JP2005139053A - セメント配合物用収縮低減剤、及びこれを含有するセメント配合物 - Google Patents

セメント配合物用収縮低減剤、及びこれを含有するセメント配合物 Download PDF

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Abstract

【課題】セメント配合物の収縮低減効果が大きく、同時にセメント配合物の強度低下が少ないセメント配合物用収縮低減剤を提供する。
【解決手段】下記の一般式(1):
RO−(EO)−(PO)−H (1)
(式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を表わし、EOはエチレンオキシ基を表わし、POはプロピレンオキシ基を表わし、mは1〜3の数を表わし、nは1〜8の数を表わし、末端水酸基のうち、2級水酸基の数が全末端水酸基の数の80%以上である。)
で表わされるポリエーテル化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、セメントペースト、コンクリート、モルタル等のセメント配合物用の収縮低減剤に関する。
セメントペースト、コンクリート、モルタル等のセメント配合物は、土木・建築構造物、ボックスカルバート等のコンクリート製品等に広く使用されている。セメント配合物は、凝結時にはセメントの水和反応により、凝結後の乾燥・硬化時には脱水により、それぞれ体積が減少し収縮を生じる。乾燥・硬化時に生じる収縮は、セメント配合物を用いて建築された構造物等のひび割れの原因となる。このようなひび割れは、構造物の強度を低下させるだけでなく、ひび割れ部分から浸透した水や空気が内部の鉄筋等を腐食し、構造物の耐久性も低下させる原因となる。
このようなセメント配合物の収縮を低減させるためには、セメント膨張剤を更に配合する、配合・混練時に使用する水の量を減らすべく減水剤を使用する等の方法の他に、収縮低減剤を配合するという方法がある。
セメント配合物用の収縮低減剤としては、炭素数1〜8程度の脂肪族若しくは脂環式アルコールのアルキレンオキシド付加物(例えば、特許文献1及び2を参照)や、炭素数5〜6程度の脂肪族若しくは脂環式アミンのアルキレンオキシド付加物(例えば、特許文献3を参照)が、比較的少量の配合量で大きな収縮低減効果を得られることが知られている。しかしながら、このような収縮低減剤を配合しても、セメント配合物の収縮低減によりひび割れは減少するが、セメント配合物の強度が低下するという問題があった。
この問題に対して、セメント配合物の内モルタルに関しては、モルタルの強度低下の少ない収縮低減剤(例えば、特許文献4を参照)が検討されているが、モルタルに限られ、セメント配合物一般には適用されていない。
特開昭56−37259号公報 特開昭57−145054号公報 特開昭59−128250号公報 特開2001−163653号公報
しかしながら、従来知られた炭素数1〜8のモノオールのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドとの共重合物は、特にAE(空気連行)剤、AE減水剤、高性能AE減水剤等の空気連行性混和剤もセメント配合物に配合した場合に、セメント配合物の強度低下が起きるという問題があった。このため、収縮低減効果が大きく、空気連行性混和剤も配合する場合にも、セメント配合物の強度低下が少ない収縮低減剤が求められていた。
そこで本発明者らは鋭意検討し、特定の構造を有するポリエーテル化合物を、空気連行性混和剤をも配合したセメント配合物に配合しても、収縮低減効果が大きく、得られたセメント配合物の強度低下も少ないことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の一般式(1):
RO−(EO)−(PO)−H (1)
(式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を表わし、EOはエチレンオキシ基を表わし、POはプロピレンオキシ基を表わし、mは1〜3の数を表わし、nは1〜8の数を表わし、末端水酸基のうち、2級水酸基の数が全末端水酸基の数の80%以上である。)
で表わされるポリエーテル化合物であるセメント配合物用収縮低減剤である。
また、本発明は、セメント配合物の全体量に対して、このようなセメント配合物用収縮低減剤を0.01〜5質量%含有するセメント配合物である。
本発明のセメント配合物用収縮低減剤は、セメント配合物の収縮低減効果が大きく、同時にセメント配合物の強度の著しい低下を及ぼさないものである。
一般式(1)において、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を表わす。炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル(2級ブチル)、ターシャリブチル(3級ブチル)、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、ネオペンチル、3級ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2級オクチル、イソオクチル等のアルキル基;ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル等のアルケニル基;3−メチル−1−ブチン−3−イル、3−メチル−1−ペンチン−3−イル等のアルキニル基;フェニル、トルイル、キシリル、ベンジル等のアリール基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル等のシクロアルキル基等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数6〜8のアリール基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基及びフェニル基がより好ましく、メチル、エチル及びブチル基が更に好ましく、ブチル基が最も好ましい。これは、Rが炭素数9以上の炭化水素基の場合には、収縮低減効果が十分ではない場合があるからである。
一般式(1)において、EOはエチレンオキシ基を表わし、POはプロピレンオキシ基を表わし、mは1〜3の数を表わし、nは1〜8の数を表わす。mが3を超える場合、又はnが8を超える場合には、収縮低減効果が不十分となる場合がある。mは1〜2の数が好ましく、1が更に好ましい。また、nは1〜6の数が好ましく、1〜4の数が更に好ましく、1〜2の数が最も好ましい。
本発明のセメント配合物用収縮低減剤は、上記条件を満たす一般式(1)で表わされるポリエーテル化合物であって、Rの反対側末端が水酸基である化合物となる。この末端水酸基のうち、2級水酸基の数が、全末端水酸基の数の80%以上である。2級水酸基の割合が80%未満の場合には、セメント配合物の強度低下が大きくなる。2級水酸基の割合は、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることが最も好ましい。尚、2級水酸基の割合は、1H−NMRによる直接測定や、19F−NMRによる間接測定(全末端水酸基をトリフルオロアセチル化し、得られたトリフルオロアセトキシ基の積算値から算出する)等の方法により測定できる。
一般式(1)で表わされるポリエーテル化合物は、ROHで表わされるアルコールにエチレンオキシドを付加反応させ、次いでプロピレンオキシドを付加反応させることにより得ることができる。しかしながら、これらのアルキレンオキシドの付加反応により得られた化合物は、通常単一の化合物ではなく、複数の化合物からなる混合物であり、付加反応触媒、反応条件、精製条件等により、混合物の組成や分布が異なり、その性能に大きな差がある場合がある。
本発明のセメント配合物用収縮低減剤であるポリエーテル化合物(1)は、下記の一般式(2):
RO−(EO)−H (2)
(式中、R、EO及びmは、一般式(1)における定義と同義である。)
で表わされるエチレングリコールモノエーテル化合物に、プロピレンオキシドを付加反応させて得られる化合物である。
更に一般式(2)で表わされるエチレングリコールモノエーテル化合物に関しては、例えば、ROHで表わされるアルコールにエチレンオキシドを付加反応させた後、未反応の原料アルコール(ROH)を除去することにより得ることができる。
一般式(2)で表わされるエチレングリコールモノエーテル化合物の中でも特に好ましいのは、mが4以上でないもの、即ちmが、1、2又は3の数である単一分子量(分子量の分布の幅がない)のエチレングリコールモノエーテル化合物及びそれらの混合物である。一般式(2)において、mが、1、2又は3の数である単一分子量のエチレングリコールモノエーテル化合物は、例えば、ROHで表わされるアルコールにエチレンオキシドを付加反応させた後、精留等の方法により分離精製(単離)することにより、それぞれを得ることができる。
このような、単一分子量のエチレングリコールモノエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
これらのエチレングリコールモノエーテル化合物の中でも、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテルが更に好ましく、エチレングリコールモノブチルエーテルが最も好ましい。
また、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加反応させる場合の触媒としては、例えば、三フッ化ホウ素、塩化スズ等のルイス酸触媒;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属触媒;トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン触媒等が挙げられる。(1)式中の末端水酸基に占める2級水酸基の割合を多くすることができ、反応性にも優れることから、触媒としてはアルカリ金属触媒が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムが更に好ましく、水酸化カリウムが最も好ましい。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加反応させる場合の触媒の量は、付加反応終了後の粗生成物中の含量で、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることが更に好ましく、0.1〜1質量%であることが最も好ましい。触媒の量が0.01質量%未満では付加反応が十分進行せず、5質量%を超えると触媒の添加量に見合う効果は得られず、むしろ触媒による副反応が増える場合があるからである。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加反応させる場合の反応温度は、80〜170℃が好ましく、90〜150℃が更に好ましく、100〜130℃が最も好ましい。反応温度が80℃未満では反応が十分進行せず、170℃を超えると副反応が増える場合があるからである。
一般式(1)で表わされるポリエーテル化合物は、常温で液状であるが、パーライト、炭酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、高炉スラグ、フライアッシュ等の多孔質粉末に含浸させて粉末状にして用いてもよい。一般に、液状のセメント配合物用混和剤は、セメント配合物に直接配合するとセメント配合物中で塊状になりやすく、粉末状とすることが困難であるが、予め多孔質粉末に含浸させて粉末状にすることにより、セメント配合物中で塊状になるのを防ぐことができる。多孔質粉末の種類、粒径、比表面積等により異なるが、一般式(1)で表わされるポリエーテル化合物100質量部に対する多孔質粉末の割合は、30〜400質量部程度であることが好ましい。
本発明のセメント配合物用収縮低減剤の配合量は、セメント配合物の全体量に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%が更に好ましく、0.1〜0.5質量%が最も好ましい。0.01質量%未満では効果がなく、5質量%を超えると強度低下を引き起こす。
本発明のセメント配合物用収縮低減剤が配合されるセメント配合物のセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、超速硬ポルトランドセメント等のポルトランドセメント;高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメント;またはこれらのセメントと、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石粉等の混和剤とを組み合わせたセメント;さらには高ビーライト系セメント、膨張セメント、酸性リン酸塩セメント、自硬性セメント、石灰スラグセメント、高硫酸塩スラグセメント、キーンスセメント、ポゾランセメント、油井セメント、高硫酸塩スラグセメント、アルミナセメント、マグネシアセメント、耐酸セメント、超速硬セメント、ローマンセメント、白セメント、水滓セメント、カルシウムアルミネート、ジェットセメント、石膏等の特殊セメント等を挙げることができる。これらのセメントは、1種のみを用いてもよいし、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のセメント配合物用収縮低減剤は、特に、空気連行性(AE)混和剤も配合されたセメント配合物に好適に配合できる。空気連行性混和剤としては、JIS A6204(コンクリート用化学混和剤)のAE剤、AE減水剤若しくは高性能AE減水剤及びそれらと同等の性能を有する化合物があげられ、市販品を使用することもできる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
AE剤としては、例えば、脂肪酸塩、樹脂酸塩、ナフテン酸塩等の石鹸系AE剤;高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル系AE剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル等のエーテル系AE剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル系AE剤等のノニオン性AE剤が挙げられる。更に、ベタイン系AE剤及びイミダゾリンベタイン系AE剤等の両性AE剤等も挙げられる。なお、これらの中には、起泡剤としての機能を有するものも含まれる。
AE減水剤としては、例えば、主成分としてリグニンスルホン酸塩若しくはその誘導体、オキシ有機酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオール複合体、高級アルコールのスルホン酸塩等を含む化合物等が挙げられる。また、これらの化合物が主成分であれば、前述したAE剤が一部に含有されていてもよい。
高性能AE減水剤としては、例えば、主成分としてポリカルボン酸エーテル類、変性リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、芳香族アミノスルホン酸塩、変性ナフタレンスルホン酸塩、変性メチロールメラミン縮合物、メラミンスルホン酸塩等を含む化合物等が挙げられる。また、これらの化合物が主成分であれば、前述したAE剤及びAE減水剤が一部に含有されていてもよい。
空気連行性混和剤の配合量があまりにも少ない場合には、空気連行性混和剤による流動性向上効果が不十分であり、あまりにも多い場合には、配合量に見合う効果は得られないことから、空気連行性混和剤の配合量は、セメント配合物100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることが更に好ましく、0.3〜2質量部であることが最も好ましい。
本発明のセメント配合物には、水の他、更に公知のセメント配合物用混和材及び混和剤を配合できる。このような混和材及び混和剤としては、例えば、砂、小石、砂利、砕石、木片、パルプ、人工骨材等の骨材;減水剤、空気量調節剤、凝結遅延剤、凝結・硬化促進剤、流動化剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、膨張剤、保水剤、増粘剤、防水剤、水溶性高分子、顔料、着色料等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。尚、以下の実施例中、「部」及び「%」は、特に記載が無い限り質量基準である。
[実施例1]
<製造例1:本発明品1>
攪拌機、温度計、窒素導入管を備えたステンレス製加圧反応装置に、ブタノール74g及び触媒として水酸化カリウム1.2gを仕込み、該反応装置内の雰囲気を窒素で置換後、130℃にてエチレンオキシド88gを1時間かけてフィードし、フィード終了後、130℃にて更に1時間熟成した。100℃にて50hPa以下に1時間加熱減圧することにより、低沸点物(主に、ブタノール)を除去した後、110℃にてプロピレンオキシド87gを2時間かけてフィードし、フィード終了後、110℃にて更に5時間熟成し、本発明の収縮低減剤(本発明品1)を得た。
[実施例2]
<製造例2:本発明品2>
製造例1と同様の反応装置に、エチレングリコールモノブチルエーテル118g及び触媒として水酸化カリウム3gを仕込み、該反応装置内の雰囲気を窒素で置換後、110℃にてプロピレンオキシド174gを2時間かけてフィードし、フィード終了後、110℃にて更に5時間熟成し、本発明の収縮低減剤(本発明品2)を得た。
[実施例3]
<製造例3:本発明品3>
製造例1と同様の反応装置に、ジエチレングリコールモノメチルエーテル120g及び触媒として水酸化カリウム3gを仕込み、該反応装置内の雰囲気を窒素で置換後、110℃にてプロピレンオキシド290gを2時間かけてフィードし、フィード終了後、110℃にて更に5時間熟成し、本発明の収縮低減剤(本発明品3)を得た。
[比較例1]
<製造例4:比較品1>
製造例1と同様の反応装置に、ブタノール74g及び触媒として水酸化ナトリウム3gを仕込み、該反応装置内の雰囲気を窒素で置換後、150℃にてエチレンオキシド88gを1時間かけてフィードし、フィード終了後、150℃にて更に1時間熟成した。次いで、低沸点物を除去することなしに、140℃にてプロピレンオキシド87gを1時間かけてフィードし、フィード終了後、140℃にて更に2時間熟成し、収縮低減剤(比較品1)を得た。
[比較例2]
<製造例5:比較品2>
製造例1と同様の反応装置に、エチレングリコールモノブチルエーテル118g及び触媒として三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体1gを仕込み、該反応装置内の雰囲気を窒素で置換後、40℃にてプロピレンオキシド174gを2時間かけてフィードし、フィード終了後、100℃にて更に5時間熟成し、収縮低減剤(比較品2)を得た。
[比較例3]
<製造例6:比較品3>
製造例1と同様の反応装置に、メタノール32g及び触媒として水酸化カリウム5gを仕込み、該反応装置内の雰囲気を窒素で置換後、130℃にてプロピレンオキシド290gを3時間かけてフィードし、フィード終了後、130℃にて更に5時間熟成した。100℃にて10hPa以下に1時間加熱減圧することにより低沸点物を除去し、収縮低減剤(比較品3)を得た。
[比較例4]
<製造例7:比較品4>
製造例1と同様の反応装置に、ブタノール74g及び触媒として水酸化カリウム1.2gを仕込み、該反応装置内の雰囲気を窒素で置換後、エチレンオキシド120g及びプロピレンオキシド120gの混合物を100〜150℃にて2時間かけてフィードし、フィード終了後、100℃にて更に5時間熟成し、収縮低減剤(比較品4)を得た。
[EOのモル数m及びPOのモル数nの値について]
本発明品1〜3及び比較品1〜4の収縮低減剤について、1H−NMRを用いて、EO(エチレンオキシ基)のモル数m及びPO(プロピレンオキシ基)のモル数nの値を求めた。結果を表1に示す。
[2級水酸基が全末端水酸基に占める割合について]
本発明品1〜3及び比較品1〜4の収縮低減剤の全末端水酸基を、無水トリフルオロ酢酸によりトリフルオロアセチル化した後、19F−NMRを測定し、導入されたトリフルオロアセトキシ基に由来するピークの積算値から、2級水酸基の割合を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2005139053
[収縮低減試験]
<供試体の調製>
本発明品1〜3及び比較品1〜4の各収縮低減剤を、下記の配合割合にてセメント配合物に20℃にて配合・混練し、JIS A6202(付21.コンクリート用膨張材)の附属書2(膨張コンクリートの拘束膨張及び収縮試験方法)に準拠して、セメント配合物供試体の長さの変化率を求めた。なお、これらの供試体は、打設後1週間は封緘養生とし、その後20℃、湿度60%の環境下に乾燥させた。打設直後の供試体の長さに対する材齢187日の供試体の長さの変化率を、長さ変化率とした。結果を表2に示す。なお、これらの長さ変化率において、+は膨張、−は収縮を示す。
<配合割合>
普通ポルトランドセメント 100質量部
粗骨材(硬質砂岩) 273質量部
細骨材(静岡産川砂) 219質量部
膨張材 5.6質量部
ポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤 0.7質量部
石鹸系AE剤 0.003質量部
混和水 48質量部
各収縮低減剤 1.7質量部
[圧縮強度試験]
材齢28日の供試体について、JIS R5201(セメントの物理試験方法)の10(強さ試験)に準拠し、圧縮強度試験を実施した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2005139053
以上から、本発明の収縮低減剤は、セメント配合物の収縮を比較品と同等あるいはそれ以下に低減しつつ、同時に収縮低減剤未添加時のセメント配合物の強度も維持出来る、優れた収縮低減剤であることが分かる。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(1):
    RO−(EO)−(PO)−H (1)
    (式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を表わし、EOはエチレンオキシ基を表わし、POはプロピレンオキシ基を表わし、mは1〜3の数を表わし、nは1〜8の数を表わし、末端水酸基のうち、2級水酸基の数が全末端水酸基の数の80%以上である。)
    で表わされるポリエーテル化合物を含有するセメント配合物用収縮低減剤。
  2. 前記一般式(1)で表わされるポリエーテル化合物が、下記の一般式(2):
    RO−(EO)−H (2)
    (式中、R、EO及びmは、一般式(1)における定義と同義である。)
    で表わされるエチレングリコールエーテル化合物に、プロピレンオキシドを付加反応させて得られるポリエーテル化合物である、請求項1に記載のセメント配合物用収縮低減剤。
  3. セメント配合物の全体量に対して、請求項1又は2に記載のセメント配合物用収縮低減剤を0.01〜5質量%含有するセメント配合物。
  4. セメント配合物の全体量に対して、請求項1又は2に記載のセメント配合物用収縮低減剤を0.01〜5質量%含有し、更に空気連行性混和剤を含有する、請求項3に記載のセメント配合物。
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