JP2005150242A - 太陽電池基板およびその製造方法、並びに太陽電池 - Google Patents

太陽電池基板およびその製造方法、並びに太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 表面に凹凸構造を有する太陽電池基板を得るに当たり、大面積であっても品質よく安価に製造し得る方法と、該方法により得られる太陽電池基板、および該太陽電池基板を有する太陽電池を提供する。
【解決手段】 合成樹脂シートを構成要素に含む太陽電池基板を製造する方法であって、上記合成樹脂シートに多孔質体を熱圧着し、該多孔質体を剥離することにより、該合成樹脂シート表面に凹凸構造を形成することを特徴とする太陽電池基板の製造方法である。

Description

本発明は、薄膜シリコン系の太陽電池に好適な太陽電池基板とその製造方法、並びに該基板を用いた太陽電池に関するものである。
近年、地球温暖化防止のため、従来の化石燃料に代わるエネルギー供給手段として、環境負荷の少ない太陽電池が注目を集めている。日本においても、経済産業省による一般住宅への太陽電池発電装置の購入補助制度や、電力会社による余剰電力買取制度によって、太陽電池の需要が高まりつつある。
しかしながら、現在最も普及している結晶系シリコン太陽電池は、シリコンを溶かし、単結晶あるいは多結晶のバルクを作成後切り出して、太陽電池としている。このような太陽電池は変換効率が良いものの、生産時に大量のエネルギーを使い、太陽電池の寿命までに製造時に使用したエネルギーを回収できないという問題がある。また、切り出しには多くのロスを含み、上記のエネルギーの問題と併せてコスト高の原因となっている。さらに、いかに地球上で豊富に存在するシリコンといえども多くは酸化珪素の状態で存在し、金属シリコン自体は多くない。そのため、資源枯渇の恐れがあることから、実際にはより省エネルギーで簡便に量産できる太陽電池が望まれていた。
このような事情の下、化学蒸着法、いわゆるCVD技術の進歩により短時間で大量のシリコン薄膜が生産可能になったことから、薄膜状のもの(所謂薄膜型太陽電池)が供給されるようになってきている。薄膜型太陽電池は、一般に、ガラス基板上に、二層の電極層(下部電極層および透明電極層)に挟まれたアモルファスシリコン膜や微結晶シリコン膜などの半導体材料を、スパッタリング法や化学蒸着法(CVD法)などにより積層してなるものである。こうした太陽電池では、透明電極層からアモルファスシリコン膜層や微結晶シリコン膜層に光(太陽光など)が入射することにより、光電変換が行われる。また、最近では、上記ガラス基板に代えて、プラスチックフィルムや金属フィルムなどの可撓性基板を用いたものも供給されつつある。
しかし、これらの薄膜型太陽電池は、単結晶型あるいは多結晶型シリコン太陽電池に比べて、光電変換層(シリコン膜層)の厚みが薄いため、入射光(太陽光など)が光電変換層に十分吸収されない。そのため、従来から、基板表面に微細な凹凸を形成して入射光を散乱させ、繰り返し反射させることにより光電変換層内部での光路長を増加させるといった所謂「光閉じ込め効果」の確保により、入射光をより有効に利用しようとする方法が盛んに検討されている。
従来の凹凸形成技術は、主に(1)微粒子をプラスチック基板表面に存在させることで凹凸を形成する方法(例えば、特許文献1)、(2)基板表面にサンドブラストなどのエッチング処理を施す方法(例えば、特許文献2)、(3)凹凸形状を有する金属板(金型)などを用いて基板表面に凹凸を転写する方法(例えば、特許文献3)に大別される。
このうち、(1)の方法では、例えば特許文献1にあるように、基板表面に微粒子を存在させるために、該微粒子を含有する樹脂スラリーを調製し、これをプラスチック基板表面に塗布・乾燥するといった非常に多くの工程を必要とする手法が採用されており、生産性の面で劣る。また、使用される微粒子は一般に二次凝集し易く、品質面での安定性に問題が生じ易い。さらに、上記の如き樹脂スラリーを用いた場合に、スラリー中の溶剤の乾燥が不十分であると、高温、高真空下で実施される太陽電池各層の形成工程において、該溶剤が揮発することでガスが発生して真空度が低下するため、製品(太陽電池)の生産効率を悪化させる要因となる場合がある。加えて、不純物の混入も生じ易く、光電変換層の品質が低下する可能性がある。
また、(2)の方法では、粗面化された基板表面の形状が非常に粗くなり、亀裂や欠けなどの鋭利な部分が生じ易い。また、サンドブラストで用いた微小粒子が基板表面に埋め込まれた状態で残留し易く、完全な除去は困難である。こうした鋭利な部分や微小粒子が残留している部分では、光電変換層が短絡し易く、太陽電池の品質が損なわれる場合がある。
他方、(3)の方法では、(1)や(2)の方法で生じていた問題は発生し難く、比較的好適な方法であるが、基板への凹凸形状の転写後、金型などを引き剥がす際に、基板樹脂の一部が金型側に残ったり、金型からの基板樹脂の剥離性の悪さに起因して基板樹脂がネッキングするなどの問題が起こる場合がある。また、光閉じ込め効果を確保するには、基板表面に形成する凹凸も非常に緻密且つ微小なものでなければならず、こうした凹凸を欠陥無く転写するには、凹凸転写用の金型や転写機が非常に精密なものであることが要求される。精密な金型を作製する方法は種々あるが、LIGAに代表されるエックス線リソグラフィー装置などの煩雑な装置を用いなければならない他、現段階では大面積化が困難である。また、金型の寿命が極めて短いこともあって、生産コストの増大は回避困難である。よって、(3)の方法も、発電コスト低減が嘱望されている現状においては、改善の余地がある。
特開2001−26085号公報(請求項1など) 特開2002−280888号公報(請求項1など) 特開平1−119074号公報(第6頁左上欄最下行〜右上欄第4行)
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面に凹凸構造を有する太陽電池基板を得るに当たり、大面積であっても品質よく安価に製造し得る方法と、該方法により得られる太陽電池基板、および該太陽電池基板を有する太陽電池を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の製造方法は、合成樹脂シートを構成要素に含む太陽電池基板を製造するに当たり、上記合成樹脂シートに多孔質体を熱圧着し、該多孔質体を剥離することにより、該合成樹脂シート表面に凹凸構造を形成するところに要旨を有するものである。
上記多孔質体との熱圧着に供される合成樹脂シートは、金属シートに積層されてなるものであることが好ましい。なお、金属シートには、所謂金属板や金属箔が含まれる。
また、上記合成樹脂シートの凹凸構造面に、エッチング処理を施すことも本発明法の好ましい態様である。好ましいエッチング処理としては、紫外線照射処理またはプラズマ照射処理が挙げられる。
上記多孔質体は、最大孔径が0.01〜50μmであることが好ましく、また、空孔率が0.01〜90%であることが推奨される。このような多孔質体は、合成樹脂(より好ましくはポリテトラフルオロエチレン)から構成されるものであることが望ましく、また、多孔質体としては多孔質シートが好ましい。多孔質体が合成樹脂から構成される多孔質シートである場合、該多孔質シートを構成する合成樹脂は、上記熱圧着時の温度における圧縮弾性率が、上記合成樹脂シートを構成する合成樹脂の同温度における圧縮弾性率よりも0.5MPa以上大きなものであることが推奨される。
上記多孔質体を構成する合成樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレンが推奨され、さらに上記多孔質体は、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンシートであることが望ましい。
上記合成樹脂シートとしては、熱可塑性樹脂シートを用いることが好ましく、該熱可塑性樹脂としては、液晶ポリマーが推奨される。
上記合成樹脂シートの凹凸構造面は、表面粗さRa(算術平均粗さ)が0.01〜5μmであることが望ましい。
さらに、本発明には、上記の製造方法により得られた太陽電池基板と、該基板を有する太陽電池も包含される。
なお、本明細書でいう「シート」は、所謂フィルムも包含する概念である。
本発明法によれば、表面に凹凸構造を有する太陽電池基板を得るに当たり、大面積の基板であっても品質よく安価に製造し得る。よって、本発明に係る太陽電池基板を用いて得られる本発明の太陽電池は、品質が良好で且つ安価に製造でき、また、該基板の表面での特有の凹凸構造の存在により、優れたエネルギー変換効率を達成できる。
本発明者等は、太陽電池基板表面の凹凸構造形成において、上記(1)や(2)の方法における問題の回避が可能な(3)の方法、すなわちエンボッシング法に着目し、さらに、転写用の型として多孔質体を用いることで、従来のエンボッシング法における上記問題を解決して、大面積の基板であっても、容易且つ安価に安定して上記凹凸構造を形成できると共に、このような基板を用いて得られる太陽電池では、優れた光電変換効率を達成できることを見出し、本発明を完成させた。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る太陽電池基板は、合成樹脂シートを構成要素に含むものである。この合成樹脂シートを構成するための樹脂は、太陽電池の基板として使用可能なものであれば特に限定されない。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;ナイロン(ナイロン6、ナイロン66など)、芳香族ナイロン(アラミド樹脂に代表される全芳香族ナイロンなど)などのポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂;ジメチルシリコーンなどのシリコーン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やその誘導体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やその誘導体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体(TFE/VdF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体(CTFE/VdF])、ポリフッ化ビニル(PVF)などのフッ素樹脂;ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトンなどのポリエーテル系樹脂;ポリフェニレンサルフェート;ポリカーボネート;ポリアミドイミド;ポリエーテルイミド;ポリベンゾイミダゾール;などやこれらのポリマーアロイなどの熱可塑性樹脂が、また、半硬化状態(プリプレグ)にあるポリイミドやエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性などの面から、液晶ポリマー(液晶ポリエステル)、フッ素樹脂、またはこれらのポリマーアロイが好適に用いられる。
液晶ポリエステルの中でも、サーモトロピック液晶ポリエステルが好適である。例えば、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールや芳香族ヒドロキシカルボン酸などのモノマーを主体として合成される芳香族ポリエステルであって、溶融時に液晶性を示すものである。
その代表的なものとしては、パラヒドロキシ安息香酸(PHB)と、テレフタル酸と、4,4’−ビフェノールから合成される第1のタイプのもの[下式(1)]、PHBと2,6−ヒドロキシナフトエ酸から合成される第2のタイプのもの[下式(2)]、PHBと、テレフタル酸と、エチレングリコールから合成される第3のタイプのもの[下式(3)]が挙げられる。本発明の基板では、第1〜第3のいずれのポリエステルも用いることができるが、耐熱性、寸法安定性、水蒸気バリア性の面からは全芳香族ポリエステル(第1および第2のタイプ)が好ましく、第1のタイプのポリエステルが特に好ましい。
Figure 2005150242
上記合成樹脂シートを得るに当たっては、これを構成する合成樹脂に応じた公知の各種方法を採用すればよい。また、本発明法において特に好適な上記例示の液晶ポリエステルを用いたシートとしては、例えば、ジャパンゴアテックス株式会社製の「BIAC(登録商標)」などの市販品を用いることができる。
なお、上記合成樹脂シートは、用いる樹脂によっては、シート製造工程後において表面が平滑でない場合がある。合成樹脂シート表面に不均一な凹凸や膨れ、クラックなどが存在する場合には、該表面を平滑化しておくことが好ましい。平滑化の方法は特に制限されず、例えば、キャスティング法により作製された表面が極めて平滑で、且つ優れた耐熱性を有するポリイミドシートと、合成樹脂シートとを、該合成樹脂シートの軟化点以上の温度でラミネートし、その後該ポリイミドシートを剥離する方法などが採用できる。
上記合成樹脂シートの厚みは、太陽電池に要求されるサイズや素材(樹脂)に応じて適宜選択すればよいが、例えば、5〜300μmであることが一般的であり、25〜150μmであることがより好ましい。
本発明に係る太陽電池基板は、上記合成樹脂シートを構成要素とする可撓性基板であるため、該基板を一旦ロール状に巻き、このロールから該基板を送り出し、電極層やシリコン膜層などの太陽電池を構成する各層(以下、纏めて「太陽電池層」という場合がある)を、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などによって連続的に形成する所謂ロール・ツー・ロール方式が採用できる。しかしながら、本発明に係る基板を上記合成樹脂シートのみで構成した場合には、太陽電池層を形成する際の温度によっては、ロール状に巻き取る際の張力に耐え切れず、破断やクリープが起こることがある。また、形成されるシリコン膜層が特に微結晶型の場合には、該シリコン膜層の内部応力が大きいため、基板がこの応力に耐え切れずに反るといった問題が生じることがある。
こうした問題を回避するために、本発明に係る基板では、その片面(太陽電池層形成面とは反対側の面)に補強材を設けることも好ましい。補強材としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銅、鉄、金、銀、白金、ニッケル、錫、亜鉛、鉛、ステンレス鋼、真鍮、ブリキなどの金属から構成されるシート(板や箔);ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性樹脂のシートなど;ガラス繊維や炭素繊維(これらのシートを含む);アルミナ、酸化ジルコニア、酸化ケイ素などのセラミックスシート;などが挙げられる。中でも金属シートが、可撓性、耐熱性、補強性をバランスよく確保し得る点で好適である。
上記金属シートとしては、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、CVD法などにより合成樹脂シート表面に金属層として形成させた形態のものでもよい。
金属シートの厚みは、金属シートの材質や、太陽電池が使われる用途によって適宜決定されればよいが、例えば、0.1μm以上300μm以下、好ましくは0.5μm以上150μm以下であることが望ましい。金属シートの厚みが上記範囲を下回る場合は、太陽電池製造の際の合成樹脂シートの塑性変形抑制作用や、シリコン膜層形成後の該膜の内部応力の影響による基板の反り抑制作用といった補強材としての作用が低下する。他方、金属シートの厚みが上記範囲を超えると、可撓性が低下し、また、質量が増加して取り扱い性が損なわれる傾向にある。なお、補強材が金属シート以外の場合も、上記と同じ理由から、0.1μm以上300μm以下、好ましくは0.5μm以上150μm以下の厚みを有することが望ましい。
合成樹脂シートと補強材との貼り合わせ(積層)は、合成樹脂シートの表面を軟化させて行う熱圧着法や、接着剤を用いる方法が挙げられるが、接着剤が溶剤を含む場合には、太陽電池層形成時に残留溶剤がガス化して生産性が低下する虞があるなどの理由から、熱圧着法を採用することが好ましい。
合成樹脂シート表面の凹凸構造形成は、合成樹脂シートと補強材との貼り合わせ(積層)前後のいずれであってもよいが、特に熱圧着法により合成樹脂シートと補強材とを張り合わせる場合には、この貼り合わせ前に合成樹脂シートに凹凸構造を形成すると、該凹凸構造が、合成樹脂シートと補強材との熱圧着の際に潰れる虞があるため、合成樹脂シート表面の凹凸構造形成は、合成樹脂シートと補強材との貼り合わせ後に行うことが推奨される。
本発明法で用いる多孔質体は、熱圧着することにより上記合成樹脂シートの表面に凹凸形状を転写でき、さらにその後該合成樹脂シートと容易に剥離可能なものであれば特に制限はない。その素材としては、合成樹脂シートの素材として例示した各熱可塑性樹脂およびこれらのポリマーアロイ;ポリイミドなどの熱硬化性樹脂;その他、金属、セラミックスなどが挙げられる。中でも、合成樹脂シートとの離型性、耐熱性、強度などに優れる点で、上記例示のフッ素樹脂が好ましく、PTFEが特に好適である。
また、上記多孔質体の形状は、合成樹脂シート表面に凹凸構造を形成可能であれば特に制限されず、シート状(膜状)、棒状、チューブ状、糸状、バルク状などがあり得るが、特に望ましい形状はシート状(膜状)である。
よって、上記多孔質体としては、PTFE製の多孔質シートが好適であり、中でも、延伸多孔質PTFEシート(特に二軸延伸多孔質PTFEシート)が推奨される。延伸多孔質PTFEシートとは、PTFEのファインパウダー(結晶化度90%以上)を成形助剤と混合して得られるペーストを成形し、該成形体から成形助剤を除去した後、高温[PTFEの融点(約327℃)未満の温度、例えば300℃程度]高速度で延伸、さらに必要に応じて焼成することにより得られるものである。例えば、二軸延伸多孔質PTFEシートでは、フィブリル(折り畳み結晶が延伸により解けて引き出された直鎖状の分子束)が放射状に広がり、フィブリルを繋ぐノード(折り畳み結晶)が島状に点在していて、フィブリルとノードとで画された空間が多数存在するクモの巣状の繊維質構造となっている。二軸延伸多孔質PTFEシートの断面模式図を図1に示す。図1中、10が二軸延伸多孔質PTFEシート、11がフィブリル、12がノード、13が空孔である。なお、図1では、シートの形状の理解を容易にするために、シート表面と空間を仕切る線を引いているが、実際の延伸多孔質PTFEシートの表面は、フィブリルやノードが形成する。よって、延伸多孔質PTFEシート表面のうち、フィブリルやノードの存在しない箇所は、開口となっている。このような延伸多孔質PTFEシートの詳細は、例えば、特公昭56−17216号公報や米国特許第3953566号明細書などに開示されている。
上記多孔質体の最大孔径は、0.01μm以上50μm以下であることが好ましく、0.1μm以上10μm以下であることがより好ましい。最大孔径が上記範囲を下回る多孔質体を用いて製造した基板では、太陽電池とした場合に、入射光のうち、乱反射されずに電池外部へ逃げる光の割合が増大して、太陽電池の発電効率が低下する傾向にあるため、好ましくない。他方、最大孔径が上記範囲を超える多孔質体を用いて製造した基板では、凹凸の大きさ(特にピッチ)が大きくなるため、やはり光閉じ込め効果が低下して太陽電池の発電効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
ここで、上記最大孔径は、ASTM F−316の規定に準じて測定される値である。本明細書における多孔質体の最大孔径は、全てこの方法で測定した値である。
また、上記多孔質体の空孔率は0.01%以上(より好ましくは50%以上)90%以下であることが好ましい。空孔率が上記範囲を下回る多孔質体では、ノード・フィブリルの構造体を形成し難く、このような多孔質体を用いてエンボッシングを行っても、良好な凹凸形状を有する基板が得られ難い。他方、空孔率が上記範囲を超える多孔質体では、フィブリル部分が多く、またフィブリル部分が細くなるため、このような多孔質体では強度が小さく、を基板から剥離する際に破れや裂けが生じ、好ましくない。
ここで、上記空孔率は、JIS K 6885の規定に準じて測定される多孔質体の見掛け密度ρ(g/cm)と、該多孔質体を構成する樹脂の密度ρ(g/cm)から、下式
空孔率(%)=100×(ρ−ρ)/ρ
を用いて求められる値である。例えば、多孔質体を構成する樹脂がPTFEの場合には、ρ=2.2g/cmとして、上記空孔率を計算する。本明細書における多孔質体の空孔率の値は、全てこの方法で測定したものである。
なお、多孔質体が合成樹脂から構成される多孔質シートの場合には、該合成樹脂において、合成樹脂シートとの熱圧着を実施する際の温度における圧縮弾性率が、該合成樹脂シートを構成する合成樹脂の同温度での圧縮弾性率よりも0.5MPa以上大きなものであることが好ましい。より好ましくは5MPa以上大きなものである。多孔質シートを構成する合成樹脂の上記温度における圧縮弾性率が、合成樹脂シートを構成する合成樹脂の圧縮弾性率よりも大きいが、その差が0.5MPa未満であるか、あるいは該温度における多孔質シートを構成する合成樹脂の圧縮弾性率が合成樹脂シートを構成する合成樹脂の圧縮弾性率が下回っている場合には、合成樹脂シート表面に凹凸形状を良好に転写できないことがあるため、好ましくない。なお、多孔質シートを構成する合成樹脂および合成樹脂シートを構成する合成樹脂の圧縮弾性率は、動的粘弾性測定装置や熱機械分析装置などを用いる従来公知の手法によって測定できる。
また、多孔質体が多孔質シートの場合の厚みは、合成樹脂シートとの熱圧着後、剥離が可能な程度であれば特に限定されないが、一般的には1μm以上であり、望ましくは10μm以上である。厚みが1μmを下回る場合には、上記熱圧着後に多孔質シートを剥離する際に、該多孔質シートの破断が生じ易いため、好ましくない。ここでいう多孔質シートの厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、テクノロック社製1/1000mmダイヤルシックネスゲージ)で測定した平均厚さ(本体バネ荷重以外の荷重をかけない状態で測定した値)である。本明細書における多孔質シートの厚みは、全てこの方法で測定した値である。
合成樹脂シートの表面に凹凸構造を形成するには、上述の通り、合成樹脂シートに多孔質体を熱圧着し、その後多孔質体を剥離する。熱圧着する方法は、多孔質体の形状などに応じて適宜選択すればよい。例えば、多孔質シートを合成樹脂シートにラミネートする方法、棒状やチューブ状の多孔質体をエンボスロールとして、合成樹脂シートに圧着する方法、板状やバルク状の多孔質体を用いて合成樹脂シートにプレスする方法などが好適に採用できる。
熱圧着時の温度は、合成樹脂シートの表面が軟化している状態となる温度であればよい。このような熱圧着温度は、例えば、JIS K 7196に規定の軟化温度試験方法や、その他一般的なガラス転移温度、融解温度、液晶転移温度などの測定方法により得られる軟化温度(ガラス転移温度、融解温度、液晶転移温度を含む)に基づいて設定すればよい。
熱圧着時の圧力は、合成樹脂シートに用いる樹脂の種類、熱圧着に用いる装置の仕様や熱圧着方法、要求される凹凸構造のサイズなどに応じて適宜設定すればよい。
上記の如く多孔質体を合成樹脂シートに熱圧着し、該多孔質体を剥離することで、本発明に係る基板は得られるが、このような基板の凹凸構造面には鋭利な部分が存在する場合があり、該部分が太陽電池とした際の短絡の原因となることがある。よって、基板の凹凸構造面には、さらにエッチング処理を施して、上記の鋭利な部分を丸めることが好ましい。これにより、上記原因による太陽電池の短絡を防止することができる。
エッチング方法は特に限定されず、例えば、紫外線(低圧水銀灯、高圧水銀灯、エキシマ紫外線など)、各種レーザー、電子線、X線などの各種光(電磁波)を照射することによるエッチング;プラズマ照射エッチング;酸やアルカリを用いた化学エッチング;フレーム処理;コロナ放電;などの手法を採用することができる。中でも、基板に均一に、高いエッチングレートでエッチングできることから、紫外線照射またはプラズマ照射による処理が好適である。
このようにして得られる基板では、凹凸構造面の表面粗さRaが、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.05μm以上2μm以下であることがより好ましい。表面粗さが上記範囲を下回る基板では、太陽電池とした場合に十分な光閉じ込め効果が確保できないことがあり、太陽電池の発電効率向上効果が不十分となるときがある。また、表面粗さが上記範囲を超える基板では、太陽電池とした場合にシリコン膜層の厚みが非常に不均一となり、特にシリコン膜層が薄い場合には、これが短絡の原因となることがあるため、好ましくない。
本発明に係る基板は、従来公知の太陽電池基板と同様に使用することができる。本発明に係る基板を用いた太陽電池の層構成の一例を図2に示す。図2の太陽電池20は、合成樹脂シート21aと金属シート21bの積層体である本発明に係る太陽電池基板21上に、下部電極層22、シリコン膜層23、透明電極層24の順に各層を形成した構成である。
下部電極層22は、導電体であり、且つ光線反射率が高いものであれば特に限定されるものではなく、例えば、銀、アルミニウム、銅、金、プラチナ、ニッケル、錫、鉄などの純金属類、ステンレスやアルミ合金などの合金類、ITO(インジウム−スズ複合酸化物)や酸化アルミ、酸化錫などの金属酸化物類などの従来公知の素材を用いて、従来公知の方法(真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、電解めっき法、無電解めっき法など)によって形成することができる。また、下部電極層3の表面に形成されるシリコン膜層4への下部電極金属の拡散を防止するため、ZnO、SnOなどの金属酸化物層を、例えばスパッタリング法や真空蒸着法などによって形成してもよい。
シリコン膜層23は、アモルファスシリコン膜層または微結晶シリコン膜層からなるシングル型構造、あるいは異なる2種類の太陽電池が積層されたタンデム型構造のいずれであってもよい。タンデム型構造の場合は、2層のみならず、3層以上に積層することも可能である。ただし、シリコン膜層の厚さは、全体の厚さで0.2〜20μmとすることが好ましい。
上記アモルファスシリコン膜層や上記微結晶シリコン膜層中の構造は特に限定されず、例えば、薄型太陽電池で通常採用されているnip構造(リン、窒素などの不純物がドープされたn型シリコン膜層−不純物を含まないi型シリコン膜層−ホウ素などの第III族元素がドープされたp型シリコン膜層の積層構造)を採用すればよい。シリコン膜層23の形成方法も特に限定されず、従来公知の方法(例えば、容量結合型プラズマCVD法や、誘導結合型プラズマCVD法などのCVD法)によって形成することが可能である。
なお、大面積の微結晶シリコン膜層を形成する点では、平行平板式の容量結合型プラズマCVD法を採用することが好ましい。この場合、基板ヒータ温度が100〜250℃で成膜し得るが、特に150℃以上とすることが、良好な膜質を確保できる点で好ましい。
なお、シリコン膜層の一部または全部が結晶性の場合、シリコン以外に、ボロン、アルミニウム、ガリウムなどの第III族の典型元素;炭素、ゲルマニウムなどの第IV族の典型元素;窒素、リン、砒素などの第V族の典型元素;酸素、硫黄などの第VI族の典型元素;フッ素、塩素などの第VII族の典型元素;などを含有してもよい。
シリコン膜層形成用のシラン系ガスとしては、一般式:
Si2n+2
(式中、nは1〜4の整数である)
で表されるモノシラン、ジシラン、トリシラン、テトラシランなどのシラン化合物が用いられる。また、必要に応じて、フッ化シラン、有機シランなどのガスを用いることも可能である。さらに、必要に応じて、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトンなどの不活性ガスを導入してもよい。
また、シリコン膜層にボロン、アルミニウム、ガリウムなどの第III族の典型元素を含有させる場合には、ジボランなどのホウ素化合物、三フッ化ホウ素などのハロゲン化ホウ素、トリメチルホウ素などの有機ホウ素;塩化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウム;トリメチルガリウム、トリエチルガリウムなど有機ガリウム化合物;などの各種ガスを適宜併用すればよい。これら第III族元素を含むガスは、通常、シラン系ガス100%に対する容量比率で10ppm〜20%、好ましくは200ppm〜5%の範囲で混合させる。
シリコン膜層に炭素、ゲルマニウムなどの第IV族の典型元素を含める場合には、炭化水素やゲルマン化合物などのガスを併用することも可能である。
シリコン膜層に窒素、リン、砒素などの第V族の典型元素を含有させる場合には、窒素、アンモニア、ホスフィン、アルシン、ハロゲン化リン、ハロゲン化砒素、アルキルリンなどの各種ガスを併用すればよい。これら第V族元素を含むガスは、通常、シラン系ガス100%に対する容量比率で、200ppm〜5%の範囲で混合する。
シリコン膜層に酸素、硫黄などの第VI族の典型元素を含有させる場合には、酸素、二酸化硫黄などのガスを用いることができる。また、シリコン膜層にフッ素、塩素などの第VII族元素を含有させる場合には、フッ素、塩素、フッ化水素、塩化水素などのハロゲン系ガスを併用すればよい。これら第VI族元素および第VII族元素を含むガスを用いる場合には、シラン系ガス100%に対する容量比率で0.01〜100%の範囲で用いると効果的である。
なお、上記シリコン膜層を微結晶シリコンで形成する場合には、上記シラン系ガスと、該シラン系ガスに対し、1000倍以下のモル量の水素ガスを混合して得られる混合ガスを用いることが好ましい。より好ましい水素ガスのモル量は、シラン系ガスに対し5〜200倍であり、さらに好ましくは10〜100倍であり、特に好ましくは13〜50倍であり、最も好ましくは15〜30倍である。シラン系ガスと混合する水素ガスのモル量が上記範囲を下回る場合には、シリコン膜層を結晶性にすることができず、他方、上記範囲を超える場合には、成膜速度が極めて遅くなり、実用性に劣るものとなる。ただし、上記シリコン膜層をアモルファスシリコンで形成する場合には、上記シラン系ガスは、水素ガスを混合せずに使用する。
透明電極層24は、例えば、酸化スズ、ITO、FTO(フッ素をドープした酸化スズ)、酸化亜鉛などの公知の金属酸化物を、公知の方法(真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法など)によって形成することができる。
なお、上記透明電極層24の上部には、発生した電力を損失なく取り出すため、取り出し電極(図示しない)を設ける。取り出し電極には、銀、金、白金、銅、アルミニウムなどの金属を用いることができ、従来公知の形成法(スパッタリング法や真空蒸着法など)で形成可能である。また、取り出し電極の形状は特に限定されないが、櫛状とするのが一般的である。
この他、透明電極層24の上には、例えば、下部電極層22によって反射した光が太陽電池外部に出ることを防止するために、公知の反射防止層などを設けることも可能である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、本実施例で用いた液晶ポリエステルシートを構成する液晶ポリエステルについて、動的粘弾性測定装置を用いて290℃で測定された圧縮弾性率は416MPaであった。また、本実施例で用いた延伸多孔質PTFEシートを構成するPTFEについて、上記液晶ポリエステルと同じ手法で290℃で測定された圧縮弾性率は426MPaであった。
実験1<太陽電池基板の製造>
実施例1−1
縦および横の長さが5cmの液晶ポリエステルシート(ジャパンゴアテックス株式会社製「BIAC」、厚み:125μm)と、縦および横の長さが10cmの延伸多孔質PTFEシート(ジャパンゴアテックス株式会社製「ゴアテックス」、厚み:30μm、空孔率:78%、最大孔径:0.2μm)を重ね合わせ、真空プレス中で0.1MPaに減圧し、プレス温度:200℃で15分予備加熱後、4MPaのプレス圧を加え、そのままの状態で290℃まで25分かけて昇温した。290℃で10分保持した後、加圧したまま150℃まで急冷し、その後延伸多孔質PTFEシートを剥離し、凹凸構造面を有する太陽電池基板No.1を得た。
実施例1−2
実施例1−1と同様にして得られた太陽電池基板の凹凸構造面に、低圧水銀灯(セン特殊光源社製)を、16mW/cmの出力(254nmの波長で検出)で1時間照射し、太陽電池基板No.2を得た。
実施例1−3
縦および横の長さが15cmの液晶ポリエステルシート(ジャパンゴアテックス株式会社製「BIAC」、厚み:125μm)と、縦および横の長さが5cmのSUS306板(厚み:1mm)を重ね合わせ、真空プレス中で0.1MPaに減圧した。その後、プレス温度:315℃で15分予備加熱し、続いて4MPaのプレス圧を加えて5分プレスを行い、加圧したまま150℃まで急冷した後、常圧に戻し、液晶ポリエステルシートとSUS板との積層体を取り出した。この積層体の液晶ポリエステルシートを、SUS板の大きさに合わせて裁断した。裁断後の積層体の液晶ポリエステルシート表面に実施例1−1と同様にして凹凸構造を形成し、太陽電池基板No.3を得た。
実施例1−4
実施例1−3と同様にして得られた太陽電池基板の凹凸構造面に、低圧水銀灯(セン特殊光源社製)を、16mW/cmの出力(254nmの波長で検出)で1時間照射し、太陽電池基板No.4を得た。
上記の太陽電池基板No.1〜No.4について、表面粗さ[Ra、Rz(十点平均粗さ)、RMS(二乗平均粗さ)]の測定を、デジタルインストゥルメンツ社製「ナノスコープIII」を用いて、タッピングモードを選択して行った。結果を表1に示す。
Figure 2005150242
実験2<太陽電池の製造>
実施例2−1
太陽電池基板No.3の凹凸構造面に、DCスパッタリング法によって、常温下で、Ag薄膜(下部電極層)を2000Åの厚みで形成し、さらに200℃で酸化亜鉛薄膜を500Åの厚みで形成し、下部電極層とした。その後、下部電極層を形成した太陽電池基板No.3をプラズマCVD装置に入れ、1.33×10−5Paになるまで装置内を減圧し、続いて、基板温度を180℃とし、水素ガスおよび少量のPHガスを含むモノシランガス(モル比、SiH:H:PH=1:143:8×10−3)を用いて、酸化亜鉛薄膜上に厚み0.4μmのn型シリコン膜層を形成した。引き続き、基板温度を180℃とし、水素ガスおよびモノシランガス(モル比、SiH:H=1:39)を用いて、n型シリコン膜層上に厚み2μmのi型シリコン膜層を形成した。引き続き、基板温度を140℃として、水素ガスおよびBガスを含むモノシランガス(モル比、SiH:H:BH=1:181:3×10−3)を用いて、i型シリコン膜層上に厚み0.2μmのp型シリコン膜層を形成した。その後十分に冷却し、太陽電池基板No.3を装置から取り出した。
次に、RFスパッタリング法により、p型シリコン膜層上にITO層(透明電極層)を、基板温度200℃の条件で700Åの厚みで形成した。その後、櫛形形状のマスクを用い、基板温度を常温とし、DCスパッタリング法によって3000ÅのAg薄膜を、ITO層上に形成し、太陽電池(A)を得た。
実施例2−2
太陽電池基板No.4を用い、実施例2−1と同様にして太陽電池(B)を製造した。
比較例2−1
表面に凹凸構造を持たない太陽電池基板No.5として、ガラス板(コーニング社製「7059」)を用意した。この太陽電池基板No.5について、太陽電池基板No.1〜No.4と同様にして測定した表面粗さは、Ra:8nm、Rz:30nm、RMS:15nmであった。
この太陽電池基板No.5を用いて、実施例2−1と同様にして太陽電池(C)を製造した。
得られた太陽電池(A)〜(C)について、ソーラーシミュレーター(キセノンランプ;山下電装社製「YSS−50AH」、SemiconductorParameter analyzer;ヒューレットパッカード社製)を用いて特性評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2005150242
表2から、表面が平滑なガラス板を基板に用いた太陽電池(C)に比べ、凹凸構造を有する太陽電池基板No.3およびNo.4を用いた太陽電池(A)および(B)では、開放光電圧を保持しつつ短絡電流密度が向上しており、結果として太陽電池のエネルギー変換効率が高められている。
図3に、各波長領域での、光子量に対して取り出した電子量の比を示す量子効率曲線と反射率とを表すグラフを示した。図3中、(A)が太陽電池(A)の、(B)が太陽電池(B)の、(C)が太陽電池(C)のデータを、夫々示している。凹凸構造を有する太陽電池基板No.3およびNo.4を用いた太陽電池(A)および(B)では、表面が平滑な太陽電池基板No.5を用いた太陽電池(C)に比べ、特に600nm以上の長波長域での光の反射が減少していることが確認できる。これは、太陽電池基板No.3およびNo.4表面の凹凸構造の存在により入射光が散乱することで、光閉じ込め効果が生じていることに基づく現象であると考えられる。また、この光閉じ込め効果により、シリコン膜層に効率よく光が吸収されているため、太陽電池(A)および(B)では短絡電流密度が増大し、その結果エネルギー変換効率が向上しているものと推定される。
本発明法で使用し得る二軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンシートの断面模式図である。 本発明に係る太陽電池の構成の一例を示す断面模式図である。 実施例の実験2で製造した太陽電池の特性評価結果を示すグラフである。
符号の説明
10 二軸延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンシート
11 フィブリル
12 ノード
13 空孔
20 太陽電池
21 太陽電池基板
21a 合成樹脂シート
21b 金属シート
22 下部電極層
23 シリコン膜層
24 透明電極層

Claims (16)

  1. 合成樹脂シートを構成要素に含む太陽電池基板を製造する方法であって、
    上記合成樹脂シートに多孔質体を熱圧着し、該多孔質体を剥離することにより、該合成樹脂シート表面に凹凸構造を形成することを特徴とする太陽電池基板の製造方法。
  2. 上記多孔質体との熱圧着に供される合成樹脂シートは、金属シートに積層されてなるものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記合成樹脂シートの凹凸構造面に、エッチング処理を施す請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 上記エッチング処理は、紫外線照射処理またはプラズマ照射処理である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 上記多孔質体は、最大孔径が0.01〜50μmである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 上記多孔質体は、空孔率が0.01〜90%である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 上記多孔質体は、合成樹脂から構成されるものである請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 上記多孔質体を構成する合成樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンである請求項7に記載の製造方法。
  9. 上記多孔質体は、多孔質シートである請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 上記多孔質体が、合成樹脂から構成される多孔質シートであって、該多孔質シートを構成する合成樹脂の、上記熱圧着時の温度における圧縮弾性率が、上記合成樹脂シートを構成する合成樹脂の同温度における圧縮弾性率よりも0.5MPa以上大きなものである請求項9に記載の製造方法。
  11. 上記多孔質体は、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンシートである請求項9または10に記載の製造方法。
  12. 上記合成樹脂シートとして、熱可塑性樹脂シートを用いる請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 上記熱可塑性樹脂は、液晶ポリマーである請求項12に記載の製造方法。
  14. 上記合成樹脂シートの凹凸構造面は、表面粗さRaが0.01〜5μmである請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法により得られたものであることを特徴とする太陽電池基板。
  16. 請求項15に記載の太陽電池基板を有するものであることを特徴とする太陽電池。
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