JP4522242B2 - 被覆材料を構造物に固定するための取り付け金具及び取り付け方法 - Google Patents
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Description
さらに、被覆材料に、前記固定ピン、又はアンカーボルトによって、孔があけられると、この部分に応力が集中し、被覆材料が、この部分において、破壊されるおそれがある。
しかし、このような取り付け金具を用いても、構造物表面が平坦でない場合、取り付け金具の被覆材料に接合する面が、被覆材料の裏面に適合せず、金具表面の全面接着ができないことがある。この不都合は、特に被覆材料が、実質的に可撓性のない、又は低い硬質材料であるときに、著しく発生する。
上記特許文献4に開示されている取り付け金具を用いると、構造物と、被覆材料との固着は、前記熱可塑性樹脂を介して行われるから、水蒸気又は空気(酸素)が、前記取り付け金具内に浸透拡散して、金属製基材に到達し、これを酸化又は劣化させることがなく、従って、基材から熱可塑性樹脂層が剥離することもないとされている。
しかしながら、熱可塑性樹脂の比熱は大きく、しかし、熱伝導率が低く、金属板の比熱は小さく、熱伝導率が高く、しかも、高周波誘導加熱処理を施されたとき、金属板は、いわゆる表皮効果により、その表面から発熱し、かつ昇温する。従って、表裏面側熱可塑性樹脂層の金属板表面に接触している部分は、短時間内に加熱され昇温し、溶融するが、表裏面側熱可塑性樹脂層の構造物に接触している部分及び被覆材料の裏面に接触している部分が所望温度迄昇温し、溶融する迄には、時間差を生じ、この時間差の間に表裏面側熱可塑性樹脂層の金属板に接触している部分は、過度に加熱され、変質又は劣化することがある。
さらに、金属板の表・裏面熱可塑性樹脂層が、金属板に形成された貫通孔中に充填された熱可塑性樹脂により、連結されている場合、構造物と、被覆材料との間の引張り強さは、前記貫通孔中の熱可塑性樹脂柱及び前記(表・裏面側熱可塑性樹脂層の前記貫通孔中の樹脂柱に連続する部分の引張り強さに依存する。従って、前記引張り強さは、前記金属板の貫通孔の合計断面積、並びに金属板及び表・裏面側熱可塑性樹脂層の厚さに依存するから、これらを、それぞれ大きくする必要がある。しかし、表・裏面側熱可塑性樹脂層の厚さを大きくすると、前述のように、表・裏面側熱可塑性樹脂層が構造物及び被覆材料に溶融接着するまでに要する時間が長くなり、それによって、金属板に接触している樹脂部分及びその直上にある熱可塑性樹脂の過熱による変質・劣化を生じ、このため構造物と被覆材料の間の引張り強さが、低くなることがある。
さらに、金属板の貫通孔の合計面積が大きくなると、特に、各貫通孔の開口面積が大きくなり、このため、高周波誘電加熱処理によって金属板に発生した熱が、貫通孔中心部の熱可塑性樹脂に伝播され、かつその温度が溶融可能な温度に到達するまでに要する時間が長くなり、金属板に接触している樹脂部分が、過熱されて劣化し、構造物と、被覆材料との間の引張り強さを低下させることがある。
本発明は、また、構造物に、被覆材料を、金属製芯材と、その表裏両面を被覆する合成樹脂含有シート材とからなる取り付け金具に高周波誘導加熱処理を施して、接着固定するときに、前記芯材に過熱による変質・劣化を生ずることがなく、特に被覆材料に、均整に接着して、それを構造物上に強固に固定することができる取り付け金具及び取り付け方法を提供しようとするものである。
構造物と、防水・遮水性シート材料又は板状材料からなる被覆材料との間に介在していて、前記芯材の高周波誘導発熱により、前記表・裏合成樹脂含有シート材を溶融して、前記被覆材料の裏面を、前記金具本体を介して、前記構造物の表面に、接合するための取り付け金具であって、
前記金具本体の、前記表合成樹脂含有シートの外表面を被覆しており、かつ高周波誘導発熱が可能なメッシュ材をさらに含み、
前記表・裏合成樹脂含有シート材は、それぞれ、前記芯材の外周縁の少なくとも1部分又は全部の外側に伸び出て、互に対向している外縁部を有し、かつ、この外縁部は、その少なくとも2箇所において、互に接合又は連続しており、
前記メッシュ材の厚さが0.05〜1.0mmであり、かつその下記式により規定される前記メッシュ材の開口率;
メッシュ材開口率(%)
=〔(メッシュ材開口部の合計面積)/(メッシュ材面積)〕×100
が、25〜95%であり、
それによって、前記金具本体の芯材及びメッシュ材を高周波誘導発熱させることにより、前記表合成樹脂含有シート材の溶融体が、前記メッシュ材の開口部を通過して、前記金具本体を、前記メッシュ材を介して、前記被覆材料の裏面に、接合することができる
ことを特徴とするものである。
本発明の取り付け金具において、前記表・裏合成樹脂含有シートが、前記合成樹脂からなる1枚以上のシートと、1枚以上の繊維含有シートとの積層体であってもよい。
本発明の取り付け金具の態様(1)において、前記芯材の、前記表・裏合成樹脂含有シートにより被覆されている部分の1以上の所定位置に、アンカーボルト用透孔が形成されており、かつ前記表・裏合成樹脂含有シート材に、前記芯材の透孔に連通する透孔が形成されている。
本発明の取り付け金具の態様(1)において、前記透孔を有する芯材の前記透孔の周囲部分が、裏側に伸び出て、突起部を形成し、この突起部の先端部において開口していることが好ましい。
本発明の取り付け金具の態様(1)において、前記芯材の突起部が、前記裏側合成樹脂含有シートの透孔を通ってその外側に突出していることが好ましい。
本発明の取り付け金具の態様(1)において、前記芯材の外周縁の1以上の部分又は全部に、裏側に伸び出る外周縁突出部が形成されていてもよい。
本発明の取り付け金具の態様(1)において、前記芯材の突起部の、前記透孔を囲む先端部の最外端が、前記芯材の前記裏側に伸び出た外周縁突出部の最外端よりもさらに外側に伸び出ていることが好ましい。
本発明の取り付け金具の態様(2)において、前記芯材の、前記表・裏合成樹脂含有シート材により被覆されていない露出部分の、少なくとも1以上の所定位置に、アンカーボルト用透孔が形成されている。
本発明の取り付け金具の態様(2)において、前記芯材の、前記透孔の周囲部分が、裏側に伸び出て突起部を形成し、この突起部の先端部において開口していることが好ましい。
本発明の取り付け金具の態様(2)において、前記芯材の外周縁の1以上の部分又は全部に、裏側に伸び出る外周縁突出部が形成されていてもよい。
本発明の取り付け金具の態様(2)において、前記芯材の前記突起部の前記透孔を囲む先端部の最外端が、前記外周縁突出部の最外端よりもさらに外側に伸び出ていることが好ましい。
本発明の取り付け金具の態様(1)又は(2)において、前記芯材の前記突起部の先端部の外面に、前記アンカーボルトの脚部を通す透孔を有するクッション材がさらに配置されていることが好ましい。
本発明の構造物に被覆材料を取り付ける方法(1)は、構造物とそれを被覆する被覆材料との間に、請求項1又は2に記載の取り付け金具を配置し、この取り付け金具に、前記被覆材料を介して、高周波誘導加熱処理を施し、それによって、前記芯材及びメッシュ材を発熱させて、前記表合成樹脂含有シート材を溶融して、前記金具本体を前記メッシュ材を介して前記被覆材料の裏面に固着し、それと同時に前記裏合成樹脂含有シートを溶融して、前記金具本体を前記構造物の表面に固着することを特徴とするものである。
本発明の構造物に被覆材料を取り付ける方法(2)は、構造物表面上の所定の位置に、請求項3〜12のいずれか1項に記載の取り付け金具(1)又は(2)の金具本体を配置し、取り付け金具本体の前記透孔を通して、アンカーボルトにより、前記構造物に固定し、この固定された金具本体上を前記メッシュ材により被覆し、
前記取り付け金具を介して、前記構造物表面を被覆材料により被覆し、
前記取り付け金具に、前記被覆材料を介して、高周波誘導加熱処理を施し、それによって、前記芯材及びメッシュ材を発熱させ、前記表合成樹脂含有シート材を溶融して、前記金具本体を前記メッシュ材を介して前記被覆材料の裏面に固定することを特徴とするものである。
本発明方法(1)又は(2)において、前記構造物と被覆材料との間に配置された前記取り付け金具の位置を、金属探知機、又は磁石により検知することが好ましい。
また、本発明の取り付け金具を用いると、構造物に、被覆材料を、短時間内に、強固に固着することができるから、取り付け金具の構成要素、特に合成樹脂含有シートが、過熱により変質乃至劣化することがなく、固着性能を長期間にわたって、安定に保持することができる。
(1)金具本体
この金具本体は、
(a)所定の形状、寸法を有し、高周波誘導発熱が可能な金属材料からなる芯材と、
(b)前記芯材の少なくとも1部の表・裏両面を被覆していて、かつ、加熱融着可能な表・裏合成樹脂含有シート材と、
を含むものである。
(2)メッシュ材
このメッシュ材は、前記金具本体の前記表面側合成樹脂含有シート材の外表面を被覆していて、かつ、高周波誘導発熱が可能なものである。
また、前記メッシュ材は、0.05〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.4mm、の厚さを有し、下記式により定義される開口率は、25〜95%であり、好ましくは50〜85%である。
メッシュ材開口率(%)
=〔(メッシュ材開口部の合計面積)/(メッシュ材面積)〕×100
金具本体11の、表合成樹脂含有シート材12の外表面上に、それを十分に被覆する寸法−形状を有するメッシュ材14が配置されている。
メッシュ材14は、その一部において、表合成樹脂含有シート材12に固定されていてもよい。
芯材11の、表・裏合成樹脂含有シート12,13により被覆されていない両端部分には、透孔11aが形成されている。図10に示された金具本体において、その表合成樹脂含有シート材12の上にメッシュ材を被覆して取り付け金具として使用される。
図11(B)の態様においては、1体のシート材が、表・裏合成樹脂含有シート材12,13を形成し、その上下両端縁18においては、互に連続しており、裏側に位置している。接続すべき両端部は外側に折り曲げられ、手を合わせる形(おがみ形)の接続部19bを形成している。
図11(C)の態様においては、2枚の表・裏合成樹脂含有シート材12,13は、その上下両外縁部12a,13aにおいて重ね合わせ接合されている。
図12の金具本体において、その表合成樹脂含有シート材12の各々の上にメッシュ材を配置して、取り付け金具として使用される。
図13(A)において、芯材11は、板状体であって、アンカーボルト用透孔11bが形成されている。
図13(B)において、芯材11は、アンカーボルト用透孔11bを有し、この透孔11bの周囲は、裏側に伸び出る突起部11aを形成し、この突起部11aの先端部に透孔11bが形成されており、この突起部11aの内側には凹部11cが形成されている。この突起部11aの先端部分は、金具本体が、構造物表面に配置されたとき、取り付け金具全体を支持する支点となり、取り付け金具の表側面の方向を調節して、この表側面を被覆材料の裏面に正対させるようにすることができる。
図13(C)において、芯材11は、図13(B)と同様の突起部11a、透孔11b、凹部11cを有し、芯材11の両外縁部には、裏側に向って、伸び出ている外縁突出部11dが形成されている。突起部11aを、取り付け金具の取り付け支点として用いる場合には、外縁突出部11dの芯材の平板部分からの突出長さL1と、突起部11aの突出長さL2との関係は、L1<L2であることが好ましい。
芯材11の少なくとも1部分(特に、表・裏合成樹脂含有シート材12,13により被覆されていない部分)は、図13(D)に示されているように、芯材11の1外縁部に、比較的長い外縁突出部11dが形成されていてもよい。このような長い外縁突出部11dは、凹凸のある構造物、又は溝のある構造物の表面に、取り付け金具を嵌合固定するために有用である。
図13(E)において、芯材11の両外縁部に、外縁突出部11dが形成されている。
上記外縁部11dは、図11(F)に示されているように、内側にさらに屈曲していて内側屈曲部11eを形成していてもよい。
上記の芯材断面形状は、取り付け金具の用途、構造物及び被覆材料の形状・寸法に応じて適宜選択し設定することができる。
補強用繊維としては、合成繊維、例えばアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維など、及び/又は、無機繊維、例えば、ガラス繊維、及び/又は金属繊維、例えば、ステンレススチール繊維などが用いられる。
表・裏合成樹脂含有シートの外縁部を接合するには、熱溶着、ミシン縫製、リベット接合などのいずれの方法を用いてもよい。
メッシュ材は、導電性金属細線を、製織又は製編し、或は不織布製造機に供して、メッシュ状不織布に製造することによって得られる。或は、メッシュ材は、金属箔又は金属薄板に穿孔機を用いて多数の孔を形成して得られる網状の多孔箔又は多孔板であってもよい。前記導電性金属細線、金属箔又は金属板用金属としては、鉄、アルミニウム、銅、及びタングステン、など、並びにステンレスチール及び眞鋳などの合金などが用いられる。或は、メッシュ材は、非導電性又は低導電性有機化合物(例えばポリエステル、セルロースなど)の薄い膜上に、導電性無機物質(例えば導電性フェライトなど)又は導電性有機物質(例えばポリアセチレン化合物など)を被覆し、これを、細線状に加工し、この細線からメッシュを製織又は製編するか、又は前記被覆された薄膜を、多孔薄膜に加工して製造されてもよい。或は、導電性金属により被覆された合成繊維を用いてもよい。本発明の取り付け金具において、メッシュ材は、金具本体の表合成樹脂含有シート材表面上の、1以上の位置に固定されていてもよく、或は、単に載置されていてもよい。
メッシュ材の開口率を25〜90%の範囲に設定することにより、メッシュ材から十分な高周波誘導発熱量を得ることができ、かつ、表合成樹脂含有シート材の溶融した合成樹脂を、メッシュ材の開口部を通して、十分に、被覆材料裏面に接合させることができる。開口率が25%未満では、表合成樹脂含有シート材の被覆シート裏面に対する接着強度が、不十分になる。また、それが10%をこえると、メッシュ材による発熱が不十分になって、表合成樹脂含有シート材と被覆材料との接着が不十分になる。またメッシュ材は、0.05〜1.0mmの厚さを有する。この厚さが0.05mm未満であると、高周波誘導発熱量が不十分になり、またそれが1mmをこえると、表合成樹脂含有シートと、被覆材料との間隔が過大になり、いずれも、その結果、表合成樹脂含有シート材と被覆材料との接着強度が不十分になる。
本発明の取り付け金具を適用する構造物の構造、材質、形状及び寸法には格別の制限はないが、一般に、コンクリート構造物、石材製構造物、土構造物、及びこれらの混用構造物などに適用される。
また被覆材料についても、その構造、材質、形状、寸法などに格別の制限はないが、一般に防水・遮水性シート材料及び板状材料などが用いられる。被覆材料を構成する材質としては、表合成樹脂含有シート材の溶融体と接着できる樹脂材料、例えば表合成樹脂含有シートに用いられる熱可塑性合成樹脂及びゴム材料から選ばれた1種以上を用いることが好ましい。
本発明方法(1)は、アンカーボルトを使用しない場合の固定方法であって、
構造物とそれを被覆する被覆材料との間に、本発明の取り付け金具を配置し、この取り付け金具に、前記被覆材料を介して、高周波誘導加熱を施し、それによって、前記芯材及びメッシュ材を発熱させて、前記表側合成樹脂含有シート材を溶融して、前記取り付け金具本体を前記メッシュ材を介して前記被覆材料の裏面に固着させ、それと同時に前記裏側合成樹脂含有シート材を溶融して、前記取り付け金具を前記構造物の表面に固着させることを特徴とするものである。
本発明方法(1)においては、構造物上の所要位置に取り付け金具(メッシュ材付)を配置し、その上に被覆材料を配置して、取り付け金具を介して構造物表面を被覆する。次に、被覆材料を介して、取り付け金具に高周波誘導加熱処理を施して、芯材及びメッシュ材を発熱させる。
芯材及びメッシュ材に対する高周波誘導加熱処理は、例えば、高周波誘導加熱機(0.3〜2kVA)を用い、通電時間:2〜10秒、冷却時間:5〜20秒間の条件下で押圧することにより実施することができる。このような高周波誘導加熱装置に入力すると、磁力線が発生し、この磁力線は、被覆材料、合成樹脂含有シート材を透過して、芯材及びメッシュ材に渦電流を発生させ、それによって芯材及びメッシュ材を発熱させ、メッシュ材に接触している被覆材料の裏面と表合成樹脂含有シート材を同時に昇温させ、かつ芯材の発熱により短時間内に表・裏合成樹脂含有シート材を溶融し、被覆材料・裏面と構造物表面とを、取り付け金具を介して固定することができる。このとき、表・裏合成樹脂含有シートの外縁部に互に接合又は連続していない部分があっても、これらの部分も互に溶融接着して、その間に芯材を固定することができる。
本発明方法(2)は、構造物表面上の所定の位置に、アンカーボルト用透孔を有する本発明の取り付け金具の金具本体を配置し、取り付け金具本体の前記透孔を通して、アンカーボルトにより、前記構造物に固定し、この固定された金具本体上を前記メッシュ材により被覆し、
前記取り付け金具を介して、前記構造物表面を被覆材料により被覆し、
前記取り付け金具に、前記被覆材料を介して、高周波誘導加熱処理を施し、それによって、前記芯材及びメッシュ材を発熱させ、前記表側合成樹脂含有シート材を溶融して、前記金具本体を前記メッシュ材を介して前記被覆材料の裏面に融着させることを特徴とするものである。
本発明方法(2)に用いられるアンカーボルトの構造、形状、寸法、材質などに格別の制限はなく、構造物、被覆材料、取り付け金具の構造、形状、寸法などに応じて適宜選定することができるが、通常ステンレススチール製であって頭部と脚部とからなるものが用いられる。
前記本発明方法(1),(2)において、高周波誘導加熱による表・裏合成樹脂含有シート材の溶融・接着、特に表合成樹脂含有シート材の、メッシュ材を介して、被覆材料裏面への接着は、芯材及びメッシュ材の発熱により短時間に完了するから、芯材が、過熱により変質・劣化することはない。
図15において、構造物(例えばコンクリート構造体)20の表面に、図3(A),(B)に示された多数のアンカーボルト用透孔付き円形取り付け金具の金具本体1aを、所定の配置計画に従って配置し、これらの透孔を通してアンカーボルト(図示されていない)によりコンクリート構造物中に打ち込んで固定した。構造物が、土構造物のように、軟弱なものであるときは、土構造物中に、後に図19を参照して説明するように、多数の杭を所定配置計画に従って打ち込み、この杭の頭部表面に、図15に記載のように、取り付け金具の金具本体を、アンカーボルトにより固定してもよい。次に、金具本体上にメッシュ材を被覆配置し、必要により所望の仮り固定処理(接着剤止め、ホッチキス止め、ピン止め(図示されていない)などを施し、その上に、被覆材料(図示されていない)を被覆し、このとき、取り付け金具の、被覆材料に対向している表面を、被覆材料の裏面に正対して接触するようにする。次に、被覆材料を介して、取り付け金具のそれぞれに、高周波誘導加熱処理を施して、芯材及びメッシュ材を発熱させ、必要により、この加熱と同時に、被覆材料を取り付け金具に押圧し、それによって、取り付け金具の表合成樹脂含有シート材を溶融し、メッシュ材の開口部を介して、被覆材料の裏面に融着させる。
構造物が土構造物のように表面が軟弱である場合には、例えば土構造物の傾斜表面に、後に図20を参照して説明するように、法面安定用プレート(図示されていない)を配置、固定し、この法面安定用プレートに、図16に示されている帯状金具本体を、アンカーボルト(図示されていない)により固定してもよい。この金具本体1a上にメッシュ材(図示されていない)を配置被覆し、必要により、これに、仮止め処理を施す。このようにして準備された取り付け金具上を、被覆材料によって被覆する。このとき、取り付け金具の表合成樹脂含有シート材12の表面は、被覆された被覆材料の裏面に十分に正対して接触していることが好ましい。上記のように配置された被覆材料を介して、取り付け金具に対して、前述と同様の高周波誘導加熱処理を施して、芯材及びメッシュ材を発熱させ、表合成樹脂含有シート材を、メッシュ材の開口部を介して、被覆材料の裏面に融着させ、それによって、被覆材料を所定位置に固定する。
次に、この金具本体1aのそれぞれの上に、メッシュ材(図示されていない)を配置被覆し、必要によりそれを金具本体に固定し、その上に、被覆材料を被覆する。このとき、被覆材料の裏面に対し、取り付け金具の表面が正対して接触しているようにする。
この取り付け金具に、被覆材料を介して、高周波誘導加熱処理を施し、芯材及びメッシュ材を発熱させて、前記と同様に、被覆材料の裏面を取り付け金具のメッシュ材を介して金具本体に接着固定する。
図18に記載の金具本体19を、構造物20の表面に配置し、その透孔から、アンカーボルト(図示されていない)を構造物20に打ち込んで金具本体を固定し、金具本体の表合成樹脂含有シート材12の上に、メッシュ材(図示されていない)を被覆配置し、必要により、これに固定処理を施す。メッシュ材は、予め、金具本体の表合成樹脂含有シート材12に固定されていてもよい。
この取り付け金具に、被覆材料を介して高周波誘導加熱処理を施して、芯材及びメッシュ材を発熱させ、前記と同様にして、被覆材料の裏面を、メッシュ材を介して、金具本体に融着固定する。
図19において、土構造物20aの傾斜表面から、杭22を打設し、杭22の頭部表面を、被覆すべき被覆材料の被覆裏面に正対するようにする。この杭22の頭部表面に、取り付け金具1の金具本体1aを、アンカーボルト15により、固定する。この金具本体1aの上にメッシュ材14を被覆配置し、その上を、被覆材料23で被覆し、前述のように、この被覆材料23を介して、取り付け金具1に高周波誘導加熱処置を施して、芯材(図示されていない)及びメッシュ材14を発熱させて、被覆材料23の裏面を、取り付け金具1のメッシュ材14の開口部を介して、金具本体1aに固定する。杭22の頭部表面形状、寸法には格別の制限はなく、ほぼ円形又は角形或はその他の形状であってもよい。
この法面安定用プレート25の表面の所定位置に本発明の取り付け金具の金具本体1aを配置する。金具本体1aは、アンカーボルト用透孔を有し、アンカーボルトにより法面安定用プレートに固定されていてもよい(図示されていない)。或は、法面安定用プレートの表面が、合成樹脂と融着可能な場合は、アンカーボルトを用いないこともある。このときは、必要により、法面安定用プレート上に金具本体1aを仮止めしてもよい。
金具本体1a上にメッシュ材14を被覆配置し、その上に被覆材料23を配置し、この被覆材料23を介して、取り付け金具に高周波誘導加熱処理を施して、芯材及びメッシュ材を発熱させ、表合成樹脂含有シート材を溶融し、それによって、被覆材料を、メッシュ材を介して、金具本体に固定し、法面安定用プレート表面が合成樹脂溶融により接着可能なときは、また、裏合成樹脂含有シート材を溶融して、金具本体を、法面安定用プレートに固定する。法面安定用プレートの形状寸法には格別の制限はなく、帯状体であってもよく、十字形状であってもよく、或はその他の形状であってもよい。また、法面安定用プレートは、法面の傾斜方向に平行に伸びていてもよく、或はそれに交差する方向に伸びていてもよい。
11 金属製芯材
11a 芯材の突起部
11b 芯材の透孔
11c 芯材突起部により形成される凹部
11d 芯材の外周縁裏面側突出端部
11e 芯材の外周縁裏面側突出端部に続く内側突出端部
11f 芯材の交差部
12 表合成樹脂含有シート材
12a シート材12の外縁部
12b シート材12の透孔
13 裏合成樹脂含有シート材
13a シート材13の外縁部
13b シート材13の透孔
14 メッシュ材
15 アンカーボルト
16 頭部
17 脚部
18 シート材12とシート材13との連続部
19a,19b 互に連続しているシート材12及び13の接続部
20 構造物
20a 土構造物
21 連結鋲
22 杭
23 被覆材料
24 グランドアンカー
25 法面安定用プレート
Claims (15)
- 所定の形状・寸法を有し、高周波誘導発熱が可能な金属材料からなる芯材と、前記芯材の少なくとも1部分の表裏両面を被覆していて、かつ、加熱融着可能な表・裏合成樹脂含有シート材とを含む金具本体を含み、
構造物と、防水・遮水性シート材料又は板状材料からなる被覆材料との間に介在していて、前記芯材の高周波誘導発熱により、前記表・裏合成樹脂含有シート材を溶融して、前記被覆材料の裏面を、前記金具本体を介して、前記構造物の表面に、接合するための取り付け金具であって、
前記金具本体の、前記表合成樹脂含有シートの外表面を被覆しており、かつ高周波誘導発熱が可能なメッシュ材をさらに含み、
前記表・裏合成樹脂含有シート材は、それぞれ、前記芯材の外周縁の少なくとも1部分又は全部の外側に伸び出て、互に対向している外縁部を有し、かつ、この外縁部は、その少なくとも2箇所において、互に接合又は連続しており、
前記メッシュ材の厚さが0.05〜1.0mmであり、かつその下記式により規定される前記メッシュ材の開口率;
メッシュ材開口率(%)
=〔(メッシュ材開口部の合計面積)/(メッシュ材面積)〕×100
が、25〜95%であり、
それによって、前記金具本体の芯材及びメッシュ材を高周波誘導発熱させることにより、前記表合成樹脂含有シート材の溶融体が、前記メッシュ材の開口部を通過して、前記金具本体を、前記メッシュ材を介して、前記被覆材料の裏面に、接合することができる
ことを特徴とする取り付け金具。 - 前記表・裏合成樹脂含有シートが、前記合成樹脂からなる1枚以上のシートと、1枚以上の繊維含有シートとの積層体である、請求項1に記載の取り付け金具。
- 前記芯材の、前記表・裏合成樹脂含有シートにより被覆されている部分の1以上の所定位置に、アンカーボルト用透孔が形成されており、かつ前記表・裏合成樹脂含有シート材に、前記芯材の透孔に連通する透孔が形成されている、請求項1又は2に記載の取り付け金具。
- 前記透孔を有する芯材の前記透孔の周囲部分が、裏側に伸び出て、突起部を形成し、この突起部の先端部において開口している、請求項3に記載の取り付け金具。
- 前記芯材の突起部が、前記裏側合成樹脂含有シートの透孔を通ってその外側に突出している、請求項4に記載の取り付け金具。
- 前記芯材の外周縁の1以上の部分又は全部に、裏側に伸び出る外周縁突出部が形成されている請求項3〜5のいずれか1項に記載の取り付け金具。
- 前記芯材の突起部の、前記透孔を囲む先端部の最外端が、前記芯材の前記裏側に伸び出た外周縁突出部の最外端よりもさらに外側に伸び出ている、請求項6に記載の取り付け金具。
- 前記芯材の、前記表・裏合成樹脂含有シート材により被覆されていない露出部分の、少なくとも1以上の所定位置に、アンカーボルト用透孔が形成されている、請求項1又は2に記載の取り付け金具。
- 前記芯材の、前記透孔の周囲部分が、裏側に伸び出て突起部を形成し、この突起部の先端部において開口している、請求項8に記載の取り付け金具。
- 前記芯材の外周縁の1以上の部分又は全部に、裏側に伸び出る外周縁突出部が形成されている、請求項8または9に記載の取り付け金具。
- 前記芯材の前記突起部の前記透孔を囲む先端部の最外端が、前記外周縁突出部の最外端よりもさらに外側に伸び出ている、請求項10に記載の取り付け金具。
- 前記芯材の前記突起部の先端部の外面に、前記アンカーボルトの脚部を通す透孔を有するクッション材がさらに配置されている、請求項4又は9に記載の取り付け金具。
- 構造物とそれを被覆する被覆材料との間に、請求項1又は2に記載の取り付け金具を配置し、この取り付け金具に、前記被覆材料を介して、高周波誘導加熱処理を施し、それによって、前記芯材及びメッシュ材を発熱させて、前記表合成樹脂含有シート材を溶融して、前記金具本体を前記メッシュ材を介して前記被覆材料の裏面に固着し、それと同時に前記裏合成樹脂含有シート材を溶融して、前記金具本体を前記構造物の表面に固着することを特徴とする、構造物に被覆材料を取り付ける方法。
- 構造物表面上の所定の位置に、請求項3〜12のいずれか1項に記載の取り付け金具の金具本体を配置し、取り付け金具本体の前記透孔を通して、アンカーボルトにより、前記構造物に固定し、この固定された金具本体上を前記メッシュ材により被覆し、
前記取り付け金具を介して、前記構造物表面を被覆材料により被覆し、
前記取り付け金具に、前記被覆材料を介して、高周波誘導加熱処理を施し、それによって、前記芯材及びメッシュ材を発熱させ、前記表合成樹脂含有シート材を溶融して、前記金具本体を前記メッシュ材を介して前記被覆材料の裏面に固定することを特徴とする、構造物に被覆材料を取り付ける方法。 - 前記構造物と被覆材料との間に配置された前記取り付け金具の位置を、金属探知機、又は磁石により検知する、請求項13又は14に記載の取り付け方法。
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