以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
まず、本発明に係る磁性素子の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る磁性素子の斜視図である。また、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る磁性素子の分解斜視図である。
磁性素子としてのインダクタンス素子100は、コア体101とコイル102を有している。コア体101は、板コア103,104、芯コア105および側部コア106を有している。板コア103,104は、全体として、芯コア105の長さ方向に薄い扁平した直方体を呈し、ともに略同一形状となっている。
以下の説明において、板コア104の短辺側面104aから短辺側面104bに向かう方向を前方(前側)、その反対方向を後方(後側)とし、後方から前方を見て、右手方向を右方(右側)、左手方向を左方(左側)として説明を行う。また、板コア104に対して、板コア103が配設される方向を上方(上側)、その反対方向を下方(下側)として説明する。すなわち、図中、X方向が前方であり、Y方向が左方、そしてZ方向が上方である。
芯コア105は、長さ方向を上下方向に向ける円柱体である。
側部コア106は、板コア104の左右および前後方向に沿う面、すなわちX−Y平面に沿う面における断面の形状が略鞍形の柱状体である。すなわち、側部コア106の後側面106a、左右の側面106b,106cおよび上端面106dは、共に平面であり、前側面106fには、内側(後方)に向けて円弧状に湾曲した凹面部106gが形成されている。なお、側部コア106は柱状体であり、断面の形状は、板コア104との接合部分106eから上端面106dに亘って同一形状となっている。
板コア104、芯コア105および側部コア106は、フェライト等の磁性粉体を焼結等することにより一体化されている。芯コア105と側部コア106は、板コア104の上側の幅広面104cに、上方に向けて立脚して設けられている。芯コア105は、板コア104の幅広面104cの略中央の位置に配設されている。
側部コア106は、芯コア105の後方に配設されている。後側面106aが、板コア104の短辺側面104aと面一となるように配設されている。また、側部コア106の左右方向の幅は、板コア104の左右方向の幅と同一であり、側部コア106の左右の側面106b,106cは、それぞれ、板コア104の左右の長辺側面104d,104eに対して面一となるように配設されている。
コイル102は、銅線を円筒状に巻回して構成した巻線コイルであり、その内周には中空部102aが形成されている。そして、コイル102は、その中空部102aを芯コア105に挿通させて、板コア104に載置されている。
なお、芯コア105と側部コア106とは、コイル102を、芯コア105に挿通したときに、側部コア106とコイル102が干渉しない間隔を確保できる位置に、それぞれ配設されている。
芯コア105にコイル102を挿入した後、板コア103の幅広面103aを、芯コア105の上端面105aと側部コア106の上端面106dに対して突き合わせ、突き合わせた面を、接着剤により接着固定することで、板コア103,104、芯コア105および側部コア106とを一体化し、コア体101とする。
したがって、コア体101には、コイル102に電流を流したときに、芯コア105、板コア103、側部コア106、板コア104、および芯コア105を通る磁界(磁束ΦA)が発生する。すなわち、芯コア105、板コア103、側部コア106、板コア104、および芯コア105は、閉磁路となる。なお、磁束の向きは、コイル102に流れる電流の向きによって変化する。
コア体101は、側部コア106が、芯コア105の後方となる板コア104の短辺側面104a側に設けられているため、芯コア105の前方および左右方向に、板コア103と板コア104との間に開放部107が形成されることになる。そのため、コイル102の端部を、開放部107からコア体101の外部に、容易に取り出すことができる。
ところで、コイル102が載置される板コア104の幅広面104cの左右方向の縁部104f,104gは直線であるのに対し、コイル102の外周面は円筒面である。したがって、コイル102の後側の左右の側面と縁部104f,104gとの間に、図3に点線で示すように、斜辺が円弧状の略三角形のスペース108がデッドスペースとして形成される。なお、図3は、板コア104を上方から見た図であり、説明の便宜上、側部コア106を省略して描かれている。
前側面106fに形成される凹面部106gは、コイル102の外周面102bの形状に対応させて、外周面102bより大きな曲率の同心円の円弧状に凹んだ曲面である。すなわち、側部コア106は、左右方向の中央側から側面106b,106cの側に向かうに従って、スペース108に延設される形状となっており、凹面部106gに、コイル102の一部が収容されるようになっている。そのため、側部コア106は、コイル102に干渉することなく、断面積、すなわち上端面106dの面積を大きくとることができる。
したがって、板コア103から側部コア106を通って板コア104に抜ける磁束ΦAの磁気飽和を起き難くすることができる。例えば、側部コア106の前側面106fに凹面部106gを形成することなく、前側面106fを平面とし、側部コア106を直方体としたときには、側部コア106の断面積を大きくしようとすると、側部コア106の前後方向の厚さが全体的に厚くなり、コイル102を配置するためのスペース(いわゆる巻枠)が減少してしまう。
これに対し、コイル102と対向する面である前側面106fに、コイル102の外周面102bの面形状に合わせて凹んだ凹面部106gを形成することで、巻枠を減らさずに、側部コア106の断面積を大きくすることができる。言い換えれば、コイル102の大きさを小さくすることなく、側部コア106の断面積を大きくすることができる。また、芯コア105と側部コア106との間の間隔を確保することができるため、コイル102の巻き数を増やすことができ、大きなインダクタンス値を得ることができる。あるいは、巻き数を増やした場合でも、コイル102の巻線を太くすることができ、低DCR化を図ることができる。
また、側部コア106の断面積を大きくしても、側部コア106は、デッドスペースであるスペース108に延設されるため、インダクタンス素子100の実装面積を大きくすることはない。すなわち、インダクタンス素子100においては、板コア103,104の幅広面103a,104cの面積が実装面積となる。側部コア106をスペース108に延設することで、側部コア106の断面積を大きくしているので、板コア103,104の幅広面103a,104cの面積が広くなることはない。
側部コア106の断面積(上端面106d)S1は、芯コア105の断面積、すなわち上端面105aの面積S2に対して、S2≦S1≦5×S2とすることで、側部コア106における磁気飽和の発生を効果的に起き難くすることができる。
また、板コア103,104の上下方向の断面の断面積S3を、芯コア105の断面積の面積S2に対して、S2≦S3≦5×S2とすることで、板コア103,104内における磁気飽和の発生についても効果的に起き難くすることができる。
さらに、芯コア105の上下方向の高さを側部コア106の上下方向の高さよりやや短くし(例えば、1mm短くし)、板コア103を側部コア106の上端面106dに接着し、板コア103を側部コア106だけに支持させ、芯コア105の上端面105aと幅広面103aとの間に、磁気ギャップとしての空隙を形成するようにしてもよい。このように芯コア105の上端面105aと板コア103との間に磁気ギャップを形成することで、インダクタンス素子100の直流重畳特性を向上させることができる。なお、芯コア105の上端面105aと幅広面103aとの間の磁気ギャップは、非磁性の絶縁テープを挟むことにより形成する、いわゆるスペーサーギャップとしてもよい。
なお、側部コア106の側の上下方向の高さを芯コア105の上下方向の高さよりやや短くし、板コア103を芯コア105の上端面105aに接着し、板コア103を芯コア105だけに支持させ、側部コア106の上端面106dと幅広面103aとの間に、磁気ギャップとしての空隙を形成するようにしてもよい。側部コア106の上端面106dと幅広面103aとの間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
図1および図2に示す構成においては、芯コア105と側部コア106の両方を、一方の板コア104に設けているが、図4に示すように、板コア104には、芯コア105のみを設け、側部コア106を他方の板コア103に設ける構成としてもよい。この場合には、板コア104と芯コア105をフェライト等の磁性粉体を焼結等することにより一体化し、また、側部コア106と板コア103についてもフェライト等の磁性粉体を焼結等することにより一体化する。
次に、芯コア105の上端面105aと板コア103とを接着剤で接着し、また、側部コア106の下端面(図1、図2において、板コア104との接合部分106eとなっている面に相当する面)と板コア104とについても接着剤で接着することでコア体101とする。このように、板コア104に芯コア105のみを設ける構成とすると、芯コア105の周りに障害物がないため、芯コア105に直接、巻線機により銅線を巻回することができる。
なお、このように、板コア104に芯コア105のみを設け、また、側部コア106を板コア103の側に設ける構成とした場合にも、芯コア105と側部コア106の高さに差を設けることにより、芯コア105の上端面105aと板コア103との間、あるいは側部コア106の下端面と板コア104との間に、磁気ギャップとしての空隙を形成することができる。芯コア105の上端面105aと板コア103との間、あるいは側部コア106の下端面と板コア104との間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
また、図1および図2、または図4に示す構成においては、芯コア105および側部コア106を、いずれかの板コア103,104に一体成型する例を示しているが、芯コア105、板コア103,104および側部コア106をそれぞれ別々に形成するようにしてもよい。この場合には、芯コア105、板コア103,104および側部コア106をそれぞれ互いに接着剤により接着することで、全体として一体化させ、コア体101として構成することになる。この場合にも、芯コア105と側部コア106の高さに差を設けることにより、芯コア105の一端面と板コア103,104のいずれか一方との間、あるいは側部コア106の一端面と板コア103,104のいずれか一方との間に、磁気ギャップとしての空隙を形成することができる。該磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
また、コア体101を構成する各コア、すなわち、板コア103,104、芯コア105、側部コア106のうち、少なくとも1つのコアを、パーマロイ粉、センダスト等の粉末を圧縮成型して形成した、いわゆる圧粉コアを用いる構成としてもよい。コア体101の圧粉コアの部分においては、飽和磁束密度を大きくすることができるため、インダクタンス素子100の小型化を図ることができる。
特に、板コア103,104を圧粉コアにより形成すると、板コア103,104の断面積S3を小さくすることができ、板コア103,104の厚さを薄くすることができる。したがって、インダクタンス素子100の上下方向の高さを低くすることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る磁性素子の第2の実施の形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る磁性素子の斜視図である。また、図6は、本発明の第2の実施の形態に係る磁性素子の分解斜視図である。以下の説明において、図1から図3と同様に、図中、X方向を前方(前側)とし、Y方向を左方(左側)とし、そしてZ方向を上方(上側)として説明を行う。
磁性素子としてのインダクタンス素子200は、コア体201と2つのコイル202,203を有している。コア体201は、板コア204,205、芯コア206,207および側部コア208を有している。板コア204,205は、全体として上下方向に扁平した直方体を呈し、ともに略同一形状である。芯コア206,207は、長さ方向を上下方向に向ける円柱体であり、共に略同一形状となっている。
側部コア208は、X−Y平面に沿う面における断面の形状が略分銅形の柱状体である。すなわち、側部コア208は、左右の側面208a,208bおよび上端面208cは平面であり、前後の側面208e,208fには、内側に向けて円弧状に湾曲した凹面部208g,208hが形成されている。なお、側部コア208は柱状体である。その断面の形状は、板コア205との接合部分208dから上端面208cに亘って同一形状となっている。
板コア205、芯コア206,207および側部コア208は、フェライト等の磁性粉体を焼結等により一体化したものである。芯コア206,207および側部コア208は、板コア205の上側の幅広面205aに、上方に向けて立脚して設けられている。
側部コア208は、板コア205の前後方向の中央部に配設されている。側部コア208の左右方向の幅は、板コア205の左右方向の幅と同一であり、左右の側面208a,208bは、それぞれ、板コア205の左右の長辺側面205b,205cに対して面一となるように配設されている。芯コア206,207は、それぞれ、側部コア208の前後方向両側に、側部コア208と、板コア205の短辺側面205d,205eとの略中央の位置に配設されている。
コイル202,203は、銅線を円筒状に巻回して構成した巻線コイルであり、内周に中空部202a,203aが形成されている。そして、コイル202,203は、それぞれ、中空部202a,203aを芯コア206,207に挿通し、板コア205に載置されている。
なお、芯コア206,207と側部コア208は、コイル202,203を、芯コア206,207に挿通したときに、側部コア208とコイル202,203が干渉しない間隔を確保できる位置にそれぞれ配設されている。
芯コア206,207にそれぞれコイル202,203を挿入した後、板コア204の幅広面204aを、芯コア206,207の上端面206a,207aと側部コア208の上端面208cとに対して突き合わせ、その突き合わせた面を、接着剤により接着固定することで、板コア204,205、側部コア208および芯コア206,207とを一体化し、コア体201とする。
したがって、コア体201には、コイル202に電流を流すと、芯コア206、板コア204、側部コア208、板コア205、および芯コア206を通る磁界(磁束ΦB)が発生する。また、コイル203に電流を流すと、芯コア207、板コア204、側部コア208、板コア205、および芯コア207を通る磁界(磁束ΦC)が発生する。すなわち、芯コア206、板コア204、側部コア208、板コア205、および芯コア206は、閉磁路となる。また、芯コア207、板コア204、側部コア208、板コア205、および芯コア207も、閉磁路となる。なお、磁束の向きは、コイル202,203に流れる電流の向きによって変化する。
側部コア208は、前後方向に配設される芯コア206と芯コア207との間に配設されている。すなわち、側部コア208は、芯コア206に対しては後方に、また、芯コア207に対しては前方に配設されている。したがって、芯コア206の前方および左右方向には、板コア204と板コア205との間に開放部209aが形成されることになる。また、芯コア207の後方および左右方向には、板コア204と板コア205との間に開放部209bが形成されることになる。そのため、コイル202の端部を開放部209aからコア体201の外部に容易に取り出すことができる。また、コイル203の端部についても開放部209bからコア体201の外部に容易に取り出すことができる。
ところで、コイル202,203が載置される板コア205の幅広面205aの左右方向の縁部205f,205gは直線であるのに対し、コイル202,203の外周面は円筒面である。したがって、コイル202の後側の左右の側面と縁部205f,205gとの間に、図6に点線で示すように、斜辺が円弧状の略三角形のスペース210aがデッドスペースとして形成される。また、コイル203についても、前側の左右の側面と縁部205f,205gとの間に、同じく図6に点線で示すように、斜辺が円弧状の略三角形のスペース210bがデッドスペースとして形成される。
前側面208eに形成される凹面部208gは、コイル202の外周面202bの形状に対応させて、外周面202bより大きな曲率の同心円の円弧状に凹んだ曲面となっている。また、後側面208fに形成される凹面部208hは、コイル203の外周面203bの形状に対応させて、外周面203bより大きな曲率の同心円の円弧状に凹んだ曲面となっている。
すなわち、側部コア208は、左右方向の中央側から側面208a,208bの側に向かうに従って、スペース210a,210bに延設される形状となっている。凹面部208gには、コイル202の一部が収容され、また、凹面部208hにも、コイル203の一部が収容されるようになっている。
そのため、側部コア208は、コイル202,203を配置するためのスペース(いわゆる巻枠)を減少させることなく、断面積、すなわち、上端面208cの面積を大きくとることができる。言い換えれば、コイル202,203の大きさを小さくすることなく、側部コア208の断面積を大きくすることができる。したがって、板コア204から側部コア208を通って板コア205に抜ける磁束ΦB,ΦCの磁気飽和を起き難くすることができる。また、芯コア206,207と側部コア208との間の間隔を確保することができるため、コイル202,203の巻き数を増やすことができ、大きなインダクタンス値を得ることができる。あるいは、コイル202,203の巻線を太くすることができ、低DCR化を図ることができる。
また、側部コア208は、デッドスペースであるスペース210a,210bに延設されることで、断面積が大きくなっている。そのため、インダクタンス素子200の実装面積が大きくなることはない。すなわち、インダクタンス素子200においては、板コア204,205の幅広面204a,205aの面積が実装面積となる。側部コア208をスペース210a,210bに延設して、側部コア208の断面積を大きくしているので、板コア204,205の幅広面204a,205aの面積が広くなることはない。
側部コア208の断面積(上端面208cの面積)S4は、芯コア206の断面積、すなわち上端面206aの面積S5、あるいは芯コア207の断面積、すなわち上端面207aの面積S5に対して、S5+S5≦S4≦5×(S5+S5)とすることで、側部コア208における磁気飽和の発生を効果的に起き難くすることができる。すなわち、側部コア208の断面積を、芯コア206の断面積と芯コア207の断面積との合計面積の1倍から5倍とすることとで、側部コア208における磁気飽和の発生を効果的に起き難くすることができる。
また、板コア204,205の上下方向の断面積S6を、芯コア206,207の断面積S5に対して、S5≦S6≦5×S5とすることで、板コア204,205内における磁気飽和の発生についても効果的に起き難くすることができる。
芯コア206と芯コア207の太さが異なる場合には、板コア204,205の断面積S6は、太い方の芯コアの断面積の1倍から5倍とすることで、板コア204,205内における磁気飽和の発生についても効果的に起き難くすることができる。
さらに、芯コア206,207の上下方向の高さを側部コア208の上下方向の高さよりやや短くし(例えば、1mm短くし)、板コア204を側部コア208の上端面208cに接着し、板コア204を側部コア208だけに支持させ、芯コア206の上端面206aおよび芯コア207の上端面207aと幅広面204aとの間に、磁気ギャップとしての空隙を形成するようにしてもよい。このように芯コア206,207の各上端面206a,207aと板コア204との間に磁気ギャップを形成することで、インダクタンス素子200の直流重畳特性を向上させることができる。なお、芯コア206,207の各上端面206a,207aと板コア204との間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
なお、側部コア208の側の上下方向の高さを芯コア206,207の上下方向の高さよりやや短くし、板コア204を芯コア206,207の上端面206a,207aに接着し、板コア204を芯コア206,207だけに支持させ、側部コア208の上端面208cと幅広面204aとの間に、磁気ギャップとしての空隙を形成するようにしてもよい。側部コア208の上端面208cと幅広面204aとの間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
図5および図6に示す構成においては、芯コア206,207と側部コア208の両方を、一方の板コア205に設けているが、板コア205には、芯コア206,207のみを設け、側部コア208を他方の板コア204に設ける構成としてもよい。この場合には、板コア205と芯コア206,207をフェライト等の磁性粉体を焼結等により一体化し、また、側部コア208と板コア204についてもフェライト等の磁性粉体を焼結等により一体化する。
次に、芯コア206,207の上端面206a,207aと板コア204とを接着剤で接着し、また、側部コア208の下端面(図5、図6において、板コア2105との接合部分208dとなっている面に相当する面)と板コア205とについても接着剤で接着することでコア体201として構成する。
なお、このように、板コア205に芯コア206,207のみを設け、また、側部コア208を板コア204の側に設ける構成とした場合にも、芯コア206,207と側部コア208の高さに差を設けることにより、芯コア206,207の上端面206a,207aと板コア204との間、あるいは側部コア208の下端面と板コア204との間に、磁気ギャップとしての空隙を形成することができる。芯コア206,207の上端面206a,207aと板コア204との間、あるいは側部コア208の下端面と板コア204との間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
また、図5および図6に示す構成においては、芯コア206,207、側部コア208および板コア205を一体化する例を示しているが、芯コア206,207、板コア205および側部コア208をそれぞれ別々に形成するようにしてもよい。この場合には、芯コア206,207、板コア204,205および側部コア208をそれぞれ互いに接着剤により接着することで、全体として一体化したコア体201とすることになる。この場合にも、芯コア206,207と側部コア208の高さに差を設けることにより、芯コア206,207の一端面と板コア204,205のいずれか一方との間、あるいは側部コア208の一端面と板コア204,205のいずれか一方との間に、磁気ギャップとしての空隙を形成することができる。該ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
また、コア体201を構成する各コア、すなわち、板コア204,205、芯コア206,207、側部コア208のうち、少なくとも1つのコアを、パーマロイ粉、センダスト等の粉末を圧縮成型して形成した、いわゆる圧粉コアを用いる構成としてもよい。コア体201の圧粉コアの部分においては、飽和磁束密度を大きくすることができるため、インダクタンス素子200の小型化を図ることができる。
特に、板コア204,205を圧粉コアにより形成すると、板コア204,205の断面積S6を小さくすることができ、板コア204,205の厚さを薄くすることができる。したがって、インダクタンス素子200の上下方向の高さを低く構成することができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る磁性素子の第3の実施の形態について説明する。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る磁性素子の斜視図である。また、図8は、本発明の第3の実施の形態に係る磁性素子の分解斜視図である。以下の説明において、図1から図3と同様に、図中、X方向を前方(前側)とし、Y方向を左方(左側)とし、そしてZ方向を上方(上側)として説明を行う。
磁性素子としてのインダクタンス素子300は、コア体301と2つのコイル302,303を有している。コア体301は、板コア304,305、芯コア306,307および側部コア308,309を有している。板コア304,305は、全体として上下方向に扁平な直方体を呈し、ともに略同一形状となっている。芯コア306,307は、長さ方向を上下方向に向ける円柱体であり、共に略同一形状となっている。
側部コア308,309は、X−Y平面に沿う面における断面の形状が、略鞍形の柱状体である。すなわち、側部コア308は、前側面308a、左右の側面308b,308cおよび上端面308dは平面であり、後側面308fには、内側(前方)に向けて円弧状に湾曲した凹面部308gが形成されている。また、側部コア309も、後側面309a、左右の側面309b,309cおよび上端面309dは平面であり、前側面309fには、内側(後方)に向けて円弧状に湾曲した凹面部309gが形成されている。なお、側部コア308は柱状体である。その断面の形状は、板コア305との接合部分308eから上端面308dに亘って同一形状となっている。側部コア308も柱状体である。その断面の形状は、板コア305との接合部分309eから上端面309dに亘って同一形状となっている。
板コア305、芯コア306,307および側部コア308,309は、フェライト等の磁性粉体を焼結等により一体化したものである。また、芯コア306,307および側部コア308,309は、それぞれ板コア305の上側の幅広面305aに、上方に向けて立脚して設けられている。
側部コア308,309および芯コア306,307は、それぞれ板コア305の上側の幅広面305aに、上方に向けて立脚して設けられている。側部コア308および芯コア306と、側部コア309および芯コア307とは、配設位置および形状が、板コア305の前後方向の中央に対して対称となるように構成されている。
側部コア308は、板コア305の幅広面305aの前側に、前側面308aが、板コア305の短辺側面305aと面一となるように配設されている。また、側部コア308の左右方向の幅は、板コア305の左右方向の幅と同一である。側部コア308の左右の側面308b,308cは、それぞれ、板コア305の左右の長辺側面305c,305dに対して面一となるように配設されている。
一方、側部コア309は、板コア305の幅広面306aの後側に、後側面309aが、板コア305の短辺側面305bと面一となるように配設されている。また、側部コア309の左右方向の幅も、板コア305の左右方向の幅と同一である。側部コア309の左右の側309b,309cは、それぞれ、板コア305の左右の長辺側面305c,305dに対して面一となるように配設されている。
芯コア306は、板コア305の前後方向の中央と側部コア308との間における略中央位置に配設されている。また、芯コア307も、板コア305の前後方向の中央と側部コア309との間における略中央位置に配設されている。
コイル302,303は、銅線を円筒状に巻回して構成した巻線コイルであり、内周に中空部302a,303aが形成されている。コイル302,303は、それぞれ、中空部302a,303aを芯コア306,307に挿通し、板コア305に載置されている。
なお、芯コア306,307と側部コア308,309は、コイル302,303を、芯コア306,307に挿通したときに、側部コア308,309とコイル302,303が干渉したり、あるいはコイル302,303同士が互いに干渉しない間隔を確保できる位置にそれぞれ配設されている。
芯コア306,307にそれぞれコイル302,303を挿入した後、板コア304の幅広面304aを芯コア306,307の上端面304a,305aと側部コア308,309の上端面308c,309cに対して突き合わせ、その突き合わせた面を、接着剤により接着固定することで、板コア304,305、側部コア308,309および芯コア306,307とを一体化し、コア体301とする。
したがって、コア体301には、コイル302に電流を流すと、芯コア306、板コア304、側部コア308、板コア305、および芯コア306を通る磁界(磁束ΦD)が発生する。また、コイル303に電流を流すと、芯コア307、板コア304、側部コア309、板コア305、および芯コア307を通る磁界(磁束ΦE)が発生する。すなわち、芯コア306、板コア304、側部コア308、板コア305、および芯コア306は、閉磁路となる。また、芯コア307、板コア304、側部コア309、板コア305、および芯コア307も閉磁路となる。なお、磁束の向きは、コイル302,303に流れる電流の向きによって変化する。
側部コア308,309は、芯コア306,307を挟んで、板コア304,305の前後方向に配設されている。したがって、芯コア306,307の左右方向には、板コア304と板コア305との間に開放部310が形成されることになる。そのため、コイル302,303の端部を、この開放部310からコア体301の外部に容易に取り出すことができる。
ところで、コイル302,303が載置される板コア305の幅広面305aと左右方向の縁部307b,307cは直線であるのに対し、コイル302,303の外周面は円筒面である。したがって、コイル302の前側の左右の側面と縁部305f,305gとの間に、図8に点線で示すように、斜辺が円弧状の略三角形のスペース311aがデッドスペースとして形成される。また、コイル303についても、後側の左右の側面と縁部305f,305gとの間に、同じく図8に点線で示すように、斜辺が円弧状の略三角形のスペース311bがデッドスペースとして形成される。
後側面308fに形成される凹面部308gは、コイル302の外周面302bの形状に対応させて、外周面302bより大きな曲率の同心円の円弧状に凹んだ曲面となっている。すなわち、側部コア308は、左右方向の中央側から側面308b,308cの側に向かうに従って、スペース311aに延設される形状となっており、凹面部308gに、コイル302の一部が収容されるようになっている。そのため、側部コア308は、コイル302を配置する巻枠を減少させることなく、断面積、すなわち上端面308dの面積を大きくとることができる。
また、側部コア309についても同様に、前側面309fに形成される凹面部309gは、コイル303の外周面303bの形状に対応させて、外周面303bより大きな曲率の同心円の円弧状に凹んだ曲面となっている。すなわち、側部コア309は、左右方向の中央側から側面309b,309cの側に向かうに従って、スペース311bに延設される形状となっており、凹面部309gに、コイル303の一部が収容されるようになっている。そのため、側部コア309も、コイル302を配置する巻枠を減少させることなく、端面積、すなわち上端面309dの面積も大きくとることができる。言い換えれば、コイル302,303の大きさを小さくすることなく、側部コア308,309の断面積を大きくすることができる。したがって、板コア304から側部コア308を通って板コア305に抜ける磁束ΦDの磁気飽和を起き難くすることができる。また、同様に、板コア304から側部コア309を通って板コア305に抜ける磁束ΦEの磁気飽和についても起き難くすることができる。また、芯コア306と側部コア308との間の間隔、および芯コア307と側部コア309との間の間隔を確保することができるため、コイル302,303の巻き数を増やすことができ、大きなインダクタンス値を得ることができる。あるいは、コイル302,303の巻線を太くすることができ、低DCR化を図ることができる。
側部コア308,309は、デッドスペースであるスペース311a,311bに延設されることで、断面積が大きくなっている。そのため、インダクタンス素子300の実装面積が大きくなることはない。すなわち、インダクタンス素子300においては、板コア304,305の幅広面304a,305aの面積が実装面積となる。側部コア308,309をスペース311a,311bに延設して、側部コア308,309の断面積を大きくしているので、板コア304,305の幅広面306a,309aの面積が広くなることはない。
側部コア308,309の断面積(上端面308d,309dの面積)S7は、芯コア306,307の断面積、すなわち上端面306a,307aの面積S8に対して、S8≦S7≦5×S8とすることで、側部コア308,309における磁気飽和の発生を効果的に起き難くすることができる。
また、板コア304,305の上下方向の断面積S9を、芯コア306,307の断面積S8に対して、S8≦S9≦5×S8とすることで、板コア304,305内における磁気飽和の発生についても効果的に起き難くすることができる。
芯コア306と芯コア307の太さが異なる場合には、板コア304,305の断面積S9は、太い方の芯コアの断面積の1倍から5倍とすることで、板コア304,305内における磁気飽和の発生についても効果的に起き難くすることができる。
さらに、芯コア306,307の上下方向の高さを側部コア307,308の上下方向の高さよりやや短くし(例えば、1mm短くし)、板コア304を側部コア308,309の上端面308d,309dに接着し、板コア304を側部コア308,309だけに支持させ、芯コア306,307の上端面306a,307aと幅広面304aとの間に、磁気ギャップとしての空隙を形成するようにしてもよい。このように芯コア306,307の上端面304a,305aと板コア304との間に磁気ギャップを形成することで、インダクタンス素子300の直流重畳特性を向上させることができる。なお、芯コア306,307の上端面304a,305aと板コア304との間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
なお、側部コア308,309の側の上下方向の高さを芯コア306,307の上下方向の高さよりやや短くし、板コア304を芯コア306,307の上端面304a,305aに接着し、板コア304を芯コア306,307だけに支持させ、側部コア308,309の上端面308d,309dと幅広面304aとの間に、磁気ギャップとしての空隙を形成するようにしてもよい。側部コア308,309の上端面308d,309dと幅広面304aとの間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
図7および図8に示す構成においては、芯コア306,307と側部コア308,309の両方を、一方の板コア305に設けているが、板コア305には、芯コア306,307のみを設け、側部コア308,309を他方の板コア304に設ける構成としてもよい。この場合には、板コア305と芯コア306,307をフェライト等の磁性粉体を焼結等により一体化し、また、側部コア308,309と板コア304についてもフェライト等の磁性粉体を焼結等により一体化する。
次に、芯コア306,307の上端面304a,305aと板コア304とを接着剤で接着し、また、側部コア308,309の下端面(図7、図8において、板コア305との接合部分308e,309eとなっている面に相当する面)と板コア305とについても接着剤で接着することでコア体301とする。
なお、このように、板コア305に芯コア306,307のみを設け、また、側部コア308,309を板コア304の側に設ける構成とした場合にも、芯コア306,307と側部コア308,309の高さに差を設けることにより、芯コア306,307の上端面306a,307aと板コア304との間、あるいは側部コア308,309のそれぞれの下端面と板コア305との間に、磁気ギャップとしての空隙を形成することができる。芯コア306,307の上端面306a,307aと板コア304との間、あるいは側部コア308,309のそれぞれの下端面と板コア305との間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
また、図7および図8に示す構成においては、芯コア306,307、側部コア308,309および板コア305を一体化する例を示しているが、芯コア306,307、側部コア308,309および板コア305をそれぞれ別々に形成するようにしてもよい。この場合には、芯コア306,307、板コア304,305および側部コア308,309をそれぞれ互いに接着剤により接着することで、全体として一体化したコア体301とすることになる。この場合にも、芯コア306,307と側部コア308,309の高さに差を設けることにより、芯コア306,307の一端面と板コア304,305のいずれか一方との間、あるいは側部コア308,309の一端面と板コア304,305のいずれか一方との間に、磁気ギャップとしての空隙を形成することができる。該磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
また、コア体301を構成する各コア、すなわち、板コア304,305、芯コア306,307、側部コア308,309のうち、少なくとも1つのコアを、パーマロイ粉、センダスト等の粉末を圧縮成型して形成した、いわゆる圧粉コアを用いる構成としてもよい。コア体301の圧粉コアの部分においては、飽和磁束密度を大きくすることができるため、インダクタンス素子300の小型化を図ることができる。
特に、板コア304,305を圧粉コアにより形成すると、板コア304,305の断面積S9を小さくすることができ、板コア304,305の厚さを薄くすることができる。したがって、インダクタンス素子300の上下方向の高さを低く構成することができる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る磁性素子の第4の形態について説明する。
図9は、本発明の第4の実施の形態に係る磁性素子の斜視図である。また、図10は、本発明の第4の実施の形態に係る磁性素子の分解斜視図である。以下の説明において、図1から図3と同様に、図中、X方向を前方(前側)とし、Y方向を左方(左側)とし、そしてZ方向を上方(上側)として説明を行う。
磁性素子としてのインダクタンス素子400は、コア体401と2つのコイル402,403を有している。コア体401は、板コア404,405、芯コア406,407および側部コア408,409を有している。板コア404,405は、全体として上下方向に扁平した直方体を呈し、ともに略同一形状である。芯コア406,407は、長さ方向を上下方向に向ける円柱体であり、共に略同一形状となっている。
側部コア408,409は、前後方向に細長い、全体として略四角柱体である。
芯コア406,407、板コア405および側部コア408,409は、フェライト等の磁性粉体を焼結等により一体化したものである。側部コア408,409および芯コア406,407は、それぞれ板コア405の上側の幅広面405aに、上方に向けて立脚して設けられている。
側部コア408の左側面408a、前後の端面408b,408cは、それぞれ、板コア405の左側面405b,前後の端面405c,405dとに面一になっている。また、側部コア409についても、右側面409a、前後の端面409b,409cは、それぞれ、板コア405の右側面405e,前後の端面405c,405dとに面一になっている。
コイル402,403は、銅線を円筒状に巻回して構成した巻線コイルであり、内周に中空部402a,403aが形成されている。そして、コイル402,403は、それぞれ、中空部402a,403aを芯コア406,407に挿通し、板コア405に載置されている。
芯コア406,407は、コイル402,403を、芯コア406,407に挿通したときに、側部コア408,409とコイル402,403が干渉したり、あるいはコイル402,403が互いに干渉しない間隔を確保できる位置に配設されている。
芯コア406,407にコイル402,403を挿入した後、板コア404の幅広面404aを芯コア406,407の上端面406a,407aと側部コア408,409の上端面408d,409dに対して突き合わせ、その突き合わせた面を、接着剤により接着固定することで、板コア404,405、側部コア408,409および芯コア406,407とを一体化し、コア体401とする。
したがって、コイル402に電流を流すと、芯コア406、板コア404、側部コア408、板コア405、および芯コア406を通る磁界(磁束ΦF1)と、芯コア406、板コア404、側部コア409、板コア405、および芯コア406を通る磁界(磁束ΦF2)が発生する。
また、コイル403に電流を流すと、芯コア407、板コア404、側部コア408、板コア405、および芯コア407を通る磁界(磁束ΦG1)と、芯コア407、板コア404、側部コア409、板コア405、および芯コア407を通る磁界(磁束ΦG2)が発生する。
すなわち、芯コア406、板コア404、側部コア408、板コア405、および芯コア406と、芯コア406、板コア404、側部コア409、板コア405、および芯コア406は、ともに閉磁路となる。また、芯コア407、板コア404、側部コア408、板コア405、および芯コア407と、芯コア407、板コア404、側部コア409、板コア405、芯コア407も、ともに閉磁路となる。なお、磁束の向きは、コイル404,405に流れる電流の向きによって変化する。
側部コア408,409は、芯コア406,407の左右方向に設けられている。したがって、芯コア406の前方には、板コア404と板コア405との間に、開放部410aが形成されることになる。また、芯コア407の後方にも、板コア404と板コア405との間に、開放部410bが形成されることになる。そのため、開放部410aからはコイル402の端部をコア体401の外部に容易に取り出すことができ、また、開放部410bからはコイル403の端部をコア体401の外部に容易に取り出すことができる。
ところで、側部コア408,409のコイル402,403側に向いた面である内側面408e,409eは、コイル402,403と対向する部分に、コイル402,403の外周面402b,403bの形状に沿うように、外周面402b,403bより大きな曲率の同心円の円弧状に凹んだ凹面部408e1,408e2,409e1,409e2を有する面に形成されている。そして、凹面部408e1と凹面部409e1には、コイル402の一部が収容されている。また、凹面部408e2と凹面部409e2にも、コイル403の一部が収容されるようになっている。
そのため、側部コア408,409は、コイル402,403に干渉することなく、側部コア408,409の左右方向の厚さを、板コア405の左右方向の側面405a,405bの側からコイル402,403に向かって厚くすることができる。つまり、側部コア408,409は、コイル402,403を巻回するためのスペース(巻枠)を減少させることなく、断面積、すなわち、上端面408d,409dの面積を大きくすることができる。言い換えれば、コイル402,403の大きさを小さくすることなく、側部コア408,409の断面積を大きくすることができる。したがって、側部コア408,409における磁気飽和を起き難くすることができる。また、芯コア406,407と側部コア408,409との間の間隔を確保することができるため、コイル402,403の巻き数を増やすことができ、大きなインダクタンス値を得ることができる。あるいは、コイル402,403の巻線を太くすることができ、低DCR化を図ることができる。
また、側部コア408,409は、凹曲部408e1,408e2,409e1,409e2により、巻枠の減少を避けながら、板コア404,405の左右方向の内側に厚さを厚くしている。そのため、側部コア408,409の断面積が大きくなっても、インダクタンス素子400の実装面積が大きくなることがない。すなわち、インダクタンス素子400においては、板コア404,405の幅広面404a,405aの面積が実装面積となる。側部コア408,409の左右方向の厚さをコイル402,403に向けて厚くしているため、板コア404,405の幅広面404a,405aの面積が広くなることはない。
側部コア408,409の断面積(上端面408d,409dの面積)S10は、芯コア406の断面積,すなわち上端面406aの面積S11、あるいは、芯コア407の断面積、すなわち上端面407aの面積S11に対して、S11+S11≦S10≦5×(S11+S11)とすることで、側部コア408,409における磁気飽和の発生を効果的に遅らせることができる。
また、板コア404,405の上下方向の断面積S12を、芯コア406,407の断面積S11に対して、S11≦S12≦5×S11とすることで、板コア404,405内における磁気飽和の発生についても効果的に起き難くすることができる。
芯コア406と芯コア407の太さが異なる場合には、側部コア408,409の断面積S10は、太い方の芯コアの断面の面積の2倍から10倍とすることで、側部コア408,409における磁気飽和の発生を効果的に起き難くすることができる。
また、板コア404,405の断面積S12についても、太い方の芯コアの断面積の1倍から5倍とすることで、板コア404,405内における磁気飽和の発生についても効果的に起き難くすることができる。
さらに、芯コア406,407の上下方向の高さを側部コア408,409の上下方向の高さよりやや短くし(例えば、1mm短くし)、板コア404を側部コア408,409の上端面408d,409dに接着し、板コア404を側部コア408d,409dだけに支持させ、芯コア406,407の上端面406a,407aと幅広面404aとの間に、磁気ギャップとしての空隙を形成するようにしてもよい。このように芯コア406,407の上端面406a,407aと板コア404との間に磁気ギャップを形成することで、インダクタンス素子400の直流重畳特性を向上させることができる。なお、芯コア406,407の上端面406a,407aと板コア404との間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
なお、側部コア408,409の側の上下方向の高さを芯コア406,407の上下方向の高さよりやや短くし、板コア404を芯コア406,407の上端面406a,407aに接着し、板コア404を芯コア406,407だけに支持させ、側部コア408,409の上端面408d,409dと幅広面404aとの間に、磁気ギャップとしての空隙を形成するようにしてもよい。側部コア408,409の上端面408d,409dと幅広面404aとの間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
図9および図10に示す構成においては、芯コア406,407と側部コア408,409の両方を、一方の板コア405に設けているが、板コア405には、芯コア406,407のみを設け、側部コア408,409を他方の板コア404に設ける構成としてもよい。この場合には、板コア405と芯コア406,407をフェライト等の磁性粉体を焼結等により一体化し、また、側部コア408,409と板コア404についてもフェライト等の磁性粉体を焼結等により一体化する。
次に、芯コア406,407の上端面406a,407aと板コア404とを接着剤で接着し、また、側部コア408,409の下端面(図9、図10において板コア405との接合部分となっている面)と板コア405についても接着剤で接着することでコア体401とする。
なお、このように、板コア405に芯コア406,407のみを設け、また、側部コア408,409を板コア404の側に設ける構成とした場合にも、芯コア406,407と側部コア408,409の高さに差を設けることにより、芯コア406,407の上端面406a,407aと板コア404との間、あるいは側部コア408,409の下端面と板コア405との間に、磁気ギャップとしての空隙を形成することができる。芯コア406,407の上端面406a,407aと板コア404との間、あるいは側部コア408,409の下端面と板コア405との間の磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
また、図9および図10に示す構成においては、芯コア406,407、板コア405および側部コア408,409を一体化する例を示しているが、芯コア406,407、板コア405および側部コア408,409をそれぞれ別々に形成するようにしてもよい。この場合には、芯コア406,407、板コア404,405および側部コア408,409をそれぞれ互いに接着剤により接着することで、全体として一体化したコア体401として構成することになる。この場合にも、芯コア406,407と側部コア408,409の高さに差を設けることにより、芯コア406,407の一端面と板コア404,405のいずれか一方との間、あるいは側部コア408,409の一端面と板コア404,405のいずれか一方との間に、磁気ギャップとしての空隙を形成することができる。該磁気ギャップは、スペーサーギャップとしてもよい。
また、コア体401を構成する各コア、すなわち、板コア404,405、芯コア406,407、側部コア408,409のうち、少なくとも1つのコアを、パーマロイ粉、センダスト等の粉末を圧縮成型して形成した、いわゆる圧粉コアを用いる構成としてもよい。コア体401の圧粉コアの部分においては、飽和磁束密度を大きくすることができるため、インダクタンス素子400の小型化を図ることができる。
特に、板コア404,405を圧粉コアにより形成すると、板コア404,405の断面積S12を小さくすることができ、板コア404,405の厚さを薄くすることができる。したがって、インダクタンス素子400の上下方向の高さを低く構成することができる。
上述した各実施の形態におけるインダクタンス素子100(200,300,400)において、コイル102(202,203,302,303,402,403)の周りに、フェライト粉末等の磁性粉末をエボキシ樹脂あるいはアクリル樹脂等に混合し磁性体入り接着剤を塗布し、磁束漏れを抑える構成にしてもよい。また、その塗布量を適宜変えることにより、磁気的特性を変更することができる。
また、インダクタンス素子100(200,300,400)において、コイル102(202,203,302,303,402,403)とコア体101(201,301,401)の内部との間の空間に、磁性体入り接着剤を充填することで、磁束漏れを抑える構成にしてもよい。また、その充填量を適宜変えることにより、磁気的特性を変更してもよい。
上述した各実施の形態におけるコア体101(201,301,401)の形成に用いる磁性材料は、Ni−Zn系フェライトやMn−Zn系フェライト等のフェライトの他、金属系磁性材料、アモルファス系磁性材料等を用いてもよい。
このように、コア体101(201,301,401)を圧粉コアとすると、飽和磁束密度を大きくすることができ、インダクタンス素子100(200,300,400)の小型化を一層図ることができる。
なお、インダクタンス素子に備えるコイルの数は、上記の実施の形態に示したように、1個または2個に限ることなく3個またはそれ以上であってもよい。
また、上述した、各実施の形態における凹面部106g,208g,208h,308g,308h,408b1,408b2,409b1,409b2は、円弧状の凹面としたが、円弧状に限らず、楕円状であってもよく、また矩形状であってもよい。しかしながら、円弧状として、コイルとの隙間を小さくすることで磁束漏れを効果的に少なくすることができる。