JP2005146254A - 芳香族ポリカーボネート、その製造法、芳香族ポリカーボネート組成物、それを用いた中空容器、及びそれを用いた押出成型品 - Google Patents
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Abstract
成形特性を維持しながら、色相に優れた、芳香族ポリカーボネートを提供すること。
【解決手段】
塩化メチレン溶媒中,20℃における極限粘度[η]が0.3以上1.0dl/g以内の
エステル交換法により得られる芳香族ポリカーボネートであって、分岐パラメーターG=[η]/[η]lin〔ここで、[η]linは光散乱法による重量平均分子量が同一の直鎖状ポリカーボネートの極限粘度である。〕が0.15以上0.85以内であり、一般式(1)で表される構造単位1モルに対する分岐構造単位の合計モル数の比が0.3mol%を越え0.8mol%以下であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネート組成物、それを用いた中空容器、及びそれを用いた押出成型品。
【選択図】 なし
Description
に特定の構造単位を特定量含有する芳香族ポリカーボネートは、成形特性が改良され、さらに優れた色相を有するものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、塩化メチレン溶媒中,20℃における極限粘度[η]が0
.3以上1.0dl/g以内のエステル交換法により得られる芳香族ポリカーボネートであって、分岐パラメーターG=[η]/[η]lin〔ここで、[η]linは光散乱法による重量平均分子量が同一の直鎖状ポリカーボネートの極限粘度である。〕が0.15以上0.85以内であり、一般式(1)で表される構造単位1モルに対する分岐構造単位の合計モル数の比が0.3mol%を越え0.8mol%以下であることを特徴とする芳香族ポリカーボネートに存する。
さらに、本発明の別の要旨は、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とを反応させて、芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属量として、1.1以上5μ以下のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を使用することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法に存する。
本発明の別の要旨は、上記の芳香族ポリカーボネートと染料を含有する芳香族ポリカーボネート組成物において、染料が、フタロシアニンブルー系染料又はアンスラキノン系染料から選ばれた1種以上の化合物であり、該染料の含有量がを0.01重量ppm以上100重量ppm以下である芳香族ポリカーボネート組成物に存する。
さらに、本発明の別の要旨は、上記の芳香族ポリカーボネートまたは芳香族ポリカーボネート組成物を押し出し成形して成る成形品に存する。
芳香族ポリカーボネートの製造方法
本発明の芳香族ポリカーボネートは、ポリエステルカーボネートやポリアリレートを実
質的に含まれていても良く、原料として芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用い、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応(溶融重縮合反応)させることにより得ることができる。
炭酸ジエステル
本発明で使用される炭酸ジエステルは下記の一般式(6)で表される。
上記一般式(7)で表される炭酸ジエステルは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカーボネート、及びジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特にジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは単独、あるいは2種以上を混合してもよい。
また、上記のような炭酸ジエステルと共に、好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下の量でジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステルを使用しても良い。このようなジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が用いられる。このようなジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステルを炭酸ジエステルと併用した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
芳香族ジヒドロキシ化合物
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、通常、下記式(7)で表される。
上記式(8)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」ともいう)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が例示されるが、特に好ましくは、ビスフェノールAが挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独でも2種以上の混合物でもよい。
してビスフェノールAが用いられ、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートが用いられるが、ジフェニルカーボネートはビスフェノールA1モルに対して、1.01〜1.30モル、好ましくは1.02〜1.20の量で用いられることが好ましい。モル比が1.01より小さくなると、製造された芳香族ポリカーボネートの末端OH基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、また、モル比が1.30より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望とする分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造が困難となるばかりか、製造された芳香族ポリカーボネート中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが成形時、または成形品の臭気の原因となり好ましくない。
本発明で、エステル交換触媒としては、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が単独で使用されことが特に好ましい。
アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
また、最終横型重合槽の滞留時間は50〜140分の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、60〜130分の範囲である。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよいが、連続式の方が特に好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネートは、塩化メチレン溶媒中,20℃における極限粘度[
η]が0.3以上1.0dl/g以内であり、好ましくは、0.35以上0.9dl/g以内であり、さらに好ましくは、0.4以上0.8dl/g以内である。極限粘度[η]が0.30dl/g未満のものは、耐衝撃性等の機械的強度が低下するので好ましくなく、1.0dl/gを越えるものは、流動性が低下し、成形が困難であるので好ましくない。
重量ppm以下まで下げるのが困難であり好ましくない。
η]が0.3以上1.0dl/g以内のエステル交換法により得られる芳香族ポリカーボネートであって、さらに分岐パラメーターG=[η]/[η]lin〔ここで、[η]linは光散乱法による重量平均分子量が同一の直鎖状ポリカーボネートの極限粘度である。〕が0.15以上0.85以内の範囲内であることが必要であることを特徴の一つとしている。分岐パラメーターGが0.85を超える分岐状ポリカーボネートでは、ブロー成形などの押出成形特性が不十分となり、0.15未満では溶融張力が大きすぎて、流動性が低下する傾向がある。
前記分岐パラメーターGの好ましい範囲としては、0.2以上0.8以内であり、更に好ましくは0.25以上0.75以内の範囲内である。
本発明の分岐パラメーターGは芳香族ポリカーボネートの極限粘度[η](塩化メチレン溶媒中、20℃における極限粘度)及びそれと同じ重量平均分子量の直鎖状ポリカーボネートの極限粘度[η]Lin(塩化メチレン溶媒中、20℃における極限粘度)の比、即ちG=[η]/[η]Linで定義される。なお重量平均分子量は光散乱法で測定したものである。[η]Linは、芳香族ジヒドロキシ化合物がビスフェノールAの場合にはSchultzの粘度式[η]Lin=1.11×10-4Mw0.82から算出し、ビスフェノールA以外の芳香族ジヒドロ
キシ化合物の場合には直鎖芳香族ポリカーボネートの極限粘度と重量平均分子量の経験的な関係より算出した。
また、上記式(1)で表される構造単位1モルに対する上記式(2)〜(5)で表される分岐構造単位の合計モル数の比は、製造された芳香族ポリカーボネートをアルカリ加水分解後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)等により各々の異種構造単位の量を、容易に求められるが、上記式(2)〜(5)で表される構造単位は、該アルカリ加水分解後の、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等では、それぞれ下記式(8)〜(11)の化合物として検知される。
また、本発明の芳香族ポリカーボネートは、キャピラリーレオメーター(東洋精機(株)製)を用いて、250℃で、押出速度=10mm/min、引取速度=20mm/minで測定した溶融張力が30〜150mNの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、溶融張力が40〜130mNの範囲である。溶融張力が上記範囲より小さいと、樹脂が形態を維持できず、目標とする成形特性の優れた芳香族ポリカーボネートが製造できない。また、上記範囲より大きいと、溶融張力が大きすぎて、流動性が劣り、目標とする成形特性の優れた芳香族ポリカーボネートが製造できない。
本発明のエステル交換法で製造された芳香族ポリカーボネート中には、通常、原料モノマー、触媒、エステル交換反応で副生する芳香族モノヒドロキシ化合物、ポリカーボネートオリゴマー等の低分子量化合物が残存している。なかでも、原料モノマーと芳香族モノヒドロキシ化合物は残留量が多く、耐熱老化性、耐加水分解性等の物性に悪影響を与え好ましくない。この様な見地から、本発明の芳香族ポリカーボネートでは、芳香族ジヒドロキシ化合物の残存量は300重量ppm以下であることが好ましく、また、芳香族モノヒドロキシ化合物は300重量ppm以下であることが好ましい。さらに原料モノマーのうち炭酸ジエステル化合物は溶融成形時あるいはブロー成形による中空容器に臭気が残り、特に食品用途に使用する場合に、この臭気が問題となるので、ポリカーボネート中の炭酸ジエステル化合物残存量は好ましくは200重量ppm以下、さらに好ましくは100重量ppm以下、最も好ましくは60重量ppmになるよう除去する必要がある。
エステル交換法ポリカーボネート中の原料モノマーと芳香族モノヒドロキシ化合物の残存量を減少させる方法は特に制限はなく、例えば、重合後、ベント式の押出機により連続的に脱揮することにより、エステル交換法ポリカーボネート中の残存炭酸ジエステル化合物等を除去する方法、得られたペレットを減圧下で加熱処理する等の方法が可能である。こ
れらの方法の内、ベント式の押出機により連続的に脱揮する場合には、樹脂中に残留している塩基性エステル交換触媒を、あらかじめ酸性化合物又はその前駆体を添加し、失活させておくことにより、脱揮中の副反応を抑え、効率よく原料モノマーである芳香族ジヒドロ化合物と炭酸ジエステル化合物及び芳香族モノヒドロキシ化合物を除去することができる。
これらの酸性化合物又はその前駆体の添加量は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の中和量に対して、0.1〜50倍モル、好ましくは0.5〜40倍モルの範囲で添加する。酸性化合物又はその前駆体を添加する時期としては、重縮合反応後であれば、いつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する方法等のいずれの方法でもよい。
本発明に関わる芳香族ポリカーボネートには、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、離
型剤などから選ばれた少なくとも1種の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、特に制限は無く、通常ポリカーボネートに使用されているものが使用できる。
安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、リン化合物、イオウ化合物、エポキシ化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。これらの中で、ヒンダードフェノール化合物及びリン化合物から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤が好ましく用いられる。
安定剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート100重量部に対して1重量部以下であり
、好ましくは0.4重量部以下である。1重量部を超えると耐加水分解性が悪化する等の問題がある。また、安定剤を併用して使用する場合の配合比率は任意に決定することができ、また、いずれを使用するか、又は併用するかは、ポリカーボネートの用途等によって適宜決定される。例えば、リン化合物は、一般にポリカーボネートを成形する際の高温下における滞留安定性、及び成形品の使用時の耐熱安定性に効果が高く、フェノール化合物は、一般に耐熱老化性等のポリカーボネートを成形品とした後の使用時の耐熱安定性に効果が高い。また、リン化合物とフェノール化合物を併用することによって、着色性の改良効果が高まる。
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノールである。
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、数平均分子量200
〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれた少なくとも1種の化合物である。これらの中で、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。
はトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
本発明に関わる着色剤及び安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤の添加時期、添加方法については特に制限は無く、例えば添加時期としては、1)重合反応の途中、2)重合反応終了時又は3)重合に使用した触媒を触媒失活剤で失活後、ペレット化する前、さらにはポリカーボネート等の混練途中等のポリカーボネートが溶融した状態で添加することができるが、ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネートとブレンド後、押出機等で混練するも可能である。しかし、1)重合反応の途中、2)重合反応終了時又は3)重合に使用した触媒を触媒失活剤で失活後、ペレット化する前のいずれかに添加することが、これら添加剤の分解を抑制し、着色抑制の観点から好ましい。
本発明は、上記のポリカーボネートに、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂、難燃剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤等の添加剤を添加した、所望の物性を有するポリカーボネート樹脂組成物をも対象とする。
本発明のブロー成形して得られる中空容器は、ダイレクトブローの他、インジェクションブロー、インジェクションストレッチブロー等の通常公知のブロー成形方法を適用することによって中空容器を成形することができる。例えば、ダイレクトブロー成形に於いては、シリンダー設定温度240〜270℃の単軸又は二軸押出機に、ポリカーボネートペレットを供給し、スクリュー剪断下で溶融・混練し、ノズルを通してチューブ状の溶融パリソンを押出し、その後所定の形状を有し、70〜110℃に設定した金型内に挟み込み、空気又は不活性ガスをブローすることにより食品容器が成形される。さらに乳製品ボトル、清涼飲料水ボトル、又は水ボトルの場合には、特開平6−122140号公報等に開示されている二軸延伸ブロー成形でも成形でき、ポリカーボネートのガスバリヤー性を改良するためにポリエチレンテレフタレートや、ポリアミドとの多層ブロー成形でも成形できる。
本発明のブロー成形して得られる中空容器の大きさは特に制限はないが、肉厚は、中空容器の強度及び形状保持の観点から、0.1〜7mmが好ましく、更に好ましくは0.2〜5mmであり、最も好ましくは0.3〜3mmである。 本発明のブロー成形して得られる中空容は、多種多様の用途に使用出来るが、好ましくは乳製品ボトル、清涼飲料水ボトル、水ボトルである。
本発明の押出成形用ポリカーボネートは、ポリッシングロールを備えた通常のシート成形、波板やパイプ成形、ツインウオール等の異形押し出し等公知の押出成形方法を適用することによって成形品を成形することができるが、この中で異形押し出しに特に好適に使用できる。例えば、シリンダー設定温度240〜290℃の単軸又は二軸押出機に、ポリカーボネートペレットを供給し、スクリュー剪断下で溶融・混練し、ダイヘッドを通して一定形状で溶融樹脂を押出し、その後所定の形状を有し、20〜110℃に温度設定されたフォーマー、サイジングダイまたはポリッシングロール等で冷却し、形状固定することにより成形される。
らにポリカーボネートのガスバリヤー性を改良するためにポリエチレンテレフタレートや、ポリアミドとの多層押し出し成形にも使用できる。
以下の実施例及び比較例で、使用されたビスフェノールA及び得られた芳香族ポリカーボネートの分析は、以下の測定法を用いて行った。
(1)極限粘度[η]
極限粘度[η]は、ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレンの粘度η0および芳香族ポリカーボネート(試料)の塩化メチレン溶液粘度ηを20℃で、種々のポリカーボネート濃度cの範囲にわたって測定した。極限粘度は下記式により求めた。
によって求めたものである。
c → 0
重量平均分子量は光散乱法により測定、[η]Linは、芳香族ジヒドロキシ化合物がビ
スフェノールAの場合にはSchultzの粘度式[η]Lin=1.11×10-4Mw0.82から算出し、ビスフェノールA以外の芳香族ジヒドロキシ化合物の場合には直鎖状ポリカーボネートの極限粘度と重量平均分子量の経験的な関係を用いて算出した。
(3)分岐パラメーター(G)
分岐パラメーターGは該分岐状ポリカーボネートの極限粘度[η](塩化メチレン溶媒中、20℃における極限粘度)及びそれと同じ重量平均分子量の直鎖状ポリカーボネートの極限粘度[η]Lin(塩化メチレン溶媒中、20℃における極限粘度)の比、即ちG=[η
]/[η]Linで算出した。
(4)分岐化度(mol%)
分岐化度は、上記式(2)で表される構造単位1モルに対する上記式(3)〜(6)で表される分岐構造単位の合計モル数の比(mol%)で表される。具体的には、各々の構造単位の含有量は下記のようにして、求められる。
加水分解物0.05gをアセトニトリル10mlに溶解し、逆相の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用し測定を行った。逆相液体クロマトグラフィーは、溶離液としてアセトニトリルと10mM酢酸アンモニウム水溶液とからなる混合溶媒を用い、アセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム水溶液比率を20/80からスタートし80/20までグラジュエントする条件下、カラム温度40℃で測定を行い、検出は波長280nmのUV検出器((株)島津製作所製、SPD−6A)を用いた。
130℃で、5時間乾燥した芳香族ポリカーボネート(試料)から射出成形機を用い以下の条件で成形品を得た。
YI=(100/Y)×(1.28×X−1.06×Z)
このYI値が大きいほど着色していることを示す。
(5)溶融張力(mN)
キャピラリーレオメーター(東洋精機(株)製)を用いて、130℃で、5時間乾燥した試料について、250℃で、押出速度=10mm/min、引取速度=20mm/minで測定した。
130℃で、5時間乾燥した試料について、押出機により250℃で溶融した樹脂を金型に供給した後、18Lのボトルをブロー成形し、成形性を確認した。
(8)パイプ成形性試験
50mm単軸押し出し機を用いて、バレル温度255〜270℃、スクリュー回転
数:41rpmでポリカーボネートを押し出し、ダイヘッド部の外径4.1mm、内径3.8mm、の条件で円筒形に異形押出しを行う際、パイプ引き取り速度を変えて、パイプが安定して成形できる引き取り速度範囲を調べた。
(9)ツインウオールシート成形
単軸押し出し機を用いて、バレル温度250〜265℃で製品厚み6mmのツインウ
オールを成形し、成形品を手で折り曲げ、クラック発生の有無を確認した。
ジフェニルカーボネートとビスフェノールAとを、窒素ガス雰囲気下、一定のモル比(DPC/BPA=1.045)に混合調製した溶融液を、88.7kg/時の流量で、原料導入管を介して、220℃、1.33×104 Paに制御した容量100Lの第1竪型撹拌重合槽内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。また、上記混合物の供給を開始すると同時に、触媒として、炭酸セシウム水溶液をビスフェノールA1モルに対し、0.7μモル(金属量として、ビスフェノールA1モルに対し、1.4μモル)の割合で連続供給した。
極限粘度[η]0.48のポリカーボネートが得られ、重量平均分子量、分岐パラメーター、分岐化度、色相(YI)および溶融張力の測定、ブロー成形性、パイプ成形性試験及びツインウオールシート成形を実施した。結果を表−1に示す。
実施例1において、表−1に記載の条件で製造した以外は実施例1と同様の方法で重合を行い、芳香族ポリカーボネートを製造した。結果を表−1に示した。
Claims (16)
- 塩化メチレン溶媒中,20℃における極限粘度[η]が0.3以上1.0dl/g以内
のエステル交換法により得られる芳香族ポリカーボネートであって、分岐パラメーターG=[η]/[η]lin〔ここで、[η]linは光散乱法による重量平均分子量が同一の直鎖状ポリカーボネートの極限粘度である。〕が0.15以上0.85以内であり、一般式(1)で表される構造単位1モルに対する分岐構造単位の合計モル数の比が0.3mol%を越え0.8mol%以下であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート。
らなる群から選ばれるものである。) - 式(1)で表される構造単位1モルに対する式(4)で表される分岐構造単位の合計モル数の比が0.0001以上0.15mol%以下である請求項1乃至2のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート。
- 式(1)で表される構造単位1モルに対する式(5)で表される分岐構造単位の合計モル数の比が0.0001以上0.15mol%以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート。
- 前記芳香族ポリカーボネート重量平均分子量が20,000以上100,000以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート。
- 上記分岐単位が、芳香族ポリカーボネートの製造反応工程における芳香族ポリカーボネートの転位反応に由来するものである請求項1乃至5に記載の芳香族ポリカーボネート。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法において、炭酸
ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とを反応させて、芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属量として、1.1以上5μ以下のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を使用することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 少なくとも2以上の重合槽により重合する工程を含む芳香族ポリカーボネートの製造方法であって、最終重合槽が横型であり、最終重合槽での反応温度が280℃以上300℃以下の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 請求項1乃至6に記載の芳香族ポリカーボネート及び染料を含有する芳香族ポリカーボネート組成物において、染料が、フタロシアニンブルー系染料又はアンスラキノン系染料から選ばれた1種以上の化合物であり、該染料の含有量が0.01重量ppm以上100重量ppm以下である芳香族ポリカーボネート組成物。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートをブロー成型して得られる中空容器。
- 請求項9に記載の芳香族ポリカーボネート組成物をブロー成型して得られる中空容器。
- 中空容器が乳製品ボトル、清涼飲料水ボトル、又は水ボトルである請求項10又は11に記載の中空容器。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネートを含有する組成物を押し出し成形して成る成形品。
- 押し出し成形品がシートである事を特徴とする請求項13記載の押し出し成形品。
- 押し出し成形品が異型押し出しにより成形されたものであることを特徴とする請求項13記載の押し出し成形品。
- 押し出し成形品がツインウオールシートまたはマルチウオールシートである事を特徴とする請求項13記載の押し出し成形品。
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