JP2013211638A - 近距離無線通信用アンテナ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 磁心と平面コイルとを備え、前記平面コイルは、導体の巻回の中央が空芯部となるアルファ巻きコイルであり、前記磁心が、胴部とその一方端に連なって設けられた鍔部を有する片鍔磁心であり、平面コイルの空芯部に片鍔磁心の胴部を挿通した近距離無線通信用アンテナ。
【選択図】 図1
Description
読み書き装置であるリーダ/ライタ280(以下単にアンテナ装置という)の近距離無線通信用アンテナ1aが電磁波を発生することにより、アンテナ装置280の周囲に磁界が形成される。そこにトランスポンダとなるICカード285を近づけると、ICカード285内に設けられた近距離無線通信用アンテナ1bと磁界結合し、電磁誘導による電力伝送によって集積回路68は電源の供給を受けるとともに、アンテナ装置280との間で予め設定されたプロトコル(例えばISO14443、15693、18092等)に従ってデータ伝送が行なわれる。
アンテナ共振回路66は、近距離無線通信用アンテナ1a及び抵抗(図示せず)と、共振コンデンサ65を含む。アンテナ共振回路66の共振周波数は、通信に利用される固有の周波数(例えば13.56MHz)に設定され、前記周波数においてアンテナ共振回路66のインピーダンスの実部は実質的に短絡状態にある。アンテナ共振回路66はインピーダンス整合回路72を介して半導体70と接続される。
コイル10に高周波電流が給電されると、コイル10が形成された面側とその反対面側とで均等な磁束が発生する。コイル10の周囲に発生する磁束は、通常、一方の面側の磁束しか通信に寄与せず、磁束は遠方まで及ばないため、この様なアンテナは一般的に通信距離が短いという欠点がある。
また、コイル10を磁性体15bに巻回すことで、平板状の磁性体15aを配設していない側において、磁束がいっそう遠くまで広がるようになる為、指向性が増す。
係る状況下において通信距離を確保するため、大きな磁界が得られる様にコイルの巻数を増すことが行なわれる。しかしながら巻数の増加に伴って導線が長くなり、線間容量も増加する。コイルに生じる寄生リアクタンスの増加は、アンテナの自己共振周波数f0の低下を招く。自己共振周波数f0が通信周波数に近づくにつれて、コイルの自己インダクタンスが増加し、アンテナのQ値は低下する。自己インダクタンスの変化はアンテナの自己共振周波数f0が通信周波数帯に近い程大きく、その結果、給電回路とのインピーダンス整合の調整が難しくなる。
この為、巻数を増やしても、インピーダンスの不整合とQ値の低下によって、通信距離が思う様に伸びないという問題があった。本発明者等の検討によれば、その傾向は円筒型のコイルを用いる場合に顕著であった。
一方で、アンテナの近傍に配置される回路素子への磁気的干渉を防いだり、通信すべき相手方のアンテナとの対向関係が、アンテナの設置面に対して平行ではなく所定の角度を持つ場合があったりする場合には、中心をずらして構成して、敢えて磁束の対称性を崩しても良い。
図1(a)に上面側から見た斜視図を、図1(b)に下面側から見た斜視図を示す。ここに示す近距離無線通信用アンテナ1は、コイル10と、片鍔磁心15とを有する。片鍔磁心15は、コイル10が巻回される胴部15bと、前記胴部15bと繋がる鍔部15aを備え、鍔部15aの背面には複数の端子電極45が形成され、コイル10の両端が、それぞれ異なる端子電極45と接続される。
コイル10に用いる導線は単線のエナメル線を用いるのが好ましく、融着力を持つオーバーコート(融着層)が形成されたエナメル線(自己融着線)がより好ましい。融着層は熱又は溶剤により活性化するものであり、コイル10を自己融着コイルとすることで組立工程における取り扱いが容易と成る。またその線径は30μm〜80μmであるのが好ましい。
本発明者等はコイルに着目して近距離無線通信用アンテナの小型化を検討する中で、片鍔磁心の胴部にアルファ巻きコイルを巻設することで、アンテナを小型化しても指向性を確保しながら、自己共振周波数f0の低下を防ぎ、Q値の低下を抑えた近距離無線通信用アンテナを得ることが出来ることを知見し発明に至った。
予め、胴部と鍔部を有する様に一体的に成形し、それを焼結して片鍔磁心15とする場合や、焼結体を研削等の手段によって所定の形状に加工して片鍔磁心15とする場合がある。また、それぞれ別体として構成された鍔部15aと胴部15bを接着剤で張り合わせて構成しても良い。
前記導体層はガラスや有機ビヒクル、溶剤等を含むCuやAgペースト、あるいはAg−Pdペースト等の合金ペーストを、鍔部15a下面の所定箇所に印刷塗布し、50℃〜150℃程度に加温して乾燥し、500℃以上の温度で焼付けて固着する。なお、導体層となる金属を、めっきや蒸着して鍔部に形成した後、不要部分をエッチングするなど、公知の形成方法を用いることも可能である。
導体層の表面に、半田やNiめっきのめっき層を前記保護層として施して端子電極45が形成される。なお、めっき層に代えて半田浴に浸漬して被覆層としても良い。
磁性材料を構成する素原料を準備し、焼成後に前記組成量となる様に調整された原料粉末を仮焼した粉末にバインダー等を加えた後、造粒し、成形して、一部が円柱状で、その一端側が四角柱状の成形体とした。
この成形体を1100℃の温度で焼結した後、円柱部(胴部)の一端側と四角柱部(鍔部)の一端側を砥石で研削して平坦として、図12に示す片鍔磁心とした。鍔部15aの厚みはh1、胴部15bの厚みはh2、全体の厚みがHであり、鍔部15aは一辺がW1に形成された正方形であり、胴部15bは直径がW2 に形成されている。
比較のため同じ磁性材料を使って円柱状磁心を作製した。各試料の寸法を表1に示す。
アルファ巻きコイルは巻軸方向に2層構成で、巻径方向に各コイル部が6ターンで構成され、内径4.1mm、外径5.4mm、厚み0.2mmである。また、円筒コイルは、巻径方向に2層で巻軸方向に6ターンで構成され、内径4.1mm、外径4.5mm、厚み0.5mmである。
得られた2種のコイルについて、インピーダンスアナライザを用いて、周波数が13.56MHz等価容量を測定したところ、アルファ巻きコイルが0.6pFに対して、円筒コイルは3.8pFであった。
得られた各アンテナについて、インピーダンスアナライザを用いて、13.56MHzにおけるインダクタンスL、Q値、自己共振周波数f0を評価した。結果を表2に示す。
10 コイル
15 片鍔磁心
15a 鍔部
15b 胴部
45 端子電極
Claims (4)
- 磁心と平面コイルとを備え、
前記平面コイルは、導体の巻回の中央が空芯部となるアルファ巻きコイルであり、
前記磁心が、胴部とその一方端に連なって設けられた鍔部を有する片鍔磁心であり、
平面コイルの空芯部に片鍔磁心の胴部を挿通したことを特徴とする近距離無線通信用アンテナ。 - 前記片鍔磁心の鍔部の側面側に複数の窪み部を有し、前記窪み部に前記アルファ巻きコイルの外周側から引き出された導体が通されたことを特徴とする請求項1に記載の近距離無線通信用アンテナ。
- 前記片鍔磁心の鍔部の底面側に端子電極が形成され、前記アルファ巻きコイルの端部が接続されたことを特徴とする請求項2に記載の近距離無線通信用アンテナ。
- 前記アルファ巻きコイルを覆う樹脂キャップを備え、前記樹脂キャップは前記片鍔磁心に胴部の一部を挿通可能な穴部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の近距離無線通信用アンテナ。
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2012
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