更している。よって、ブレーキアシスト機能の介入時には、運転者のブレーキ操作により、通常の制動力よりも大きな制動力により自車両が減速するようになる。
前述したように、自動ブレーキ制御部10によりブレーキアシスト機能が介入している場合の方が、車両の回頭性が高くなる。
そのように車両の回頭性を高くする第1ヨーモーメントΔMffは、操舵角速度θ´が大きい場合、操舵角速度ゲインKθ´に応じて、すなわち操舵角速度θ´の大きさに応じて設定されている(前記ステップS3〜ステップS6)。又は、第1ヨーモーメントΔMffは、操舵角加速度θ´´が大きい場合、操舵角加速度ゲインKθ´´に応じて、すなわち操舵角加速度θ´´の大きさに応じて設定されている(前記ステップS3〜ステップS6)。
このように、操舵角速度θ´や操舵角加速度θ´´を用いることで、自動ブレーキ制御部10によりブレーキアシスト機能が介入している場合でも、運転者による旋回意思を確実に検出して、車両の回頭性を高めることができる。
第2の実施形態は制動制御システムであり、この第2の実施形態では、前述の第1の実施形態において図4に示したヨーモーメント制御部20が行う制御ゲインの算出処理内容を一部変更している。図7は、この第2の実施形態におけるヨーモーメント制御部20が行う制御ゲインを算出処理の処理手順を示す。この図7に示すように、ステップS19の後にステップS31の処理を新たに加え、さらにステップS21の処理内容を変更している。
Kxg*=f(Xg*) ・・・(12)
図8は、目標減速度Xg*を変数として目標減速度ゲインKxg*を決定する手段の一例となる、特性図を示す。この図8に示すように、目標減速度Xg*が0のとき、目標減速度ゲインKxg*を1とし、目標減速度Xg*に比例して目標減速度ゲインKxg*を増加させる。
T1=Kv×Kx×Kxg*×T1A ・・・(13)
T2=Kv×Kx×Kxg*×T2A ・・・(14)
以上のようにヨーモーメント制御部20は、ゲイン設定部21により操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2を算出する。
そして、前述の第1の実施形態と同様に、ヨーモーメント制御部20が、操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2に基づいて第1ヨーモーメントΔMffの算出等を行う(前記ステップS4〜ステップS6)。
第3の実施形態は、制動制御システムであり、この第3の実施形態では、ヨーモーメントを付与して自車両に旋回挙動をさせるか、自車両に減速挙動をさせるかの判定を行っている。このため、第3の実施形態の制動制御システムでは、図9に示すように、第1の実施形態の制動制御システムの構成に新たに優先動作判定手段である優先度判定部41を備えている。そして、第3の実施形態では、図10に示すように、前述の第1の実施形態で図4に示したヨーモーメント制御部20が行う制御ゲインの算出処理内容を一部変更している。この図10に示すように、ステップS19の後にステップS32の処理を新たに加え、さらにステップS21の処理内容を変更している。
この特性マップでは、横軸が運転者によるブレーキ操作量(以下、ドライバブレーキ操作量という。)になり、縦軸が運転者によるステアリング操舵量(以下、ドライバステアリング操舵量という。)になっている。ここで、ドライバブレーキ操作量としては、マスタ圧、踏力又はストロークが挙げられる。そして、特性マップを優先度「0」(通常エリア)、優先度「1」(回避優先エリア或いは旋回優先エリア)、及び優先度2(停止優先エリア或いは減速優先エリア)の3つの領域に分割している。優先度「1」(回避優先エリア)は、小さいドライバブレーキ操作量に対してドライバステアリング操舵量が大きいエリアであり、優先度「2」(停止優先エリア)は、大きいドライバブレーキ操作量に対してドライバステアリング操舵量が小さいエリアであり、優先度「0」(通常エリア)は、優先度「1」(回避優先エリア)と優先度2(停止優先エリア)との間に存在するエリアである。
すなわち、優先度判定部41は、ドライバブレーキ操作量が小さい場合で、かつドライバステアリング操舵量が大きい場合には、優先度「1」(回避優先エリア)を選択する。また、優先度判定部41は、ドライバブレーキ操作量が大きい場合で、かつドライバステアリング操舵量が小さい場合には、優先度「2」(停止優先エリア)を選択する。また、優先度判定部41は、ドライバブレーキ操作量が小さい場合で、かつドライバステアリング操舵量も小さい場合、又はドライバブレーキ操作量が大きい場合で、かつドライバステアリング操舵量も大きい場合、優先度「0」(通常エリア)を選択する。そして、優先度判断手段41は、このような優先度の選択情報をヨーモーメント制御20に出力している。
Kpr=f(優先度) ・・・(15)
図11は、優先度を変数として優先度ゲインKprを決定する手段の一例である、特性図を示す。
そして、このステップS31の処理に対応して、ステップS21において、ゲイン設定部21は、下記(16)式及び(17)式に示すように、係数T1A,T2A、車速応答ゲインKv、選択ゲインKx及び優先度ゲインKprを用いて操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2を決定する。
T1=Kv×Kx×Kpr×T1A ・・・(16)
T2=Kv×Kx×Kpr×T2A ・・・(17)
そして、前述の第1の実施形態と同様に、ヨーモーメント制御部20が、操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2に基づいて第1ヨーモーメントΔMffの算出等を行う(前記ステップS4〜ステップS6)。
このようなことから、運転者が減速動作より旋回動作を優先させている場合に、第1ヨーモーメントΔMffが大きくなり、この結果、車両の回頭性が高くなる。
第4の実施形態は制動制御システムである。図13は、この第4の実施形態の制動制御システムの構成を示す。この第4の実施形態では、前述の第3の実施形態と同様にヨーモーメントを付与して自車両に旋回挙動をさせるか、又は自車両に減速挙動をさせるかの判定を行うために優先度判定部41により優先度を得ている。しかし、第4の実施形態では、車輪制動力制御部30が、優先度判定部41が得た優先度に基づいて制御を行っている点で異なる。
図15は、優先度を変数としてブレーキ圧設定用ゲインKbrを決定する手段の一例となる、特性図を示す。この図15に示すように、優先度が「0」又は「1」のとき、ブレーキ圧設定用ゲインKbrを1にして、優先度が「2」のとき、ブレーキ圧設定用ゲインKbrを1よりも大きい値にする。
すなわち、前後方向の減速度Xg*を発生させるタイミングでは下記(18)式に基づいて最終的なブレーキ圧を決定する。
最終的なブレーキ圧=Kbr×P ・・・(18)
一方、自車両にヨーモーメントを発生させる場合、ブレーキ圧は、さらにブレーキ差圧ΔPf,ΔPrを考慮して決定される。例えば前記図6の例に対応すれば、例えば左前輪の最終的なブレーキ圧については、下記(19)式に基づいて最終的なブレーキ圧を決定する。
最終的なブレーキ圧=Kbr×P+ΔPf ・・・(19)
また、前述の第3の実施形態において説明したように、図11に示したような特性マップ或いはテーブルを用い、運転者のブレーキ操作量及び操舵操作量に基づいて、減速及び旋回の何れを運転者が優先しているかを判定している。これにより、構成を容易にして、減速及び旋回の何れを運転者が優先しているかを判定することができる。
第5の実施形態は制動制御システムである。この第5の実施形態では、アンチロックブレーキシステムの介入を考慮しつつ、ヨーモーメントを付与して自車両に旋回挙動をさせるか、又は自車両に減速挙動をさせるかの判定結果に基づいて最終的なブレーキ圧を決定するようにしている。
しかし、アンチロックブレーキシステムが作動した場合、制動力が大きい車輪のブレーキ圧の上昇が抑えられてしまう。このように、アンチロックブレーキシステムが作動したことでブレーキ圧の上昇が抑えられてしまうと、所望のヨーモーメント(前記修正ヨーモーメントΔM)が発生しなくなってしまう。
図16は、アンチロックブレーキシステムが作動したことで左前輪のブレーキ圧の上昇が抑えられてしまった場合で、かつ回避優先とされた場合(優先度が「1」)の、車輪制動力制御部30がしたブレーキ圧の調整結果を示す。
所望のヨーモーメントを発生させるために本来であれば左前輪のブレーキ圧が減速用絶対圧Pに左右前輪ブレーキ差圧ΔPfを加算した分(P+ΔPf)になる必要があるが、図17中(A)に示すように、アンチロックブレーキシステムが作動したことで左前輪のブレーキ圧がΔPe分だけ抑えられてしまう場合がある。しかし、停止優先である場合には、図17中(B)に示すように、その抑えられた圧力ΔPeにより左後輪のブレーキ圧を減少させることなく、維持する。これにより、所望のヨーモーメントより小さいヨーモーメントが発生するようになる。
一方、停止優先である場合に、アンチロックブレーキシステムが作動したことで所望のヨーモーメントを発生させるために必要な車輪のブレーキ圧の上昇が抑えられているときには、他の車輪のブレーキ圧をその抑えられたブレーキ圧減少分で調整することなく、維持する。これにより、所望のヨーモーメントが発生しなくなり、車両の回頭性が抑えられるので、車両に作用する力は、相対的に、減速度として前後方向に作用する力の方が強くなる。すなわち、アンチロックブレーキシステムが作動している場合でも、運転者による減速意思を反映させて、制動力を確保することができるようになる。
すなわち、前述の実施形態では、図2の制御特性により自動ブレーキ制御部10を具体的に説明した。しかし、これに限定されるものではない。
すなわち例えば、自動ブレーキ制御部10は、図18に示すように構成されていてもよい。この図18に示す自動ブレーキ制御部10は、ヨーレイト推定部51、セレクトハイ部52、目標車速演算部53及び目標減速度演算部54を備えている。
セレクトハイ部52にはセンサが得た実測のヨーレイト(以下、ヨーレイトセンサ値)が入力されており、セレクトハイ部52は、ヨーレイトセンサ値とヨーレイト推定値とのうちから大きい値を選択して、この選択したヨーレイトψ*を目標車速演算部53に出力する。
目標車速演算部53は、下記(20)式により、これら横加速度制限値Yg*、路面μ推定μ及びヨーレイトψ*に基づいて目標車速V*を算出する。
V*=μ×Yg*/ψ* ・・・(20)
目標減速度演算部54は、下記(21)式により、目標車速V*に基づいて目標減速度Xg*を算出する。
Xg*=K1×ΔV/Δt
ΔV=V−V*
・・・(21)
ここで、K1はあるゲインであり、ΔVは速度偏差であり、Δtは速度偏差ΔVがゼロになるまでにかかる時間である。
例えば、このような構成をなす自動ブレーキ制御部10は、カーブ路をある所定の横加速度制限値Yg*以上で車両が走行した場合に、目標減速度Xg*となるように車両を減速する自動ブレーキシステムに適用されている。この自動ブレーキシステムにより、カーブ路での車両のオーバスピードを抑制することができる。
外界認識装置61は、カメラやレーダ等であり、前方先行車両等の障害物と自車両との車間距離d及び相対速度Vrを測定する。そして、外界認識装置61は、測定した車間距離d及び相対速度Vrを目標減速度演算部62に出力する。
Xg*=(V−Vc2)/(2×d) ・・・(22)
そして、この目標減速度演算部62は、衝突時間TTC(=d/Vr)が所定のしきい値TTC*よりも大きくなったときに、その算出した目標減速度Xg*を出力する。そして、同時に、自動ブレーキ制御部10は、自動ブレーキフラグemg_fをONにする。
以上のような構成により自動ブレーキ制御部10が目標減速度Xg*を得るようにしてもよい。
例えば、このような構成をなす自動ブレーキ制御部10は、障害物との関係で、目標減速度Xg*となるように車両を減速する自動ブレーキシステムに適用されている。この自動ブレーキシステムにより、障害物との衝突速度を低減することができる。
左前輪のブレーキ圧は、図20中(A)に示すように、前記減速用絶対圧Pになった後、所定のタイミングで左右前輪ブレーキ差圧ΔP分だけ大きくなる(P+ΔP)。また、右前輪のブレーキ圧は、図20中(B)に示すように、前記減速用絶対圧Pを発生させて、前記所定のタイミングで左右前輪ブレーキ差圧ΔP分だけ小さくなる(P−ΔP)。一方、左後輪のブレーキ圧及び右後輪のブレーキ圧は、図20中(C)及び(D)に示すように、前記減速用絶対圧Pのままである。
また、前述の第4の実施形態では、自動ブレーキ制御部10によるブレーキアシスト機能が介入している場合において、運転者が旋回動作より減速動作を優先させているときには、車両をより大きく減速させている。しかし、これに限定されるものではない。例えば、運転者がブレーキペダルを踏み込んで得られるブレーキ圧と、自動ブレーキ制御部10によるブレーキアシスト機能により目標減速度Xg*に基づいて得たブレーキ圧とのうちからセレクトハイにより大きい方の値を選択して、その選択したブレーキ圧に基づいて車両を減速させるようにしてもよい。この場合、運転者がブレーキペダルを踏み込んで得られるブレーキ圧が、自動ブレーキ制御部10により得たブレーキ圧よりも大きいときに、運転者がブレーキペダルを踏み込んで得られるブレーキ圧に対応させて車両を減速させることができる。すなわち、運転者の減速意思を優先させて車両に強い制動力を作用させることができる。
また、前述の実施形態の説明において、操舵角速度ゲインT1及び操舵角加速度ゲインT2は、車輪の制動力を調整するゲインを構成している。
3 ブレーキ装置
10 自動ブレーキ制御部
20 ヨーモーメント制御部
21 ゲイン設定部
22 第1ヨーモーメント算出部
23 第2ヨーモーメント算出部
24 修正ヨーモーメント算出部
30 車輪制動力制御部
31 第1ブレーキ圧算出部
32 第2ブレーキ圧算出部
33 出力ブレーキ圧算出部
41 優先度判定部
51 ヨーレイト推定部
52 セレクトハイ部
53 目標車速演算部
54,62 目標減速度演算部
61 外界認識装置
Claims (10)
- 所定条件の場合に車輪の制動力を調整して自車両を減速する車両減速制御手段と、
操舵角速度及び操舵角加速度のうちの少なくとも一方を検出する操舵状態検出手段と、
前記車両減速制御手段が自車両を減速している場合、前記操舵状態検出手段が検出した操舵角速度及び操舵角加速度のうちの少なくとも一方に基づいて、前記車輪の制動力を調整して前記自車両にヨーモーメントを付与するヨーモーメント付与手段と、
を備えたことを特徴とする自動制動制御装置。 - 前記ヨーモーメント付与手段は、前記車両減速制御手段が自車両の減速度を大きくするほど、前記ヨーモーメントを大きくすることを特徴とする請求項1記載の自動制動制御装置。
- 減速及び旋回の何れを運転者が優先しているかを判定する優先動作判定手段を備えており、
前記優先動作判定手段は、運転者が減速を優先すると判定した場合、前記ヨーモーメント付与手段による自車両へのヨーモーメントの付与よりも、前記車両減速制御手段による自車両の減速を優先させ、前記優先動作判定手段は、運転者が旋回を優先すると判定した場合、前記車両減速制御手段による自車両の減速よりも、前記ヨーモーメント付与手段による自車両へのヨーモーメントの付与を優先させることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動制動制御装置。 - 前記優先動作判定手段は、運転者のブレーキ操作量及び操舵操作量に基づいて、減速及び旋回の何れを運転者が優先しているかを判定することを特徴とする請求項3記載の自動制動制御装置。
- 前記ヨーモーメント付与手段は、前記ヨーモーメントを自車両に付与するために必要な車輪の制動力がアンチロックブレーキ制御の介入により抑制されている場合、前記アンチロックブレーキ制御により制動力が抑制されていない車輪の制動力を調整して、前記ヨーモーメントを自車両に付与することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自動制動制御装置。
- 前記ヨーモーメント付与手段は、前記優先動作判定手段は、運転者が旋回を優先すると判定した場合で、かつ前記ヨーモーメントを自車両に付与するために必要な車輪の制動力がアンチロックブレーキ制御の介入により抑制されている場合、前記アンチロックブレーキ制御により制動力が抑制されていない車輪の制動力を調整して、前記ヨーモーメントを自車両に付与し、前記優先動作判定手段は、運転者が減速を優先すると判定した場合で、かつ前記ヨーモーメントを自車両に付与するために必要な車輪の制動力がアンチロックブレーキ制御の介入により抑制されている場合、前記アンチロックブレーキ制御により制動力が抑制されていない車輪の制動力を維持することを特徴とする請求項3又は4記載の自動制動制御装置。
- 前記ヨーモーメント付与手段は、前記車輪の制動力を調整するゲインを変更して、前記ヨーモーメントを付与することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の自動制動制御装置。
- 前記車両減速制御手段は、運転者のブレーキ操作量に応じて制動力を調整することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の自動制動制御装置。
- 前記車両減速制御手段は、前記自車両がカーブ路を走行している場合に制動力を調整することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の自動制動制御装置。
- 前記車両減速制御手段は、前記自車両と当該自車両の前方物体との関係に基づいて制動力を調整することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の自動制動制御装置。
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