JP6043088B2 - 鉄骨の耐火被覆構造 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄骨の耐火被覆構造に関する。
戸建住宅、集合住宅、高層ビル、各種商業施設等の建築物は複数の建築材料から形成されているが、建築物に採用される代表的な建築材料の一つに鉄骨がある。
この鉄骨は火災等の熱にさらされた場合、鉄骨の主成分である鉄の融点に到達しない温度であっても鉄骨の強度が大幅に減少する。
鉄骨が火災等の熱にさらされると、鉄骨が融ける1500℃以上の温度に到達する前に鉄骨が座屈等を起こし、一定形状を保つことができなくなる。この結果、建築物が倒壊等する場合もある。
火災等の熱により建築物が簡単に倒壊等すると避難活動、消防活動等の妨げとなるため、建築材料に使用される鉄骨に対して適切な耐火被覆を行うことが求められている。
鉄骨に求められる具体的な基準としては、国土交通省告示第2999号、JIS A 1304等による耐火性能基準があり、鉄骨の耐火被覆構造はこの基準を満たすことが要求される。
上記の基準に対応する先行技術の一つとして、不燃材と熱膨張性耐火シートとを積層した耐火ボードを複数の鉄骨全体の外周に沿って配置し、複数の鉄骨を耐火ボードにより被覆する構造が知られている(特許文献1)。
この鉄骨の耐火被覆構造であれば、熱膨張性耐火シートを積層した薄い耐火ボードにより複数の鉄骨を被覆することができることから、火災等の熱から複数の鉄骨を守ることができるとされる。
特開2008−121376号公報
上述した従来の鉄骨の耐火被覆構造は耐火性に優れるものの、本発明者が検討したところ新たな問題があることが判明した。
図11は従来の鉄骨の耐火被覆構造が持つ問題を説明するための模式断面図である。
図11は建築物の区画を形成する中空壁42の内部に設置された鉄骨の耐火被覆構造を地面と平行な面により切断した断面図を模式的に表わしたものである。
鉄骨200に対して熱膨張性耐火シートを積層した耐火ボード210により前記鉄骨200の全ての外周を被覆することにより、図11に示される従来の鉄骨の耐火被覆構造220が得られる。
前記鉄骨200の外周には熱膨張性耐火シートを積層した耐火ボード210が設置されているため、中空壁42の内部に前記鉄骨の耐火被覆構造220を格納する構造では、前記中空壁42の内部が狭い場合には中空壁42に突出部44,44を形成する必要がある。
住宅、オフィス等の部屋の壁に前記突出部44,44が形成されている場合には、部屋の壁に沿って家具、棚、キャビネット等を設置することが制限される問題がある。
図12は従来の鉄骨の耐火被覆構造が持つ問題を説明するための模式断面図である。
図11の場合は前記鉄骨の耐火被覆構造220が中空壁42の内部に設置されていた。これに対し、図12の場合は中空壁45に沿って前記鉄骨の耐火被覆構造220が設置されている。
図12に示す通り、前記鉄骨の耐火被覆構造220を設置するためには区画である中空壁45の一方の面に開口部46を設ける必要がある。
しかし区画である中空壁45に開口部46を設けた場合、火災等の炎、煙等を遮断する機能を果たすはずの区画である中空壁45の機能が損なわれ、前記開口部46から火災等の炎、煙等が中空壁45の内部に浸入する。
このため前記鉄骨の耐火被覆構造220により、鉄骨200の耐火性は高められているものの、区画である中空壁45に開口部46を設けると前記鉄骨の耐火被覆構造220が設置される建築物全体の耐火性が低くなる問題もある。
図13は、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式断面図である。
図13は建築物の区画を形成する外壁としての壁5a,5bに沿って設置された鉄骨1を地面に対して平行である面により切断した断面図を模式的に表わしたものである。
図13では鉄骨1が柱として使用されている。また外壁5a,5bが前記鉄骨1の近傍に設置されている。
前記鉄骨1と外壁としての壁5a,5bとの隙間が狭い場合には、先に説明した耐熱ボードを設置する作業が簡単ではなく、前記鉄骨1に対して有効な耐火被覆を行うことが困難となる。
図14は、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式断面図である。図14は建築物の区画を形成する中空壁としての壁5a〜5dの角に設置された鉄骨1を地面に対して平行である面により切断した断面図を模式的に表わしたものである。
図14の場合でも鉄骨1が柱として使用されている。前記中空壁としての壁5a〜5dは建築物内部に設置されて間仕切りとしての機能を果たすものである。
図14の場合では、前記鉄骨1と前記壁5a〜5dとの距離がさらに狭くなり、前記鉄骨1に対して有効な耐火被覆を行うことは難しい。
上記の図13および図14の様に、前記鉄骨1が区画の角に近接して設置されている場合等には、区画に対して釘打ち等の作業をする作業空間が確保されていないため、使用する耐火ボードを薄くしたとしても前記鉄骨1に対して耐火被覆を行うことはできない。
さらに建築物等に使用されている前記鉄骨1の外面は実際には一様であるとは限らず、例えば複数の鉄骨材を溶接により連結した際に生じる溶接痕による突起部、建築作業に必要な梯子等の昇降機器を設置するために溶接された金属ナット等が前記鉄骨の外面に存在する場合がある。
前記鉄骨1の外面に前記突起部、金属ナット等が存在すると、前記鉄骨1の周囲に耐火ボードを設置することが困難となる問題も生じる。
また鉄骨の耐火被覆構造を施工する際には、区画、前記鉄骨1等に対して耐火ボード等を設置する作業が要求される。
前記区画、前記鉄骨1等に対して耐火ボード等を設置する際には、例えば電動ドリル等の専用工具を用いてあらかじめ設置孔を前記区画、前記鉄骨1等に設置し、前記設置孔にボルト等を埋設する作業等が必要となる。また前記鉄骨1等に対して耐火ボード等を設置する際には、例えば溶接ピン、釘等を用いて耐火ボード等を固定する作業も必要となる。
上記の作業には、電動ドリル、釘打ち機、溶接機、電動ドライバー等の専用工具が必要となる。さらにこれらの専用工具を駆動させるためには施工現場に電源、圧縮空気等を供給するための作業環境を準備する必要もある。
前記専用工具を準備するまでの間や前記専用工具を駆動させるための作業環境等が整わない間は鉄骨の耐火被覆構造を施工する作業に着手できないため、前記専用工具の使用が求められる従来の鉄骨の耐火被覆構造は施工の効率が悪い問題があった。
さらに問題はそれだけではなく、前記専用工具等を用いる作業が要求される場合、作業者の経験、熟練度等に依存して最終的に得られる鉄骨の耐火被覆構造の完成度が左右される問題もあった。
しかも前記鉄骨1が区画に近接して設置されている場合、特に先に説明した前記鉄骨1が区画の角に近接して設置されている等の場合には、設計通りに鉄骨の耐火被覆構造が施工されているのか、あるいは施工された鉄骨の耐火被覆構造に欠陥があるのかを判定することが非常に難しい問題もある。
本発明の目的は、区画の近傍に鉄骨が設置されている場合等であっても簡単に施工することができ、鉄骨および区画に対する施工のための専用工具を必要とせず、作業者の熟練度に依存することなく簡単に施工することができ、設計通り施工されているかの検証が簡単であり、火災等の熱にさらされる前は鉄骨の周囲に薄く設置することができ、鉄骨が火災等の熱にさらされた場合には十分な厚みの膨張残渣を形成することのできる鉄骨の耐火被覆構造を提供することにある。
上記課題を解決すべく本発明者が鋭意検討した結果、鉄骨と、前記鉄骨の長手方向の外周を覆う熱膨張性耐火シートとを備え、前記熱膨張性耐火シートの余剰部が重ね合わされて、仮止部と結合部とにより固定された鉄骨の耐火被覆構造が、本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
[1]鉄骨と、前記鉄骨の外周を覆う熱膨張性耐火シートとを備え、
前記熱膨張性耐火シートが、前記鉄骨の外周よりも長い余剰部を有し、
前記熱膨張性耐火シートの余剰部が、重ね合わされて仮止手段により形成された仮止部と結合手段により形成された結合部とにより固定されることにより、前記熱膨張性耐火シートが筒形状を形成し、
前記熱膨張性耐火シートの余剰部に形成された結合部が、前記熱膨張性耐火シートの余剰部に形成された仮止部よりも、前記熱膨張性耐火シートの余剰部の端部側に設置され、
前記熱膨張性耐火シートの仮止部により形成された前記熱膨張性耐火シートの筒形状の内周の長さが、前記鉄骨の長手方向に垂直な面による前記鉄骨の断面を基準として、前記鉄骨の外周の長さに略一致することを特徴とする、鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
また本発明の一つは、
[2]前記熱膨張性耐火シートが、熱膨張性樹脂組成物層および不燃材層を少なくとも備え、
前記不燃材層の少なくとも一つが、前記熱膨張性耐火シートの最外面に配置された、上記[1]に記載の鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
また本発明の一つは、
[3]前記熱膨張性耐火シートの余剰部が、粘着テープにより前記熱膨張性耐火シートの外面に貼着されている、上記[1]または[2]に記載の鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
また本発明の一つは、
[4]前記熱膨張性耐火シートが、膨張する温度以上に加熱された場合に、前記仮止手段は開放される一方、前記結合手段は開放されずに維持される結果、前記熱膨張性耐火シートが、前記熱膨張性耐火シートの余剰部に形成された結合部により新たな筒形状を形成し、
前記新たな筒形状の内部が、前記熱膨張性耐火シートから形成される膨張残渣により閉塞される、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
また本発明の一つは、
[5]鉄骨の一部または全部が、不燃材および可燃材の少なくとも一方を備え、
前記熱膨張性耐火シートが、前記不燃材および可燃材の少なくとも一方を備える鉄骨を覆い、
前記熱膨張性耐火シートの仮止部により形成された前記熱膨張性耐火シートの筒形状の内周の長さが、前記鉄骨の長手方向に垂直な面による前記鉄骨の断面を基準として、前記不燃材および可燃材の少なくとも一方を備える鉄骨の外周の長さに略一致することを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
また本発明の一つは、
[6]前記不燃材が、無機材からなり、
前記可燃材が、紙材、天然樹脂および合成樹脂かなる群より選ばれる少なくとも一つからなる、上記[5]に記載の鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
また本発明の一つは、
[7]前記不燃材および可燃材の少なくとも一方が、板状体である、上記[5]または[6]に記載の鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
また本発明の一つは、
[8]前記不燃材が、無機繊維板状体であり、前記可燃材が、発泡合成樹脂板状体である、上記[5]〜[7]のいずれかに記載の鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
また本発明の一つは、
[9]前記仮止手段および結合手段が、それぞれステープルからなり、
前記ステープルが、線材からなる本体部と、前記線材の両端部を同方向に略垂直に折り曲げてなる固定部とを有し、
前記ステープルの固定部が、前記熱膨張性耐火シートの余剰部を貫通し、
前記熱膨張性耐火シートの余剰部を貫通した前記ステープルの固定部の先端部が、折り曲げられている、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
また本発明の一つは、
[10]前記熱膨張性耐火シートの余剰部に設置された前記ステープルからなる結合手段数が、前記鉄骨の長手方向を基準として、前記熱膨張性耐火シートの余剰部に設置された前記ステープルからなる仮止手段数よりも多い、上記[9]に記載の鉄骨の耐火被覆構造を提供するものである。
本発明の鉄骨の耐火被覆構造は、前記熱膨張性耐火シートにより前記鉄骨の外周を覆い、前記熱膨張性耐火シートの余剰部を重ね合わせて、仮止部と結合部とを形成することにより得られる。
このため前記鉄骨と区画等とが近接していて、前記鉄骨の周囲に施工作業のための場所が十分ない場合でも簡単に本発明の鉄骨の耐火被覆構造を施工することができる。
また前記熱膨張性耐火シートの余剰部同士を固定することにより本発明の鉄骨の耐火被覆構造が得られるから、前記熱膨張性耐火シートを前記鉄骨、区画等に固定するための専用工具等、前記専用工具等を駆動させる動力源等を準備する必要がなく、熟練作業者でなくても簡単に本発明の鉄骨の耐火被覆構造を施工することができるから簡単に本発明の鉄骨の耐火被覆構造を施工することができる。
さらに前記鉄骨の外面に前記突起部等が存在した場合であっても前記熱膨張性耐火シートにより前記鉄骨の外周を覆うことにより本発明の鉄骨の耐火被覆構造が得られるから、本発明の鉄骨の耐火被覆構造は簡単に施工することができる。
また本発明の鉄骨の耐火被覆構造が確実に施工されているかどうかは、前記熱膨張性耐火シートの余剰部に形成されている仮止部と結合部とを、前記熱膨張性耐火シートの余剰部の表と裏とを肉眼により観察することにより簡単に確認することができる。この通り、本発明の鉄骨の耐火被覆構造はその構造に欠陥があるかどうかを簡単に調べることができることから信頼性に優れる。
本発明の鉄骨の耐火被覆構造は、体積を小さくする必要のない前記鉄骨の外面方向については不燃材および可燃材の少なくとも一方を設置することもできるから、前記鉄骨の特定方向に対する耐火性を高めることもできる。
また前記熱膨張性耐火シートの仮止部により形成された前記熱膨張性耐火シートの筒形状の内周の長さが、前記鉄骨の長手方向に垂直な面による前記鉄骨の断面を基準として、前記鉄骨の外周の長さに略一致している。
このため前記熱膨張性耐火シートには弛みが存在せず、本発明の鉄骨の耐火被覆構造の体積を最小限に抑えることができる。これにより前記鉄骨周囲に設置される配管類、配線類等の他の建築部材との干渉により生じる問題を回避することができる。
また本発明の鉄骨の耐火被覆構造が火災等の熱にさらされた場合には、本発明の鉄骨の耐火被覆構造に含まれる熱膨張性耐火シートが膨張する。この際、前記熱膨張性耐火シートの余剰部に形成された前記仮止手段が開放される一方、前記結合手段は開放されずに維持される。
この結果、本発明の鉄骨の耐火被覆構造は加熱される前は、熱膨張性耐火シートが鉄骨の外周に全体の体積が小さくなる様に設置されているが、本発明の鉄骨の耐火被覆構造が加熱された後は、前記熱膨張性耐火シートが前記熱膨張性耐火シートの余剰部に形成された結合部により新たな筒形状が形成され、熱膨張性耐火シートが膨張することのできる空間が形成される。
この空間内部を熱膨張性耐火シートにより生じた膨張残渣が閉塞する。十分な厚みの膨張残渣が形成されることにより前記鉄骨に対して火災等の熱が伝わることを遅延することができることから、本発明の鉄骨の耐火被覆構造は耐火性に優れる。
図1は、本発明に使用する鉄骨と熱膨張性耐火シートとの関係を説明するための模式断面図である 図2は、本発明の鉄骨の耐火被覆構造が火災等の熱にさらされた場合の構造の変化を説明するための模式断面図である。 図3は、本発明の鉄骨の耐火被覆構造が火災等の熱にさらされた後の構造の変化を説明するための模式断面図である。 図4は、実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造の施工方法を説明するための模式断面図である。。 図5は、実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造の施工方法を説明するための模式断面図である。 図6は、実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造の施工方法を説明するための模式断面図である。 図7は、実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造を説明するための模式断面図である。 図8は、火災等の熱を受けた後の実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造の変化を説明するための模式断面図である。 図9は、実施例2に係る鉄骨の耐火被覆構造を説明するための模式断面図である。 図10は、実施例3に係る鉄骨の耐火被覆構造を説明するための模式断面図である。 図11は、従来の鉄骨の耐火被覆構造が持つ問題を説明するための模式断面図である。 図12は、従来の鉄骨の耐火被覆構造が持つ問題を説明するための模式断面図である。 図13は、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式断面図である。 図14は、本発明が解決しようとする課題を説明するための模式断面図である。
以下に本発明の鉄骨について説明する。
本発明に使用される鉄骨としては、例えば、戸建住宅、集合住宅、高層ビル、学校の校舎、商業施設等の建築物、船舶等の構造物に使用される構造材の一種であり、柱等の地面に対して直立させて上からかかる荷重を支える直立部材、梁等の地面に対して水平に設置される水平部材等が挙げられる。
前記鉄骨の形状は、例えば、断面がH字、C字、I字状の長尺体、内部に空間がない円柱、多角柱、楕円柱、内部に空間がある円筒、多角筒、楕円筒等が挙げられる。
前記鉄骨の形状は、四角柱、四角筒であることが施工性等の面から好ましい。
また前記鉄骨の素材は、例えば、鉄に加えて、鉄以外のアルミニウム等の金属、コンクリート、セメント等の無機物、木材等を含むものであってもよく、例えば鉄筋とセメントとを組み合わせたもの、鉄筋、不燃材パネル等の二種以上の材料を組み合わせたものを使用することもできる。
前記不燃材パネルとしては、例えば、後述する不燃板状体に使用する材料と同様のものを使用することができる。
次に本発明に使用する熱膨張性耐火シートについて説明する。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは、エポキシ樹脂やゴム等の樹脂成分、リン化合物、熱膨張性黒鉛、無機充填材等を含有する熱膨張性樹脂組成物をシート状に成形してなるものである。
前記熱膨張性耐火シートは、ガラスクロス等の無機繊維シート、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔等の不燃材層の一種もしくは二種以上を積層したものを使用することができる。
前記無機繊維シートに使用する無機繊維としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
前記無機繊維層は、前記無機繊維を用いた無機繊維クロスを使用することが好ましい。
また前記無機繊維シートに使用する無機繊維は、金属箔をラミネートしたものを使用することが好ましい。
金属箔ラミネート無機繊維の具体例としては、例えば、アルミニウム箔ラミネートガラスクロス、銅箔ラミネートガラスクロス等がさらに好ましい。
前記熱膨張性耐火シートは、例えば金属箔層、無機繊維層および熱膨張性樹脂層等を積層すること等により得ることができる。これらの積層には溶融同時押出、熱プレス等の他、接着剤により各層を貼着する手段等を挙げることができる。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートの構成に限定はなく、複数の不燃材層、熱膨張性樹脂組成物層等を含む構成であってもよい。
前記不燃材層としては、例えば、金属箔層、無機繊維層等が挙げられる。
前記熱膨張性耐火シートは、火災等の熱にさらされた場合に前記熱膨張性樹脂組成物層が膨張して形成される熱膨張残渣が、表面の不燃材層に支持される構造であれば特に限定はない。
前記熱膨張性耐火シートの構成の具体例を挙げるとすれば、例えば、
(1)不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層
(2)不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層
(3)不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層−熱膨張性樹脂組成物
(4)不燃材層−不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層−不燃材層
(5)不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層−熱膨張性樹脂組成物層−不燃材層
等の構成が挙げられる。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは不燃材層が最外面にあることが好ましく、金属箔層が最外面にあればより好ましい。
前記熱膨張性耐火シートは市販品を使用することができ、例えば積水化学工業社製フィブロック等(登録商標。エポキシ樹脂やゴムを樹脂成分とし、リン化合物および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物、前記樹脂成分、リン化合物、発泡材および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物、前記樹脂成分、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物等)を入手して使用することが可能である。
なお前記熱膨張性黒鉛を含有する前記熱膨張性耐火シートを使用する場合には、前記熱膨張性黒鉛は、中和された熱膨張性黒鉛を使用することが好ましい。
前記熱膨張性耐火シートは火災等の熱により膨張し、膨張残渣を形成する。この膨張残渣が前記鉄骨に対する火災等の炎を遮断する。
このため火災等が発生した場合であっても前記鉄骨の強度が低下すること等を防止することができる。
次に本発明に使用する鉄骨と、前記熱膨張性耐火シートとの関係について説明する。
図1は、本発明に使用する鉄骨と熱膨張性耐火シートとの関係を説明するための模式断面図である。
図1に示される鉄骨1は、前記鉄骨1の長手方向に垂直な面により前記鉄骨1を切断した断面を模式的に示したものである。
前記鉄骨1の長手方向に垂直な面により前記鉄骨1を切断した断面を基準として、前記熱膨張性耐火シート10は、前記鉄骨1の外周よりも長い内周を有する。
このため前記熱膨張性耐火シート10により前記鉄骨1を覆った際に、前記熱膨張性耐火シート10に余剰部12,12が生じる。この余剰部12,12を重ね合わせて、前記熱膨張性耐火シート10に対して仮止手段により仮止部20を形成する。
前記仮止部20により、前記熱膨張性耐火シート10に筒形状が形成される。この筒形状の内周の長さは、前記鉄骨1の外周の長さに略一致しているため、前記熱膨張性耐火シート10を前記鉄骨1の外周に沿って覆うことができる。
なお本発明における前記鉄骨1の外周の長さとは、前記鉄骨1の長手方向に垂直な面により前記鉄骨1を切断した断面を基準として、前記鉄骨1の外周に張力を維持したまま糸を張った際の、前記鉄骨1の外周を一周する糸の長さに対応する。
このため、前記仮止部20により形成された前記熱膨張性耐火シート10の筒形状11の内周は、前記鉄骨1の形状が変化した場合、前記鉄骨1の全ての外周に密着していることまでは要求されず、前記鉄骨1の外周に密着していない部分が存在してもよい。
また前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12には結合手段により結合部30が形成されている。
この結合部30は、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12に形成された仮止部20よりも、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12の端部10a,10a側に設置されている。
図2は、本発明の鉄骨の耐火被覆構造が火災等の熱にさらされた場合の構造の変化を説明するための模式断面図である。
図2に示される鉄骨の耐火被覆構造100が火災等の熱にさらされた場合には、前記熱膨張性耐火シート10に形成された仮止部20が開放される。
この一方、前記火災等の熱によっては、前記熱膨張性耐火シート10に形成された結合部30は開放されずに維持される。
前記鉄骨の耐火被覆構造100が火災等の熱にさらされる前は、前記仮止部20により、前記熱膨張性耐火シート10に筒形状が形成されていた。
これに対し、前記鉄骨の耐火被覆構造100が火災等の熱にさらされた後は、前記熱膨張性耐火シート10に形成された仮止部20が開放されて、前記熱膨張性耐火シート10に形成された結合部30により、前記熱膨張性耐火シート10に新たな筒形状13が形成される。
図1に示される前記熱膨張性耐火シート10により形成された筒形状11は、前記鉄骨1の外周に密着して設置されていたが、火災等の熱により前記熱膨張性耐火シート10に形成された仮止部20が開放されて形成される新たな筒形状13の場合は、前記鉄骨1との間に空間40を有する。
前記新たな筒形状13の内周の長さは前記筒形状11の内周の長さよりも大きいことから、前記新たな筒形状13の内部に空間40が形成される。
前記空間40の形状は前記新たな筒形状13の形状により決まるが、前記新たな筒形状13の形状は自由に変化する。このため火災等の熱により前記熱膨張性耐火シート10が膨張する際に、前記熱膨張性耐火シート10の膨張が前記鉄骨1の形状等によって阻害されることがない。
さらに前記熱膨張性耐火シート10は自由に膨張することが可能であるから、前記鉄骨1の周囲を隙間なく膨張残渣により覆うことが可能である。
図3は、本発明の鉄骨の耐火被覆構造が火災等の熱にさらされた後の構造の変化を説明するための模式断面図である。
前記鉄骨の耐火被覆構造100が火災等の熱にさらされた場合には、先の図2における空間40が前記熱膨張性耐火シート10により形成された膨張残渣50により閉塞される。
前記膨張残渣50により、火災等の熱が鉄骨1に伝わることを遅延させることができる。
先の図2における空間40の大きさは、本発明に使用する熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12の長さ、前記熱膨張性耐火シート10に形成される結合部30の位置により調整することができる。
前記空間40を大きくするためには前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を必要に応じて長くして、前記熱膨張性耐火シート10に形成される結合部30の位置を前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12の端部10a,10a側に移動させるとよい。
逆に前記空間40を小さくするためには前記熱膨張性耐火シート10に形成される結合部30の位置を、前記仮止部20側に移動させるとよい。
前記熱膨張性耐火シート10に形成される前記仮止部20は、前記仮止手段によって形成されるものであるが、次に前記仮止手段について説明する。
前記仮止手段は、前記鉄骨の耐火被覆構造100が火災等の熱にさらされた場合に開放されるものであれば特に限定はない。
前記仮止手段の具体例としては、前記鉄骨の耐火被覆構造100が火災等の熱にさらされた際の熱により溶融、変形、焼失等を起こすもの、前記鉄骨1の耐火被覆構造100に含まれる前記熱膨張性耐火シート10が火災等の熱により膨張する際の膨張圧力により開放されるもの等を挙げることができる。
この様な仮止手段としては、例えば、可燃材による縫合手段、可燃材による貼着手段、可燃材の部材を前記熱膨張性耐火シート10に設けた切り込みに挿入する手段、可燃材の部材同士を組み合わせる手段等を挙げることができる。
前記可燃材による縫合手段の具体例としては、例えば、150℃以下の温度で溶融するポリエチレン糸等の合成樹脂糸製の可燃糸により、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を縫合する手段等が挙げられる。
前記可燃材による貼着手段の具体例としては、例えば、粘着紙テープ、粘着合成樹脂テープ、両面粘着紙テープ、両面粘着合成樹脂テープ等により、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を貼着する手段、合成樹脂接着剤等により前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を貼着する手段等が挙げられる。
前記可燃材の部材を前記熱膨張性耐火シート10に設けた切り込みに挿入する手段の具体例としては、例えば、合成樹脂等の可燃材により形成されたボタン形状の突起部を前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12に設置しておき、前記熱膨張性耐火シート10の他方の余剰部12に設置された切り込みに挿入することにより、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を仮止めする手段等を挙げることができる。
前記可燃材の部材同士を組み合わせる手段の具体例としては、例えば、合成樹脂等の可燃材によるフック部材を前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12に設置しておき、前記熱膨張性耐火シート10の他方の余剰部12に合成樹脂等の可燃材によるループ部材を設置しておき、前記フック部材を前記ループ部材に掛けて、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を仮止めする手段等を挙げることができる。
前記鉄骨1の耐火被覆構造100に含まれる前記熱膨張性耐火シート10が火災等の熱により膨張する際の膨張圧力により開放される仮止手段の具体例としては、例えば、ステープラーにより前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を仮止めした際に、前記余剰部12,12を貫通して反対側に突き出ているステープルの貫通部分の折り返し部分を短くする手段、
前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12にステープラーにより設置される仮止部20同士の前記鉄骨1の長手方向に対する間隔を広くする手段等が挙げられる。
本発明に使用するステープルは、線材からなる本体部と、前記線材の両端部を同方向に略垂直に折り曲げてなる固定部とを有するものである。
前記ステープルの固定部を前記熱膨張性耐火シートの余剰部に貫通させてから、前記熱膨張性耐火シートの余剰部を貫通した前記ステープルの固定部の先端部を折り曲げることにより前記熱膨張性耐火シートの余剰部同士を仮止めしたり結合したりすることが可能である。
なお前記仮止手段に用いられる前記可燃材および不燃材の具体例については、後で説明する可燃材および不燃材の場合とそれぞれ同様である。
次に前記熱膨張性耐火シート10に形成される前記結合部30は、前記結合手段によって形成されるものであるが、前記結合手段について説明する。
前記結合手段は、前記鉄骨の耐火被覆構造100が火災等の熱にさらされた場合に開放されず、結合状態を維持できるものであれば特に限定はない。
前記結合手段の具体例としては、例えば、不燃材による縫合手段、不燃材の部材を前記熱膨張性耐火シート10に設けた切り込みに挿入する手段、不燃材の部材同士を組み合わせる手段等を挙げることができる。
前記不燃材による縫合手段の具体例としては、例えば、金属線、無機繊維等の不燃糸により、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を縫合する手段、金属製の針等を使用したステープラー等を用いて縫合する手段等が挙げられる。
前記結合手段としてステープラー等を使用する場合には、ステープルにより前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を結合した際に、前記余剰部12,12を貫通して反対側に突き出ているステープルの貫通部分の折り返し部分を長くして、前記ステープラーが簡単に前記余剰部12,12から外れないようにするとよい。
また前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12にステープラーにより設置される結合部30同士の前記鉄骨1の長手方向に対する間隔を狭くする手段等が挙げられる。
前記可燃材の部材を前記熱膨張性耐火シート10に設けた切り込みに挿入する手段の具体例としては、例えば、金属等の不燃材により形成されたボタン形状の突起部を前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12に設置しておき、前記熱膨張性耐火シート10の他方の余剰部12に設置された切り込みに前記突起部を挿入することにより、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を結合する手段等を挙げることができる。
前記不燃材の部材同士を組み合わせる手段の具体例としては、例えば、金属等の不燃材によるボルト、ナット等を組み合わせる手段、
金属等の不燃材による突起部材を前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12に設置しておき、前記熱膨張性耐火シート10の他方の余剰部12に金属等の不燃材による受入部材を設置しておき、前記突起部材と前記受入部材とを組み合わせた後、前記突起部材を前記受入部材内部で変形させることにより、前記突起部材と前記受入部材とを分離不能にする手段等を挙げることができる。
なお前記結合手段に用いられる不燃材の具体例については、次に説明する不燃材の場合と同様である。
前記仮止手段および前記結合手段によってそれぞれ形成される前記仮止部および結合部は、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12に対し、前記鉄骨1の長手方向に沿って形成される。
次に本発明においては、鉄骨1の一部もしくは全部に、可燃材および不燃材の少なくとも一方を設置してから、可燃材および不燃材の少なくとも一方が設置された鉄骨1を熱膨張性耐火シート10により覆うこともできる。
本発明に使用する可燃材としては、例えば、紙材、天然樹脂、合成樹脂等の一種もしくは二種以上により形成されたもの等を挙げることができる。
前記紙材としては、例えば、木材等の植物から取り出した繊維状物質や化学繊維を水等の分散媒中に分散させ、これを濾過して均一層を形成してから乾燥させた紙等が挙げられる。
前記紙に対して、塗料、撥水剤等を塗布して得られる加工紙、波状の紙をライナーと呼ばれる平面の紙により挟んで接着した段ボール等が挙げられる。
前記天然樹脂としては、例えば、セルロース誘導体、ゼラチン、アルギン酸塩、キトサン、プルラン、ペクチン、カラゲナン、タンパク質、タンニン、リグニン、ロジン酸等を主成分とする高分子、ろう、ワックス、天然ゴム等が挙げられる。
前記合成樹脂としては、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1、2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリイソブチレンゴム、塩化ブチルゴム等の合成ゴム、
ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、ポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、
ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記可燃材を使用する際には可燃板状体を使用することが好ましく、中でも取り扱い易いこと、入手し易いことから合成樹脂板状体を使用することがより好ましく、内部に気泡を有する板状発泡体は断熱性に優れることから前記板状発泡体を使用することがさらに好ましい。
前記板状発泡体を用いた場合、火災等の熱により前記板状発泡体が溶融、焼失等して体積が減少するため、前記熱膨張性耐火シートの膨張を妨げることを防止することができる。
本発明に使用する不燃材としては、例えば、金属、無機材等の一種もしくは二種以上により形成されたもの等を挙げることができる。
前記金属としては、例えば、針金、鋼線、銅線等の金属線材、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔等が挙げられる。
前記無機材としては、例えば、ロックウール、セラミックウール、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、セラミックブランケット等が挙げられる。
前記無機材を用いることにより、火災等の熱が鉄骨に到達することを遅延させることができる。
前記不燃材を使用する際には不燃板状体を使用することが好ましい。
前記不燃板状体の具体例としては、例えば、無機繊維を成形した無機繊維マット、無機繊維を成形した無機繊維ボード等を挙げることができる。
前記無機繊維マット材としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等の無機繊維を抄紙等して得られるマット材等が挙げられる。
前記無機繊維ボードとしては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等の無機繊維を焼結剤、熱可塑性樹脂、接着剤等を使用して成形して得られるボード等が挙げられる。
前記不燃板状体は、柔軟性のあるものを使用することがより好ましい。
前記無機繊維マット、無機繊維ボード等は一種もしくは二種以上を使用することができる。
以下に図面を参照しつつ、実施例に基づいて本発明について詳細に説明する。なお本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
図4〜図6は実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造の施工方法を説明するための模式断面図である。また図7および8は実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造を説明するための模式断面図である。
なお図4〜図8は、実施例1に使用した鉄骨1の長手方向に垂直な面により前記鉄骨1および熱膨張性耐火シート10を切断した断面を模式的に図示したものである。
実施例1に使用した熱膨張性耐火シート10は積水化学工業社から入手した(登録商標フィブロック)。
前記熱膨張性耐火シート10は熱膨張性樹脂組成物層とアルミニウム箔ラミネートガラスクロスとが積層されて形成されている。
まず図4に示す様に、前記熱膨張性耐火シート10を、熱膨張性樹脂組成物層を内側に向け、アルミニウム箔が最外層となるように前記アルミニウム箔ラミネートガラスクロスを外側に向けて前記鉄骨1の外周に巻いた。
次に図5に示される様に、前記熱膨張性樹脂組成物10の余剰部12,12をステープラーを用いて前記鉄骨1の長手方向に沿って1mおきに仮止めして、仮止部20を形成した。
前記仮止部20により前記熱膨張性耐火シート10に筒形状11が形成される。
前記筒形状11の内周の長さは、前記鉄骨1の長手方向に垂直な面による前記鉄骨1の断面を基準として、前記鉄骨1の外周の長さに略一致している。このため前記熱膨張性耐火シート10は弛みがなく、かつ隙間がない状態により前記鉄骨1の外周を覆っている。
次に図6に示される様に、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12に形成された仮止部20よりも、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12の端部10a,10a側に結合部30を形成する。
前記結合部30は、前記熱膨張性樹脂組成物10の余剰部12,12をステープラーを用いて前記鉄骨1の長手方向に沿って10cmおきに結合して、前記結合部30を形成した。
前記結合部30は、前記鉄骨1の長手方向に沿って前記仮止部20のステープル数に比較して多くのステープル数を配置しているため、実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造110が火災等の熱にさらされた場合でも開放されることがない。
また仮止手段および結合手段として同じステープルを使用しているため簡単に実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造110を施工することができる。
図7は、実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造を示した模式断面図である。
先の図6に示される前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12を、前記鉄骨1に沿ってたたみ、市販の粘着テープ21により仮止めして、実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造110を得た。
上記の通り、前記鉄骨1の外形に依存することなく簡単に実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造110を施工することができる。
図8は、火災等の熱を受けた後の実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造の変化を説明するための模式断面図である。
前記鉄骨の耐火被覆構造110が火災等の熱にさらされた場合には、図7に示した前記粘着テープ21は焼失、溶融等して図6に示した状態の様に、たたまれていた前記熱膨張性樹脂組成物10の余剰部12,12が鉄骨1側から離れる。
次に火災等の熱および火災等の熱により膨張した前記熱膨張性耐火シート10の膨張圧の少なくとも一方により、図6に示した仮止部20が開放される。
この結果、前記熱膨張性耐火シート10は前記結合部30により新たな筒形状13が形成される。前記新たな筒形状13の内部は、前記熱膨張性耐火シート10により形成された膨張残渣50により閉塞される。
この膨張残渣50により、火災等の熱が鉄骨1に伝わることを遅延させることができる。
実施例1に係るる鉄骨の耐火被覆構造110は、火災等の熱にさらされる前は鉄骨の周囲に厚い無機ボード等を配置する必要がなく、薄い熱膨張性耐火シート10を配置することにより形成することができる。
このため、前記鉄骨1の周囲に十分な作業空間が確保されていない場合でも、容易に実施例1に係る耐火被覆構造110を得ることができる。
またステープラーを使用して簡単に実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造110を施工することができるため、作業者の熟練度に依存することなく一定品質の前記鉄骨の耐火被覆構造110を供給することができる。
さらに設計通りに前記鉄骨の耐火被覆構造110が施工されているかどうかは、前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12に設置された前記仮止部20および結合部30について前記熱膨張性耐火シート10の余剰部12,12の表と裏とを肉眼により簡単に確認することができる。このため実施例1に係る耐火被覆構造110は信頼性にも優れる。
実施例2に係る鉄骨の耐火被覆構造120は、実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造110の変形例である。
図9は、実施例2に係る鉄骨の耐火被覆構造を説明するための模式断面図である。
実施例1の場合には、鉄骨1の外周に直接前記熱膨張性耐火シート10が巻かれていた。これに対し、実施例2の場合は、鉄骨1の外周にポリウレタンからなる合成樹脂発泡板状体60が前記鉄骨1の四方向に設置されている。
ポリウレタン発泡体等の合成樹脂の発泡体は、前記鉄骨等の外面の凹凸等を吸収して前記鉄骨に前記熱膨張性耐火シートを簡単に設置することができることから好ましい。
実施例2に係る鉄骨の耐火被覆構造120が火災等の熱にさらされた場合には、前記合成樹脂発泡板状体60が焼失、溶融して前記熱膨張性耐火シート10と鉄骨1との間に空間が生じる。このため前記熱膨張性耐火シート10が、実施例に係る鉄骨の耐火被覆構造110と比較して火災等の熱によりより円滑に膨張する。
このため実施例2に係る鉄骨の耐火被覆構造120は、耐火性に優れる。
実施例3に係る鉄骨の耐火被覆構造130は、実施例1に係る鉄骨の耐火被覆構造110の変形例である。
図10は、実施例3に係る鉄骨の耐火被覆構造を説明するための模式断面図である。
実施例1の場合には、鉄骨1の外周に直接前記熱膨張性耐火シート10が巻かれていた。これに対し、実施例3の場合は、鉄骨1の対向する二面に対し、ロックウールからなる無機繊維ボード70が設置されている。
図10に示す実施例3に係る鉄骨の耐火被覆構造130は、AおよびB方向を薄くし、CおよびD方向を厚くすることができる。
この通り、鉄骨1の特定の方向の厚みを大きくすることが制限される場合であっても、簡単に実施例3に係る鉄骨の耐火被覆構造130を容易に施工することができる。
1 鉄骨
5a,5b,5c,5d 壁
10 熱膨張性耐火シート
10a 熱膨張性耐火シートの端部
11 熱膨張性耐火シートの筒形状
12 熱膨張性耐火シートの余剰部
13 熱膨張性耐火シートの新たな筒形状
20 仮止部
21 粘着テープ
30 結合部
40 空間
42、45 中空壁
44 突出部
46 開口部
50 膨張残渣
100、110、120 鉄骨の耐火被覆構造
210 耐火ボード
220 従来の鉄骨の耐火被覆構造

Claims (10)

  1. 鉄骨と、前記鉄骨の外周を覆う熱膨張性耐火シートとを備え、
    前記熱膨張性耐火シートが、前記鉄骨の外周よりも長いため余剰部を有し、
    前記熱膨張性耐火シートの余剰部が、重ね合わされて仮止手段により形成された仮止部と結合手段により形成された結合部とにより固定されることにより、前記熱膨張性耐火シートが筒形状を形成し、
    前記熱膨張性耐火シートの余剰部に形成された結合部が、前記熱膨張性耐火シートの余剰部に形成された仮止部よりも、前記熱膨張性耐火シートの余剰部の端部側に設置され、
    前記熱膨張性耐火シートの仮止部により形成された前記熱膨張性耐火シートの筒形状の内周の長さが、前記鉄骨の長手方向に垂直な面による前記鉄骨の断面を基準として、前記鉄骨の外周の長さに略一致することを特徴とする、鉄骨の耐火被覆構造。
  2. 前記熱膨張性耐火シートが、熱膨張性樹脂組成物層および不燃材層を少なくとも備え、
    前記不燃材層の少なくとも一つが、前記熱膨張性耐火シートの最外面に配置された、請求項1に記載の鉄骨の耐火被覆構造。
  3. 前記熱膨張性耐火シートの余剰部が、粘着テープにより前記熱膨張性耐火シートの外面に貼着されている、請求項1または2に記載の鉄骨の耐火被覆構造。
  4. 前記熱膨張性耐火シートが、膨張する温度以上に加熱された場合に、前記仮止手段は開放される一方、前記結合手段は開放されずに維持される結果、前記熱膨張性耐火シートが、前記熱膨張性耐火シートの余剰部に形成された結合部により新たな筒形状を形成し、
    前記新たな筒形状の内部が、前記熱膨張性耐火シートから形成される膨張残渣により閉塞される、請求項1〜3のいずれかに記載の鉄骨の耐火被覆構造。
  5. 鉄骨の一部または全部が、不燃材および可燃材の少なくとも一方を備え、
    前記熱膨張性耐火シートが、前記不燃材および可燃材の少なくとも一方を備える鉄骨を覆い、
    前記熱膨張性耐火シートの仮止部により形成された前記熱膨張性耐火シートの筒形状の内周の長さが、前記鉄骨の長手方向に垂直な面による前記鉄骨の断面を基準として、前記不燃材および可燃材の少なくとも一方を備える鉄骨の外周の長さに略一致することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の鉄骨の耐火被覆構造。
  6. 前記不燃材が、無機材からなり、
    前記可燃材が、紙材、天然樹脂および合成樹脂かなる群より選ばれる少なくとも一つからなる、請求項5に記載の鉄骨の耐火被覆構造。
  7. 前記不燃材および可燃材の少なくとも一方が、板状体である、請求項5または6に記載の鉄骨の耐火被覆構造。
  8. 前記不燃材が、無機繊維板状体であり、前記可燃材が、発泡合成樹脂板状体である、請求項5〜7のいずれかに記載の鉄骨の耐火被覆構造。
  9. 前記仮止手段および結合手段が、それぞれステープルからなり、
    前記ステープルが、線材からなる本体部と、前記線材の両端部を同方向に略垂直に折り曲げてなる固定部とを有し、
    前記ステープルの固定部が、前記熱膨張性耐火シートの余剰部を貫通し、
    前記熱膨張性耐火シートの余剰部を貫通した前記ステープルの固定部の先端部が、折り曲げられている、請求項1〜8のいずれかに記載の鉄骨の耐火被覆構造。
  10. 前記熱膨張性耐火シートの余剰部に設置された前記ステープルからなる結合手段数が、前記鉄骨の長手方向を基準として、前記熱膨張性耐火シートの余剰部に設置された前記ステープルからなる仮止手段数よりも多い、請求項9に記載の鉄骨の耐火被覆構造。
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