JP2005150470A - チップインダクタ及びチップインダクタの製造方法 - Google Patents

チップインダクタ及びチップインダクタの製造方法 Download PDF

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聡 木下
Minoru Oshio
稔 大塩
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Abstract

【目的】低背で衝撃に強くインダクタンス特性及び外部電極と巻線端部の接続信頼性に優れたチップインダクタを提供する。
【構成】チップインダクタ10は、巻芯部11と該巻芯部11の一方端に延設された鍔部12とからなる縦断面がT形の磁性コア13と、前記磁性コア13の鍔部12の下面に設けられた外部電極15a、15bと、前記磁性コア13の巻芯部11の外周面上の領域に巻回されるとともに両端部が前記外部電極15a、15bに導電接続された巻線6と、前記磁性コア13の巻芯部11の端面11aを露出させつつ前記巻芯部11に巻回された巻線6を被覆するように前記巻芯部11の外周面上の領域のみに形成された磁性粉入り外装樹脂層17と、を有する構造であり、高さ寸法Hが低背で衝撃に強くインダクタンス特性及び接続信頼性に優れる。
【選択図】 図1

Description

本発明は低背化に適合するチップインダクタとその製造方法に関する。
公知のインダクタの構造として、図4の断面図に示されるような、円形断面或いは矩形断面の棒状の巻芯部1の両端に鍔部2a、2bを延設してドラム形状に成形されたフェライト材等からなる所謂ドラム型磁性コア4と、前記ドラム型磁性コア4の両鍔或いは一方の鍔に設けられた外部電極5と、前記ドラム型磁性コア4の巻芯部1にポリウレタンやポリエステル等で絶縁被覆した銅線等の巻線6を巻回してその両端部を前記鍔部2bに設けられた外部電極5に半田付けや熱圧着等の手段により導電接続した基本構造を備えるチョークコイル等のチップインダクタ8がある。
下記[特許文献1]には、上記ドラム型磁性コア4を用いた巻線チップインダクタの構造と製造方法の一例が記載されている。
また、下記[特許文献2]には、巻芯部の片側にのみ鍔が形成された縦断面がT形の磁性コアを用いたチョークコイルとその製造方法が記載されている。
即ち、図5の斜視図に示されるように、チョークコイル9は、棒状のフェライトコアの両端のうち片側のみに鍔を設けたコア7と、前記コア7と分離して別途巻かれたコイル3とを備え、前記コイル3を前記コア7の鍔の無い端から挿入し、図示されない接着剤・コーティング・含浸等の処理で固着し一体化した構造となっている。そして、前記コイル3を前記コア7と分離して別途巻回するので、巻線加工時間の軽減と加工途中の仕損じを減らすことができ、コスト低減、量産化に適する効果があるとする。
特開平9−45533号公報
実開平3−83910号公報
近年の携帯電話や携帯パーソナルコンピュータ等の普及に伴い、これらに用いられている電子部品としてのインダクタに対する小型化、低背化が強く要請されている。
この点、前記[特許文献1]に記載されているような図4のドラム型磁性コア4を用いたチップインダクタ8は、低背化すると鍔部2a、2bの物理的強度が弱くなり、落下等の衝撃に耐えられず、製造過程における巻線の巻回時或いは基板への実装時に鍔部2a、2b(特に上方の鍔部2a)がひび割れする場合があった。
この点、図4のチップインダクタ8における鍔2b上の巻線6の周囲及び鍔2aを含めた破線で示す枠内全体を外装樹脂層で覆って封止したり、断面U形のカップ状のスリーブコアを被せて内部に樹脂を充填した構造のチップインダクタもあるが、かえって高背になるので低背化の要請には適合しない。
また、[特許文献2]に記載されているような片鍔構造のT形のコア7とコイル3のみを構成要素とするチョークコイル9は、インダクタンス特性の向上が望めず、漏れ磁束が大きくて巻数が増加するために巻線の体積が大きくなって低背化が困難である。また、チップインダクタを想定していないため、自動実装化に適合しないという難点がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、チップインダクタの一層の小型化、低背化を実現するとともに物理的強度を高めた新たな構造のチップインダクタと、該チップインダクタを効率よく製造する製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を達成するために、
(1)巻芯部と該巻芯部の一方端に延設された鍔部とからなる縦断面がT形の磁性コアと、前記磁性コアの鍔部の下面に設けられた外部電極と、前記磁性コアの巻芯部の外周面上の領域に巻回されるとともに両端部が前記外部電極に導電接続された巻線と、前記磁性コアの巻芯部の端面を露出させつつ前記巻芯部に巻回された巻線を被覆するように前記巻芯部の外周面上の領域のみに形成された磁性粉入り外装樹脂層と、を有することを特徴とするチップインダクタを提供する。
(2)棒状の巻芯部と該巻芯部の両端に延設された2つの鍔部からなるドラム型磁性コアを成形する工程と、前記ドラム型磁性コアの両鍔部に外部電極を形成する工程と、巻線ガイドを巻芯部の略中央に取り付けて外周面上の領域を2分するとともに各々の外周面上の領域に巻線を巻回してその両端部を近接する側の鍔部の外部電極に導電接続する工程と、前記巻線ガイドを取り外して両鍔部間の巻芯部に巻回された巻線を被覆するように磁性粉入り外装樹脂層を形成する工程と、前記巻芯部の略中央で前記鍔と平行に切断して二分する工程と、を備えることを特徴とする上記(1)に記載のチップインダクタの製造方法を提供する。
本発明に係るチップインダクタ及びチップインダクタの製造方法は、上記のように構成されているため、
(1)2鍔構造のドラム型コアを用いたチップインダクタよりも低背にできる。
(2)磁性コアが片鍔構造のため衝撃に強く、ひび割れの発生が抑えられる。
(3)磁性コアの上面が露出しているのでさらに漏れ磁束が小さくなる。
(4)磁性粉入り外装樹脂層の外装でパッケージされているので漏れ磁束が少なく巻体積が少なくて済み小型化に資する。
(5)巻芯部の外周面上の領域のみに磁性粉入り外装樹脂層を形成しているので、巻芯部の外周面上の鍔部寄りの領域と先端寄りの領域とで、磁性粉入り外装樹脂層の温度変化により発生する膨張収縮応力の差が小さいため、巻線を被覆する外装樹脂層を鍔表面から引き剥がそうとする力が緩和され、鍔部の下面の外部電極と巻線端部との接続の信頼性に優れる。
(6)磁束のギャップが小さくなるので、インダクタンス特性が向上する。
(7)生産性が従来のドラム型コアのチップインダクタの約2倍になり、効率よく安価に製造できる。
本発明に係るチップインダクタ及びチップインダクタ製造方法の最良の実施の形態について図面に基づき説明する。なお、既述の部材と同等部材については同符号にて示す。
図1の(a)は本発明に係るチップインダクタの構造を説明するための断面図であり、(b)は本発明に係るチップインダクタの外装樹脂層に発生する膨張収縮応力を外装樹脂層の覆う領域の違いで比較する断面図である。図2は本発明に係るチップインダクタの構造を説明するための斜視図である。図3は本発明に係るチップインダクタの製造手順を説明する図である。
図1の(a)又は図2において、本発明に係るチップインダクタ10は、巻芯部11と該巻芯部11の一方端に延設された鍔部12とからなる縦断面がT形の磁性コア13と、前記磁性コア13の鍔部12の下面に設けられた外部電極15a、15bと、前記磁性コア13の巻芯部11の外周面上の領域に巻回されるとともに両端部が前記外部電極15a、15bに導電接続された巻線6と、前記磁性コア13の巻芯部11の端面11aを露出させつつ前記巻芯部11に巻回された巻線6を被覆するように前記巻芯部11の外周面上の領域のみに形成された磁性粉入り外装樹脂層17(図2では、2点鎖線で囲まれた鍔部12上の領域)と、を有する構造である。
前記磁性コア13は、例えばニッケル亜鉛系フェライト等の酸化物磁性体材料からなるコアである。また、前記外部電極15a、15bは、例えば鍔部12の端面側と側面側に直付けした銀ペースト層と半田メッキ層を被膜した平面電極である。また、前記磁性粉入り外装樹脂層17は、例えばフェライト粉末10〜90重量%を含有するエポキシ系樹脂である。
上記チップインダクタ10では、磁性コア13が巻芯部11の一方側(下側)の鍔部12しかない片鍔構造のため、前記巻芯部11の外周面上の領域のみに形成された磁性粉入り外装樹脂層17と相俟って衝撃に強くひび割れしにくいという特長を有する。
また、片鍔構造の磁芯コア13の巻芯部11の鍔のない側の端面11aが露出するように磁性粉入り外装樹脂層17でが外装されているので、その高さ寸法Hは低く抑えられ、既述の図4のような2鍔構造のドラム型コアを用いたチップインダクタ8よりも一層の低背化が実現される。さらに、図4のような従来の2鍔構造のインダクタンスにおいて、巻線部の外周に外装樹脂を被覆した場合、樹脂の硬化収縮により磁性コアの鍔部に引っ張り応力が発生し、鍔部の引っ張り応力により磁性コアの巻芯部が加圧されて磁性コア材の透磁率μ値が劣化し、これにより、チップインダクタのインダクタンス値が低下する。これに対し、上記の片鍔構造の場合、磁性コアの鍔部に樹脂の硬化収縮により発生する引っ張り応力が小さいため、チップインダクタのインダクタンスの低下が小さく、また、磁性コアの鍔部に樹脂の温度変化に伴う膨張収縮により発生する圧縮・引っ張り応力が小さいため、チップインダクタのインダクタンス値の温度変化が小さく、良好な温度特性が得られる。
また、前記磁性コア13の上面が露出しているので、漏れ磁束が小さくなり、磁性コア13の上面まで覆って外装されている場合に比して太線で示した磁束のギャップGAPの距離が小さくなるので、インダクタンス特性の向上が図れることになる。
さらに、前記磁性粉入り外装樹脂層17の外装で全体が円柱形或いは直方体形状にパッケージされているので、漏れ磁束が少なく、且つ巻体積が少なくて済むので、小型化にも適合的である。
加えて、図1の(a)と(b)を比較すると判るように、巻芯部11の外周面上の領域のみに磁性粉入り外装樹脂層17を形成しているので、(b)における前記磁性コア13の上面11aを覆う破線で示される領域まで外装樹脂層17′で被覆した構造と比較して、前記巻芯部11の外周面上の鍔部12寄りの領域Bと先端寄りの領域Aとで、磁性粉入り外装樹脂層17の温度変化により発生する膨張収縮応力の差が小さいため、巻線6を被覆する外装樹脂層17を鍔12表面から引き剥がそうとする力が緩和され、鍔部11の下面の外部電極15a、15bと巻線端部との接続の信頼性に優れるという特長がある。
次に、上記チップインダクタ10の製造方法について、最良の形態を図3を基に以下説明する。
第1に、図3の(a)のように、棒状の巻芯部21と該巻芯部21の両端に延設された2つの鍔部22a、22bからなるドラム型磁性コア23を成形する。このドラム型磁性コア23は例えば円柱状のフェライトコアを研削することでできる。
第2に、図3の(b)のように、前記ドラム型磁性コア23の両鍔22a、22bに外部電極15a、15b、15c、15dを形成する。この外部電極15a〜15dは、例えば鍔部22a、22bに塗布/焼き付けによって直付けした銀ペースト層の上に半田メッキ層を被膜して形成する。
第3に、図3の(c)のように、巻線ガイド24を巻芯部21の略中央に取り付けて外周面上の領域を2分するとともに各々の外周面上の領域に巻線6、6を巻回してその両端部を近接する側の鍔部22a又は22bの外部電極15a〜15dに各々導電接続する。巻線6、6は絶縁被覆導線であり、半田付け或いは熱圧着又は超音波によって導電接続される。
第4に、図3の(d)のように、前記巻線ガイド24を取り外して両鍔部22a、22b間の巻芯部21に巻回された巻線6、6を被覆するように磁性粉入り外装樹脂層17を形成する。この磁性粉入り外装樹脂層17は例えばフェライト粉を10〜90重量%含有させたエポキシ系樹脂接着材等の合成樹脂材であり、全体が鍔形状に合わせた円柱状或いは直方体形状になるように外装する。この際、前記巻線ガイド24が挿入された領域も前記磁性粉入り外装樹脂層17で充填されることになる。
第5に、図3の(e)のように、前記巻芯部21の略中央を横断する破線で示すカット線CUTで前記鍔部22a、22bと平行に切断して全体を二分する工程と、を順次実施することで、最終的に、図3の(f)に示される本発明のチップインダクタ10が2個出来上がる。勿論、同等のチップインダクタ10を2個製造してもよいが、巻線ガイド24で分割された各巻芯領域の大きさを変え、巻数を変えることで、異なる大きさ、異なるインダクタンスのチップインダクタを同時に製造することも可能である。
上記工程から明らかなように、本発明に係るチップインダクタ10の上記製造方法では、従来の2つの鍔部22a、22bを備えるドラム型磁性コア23を用いたチップインダクタ8を1個製造する工程と殆ど同じ工程でありながら2個のチップインダクタ10を同時に製造することが可能であり、効率良く低コストに製造できることが判る。
(a)は本発明に係るチップインダクタの構造を説明するための断面図であり、(b)は本発明に係るチップインダクタの外装樹脂層に発生する膨張収縮応力を外装樹脂層の覆う領域の違いで比較する断面図である。 本発明に係るチップインダクタの構造を説明するための斜視図である。 本発明に係るチップインダクタの製造手順を説明する図である。 従来の両鍔構造の磁性コアを有するチップインダクタの構造を説明するための断面図である。 片鍔構造の磁性コアを有する公知のインダクタを説明するための斜視図である。
符号の説明
1 巻芯部
2a、2b、12、22a、22b 鍔部
3 コイル
4 ドラム型磁性コア
5、15a〜15b 外部電極
6 巻線
7 コア
8、10 チップインダクタ
9 チョークコイル
11、21 巻芯部
11a 巻芯部の端面
13 磁性コア
17、17′ 磁性粉入り外装樹脂層
23 ドラム型磁性コア
24 巻線ガイド
A 巻芯部の外周面上の先端寄りの領域
B 巻芯部の外周面上の鍔部寄りの領域
H 高さ寸法

Claims (2)

  1. 巻芯部と該巻芯部の一方端に延設された鍔部とからなる縦断面がT形の磁性コアと、前記磁性コアの鍔部の下面に設けられた外部電極と、前記磁性コアの巻芯部の外周面上の領域に巻回されるとともに両端部が前記外部電極に導電接続された巻線と、前記磁性コアの巻芯部の端面を露出させつつ前記巻芯部に巻回された巻線を被覆するように前記巻芯部の外周面上の領域のみに形成された磁性粉入り外装樹脂層と、を有することを特徴とするチップインダクタ。
  2. 棒状の巻芯部と該巻芯部の両端に延設された2つの鍔部からなるドラム型磁性コアを成形する工程と、前記ドラム型磁性コアの両鍔部に外部電極を形成する工程と、巻線ガイドを巻芯部の略中央に取り付けて外周面上の領域を2分するとともに各々の外周面上の領域に巻線を巻回してその両端部を近接する側の鍔部の外部電極に導電接続する工程と、前記巻線ガイドを取り外して両鍔部間の巻芯部に巻回された巻線を被覆するように磁性粉入り外装樹脂層を形成する工程と、前記巻芯部の略中央で前記鍔と平行に切断して二分する工程と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のチップインダクタの製造方法。

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