JP2005142266A - 可変抵抗器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 可変抵抗器の抵抗体のマイクロクラックの発生を防止する。
【解決手段】 3つ以上のベンゼン環が、エーテル結合と、ケトン結合とにより結合され、両末端に架橋基を有し、かつ分子量が300〜1500である末端架橋型ポリエーテルケトン(A)と、導電体とを含む材料を、370℃以下の温度条件で焼成して得られる抵抗体が設けられた抵抗体基板と、前記抵抗体上を相対的に摺動する摺動子とを有することを特徴とする可変抵抗器。
【選択図】 なし


Description

本発明は、可変抵抗器に関する。
従来、自動車のポテンショメータ等に利用される摺動式の電気接点等には可変抵抗器が用いられている(例えば特許文献1等)。従来から、自動車におけるポテンショメータ等の摺動部品においては、設置されるエンジン付近の温度が100〜120℃程度に容易に上昇するので、エンジン付近は使用環境として苛酷な環境である。
可変抵抗器は、抵抗体が設けられた抵抗体基板と、前記抵抗体上を摺動する摺動子とを備えている。抵抗体は導電体(導電粒子)を含んでおり、摺動子は抵抗体上を、相対的に摺動する。この様に摺動子が抵抗体上を相対的に移動することにより、両者に接続された回路の電気抵抗値の変動から摺動子に接続された物体の位置検出を行うことができる。
この様な抵抗体は通常バインダ樹脂とカーボン等の導電体とを含む材料を硬化して形成されている。抵抗体の材料としては、例えば下記特許文献2に記載のもの等が挙げられる。
当該特許文献2には、複数の芳香環がケトン結合とエーテル結合とで結合された構造の末端に、架橋基が結合している硬化性樹脂組成物が、電気抵抗体材料として優れることが記載されている。
特開平11−260606号公報 特開平8−73548号公報
しかしながら、前記特許文献2に記載の硬化性樹脂組成物は、電気抵抗材料として耐熱性等の特性が非常に優れたものであるが、製造条件、使用条件等によっては抵抗体について十分な機械的強度が得られなかったり、抵抗値が変動したりする場合がある。特に低温と高温状態が交互に切り替えられる作動条件下で作動試験を行うと、抵抗体が劣化しやすい。そして、本発明者らは、鋭意検討により、この様な問題は、抵抗体内に形成される微少なクラック(マイクロクラック)の発生によって引き起こされていることを見出した。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、前記特許文献2に記載の硬化性樹脂組成物を用いた抵抗体を備えた可変抵抗器について、その抵抗体のマイクロクラックの発生を抑制することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の可変抵抗器は、抵抗体が設けられた抵抗体基板と、前記抵抗体上を相対的に摺動する摺動子とを備えた可変抵抗器であって、前記抵抗体が、3つ以上のベンゼン環が、エーテル結合と、ケトン結合のみにより結合され、両末端に架橋基を有し、かつ分子量が300〜1500である末端架橋型ポリエーテルケトン(A)と、導電体とを含む材料を、370℃以下の温度条件で焼成して得られるものであることを特徴とする。
かかる材料を370℃以下の温度条件で焼成させることにより、可変抵抗器の抵抗体のマイクロクラックの発生を抑制することができる。
また、前記温度条件が350℃以上、370℃以下であることが好ましい。
350℃以上とすることにより、良好な抵抗値が確保できる。
また、前記末端架橋型ポリエーテルケトン(A)が、下記化学式で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2005142266
この化合物は、高耐熱性で、吸湿性が小さく、また高硬度であるため、好ましい。
なお、前記「分子量」とはゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量(質量)平均分子量を示す。
本発明においては、可変抵抗器の抵抗体のマイクロクラックの発生を抑制することができる。
[可変抵抗器]
可変抵抗器は、抵抗体が設けられた抵抗体基板と、前記抵抗体上を相対的に摺動する摺動子とを備えた摺動型のものであれば特にその構成を限定するものではない。また、その用途も特に限定するものではない。
なお、ここで、相対的に摺動するとは、抵抗体基板と摺動子のどちらか一方あるいは両方が移動することを示す。
抵抗体基板は、例えばフェノール積層板、ガラス入りエポキシ基板あるいはセラミックス基板(好ましくはセラミックス基板)の上に、通常適当な溶剤に溶解したバインダ樹脂(末端架橋型ポリエーテルケトン)中にカーボンブラック等の導電体を分散するとともに、必要に応じてさらに溶剤を加えてなる抵抗体ペーストを、公知のスクリーン印刷法等により、半円弧状(馬蹄形状)や細長方形状等の所定形状に形成し、必要に応じて乾燥して溶剤を除去し、焼成することにより抵抗体を形成したものである。かかる焼成とは抵抗体のバインダ樹脂を加熱により硬化させる操作をいう。これにより、バインダ樹脂が硬化し、強固な抵抗体が形成される。
また、抵抗体は複数層からなるものであってもよい。当該複数層からなる抵抗体は、例えば1層目の抵抗体を形成した後、抵抗体ペーストの印刷、必要に応じて乾燥、及び焼成の操作を繰り返すことにより製造することができる。
抵抗体ペーストは、必要とされる抵抗値に応じて上記材料が適宜秤量され、これらをボールミルや三本ロールミル等の分散混合装置によって混練することにより、得られる。なお、溶剤としては、グリコール系、エステル系、エーテル系、ケトン系等の中から一種または数種を選択して使用することができる。
なお、抵抗体は、例えば馬蹄形状または細長形状に形成され、前者の場合は基板に対して摺動子が回転可能に、また後者の場合は基板に対して摺動子がスライド可能に装着されることにより、回転型あるいはスライド型の可変抵抗器が得られる。通常は、抵抗体を設ける前に、基板の上に銀等の金属ペーストをスクリーン印刷等することにより、1対の電極が設けられ、当該1対の電極をつなぐ様に、馬蹄形状または細長形状等の抵抗体が設けられる。すなわち、抵抗体の長手方向両端部に電極が設けられた構成とされる。マイグレーションや硫化の問題から、抵抗体は、電極を上から覆う様に設けることが好ましい。
摺動子としては、長期の摺動においても抵抗体と良好な接触を保ち得る貴金属性の材料が用いられ、具体的には洋白の表面に金メッキや銀メッキを施したものや、パラジウム、銀、白金あるいはニッケル等の合金を使用することができる。特に、高温で表面酸化が懸念される場合、安定した接触状態を維持するために貴金属合金を用いることが望ましい。
なお、抵抗体の摺動子との接触面には、前記特許文献1に記載の様に、フッ素オイルからなるフッ素オイル層を設けることが通常である。
図8は可変抵抗器の構成例を示したもので、基板13上に抵抗体31が設けられて抵抗体基板30が構成され、さらに摺動子14と、この摺動子14を保持する摺動子受け15と、軸12の軸線より偏心して配置され、該摺動子受け15に対してばね力を付与する戻しばね16が設けられている。また、軸12の先端部12aは摺動子受け15と当接しており、軸12を図示右方向へ押圧することにより、戻しばね16の付勢力に抗して、摺動子受け15を右方向へスライド移動させることができる。また、軸12への押圧力を解除すると、摺動子受け15は戻しばね16の付勢力により、図示左方向へスライド移動し、初期状態に復帰する。
[抵抗体]
本発明においては、抵抗体は、3つ以上のベンゼン環が、エーテル結合と、ケトン結合のみにより結合され、両末端に架橋基を有し、かつ分子量が300〜1500である末端架橋型ポリエーテルケトン(A)と、カーボンブラック等の導電体を含む材料(抵抗体ペースト)を、370℃以下の温度条件で焼成して得られるものである。
370℃以下で焼成することにより、抵抗体のマイクロクラックの発生を抑制できる。その結果、可変抵抗器の抵抗値が安定し、機械的強度が向上するので、耐久性の向上に寄与する。
従来は380℃以上の高い温度で焼成していたが、この様に焼成温度を下げることによって、抵抗値の安定化や機械的強度の向上効果が得られることは、従来の技術常識からは驚くべき結果である。
具体的には、従来の焼成温度である380℃以上(例えば380〜390℃程度)の高い温度で焼成して得られるものにおいては、マイクロクラックが発生する。これに対し、370℃以下で焼成して得られるものについては、マイクロクラックの発生を抑制できる。その結果、マイクロクラックに起因する抵抗値の変動や強度低下を防ぐことができ、切削強度等の機械的強度が向上する。そして、可変抵抗器の耐久性を向上させることができる。
380℃以上で加熱することによりマイクロクラックが発生する理由は定かではないが、高温で焼成することによりバインダ樹脂の架橋が進行し、架橋密度が高くなることにより、抵抗体内部にひずみが生じ、これによりマイクロクラックが生じるのではないかと推測される。
この様に、抵抗体の抵抗値の変動や機械的強度が、製造工程で発生するマイクロクラックに依存することを見出した点においても、本発明は技術的意義が大きいものである。
なお、焼成温度の下限値は、バインダ樹脂の架橋がある程度進行する温度であればよく、マイクロクラック抑制の観点からは特に下限値を規定する技術的意義はないが、好ましくは340℃以上である。この範囲であれば、使用可能な抵抗値を確保できる。良好な抵抗値を確保する点からは、特には350℃以上であることが好ましい。すなわち、焼成温度が低くなると、抵抗値は高くなるが、350℃以上の範囲内であれば、従来の380℃以上で焼成して得られるものと比較して例えば約2倍以下の抵抗値が得られるため、良好な抵抗値が確保できる。
・末端架橋型ポリエーテルケトン(A)
ここで、末端架橋型とは、両末端に架橋基を有し、加熱等により架橋可能であることを意味する。
(A)成分は、上記条件を満たせばモノマーであってもポリマーであってもよい。(A)成分は1種または2種以上を混合して用いることができる。また、(A)成分は、抵抗体に求められる抵抗値等によっても変動するが、抵抗体(固形物)中に60〜85体積%程度となる様に用いられる。
また、分子量は300〜1500、好ましくは700〜1000とされる。この範囲であれば、370℃以下の温度条件の焼成と、マイクロクラック抑制の効果との相関関係が確認できる。また、溶剤への溶解性も良好である。
(A)成分において、隣接するベンゼン環どうしは、好ましくはエーテル結合(−O−)とケトン結合(−C(O)−)のみにより結合されている。そして、(A)成分は、エーテル結合とケトン結合を少なくともひとつずつ有している。
(A)成分について、ベンゼン環の数は特に限定せず、前記分子量の数値範囲の条件を満足できる範囲とされる。
ベンゼン環は置換基を有していないものでもよいし、置換基を有していているものでもよい。置換基としてはアルキル基、フェニル基、スルホン基、アルキルエーテル基(アルコキシ基)等が好ましく、アルキル基、アルキルエーテル基が好ましく、特に抵抗体ペースト形成時等の有機溶剤への溶解性の点からアルキル基が好ましい。アルキルエーテル基としては、メトキシ基やエトキシ基等が好適である。アルキル基としては、炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基)が好ましく、中でもメチル基が好ましい。ひとつのベンゼン環に結合する置換基の数は特に限定しないが、1または2が好ましく、1であることが好ましい。
架橋基は、抵抗体ペーストを焼成(加熱硬化)させる際に架橋可能なものであれば特に限定せず、例えばエチニル基、アリル基、エポキシ基、ビニル基等が挙げられ、中でもエチニル基が好ましい。
(A)成分は、特開平8−73548号公報に記載された方法によって合成され得る。例えば、3つ以上のベンゼン環がケトン結合とエーテル結合とで結合された構造の末端にエチニル基の結合された(A)成分は、例えば、末端にフッ素の結合されたフェニルエーテルケトンと、ベンゼンジオールと、エチニルフェノールとを反応せしめることにより生成され得る。
また、この場合、フェニルエーテルケトンとして末端にフッ素の結合されたものを使用しているが、これはフッ素に限られるものでもなく、臭素や塩素等のハロゲン化物などが適用され得る。また、この場合、架橋基としてエチニル基の結合された(A)成分を生成するために、反応物としてエチニルフェノールを用いているが、架橋基として、アリル基を結合させるのならば、エチニルフェノールの代りに、アリルフェノールやアリルアルコールを、エポキシ基ならば、グリシドールを、ビニル基ならば4−ビニルベンジルアルコールを用いることが好適である。
さらにまた、反応物であるフェニルエーテルケトンとベンゼンジオールの仕込比を調整することにより、生成物たる(A)成分の分子量を自由に調整することができる。したがって、熱膨張係数なども目的とする製造物に応じて適宜設定することができる。
また、ベンゼン環に上記各種の置換基が結合された(A)成分を生成するならば、反応に供するベンゼンジオールに各種の置換基の結合されたものを使用することが好適である。
以下、さらに具体例を挙げて説明する。なお、下記[化2]、[化3]、[化5]、[化7]において、nは1以上の整数である。
(A)成分は、フェニルエーテルケトン型のフッ素末端モノマーやフェニルケトン型のフッ素末端モノマーと、ヒドロキノンやレゾルシノール等のジオールモノマーと、3−エチニルフェノールとの種々の組合せにより、炭酸カリウムを用いた芳香族求核置換反応により合成され得る。
例えば、下記化学式(3),(4)に示されるように、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン(DFB)(I)とアルキル置換ヒドロキノン(II)をジメチルアセトアミド(DMAC)やトルエン、さらには炭酸カリウムの存在下で反応させる。その後、得られた生成物(III)と3−エチニルフェノール(IV)をDMACやトルエン、K2CO3の存在下で反応させて末端にアセチレン基の結合した(A)成分(V)が生成される。
Figure 2005142266
Figure 2005142266
また、この生成反応は、中間生成物(III)を経ることなく、下記化学式(5)に示すように、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン(DFB)(I)とアルキル置換ヒドロキノン(II)と3−エチニルフェノール(III)とから1段階の反応でアセチレン末端芳香族ポリエーテルケトン(V)を生成することもできる。
Figure 2005142266
また、下記化学式(6),(7)に示されるような、フェニルエーテルケトン型のフッ素末端モノマー(VI)と、アルキルヒドロキノン(II)とからポリマー(VII)を合成し、続いて、このポリマー(VII)と3−エチニルフェノールとをジメチルアセトアミド(DMAC)やトルエン、さらには炭酸カリウムの存在下で反応させることにより、末端にアセチレン基を有するポリマー(VIII)を生成することもできる。
Figure 2005142266
さらに、下記化学式(8)に示されるような、(p−フェニレンジオキシ)ビス[2−メチル−4−(4−フルオロベンゾイル)ベンゼン]と、3−エチニルフェノールとを塩基存在下で反応させることにより、末端にアセチレン基を有する芳香族エーテルケトンオリゴマー(IX)を生成することもできる。
Figure 2005142266
さらにまた、下記化学式(9)に示されるような、フェニルエーテルケトン型のフッ素末端モノマーと、ヒドロキノンとから、また過剰のフッ素末端モノマーをも用い、中間生成物を経て3−エチニルフェノールと反応させることにより、末端にアセチレン基を有する芳香族ポリエーテルケトン(IX’)を生成することもできる。
Figure 2005142266
(A)成分においては、その生成反応物の仕込比を調整することにより、生成物の分子量を調整することが可能となる。すなわち、上記化学式(3)であれば、その生成反応に用いられる4,4'−ジフルオロベンゾフェノン(DFB)(I)とアルキル置換ヒドロキノン(II)の仕込比を調整することにより、中間生成物(III)の分子量を調整することができる。
また、(A)成分は、上記化合物(V)、(VIII)にも示されているように、ベンゼン環に置換基Rが結合されている。この置換基が結合されていることにより、各種の有機溶剤、特に、例えば、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル2−ピロリドン、トリグライム等への可溶性を向上させることができる。
置換基としては、アルキル基、フェニル基、スルホン基、アルキルエーテル基アルコキシル基などが適用できる。中でも、t−ブチル基(−C(CH33)や、アミル基(−C511)が好適である。例えば、上記化学式(6)においては、R1として、メチル基、エチル基、イソプロピル基(−CH(CH32)等の種々のアルキル基が好ましく、R2としては、メチル基、t−ブチル基(−C(CH33)が好ましい。さらにまた、ジオールモノマー(II)としては、アルキルヒドロキノンの他、レゾルシノール、t−ブチル基二置換ヒドロキノンなどが好適である。
(A)成分は、硬化させる前においては、種々の有機溶剤に可溶であるが、硬化させることにより、有機溶剤には不溶な樹脂硬化物となり、耐溶剤性、耐薬品性に優れるようになり、しかも耐熱性も向上する。硬化反応は、末端に結合された架橋基の種類に応じるものであるが、架橋基がエチニル基、アリル基、エポキシ基、ビニル基等であれば、熱硬化する。したがって、上記(A)成分であると、加熱することにより、耐溶剤性等の特性が向上するものとなる。
そして、上述の様に、(A)成分、導電体を含む抵抗体を形成する材料を370℃以下で焼成させることにより、マイクロクラックを抑制し、より抵抗値を安定なものとし、機械的強度を向上させることができる。
(A)成分としては、中でも下記一般式で表されるものが好ましい。
Figure 2005142266
式中、Rは上述した置換基であり、上述の様にアルキル基、フェニル基、スルホン基、アルキルエーテル基等が好ましく、アルキル基、アルキルエーテル基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。アルキルエーテル基としては、メトキシ基やエトキシ基等が好適である。アルキル基としては、炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基)が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
mは0または1〜2の整数であり、0または1が好ましい。そして、(A)成分を構成するベンゼン環のうち、少なくとも1つ以上が置換基を有すると好ましい。
nは0または1以上の整数であり、分子量が300〜1500の範囲で適宜選択可能であるが、1〜3程度が好ましい。
(A)成分としては、特に下記化学式で表される化合物は、高耐熱性で、吸湿性が小さく、また高硬度であるため、好ましい。
Figure 2005142266
・導電体
抵抗体(抵抗体ペースト)に配合する導電体(導電粒子)としては、例えばカーボンブラック等が1種または2種以上組み合わせて用いられる。
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が使用可能であるが、アセチレンブラックが、構造が発達しており、それ自体で若干の補強効果があること、及び抵抗値の経時的変化が少ない等の利点を有するため、好ましい。
・その他の成分
抵抗体(抵抗体ペースト)には、耐摩耗性付与等のために各種フィラーを配合することが好ましい。フィラーは、抵抗体(固形物)中に、例えば10〜20体積%程度となる様に用いられる。フィラーは特に限定せずに用いられるが、例えばカーボンファイバー、酸化ケイ素等が挙げられ、カーボンファイバーが好適である。
カーボンファイバーとしては、ミルドカーボンファイバーやチョップドカーボンファイバー等の短繊維で、その直径が3〜20μm、長さが5〜50μmのものを使用することができ、特に、直径が5〜10μm、長さが10〜30μmのものが好適である。カーボンファイバーの直径や長さが上記範囲より小さい場合、抵抗体塗膜中の熱硬化性樹脂との接触面積が小さくなって結合力が弱くなるため、摺動子の摺動によってカーボンファイバーが削り取られ易くなり、充分な摺動寿命の改善とはならない。また、カーボンファイバーの直径や長さが上記範囲より大きい場合、印刷時に用いるスクリーンのメッシュをカーボンファイバーが通り抜けにくくなって印刷性が著しく低下し、しかも抵抗値変化特性に若干の乱れが生じるため好ましくない。
また、抵抗体(抵抗体ペースト)には、上記材料の他、消泡剤等の添加剤を加えることもできる。
この様に本発明の可変抵抗器においては、抵抗体のマイクロクラックを抑制できる。そのため、抵抗値が安定で、機械的強度が低下せず、耐久性に優れる。なお、バインダ樹脂の架橋が進行する温度以上であれば、焼成温度を低下させても、摺動寿命については実用上特に問題がない。
[抵抗体基板]
下記組成の抵抗体ペーストを製造した。具体的には、樹脂ワニス、カーボンブラック、カーボンファイバー、消泡剤をそれぞれ秤量し、これにアセトンを適量加えて攪拌し、三本ロールミルにて数回処理して製造した。
カーボンブラック[商品名 デンカブラック(電気化学工業)] 9.8g
カーボンファイバー[商品名 トレカミルドファイバー(東レ(株))] 10g
バインダ樹脂[[化1]で示す化合物(分子量712)]を固形分55重量(質量)%濃度に成る様にメチルトリグライム(CHOCHCHOCHCHOCHCHOCH)に溶解した樹脂ワニス 50.6g
消泡剤 1.5g
ついで、厚さ1mmのセラミックス基板の上に、1対の電極を、銀ペーストをスクリーン印刷することにより設け、さらに前記抵抗体ペーストを用いて、当該1対の電極をつなぐ様に、かつ当該1対の電極を覆う様にスクリーン印刷し、200℃10分乾燥することにより、12mm×2.7mmのサイズの長方形状の未硬化の抵抗体を形成した。
ついで、各種温度条件(焼成時間は各80分間)にて、当該未硬化の抵抗体を焼成させた後、下記試験により性能評価を行った。
なお、抵抗体の印刷→乾燥→焼成の処理は必要に応じて繰り返し、抵抗体の硬化後の膜厚は、約10μm程度とした。
[試験方法]
・抵抗値
各焼成温度条件について、焼成後の抵抗体について抵抗値を測定し、380℃での抵抗値を1としたときの抵抗値の比率を抵抗比として求めた。結果を図3にグラフで示した。
・切削強度(サイカス採用)
塗膜の評価方法は一般に難しく、物性を数値化できるものは少ないが、サイカス(表面界面分析装置Surface and Interfacial Cutting Analysis System)は塗膜を切削する時の切削力から、塗膜のせん断強度や界面の付着力を定量化できる装置である。このサイカスを抵抗体に適用できれば、抵抗体の塗膜強度を物性値として定量化でき、摺動寿命と関連付けられると考え、当該方法を採用した。
図1はサイカスによる切削強度の測定方法の説明図である。
サイカスは垂直運動する切り刃1と水平運動する試料台2で構成されている。
切り刃1を試料台2の上の試料3(抵抗体基板の抵抗体)の表面に当て、試料台2を水平方向に動かしながら切り刃1に荷重Gをかけると、切り刃1が試料3に斜めに切りこんでいく。このときの切り刃1にかかる力の垂直方向成分と水平方向成分をそれぞれ検知し、切り刃1の切りこみ深さを膜厚計4でモニターする。
その結果、水平方向成分である切削力と切りこみ深さから、図1中に示した切削理論に基づく計算式を使い、塗膜強度に相当するせん断強度(切削強度)を求めることができる。
切削力は切りこみ深さにほぼ比例して大きくなり、その直線の傾きが大きいほどせん断強度が大きい。言いかえれば、せん断強度が大きいほど塗膜の靭性が高く、せん断強度が低いほど塗膜が脆いといえる。
具体的には、サイカス(表面界面物性測定装置)を用い、測定は、定荷重モード(荷重:3N)で行なった。すなわち、切り刃1に3Nの荷重Gをかけた状態で試料3(抵抗体)を切削し、その時の切りこみ量に対する切削力を測定した。
サイカスの型番は、CN100型(ダイプラウィンテス(株)社製)であった。また、 切り刃の材質は、ボラゾン(刃幅2mm:せん断角45°)であった。
測定は、それぞれ3ポイント測定し、平均値を算出した。
結果を図4にグラフで示した。
・ダイナミック硬度
可変抵抗器の摺動寿命には、抵抗体の硬度が影響すると考えられるので、抵抗体のダイナミック硬度を測定しておく必要がある。
図2(a)、図2(b)は、ダイナミック硬度の測定方法の説明図である。試料3(抵抗体)の表面に四角錐の圧子11をある一定の荷重Gで一定時間押し込むことにより、図2(b)に示した様なデータが得られ、その結果、図2(a)中に示した計算式により、押し込み荷重に対する圧子11のくぼみ深さからダイナミック硬度が算出される。
具体的には抵抗体(試料3)の表面に四角錐の圧子11を10gで30秒間押し込んだときの押し込み荷重に対する圧子のくぼみ深さを測定し、ダイナミック硬度を算出した。ダイナミック硬度の測定には、微少硬度計(島津製作所社製 製品名 DUH-200)を用いた。
測定は、それぞれ3ポイント測定し、平均値を算出した。
結果を図5にグラフで示した。
・耐溶剤試験
抵抗体基板を試験溶媒(トルエン:イソオクタン=1:1(重量(質量)比))中に浸漬し、24±0.5時間後に基板を取りだし、抵抗体表面を軽く拭き、抵抗値を測定した。試験前の抵抗値に対する変化率を算出し、図6にグラフで示した。
当該耐溶剤試験はマイクロクラックの発生を調べるものであって、マイクロクラックが発生している抵抗体を溶剤に浸漬すると、溶剤がマイクロクラックが進入し膨張することにより、抵抗値が高くなる現象を利用したものである。
図3〜図6のグラフからわかる様に、焼成温度がより好ましい範囲である350℃以上であれば、抵抗比が約2倍程度であり、良好な抵抗値を確保できることが確認できた。
また、切削強度は焼成温度が高くなる程低下することが明らかとなった。特に切削強度は370℃から380℃の間で大きく低下する傾向が見られた。
また、ダイナミック硬度は焼成温度を低くしてもさほど低下せず、実用上問題ないことがわかった。
また、耐溶剤試験においては、370℃を境に、370℃を超える範囲では浸漬前に対する抵抗値が大きく変化すること、及び特に360℃以下では抵抗値が非常に安定していることが明らかとなった。
なお、図7に380℃で焼成した抵抗体基板の電子走査顕微鏡写真を示す。細かいクラックがはっきりと確認できる。
サイカスによる切削強度の測定方法の説明図である。 図2(a)、図2(b)は、ダイナミック硬度の測定方法の説明図である。 実施例の抵抗比の測定結果を示したグラフである。 実施例の切削強度の測定結果を示したグラフである。 実施例のダイナミック硬度の測定結果を示したグラフである。 実施例の耐溶剤試験の結果を示したグラフである。 380℃で焼成した抵抗体基板の電子走査顕微鏡写真である。 可変抵抗器の構成例を示した説明図である。

Claims (3)

  1. 3つ以上のベンゼン環が、エーテル結合と、ケトン結合のみにより結合され、両末端に架橋基を有し、かつ分子量が300〜1500である末端架橋型ポリエーテルケトン(A)と、導電体とを含む材料を、370℃以下の温度条件で焼成して得られる抵抗体が設けられた抵抗体基板と、前記抵抗体上を相対的に摺動する摺動子とを有することを特徴とする可変抵抗器。
  2. 前記温度条件が350℃以上、370℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の可変抵抗器。
  3. 末端架橋型ポリエーテルケトン(A)が、下記化学式で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の可変抵抗器。
    Figure 2005142266

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