JP2005153316A - インクジェット記録材料の製造方法及びインクジェット記録材料 - Google Patents

インクジェット記録材料の製造方法及びインクジェット記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 膜強度を高め膜面故障がない安定生産塗布を可能とし、生産性向上が可能なインクジェット記録材料の製造方法及び該製造方法で得られるインクジェット記録材料の提供。
【解決手段】 支持体上にインク吸収層を有するインクジェット記録材料の製造方法において、インク吸収層を支持体上に硬膜剤、カチオン性物質、親水性バインダーを含有する水性媒体に無機微粒子を分散した水性分散液を用いて設ける場合に、硬膜剤であるホウ酸と硼砂との比率が2:8〜9:1であり、且つ、該水性分散液を含有する塗布液の5℃の粘度が800〜150000cPであることを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料の製造方法及びインクジェット記録材料に関し、インクジェット記録用材料、インクジェット記録用材料の製造方法及びインクジェット記録用材料に関する。
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有しており、近年急速に普及してきている。
また、写真等の高画質印刷、いわゆるフォトライクの記録シートにも用いられており、記録シートとして高光沢性、表面平滑性等の更なる改良が望まれている。
これら特性の向上を目的として、色材受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用シートが開発され実用化されている。
また、光沢発現層を設け、更に加熱鏡面処理やカレンダー処理を行うことを提案しているが(例えば、特許文献1、2を参照)、製造工程が複雑になり逆に高価になってしまい、またインク吸収性を劣化させる懸念がある。
従って、現状では、生産性が良好で、光沢性、膜面故障が発生しないインクジェット記録材料の製造方法は確立されていない。
特開平11−91240号公報 特開2002−211113号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的はインクジェット記録材料の表面の膜強度を高め膜面故障がない安定生産塗布を可能とし、生産性向上が可能であるインクジェット記録材料の製造方法及び該製造方法から得られるインクジェット記録材料を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
1.支持体上にインク吸収層を有するインクジェット記録材料の製造方法において、インク吸収層を支持体上に硬膜剤、カチオン性物質、親水性バインダーを含有する水性媒体に無機微粒子を分散した水性分散液を用いて設ける場合に、硬膜剤であるホウ酸と硼砂との比率が2:8〜9:1であり、且つ、該水性分散液を含有する塗布液の5℃の粘度が800〜150000cPであることを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
2.前記水性分散液のpHが3〜6であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
3.前記塗布液のpHが3〜7であることを特徴とする前記1又は2に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
4.前記硬膜剤中のホウ素量が、親水性バインダー1gに対して1〜6mmolであることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
5.無機微粒子が湿式シリカであることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
6.前記分散が連続処理であることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
7.前記1〜6の何れか1項に記載のインクジェット記録材料の製造方法で作製されるインク吸収性層を有することを特徴とするインクジェット記録材料。
本発明によるインクジェット記録材料の製造方法及び該製造方法で得られるインクジェット記録材料は、インクジェット記録材料の表面の膜強度を高め膜面故障がない安定生産塗布を可能とし、生産性向上が可能であり、優れた効果を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性分散液は、水性媒体に硬膜剤のホウ酸、硼砂の比率が2:8〜9:1で含有させて分散を実施する。前記比率は、分散性、及び分散液を含有した塗布液を塗工し乾燥前の膜強が強く、乾燥時に吹かれムラ、ひび割れ等の塗膜故障が無いインクジェット記録材料の製造方法を提供することが出来る。好ましくは3:7〜8:2である。
分散時の水性媒体に含有させる硬膜剤は、ホウ酸100%で実施すると分散性は良好であるが、親水性バインダーとの架橋反応が不十分で、この分散液を含有した塗布液を塗布した場合には膜強度に懸念があり、乾燥時に吹かれムラ、ひび割れ等の塗膜故障を発生させてしまう可能性がある。また、硬膜剤を硼砂100%で実施すると、無機顔料微粒子が凝集するのか高粘度になり分散性が懸念される。上記懸念は、pH調整剤等で緩和させることも可能であるが、作業が複雑になり好ましい形態ではない。
本発明で使用する、硬膜剤量は親水性バインダーであるポリビニールアルコール1gに対して1〜6mmolであることが好ましい。更に好ましくは、2〜4.5mmolの範囲である。
ホウ酸、硼砂の比率が上記範囲であれば、強い膜強度が得られ支持体上に塗布液を塗布した際に膜面故障が発生しない安定生産塗布が可能となる。
本発明に用いる無機微粒子は、シリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイトが挙げられるが、これらの中でもシリカ微粒子が好ましく、分散濃度が高められ結果として塗布スピードも上げられるため生産効率が高い湿式法シリカが特に好ましい。
本発明に用いる分散機としては、特に限定されるものではないが、生産コストがかからないように生産効率を良いものが好ましく、バッチ式の分散機より連続式の分散機が好ましい。
(水性媒体)
本発明の水性媒体としては、例えば、カチオン性物質、硬膜剤(ホウ酸、硼砂)を含有した液であるが、必要に応じて、低級アルコール(好ましくは例えばエチルアルコール)、硝酸、その他の添加剤を含有する水性液が本発明に係る水性媒体として好ましい。
(低級アルコール)
本発明に係る水性媒体に好ましく用いられる低級アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられるが、中でも、エチルアルコールが好ましい。
(親水性バインダー)
本発明のインクジェット記録材料に、好ましくバインダーとして用いられる親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、プルラン、カゼイン、デキストラン等を用いることができるが、インクが含有する高沸点有機溶媒や水に対する膨潤性や溶解性が低い親水性バインダーを使用するのが印字直後の皮膜強度の点から好ましい。
本発明では特に皮膜形成性のため、ポリビニルアルコールまたはその誘導体が好ましく、中でも平均重合度が1000以上が好ましく、最も好ましくは平均重合度が2000以上のポリビニルアルコールまたはその誘導体である。また、ケン化度は70〜100%が好ましく、特に80〜100%が最も好ましい。
上記親水性バインダーは2種以上併用することもできるが、この場合、ポリビニルアルコールまたはその誘導体を少なくとも50質量%以上含有しているのが好ましい。
上記ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコールまたはノニオン変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して通常0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
カチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は通常500〜4000、好ましくは1000〜4000である。
また、酢酸ビニル基のケン化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、および同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録材料の空隙層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は質量比で3倍以上であることが、高い空隙率と高い皮膜強度を得る上で好ましい。同様の観点から更に好ましい無機微粒子の親水性バインダーに対する比率は6以上である。
親水性バインダーに対する無機微粒子の比率の上限は、皮膜のひび割れ性能の点から概ね8以下であることが好ましい。
硬膜剤(ホウ酸、硼砂)
本発明のインクジェット記録材料の空隙層中には前記親水性バインダーと架橋し得る硬膜剤を添加するのが空隙層の造膜性の改良、皮膜の耐水性、および本発明の目的である印字後の皮膜強度を改善する点で好ましい。そのような硬膜剤としてはエポキシ基、エチレンイミノ基、活性ビニル基等を含有する有機硬膜剤、クロムみょうばん、ホウ酸、あるいはホウ砂等の無機硬膜剤が挙げられる。
親水性バインダーがポリビニルアルコールである場合には特に、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ系硬膜剤、ホウ酸またはその塩、ホウ砂が好ましい。ホウ酸としてはオルトホウ酸だけでなく、メタホウ酸や四ホウ酸等も使用できる。
上記硬膜剤の添加量は上記親水性バインダー1g当たり通常1〜300mg、好ましくは2〜150mgである。
(カチオン性化合物)
本発明のインクジェット記録材料の空隙層中には、画像の耐水性、耐滲み性を改良する観点から、カチオン性化合物を含有させることが好ましく、中でもカチオン性ポリマーがより好ましい。カチオン性ポリマーとしては、例えば1級〜3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを用いることができるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の定着性が良好になる観点から、4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが特に好ましい。
本発明においては、カチオン性ポリマーが本発明の水性分散液に用いられることが更に好ましい。
好ましいカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005153316
Figure 2005153316
Figure 2005153316
Figure 2005153316
これらの第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明に使用できる。
また、上記カチオンポリマー以外に公知のカチオン物質を使用することも可能である。
さらに必要に応じて、特開昭57−36692号公報の塩基性ラテックスポリマー、特公平4−15744号、特開昭61−58788号、同62−174184号等各公報記載のポリアリルアミン、特開昭61−47290号公報記載のアルカリ金属弱酸塩等を併用することができる。
(支持体)
本発明でインクジェット記録材料の支持体としては、公知のものを適宜使用できる。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルムや板、およびガラス板などが挙げられ、この中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、10〜200μmが好ましい。
また、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば、一般の紙、合成紙、樹脂被覆紙、布、木材、金属等からなるシートや板、および上記の透光性支持体を公知の手段により不透明化処理したもの等を挙げることができる。不透明の支持体としては、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。支持体とインク受像層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さらに、本発明のインクジェット記録材料は必ずしも無色である必要はなく、着色されたインクジェット記録材料であってもよい。
本発明のインクジェット記録材料では紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
本発明のインクジェット記録材料の空隙層には、塗布後乾燥時の皮膜の脆弱性を改良するために、各種液滴やポリマーラテックスを含有することが好ましい。そのような液滴としては例えば流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイルのような、室温で水に対する溶解性が約0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒、例えばスチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルメタクリレート等のモノマーを1種以上を乳化重合、あるいは重合後乳化分散させて得られるようなポリマーラテックスを添加することができる。このような液滴、ラテックス粒子は、好ましくは親水性バインダーに対し10〜50質量%用いることができる。クラック防止や皮膜の脆弱性に対しては、分子量が300以下のポリオール類を含有させることも好ましい。このようなポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、分子量が300以下のポリエチレングリコール等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録材料のインク吸収層側の任意の層中には、必要に応じて各種の添加剤を含有させることができる。
例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
本発明のインクジェット記録材料におけるインク吸収層側の塗布固形分の量は5〜40g/m2が好ましく、10〜30g/m2がより好ましい。
本発明のインクジェット記録材料の乾燥膜厚は皮膜の空隙率や要求される空隙量により決まるが、一般には15μm以上、好ましくは20μm以上である。
本発明のインクジェット記録材料のインク吸収層の空隙容量はインクジェット記録材料1m2当たり10〜40mlが好ましく、15〜30mlになる範囲に調整されることがより好ましい。
但し、空隙容量はJ.TAPPI 紙パルプ試験方法 No.51−87「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」(ブリストー法)に記載された方法でインクジェット記録材料のインク吸収性側を測定した時、吸収時間が2秒における液体転移量(ml/m2)で表される。なお、この時使用する液体は純水(イオン交換水)であるが、測定面積の判別を容易にするために2%未満の水溶性染料を含有していてもよい。
本発明のインクジェット記録材料は、前記した空隙層を有する記録層を2層以上有していてもよく、この場合、2層以上の空隙層の無機微粒子の親水性バインダーに対する比率はお互いに異なっていてもよい。
また、上記空隙層以外に、空隙層を有さず、あるいは空隙層と共にインクに対して膨潤性の層である膨潤性層を有していてもよい。
このような膨潤性層は空隙層の下層(支持体に近い側)あるいは空隙層の上層(支持体から離れた側)に設けてもよく、更には空隙層が2層以上有る場合には空隙層の間に設けられてもよい。かかる膨潤性層には通常親水性バインダーが用いられ、ここに用いられる親水性バインダーの例としては、前記空隙層に用いられる親水性バインダーが挙げられる。
本発明のインクジェット記録材料のインク吸収性層を有する側とは反対側にはカール防止や印字直後に重ね合わせた際のくっつき防止やインク転写防止を更に向上させるために種々の種類のバック層を設けることが好ましい。
バック層の構成は支持体の種類や厚み、インク吸収性層の構成や厚みによっても変わるが一般には親水性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。
また、バック層には他のインクジェット記録材料とのくっつき防止、筆記性改良、さらにはインクジェット記録装置内での搬送性改良のために表面を粗面化できる。この目的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機または無機の微粒子である。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の態様はこれにより限定されるものではない。
(水性分散液の調製)
実施例1
水を主成分とする水性媒体と、無機顔料微粒子として、微粒子シリカ(T−32:トクヤマ社製)を用いて、第1分散機として遠心方式の分散機(フロージェットミキサー:粉研パウテックス社製)周速25m/secで分散を行い、引き続き、第2分散機として遠心方式の分散機(ファインフローミル:太平洋機工社製)周速25m/secで分散を行い、更に第3分散機としてメディア型分散機(サンドミルRL12.5:アシザワ社製)でビーズ充填率80%、周速8.0m/sec、滞留時間10min分散を行い、水性分散液をそれぞれ作製した。分散機は、分散液を冷却する目的で第1分散機、第2分散機は、ジャケットに通し、第3分散機前には熱交換器を設置した。微粒子シリカの濃度は、30質量%で実施した。
水性分散液には、水を主成分としカチオン性ポリマー(P−13)と硬膜剤であるホウ酸、硼砂を含有させた。カチオン性ポリマーは、微粒子シリカの質量に対して4質量%とした。
水性分散液1〜7の調製(pH5)
上記水性分散液の調製の分散方法で、硬膜剤のホウ酸、硼砂比率が表1記載になるように変化させて分散を実施し、各水性分散液1〜7を得、以下の評価を行った。
分散性の評価として各水性分散液中の粒子の平均粒径、粗大粒子数を測定した結果を以下に示す。
(平均粒径評価)
malvern社製、光子相関法ゼータサイザー1000HSで測定した値である。
(粗大粒子数)
PacificScientific社製、HIAC/ROYCO Model8000A ParticleCounterで測定した値である。粗大粒子数の測定は、湿式シリカ微粒子分散液を希釈してシリカ微粒子の重量濃度で0.1%の液を作り、10ml中の粗大粒子を測定した値である。測定レンジは2〜100μmレンジで測定し、10μm以上の粒子数を粗大粒子数とした。
Figure 2005153316
インクジェット記録材料(記録材料)の調製
水性分散液1〜7の水性分散液を使用し、40℃で攪拌しながら、ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)を添加し、純水で微粒子シリカ濃度が10質量%になるように塗布液を仕上げ、RCペーパー上に微粒子シリカ付量が18g/m2になるようにCS200m/minで塗布し、インクジェット記録材料(記録材料)1〜7を得、以下の評価を行った。尚、ポリビニルアルコールの添加量は、微粒子シリカ/ポリビニールアルコールが6.5になるように調製した。
(低温粘度)
前記塗布液をサンプリングし、5℃を恒温バスに浸漬し、1時間後の粘度を測定した。
測定計:
A:100,000cP以上
B:20,000cP〜100,000cP未満
C:10,000cP〜20,000cp未満
D:800〜10000cP未満
E:800cP未満
Cランク以上であれば膜面故障が発生する可能性はなく、Dランクでは膜面故障が若干発生する懸念がある。
(ひび割れ)
塗布面の0.3m2当たりのひび割れ点数を目視でカウントした。
A:6点未満
B:6〜11点未満
C:11〜21点未満
D:21以上
ひび割れ点数は、通常10点以下であれば実用上問題ないと考えられる。
(吹かれムラ)
目視で評価を行い、以下の基準でランクをつけた。
A:吹かれムラなし
B:反射でよく見れば吹かれムラが観察される
C:わずかに吹かれムラ有り
D:吹かれムラ有り
Bランク以上であれば、性能上問題ないと考えられる
(光沢度)
日本電色工業社製変角光度計(VGS−1001DP)を用いて、75度の光沢度を測定した。この値が45以上であればフォトライク画像用記録材料として有効である。結果を以下に示す。
Figure 2005153316
実施例2
実施例1において、微粒子シリカの水性分散液中の添加量を25質量%、表3に示すよに、ホウ酸、硼砂の比率を変えた以外は実施例1と同様にして、水性分散液8〜14を作製し、これらの水性分散液を用いて、実施例1と同様にしてインクジェット記録材料(記録材料)8〜14を得た。得られた各々の水性分散液及びインクジェット記録材料について、実施例1と同様の評価を行った。結果を以下に示す。
Figure 2005153316
Figure 2005153316
以上の表1〜表4から明らかなように、本発明の水性分散液、インクジェット記録材料が比較の分散液、インクジェット記録材料に比して優れていることが分かる。

Claims (7)

  1. 支持体上にインク吸収層を有するインクジェット記録材料の製造方法において、インク吸収層を支持体上に硬膜剤、カチオン性物質、親水性バインダーを含有する水性媒体に無機微粒子を分散した水性分散液を用いて設ける場合に、硬膜剤であるホウ酸と硼砂との比率が2:8〜9:1であり、且つ、該水性分散液を含有する塗布液の5℃の粘度が800〜150000cPであることを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
  2. 前記水性分散液のpHが3〜6であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
  3. 前記塗布液のpHが3〜7であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
  4. 前記硬膜剤中のホウ素量が、親水性バインダー1gに対して1〜6mmolであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
  5. 無機微粒子が湿式シリカであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
  6. 前記分散が連続処理であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録材料の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のインクジェット記録材料の製造方法で作製されるインク吸収性層を有することを特徴とするインクジェット記録材料。
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