JP2005146774A - シート接合板、このシート接合板を用いた断熱防水構造および断熱防水工法、ならびに断熱遮炎シート - Google Patents

シート接合板、このシート接合板を用いた断熱防水構造および断熱防水工法、ならびに断熱遮炎シート Download PDF

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Abstract

【課題】建造物躯体の断熱防水構造において断熱パネルへの熱影響を防止でき、かつ施工作業が容易であるシート接合板、ならびにこのシート接合板を用いた断熱防水構造を提供する。
【解決手段】 断熱防水構造は、躯体上1に敷設される断熱パネル2と、金属製芯層13の表面に合成樹脂製表面層14が積層され、誘導加熱部16とこの誘導加熱部16の周囲に非加熱部17が形成されたシート接合板11と、合成樹脂製の防水シート5とを備える。前記シート接合板11は断熱パネル2上に配置された状態で躯体1に固定され、さらに前記シート接合板11を覆うように防水シート5が敷設されている。そして、高周波電磁誘導加熱により、前記防水シート5は前記シート接合板11の誘導加熱部16において表面層14と溶着接合されている一方、前記非加熱部17においては接合されていない。
【選択図】 図3

Description

この発明は、例えば屋根下地等の躯体上に、断熱工法により断熱パネルを介して防水シートを敷設するためのシート接合板、ならびにこのシート接合板を用いた断熱防水構造および断熱防水工法、さらにこれらの構造等に用いられる断熱遮炎シートに関する。
屋根下地上に断熱パネルを介して防水シートを施工するようにした断熱防水構造においては、防水シートをその一部を屋根下地に固定し、残りの部分を遊離させるようにした絶縁工法を用いて施工する技術が採用されている(特許文献1等)。
この絶縁工法は、図8に示すように、樹脂被覆鋼板等からなるシート接合板(51)を断熱パネル(2)上に配置した状態で固定釘等の固着具(12)を介して屋根下地(1)に固定し、さらに断熱パネル(2)上に敷設した合成樹脂製の防水シート(5)の所要部を、シート接合板(51)の樹脂表面層に溶着接合するものである。
防水シート(5)をシート接合板(51)に溶着する場合、溶剤や誘導加熱による溶着方法が多く使用される。しかし、溶剤による方法はその揮発成分等が周辺の環境に悪影響を及ぼす恐れがあるため、近年においては誘導加熱による溶着方法が好んで用いられる傾向にある。
誘導加熱による溶着方法は、高周波電磁誘導によってシート接合板(51)の鋼板部分に熱を発生させ、その熱によりシート接合板(51)の樹脂表面層と防水シート(5)とを溶着一体化させるものである。
しかしながら、上記従来の断熱防水構造において、誘導加熱溶着方法を用いた場合、シート接合板(51)が高温に加熱されるため、その熱は、防水シート(5)のみならずシート接合部材(50)の下側に配置される断熱パネル(2)にも伝達される。断熱パネル(2)は、通常、発泡ポリスチレン樹脂、発泡ポリ塩化ビニル樹脂、発泡ポリウレタン樹脂、発泡フェノール樹脂等の合成樹脂発泡成形体により構成されるため、誘導加熱時の熱影響により、溶融変形して陥没してしまい、断熱パネル(2)とシート接合板(51)や固着具(12)との間に緩みが生じて、防水シート(5)を安定状態に施工できない、また、固定具(12)の頭部がシート接合板(51)より飛び出し防水シート(5)を損傷する等の問題が発生する。
上記問題を解消するために、シート接合板(51)の下に厚紙、段ボール、ガラスペーパー、ガラスクロス等の断熱材(52)を敷いた断熱防水構造が提案されている(図9参照)。また、断熱防水構造における防火性の向上を主目的として、断熱パネル(2)と防水シート(5)との間に石膏板、セメント板、ケイ酸カルシウム板等の無機ボート(53)を配設した断熱防水構造(図10参照)、あるいは断熱パネル(2)として、発泡樹脂体に耐熱性面材を貼り付けた耐熱性断熱パネルやフェノール樹脂発泡成形体等の難燃性パネルを用いた断熱防水構造が提案されている。さらに、予めシート接合板の金属層に紙、合成ゴム系板等からなる遮熱層を積層しておくことも提案されている(特許文献2参照)。
特開昭53−31324号公報(図4) 特開2003−90105号公報(図1〜3)
しかしながら、シート接合板(51)の下に断熱材(52)を敷く断熱防水構造では、予め断熱材(52)をシート接合板の形状に合わせて切り抜いておく必要があり、手間がかかるという問題がある。無機ボート(53)を配設する構造では、無機ボードがシート接合部材(50)で発生した熱を遮断して断熱パネル(2)への熱影響を防止することができるが、無機ボードは高重量かつ硬質であるため、現場への搬入作業や敷設作業に多大な労力を必要とし、割れ易く取扱も困難であり、施工作業面で不利である。更に発熱した熱量を吸収するためシート接合板の温度上昇を妨げ、その結果として、防水シートの溶着強度が低下したり溶着時間が余分に必要となる等の弊害も起きる。また、耐熱性断熱パネルを用いる断熱防水構造によってもシート接合部材(50)に発生した熱による影響を防止することができるが、従来の断熱パネルよりもコストがかかると言う問題点がある。
また、前記特許文献2に記載された金属層に遮熱層を積層したシート接合板を用いる方法では、その製作に手間がかかる上に金属層に異種材料が接合されているために熱膨張係数の相違によって遮熱層が剥離するおそれもある。
本発明は、上述した技術背景に鑑み、建造物躯体の断熱防水構造において断熱パネルへの熱影響を防止でき、かつ施工作業が容易であるシート接合板、ならびにこのシート接合板を用いた断熱防水構造および断熱防水工法、さらにこれらの構造に用いられ断熱防水構造の耐火性を向上させる断熱遮炎シートの提供を目的とする。
即ち、本発明のシート接合板は下記(1)〜(5)の構成を有する。
(1) 金属製芯層の表面に合成樹脂製表面層が積層され、
躯体上に防水シートを敷設するに際して、躯体に固定され、高周波電磁誘導加熱により前記表面層に防水シートを溶着接合させるシート接合板であって、
高周波電磁誘導加熱によって前記防水シートが溶着接合される誘導加熱部と、この誘導加熱部の周囲に形成され、高周波電磁導加熱されない非加熱部とを有することを特徴とするシート接合板。
(2) 前記誘導加熱部が非加熱部よりも上面側に突出して形成されている前項(1)に記載のシート接合板。
(3) 前記誘導加熱部の突出高さは1.0〜3.0mmである前項(2)に記載のシート接合板
(4) 平板状に形成され、前記誘導加熱部と非加熱部とが高周波電磁誘導加熱用の高周波ホーンの配置位置によって区分される前項(1)に記載のシート接合板。
(5) 前記シート接合板は平面視において矩形である前項(1)〜(2)のいずれか1項に記載のシート接合板。
本発明の断熱防水構造は下記(6)〜(8)の構成を有する。
(6) 躯体上に敷設される断熱パネルと、
前記断熱パネル上に配置された状態で躯体に固定され、前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載のシート接合板と、
前記シート接合板を覆うように配置される合成樹脂製の防水シートとを備え、
高周波電磁誘導加熱により、前記防水シートが前記シート接合板の誘導加熱部において表面層と溶着接合される一方、前記非加熱部において接合されないことを特徴とする断熱防水構造。
(7) 躯体上に敷設される断熱パネルと、
前記断熱パネル上に敷設され、目付が140〜300g/m2のガラス繊維不織布からなる断熱遮炎層を有する断熱遮炎シートと、
前記断熱遮炎シート上に配置された状態で躯体に固定され、前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載のシート接合板と、
前記シート接合板を覆うように配置される合成樹脂製の防水シートとを備え、
高周波電磁誘導加熱により、前記防水シートが前記シート接合板の誘導加熱部において表面層と溶着接合される一方、前記非加熱部において接合されないことを特徴とする断熱防水構造。
(8) 前記防水シートが、ポリ塩化ビニル樹脂系の樹脂組成物により構成されてなる前項(6)または(7)に記載の断熱防水構造。
本発明の断熱防水工法は下記(9)(10)の構成を有する。
(9) 断熱パネルを躯体上に敷設する工程と、
前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載のシート接合板を、前記断熱パネル上に配置した状態で躯体に固定する工程と、
合成樹脂製の防水シートを前記シート接合板を覆うように配置する工程と、
前記防水シートを介して前記シート接合板の誘導加熱部の対応部分に高周波ホーンを配置し、前記誘導加熱部の芯層を高周波電磁誘導加熱して前記防水シートを前記シート接合板材の表面層に溶着接合する工程とを含むことを特徴とする断熱防水工法。
(10) 断熱パネルを躯体上に敷設する工程と、
目付が140〜300g/m2のガラス繊維不織布からなる断熱遮炎層を有する断熱遮炎シートを、前記断熱パネル上に敷設する工程と、
前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載のシート接合板を、前記断熱遮炎シート上に配置した状態で躯体に固定する工程と、
合成樹脂製の防水シートを前記シート接合板を覆うように配置する工程と、
前記防水シートを介して前記シート接合板の誘導加熱部の対応部分に高周波ホーンを配置し、前記誘導加熱部の芯層を高周波電磁誘導加熱して前記防水シートを前記シート接合板の表面層に溶着接合する工程とを含むことを特徴とする断熱防水工法。
本発明の断熱遮炎シートは下記(11)(12)の構成を有する。
(11) 躯体上に敷設された断熱パネル上に、合成樹脂製の防水シートを敷設するに際して、前記断熱パネルと前記防水シートとの間に敷設される断熱遮炎シートであって、
目付が140〜300g/m2、厚さが0.8〜2.5mmのガラス繊維不織布からなる断熱遮炎層を備える断熱遮炎シート。
(12) 前記断熱遮炎層の少なくとも片面に積層され、かつ抗張性および柔軟性を有する補強シートからなる補強層をさらに備える前項(11)に記載の断熱遮炎シート。
(1)の発明にかかるシート接合板によれば、高周波電磁誘導加熱により防水シートを溶着接合する断熱防水構造に使用した場合に、断熱パネルにおいて非加熱部の直下部分では熱影響を受けず熱変形を生じないため、この部分がシート接合板を支持して加熱前の設置位置を保持する。このため、防水シートをシート接合板に溶着接合して安定状態に施工することができる。
(2)の発明にかかるシート接合板によれば、突出した誘導加熱部の下方に空気層が形成されて断熱層としての効果を発揮し、誘導加熱部の直下部分における断熱パネルへの熱影響が軽減される。このため、シート接合板の設置位置がさらに確かなものとなり、防水シートの施工状態を安定させることができる。
(3)の発明にかかるシート接合板によれば、適正な断熱効果を有する空気層を形成することができる。
(4)に発明にかかるシート接合板は製作が簡単であり、低コストでシート接合板を提供できる。
(5)の発明にかかるシート接合板によれば、芯層を構成する金属材料の型取りが良く、材料にロスが出ない。
(6)の発明にかかる断熱防水構造によれば、シート接合板の非加熱部の直下部分で断熱パネルが熱影響を受けず熱変形を生じないため、シート接合板はこの部分で支持されて加熱前の設置位置に保持される。このため、防水シートはシート接合板に溶着接合されて安定状態に施工される。
(7)の発明にかかる断熱防水構造によれば、断熱パネルはシート接合板の非加熱部による熱影響を免れる上に、断熱遮炎シートの介装により誘導加熱部の直下部分に対する熱影響が軽減される。このため、シート接合板の設置位置がさらに確かなものとなり、防水シートはシート接合板に溶着接合されて安定状態に施工される。また、断熱遮炎シートが上方からの火種を受け止めて断熱パネルへの落下を防ぎ、優れた防火性を有する断熱防水構造となし得る。
(8)の発明にかかる断熱防水構造によれば、防水シートが自己消火性を有するポリ塩化ビニル樹脂系の樹脂組成物で構成されているため、さらに優れた防火性を発揮することができる。
(9)の発明にかかる断熱防水工法によれば、前項(7)の断熱防水構造を施工できる。
(10)の発明にかかる断熱防水工法によれば、前項(8)の断熱防水構造を施工できる。断熱遮炎シートは断熱遮炎層がガラス繊維不織布で構成されているから、軽量でありながら優れた断熱性と防火性を奏し、かつ施工作業性も良い。
(11)の発明にかかる断熱遮炎シートによれば、断熱防水構造において断熱パネルと防水シートの間に敷設することにより、その構造に断熱性および防火性を付与することができる。
(12)の発明にかかる断熱遮炎シートによれば、補強層の積層によって施工作業性が向上する。
以下に、本発明にかかるシート接合板の2つ実施形態と、これらのシート接合板を用いた断熱防水構造の実施形態について図面を参照しつつ詳述する。
(シート接合板の第1実施形態)
図1Aおよび図1Bに、シート接合板の第1実施形態を含むシート接合部材を示す。
シート接合部材(10)は、シート接合板(11)と、このシート接合板(11)を躯体に固定するための固着具(12)とにより構成されている。
シート接合板(11)は、正方形の金属板からなる芯層(13)の上面側全域に合成樹脂製の表面層(14)が積層された平板体であり、中心に固着具(12)を挿通させるための貫通孔(15)が形成されている。
前記シート接合板(11)においては、誘導加熱部(16)と非加熱部(17)に形状上の明確な区切りはなく、断熱防水構造施工時に用いる高周波ホーンによって発熱する部分が誘導加熱部(16)となり、誘導加熱部(16)の周囲の発熱しない部分が非加熱部(17)となる。図1Aにおいて、一点鎖線で囲まれた円形部分が誘導加熱部(16)を示し、その周囲の部分が非加熱部(17)を示している。従って、シート接合板(11)の寸法を使用予定の高周波ホーンの有効領域よりも大きく形成することによって、非加熱部(17)を確保することができる。また、平板状のシート接合板であるから、簡単な工程で製作でき低コストで提供できる。
(シート接合板の第2実施形態)
図2Aおよび図2Bに、シート接合板の第2実施形態を含むシート接合部材を示す。
シート接合部材(20)は、シート接合板(21)と、このシート接合板(21)を躯体に固定するための固着具(12)とにより構成されている。
シート接合板(21)は、正方形の金属板からなる芯層(23)の中央円形部分が上面側に突出し、この円形突出部の中心に固着具(12)を挿通させるための貫通孔(25)が形成されている。そして、前記円形突出部の上面に合成樹脂製の表面層(24)が積層されることによって誘導加熱部(26)が形成されている。また、芯層(23)の突出していない残り部分が非加熱部(27)となされている。
(断熱防水構造の第1実施形態)
図3に、前記シート接合部材(10)を用いた屋根の断熱防水構造の第1実施形態を示す。
同図に示すように、この屋根構造を施工するには、まず建造物躯体としての屋根下地(1)上に断熱パネル(2)を敷設する。次に、断熱パネル(2)上における所要箇所に、水平方向に適宜間隔をおいて複数のシート接合板(11)を配置し、各シート接合板(11)の貫通孔(15)に、固着具としての固定釘(12)を挿通して、その固定釘(12)を断熱パネル(2)に貫通させて躯体(1)に打ち込む。これにより、シート接合板(11)が断熱パネル(2)上に配置された状態で固着具(12)を介して躯体(1)に固定される。続いて断熱パネル(2)上に、各シート接合板(11)を覆うようにして防水シート(3)を敷設する。
この状態において、防水シート(3)をシート接合板(11)に高周波による電磁誘導加熱を用いて溶着する。この溶着法では、防水シート(5)の上面側におけるシート接合板(11)の対応位置に、高周波ホーン(H)等の高周波発生装置を配置して高周波を発生させる。シート接合板(11)は、高周波ホーン(H)の有効領域においてのみ芯層(13)が加熱され、その熱により、シート接合板(11)の表面層(14)と防水シート(5)とが溶融されて互いに溶着一体化される。即ち、高周波電磁誘導加熱を行った結果として防水シート(5)が溶着接合された誘導加熱部(16)が形成され、その周囲が非加熱部(17)となる。
前記断熱パネル(2)のシート接合板(11)との接触領域において、シート接合板(11)の誘導加熱部(16)の直下部分(P1)では熱伝導を受けて加熱されるが、非加熱部(17)の直下部分(P2)では加熱されない。このため、断熱パネル(2)は、(P1)で溶融し変形したとしても(P2)では熱影響を受けず、あるいは殆ど熱影響を受けず健全な状態を維持しており、シート接合板(11)は(P2)で支持されて加熱前の位置に保持される。しかも、前記シート接合板(11)の位置が保持されることで、シート接合板(11)の沈み込みによるさらなる変形や陥没といった重度の熱変形が免れ、(P1)における断熱パネル(2)の熱影響を最小限にとどめることができる。従って、断熱パネル(2)とシート接合板(11)および固着具(12)との間に緩みが生じたりせず、防水シート(5)を安定状態に施工できる。
(断熱防水構造の第2実施形態)
図4に、前記シート接合部材(20)を用いた屋根の断熱防水構造の第2実施形態を示す。
本実施形態は、シート接合板(21)の形状のみが第1実施形態と相違し、他の施工材料および施工方法は共通する。共通事項については図3と同符号を用いるとともに説明を省略する。
図示された断熱防水構造の施工に際しては、前記シート接合板(21)の突出した誘導加熱部(26)上に高周波ホーン(H)(図示省略)を配置して高周波電磁誘導加熱を行い、防水シート(5)とシート接合板(21)の接合を行う。また、前記シート接合板(21)の誘導加熱部(26)が上面側に突出していることで断熱パネル(2)との間に空気層(28)が形成される。この空気層(28)の断熱効果により誘導加熱部(26)から直下部分(P1)への直接的な熱伝導を遮断し、(P1)における熱影響は平板状のシート接合板(11)よりも軽減され、熱変形の程度も軽減される。そして、非加熱部(27)の直下部分(P2)では、もとより熱影響は受けないかあるいは殆ど受けないから健全な状態が維持される。これらにより、前記シート接合板(21)は加熱前の位置に保持され、断熱パネル(2)とシート接合板(21)および固着具(12)との間に緩みを生じさせない。
また、誘導加熱部(26)が突出したシート接合板(21)を用いることにより、防水シート(5)上からでもシート接合板(21)の設置位置を認識できるため、高周波ホーン(H)の位置決めが容易になる。
本発明にかかるシート接合板(11)(21)は、平面寸法を高周波ホーン(H)の加熱有効面積よりも大きく設定し、誘導加熱部(16)(26)の周囲に非加熱部(17)(27)を設けることで、シート接合板(11)(21)と断熱パネル(2)との接触領域において、誘導加熱部(16)(26)からの熱伝導により加熱される部分(P1)の周囲に加熱されない部分(P2)を確保している。前記非加熱部(17)(27)の面積は、シート接合板(11)(21)に付加される押圧力に抗して断熱パネル(2)上でシート接合板(11)(21)を支持しうる面積が必要である。前記非加熱部(17)(27)の面積は、断熱パネル(2)の物性、シート接合板(11)(21)の断熱パネル(2)に対する押圧力、高周波電磁誘導加熱温度等に基づき、下記(S1)式を満足するように設定することによって、シート接合板を加熱前の位置に保持することができる。
A>F/f …… (S1)
A:非加熱部の面積(m2
f:断熱パネルの高周波電磁誘導加熱時のシート接合板温度における座屈強度(N/m2
F:シート接合板の押圧力(N)
また、シート接合板を安定状態に確実に保持するために、(S1)式において非加熱部の面積AはF/fの0.5倍以上に設定されていることが特に好ましい。
シート接合板(11)(21)の平面形状は、上記(S1)式を満足する限り、何ら限定されない。図1Aおよび図2Aに示した正方形の他、図5Aおよび図5Bに示す円形のシート接合板(31)および三角形のシート接合板(32)を例示でき、さらに正方形以外の矩形や多角形、楕円形とすることもできる。これら例示した形状の中では、製造時の型取り効率が良く材料にロスが出にくい矩形が好ましい。矩形のシート接合板は、取り代が発生する円形のものより材料コストの点で有利であり、製作作業も容易である。なお、図5Aおよび図5Bにおいて、破線で囲まれた領域(33)(34)は誘導加熱部を示し、これらの周囲の(35)(36)は非加熱部を示している。また、(37)は固着具(12)を挿通させる貫通孔である。
誘導加熱部の形状は高周波ホーン(H)の有効領域の形状で決定されるが、多くの場合は円形である。非加熱部は誘導加熱部の全周に途切れずに形成されている必要はなく、上記式(S1)を満足する面積が確保されていれば足りる。例えば図5に示す三角形のシート接合板(32)では三角形の非加熱部(36)に円形の誘導加熱部(34)が内接しているが、このように誘導加熱部(34)の輪郭の一部で非加熱部(36)が途切れ、非加熱部(36)が複数に分断されていても良い。
また、第2実施形態のシート接合板(21)において、誘導加熱部(26)は非加熱部(27)から僅かでも突出していれば空気層(28)を形成して断熱効果を得られるが、高周波電磁誘導加熱温度や断熱パネルの特性を勘案し、確実に断熱効果を奏するために突出高さは1.0〜3.0mmに設定することが好ましい。本発明は突出高さの上限を定めるものではないが、3.0mmであれば断熱パネル(2)への熱影響を十分を防止することができる。
前記シート接合板(11)(21)において、芯層(13)(23)は高周波電磁誘導加熱が可能な金属であれば限定されないが、鋼板を推奨できる。また、表面層(14)(24)は、防水シート(3)を構成する合成樹脂に対し相溶性を有するもの、具体的には同種の合成樹脂により構成するか、あるいはホットメルト系接着剤により構成するのが好ましい。例えば防水シート(3)としてポリ塩化ビニル樹脂系の樹脂組成物からなるものを使用する場合には、表面層(14)(24)をポリ塩化ビニル樹脂により構成するのが好ましい。ホットメルト系接着剤としてはポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、EVA系樹脂により構成されるのが好ましい。この場合、防水シート(3)のシート接合板(11)(21)に対する接合強度を十分に確保することができる。
前記表面層は誘導加熱部にのみ形成されていれば足りるが、誘導加熱部よりも広い範囲に形成しても良い。例えば、上述した第1実施形態のシート接合板(11)においては、芯層(13)の全面に表面層(14)が形成されている。これにより、施工時に高周波ホーン(H)の位置が多少ずれた場合にも所定の接合面積を確保することができる。また、第2のシート接合板(21)において、表面層(24)が積層された突出部分全域が誘導加熱部(26)、即ち防水シート(5)との溶着域である必要はない。突出部分を高周波ホーン(H)の有効領域よりも大きく設定するとともに、突出部分の全域に表面層(24)を積層しておけば、高周波ホーン(H)の位置ずれに対処することができる。
前記シート接合板(11)(21)を躯体(1)に固定する方法は限定されない。上記実施形態においては、シート接合板(11)(21)に貫通孔(15)(25)を形成し、その貫通孔(15)(25)に固定釘、開脚釘、カールプラグ等の固着具(12)を挿通し、断熱パネル(1)に貫通させて躯体(1)に固定する方法を例示している。またシート接合板と固着具とが一体化されていても良い。
本発明の断熱防水構造においては、上述したシート接合板を用いるとともに断熱パネル上に断熱遮縁シートを敷設することによって、断熱パネルへの熱影響をさらに軽減し、かつ断熱防水構造の防火性を向上させることができる。
(断熱防水構造の第3実施形態)
図6に、断熱遮炎シートを用いた断熱防水構造を示す。
本実施形態は、図7Aに示す断熱遮炎シート(40)を追加したことのみが第2実施形態と相違し、他の施工材料および施工方法は共通する。共通事項については図4と同符号を用いるとともに説明を省略する。
同図に示すように、まず建造物躯体としての屋根下地(1)上に断熱パネル(2)を敷設し、続いて断熱パネル(2)上に、ガラス繊維不織布からなる断熱遮炎層(41)によって構成された断熱遮炎シート(40)を敷設する。次に、断熱遮炎シート(40)上における所要箇所に、水平方向に適宜間隔をおいて複数のシート接合板(21)を配置し、貫通孔(25)に固着具(12)を挿通して、断熱遮炎シート(40)および断熱パネル(2)に貫通させて躯体(1)に打ち込む。これにより、シート接合板(21)が断熱遮炎シート(40)上に配置された状態で固着具(22)を介して躯体(1)に固定される。
続いて断熱遮炎シート(20)上に、各シート接合板(21)を覆うようにして防水シート(5)を敷設する。この状態において、高周波電磁誘導加熱により防水シート(5)をシート接合板(21)に溶着する。
この溶着時においては、シート接合板(21)の誘導加熱部(26)で発生する熱の伝導が空気層(28)に妨げられる上に前記断熱遮炎シート(40)によってなお一層妨げられるため、断熱パネル(2)における直下部分(P1)に熱の悪影響が及ぶことはなく、断熱パネル(2)の熱変形を確実に防止できる。また、もとより非加熱部(27)では直下部分(P2)への熱影響はないから、シート接合板(21)は加熱前の位置に保持され、シート接合板(21)および固着具(12)が断熱パネル(2)に対し緩みが生じる等の不具合を確実に防止できて、防水シート(5)を安定状態に敷設することができる。
またこの断熱防水構造において、断熱遮炎シート(40)は不燃性であるため、飛び火や延焼を防止することができ、例えば防水シート(5)上に火種が存在した際に、断熱遮炎シート(40)によって火種を確実に受け止めることができ、火種が断熱パネル(2)に落下するのを防止できるとともに、断熱遮炎シート(40)の遮炎効果によって、火種から火炎が下側に広がるのを防止することができ、優れた防火性を有するものである。
特に本実施形態においては、防水シート(5)として、自己消火性を有するポリ塩化ビニル樹脂系の樹脂組成物からなるものを採用することによって、防水シート敷設方向への延焼や飛び火を防止でき、上記した断熱遮炎シート(40)による延焼防止効果も相まって、万全な防火性を得ることができる。
ここで、断熱遮炎シート(40)は、軽量かつ柔軟なガラス繊維不織布により構成されているため、断熱遮断シート(40)の搬入作業時や持ち運び作業時の労力が軽減されるとともに、割れたり破損するようなこともなく、取扱を簡単に行うことができるので、良好な施工作業性を得ることができる。前記断熱遮炎層(41)としてのガラス繊維不織布の目付が140〜300g/m2のものを使用する必要があり、好ましくは下限値が150g/m2以上のもの、上限値が250g/m2以下のものを使用するのが良い。すなわちガラス繊維不織布の目付量が少な過ぎる場合には、断熱遮炎シートの強度が低下するとともに、断熱性や遮炎性も低下するため、誘導加熱による溶着時に、断熱パネルに熱による悪影響が生じたり、延焼や飛び火を確実にくい止めることができず、防火性が低下する恐れがあり、好ましくない。逆に目付量が多過ぎる場合には、断熱遮炎シートの重量が増加するため、持ち運びや取扱が困難になり、施工作業面で不利であるとともに、コストの増大も来す恐れがある。
さらに断熱遮炎層(41)としてのガラス繊維不織布は、その厚さを0.8〜2.5mm、好ましくは下限値を1.0mm以上、上限値を1.8mm以下に設定するのが良い。この厚さが、薄過ぎる場合には、目付が少なくなり過ぎて、上記と同様、断熱性および遮炎性が低下するとともに、厚過ぎる場合には、目付が多くなり過ぎて、上記と同様、施工作業面やコストの面で不利になる恐れがある。
また本発明の断熱遮炎シートは、図7Bに示すように、その断熱遮炎層(41)の少なくとも片面に、抗張性および柔軟性を有する補強シートからなる補強層(42)を積層するのが好ましい。すなわちこの構成において、断熱遮炎シート(40)は、補強層(42)によって、取扱時に、引き伸ばさされたり、引きちぎられたりするのを有効に防止することができ、より一層施工作業性を向上させることができる。
補強シートとして具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン製等のテープヤーンを縦横に連続的に積層し格子状にしたものを好適に使用することができる。このような補強シートとして、「ソフ」と称されるシートがある。さらに補強シートとしては、施工性を考慮した場合、厚さが50〜100μmのものを使用するのが良く、経済性を考慮した場合、ポリエチレンやポリプロピレン製のものを好適に使用することができる。
また、前記断熱遮炎シート(40)は本発明の断熱防水構造において使用される他、飛び火対策用遮炎シートや断熱シートとして他のシート防水構造にも広く使用できる。
なお、本発明の防水断熱構造において、断熱材(2)、防水シート(5)は周知の材料を適宜用いることができる。
断熱材(21)としては、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン等の樹脂発泡体からなるものを好適に用いることができ、中でも特にポリスチレン発泡体を用いるのが良い。
防水シートは、例えばポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系の樹脂組成物、ポリ塩化ビニル樹脂系の軟質合成樹脂組成物、合成ゴムによって構成される。これら中でも、自己消火性を有するポリ塩化ビニル樹脂系の樹脂組成物により構成されるものが好ましい。防水シートとして、ポリ塩化ビニル樹脂系のものを使用した場合には、ISO/CD12468に準拠した飛び火試験にも合格することができる。すなわち同飛び火試験において、防水シート上のクリブ(火種)に着火した際に、防水シート(ポリ塩化ビニル樹脂)の自己消火性により、シート敷設方向への延焼や飛び火を防止できる上さらに、断熱遮炎シートによってクリブを受け止めることができ、クリブの断熱パネルへの落下を防止できるとともに、断熱遮炎シートの遮炎効果によって、クリブの火炎が下側(断熱パネル側)に延焼するのを防止することができる。このようにISO/CD12468に準拠した飛び火試験にも合格することができ、実用的に優れた防火性を得ることができる。
なお、防水シートとしては、単独の材質からなる単独シートの他に、複数の合成樹脂等が積層形成された複合シートや、中間や表面に補強層が設けられたシートも用いることができる。
また、前記断熱防水構造を施工する建造物躯体の種類や形状も限定されない。屋根、ベランダ、バルコニー等に適用することができ、中でも特に屋根に好適に適用することができる。ここで、屋根の躯体(屋根下地)は、例えば鉄筋コンクリート(RC)、軽量発泡コンクリート(ALC)、プレキャストコンクリート(PC)等のコンクリート板により構成されるものが代表的であるが、その材質は特に限定されるものではない。また本発明が適用される屋根は、勾配を有する傾斜屋根形状であっても、勾配のない水平な陸屋根形状であっても、アーチ状の屋根形状であっても良く、その形状は特に限定されるものではない。
以下の各実施例、比較例、参照例の断熱防水構造を形成した。これらの断熱防水構造において、下記の施工材料および施工方法が共通する。
即ち、防水シートとしてポリ塩化ビニル樹脂系の樹脂組成物よりなるシートを用いた。シート接合板の作製材料として、いずれも厚さ1.0mmの鋼板を芯層とし、この芯層の所要部分にポリ塩化ビニル樹脂からなる厚さ0.2mmの表面層を積層したもの用いた。前記シート接合板を固定するための固着具として固定釘を用いた。また、防水シートとシート接合板の溶着は、直径62mmの円形を有効領域とする高周波ホーン(H)を用いる高周波電磁誘導加熱によって行った。この高周波電磁誘導加熱においてシート接合板は230℃に加熱される。また、シート接合板の押圧力は500Nである。
〈実施例1〉
図1Aおよび図1Bの平板状のシート接合板(11)を用い、図3の第1実施形態に対応する断熱防水構造を形成した。使用したシート接合板(11)は、一辺が75mmの正方形の鋼板を芯層(13)とし、この芯層(13)の上面全域に表面層(14)が積層され、中心に貫通孔(15)が穿設されたものである。
そして、コンクリートからなる躯体(1)上に発泡ポリスチレンからなる厚さ20mmの断熱パネル(2)を敷設した。続いて断熱パネル(2)上に前記シート接合板(11)を配置し、シート接合板(11)の中央孔(15)に固定釘(12)を挿通して、その固定釘(12)を断熱パネル(2)に貫通させて躯体(1)に固定した。さらに断熱パネル(2)上にシート接合板(11)を覆うようにして防水シート(5)を敷設した。その状態で、高周波ホーン(H)を、シート接合板(11)の中心に一致させるように防水シート(5)上に配置し、高周波電磁誘導加熱により防水シート(5)とシート接合板(11)とを溶着接合させた。この加熱により、シート接合板(11)の前記高周波ホーン(H)の有効領域に対応する領域において、表面層(14)および防水シート(5)が溶融して接合された。接合部分は誘導加熱部(16)に対応し、高周波ホーン(H)の有効領域から外れた部分は加熱がなされず、接合されない非加熱部(17)に対応する。こうして、実施例1の断熱防水構造を得た。
〈実施例2〉
図2Aおよび図2Bの突出部を有するシート接合板(21)を用い、図4の第2実施形態に対応する断熱防水構造を形成した。
使用したシート接合板(21)は、鋼板の中心円形部分を上面側に突出させたものを芯層(23)とし、突出部の上面に表面層(24)が積層され、中心に貫通孔(25)が穿設されたものである。また、シート接合板(21)は平面視において一辺が75mmの正方形であり、円形突出部分は直径が62mm、突出高さが2.0mmとなされている。
前記シート接合板(21)を用いて実施例1と同じく断熱パネル(2)を躯体上に固定し、断熱パネル(2)上にシート接合板(21)を覆うようにして防水シート(5)を敷設し、シート接合板(21)の誘導加熱部(26)において防水シート(5)を溶着した。こうして、実施例2の断熱防水構造を得た。
〈実施例3〉
図2Aおよび図2Bの突出部を有するシート接合板(21)を用いるとともに、断熱遮炎シート(40)を付加して、図6の第3実施形態に対応する断熱防水構造を形成した。
前記断熱遮炎シート(40)は、厚さ1.2mm、目付150g/m2のガラス繊維不織布からなる断熱遮炎層(41)の単層構造のもの(図7A参照)を用いた。そして、前記断熱遮炎シート(40)を断熱パネル(2)上に敷設し、これらをシート接合板(21)を用いて躯体(1)上に固定し、さらに防水シート(5)を敷設してシート接合板(21)の誘導加熱部(26)において防水シート(5)を溶着した。こうして、実施例3の断熱防水構造を得た。
〈実施例4〉
前記断熱遮炎シート(40)として、厚さ1.2mm、目付150g/m2のガラス繊維不織布からなる断熱遮炎層(41)に補強層(42)が積層されたももの(図7B参照)を用いて、実施例3と同様に断熱防水構造を形成した。なお、本実施例で用いられた断熱遮炎シート(40)は、遮炎断熱層(41)の上面に、補強層(42)としての20μm厚のポリエチレンフィルムとポリエチレン製の粗布(積水化学工業社製、品番GX55、厚さ85μm)とが、この順に積層され、これらが熱ラミネートされて形成されている。
〈比較例1〉
実施例1のシート接合板(11)に代えて、高周波ホーン(H)の有効領域に対応する直径62mmの円形鋼板の上面に表面層が積層された平板状のシート接合板(51)を用いた。そして、防水シート(5)をシート接合板(51)の全面で溶着し、図8に示す断熱防水構造を得た。
〈比較例2〉
比較例1と同じシート接合板(51)を用いた。一方、厚さ2.0mmのボール紙からなりシート接合板(51)と同寸法に切り抜いた円形の断熱材を多数用意した。そして、図9に示すように、断熱パネル(2)上に切り抜いた円形断熱材(52)とシート接合板(51)とを重ねて配置し、固定釘(12)を打ち込んで躯体(1)上に固定した。その後、比較例1と同様に防水シート(5)をシート接合板の全面で溶着して断熱防水構造を得た。
〈比較例3〉
比較例2で用いたシート接合板(51)と円形断熱材(52)とを予め接合して積層一体化させた。そして、これらの積層品を断熱パネル(2)上に配置して躯体(1)に固定した。その後、比較例1と同様に防水シート(5)をシート接合板(51)の全面で溶着して断熱防水構造を得た。
〈参照例1〉
図10に示すように、断熱パネル(2)上に厚さ5.0mmのケイ酸カルシウム板(53)を敷設し、比較例1と同じシート接合板(51)を用いて断熱防水構造を形成した。
〈参照例2〉
断熱パネルとして厚さ50mmのフェノール樹脂発泡成形体からなるものを用いた以外は、比較例1と同様に断熱防水構造を形成した。
表1に、各例の断熱防水構造の概要を再掲する。
Figure 2005146774
上記実施例、比較例、参照例の断熱防水構造に関し、以下の評価試験を行った。各評価結果を表1に併せて示す。
〈誘導加熱溶着による熱影響〉
誘導加熱による溶着接合を行った後、シート接合板の下側における断熱パネルの状態を目視により観察し、熱変形の有無を判定した。
〈飛び火試験(防火性)〉
ISO/CD12468に準拠した飛び火試験を行い、その合否を判定した。
〈シート接合部材の固着具に対する腐蝕の影響〉
断熱パネルの成分を調査分析し、シート接合部材の固着具(固定釘)等を腐蝕させる可能性のある未反応の石炭酸等の腐蝕性成分を含んでいたものは、悪影響が「有り」、含んでいなかったものは悪影響が「無し」と評価した。
〈施工作業性〉
断熱パネルに対し、効率良く敷設できたものは「良好」、嵩張る、破れる、重い、手間がかかる等の理由により、効率良く敷設できなかったものは「不良」と評価した。
〈経済性〉
熱による悪影響を防止または軽減を実現するために要するコスト、あるいは飛び火試験に合格させるために要するコストを相対的に評価した。
表1に示す各評価試験の結果から明らかなように、本発明に関連した実施例1〜4の断熱防水構造では、高周波電磁誘導加熱による断熱パネル(2)への熱の悪影響を防止でき、かつ施工作業性にも優れたものであった。特に、突出状の誘導加熱部(26)を有するシート接合板(21)を用いた実施例2,3、4は、防水シート(5)上からも誘導加熱部(26)の位置を認識できるため、高周波ホーン(H)の位置決めが容易であった。
また、高周波電磁誘導加熱によるシート接合板(11)(21)の温度(加熱部230℃)における非加熱部の温度は約60℃であったが、60℃における断熱パネル(2)(発泡ポリスチレン)の座屈強度が75000N/m2であり、シート接合板(11)(21)の押圧力が500Nであることから、実施例1〜4に用いた2種類のシート接合板(11)(21)における非加熱部(16)(17)の面積はいずれも(S1)式を満たすものであることを確認した。
さらに、断熱遮炎シート(40)を付加した実施例3、4は、飛び火試験に合格し、優れた防火性を有するものであり、しかも断熱遮炎シート(40)の敷設作業性は参照例1よりも容易であった。特に、補強層(42)が積層された断熱遮炎シート(40)を用いた実施例4は作業性が良好であった。
一方、比較例1は高周波電磁誘導加熱によって断熱パネル(2)が熱変形し、シート接合板(51)および固着具(12)に緩みが生じた。比較例2,3は断熱パネル(2)への熱影響を防止しうるものであったが、施工時に断熱材(52)を付加する作業や、予めシート接合板(51)に積層する作業に手間のかかるものであった。また、参照例1は高周電磁波誘導加熱による熱影響を防止でき、かつ飛び火試験に合格する断熱防水構造であったが、実施例3、4よりも施工作業性、経済性に劣るものであった。
本発明にかかるシート接合板の第1実施形態を示す全体斜視図である。 図1Aにおける1B−1B線断面図である。 本発明にかかるシート接合板の第2実施形態を示す全体斜視図である。 図2Aにおける2B−2B線断面図である。 本発明にかかる断熱防水構造の第1実施形態が適用された屋根構造を示す断面図である。 本発明にかかる断熱防水構造の第2実施形態が適用された屋根構造を示す断面図である。 本発明にかかるシート接合板の他の例を示す平面図である。 本発明にかかるシート接合板のさらに他の例を示す平面図である。 本発明にかかる断熱防水構造の第3実施形態が適用された屋根構造を示す断面図である。 本発明にかかる断熱遮炎シートの一例を示す断面図である。 本発明にかかる断熱遮炎シートの他の例を示す断面図である。 従来の断熱防水構造が適用された比較例1の屋根構造を示す断面図である。 従来の断熱防水構造が適用された比較例2の屋根構造を示す断面図である。 従来の断熱防水構造が適用された参照例1の屋根構造を示す断面図である。
符号の説明
1…屋根下地(建造物躯体)
2…断熱パネル
5…防水シート
11,21,31,32…シート接合板
16,26,33,34…誘導加熱部
17,27,35,36…非加熱部
40…断熱遮炎シート
41…ガラス繊維不織布(断熱遮炎層)
42…補強シート(補強層)

Claims (12)

  1. 金属製芯層の表面に合成樹脂製表面層が積層され、
    躯体上に防水シートを敷設するに際して、躯体に固定され、高周波電磁誘導加熱により前記表面層に防水シートを溶着接合させるシート接合板であって、
    高周波電磁誘導加熱によって前記防水シートが溶着接合される誘導加熱部と、この誘導加熱部の周囲に形成され、高周波電磁誘導加熱されない非加熱部とを有することを特徴とするシート接合板。
  2. 前記誘導加熱部が非加熱部よりも上面側に突出して形成されている請求項1に記載のシート接合板。
  3. 前記誘導加熱部の突出高さは1.0〜3.0mmである請求項2に記載のシート接合板
  4. 平板状に形成され、前記誘導加熱部と非加熱部とが高周波電磁誘導加熱用の高周波ホーンの配置位置によって区分される請求項1に記載のシート接合板。
  5. 前記シート接合板は平面視において矩形である請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート接合板。
  6. 躯体上に敷設される断熱パネルと、
    前記断熱パネル上に配置された状態で躯体に固定され、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート接合板と、
    前記シート接合板を覆うように配置される合成樹脂製の防水シートとを備え、
    高周波電磁誘導加熱により、前記防水シートが前記シート接合板の誘導加熱部において表面層と溶着接合される一方、前記非加熱部において接合されないことを特徴とする断熱防水構造。
  7. 躯体上に敷設される断熱パネルと、
    前記断熱パネル上に敷設され、目付が140〜300g/m2のガラス繊維不織布からなる断熱遮炎層を有する断熱遮炎シートと、
    前記断熱遮炎シート上に配置された状態で躯体に固定され、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート接合板と、
    前記シート接合板を覆うように配置される合成樹脂製の防水シートとを備え、
    高周波電磁誘導加熱により、前記防水シートが前記シート接合板の誘導加熱部において表面層と溶着接合される一方、前記非加熱部において接合されないことを特徴とする断熱防水構造。
  8. 前記防水シートが、ポリ塩化ビニル樹脂系の樹脂組成物により構成されてなる請求項6または7に記載の断熱防水構造。
  9. 断熱パネルを躯体上に敷設する工程と、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート接合板を、前記断熱パネル上に配置した状態で躯体に固定する工程と、
    合成樹脂製の防水シートを前記シート接合板を覆うように配置する工程と、
    前記防水シートを介して前記シート接合板の誘導加熱部の対応部分に高周波ホーンを配置し、前記誘導加熱部の芯層を高周波電磁誘導加熱して前記防水シートを前記シート接合板材の表面層に溶着接合する工程とを含むことを特徴とする断熱防水工法。
  10. 断熱パネルを躯体上に敷設する工程と、
    目付が140〜300g/m2のガラス繊維不織布からなる断熱遮炎層を有する断熱遮炎シートを、前記断熱パネル上に敷設する工程と、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート接合板を、前記断熱遮炎シート上に配置した状態で躯体に固定する工程と、
    合成樹脂製の防水シートを前記シート接合板を覆うように配置する工程と、
    前記防水シートを介して前記シート接合板の誘導加熱部の対応部分に高周波ホーンを配置し、前記誘導加熱部の芯層を高周波電磁誘導加熱して前記防水シートを前記シート接合板の表面層に溶着接合する工程とを含むことを特徴とする断熱防水工法。
  11. 躯体上に敷設された断熱パネル上に、合成樹脂製の防水シートを敷設するに際して、前記断熱パネルと前記防水シートとの間に敷設される断熱遮炎シートであって、
    目付が140〜300g/m2、厚さが0.8〜2.5mmのガラス繊維不織布からなる断熱遮炎層を備える断熱遮炎シート。
  12. 前記断熱遮炎層の少なくとも片面に積層され、かつ抗張性および柔軟性を有する補強シートからなる補強層をさらに備える請求項11に記載の断熱遮炎シート。
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