JP2004018713A - ポリカーボネート及びそれを用いた成形体 - Google Patents

ポリカーボネート及びそれを用いた成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な機械的特性等を有し、かつドローダウン性が良好でブロー成形に適し、色相及び耐加水分解性に優れたポリカーボネートを提供する。
【解決手段】主たる繰り返し単位が下記式(A)で表されるポリカーボネートであって、重クロロホルムを溶媒として測定されるH−NMRスペクトルが、δ=7.96〜8.02ppmに検出されるシグナル(a)及びδ=8.11〜8.17ppmのシグナル(b)を示し、各シグナルの積分値の合計から計算されるポリカーボネート1g中のプロトンモル数(Pa)及び(Pb)が下記式(1)及び(2)を満たし、且つ粘度平均分子量Mvが18,000〜50,000であるポリカーボネートである。但し、Mvは粘度平均分子量であり、(Pa)及び(Pb)の単位はμモル/gである。
式(A)
Figure 2004018713

Figure 2004018713

【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロー成形に適したポリカーボネート及び該ポリカーボネートのブロー成形体に関し、更に詳しくは、H−NMRスペクトル中の特定のシグナルを追跡することによって解析可能な、ドローダウン性が良好でブロー成形に適し、色相及び衝撃強度に優れたポリカーボネート及び該ポリカーボネートのブロー成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、耐熱性、機械的特性、寸法安定性及び透明性等に優れた樹脂として、飲料水等の中空容器をはじめ、種々の用途に用いられている。
一般的な用途に使用されるポリカーボネートは、直鎖状の分子構造を有するものであるが、この様な分子構造を有するポリカーボネートは、溶融成形時にドローダウンが大きく、ブロー成形性に難点があり、改良が望まれていた。ポリカーボネートのドローダウン性等の溶融特性は、ポリカーボネートを分岐化させることによって改善し得ることが知られている。分岐状のポリカーボネートは、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」又は「BPA」と略称する。)とともに、分岐化剤として、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の多官能化合物を、界面重合させることによって製造することができる(特公昭44−17149号公報、特公昭47−2918号公報、特開平2−55725号公報、特開平4−89824号公報等)。
【0003】
しかしながら、均一な肉厚を有する中空容器等のブロー成形体を安定して成形するのに十分なドローダウン性を有する分岐化ポリカーボネートを製造するには、多量の多官能化合物を共重合する必要があり、多官能化合物による製品ポリカーボネートの着色、製造ラインの汚染、コスト上昇等の問題があった。
これらの問題点を解決するために、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とを用いたエステル交換反応法においても、種々の試みがなされているが、分岐化剤が高温で分解等を起こして、分岐の効果が現れず、さらに溶融成形時に着色を引き起こす等、満足のいくものが得られていなかった(特開平4−89824号公報、特開平6−136112号公報、特公平7−37517号公報、特公平7−116285号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、ポリカーボネート本来の機械的特性及び透明性を有するとともに、ドローダウン性が良好でブロー成形に適し、色相及び耐加水分解性に優れるポリカーボネート及び該ポリカーボネートからブロー成形された成形体を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネートのH−NMRスペクトル中の特定のケミカルシフト範囲に生じるシグナルの強度が、ポリカーボネートのブロー成形性をはじめとる種々の特性と相関しているとの知見を得、この知見に基づいてさらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、前記課題を解決するため、本発明のポリカーボネートは、主たる繰り返し単位が下記式(A)で表されるポリカーボネートであって、重クロロホルムを溶媒として測定されるH−NMRスペクトル中のδ=7.96〜8.02ppmに検出されるシグナル(a)及びδ=8.11〜8.17ppmに検出されるシグナル(b)の各々の積分値から算出されるポリカーボネート1g中のプロトンモル数(Pa)及び(Pb)が、下記式(1)及び(2)を満たし、且つ粘度平均分子量Mvが18,000〜50,000であることを特徴とする。但し、下記数式中、Mvは粘度平均分子量であり、(Pa)及び(Pb)の単位はμモル/gである。
【0007】
式(A)
【化2】
Figure 2004018713
【0008】
【数3】
Figure 2004018713
【0009】
本発明の好ましい態様として、重クロロホルムを溶媒として測定されるH−NMRスペクトル中のδ=10.35〜10.50ppmに検出されるシグナル(c)の積分値から算出されるポリカーボネート1g中のプロトンモル数(Pc)と前記(Pa)との比(Pc)/(Pa)が0.4以下であり、且つ前記(Pa)と前記(Pb)との比(Pa)/(Pb)が0.7〜3.0の範囲である上記ポリカーボネート;および前記(Pc)及び前記(Pb)が、下記式(3)を満たす上記ポリカーボネート(但し、下記数式中、(Pb)及び(Pc)の単位はμモル/gである);が提供される。
【0010】
【数4】
Figure 2004018713
【0011】
また、本発明のポリカーボネートは、エステル交換反応法によって得られた、即ち、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重合触媒の存在下でエステル交換させて得られたポリカーボネートであるのが好ましい。エステル交換反応によって得られたポリカーボネートは、微量のモノマーを含む場合があるが、残存モノマー等は少ないのが好ましい。本発明の好ましい態様は、芳香族モノヒロドキシ化合物の残存量が200重量ppm以下、芳香族ジヒドロキシ化合物の残存量が100重量ppm以下及び炭酸ジエステル化合物の残存量が200重量ppm以下である上記ポリカーボネートである。
【0012】
また、前記課題を解決するため、本発明は上記ポリカーボネートを含有する組成物をブロー成形してなる成形体を提供する。
本発明の成形体の一態様として、乳製品ボトル、清涼飲料水ボトル又は水ボトルが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のポリカーボネートは、重クロロホルムを溶媒として測定されるH−NMRスペクトル中のδ=7.96〜8.02ppmに検出されるシグナル(a)及びδ=8.11〜8.17ppmに検出されるシグナル(b)の各々の積分値から算出されるポリカーボネート1g中のプロトンモル数(Pa)及び(Pb)が、下記式(1)及び式(2)を満たし、且つ粘度平均分子量が18,000〜50,000(好ましくは20,000〜35,000、さらに好ましくは23,000〜32,000)である。
【0014】
【数5】
Figure 2004018713
(但し、下記数式中、Mvは粘度平均分子量であり、(Pa)及び(Pb)の単位はμモル/gである。)
【0015】
{(Pa)+(Pb)}が式(1)又は式(2)の下限より小さくなると、ドローダウンが大きくなり、ブロー成形性が劣る。一方、式(1)又は式(2)の上限より大きくなると、色相の悪化や衝撃強度の低下が起こり好ましくない。さらに、粘度平均分子量が18,000未満では成形時のドローダウンを下げるために必要な分岐量が多くなり、ゲルの生成や衝撃強度の低下が起こり、50,000を越えると押出し特性が低下するので好ましくない。本発明では、H−NMRの特定のシグナルから算出されるプロトン数、及び粘度平均分子量を前記範囲に調整することによって、溶融成形時のドローダウン性が良好でブロー成形に適し、耐衝撃性及び色相の優れたポリカーボネートとしている。
【0016】
本発明のポリカーボネートは、重クロロホルムを溶媒として測定されるH−NMRスペクトル中のδ=10.35〜10.50ppmに検出されるシグナル(c)の積分値から算出されるポリカーボネート1g中のプロトンモル数(Pc)と前記(Pa)との比(Pc)/(Pa)が、0.4以下であり、且つ前記(Pa)と前記(Pb)との比(Pa)/(Pb)が0.7〜3.0である、及び/又は、前記(Pc)及び前記(Pb)が下記式(3)を満たす、のが好ましい。
【0017】
【数6】
Figure 2004018713
(但し、(Pb)及び(Pc)の単位はμモル/gである。)
【0018】
式(3)の上限を越えると、ポリカーボネートの色相が悪化し、下限を下回るとブロー成形時のドローダウン性が大きくなる傾向にある。また、(Pa)/(Pb)が3.0より大きくなると樹脂の色相が悪化する傾向にあり、0.7より小さいとブロー成形性が悪化する傾向にあるので好ましくない。また、(Pc)/(Pa)が0.4より大きいと、ブロー成形性が悪化する傾向がある。
【0019】
本発明のポリカーボネートの前記シグナル(b)及び(c)については、Polymer,42(2001)7653にそれぞれサリチル酸フェニル構造の分岐骨格とサリチル酸フェニル構造の未分岐骨格由来のシグナルであるとされている。ブロー成形性の改善が、前記シグナル(b)が帰属するサリチル酸フェニル構造の分岐骨格のみに依存すると考えると、ポリカーボネート中のシグナル(b)の強度が強いほど、ポリカーボネートのブロー成形性は改善されることになる。しかし、本発明者の検討によると、シグナル(b)の強度が高くなるだけではブロー成形性を制御することが困難であることが明らかになった。
【0020】
Polymer,42(2001)7653に記載されている様に、エステル交換反応法によって製造されたポリカーボネートには、前記シグナル(b)が帰属する分岐構造以外の分岐構造の存在が知られている。シグナル(b)が帰属する分岐構造以外の分岐構造が、H−NMRにおいていずれの位置にシグナルを示すか、前記シグナル(b)が帰属する構造以外の分岐構造が何種類あるかについては定かではないが、本発明者の検討で、前記シグナル(a)の強度と、ポリカーボネートのブロー成形性とには相関関係があることが明らかとなった。前記シグナル(a)がどの様な化学構造に由来するか明らかでなく、さらに1種類の化学構造に由来するとは限らず、前記シグナル(a)は、構造の類似した複数の化学構造種のシグナルが特定範囲に現れたものの合計量である可能性はあるが、本発明は、前記シグナル(a)と(b)の積分値の和{(Pa)+(Pb)}が特定範囲にあることが、ポリカーボネートのブロー成形性に重要であることを見出したものである。従って、{(Pa)+(Pb)}が式(1)又は式(2)の下限を下回ると、成形時のドローダウンが大きくなりブロー成形性が悪化する。一方、式(1)又は式(2)の上限を上回るとスエルが大きくなり過ぎ、ブロー成形性が悪化し、衝撃強度も低下する。
【0021】
ここで、Polymer,42(2001)7653には、シグナル(a)には未分岐のサリチル酸フェニル構造由来の構造と、未知構造が含まれていることが示されている。本発明では、シグナル(a)中の未分岐のサリチル酸フェニル構造の割合は、40%以下であることが好ましい。シグナル(a)中の未分岐のサリチル酸フェニル構造の量は、シグナル(a)の積分値を分割して求めることもできるが、精度よく分離することが困難である場合が多く、このためシグナル(c)を用いて、(Pc)/(Pa)で求めることが好ましい。(Pc)/(Pa)の値は、好ましくは0.4以下であり、さらに好ましくは0.2以下である。(Pc)/(Pa)の比が0.4より大では、成形時のドローダウンが大きく、ブロー成形性が悪化する傾向がある。
【0022】
前記シグナル(a)と前記シグナル(b)のブロー成形性への影響の程度については定かでないが、ブロー成形性の改善に対する寄与は、シグナル(a)の方が優勢であると推測される。一方、シグナル(b)はポリカーボネートが着色してしまうのを抑制するのに大きく寄与するものと考えられる。従って、着色に影響あるがドローダウンに有効な(Pa)とドローダウンにあまり有効でないが着色し難い(Pb)とのバランスも、ポリカーボネートが種々の特性をバランスよく維持することに重要である。この様な観点から、シグナル(a)とシグナル(b)はともに存在するのが好ましく、(Pa)/(Pb)は0.70〜3.0であるのがさらに好ましい。前記比(Pa)/(Pb)が0.70未満では{(Pa)+(Pb)}が式(1)を満足していてもブロー成形性の改善効果が不充分の場合があるが、前記比(Pa)/(Pb)が3を越えるとポリカーボネートの着色が著しくなる傾向がある。上記Polymer,42(2001)7653の開示内容に従えば、シグナル(b)及びシグナル(c)はそれぞれ、サリチル酸フェニル構造の分岐骨格由来及びサリチル酸フェニル構造の未分岐骨格由来のシグナルであるので、分岐構造を増やす(シグナル(b)の強度を高くする)ために未分岐構造を減らし過ぎる(シグナル(c)の強度を低下させ過ぎる)と、ポリカーボネートは着色してしまう傾向がある。この様に、本発明のポリカーボネートの好ましい態様は、前記シグナル(a)、(b)及び(c)が、上記式(1)、(2)及び(3)を満足する範囲で、バランス良く存在する態様である。
【0023】
本発明のポリカーボネートに適用したH−NMRスペクトルの測定は、本発明のシグナル強度が非常に小さいことから、特に高感度で行う必要がある。例えば、操作周波数が400MHz程度以上のNMR分光器で、ポリカーボネート溶液濃度10〜20重量%として6000回以上積算することで、定量するに充分なシグナル/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。また、定量方法に関しては、通常基準シグナルとして使用される、ポリカーボネート繰り返し構造単位中のメチル基等では十分な定量性は得られないので、ポリカーボネートのシグナルが無い部分にシグナルを有する、テトラフェニルメタン(TPM)等の基準物質を少量添加することで定量を行う必要がある。
尚、シグナル(a)中にPolymer,42(2001)7653に記載の未分岐サリチル酸フェニル構造の存在が確認できるにもかかわらず、シグナル(c)が検出されない場合には、測定の分解能が不足していると考えられる。かかる場合には、積算回数をさらに増やすことが必要であるが、上記文献に従って、δ=8.00〜8.02ppm付近に検出されるシグナルの積分値から(Pc)を求めることも可能である。但し、この場合は測定誤差が大きくなる。
【0024】
本発明のポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを原料とするエステル交換反応により製造することができる。
【0025】
前記エステル交換反応法において、原料の一つとして用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(A−1)で表される化合物が好ましい。
【0026】
一般式(A−1)
【化3】
Figure 2004018713
【0027】
前記一般式(A−1)中、Aは単結合、置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−又は−SO−を表し、X及びYは各々独立して、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表し、p及びqは各々独立して、0又は1の整数を表す。
【0028】
代表的な芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。さらに、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を分岐化剤として少量併用することもできるが、分岐化剤は使用しないことが好ましい。
【0029】
これらの芳香族ジヒドロキシ化合物の中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という場合、もしくは「BPA」と略記する場合がある)が特に好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、微量成分として上記H−NMRのシグナル(a)、(b)又は(c)を示す成分を含んでいてもよいが、上記シグナル(a)、(b)及び(c)のいずれのシグナルも実質的に存在しないことが好ましい。ここで「実質的に」とは、芳香族ジヒドロキシ化合物1gあたり、シグナルの積分値の合計から計算されたプロトンモル数がそれぞれ1μモル/g未満(好ましくは0.1μモル/g未満)のことをいう。
【0030】
前記エステル交換反応法において用いられる他の原料である炭酸ジエステルとしては、下記一般式(A−2)で表される化合物であるのが好ましい。
【0031】
一般式(A−2)
【化4】
Figure 2004018713
【0032】
前記一般式(A−2)中、A及びAは各々独立して、置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状の1価の炭化水素基を表す。
【0033】
代表的な炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表される置換ジフェニルカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネート;等が挙げられる。
【0034】
また、上記の炭酸ジエステルのうち、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで代替して、芳香族ヒドロキシ化合物とエステル交換反応させることもできる。代表的なジカルボン酸及びジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。この様なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを併用した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。これらの炭酸ジエステルは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記する場合がある)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
【0035】
炭酸ジエステルの使用量(上記ジカルボン酸又はジカルボン酸のエステルを併用する場合は、炭酸ジエステルの使用量に、ジカルボン酸又はジカルボン酸のエステルの使用量を含めることとする。以下同じ)と芳香族ヒドロキシ化合物の使用量は、得られるポリカーボネートの末端OH基含有量、及びエステル交換反応速度に影響する。炭酸ジエステルは、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、過剰に用いられる。すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対してモル比が1.001〜1.3であるのが好ましく、1.01〜1.2であるのがより好ましい。モル比が1.001未満であると、製造されたポリカーボネートの末端OH基が増加して、熱安定性及び耐加水分解性が悪化する。一方、モル比が1.3を超えると、ポリカーボネートの末端OH基は減少するが、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望の分子量のポリカーボネートを製造することが困難になる傾向がある。本発明のポリカーボネートは、末端OH基含有量が50〜1500ppmであるのが好ましく、100〜1200ppmがより好ましく、200〜1000ppmがさらに好ましい。
【0036】
次に、本発明のポリカーボネートの製造例について説明する。
まず、原料混合槽へ原料である炭酸ジエステル、芳香族ヒドロキシ化合物及び所望により添加される種々の添加剤を供給する。液体状態で供給する方が計量精度を高く維持し易いので、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルのうち一方又は両方を溶融させて、液体状態で供給することが好ましい。液体状態で原料を供給する場合には、計量装置としては、オーバル流量計、マイクロモーション式流量計等を用いることができる。
一方、固体状態で原料を供給する場合には、スクリュー式フィーダーのような容量を計量するものよりも、重量を計量するものを用いるのが好ましく、べルト式、ロスインウェイト式等の重量フィーダーを用いることができるが、ロスインウェイト方式が特に好ましい。
【0037】
エステル交換反応法によりポリカーボネートを製造する際には、通常、触媒が使用される。本発明のポリカーボネートを製造する際に用いる触媒の種類については特に制限はないが、一般的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物を使用することができる。中でもアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が特に好ましい。これらは、1種類で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
アルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの水酸化物、炭酸塩ならびに炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化合物、同アルカリ金属のアルコラート、フェノラート及び有機カルボン酸塩等の有機アルカリ金属化合物等がある。これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、より具体的には、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム及び水酸化セシウムが好ましい。
【0039】
また、アルカリ土類金属化合物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムの水酸化物、並びに炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物、同アルカリ土類金属のアルコラート、フェノラート及び有機カルボン酸塩等の有機アルカリ土類金属化合物等がある。
これらの触媒の中でも、前述の関係式を満たすシグナルを含むH−NMRを示すポリカーボネートを高い生産性で製造するには、アルカリ金属化合物を用いるのが好ましい。
【0040】
上記エステル交換触媒は、溶媒に溶解した触媒溶液の形態で用いることができれる。前記溶媒としては、例えば、水、アセトン、アルコール、トルエン、フェノールの他、原料芳香族ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステル等を溶解する溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では水が好ましく、特にアルカリ金属化合物を触媒とする場合には、水溶液とするのが好ましい。触媒の使用量は、アルカリ金属触媒の場合には、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対してアルカリ金属が4×10−7〜1×10−5モルであるのが好ましく、1×10−6〜6×10−6モルであるのがより好ましい。触媒の使用量が上記量未満であると、所望の分子量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得難くなり、重合時の滞留時間を長くしたり、温度を上げる必要が生じる。その結果、色相が悪化し、H−NMRのシグナル(a)及び(b)の構造が十分に得られない。一方、触媒量が多過ぎても、色相や耐加水分解性が悪化し、さらに機械的強度や透明性の低下にもつながり、好ましくない。前記範囲であると良好な特性のポリカーボネートを高い生産性で製造することができる。
【0041】
本発明のポリカーボネートは、上記した様に、エステル交換反応法により製造されるのが好ましい。通常の溶融法ポリカーボネート製造設備により重合可能であり、触媒種、触媒量、モノマー仕込み比、重合温度、滞留時間、減圧度等の重合条件を調整することで、所望のH−NMRスペクトル及び所望の粘度平均分子量を示す本発明のポリカーボネートを製造することができる。
例えば、重合反応(エステル交換反応)は、一般的には2以上の重合槽での反応、すなわち2段階以上、通常3〜7段の多段工程で連続的に実施されることが好ましい。具体的な反応条件としては、温度:150〜320℃、圧力:常圧〜2.0Pa、平均滞留時間:5〜150分の範囲とし、各重合槽においては、反応の進行とともに副生するフェノールの排出をより効果的なものとするために、上記反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。なお、得られるポリカーボネートのH−NMRシグナル(a)及び(b)は、使用するアルカリ金属触媒が多いほど大きく、(Pa)/(Pb)比及び式(3)の値は、滞留時間が長いほど大きくなる傾向にある。
なお、多段工程で重合槽を複数用いる場合の実際の触媒量の自動制御は、触媒の供給量を連続的に自動制御することが好ましく、その場合は、第1重合槽の滞留時間の1/3以内に測定及び制御が完了していることが必要である。
【0042】
上記エステル交換反応において使用する装置は、竪型、管型又は塔型、横型のいずれの形式であってもよい。通常、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼((株)日立製作所製)等を具備した1以上の竪型重合槽に引き続き、円盤型、かご型等の横型一軸タイプの重合槽やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、メガネ翼、格子翼((株)日立製作所製)、又はメガネ翼とポリマーの送り機能を持たせた、例えばねじりやひねり等の入った翼及び/又は傾斜がついている翼等を組み合わせたもの等を具備した、横型二軸タイプの重合槽を用いることができる。
【0043】
上記方法で製造したポリカーボネート中には、通常、塩素元素はほとんど存在せず、存在するとしても1ppm以下の痕跡量程度であるが、原料モノマー、触媒、エステル交換反応で副生する芳香族モノヒドロキシ化合物、ポリカーボネートオリゴマー等の低分子量化合物が残存している。中でも、原料モノマー及び芳香族モノヒドロキシ化合物は残留量が多く、得られるポリカーボネートの耐熱老化性、耐加水分解性が低下させる一因となる。また、成形時に残留物に起因して臭気が生じるとともに、容器等に成形した後は、その臭気が内容物へ移行等して、品質に悪影響を与える等の問題がある。従って、上記残留物は、製品化に際して除去されることが好ましい。本発明のポリカーボネートにおける芳香族モノヒドロキシ化合物の残存量は好ましくは200重量ppm以下、より好ましくは100重量ppm以下であり;芳香族ジヒドロキシ化合物の残存量は好ましくは100重量ppm以下、より好ましくは50重量ppm以下であり;炭酸ジエステル化合物残存量は好ましくは200重量ppm以下、より好ましくは150重量ppm以下、さらに好ましくは100重量ppm以下である。
【0044】
上記残留物を除去する方法は、特に制限はなく、例えば、ベント式の押出機により連続的に脱揮してもよい。その際、樹脂中に残留している塩基性エステル交換触媒を、あらかじめ酸性化合物又はその前駆体を添加し、失活させておくことにより、脱揮中の副反応を抑え、効率よく原料モノマー及び芳香族ヒドロキシ化合物を除去することができる。
【0045】
触媒の失活のために添加する酸性化合物又はその前駆体としては、特に制限はなく、重縮合反応に使用する塩基性エステル交換触媒を中和する効果のあるものであれば、いずれも使用できる。具体的には、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられる。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの酸性化合物又はその前駆体のうち、スルホン酸化合物又はそのエステル化合物、例えば、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が特に好ましい。
【0046】
これらの酸性化合物又はその前駆体の添加量は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の中和量に対して、0.1〜50倍モル添加するのが好ましく、0.5〜30倍モル添加するのがより好ましい。酸性化合物又はその前駆体を添加する時期としては、重縮合反応後であればいつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する方法等のいずれの方法でもよい。
【0047】
脱揮に用いられる押出機は、単軸でも二軸でもよい。また、二軸押出機としては、噛み合い型二軸押出機で、回転方向は同方向回転でも異方向回転でもよい。脱揮の目的には、酸性化合物添加部の後にベント部を有するものが好ましい。ベント数に制限は無いが、通常は2段〜10段の多段ベントが用いられる。また、該押出機では、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等の添加剤を添加し、樹脂と混練することもできる。
【0048】
本発明のポリカーボネートは、そのまま単独で所望の形状に成形することができるが、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、可塑剤、帯電防止剤、充填剤、難燃剤、衝撃改良材、他樹脂、エポキシ化合物などから選ばれた少なくとも1種の添加剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物とした後、種々の方法により所望の形状に成形することもできる。そのような添加剤としては、特に制限は無く、通常ポリカーボネートに使用されているものが使用できる。また、本発明の範囲内で、分子量、分岐度の異なる複数のポリカーボネート樹脂を混合使用することもできる。
【0049】
安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、リン化合物、イオウ化合物、エポキシ化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。これらの中で、ヒンダードフェノール化合物及びリン化合物から選ばれた少なくとも1種の酸化防止剤が好ましく用いられる。
【0050】
ヒンダードフェノール化合物としては、下記式(B)で表される化合物が好ましい。
【0051】
一般式(B)
【化5】
Figure 2004018713
【0052】
式(B)中、R及びRは各々独立して、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Yはエステル基、エーテル基及びアミド基から選ばれる官能基及び/又はリン原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Zは酸素原子及び/又は窒素原子を含有してもよい炭素数1〜6の炭化水素基、イオウ原子又は単結合を表し、gは1〜4のいずれかの整数を示す。
【0053】
具体的には、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。これらの中で、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3’,5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンが好ましい。
【0054】
リン化合物は、3価のリン化合物で有ることが好ましく、特に亜リン酸エステル中の少なくとも1つのエステルがフェノール及び/又は炭素数1〜25のアルキル基を少なくとも1つ有するフェノールでエステル化された亜リン酸エステル、又はテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイトから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。亜リン酸エステルの具体例としては、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリスノニルフェニルホスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フッ化ホスファイト、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、モノノニルフェノール及びジノニルフェノールからなる亜リン酸エステル、さらに前記式(3)に示したヒンダードフェノールを有する亜リン酸エステル等を挙げることができる。
【0055】
本発明においては、リン化合物として、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイト、又はトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが好ましい。
【0056】
安定剤の配合量は、ポリカーボネート100重量部に対して1重量部以下が好ましく、より好ましくは0.4重量部以下である。1重量部を超えると耐加水分解性が悪化する等の問題がある。また、安定剤を併用して使用する場合の配合比率は任意に決定することができ、また、いずれを使用するか、又は併用するかは、ポリカーボネートの用途等によって適宜決定される。例えば、リン化合物は、一般にポリカーボネートを成形する際の高温下における滞留安定性、及び成形品の使用時の耐熱安定性に効果が高く、フェノール化合物は、一般に耐熱老化性等のポリカーボネートを成形品とした後の使用時の耐熱安定性に効果が高い。また、リン化合物とフェノール化合物を併用することによって、着色性の改良効果が高まる。
【0057】
紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0058】
ベンゾトリアゾール化合物としては、下記式(C)で表される化合物、及びメチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物が好ましい。
【0059】
一般式(C)
【化6】
Figure 2004018713
【0060】
式(C)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Y及びYは各々独立して、水素原子又は窒素原子及び/若しくは酸素原子を含有してもよい炭素数1〜40の炭化水素基を表す。
【0061】
前記式(C)で表されるベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、[メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物、さらには下記式(C−1)で表される化合物、等を挙げることができる。
【0062】
一般式(C−1)
【化7】
Figure 2004018713
【0063】
これらの中で、特に好ましいものは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、上記式(7)の化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノールである。
【0064】
紫外線吸収剤の配合量は、ポリカーボネート100重量部に対して5重量部以下であり、好ましくは1重量部以下である。5重量部を超えると射出成形時の金型汚染等の問題がある。該紫外線吸収剤は1種でも使用可能であるが、複数併用して使用することもできる。
【0065】
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれた少なくとも1種の化合物である。これらの中で、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0066】
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
【0067】
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
【0068】
該離型剤の配合量は、ポリカーボネート100重量部に対して5重量部以下であり、好ましくは1重量部以下である。5重量部を超えると耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等の問題がある。該離型剤は1種でも使用可能であるが、複数併用して使用することもできる。
【0069】
着色剤としては、有機染料、有機顔料、無機含量いずれも使用可能であるが、有機染顔料としてアンスラキノン骨格を有する化合物、フタロシアニン骨格を有する化合物等、無機機顔料としては酸化チタン、カーボンブラック、群青、コバルトブルー等が使用できる。これらの無機顔料はケイ素化合物等で表面処理されていても良い。これらの中で、アンスラキノン骨格を有する化合物が、耐熱性等の観点から、好ましく用いられる。
【0070】
着色剤の具体例としては、フタロシアニンブルー、MACROLEX Blue RR、MACROLEX Violet 3R、MACROREX Violet B(バイエル社製)、Sumiplast Violet RR、Sumiplast Violet B、Sumiplast Blue OR(住友化学工業(株)製)、Diaresin Violet D、Diaresin Blue G、Diaresin Blue N(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
【0071】
着色剤の配合量は、ポリカーボネート100重量部に対して5重量部以下であるのが好ましく、より好ましくは0.5重量部以下である。該着色剤は1種でも使用可能であるが、複数併せて使用することもできる。
【0072】
安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等の添加剤の添加時期、添加方法については特に制限は無く、例えば添加時期としては、▲1▼重合反応の途中、▲2▼重合反応終了時又は▲3▼重合に使用した触媒を触媒失活剤で失活後、ペレット化する前、さらにはポリカーボネート等の混練途中等のポリカーボネートが溶融した状態で添加することができるが、ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネートとブレンド後、押出機等で混練することも可能である。しかし、▲1▼重合反応の途中、▲2▼重合反応終了時又は▲3▼重合に使用した触媒を触媒失活剤で失活後、ペレット化する前のいずれかに添加することが、これら添加剤の分解を抑制し、着色抑制の観点から好ましい。
【0073】
添加方法としては、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等の添加剤を直接ポリカーボネートに混合又は混練することもできるが、適当な溶媒で溶解し、又は少量のポリカーボネート又は他の樹脂等で調製した高濃度のマスターバッチとして添加することもできる。また、これらの化合物を併用して使用する場合は、これらを別々にポリカーボネートに添加しても、同時に添加してもよい。
【0074】
本発明のポリカーボネートには、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂、難燃剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤等の添加剤を添加することができ、所望の物性を有するポリカーボネート樹脂組成物を後述するブロー成形した成形品も本発明の態様に含まれる。
【0075】
本発明の成形品は、本発明のポリカーボネート、及び所望により上記種々の添加剤を含む組成物をブロー成形してなる成形体である。
本発明の成形体の一実施形態は、前記組成物をブロー成形してなる中空容器である。ブロー成形は、種々の公知の装置及び諸条件を参考にして実施することができる。例えば、シリンダー設定温度240〜280℃の単軸又は二軸押出機に、ポリカーボネートペレットを供給し、スクリュー剪断下で溶融・混練し、ノズルを通してチューブ状の溶融パリソンを押出し、その後、温度70〜110℃に設定した所定の形状の金型内に挟み込み、空気又は不活性ガスをブローすることにより中空容器を製造することができる。
【0076】
本実施の形態の中空容器は、特開平6−122145号公報等に開示されている二軸延伸ブロー成形により製造することもでき、さらにポリカーボネートのガスバリヤー性を改良するためにポリエチレンテレフタレートや、ポリアミドとの多層ブロー成形により製造することもできる。
【0077】
本実施の形態の中空容器の大きさは特に制限はないが、肉厚は、中空容器の強度及び形状保持の観点から、0.1〜7mmが好ましく、更に好ましくは0.2〜5mmであり、最も好ましくは0.3〜3mmである。
本実施の形態の中空容器は、多種多様の用途に使用できるが、好ましくは乳製品ボトル、清涼飲料水ボトル、水ボトルである。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、得られたポリカーボネートの分析及び物性評価は各々以下に示す方法で行った。
【0079】
(1)H−NMR測定
ポリカーボネート試料をクロロホルムに溶解後、ノルマルヘキサン/メタノール=4/1の混合溶媒に滴下し、樹脂分を再沈殿させ、濾過・乾燥して添加剤成分を除去したポリカーボネート約0.18gと、内部標準物質としてトリフェニルメタン(TPM)約3mgとを、テトラメチルシラン(TMS)を0.05重量%含有する重クロロホルム1gに溶解して試料溶液を調製した。この試料溶液を日本電子(株)製「JMN−AL400」を用いて、温度:50℃、積算回数8000回でH−NMR測定した。測定後、δ=7.96〜8.02ppm、δ=8.11〜8.17ppm、δ=10.35〜10.50ppmに検出されるシグナルの積分強度を測定し、5.5〜5.6ppmに現れるTPMのシグナルの積分強度から、次式によってポリカーボネート1gあたりのプロトン量を算出した。
【0080】
【数7】
Figure 2004018713
【0081】
(2)粘度平均分子量(Mv)
ウベローデ粘度計を用いて、溶媒として塩化メチレンを用い、温度20℃の極限粘度[η]を測定し、以下の式より粘度平均分子量(Mv)を求めた。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
【0082】
(3)末端OH基含有量
四塩化チタン/酢酸法(Makromol.Chem.,88,215(1965)に記載の方法)により比色定量を行った。測定値は、ポリカーボネート重量に対する末端OH基の重量をppm単位で表示した。
【0083】
(4)残存モノマーの定量
UV検出器を備えた高速液体クロマトグラフィ(カラムにWaters社製μ−Bondersphereを使用、溶媒としてアセトニトリル/酢酸水を使用)により、芳香族モノヒドロキシ化合物としてフェノール、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA(BPA)、炭酸ジフェニル化合物としてジフェニルカーボネート(DPC)の量を各々測定し、ポリカーボネートに対する重量ppmで表示した。
【0084】
(5)ドローダウン性
120℃で4時間乾燥したポリカーボネートのペレット(試料)を、東洋精機(株)製「キャピログラフ1C」により、押出温度280℃及び押し出し速度10mm/分で、直径2mm、長さ5mmのキャピラリー中を通過させた。垂れ下がるストランドをカットし、ストランドの長さを横軸、重量を縦軸とした特性曲線を求めた。この曲線に原点を通る接線を引き、ストランド長300mmに対する測定曲線から求めた重量Wと、ストランド長300mmでの上記接線から求めた重量Wとから、ドローダウン率Rdを次式からから算出した。
ドローダウン率Rd = 〔(W−W)/W
【0085】
(6)色相(YI)
120℃で5時間乾燥したポリカーボネートのペレット(試料)から、シリンダー設定温度280℃の射出成形機「M150AII−SJ」((株)名機製作所製)により3mm厚の試験片を成形し、(日本電色工業(株)製 分光式色彩計 SE2000)でYI値を測定した。このYI値が大きいほど着色していることを示す。
【0086】
(7)臭気
120℃で5時間乾燥したポリカーボネートのペレット(試料)から、シリンダー設定温度280℃の射出成形機「M150AII−SJ」((株)名機製作所製)により計量・射出を3回繰り返し、射出された樹脂が溶融状態にある間に溶融樹脂に鼻を近づけて臭気評価を行った。臭気が感じられない場合を○、臭気がわずかに感じられる場合を△、臭気が感じられる場合を×として、3段階で評価した。
【0087】
(8)ボトル成形・評価
日本製鋼所(株)製「B−30」を用い、バレル温度270〜260℃、金型温度70℃で5ガロンボトルのブロー成形を行った。成型品を十分冷却後、水を充填し、1.8mの高さからコンクリート上に落下させ、割れの有無を確認した。
【0088】
(実施例1)
窒素ガス雰囲気下、ジフェニルカーボネートとビスフェノールAを混合調製した溶融液を、220℃、1.33×10Paに制御した第一竪型撹拌重合槽内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記混合物の供給を開始すると同時に、触媒として、炭酸セシウム水溶液をビスフェノールA 1モルに対し、1.2×10−6モルの割合で連続供給した。
槽底より排出された重合液は、引き続き、第2、第3の竪型攪拌重合槽、ならびに第4の横型重合槽に逐次連続供給され、第4重合槽底部のポリマー排出口から抜き出された。各反応槽の条件は、反応の進行とともに高温、高真空、低攪拌速度に条件設定し、第4槽では290℃、66Pa、平均滞留時間は60分に制御し、同時に副生するフェノールの留去も行った。重合終了後、ポリカーボネートを溶融状態のままで2軸押出機に送入し、p−トルエンスルホン酸ブチル(触媒として使用した炭酸セシウムに対して4倍モル量)を連続して混練し、脱揮後、ダイを通してストランド状として、カッターで切断してペレットを得た。得られたポリカーボネートの分析結果及びブロー成形評価結果を表1に示す。
【0089】
(実施例2及び3と比較例1及び2)
実施例1において、下記表1に記載の触媒量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、芳香族ポリカーボネートを製造し、同様にブロー成形を行った。結果を表1に示した。
(比較例3)
界面法直鎖のポリカーボネート ノバレックス7027A(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)を用いてブロー成形を行った。結果を表1に示した。
【0090】
【表1】
Figure 2004018713
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリカーボネート本来の機械的特性、耐熱性、透明性を有し、かつドローダウン性が良好でブロー成形に適し、色相、耐加水分解性に優れているポリカーボネート及び該ポリカーボネートをブロー成形してなる成形体を提供することができる。

Claims (8)

  1. 主たる繰り返し単位が下記式(A)で表されるポリカーボネートであって、重クロロホルムを溶媒として測定されるH−NMRスペクトル中のδ=7.96〜8.02ppmに検出されるシグナル(a)及びδ=8.11〜8.17ppmに検出されるシグナル(b)の各々の積分値から算出されるポリカーボネート1g中のプロトンモル数(Pa)及び(Pb)が、下記式(1)及び(2)を満たし、且つ粘度平均分子量Mvが18,000〜50,000であるポリカーボネート。
    式(A)
    Figure 2004018713
    Figure 2004018713
    (但し、Mvは粘度平均分子量であり、(Pa)及び(Pb)の単位はμモル/gである。)
  2. 重クロロホルムを溶媒として測定されるH−NMRスペクトル中のδ=10.35〜10.50ppmに検出されるシグナル(c)の積分値から算出されるポリカーボネート1g中のプロトンモル数(Pc)と前記(Pa)との比(Pc)/(Pa)が0.4以下であり、且つ前記(Pa)と前記(Pb)との比(Pa)/(Pb)が0.7〜3.0の範囲である請求項1に記載のポリカーボネート。
  3. 前記(Pc)及び前記(Pb)が、下記式(3)を満たす請求項1又は2に記載のポリカーボネート。
    Figure 2004018713
    (但し、(Pb)及び(Pc)の単位はμモル/gである。)
  4. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重合触媒の存在下でエステル交換させて得られた請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート。
  5. 芳香族モノヒロドキシ化合物の残存量が200重量ppm以下、芳香族ジヒドロキシ化合物の残存量が100重量ppm以下及び炭酸ジエステル化合物の残存量が200重量ppm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネートを含有する組成物をブロー成形してなる成形体。
  7. 中空容器である請求項6に記載の成形体。
  8. 乳製品ボトル、清涼飲料水ボトル又は水ボトルである請求項6に記載の成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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