JP2005139362A - 光硬化性生体吸収性材料 - Google Patents

光硬化性生体吸収性材料 Download PDF

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Abstract

【課題】生体組織の表面でペースト状から光照射によりゲル状に変換し、生体組織の被覆、修復、複合化などの組織化に利用しうる材料を提供する。
【解決手段】側鎖として光硬化性基をもつ生分解性原料ポリマー(ポリマー)と光照射によりラジカルを発生する光反応性化合物とを混合したペーストを調製し、光照射することにより、ゲル状に硬化して、生体組織表面に固定化される。
【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化性生体吸収性材料及び光硬化性生体組織固定化材料に関する。詳しくは、本発明は、二重結合を有する生分解性ポリマーを光により硬化させ、生体組織に固定化される光硬化性の生体組織固定化材料に関する。
外科手術における皮膚や臓器などの軟組織の接合は、損傷した組織をもとの形態に戻し、さらに創部が自己の組織再生修復機能によって治癒するまでの1週間から2週間ほどの期間、生体に内在する拍動圧や収縮力、あるいは外力に耐え接合力を維持することが必要である。
従来より、組織の接合には縫合針と縫合糸による吻合が一般に行われている。また、これに代わる組織接合方法として古くから接着剤を使う方法が開発されており、(1)液状のシアノアクリレートモノマーが水分により短時間のうちに重合し、硬化することを利用しているシアノアクリレート系接着剤(非特許文献1)、(2)フィブリノーゲンがトロンビンの働きによって不溶性のフィブリン塊を形成するという生体内の血液凝固の機構を利用したフィブリン糊(非特許文献2)、(3)ゼラチンとレゾシノールをホルマリンで架橋するというゼラチン系接着剤が実用化されている。(非特許文献3)
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シアノアクリレート系接着剤は、速硬性にすぐれており、組織との接着力が高い反面、硬化物は柔軟性に欠け、生体軟組織に比べ極めて硬いために、生体組織の収縮などの応力により接合不全になりやすく、また創傷治癒を妨げる場合がある。また、生体内での分解が半年から1年と遅いために被包化されて異物となりやすい。さらに、分解時に毒性の強いホルムアルデヒドを生成するものもあるなどの問題がある。フィブリン糊は生体組織への接着力が不十分で、組織の動きに追従できず組織から剥離しやすい。また、ヒト由来の血液製剤であるために肝炎やエイズなどのウィルス感染が懸念される。さらに、他の組織接着剤に比べて高価であり、大量には使用しにくいという問題点がある。ゼラチン系接着剤は、高い組織接着性を示すが、ゼラチンの架橋剤であるホルマリンが生体内のタンパク質とも架橋反応を起こし毒性を示すことが指摘されている。
本発明は、上記の問題点を解決するために、柔軟性を有する生体組織との親和性の強い光硬化性のポリマー材料を提供するものである。
本発明はまた、毒性を示す薬品を使用することなく簡便な光照射操作で、湿潤した生体組織表面において速やかに硬化させることにより生体組織に強固に接着でき、硬化物は柔軟でかつ生分解性を有し、分解物は毒性を示さない医療用組織接着剤を提供することを目的とする。
本発明は、下記の光硬化性生体組織固定化材料及び光硬化性生体組織固定化材料に関する。
1. 下記の繰り返し単位(I)及び(III)を有し、必要に応じてさらに繰り返し単位(II)を含む、光硬化性生体吸収性材料:
(I)脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位
(II) 下記式で表されるグリシドール由来の繰り返し単位
−{OCH2CH(CH2OH)}−
もしくは
−{OCH2CH(OH)CH2}−
(III)光硬化性基を有する下記式で表される繰り返し単位
−{OCH2CH(CH2OR)}−
もしくは
−{OCH2CH(OR)CH2}−
{式中、Rは二重結合を有する光硬化性基を表す}。
2. さらに光反応性化合物を有する1.に記載の光硬化性生体吸収性材料。
3. 前記1.に記載の材料を含む光硬化性生体組織固定化材料。
以下、本発明をより詳細に説明する。
(I) 脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸、酒石酸が挙げられ、脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン酸などが挙げられる。
(II)グリシドール由来の繰り返し単位
下記式(II)で表される繰り返し単位が例示できる:
−{OCH2CH(CH2OH)}− もしくは −{OCH2CH(OH)CH2}− (II)
式(II)の繰り返し単位は、グリシドールのエポキシ基が開環するときに形成され、繰り返し単位(I)に対応するジカルボン酸又はヒドロキシカルボン酸とエステル結合を形成するか、或いはグリシドールが重合してエーテル結合を形成する。塩基がエポキシ環を攻撃し、開裂した際に、グリシドールのプロトンが移動すれば、「−{OCH2CH(OH)CH2}−」で表される繰り返し単位が生成する。
(III)光硬化性基を有する繰り返し単位
下記式(III)で表される繰り返し単位を例示できる:
−{OCH2CH(CH2OR)}− もしくは −{OCH2CH(OR)CH2}− (III)
{式中、Rは二重結合を有する光硬化性基を表す}。
式(III)の繰り返し単位は、式(II)の繰り返し単位を有する原料ポリマーをR−OHで表されるカルボン酸化合物(例えば、置換基を有していてもよい(o−,m−,p−)スチレンカルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸など)と脱水縮合させ、エステル結合を介してRで表される光重合性基を導入することにより得ることができる。(o−,m−,p−)スチレンカルボン酸の置換基としては、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、OH,メトキシ、エトキシ、メチル、ヒドロキシメチル、シアノ、アミノなどが例示される。
原料ポリマーに導入されるRで表される光硬化性基は、光によりラジカル重合可能な二重結合を有するものを広く包含する。好ましい光硬化性基としては、CH2=CH−C64−CO−,CH2=CH−CO−,CH2=CH(CH3)−CO−など分子内に二重結合を有するものであればどのようなものでもよく、好ましくはCH2=CH−C64−CO−である。二重結合を有する光硬化性基の導入は、1-エチル-3-(-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、あるいは1-シクロヘキシル-3-(2-モルフォリノエチル)カルボジイミドメソ-p-トルエンスルホン酸などの水溶性カルボジイミド系結合試薬を用いてエステル結合により行うことが好ましいが、クロロギ酸エチル、カルボニルジイミダゾールやジメチルアジピンイミデート、ジスクシンイミジルスベレートなどの2価性架橋試薬による化学結合を介して導入してもよい。また、原料ポリマーと光硬化性基との結合にはポリエチレングリコール鎖や長鎖アルキル鎖をスペーサーとして導入してもよい。
式(I)の繰り返し単位と式(II)の繰り返し単位を有する原料ポリマーは、公知であるか、公知のモノマーを使用し、公知の方法に従い容易に合成することができる。
原料ポリマーと前記カルボン酸化合物との反応において、式(II)の繰り返し単位の全てのCH2OHがCH2OR(Rは前記に定義される通りである)に変換される場合、本発明の硬化性ポリマーにおいて式(II)の繰り返し単位が存在しないことになる。しかしながら、通常は、式(II)の繰り返し単位のOH基が全てOR基に変換されることはなく、通常は、本発明の光硬化性生体吸収性材料において、式(II)の繰り返し単位が存在する。
本発明の光硬化性ポリマーにおいて、繰り返し単位(I)〜(III)のモル比は、
繰り返し単位(I):繰り返し単位(II):繰り返し単位(III)=
0〜80モル%:0〜80モル%:5〜50モル%;好ましくは
30〜75モル%:0〜40モル%:10〜30モル%;より好ましくは
45〜70モル%:20〜30モル%:15〜25モル%である。
本発明の光硬化性ポリマーの分子量は、300〜30000程度、好ましくは2500〜10000程度、より好ましくは3000〜4000程度である。なお、分子量はGPC法により測定することができる。
好ましい実施形態の1つにおいて、本発明の光硬化性生体組織固定化材料の特徴を具体的に列記すると(1)光照射操作により速やかにゲル化でき、(2)体液、血液など水存在下において組織との接着力を有し、(3)硬化ゲルは生体組織の動きに追従できる物理的柔軟性を有し、柔軟性は各繰り返し単位の種類、含有量などを変化させることにより容易に調節可能であり、(4)脂肪族エステルを用いたため生体適合性に優れ、さらに(5)生分解性を有し、分解物は低毒性ないし非毒性であるなどである。
本発明のポリマーは反応性側鎖を持つポリエステルから合成され、反応性側鎖を持つポリエステルの調製はグリシジル化合物などのエポキシ環を有するモノマーを活用し、ジカルボン酸との重付加やラクトン類、酸無水物などとの開環共重合によって合成される。モノマーを適宜選ぶことによって、反応性側鎖のタイプを変えることも可能である。
二重結合を有する光硬化性基Rを導入するための化合物は、ラジカル重合性のモノマー、オリゴマーおよびポリマーであればどのようなものでもよく、また二官能性、三官能性など多官能性ビニル化合物が好ましい。好ましい具体例の1つは、分子量約1000のポリエチレングリコール・ジアクリレートである。
本発明の材料は、繰り返し単位(I)〜(III)を有するポリマーと光反応性化合物を併用し、光硬化を促進するのが好ましい。
光反応性化合物は、光照射によりラジカルを発生する有機化合物であり、たとえばカンファキノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノンなどのカルボニル化合物およびそれらの誘導体、ジチオカルバメート、ザンテート、チオフェノールなどのイオウ化合物およびそれらの誘導体、過酸化ベンゾイル、ブチルペルオキシドなどの過酸化物およびそれらの誘導体、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸エステルなどのアゾビス化合物およびそれらの誘導体、ブロモプロパン、クロロメチルナフタレンなどのハロゲン化合物およびそれらの誘導体、フェニルアジドなどのアジド化合物およびそれらの誘導体、ローダミン、エリスロン、フルオレッセン、エオシンなどのキサンテン系色素およびそれらの誘導体、リボフラビンおよびそれらの誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種類、またはアミン類などのプロトンドナーを添加した混合物であり、好ましくはカンファキノン単独、もしくはさらにジメチルアミノエチルメタクリレートとの混合系である。光反応性化合物が、上記の光反応性化合物を原料ポリマーの側鎖に導入されている光反応性原料ポリマーの場合には、前記原料ポリマーを用いない光反応性原料ポリマーからなるペーストでも固定化剤として使用することができる。
光反応性化合物は、本発明の光硬化性ポリマー100重量部あたり、0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部程度、より好ましくは0.5〜3重量部程度使用できる。
光照射における光源は、たとえばハロゲンランプ、キセノンランプ、白熱ランプあるいは水銀ランプ、あるいはエキシマレーザー、アルゴンイオンレーザーなどであり、好ましくはハロゲンランプを用い、望ましくは波長300から500nmの光を使用する。照射時間は1分程度が好ましい。
本発明の光硬化性組織接着剤の硬化は以下の機構により進行する。まず光反応性化合物に光照射するとラジカルが発生する。生成したラジカルにより原料ポリマーに含まれる光硬化性基の重合反応が開始される。また、ビニル化合物を共存させている場合には原料ポリマーとの共重合反応が起こる。これらの重合反応により原料ポリマー間、あるいはさらにビニル化合物間ともにおいて架橋が起こり、ゲル状の硬化物を与える。
本発明により光硬化性基を少なくとも一部に有するポリエステル系原料ポリマーを光反応性化合物と混合した混合水溶液に、光によりゲル状に硬化させ、生体組織に接着することを特徴とする医療用組織接着剤を提供できる。本組織接着剤により、生体組織に大きな傷害を与えることなく、光を照射するだけで速やかに生体組織に接着する、あるいは組織間を接合することがでる。また、組織接着剤の成分、硬化体および分解物はいずれも非毒性であるという利点がある。本組織接着剤を用いることにより手術操作の簡単化と手術時間の短縮だけでなく、癒着剥離部位や、肝臓、脾臓など実質臓器からあるいは微小血管からの出血に対する止血、あるいは死腔への充填など、縫合法では行うことのできなかった新しい手技を提供できる。また、ポリエステルの代わりにグリシドール重合体であるポリエーテルを用いることも可能である。反応性側鎖は光硬化性基の導入以外に医薬を導入することにより医薬徐放機能を有する生体吸収性材料として用いることもできる。
次に本発明を実施例により具体的に説明する。
合成例1
反応性側鎖をもつ生分解性高分子の合成
グリシドールとε-カプロラクトンを各0.1molずつ混合し、砕いた水酸化ナトリウムを0.5mol%加え、60℃にて72時間撹拌した。開始剤としてはマグネシウムエトキシドなどの他の塩基性試薬でも代用できる。精製はメタノール/クロロホルム混合溶液に溶解後、石油エーテルから再沈殿させて行った。精製の際の混合溶媒は共重合体の組成比によって変化させ、混合比は75/25を中心に10/0〜1/10の間である。減圧乾燥後、収率80%でペースト状のコポリエステルエーテルを得た。
得られたε-カプロラクトンとグリシドールの共重合体の1H−NMRのデータを図1に示す。
合成例2
ε-カプロラクトンに代えて無水コハク酸を使用する以外は上記と同様にして無水コハク酸とグリシドールの共重合体を得た。
得られた無水コハク酸とグリシドールの共重合体の1H−NMRのデータを図2に示す。
また、触媒、仕込み比を表1に記載するように変更したときの収率、GPC方で測定した分子量、共重合比及び粘性の測定結果を表1に示す。
Figure 2005139362
合成例3
無水コハク酸とグリシドールの共重合体のビニル化ポリエステルの合成
100mL二口フラスコに窒素雰囲気下で氷冷しながらDMF 20mLと4-ビニル安息香酸 (18mmol, 2.66g)を順に加え撹拌により溶解させた。DMF 15mLを別のフラスコに入れ、氷浴で冷やしながらDCC (19mmol, 4.0g)を溶解させた。これを先の溶液に氷冷下で30分かけて滴下した。混合溶液を室温に戻し、1時間撹拌を続けた。合成例2で得られた開環共重合体2.5gを別のフラスコに入れ、15mLのDMFに溶解させた。これを先の混合溶媒に氷冷下で30分かけて滴下した。反応溶液を室温に戻し、一晩撹拌を続けた。析出物をろ過により取り除き、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣からメタノールで抽出し、エバポレーターにて濃縮すると、目的とするビニル化ポリエステルが得られた。収率は40%で、ビニル側鎖の導入率は分子量1000当たり約1であった。
各種条件で得られたビニル化ポリエステルの導入の結果を表2に示し、run1で得られたビニル化ポリエステルの1H−NMRのデータを図3に示す。表2中、WSCは水溶性カルボジイミドを意味し、SAは無水コハク酸を意味し、GLはグリシドールを意味する。
Figure 2005139362
合成例4
アクリル酸エステルの合成
4-ビニル安息香酸の代わりに等モルのアクリル酸を使用し、合成例2で得られた開環共重合体に代えて、合成例1で得られた開環共重合体を使用した以外は合成例3と同様にして、ポリ(ε−カプロラクトン/グリシドール)にアクリル酸基を導入したポリエステルを得た。該ポリエステルが得られたことは、1H−NMRのデータにより確認した。1H−NMRのデータを図4に示す。
実施例1
光硬化性生体吸収性固定化材料の光硬化性
合成例3及び4で得られた本発明の光硬化性材料30mg (Wa)にカンファーキノン(CQ)と2-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)とをそれぞれ0.5wt%、1.5wt%になるように混合し、ガラスシャーレ上にてハロゲンランプ(トクソー、パワーライト、照射波長:400-600nm、照射強度:200mW/cm2)の可視光を所定時間照射した。照射物にクロロホルムを加え、30分放置した。クロロホルムに溶解した非ゲル化部分はクロロホルム溶液として除去し、真空乾燥後、重量測定(Wb)しゲル化率を求めた。さらにゲル化サンプルに水を加え、30分放置後、水を取り除き重量測定(Wc)し、膨潤度を測定した。
合成例4の光硬化性材料を用いた結果を表3に示す。
表3中、run1はε−カプロラクトン/グリシドール=50/50(モル比)の共重合体にアクリル酸基を(グリシドール残基に対し)50%導入したのものである(繰り返し単位では、(I):(II):(III)=50:25:25(モル比)である)。
run2はε−カプロラクトン/グリシドール=50/50の共重合体であり、アクリル酸基を(グリシドール残基に対し)25%導入したものである(繰り返し単位では、(I):(II):(III)=50:37.5:12.5(モル比)である)。
run3はグリシドールのホモポリマーに対し、アクリル酸基を50%導入したものである。
Figure 2005139362
ビニル化ポリエステルのゲル化率は(Wb-Wa)/Wa ×100(%)から求め、生成ゲルの膨潤度は(Wc- Wb)/ Wbから求めた。ゲル化は1分の照射で約70%が変換され、それより長い時間の照射でもあまりゲル化率は変化しなかった(run2)。また、ビニル化ポリエステル内に導入された光硬化性基の量が増加するほど、ゲル生成量は増加する傾向を示した。さらに、グリシドールのホモポリマー(ポリエーテル)をビニル化したものでも光硬化させることができた。
また、合成例3の(無水コハク酸/グリシドール)に4−ビニル安息香酸基を導入したものの経時変化の結果を図5に示す。
実施例2
光硬化した組織固定化剤の加水分解性
実施例1に基づいて作成した(無水コハク酸/グリシドール)のビニル化ポリエステルのゲル(10mg)を所定のpHに調整した緩衝水溶液内に加え、37℃の恒温槽中にて振とうさせた。所定時間後に溶液を分取した。これをフィルター(DISMIC-25HP、20μm)によりろ過し、不溶物を除去した。ろ液に6N HCl水溶液を1滴加え、水溶液中に溶存する有機物に由来する炭素濃度を全有機炭素計(島津製作所、TOC-5000A)を用いて測定した。結果を図6に示す。ゲルをpH7の1%PBS溶液中で振とうさせた。24時間後においても形状にほとんど変化は見られなかった。一方、pH13の水酸化ナトリウム中において振とうさせると、時間とともに溶液中の有機性炭素濃度が増加した。ビニル化ポリエステルから得られたゲルは加水分解性であるといえる。
実施例3
電極被覆剤への応用
兎の腎臓交感神経あるいは減圧神経を露出させ、各神経束を約1mm間隔で巻き付けたステンレス製ワイヤー電極を引き上げ、生体組織から離した。電極部にビニル化ポリエステルを塗布した。ポリエステルは適度な粘度を有しているため局部に限極させることが可能であった。塗布部分にハロゲンランプを照射するとポリエステルはゲル状に硬化し、生理食塩水で洗浄しても硬化物は溶解することはなかった。また、硬化させた後に組織と接触させた状態で神経束から活動電気信号を取得することが可能であった。
電極の減圧神経への固定化の結果を図7に示す。図6に示すように、電位信号は光処理の前後で変化せず、固定化剤として有効であることが示された。
電極の腎臓交感神経への固定化の結果を図8に示す。図7に示すように、電位信号は光処理の前後で変化せず、固定化剤として有効であることが示された。
合成例1で得られたε-カプロラクトンとグリシドールの共重合体の1H−NMRのデータを示す。 合成例2で得られた無水コハク酸とグリシドールの共重合体の1H−NMRのデータを示す。 合成例3で得られたビニル化ポリエステルの1H−NMRのデータを示す。 合成例4で得られたポリ(ε−カプロラクトン/グリシドール)にアクリル酸基を導入したポリエステルの1H−NMRのデータを示す。 (無水コハク酸/グリシドール)に4−ビニル安息香酸基を導入したものの光硬化性を示す。 実施例2の光硬化した組織固定化剤の加水分解性の結果を示す。図6において、全有機性炭素濃度は、加水分解の結果可溶化した有機性成分の水溶液中の濃度を表す。 電極の減圧神経への固定化の結果を示す。 電極の腎臓交感神経への固定化の結果を示す。

Claims (3)

  1. 下記の繰り返し単位(I)及び(III)を有し、必要に応じてさらに繰り返し単位(II)を含む、光硬化性生体吸収性材料:
    (I)脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位
    (II) 下記式で表されるグリシドール由来の繰り返し単位
    −{OCH2CH(CH2OH)}−
    もしくは
    −{OCH2CH(OH)CH2}−
    (III)光硬化性基を有する下記式で表される繰り返し単位
    −{OCH2CH(CH2OR)}−
    もしくは
    −{OCH2CH(OR)CH2}−
    {式中、Rは二重結合を有する光硬化性基を表す}。
  2. さらに光反応性化合物を有する請求項1に記載の光硬化性生体吸収性材料。
  3. 請求項1に記載の材料を含む光硬化性生体組織固定化材料。
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