JP2005142371A - 太陽電池用反射防止膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安価な設備で、多くのエネルギーを消費せず、均一な膜厚の太陽電池用反射防止膜を生産性良く製造する方法、特に、球状太陽電池素子などの曲面や凹凸を有する受光面にも、均一な膜厚の反射防止膜を形成する方法を提供する。
【課題手段】 太陽電池素子の少なくとも受光面側半導体の表面を反射防止膜の構成元素を含む溶液に接触させ、その溶液の少なくとも受光面側半導体近傍の温度とpH値を制御することにより、反射防止膜の材料となる化合物を少なくとも受光面側半導体の表面に析出させ、その化合物からなる薄層を形成する工程を有する太陽電池用反射防止膜の形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池素子の反射防止膜の形成方法に関するものである。
従来からの代表的な太陽電池として、結晶シリコン半導体ウエハからなる太陽電池素子を用いた結晶シリコン太陽電池がある。この太陽電池では、単結晶インゴットを製造するための工程、および単結晶インゴットから半導体ウエハを製造するまでの工程が繁雑であるためコストが高くなる。さらにこれらの工程で生じる結晶の切削屑が多く、高価なシリコン原料の約50%以上が無駄になる。
この問題を解決するため、原料使用量低減による安価で高出力の太陽電池、例えば、アモルファスシリコン(以下、a−Siで表す)からなる半導体層を用いたa−Si太陽電池が開発されている。この太陽電池は、プラズマ化学気相成長法によって形成するSi薄膜の全てを素子の活性層として用いるので、少ない原料で太陽電池を作製することができる。しかし、この太陽電池には、アモルファス構造に起因して半導体内部に多数の結晶欠陥が存在するため、光電変換効率が光照射により徐々に低下する問題がある。そのため、数年間の使用期間中に光電変換効率が15〜25%程度劣化するのが現状である。
使用期間中の特性低下の心配がなく、安価で高出力が期待できる太陽電池として、球状のp型半導体の表面にn型半導体層を形成した球状太陽電池素子を用いた発電装置(以下、球状太陽電池で表す)が検討されている。この太陽電池は、直径1mm前後の小さな球状素子を用いることにより、光電変換部全体の平均厚みを薄くし、原料Siの使用量を軽減するものである。
球状太陽電池としては、例えば、穴のあいた偏平なアルミニウム(Al)箔にシリコン(Si)の球状太陽電池素子を埋込み、そのAl箔の裏面から、n型半導体層をエッチングして内部のp型半導体を露出させ、この露出したp型半導体を、もう1つのAl箔に接続したソーラ・アレーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、支持体に設けた多数の凹部に球状太陽電池素子を一個ずつ収容する方式の球状太陽電池が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この太陽電池は、凹部内面を反射鏡として作用させて集光率を高め、太陽電池素子一個当りの出力を高めることで、Si消費量のさらなる低減を図るものであり、マイクロ集光型あるいは低集光型の球状太陽電池と呼ばれている。
これら各種の太陽電池の出力を高めるためには、太陽電池素子に入射する光の受光面での反射を抑制し、入射光を可能な限り多く太陽電池素子に吸収させることが必要である。そのため、多くの場合、太陽電池素子の受光面には反射防止膜が形成されている。従来の太陽電池用反射防止膜の形成方法には、スピンコート法、スクリーン印刷法、真空蒸着法、および化学気相成長法などがある。
スピンコート法は、反射防止膜を形成する面に、反射防止膜の材料となる化合物を含むインクを塗布し、これを熱処理することによってTiO2、Ta25、SnO2、またはCeO2などからなる反射防止膜を形成するものである。この方法には、設備費用が比較的安価で、生産能力も大きく、平滑面に均一な膜厚の反射防止膜を形成できる利点がある。しかし、曲率の大きな曲面や凹凸面には均一にスピンコーティングができないという問題点がある。
スクリーン印刷法は、反射防止膜の材料となる化合物を含むインクの塗布層を熱処理することによって、TiO2、またはTa25などからなる反射防止膜を形成するものである。この方法は、設備費用は比較的安価であり、生産能力はさらに優れている。しかし、この方法には、原料粒子の大きさの不均一性に起因して、形成した反射防止膜の膜厚のばらつきが大きく、さらに曲率の大きな曲面や凹凸面には反射防止膜を形成できないという問題点がある。
真空蒸着法では、例えば、TiO2、Ta25、SnO2、またはCeO2などからなる反射防止膜が形成され、化学気相成長法では、例えば、SiNなどからなる反射防止膜が形成される。これらの方法では、平滑面に均一な膜厚の反射防止膜を形成できるが、大きな曲率の曲面や凹凸面に均一な膜厚の反射防止膜を堆積させることは困難である。また、これらの方法には、設備費用が高価で、しかも生産能力が低く、さらに装置のメンテナンスが難しいという問題がある。
上記のように、いずれの従来法においても、曲面や凹凸面に均一な膜厚の薄膜を形成することは困難である。受光面が平面でない太陽電池素子、例えば球状太陽電池素子に反射防止膜を均一に形成するには、化学気相成長法や真空蒸着法により、太陽電池素子を3次元的に回転させながら成膜するか、太陽電池素子の固定位置を変えて複数回の成膜を行うなど、機械的に複雑で生産性が低い工程を取る必要がある。特に、直径1mm前後という小さい球状太陽電池素子に対して上記の複雑な工程により反射防止膜を形成することは技術的に不可能に近い。
また、いずれの従来法においても数百℃以上の高温プロセスが必要なので、反射防止膜形成工程で極めて多くのエネルギーを消費するという問題点がある。
以上の事由により、従来法では均一な膜厚の太陽電池用反射防止膜を、安価な設備を使用して生産性良く形成することができない。特に、球状太陽電池では、受光面に均一な膜厚の反射防止膜の形成することが事実上不可能なので、反射防止膜の作用により太陽電池素子の出力を高めることができないのが現状である。
特公平7−54855号公報 特開2002−164554号公報
本発明は、上記従来法の問題点を解決し、均一な膜厚の太陽電池用反射防止膜を生産性良く安価に製造できる方法を提供することを目的とする。特に本発明は、曲面や凹凸面を有する太陽電池素子、例えば球状太陽電池素子などの受光面にも、均一な膜厚の反射防止膜を形成できる方法を提供することを目的とする。
本発明の太陽電池用反射防止膜の形成方法は、第1導電型半導体、および前記第1導電型半導体とpn接合し、受光面側半導体となる第2導電型半導体を有する太陽電池素子の反射防止膜の形成方法であって、前記太陽電池素子の少なくとも前記受光面側半導体の表面を前記反射防止膜の構成元素を含む溶液に接触させる工程(1)、並びに、前記溶液の少なくとも前記受光面側半導体の近傍の温度およびpH値を制御することにより、前記反射防止膜の材料となる化合物を生成させ、これを前記太陽電池素子の少なくとも前記受光面側半導体の表面に析出させることにより、前記化合物からなる薄層を形成する工程(2)を有することを特徴とするものである。
本発明の太陽電池用反射防止膜の形成方法は、シリコンを主体とする太陽電池素子に反射防止膜を形成する場合に適用することが好ましい。さらに、本発明による太陽電池用反射防止膜の形成方法は、ほぼ球状の第1導電型半導体、および第1導電型半導体の表面の一部を残して被覆する第2導電型半導体を有する太陽電池素子に反射防止膜を形成する場合に適用することが好ましい。
本発明の太陽電池用反射防止膜の第1の形成方法は、前記溶液が、IIb族、IIIa族、IIIb族、IVa族、IVb族、およびVb族の元素よりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素Aを含む化合物、並びに、SおよびSeの少なくとも一方の元素を含む化合物を溶解させた水溶液であり、前記反射防止膜の材料となる化合物が、元素Aの硫化物またはセレン化物である太陽電池用反射防止膜の形成方法である。
上記第1の形成方法においては、前記溶液が、元素Aを含む化合物として、ZnおよびCdの少なくとも一方の元素を含むアンモニウム錯体を溶解させたアルカリ性水溶液であり、制御される温度が40〜100℃であり、制御されるpH値が8〜11であって、反射防止膜の材料となる化合物が、ZnおよびCdの少なくとも一方の元素の硫化物またはセレン化物であることが好ましい。
上記第1の形成方法において、元素Aの硫化物またはセレン化物は、ZnS、CdS、およびZnSeよりなる群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の太陽電池用反射防止膜の第2の形成方法は、前記溶液が、IIb族、IIIa族、IIIb族、IVa族、IVb族、およびVb族の元素よりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素Aを含む化合物を溶解させた水溶液であり、反射防止膜の材料となる化合物が元素Aの酸化物または水酸化物である太陽電池用反射防止膜の形成方法である。
上記第2の形成方法においては、前記溶液が、元素Aからなる化合物として、元素Aを含むアンモニウム錯体を溶解させたアルカリ性水溶液であり、制御される温度が40〜100℃であって、制御されるpH値が8〜11であることが好ましい。
上記第2の形成方法においては、工程(1)に先立ち、太陽電池素子の受光面側半導体の表面に還元触媒を付着させる工程(3)を有し、前記溶液が、さらに還元剤を溶解させた酸性水溶液であり、制御される温度が40〜100℃であり、制御されるpH値が5〜9であることが好ましい。
上記第2の形成方法においては、さらに、元素Aの水酸化物を含む薄層に脱水処理を施すことにより、元素Aの酸化物を含む反射防止膜を形成する工程(4)を有することが好ましい。
上記第2の形成方法においては、元素Aの酸化物は、ZnO、TiO2、ZrO2、Ta25、HfO2、SnO2、Al23、In23、Nd23、CeO2、ThO2、Bi23、およびSb23よりなる群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
本発明により、工程中で多くのエネルギーを消費することなく、安価な設備を使用して、均一な膜厚の太陽電池用反射防止膜を生産性良く製造することができる。特に、本発明により、曲面を有する球状太陽電池素子などの受光面や、凹凸面を有する太陽電池素子の受光面にも、均一な膜厚の太陽電池用反射防止膜を形成することができる。
本発明は、スピンコート法、スクリーン印刷法、真空蒸着法、および化学気相成長法などの従来法に代わり、溶液析出法により、反射防止膜を太陽電池素子の受光面側半導体上に形成することを基本的な特徴とするものである。本発明においては、形成しようとする薄膜の構成元素を含む溶液に被形成面を接触させ、その溶液の少なくとも被形成面近傍の温度およびpH値を制御することにより、薄膜の材料となる化合物を生成させ、生成した化合物を被形成面に析出させて薄膜を形成する方法を溶液析出法と総称する。溶液析出法はCBD法(Chemical Bath Deposition)とも呼ばれる。
溶液析出法による半導体薄膜の形成方法については、二十数年前から研究が試みられ、
現在までに、CdS、ZnS、MnS、およびZnOなどの薄膜形成の研究が行われている。これら溶液析出法により形成された薄膜については、CIS太陽電池のバッファー層としての応用が一部で検討されている(例えば、Solar Energy Materials and Solar Cells 50,71-77(1998)参照)。しかし、溶液析出法による薄膜に関しては、上記以外の応用事例は報告されていない。
本発明者らは、溶液析出法が溶液中での析出現象により薄膜を形成する方法であることから、太陽電池用反射防止膜を形成する上で、以下の特長が期待できるものと考えた。1)平面はもとより曲面や凹凸面にも、均一な膜厚の薄膜を析出させることが可能である。2)設備費用が安価である。3)多量の素子への薄膜形成が比較的短時間で同時にできるので、生産能力の向上が可能である。4)100℃以下の低温下での薄膜の形成が可能なので膜形成の際のエネルギー投入量が少なくて済む。
本発明者らは、溶液析出法の上記の特長に注目して鋭意検討を行った結果、溶液析出法により形成した薄膜が、期待通り、太陽電池用反射防止膜として使用可能であることを見出し、本発明を完成した。
太陽電池用反射防止膜として備えるべき基本的特性は、入射光を透過し、その透過光の受光面での反射率が小さいことである。反射防止膜の光透過性を高めるためには、結晶欠陥が少ない透明な薄膜であることが好ましい。前記の反射率を小さくするためには、反射防止膜の膜厚・膜質が均一であることが好ましい。本発明は、太陽電池用反射防止膜としての上記特性を満足する薄膜を溶液析出法により形成できることを見出し、入射光の反射損を大きく低減させて太陽電池の変換効率向上を可能にしたものである。
本発明によれば、簡便な装置を用いて太陽電池素子を溶液に接触させ、比較的低温での温度制御およびpH制御を行うという簡単な方法によって、平面、曲面、球面、あるいは凹凸面など、任意形状を有する受光面側半導体層上に均一な反射防止膜を形成することができる。特に、従来から困難であった球状太陽電池素子への均一な反射防止膜の形成ができ、さらにこの反射防止膜を同時に多量に形成できる。これにより、反射防止膜によって効率化された球状太陽電池を実現し、これを工業的規模で安価に生産することが可能となる。
本発明は、第1導電型半導体、およびこの半導体とpn接合し、受光面側半導体となる第2導電型半導体を有する太陽電池素子の反射防止膜の形成方法であり、太陽電池素子の少なくとも受光面側半導体表面を反射防止膜の構成元素を含む溶液に接触させる工程(1)、並びに、前記溶液の少なくとも受光面側半導体の近傍の温度およびpH値を制御することにより、反射防止膜の材料となる化合物を溶液中に生成させ、太陽電池素子の少なくとも受光面側半導体の表面に析出させて、反射防止膜の材料となる化合物を含む薄層を形成する工程(2)を有することを基本的な特徴とするものである。
本発明の太陽電池用反射防止膜の第1の形成方法は、工程(1)における溶液として、元素A(IIb族、IIIa族、IIIb族、IVa族、IVb族、およびVb族の元素よりなる群から選ばれた少なくとも一種)を含む化合物、並びに、SおよびSeの少なくとも一方の元素を含む化合物を溶解させた水溶液を用いる。これにより形成された薄層に、洗浄および乾燥などの処理を施すことによって、太陽電池用反射防止膜とすることが好ましい。この方法により、元素Aの硫化物またはセレン化物を含む各種の太陽電池用反射防止膜を形成することができる。それらのうち、ZnS、CdS、およびZnSeの少なくとも一種からなる薄層を形成することにより得られた反射防止膜は、緻密性、膜厚均一性に優れ、かつ結晶欠陥が少なく、太陽電池用反射防止膜として特に優れている。
上記第1の形成方法により、ZnもしくはCdの硫化物、またはセレン化物を含む反射防止膜を形成する場合には、下記の形成方法を採ることが好ましい。
工程(1)における溶液には、元素Aを含む化合物としてZnおよびCdの少なくとも一方の元素を含むアンモニウム錯体を溶解させたアルカリ性水溶液を用い、工程(2)においては、少なくとも受光面側半導体の近傍の温度を40〜100℃に制御し、さらにpH値を8〜11に制御する。
上記の好ましい形成方法において、アルカリ性水溶液を加熱して、所定温度(40〜1
00℃)に制御することにより、水溶液中の元素Aのアンモニウム錯体から徐々に配位子(NH3)がはずれ、NH3と元素Aのイオンが生成する。生成したNH3が徐々に大気中に飛散して、水溶液のpH値が低下し、所定のpH値(8〜11)に維持される。このpH値の制御により、元素AのイオンとSイオンまたはSeイオンとのイオン積が、元素Aの硫化物またはセレン化物の溶解度積以上となり、元素Aの硫化物またはセレン化物が受光面側半導体の近傍に析出する。析出した化合物が受光面側半導体上に徐々に堆積して緻密で均一な膜厚の薄層が形成される。
上記の制御される温度およびpH値の適切な条件は、形成する反射防止膜の材質や膜厚、水溶液の組成や濃度、および成膜時間などにより異なるので、個々の場合に応じて、上記の所定値の範囲内で条件設定をすればよい。このような条件設定により、元素Aのアンモニウム錯体から元素Aのイオンが生成する反応が適度な速度で行われ、分子レベルの反応による元素Aの硫化物もしくはセレン化物が生成する。この化合物が受光面側半導体上に析出して、緻密で均一な膜厚の薄層が形成される。
制御温度が40℃未満の場合には、元素Aのイオンが生成する上記の反応が起こらないか、起こっても極めて反応速度が低い。そのため、元素Aの硫化物またはセレン化物が生成しないか、生成速度が極めて低くなり、元素Aの硫化物またはセレン化物を受光面側半導体上に堆積させることが事実上不可能となる。制御温度が100℃を超える場合には、元素Aのイオンが生成する上記の反応速度が極度に高くなるため、クラスターレベルの反応による元素Aの硫化物またはセレン化物が粗大粒子として生成し、この粒子が水溶液中でコロイド状に分散する現象が生じ易い。そのため、元素Aの硫化物またはセレン化物を太陽電池素子の受光面側半導体上に析出させることが困難となる。
制御されるpHの値が8未満の場合には、水溶液中のアンモニウム錯体が不安定となり、元素Aのイオンが急速に生成し過ぎるので、上記の制御温度が高過ぎる場合と同様に、元素Aの硫化物またはセレン化物が粗大粒子として生成し、この粒子が水溶液中でコロイド状に分散する現象が生じ易い。pH値が11を超える場合には、水溶液中のアンモニウム錯体が安定なので、上記の制御温度が低過ぎる場合と同様に、元素Aの硫化物またはセレン化物が生成しないか、生成しても生成速度が極めて低くなる。
本発明の太陽電池用反射防止膜の第2の形成方法は、工程(1)における溶液として、元素A(IIb族、IIIa族、IIIb族、IVa族、IVb族、およびVb族の元素よりなる群から選ばれた少なくとも一種)を含む化合物を溶解させた水溶液を用いる。受光面側半導体上に形成された薄層中に元素Aの水酸化物が含まれる場合には、この薄層に熱処理などの脱水処理を施して上記水酸化物を酸化物に変化させることが好ましい。薄膜には、脱水処理に先立って、洗浄処理を施すことが好ましい。これにより、元素Aの酸化物を含む各種の太陽電池用反射防止膜を形成することができる。
上記のうち、ZnO、TiO2、ZrO2、Ta25、HfO2、SnO2、Al23、In23、Nd23、CeO2、ThO2、Bi23およびSb23よりなる群から選ばれた少なくとも一種からなる反射防止膜は、緻密性が優れ、結晶欠陥が少なく、膜厚が均一であり、太陽電池用反射防止膜としての特に優れた特性を備えている。
上記第2の形成方法には、好ましい二つの方法がある。その一つの方法は、工程(1)における溶液として、元素Aを含むアンモニウム錯体を溶解させたアルカリ性の水溶液を用い、工程(2)においては、太陽電池素子表面の少なくとも受光面側半導体の近傍の温度を40〜100℃に制御し、さらにpH値を8〜11に制御する。
上記の制御される温度およびpH値の適切な条件は、形成する反射防止膜の材質や膜厚、水溶液の組成や濃度、および成膜時間などによって異なるので、個々の場合に応じて、上記の所定値の範囲内で条件設定をすればよい。上記の条件設定により、元素Aのアンモニウム錯体から元素Aのイオンが生成する反応が適度な速度で起こり、分子レベルの反応による元素Aの酸化物または水酸化物が生成し、これが受光面側半導体上に析出して、緻密で均一な膜厚の薄層を形成することができる。
制御される温度が40℃未満の場合には、上記の元素Aのイオンの生成反応が起こらないか、起こっても極めて反応速度が低い。そのため、元素Aの酸化物または水酸化物の生成速度が極めて低くなり、元素Aの酸化物または水酸化物を受光面側半導体上に析出させることが困難となる。制御される温度が100℃を超える場合には、元素Aイオンが生成する上記の反応速度が極度に高くなるので、クラスターレベルの反応による元素Aの酸化物または水酸化物が粗大粒子として生成し、これらの粒子が水溶液中でコロイド状に分散する現象が生じ易い。そのため、元素Aの酸化物または水酸化物を受光面側半導体上に堆積させることが困難となる。
制御されるpH値が8未満の場合には、水溶液中のアンモニウム錯体が不安定となり、元素Aのイオンが急速に生成し過ぎるので、上記の制御温度が高過ぎる場合と同様に、元素Aの酸化物または水酸化物が粗大粒子として生成し、この粒子が水溶液中でコロイド状に分散する現象が生じ易い。pH値が11を超える場合には、水溶液中のアンモニウム錯体が安定なので、上記の制御温度が低過ぎる場合と同様に、元素Aの酸化物または水酸化物が生成しないか、生成しても生成速度が極めて低くなる。
上記第2の形成方法における他の好ましい方法は、工程(1)に先立ち、太陽電池素子の受光面側半導体の表面に還元触媒を付着させる工程(3)を有し、工程(1)における溶液として、元素Aを含む化合物および還元剤を溶解させた酸性水溶液を用い、工程(2)において、太陽電池素子表面の少なくとも受光面側半導体の近傍の温度を40〜100℃に制御し、さらにpH値を5〜9に制御するものである。
工程(3)においては、例えば、シリコン太陽電池素子を感受性化液、例えばSnCl2およびHClなどの水溶液に浸漬して素子表面のSiにSnを吸着させ、次いで、還元触媒液、例えばAgNO3またはPdCl2などの水溶液に浸漬して、還元触媒としてのAgまたはPdを素子表面のSnと置換する方法などを採ることができる。工程(1)における還元剤としては、例えばジメチルアミンボラン((CH32NHBH3)などを用いることができる。
上記の制御温度およびpH値の適切な条件は、形成する反射防止膜の材質や膜厚、水溶液の組成や濃度、および成膜時間などによって異なるので、個々の場合に応じて、上記の所定値の範囲内で条件設定をすればよい。上記の水溶液を加熱して、所定温度に制御することにより、還元触媒の作用が活発化し、受光面側半導体の近傍の水溶液中の水あるいは溶解物が還元剤により還元され、その部分の酸性水溶液の当初のpH値が上昇して、所定のpH値に維持される。このpH値の制御により、元素Aのイオンと水酸イオンとのイオン積が、元素Aの酸化物もしくは水酸化物の溶解度積以上となり、元素Aの酸化物もしくは水酸化物が受光面側半導体の近傍の水溶液中に析出する。析出した酸化物もしくは水酸化物が受光面側半導体上に徐々に堆積して緻密で均一な膜厚の薄層が形成される。
制御される温度が40℃未満の場合には、還元剤と還元触媒の作用が不十分なために、受光面側半導体の近傍の水溶液中でのOH-の生成速度が不十分となる。そのため、元素Aの酸化物もしくは水酸化物の生成速度が極めて低くなり、元素Aの酸化物もしくは水酸化物を受光面側半導体上に堆積させることが事実上不可能となる。制御温度が100℃を超える場合には、上記のOH-の生成速度が極度に高くなるため、粗大化された元素Aの酸化物あるいは水酸化物が生成し、これが受光面側半導体上に堆積する。そのため、満足すべき密着性と緻密性を備えた薄層を形成することができない。
制御されるpH値が5未満の場合には、受光面側半導体近傍の水溶液中のOH-の供給量が極めて少ないため、元素Aの酸化物もしくは水酸化物の生成速度が遅くなり、元素Aの酸化物もしくは水酸化物を受光面側半導体上に堆積させることが事実上不可能となる。一方、pH値が9を超える場合には、上記のOH-の供給速度が極度に高くなるため、上記の制御温度が高過ぎる場合と同様に、満足すべき密着性と緻密性を備えた薄層を形成することができない。
本発明による太陽電池用反射防止膜の上記の各種形成方法において、太陽電池素子の受光面側半導体(第2導電型半導体)の表面に反射防止膜となる薄膜が形成されるが、反射防止膜を必要としない他の部分にも薄膜が同時に形成されていてもよい。例えば、太陽電池素子の電極上に反射防止膜が形成されている場合でも、多くの場合にその膜厚が100nm未満と極めて薄いので、それぞれの電極を直接接触や半田付けなどで外部端子に電気的に接続する場合の妨げにならない。従って、通常の場合は、不要な部分に形成された薄膜を除去する必要はない。
このような理由から、本発明を実施する場合には、受光面側半導体表面以外の太陽電池素子表面にも同時に反射防止膜と同じ薄膜が形成される方法を採ることができる。特に、球状太陽電池素子などの小型太陽電池素子に反射防止膜を形成する場合には、太陽電池素子全体を溶液中に浸漬して、その全表面に反射防止膜と同じ薄膜を形成するのが好ましい。これにより多数の太陽電池素子に同時に反射防止膜を形成できるので、生産性を大きく向上させることができる。
図1は、本発明により反射防止膜が形成された球状太陽電池素子の縦断面図である。図1を参照しながら、本発明の反射防止膜の形成方法の一例を説明する。まず、反射防止膜を形成するために用意する球状太陽電池素子を次のように作製する。ドーパントとしてホウ素を含む直径1mmの球状の第1導電型シリコン半導体1の表面に燐を拡散させて第2導電型半導体層2を薄層状に形成する。次いで、この球体の底部を切削し、第2導電型半導体層2の開口部3内に第1導電型半導体1の露出部4を形成する。次いで、第2導電型半導体層2の開口部3の近辺にAgを含むペーストをリング状に塗布し、第1導電型半導体1の露出部4にAgおよびAlを含むペーストを塗布し、これら塗布層を700℃で熱処理して、第2導電型半導体側電極5および第1導電型半導体側電極6を形成する。
上記の球状太陽電池素子を元素A(Cd)のアンモニウム錯体([Cd(NH342+)、およびSを含む化合物((NH22CS)を溶解させたアルカリ性(pH値11)の水溶液中に浸漬する。このアルカリ性水溶液中には、(NH22CSが分解して生成したS2-が含まれている。この水溶液を加熱し、攪拌しながら80℃に維持する。この温度制御により、アンモニウム錯体から徐々にCd2+とNH3が生成し、このCd2+はS2-と反応してCdSとなり、NH3は大気中に飛散して、水溶液のpH値は9〜10に維持される。この間に、CdSが球状太陽電池素子の表面に徐々に析出し、CdS薄層が形成される。この球状太陽電池素子を水溶液中から取り出して水洗し、加熱乾燥することで、球状太陽電池素子の全表面に反射防止膜7が形成される。
図1の球状太陽電池素子は、支持体に組み込まれて球状太陽電池のモジュールとなる。図2は代表的な支持体の平面図であり、図3はそのA−B線の断面図である。この支持体は、円形の接続孔29を有する電気絶縁体層28および凹部26が形成された第2導電体層25からなる。凹部26の下部の開口端は円形で、上部の開口端は六角形である。各上部開口端は相互に隣接して形成されている。電気絶縁体層28の接続孔29とその周縁部27を除いた部分に第2導電体層25が接しており、前記周縁部27は第2導電体層25の下部開口部内に露出している。第2導電体層25の内面18に反射性を付与すれば反射鏡として機能し、集光効率が高まり、太陽電池の出力を大幅に向上させることができる。
図4は、図2の支持体の凹部に図1の球状太陽電池素子を収納し、さらに各電極をそれぞれ対応する導電体層に電気的に接続した状態を示す縦断面図である。第2導電型半導体層2の開口部3に近い外周部が第2導電体層25の開口部に嵌まり込み、第2導電型半導体層2の開口部3とその内側の第1導電型半導体1の露出部4が接続孔29の周縁部27の電気絶縁体層に当接するように、球状太陽電池素子が支持体凹部26の底部に押し込まれている。これにより、球状太陽電池素子は、第1導電型半導体の露出部4と第2導電型半導体層2が電気絶縁体層28により確実に絶縁された状態で支持体凹部26に配置される。
第2導電型半導体側電極5は、第2導電体層25の内面18と強く接触しており、第2導電型半導体側電極上の反射防止膜7は、球状太陽電池素子が押し込まれた際の摩擦により殆ど除去されている。これにより、第2導電型半導体側電極5と第2導電体層25は電気的に接続されている。接続孔29と相対する位置に突起部46が設けられた第1導電体層45は、球状太陽電池素子が収納された支持体底面の電気絶縁体層28に熱溶着され、これと同時に、突起部46と第1導電型半導体側電極6が強く接触し、両者が電気的に接続される。この際、第1導電型半導体側電極6上の薄膜は、接触時の摩擦により殆ど除去されている。電極5および6と、対応する導電体層25および45との電気的接続は、半田などの導電材で接続することにより一層確実に行うことができる。
前述のように、太陽電池素子の受光面での入射光の反射率を小さくするためには、反射防止膜が緻密な膜質で均一な膜厚に形成された透明な薄膜であることが好ましい。さらに、反射防止膜は、太陽電池素子の受光面材料の屈折率、および太陽電池素子が透明充填材で保護されてモジュールに組み込まれるか否か、などによって、適切な屈折率を有する反射防止膜材料と膜厚を選択することが好ましい。充填材を用いない場合には、入射光は直接に受光面に照射され、充填材を用いる場合には、入射光は充填材を介して受光面に照射される。
Siおよび各種化合物半導体などの主要な太陽電池用材料の可視光領域での屈折率はおよそ2.9〜5.0の範囲にある。受光面材料が上記屈折率を有する太陽電池素子を用いて、充填材を使用せずにモジュールを構成する場合には、反射防止膜の屈折率は1.7〜2.4であり、膜厚は50〜100nmが好ましい。一方、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)など、1.4〜1.7の屈折率を有する充填材でラミネートしてモジュールを構成する場合には、反射防止膜の屈折率は2.0〜2.8であり、膜厚は50〜100nmが好ましい。
上記のモジュールの構成方法に応じて、本発明により形成が可能な反射防止膜、例えば、Al23(n=1.62)、ThO2(n=1.8)、SnO2(n=1.9)、HfO2(n=1.95)、In23(n=2.0)、Nd23(n=2.0)、Sb23(n=2.0)、ZnO(n=2.1)、Ta25(n=2.0〜2.2)、CeO2(n=2.2)、TiO2(n=2.2〜2.7)、ZrO2(n=2.1)、ZnS(n=2.35)、 Bi23(n=2.45)、ZnSe(n=2.58)、およびCdS(n=2.6)などを含む反射防止膜から、好ましい屈折率(n)を有する反射防止膜を選択すればよい。
図1における球状シリコン太陽電池素子と同じ球状太陽電池素子を作製した。この球状太陽電池素子の表面に、本発明における前記の第1の形成方法により、CdSからなる反射防止膜を形成した。工程(1)におけるアルカリ性の水溶液として、Cd(CH3COO)2:0.001mol/l、CH3COONH4:0.01mol/l、(NH22CS(チオ尿素):0.005mol/l、およびNH4OH:0.4mol/lを溶解させたpH値11の水溶液を調製した。この水溶液中には、NH3とCd2+が結合して生成したアンモニウム錯体([Cd(NH342+、およびチオ尿素が分解して生成したS2-が存在している。
上記の球状太陽電池素子を上記のアルカリ水溶液中に浸漬させた後、この水溶液を加熱して温度を約70℃に上昇させた後、攪拌しながら、70〜80℃に10分間維持した。この温度制御により、水溶液中のアンモニウム錯体から徐々にNH3とCd2+を生成させ、生成したNH3を徐々に大気中に飛散させることにより、水溶液のpH値を9.5〜10に維持した。この間に、CdSを球状太陽電池素子の表面に徐々に析出させ、CdS薄層を形成させた。この球状太陽電池素子を水溶液中から取り出し、水洗した後、加熱乾燥した。こうした工程により、球状太陽電池素子の全表面にCdSからなる膜厚約60nmの反射防止膜を形成させた。この反射防止膜を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、粒径50〜300nmのCdS結晶粒からなる均質な薄膜であることを確認した。
実施例1と同様の球状シリコン太陽電池素子の表面に、本発明の前記第2形成方法における一つの方法により、ZnOからなる反射防止膜を形成した。工程(1)におけるアルカリ性の水溶液として、Zn(CH3COO)2:0.02mol/l、およびNH4OH:0.075 mol/lを溶解させたpH値10の水溶液を調整した。この水溶液中には、NH3とZn2+が結合して生成したアンモニウム錯体([Zn(NH342+が存在している。
上記の球状太陽電池素子を上記のアルカリ水溶液中に浸漬させた後、この水溶液を加熱して温度を約70℃に上昇させた後、攪拌しながら、70〜80℃に60分間維持した。この温度制御により、水溶液中のアンモニウム錯体から徐々にNH3とZn2+を生成させ、同時に、水溶液中からNH3を徐々に大気中に飛散させてpH値を約9に維持した。この間に、ZnOとZn(OH)2が混在する薄層を球状太陽電池素子の表面に形成させた。この球状太陽電池素子を水溶液中から取り出し、水洗した後、200℃で加熱乾燥した。こうした工程により、球状太陽電池素子の全表面にZnOからなる膜厚約50nmの反射防止膜を形成させた。この反射防止膜をSEMにより観察し、粒径50〜300nmのZnO結晶粒からなる均質な薄膜であることを確認した。
実施例1と同様の球状太陽電池素子の表面に、本発明の前記第2の形成方法における他の方法により、ZnOからなる反射防止膜を形成した。工程(1)の酸性水溶液として、Zn(NO32:0.1mol/l、および還元剤としての(CH32NHBH3:0.1mol/lを溶解させたpH値5の水溶液を用いた。
球状太陽電池素子を、SnCl2:0.09mol/l、およびHCl:0.1mol/lを溶解させた水溶液、次いで、AgNO3:0.006mol/lの水溶液、次いで、PdCl2:0.0006mol/l、およびHCl:0.01mol/lを溶解させた水溶液に順次浸漬した後水洗し、球状太陽電池素子の表面に予め還元触媒(AgおよびPd)を付着させた。
加熱して温度を約70℃に上昇させた上記の酸性水溶液中に、還元触媒を付着させた球状太陽電池素子を浸漬させた後、この水溶液の温度を80℃に10分間維持した。この温度制御により、還元触媒が付着している球状太陽電池素子表面の近傍での還元反応が促進されてOH-が生成し、太陽電池素子表面の近傍でのpH値が、当初の5から6〜7に上昇し、このpH値が維持された。これにより、ZnOおよびZn(OH)2が混在する薄層を球状太陽電池素子の表面に形成させた。この球状太陽電池素子を水溶液中から取り出し、水洗した後、200℃で加熱乾燥した。こうした工程により、球状太陽電池素子の表面にZnOからなる膜厚約80nmの反射防止膜を形成させた。この反射防止膜をSEMにより観察し、粒径50〜300nmのZnOからなる均質な薄膜であることを確認した。
比較例1
実施例1と同様の球状太陽電池素子を用意し、その表面に電子ビーム蒸着法により、ZnOからなる反射防止膜を形成した。反射防止膜形成に際しては、球状太陽電池素子の全面にできるだけ均一なZnO薄膜を形成できるように配慮した。具体的には、蒸着装置内の底部にペレット状のZnOを配置し、上部には200℃に加熱された球状太陽電池素子を配置した。上記のZnOに電子ビームを20分間照射してZnOを酸素雰囲気中で蒸発させ、このZnOを球状太陽電池素子の表面に堆積させた。この蒸着操作を、球状太陽電池素子の第1導電型半導体の露出部が上向きになるように配置して一回、および前記露出部を横向きになるように配置して120度回転させる毎に一回、合計4回行うことにより、平均膜厚80nmのZnO薄膜を球状太陽電池素子の表面に形成させた。
比較例2
実施例1の球状太陽電池素子と同様の、反射防止膜を形成していない球状太陽電池素子を作製した。
実施例1〜3における反射防止膜形成済みの太陽電池素子をSEMにより観察した結果、その全面にわたってほぼ均一な状態でCdSまたはZnOの薄膜が形成されていることが確認された。一方、比較例1における反射防止膜形成済みの太陽電池素子をSEMにより観察したところ、ZnO薄膜の形成状態が全面にわたり不均一で、薄膜が形成されていない箇所が多く観察された。
実施例1〜3および比較例1において作製した反射防止膜形成済みの太陽電池素子、ならびに比較例2の反射防止膜を形成していない太陽電池素子の各々について、光電変換特性を測定した。測定は、上記太陽電池素子を図4のように支持体凹部に装着した状態で、支持体凹部の上部から垂直方向に光照射を行い、その時の第1および第2導電体層の間の短絡電流値を計測することにより行った。
支持体凹部内面には反射率約93%のAgメッキを施し、支持体凹部の開口部の断面積(S1)と太陽電池素子の断面積(S2)の比(集光比:S1/S2)を4とした。短絡電流値の計測にはソーラシミレータを用い、AM1.5、入射光パワー100mW/cm2、および温度25℃の条件で計測した。計測された短絡電流値(mA)をS1(cm2)で除して、短絡電流密度JSC(mA/cm2)を求めた。
反射防止膜の機能は太陽電池素子の受光面での光反射を抑制して光吸収量を増大させることにあるので、太陽電池素子の諸特性の内、JSCを測定することにより反射防止膜の良否を評価することができる。反射防止膜によるJSCの向上効果にほぼ比例して、太陽電池素子の光電変換効率が向上するので、JSCの測定により、光電変換効率向上効果をも評価することができる。
上記の測定の結果、CdSからなる反射防止膜を形成した実施例1では28mA/cm2、ZnOからなる反射防止膜を形成した実施例2および実施例3では29mA/cm2という高いJSCがそれぞれ測定された。一方、従来法によりZnOからなる反射防止膜を形成した比較例1では25mA/cm2、反射防止膜を形成していない比較例2では、24mA/cm2というJSCがそれぞれ測定された。
以上の実施例により、本発明による反射防止膜が、太陽電池素子の諸特性の内、特にJSCおよび光電変換効率を向上させるために極めて効果的であることが確認された。
本発明により、太陽電池素子の高性能化および低コスト化が可能となり、これを用いた発電装置の発電効率および経済性を高めることができる。特に本発明は、球状太陽電池素子を用いた発電装置の実用化に大きく寄与するものである。
本発明により反射防止膜が形成された球状太陽電池素子の縦断面図である。 球状太陽電池素子が組込まれる支持体の平面図である。 図2の支持体のA−B線の断面図である。 図1の球状太陽電池素子が組込まれた支持体の要部縦断面図である。
符号の説明
1 第1導電型半導体
2 第2導電型半導体層
3 第2導電型半導体層の開口部
4 第1導電型半導体の露出部
5、6 電極
7 反射防止膜

Claims (11)

  1. 第1導電型半導体、および前記第1導電型半導体とpn接合し、受光面側半導体となる第2導電型半導体を有する太陽電池素子の反射防止膜の形成方法であって、前記太陽電池素子の少なくとも前記受光面側半導体の表面を前記反射防止膜の構成元素を含む溶液に接触させる工程(1)、並びに、前記溶液の少なくとも前記受光面側半導体の近傍の温度およびpH値を制御することにより、前記反射防止膜の材料となる化合物を生成させ、これを前記太陽電池素子の少なくとも前記受光面側半導体の表面に析出させることにより、前記化合物からなる薄層を形成する工程(2)を有することを特徴とする太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  2. 前記太陽電池素子が、シリコンを主体とする請求項1に記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  3. 前記太陽電池素子が、ほぼ球状の第1導電型半導体、および前記第1導電型半導体の表面の一部を残して被覆する第2導電型半導体を有する請求項1または2に記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  4. 前記溶液が、IIb族、IIIa族、IIIb族、IVa族、IVb族、およびVb族の元素よりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素Aを含む化合物、並びに、SおよびSeの少なくとも一方の元素を含む化合物を溶解させた水溶液であり、前記反射防止膜の材料となる化合物が、前記元素Aの硫化物またはセレン化物である請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  5. 前記溶液が、前記元素Aを含む化合物として、ZnおよびCdの少なくとも一方の元素を含むアンモニウム錯体を溶解させたアルカリ性水溶液であり、前記制御される温度が40〜100℃であり、前記制御されるpH値が8〜11である請求項4に記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  6. 前記元素Aの硫化物またはセレン化物が、ZnS、CdS、およびZnSeよりなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項4または5に記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  7. 前記溶液が、IIb族、IIIa族、IIIb族、IVa族、IVb族、およびVb族の元素よりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素Aを含む化合物を溶解させた水溶液であり、前記反射防止膜の材料となる化合物が、前記元素Aの酸化物または水酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  8. 前記溶液が、前記元素Aを含む化合物として、前記元素Aを含むアンモニウム錯体を溶解させたアルカリ性水溶液であり、前記制御される温度が40〜100℃であり、前記制御されるpH値が8〜11である請求項7に記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  9. 前記工程(1)に先立ち、前記太陽電池素子の受光面側半導体の表面に還元触媒を付着させる工程(3)を有し、前記溶液が、さらに還元剤を溶解させた酸性水溶液であり、前記制御される温度が40〜100℃であり、前記制御されるpH値が5〜9である請求項7に記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  10. さらに、前記元素Aの水酸化物を含む薄層に脱水処理を施すことにより、前記元素Aの酸化物からなる反射防止膜を形成する工程(4)を有する請求項7〜9のいずれかに記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
  11. 前記元素Aの酸化物が、ZnO、TiO2、ZrO2、Ta25、HfO2、SnO2、Al23、In23、Nd23、CeO2、ThO2、Bi23、およびSb23よりなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項7〜10のいずれかに記載の太陽電池用反射防止膜の形成方法。
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