JP2005138696A - ドア開閉装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造作業を煩雑化することなく、円滑、かつ正確な動作を保証する。
【解決手段】スライドドアDにおいてウィンドウガラスGの開閉移動領域外となる部位にリンクユニット200を設けるとともに、リンクユニット200とアウトサイドハンドルOHとの間およびリンクユニット200とコントロールユニット100との間をそれぞれ個別のワイヤケーブルWCによって連係し、アウトサイドハンドルOHが操作された場合にワイヤケーブルWCを介してリンクユニット200を中継動作させ、さらにリンクユニット200が中継動作された場合にワイヤケーブルWCを介してコントロールユニット100を開扉動作させている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一対のドアパネルの間に配設した開閉体によって窓が開閉されるドアを適用対象とし、一方のドアパネルに設けたハンドルが操作された場合に他方のドアパネルに設けたコントロールユニットを従動動作させ、このコントロールユニットの従動動作によって扉保持手段を解除動作させることにより、車両本体に対するドアの開閉移動を許容するようにしたドア開閉装置に関するものである。
四輪自動車等の車両には、車両外側のドアパネル(以下、単にアウタパネルという)側に設けたアウトサイドハンドルを操作した場合、あるいは車両内側のドアパネル(以下、単にインナパネルという)側に設けたインサイドハンドルの開扉操作した場合、車両本体のストライカに係合した全閉保持手段を解除動作させ、ドアの開扉移動を許容するようにしたドア開閉装置が設けられている。この種のドア開閉装置には、通常、アウトサイドハンドルおよびインサイドハンドルと全閉保持手段との間に共通のコントロールユニットが設けられている。コントロールユニットは、例えばドアのインナパネルに取り付けられており、アウトサイドハンドルの操作もしくはインサイドハンドルの開扉操作によってそれぞれ開扉動作し、当該開扉動作を全閉保持手段に伝達することによってストライカとの係合状態を解除するものである。
また車両のドアには、窓にウィンドウガラス等の開閉体が設けられているのが一般的である。開閉体は、アウタパネルとインナパネルとの間に上下方向に沿って移動可能に配設されており、例えばレギュレータハンドルやレギュレータスイッチを操作した場合に、窓を開閉するべく上下動することが可能である。
上記のような開閉体を備えるドアにあっては、アウタパネルとインナパネルとの間に開閉体の開閉移動領域を確保する必要がある。このため、アウタパネルに設けたアウトサイドハンドルの操作を、インナパネルに設けたコントロールユニットに伝達するための連係手段としては、これを直線的に設けることができず、開閉体の開閉移動領域を迂回させる必要がある。例えば、従来においては、開閉体の開閉移動領域よりも前方となる部位にベルクランク等のリンク手段を配設し、このリンク手段を介してアウトサイドハンドルの操作をコントロールユニットに伝達するようにしたものが提供されている(例えば特許文献1および2参照)。
また、関連する技術としては、アウトサイドハンドルとコントロールユニットとの間をワイヤケーブルによって連係し、該ワイヤケーブルを開閉移動領域外において湾曲させるようにしたものも提供されている(例えば特許文献3参照)。
実公平7−6395号公報 特開2001−1759号公報 特開昭63−47480号公報
ところで、アウトサイドハンドルの操作をベルクランク等のリンク手段によってコントロールユニットに伝達するようにしたドア開閉装置にあっては、これらアウトサイドハンドル、コントロールユニットおよびリンク手段をそれぞれ正確な位置に設けなければ円滑な動作を保証することができない。このため、それぞれの部品を組み付ける際の作業において正確な位置合わせが必要となるばかりでなく、組み付け後においても円滑に動作するか否かを検査・調整する作業が必要となり、製造作業を著しく煩雑化する要因となる。
これに対してアウトサイドハンドルとコントロールユニットとの間をワイヤケーブルによって連係したドア開閉装置によれば、アウトサイドハンドルとコントロールユニットとの間に位置ずれが発生した場合であっても、ワイヤケーブルによってこれを吸収することが可能であるため、上述した製造作業の煩雑化といった問題を招来する虞れがない。
しかしながら、湾曲したワイヤケーブルは、必ずしも円滑に動作するとは限らず、さらにはアウトサイドハンドルが操作された場合に伝達ロスを発生し、コントロールユニットを正確に開扉動作させ得ない事態を招来する虞れもある。
尚、上述した問題は、アウトサイドハンドルとコントロールユニットの間のみならず、コントロールユニットがアウタパネルに設けられている場合にはインサイドハンドルとコントロールパネルとの間においても同様に起こり得るものである。
本発明は、上記実情に鑑みて、製造作業を煩雑化することなく、円滑、かつ正確な動作を保証することのできるドア開閉装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るドア開閉装置は、一対のドアパネルの間に配設した開閉体によって窓が開閉されるドアを適用対象とし、一方のドアパネルに設けたハンドルが操作された場合に他方のドアパネルに設けたコントロールユニットを従動動作させ、このコントロールユニットの従動動作によって扉保持手段を解除動作させることにより、車両本体に対するドアの開閉移動を許容するようにしたドア開閉装置であって、前記ドアにおいて開閉体の開閉移動領域外となる部位にリンクユニットを設けるとともに、このリンクユニットと前記ハンドルとの間および前記リンクユニットと前記コントロールユニットとの間をそれぞれ個別のワイヤケーブルによって連係し、前記ハンドルが操作された場合にワイヤケーブルを介して前記リンクユニットを中継動作させ、さらに前記リンクユニットが中継動作された場合にワイヤケーブルを介して前記コントロールユニットを従動動作させることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係るドア開閉装置は、一対のドアパネルの間に配設した開閉体によって窓が開閉されるドアを適用対象とし、車両外側のドアパネルに設けたアウトサイドハンドルが操作された場合に車両内側のドアパネルに設けたコントロールユニットを開扉動作させ、このコントロールユニットの開扉動作によって全閉保持手段を解除動作させることにより、車両本体に対するドアの開扉移動を許容するようにしたドア開閉装置であって、前記ドアにおいて開閉体の開閉移動領域外となる部位にリンクユニットを設けるとともに、このリンクユニットと前記アウトサイドハンドルとの間および前記リンクユニットと前記コントロールユニットとの間をそれぞれ個別のワイヤケーブルによって連係し、前記アウトサイドハンドルが操作された場合にワイヤケーブルを介して前記リンクユニットを中継動作させ、さらに前記リンクユニットが中継動作された場合にワイヤケーブルを介して前記コントロールユニットを開扉動作させることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係るドア開閉装置は、上述した請求項2において、前記コントロールユニットが、ロック状態とアンロック状態とに切り換わるロック手段を備え、ロック状態にある場合にアウトサイドハンドルの操作を無効化する一方、アンロック状態にある場合に前記アウトサイドハンドルの操作を前記全閉保持手段に伝達することを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係るドア開閉装置は、上述した請求項2において、前記リンクユニットが、アウトサイドハンドルが操作された場合に前記全閉保持手段の解除動作を補助するリリースアクチュエータを備えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係るドア開閉装置は、上述した請求項2において、前記ドアが、車両本体に対してスライド可能に配設したスライドドアであることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係るドア開閉装置は、上述した請求項5において、前記コントロールユニットに車両室内側に露出する態様でインサイドハンドルを設けるとともに、車両本体との間にドアを全開状態に保持する全開保持手段を設け、前記インサイドハンドルを閉扉操作した場合に全閉保持手段を解除動作させることなく前記全開保持手段を解除動作させることを特徴とする。
本発明によれば、開閉体の開閉移動領域外となる部位にリンクユニットを設け、このリンクユニットとハンドルとの間およびリンクユニットとコントロールユニットとの間をそれぞれ個別のワイヤケーブルによって連係しているため、開閉体の開閉移動領域に干渉することなくワイヤケーブルを可及的に直線状に敷設することができようになり、製造作業を煩雑化することもなく、円滑、かつ正確な動作を保証することが可能となる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るドア開閉装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の実施の形態であるドア開閉装置を概念的に示したものである。ここで例示するドア開閉装置は、図4に示すように、四輪自動車の車両本体BとスライドドアDとの間に設けたもので、全閉保持手段である全閉ラッチユニットCR、全開保持手段である全開ラッチユニットOR、コントロールユニット100およびリンクユニット200を備えている。
ドア開閉装置の適用対象となるスライドドアDは、車両本体Bの側方に沿って前後にスライドすることにより車両後部への乗車口DOを開閉するもので、その上部にウィンドウガラスGによって開閉される窓穴WOを有している。ウィンドウガラスGは、図2および図3に示すように、車両外側のドアパネル(以下、単にアウタパネルOPという)と、車両内側のドアパネル(以下、単にインナパネルIPという)との間に上下動可能に配設したもので、図示せぬレギュレータハンドルやレギュレータスイッチの操作によって窓穴WOを開閉することが可能である。尚、以下においては、車両本体Bの右側に配設されるスライドドアD(右ハンドル車においては運転席の後方側に配設されるドア)の開閉を行うドア開閉装置について順次説明を行う。
全閉ラッチユニットCRは、車両本体Bに対してスライドドアDを全閉状態に保持するためのもので、スライドドアDの前縁部と車両本体Bとの間に設けたフロント全閉ラッチユニットCRF、並びにスライドドアDの後縁部と車両本体Bとの間に設けたリア全閉ラッチユニットCRRを備えている。図には明示していないが、これらフロント全閉ラッチユニットCRFおよびリア全閉ラッチユニットCRRは、いずれも従前のものと同様の構成を有したものであり、例えば車両本体Bに設けたストライカに歯合するラッチとこのラッチの移動を制御するラチェットとを備えて構成してある。
また、リア全閉ラッチユニットCRRとしては、クローザ装置CLを備えたものを適用している。このクローザ装置CLは、図示せぬクラッチ機構を内蔵したアクチュエータであり、ラッチがハーフラッチ状態となった場合に、クラッチ機構が接続状態であることを条件に、これをフルラッチ状態に移行させるように機能する。ハーフラッチ状態からフルラッチ状態への移行途中であっても、クラッチ機構が遮断状態となれば、直ちに移行動作を中断するように構成してある。
全開ラッチユニットORは、車両本体Bに対してスライドドアDを全開状態に保持するためのもので、スライドドアDに設けたサポートフレームSFと車両本体Bとの間に設けてある。サポートフレームSFとは、スライドドアDを車両本体Bに対してスライド移動させる際のガイドとなる部分であり、インナパネルIPの前方下端部から車両内側に向けて突設してある。尚、全開ラッチユニットORに関しても、従前のものと同様の構成を有したものであり、例えば車両本体Bに設けたストライカに歯合するラッチとこのラッチの移動を制御するラチェットとを備えて構成してある。
コントロールユニット100は、スライドドアDのアウトサイドハンドルOHが操作された場合、あるいはスライドドアDのインサイドハンドルIHが操作された場合、それぞれ従動動作し、この従動動作によって全閉ラッチユニットCRを解除動作させるためのものである。
図5〜図10は、本実施の形態で適用するコントロールユニット100の構成例を示したものである。ここで例示するコントロールユニット100は、スライドドアDのインナパネルIPにおける車両室内側の外表面上方部にコントロールベースプレート101を介して取り付けられるもので、コントロールベースプレート101にインサイドハンドルシャフト102を備え、かつこのインサイドハンドルシャフト102にインサイドハンドルレバー110、第1リンクレバー120および第2リンクレバー130を備えているとともに、コントロールベースプレート101においてインサイドハンドルシャフト102の周囲となる部位にチャイルドロックレバー140およびスイッチレバー150を備えている。
インサイドハンドルシャフト102は、先端部にインサイドハンドルIHを取り付けるためのスプラインを備えた軸部材であり、先端部を車両室内側に向けた状態で基端部を介してコントロールベースプレート101に回転可能に配設してある。このインサイドハンドルシャフト102に取り付けられたインサイドハンドルIHは、車両室内側に露出することになり、搭乗者によって適宜操作することが可能になる。尚、以下の説明では、インサイドハンドルシャフト102にインサイドハンドルIHを装着した場合において、当該インサイドハンドルIHが鉛直上方に占位した状態をインサイドハンドルシャフト102の中立位置と称する(図5において実線で示す状態)。
インサイドハンドルレバー110は、コントロールベースプレート101の裏面側(車両外側)においてインサイドハンドルシャフト102と一体に回転する態様で該インサイドハンドルシャフト102の基端部に配設したもので、第1リンク係合部111、第2リンク係合部112、スイッチレバー係合部113および第1ワイヤケーブルスライド接続部114を有している。第1リンク係合部111は、インサイドハンドルシャフト102が中立位置に占位した場合に該インサイドハンドルシャフト102から車両前方側に向けて延在した部分である。第2リンク係合部112は、インサイドハンドルシャフト102が中立位置に占位した場合に該インサイドハンドルシャフト102からほぼ上方に向けて延在した後、車両室内側に向けて屈曲延在した部分である。この第2リンク係合部112の先端は、コントロールベースプレート101に設けた切欠を通じて該コントロールベースプレート101の表面側に突出している。スイッチレバー係合部113は、インサイドハンドルシャフト102が中立位置に占位した場合に該インサイドハンドルシャフト102からほぼ下方に向けて延在した部分である。第1ワイヤケーブルスライド接続部114は、インサイドハンドルシャフト102が中立位置に占位した場合に該インサイドハンドルシャフト102から車両後方側に向けて延在した後、コントロールベースプレート101の切欠を通じて表面側に突出した部分である。この第1ワイヤケーブルスライド接続部114には、コントロールベースプレート101の表面側に突出した部分に長孔を介して第1ワイヤケーブルWC1の一端部がスライド可能に連結してある。図には明示していないが、インサイドハンドルレバー110の第2リンク係合部112とコントロールベースプレート101との間には、インサイドハンドルシャフト102を中立位置に占位させるためのハンドルリターンスプリング103が設けてある。
第1リンクレバー120は、インサイドハンドルシャフト102に対して回転可能となる態様でコントロールベースプレート101とインサイドハンドルレバー110との間に配設したもので、第1スプリング係合部121、第1ピンスライド部122および第1ロッドスライド接続部123を有している。第1スプリング係合部121は、インサイドハンドルシャフト102からインサイドハンドルレバー110の第2リンク係合部112に沿って延在した後、車両室内側に向けて屈曲延在した部分である。この第1スプリング係合部121の延在端部は、第1リンクレバー120がインサイドハンドルシャフト102に対して回転した場合に上述したハンドルリターンスプリング103に係合し、該ハンドルリターンスプリング103を弾性変形させるように配設してある。第1ピンスライド部122は、インサイドハンドルシャフト102から第1リンク係合部111に沿って延在した部分である。この第1ピンスライド部122には、インサイドハンドルシャフト102の軸心に対して径方向に延在する態様で第1スライド溝122aが設けてあるとともに、この第1スライド溝122aに第1係合ピン124がスライド可能に配設してある。第1ロッドスライド接続部123は、インサイドハンドルシャフト102から車両後方側に向けて下方に延在する部分である。この第1ロッドスライド接続部123には、その延在端部に長孔を介して第1連結ロッドR1の一端部が連結してある。
第2リンクレバー130は、インサイドハンドルシャフト102に対して回転可能となる態様でコントロールベースプレート101の表面側に配設したもので、ハンドルレバー係合部131および第2ロッドスライド接続部132を有している。ハンドルレバー係合部131は、インサイドハンドルシャフト102からインサイドハンドルレバー110の第2リンク係合部112に沿って延在した部分であり、係合穴133と第1扉操作検出部134とを有している。係合穴133は、上述した第2リンク係合部112の延在端部が係合するための開口である。第1扉操作検出部134は、ハンドルレバー係合部131の延在端部から車両後方側に向けて延在した部分である。この第1扉操作検出部134は、インサイドハンドルシャフト102が中立位置にある場合にコントロールベースプレート101に設けた第1扉操作検出センサS1から離隔する一方、図2において第2リンクレバー130が反時計回りに回転した場合にのみ第1扉操作検出センサS1に当接してこれをON操作するものである。第2ロッドスライド接続部132は、インサイドハンドルシャフト102からほぼ第1リンクレバー120の第1ロッドスライド接続部123に沿って延在した部分である。この第2ロッドスライド接続部132には、その延在端部に長孔を介して第2連結ロッドR2の一端部が連結してある。
スイッチレバー150は、コントロールベースプレート101の表面側においてインサイドハンドルシャフト102の下方となる部位にスイッチレバー軸151を介して回転可能に配設したもので、第2ピンスライド部152、第2スプリング係合部153および第2扉操作検出部154を有している。第2ピンスライド部152は、スイッチレバー軸151からインサイドハンドルシャフト102に向けて延在した場合にインサイドハンドルレバー110におけるスイッチレバー係合部113の回転移動域に達する長さを有した部分である。この第2ピンスライド部152には、スイッチレバー軸151の径方向に延在する態様で第2スライド溝152aが設けてあるとともに、この第2スライド溝152aに第2係合ピン155がスライド可能に配設してある。この第2係合ピン155は、コントロールベースプレート101に設けた切欠を通じて当該コントロールベースプレート101の裏面側に突出している。第2スプリング係合部153は、スイッチレバー軸151から第2ピンスライド部152に対して相反する方向に延在した部分である。この第2スプリング係合部153には、コントロールベースプレート101との間に第2リターンスプリング156が設けてある。第2リターンスプリング156は、図2においてスイッチレバー150を時計回りに回転させることによって第2ピンスライド部152をコントロールベースプレート101の突起101aに押圧し、当該第2ピンスライド部152の先端が常時インサイドハンドルシャフト102に向いた姿勢となるように付勢するものである。第2扉操作検出部154は、第2ピンスライド部152と第2スプリング係合部153との間から延在した部分である。この第2扉操作検出部154は、第2ピンスライド部152が突起101aに当接した場合にコントロールベースプレート101に設けた第2扉操作検出センサS2から離隔する一方、図2において反時計回りに回転した場合にのみ第2扉操作検出センサS2に当接してこれをON操作するものである。
チャイルドロックレバー140は、コントロールベースプレート101の裏面側においてスイッチレバー150よりも車両前方側となる部位にチャイルドロックレバー軸141を介して回転可能に配設したもので、第1ピン作用部142、第2ピン作用部143および切換操作部144を有している。第1ピン作用部142は、チャイルドロックレバー軸141から第1リンクレバー120の第1ピンスライド部122と交差する方向に延在した部分である。この第1ピン作用部142には、位置決め部145および第1ピン作用溝146が設けてある。位置決め部145は、第1ピン作用部142の基端部に設けた弾性舌片であり、コントロールベースプレート101に設けた位置決め突起101bに当接係合することにより、チャイルドロックレバー140をアンロック位置とロック位置とに規定するものである。第1ピン作用溝146は、第1ピン作用部142の長手方向に沿って延在したもので、その内周面を介して第1リンクレバー120の第1係合ピン124に摺動可能に係合している。第2ピン作用部143は、チャイルドロックレバー軸141からスイッチレバー150の第2ピンスライド部152に交差する方向に延在した部分である。この第2ピン作用部143には、第2ピン作用溝147が設けてある。第2ピン作用溝147は、ほぼ車両の前後方向に沿って延在したもので、その内周面を介してスイッチレバー150の第2係合ピン155に摺動可能に係合している。切換操作部144は、チャイルドロックレバー140を切換操作するための部分であり、チャイルドロックレバー軸141から車両前方に向けて延在している。
このチャイルドロックレバー140は、アンロック位置に占位した場合、第1リンクレバー120の第1ピンスライド部122において第1係合ピン124をインサイドハンドルレバー110における第1リンク係合部111の回転移動域に占位させるとともに、スイッチレバー150の第2ピンスライド部152において第2係合ピン155をインサイドハンドルレバー110におけるスイッチレバー係合部113の回転移動域外に占位させるように機能する。一方、チャイルドロックレバー140がロック位置に占位した場合には、第1リンクレバー120の第1ピンスライド部122において第1係合ピン124がインサイドハンドルレバー110における第1リンク係合部111の回転移動域外に占位されるとともに、スイッチレバー150の第2ピンスライド部152において第2係合ピン155がインサイドハンドルレバー110におけるスイッチレバー係合部113の回転移動域に占位されることになる。
また、上記コントロールユニット100は、コントロールベースプレート101においてインサイドハンドルシャフト102よりも車両後方側となる部位にオープンレバー160、オープンサブレバー170、フェイルセーフレバー180およびロック手段190を備えている。オープンレバー160、オープンサブレバー170およびフェイルセーフレバー180は、共通のレバー軸104を介してコントロールベースプレート101に配設したもので、該レバー軸104の軸心回りに個別に回転することが可能である。
オープンレバー160は、コントロールベースプレート101の表面側に配設したもので、サブレバー係合部161とワイヤケーブル接続部162とを有している。サブレバー係合部161は、レバー軸104から上方に向けて延在した部分であり、ロックピンスライド溝163と係合凸部164とを有している。ロックピンスライド溝163は、サブレバー係合部161の延在方向に沿って形成した直線状の溝である。係合凸部164は、サブレバー係合部161の先端からコントロールベースプレート101に向けて屈曲延在した部分であり、コントロールベースプレート101に設けた切欠を介してコントロールベースプレート101の裏面側に突出している。ワイヤケーブル接続部162は、レバー軸104からサブレバー係合部161に対して相反する方向に延在した部分である。このワイヤケーブル接続部162には、第2ワイヤケーブルWC2の一端部および第3ワイヤケーブルWC3の一端部がそれぞれ連結してある。第2ワイヤケーブルWC2は、その他端部がフロント全閉ラッチユニットCRFに連係してあり、引張操作された場合に当該フロント全閉ラッチユニットCRFを解除動作させるものである。第3ワイヤケーブルWC3は、その他端部がリア全閉ラッチユニットCRRに連係してあり、引張操作された場合に当該リア全閉ラッチユニットCRRを解除動作させるものである。
オープンサブレバー170は、コントロールベースプレート101の裏面側に配設したもので、オープンレバー係合部171、第4ワイヤケーブルスライド接続部172、第1ロッド接続部173およびロックピン係合部174を有している。オープンレバー係合部171は、レバー軸104から上方に向けて延在した部分であり、その車両前方側の側面を介してオープンレバー160の係合凸部164に当接係合している。このオープンレバー係合部171には、第3扉操作検出部175が設けてある。第3扉操作検出部175は、コントロールベースプレート101に設けた切欠を通じてコントロールベースプレート101の表面側に突出しており、オープンレバー160の係合凸部164が切欠の車両前方側端面に当接し、かつオープンレバー係合部171が係合凸部164に当接した場合にコントロールベースプレート101に設けた第3扉操作検出センサS3から離隔する一方、図2において時計回りに回転した場合にのみ第3扉操作検出センサS3に当接してこれをON操作するものである。第4ワイヤケーブルスライド接続部172は、レバー軸104から車両後方側に向けて上方に延在した後、該レバー軸104を中心として上方側に湾曲延在した部分である。この第4ワイヤケーブルスライド接続部172には、湾曲した部分に長孔を介して第4ワイヤケーブルWC4の一端部がスライド可能に連結してある。第1ロッド接続部173は、レバー軸104からオープンレバー係合部171に対して相反する方向に延在した後、車両後方側に屈曲して延在した部分である。この第1ロッド接続部173には、屈曲して延在した部分の先端部に上述した第1連結ロッドR1の他端部が連結してある。ロックピン係合部174は、オープンレバー係合部171が係合凸部164を介してオープンレバー160のサブレバー係合部161に当接係合した場合に、オープンレバー係合部171との間にロックピンスライド溝163と同じ幅の係合凹部176を確保した状態でサブレバー係合部161に沿って延在した部分である。このロックピン係合部174は、オープンレバー160のロックピンスライド溝163に比べて十分に短く構成したもので、ロックピンスライド溝163の幅とほぼ同等の長さを有している。
フェイルセーフレバー180は、コントロールベースプレート101の表面側においてオープンレバー160よりも車両内方側に配設したもので、サブレバー押圧部181、第2ロッド接続部182および第5ワイヤケーブル接続部183を有している。サブレバー押圧部181は、レバー軸104から車両後方側に向けて延在した後、コントロールベースプレート101に向けて屈曲延在した部分であり、コントロールベースプレート101に設けた切欠を介してコントロールベースプレート101の裏面側に突出している。このサブレバー押圧部181は、コントロールベースプレート101との間に介在させたコイルスプリング184の弾性力により、図2において常時反時計回りに回転する方向に付勢されており、オープンサブレバー170に押圧当接することにより、オープンサブレバー170およびオープンレバー160をそれぞれ反時計方向に付勢している。第2ロッド接続部182および第5ワイヤケーブル接続部183は、それぞれレバー軸104からオープンレバー160のワイヤケーブル接続部162に沿って延在した部分である。このうち第2ロッド接続部182がレバー軸104に近接した基端部側に構成してある一方、第5ワイヤケーブル接続部183が先端部側に構成してある。この第2ロッド接続部182には、上述した第2連結ロッドR2の他端部が連結してあり、また第5ワイヤケーブル接続部183には、第5ワイヤケーブルWC5の一端部が連結してある。第5ワイヤケーブルWC5は、その他端部がリア全閉ラッチユニットCRRのクローザ装置CLに連係してあり、引張操作された場合に当該クローザ装置CLのクラッチ機構を接続状態から遮断状態に切り換えるものである。
ロック手段190は、ロッキングレバー191およびロッキングアクチュエータLAを備えて構成してある。ロッキングレバー191は、コントロールベースプレート101の表面側においてレバー軸104よりもさらに車両後方側となる部位にロックレバー軸192を介して回転可能に配設したもので、ロックピン保持部193およびアクチュエータ係合部194を有している。ロックピン保持部193は、ロックレバー軸192から車両前方側に向けて延在した部分である。このロックピン保持部193には、その延在端部にロック部材195が設けてある。ロック部材195は、基端部を介してロックピン保持部193に回転可能に支承させたもので、その先端部にロックピン196を有している。ロックピン196は、ロック部材195の先端部からコントロールベースプレート101に向けて突出した円柱状部材であり、その突出端部がオープンレバー160のロックピンスライド溝163を貫通し、さらにコントロールベースプレート101に設けた切欠を貫通し、オープンサブレバー170のオープンレバー係合部171とロックピン係合部174との間に設けた係合凹部176に係合することが可能である。アクチュエータ係合部194は、ロックレバー軸192から車両後方側に向けて延在し、その先端部が二股に分岐した部分である。ロッキングアクチュエータLAは、コントロールベースプレート101の最も車両後方側となる部位に取り付けたもので、車両前方側となる部位にロッキング出力レバーRLを備えている。ロッキング出力レバーRLは、コントロールベースプレート101の表面に沿って上下に揺動するもので、その先端部に設けた係合突起RLaをアクチュエータ係合部194の分岐部分に係合させてある。このロッキングアクチュエータLAは、ロッキング出力レバーRLが最も上方に揺動した場合にアクチュエータ係合部194を介してロックピン保持部193を下動させ、オープンレバー160のロックピンスライド溝163においてロックピン196をロックピン係合部174の回転移動域に占位させることによってアンロック状態となる一方、ロッキング出力レバーRLが最も下方に揺動した場合にアクチュエータ係合部194を介してロックピン保持部193を上動させ、オープンレバー160のロックピンスライド溝163においてロックピン196をロックピン係合部174の回転移動域外に占位させることによってロック状態となるように機能する。尚、本実施の形態で適用するロック手段190では、ロッキングアクチュエータLAのロッキング出力レバーRLにインサイドロックボタンSNとの間を連係するロッキングロッドLDが連結してあり、インサイドロックボタンSNが操作された場合にその操作力がロッキング出力レバーRLを介してロッキングレバー191に伝達され、当該ロッキングレバー191を回転動作させることによってロック状態とアンロック状態とを適宜切り換えることが可能である。
図11〜図18は、コントロールユニット100が動作した場合の各構成要素の状態を示す概念図である。以下、コントロールユニット100の初期状態を示す図5〜図7とともにこれらの図を参照しながらコントロールユニット100の動作について説明する。
まず、コントロールユニット100では、ハンドルリターンスプリング103の作用により、図5中の実線で示すように、初期状態においてインサイドハンドルIHが鉛直上方に占位した状態にある。尚、図5〜図7に示す初期状態においては、チャイルドロックレバー140がアンロック位置にあり、ロック手段190がアンロック状態にある。
この初期状態からハンドルリターンスプリング103の弾性力に抗してインサイドハンドルIHを車両後方側に向けて揺動させると(インサイドハンドルIHの開扉操作)、インサイドハンドルシャフト102が図中において時計回りに回転する。インサイドハンドルシャフト102が時計回りに回転すると、図11に示すように、インサイドハンドルレバー110が時計回りに回転することになり、このインサイドハンドルレバー110の回転が第1リンク係合部111および第1係合ピン124を介して第1リンクレバー120に伝達されるとともに、第2リンク係合部112および係合穴133を介して第2リンクレバー130に伝達され、それぞれが時計回りに回転する。
第1リンクレバー120が回転すると、第1連結ロッドR1を介してオープンサブレバー170が時計回りに回転し、さらにオープンサブレバー170の回転がロックピン係合部174およびロックピン196を介してオープンレバー160に伝達され、第2ワイヤケーブルWC2および第3ワイヤケーブルWC3がそれぞれ引張操作されることになり、フロント全閉ラッチユニットCRFおよびリア全閉ラッチユニットCRRがそれぞれ解除動作される。この結果、例えばスライドドアDが全閉状態にあった場合であっても、インサイドハンドルIHの車両後方側への揺動操作によってこれを開扉移動させることができるようになる。尚、第1リンクレバー120の回転に伴うオープンサブレバー170の回転によって第3扉操作検出部175が第3扉操作検出センサS3をON操作することになるため、この第3扉操作検出センサS3の検出結果に基づいてインサイドハンドルIHの車両後方側への揺動操作を検出することが可能となる。
また、第1リンクレバー120の回転とともに第2リンクレバー130が回転すると、第2連結ロッドR2を介してフェイルセーフレバー180が時計回りに回転し、第5ワイヤケーブルWC5が引張操作されることになり、クローザ装置CLのクラッチ機構が遮断状態となる。この結果、例えばクローザ装置CLが作動している状態においても、インサイドハンドルIHを車両後方側へ揺動操作すれば、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態への移行動作を中断することができるようになる。
次に、初期状態からハンドルリターンスプリング103の弾性力に抗してインサイドハンドルIHを車両前方側へ向けて揺動させると(インサイドハンドルIHの閉扉操作)、インサイドハンドルシャフト102が図中の反時計回りに回転する。インサイドハンドルシャフト102が反時計回りに回転すると、図12に示すように、インサイドハンドルレバー110が反時計回りに回転することになり、このインサイドハンドルレバー110の回転が第2リンク係合部112および係合穴133を介して第2リンクレバー130に伝達され、これが反時計回りに回転する。第2リンクレバー130が回転すると、第1ワイヤケーブルWC1が引張操作されることになる。この際、第2連結ロッドR2の一端部が第2リンクレバー130の長孔を適宜移動するため、第2リンクレバー130の反時計回りの回転によってはフェイルセーフレバー180が動作することはない。尚、第2リンクレバー130の回転によって第1扉操作検出部134が第1扉操作検出センサS1をON操作することになるため、この第1扉操作検出センサS1の検出結果に基づいてインサイドハンドルIHの車両前方側への揺動操作を検出することが可能となる。
次に、初期状態から第4ワイヤケーブルWC4を引張操作すると、図13に示すように、オープンサブレバー170が時計回りに回転する。オープンサブレバー170の回転は、ロックピン係合部174およびロックピン196を介してオープンレバー160に伝達され、第2ワイヤケーブルWC2および第3ワイヤケーブルWC3がそれぞれ引張操作されることになり、フロント全閉ラッチユニットCRFおよびリア全閉ラッチユニットCRRがそれぞれ解除動作される。この結果、例えばスライドドアDが全閉状態にあった場合であっても、第4ワイヤケーブルWC4の引張操作によってこれを開扉移動させることができるようになる。この際、第1連結ロッドR1の一端部が第1リンクレバー120の長孔を適宜移動するため、オープンサブレバー170の時計回りの回転によっては第1リンクレバー120が動作することはない。尚、オープンサブレバー170の回転によって第3扉操作検出部175が第3扉操作検出センサS3をON操作することになるため、この第3扉操作検出センサS3の検出結果に基づいて第4ワイヤケーブルWC4の引張操作を検出することが可能となる。
また、オープンサブレバー170が回転すると、サブレバー押圧部181を介してフェイルセーフレバー180が時計回りに回転し、第5ワイヤケーブルWC5が引張操作されることになり、クローザ装置CLのクラッチ機構が遮断状態となる。この結果、例えばクローザ装置CLが作動している状態においても、第4ワイヤケーブルWC4を引張操作すれば、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態への移行動作を中断することができるようになる。この際、第2連結ロッドR2の一端部が第2リンクレバー130の長孔を適宜移動するため、フェイルセーフレバー180の時計回りの回転によっては第2リンクレバー130が動作することはない。
上述した初期状態からロック手段190をロック状態に切り換えると、図14に示すように、オープンレバー160のロックピンスライド溝163においてロックピン196がロックピン係合部174の回転移動域外に占位することになる。従って、このロック状態からインサイドハンドルIHを車両後方側に向けて揺動させたとしても、図15に示すように、第1リンクレバー120および第1連結ロッドR1を介してオープンサブレバー170に伝達された回転がオープンレバー160に伝達されることはなく、フロント全閉ラッチユニットCRFおよびリア全閉ラッチユニットCRRがそれぞれ解除動作されることもない。但し、ロック状態においても、第1リンクレバー120の回転に伴うオープンサブレバー170の回転によって第3扉操作検出部175が第3扉操作検出センサS3をON操作することになるため、この第3扉操作検出センサS3の検出結果に基づいてインサイドハンドルIHの車両後方側への揺動操作を検出することは可能である。また、インサイドハンドルIHの車両後方側への揺動によって第2リンクレバー130が回転するため、第2連結ロッドR2を介してフェイルセーフレバー180が時計回りに回転し、第5ワイヤケーブルWC5が引張操作されることになり、クローザ装置CLのクラッチ機構が遮断状態となる。従って、ロック状態においても、インサイドハンドルIHを車両後方側へ揺動操作すれば、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態への移行動作を中断することができるようになる。
また、ロック状態から第4ワイヤケーブルWC4を引張操作したとしても、図16に示すように、オープンサブレバー170の回転がオープンレバー160に伝達されないため、フロント全閉ラッチユニットCRFおよびリア全閉ラッチユニットCRRがそれぞれ解除動作されることもない。但し、ロック状態においても、第1リンクレバー120の回転に伴うオープンサブレバー170の回転によって第3扉操作検出部175が第3扉操作検出センサS3をON操作することになるため、この第3扉操作検出センサS3の検出結果に基づいて第4ワイヤケーブルWC4の引張操作を検出することは可能である。また、オープンサブレバー170の回転によってフェイルセーフレバー180が時計回りに回転し、第5ワイヤケーブルWC5が引張操作されることになり、クローザ装置CLのクラッチ機構が遮断状態となる。従って、ロック状態においても、第4ワイヤケーブルWC4を引張操作すれば、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態への移行動作を中断することができるようになる。
さらに、上述した初期状態からチャイルドロックレバー140をロック位置に切り換えると、図17に示すように、第1リンクレバー120の第1ピンスライド部122において第1係合ピン124がインサイドハンドルレバー110における第1リンク係合部111の回転移動域外に占位されることになる。従って、この状態からインサイドハンドルIHを車両後方側に向けて揺動させたとしても、図18に示すように、インサイドハンドルレバー110の回転が第1リンクレバー120に伝達されることはなく、フロント全閉ラッチユニットCRFおよびリア全閉ラッチユニットCRRがそれぞれ解除動作されることもない。但し、チャイルドロックレバー140がロック位置になると、スイッチレバー150の第2ピンスライド部152において第2係合ピン155がインサイドハンドルレバー110におけるスイッチレバー係合部113の回転移動域に占位されることになる。従って、インサイドハンドルレバー110の時計回りの回転がスイッチレバー係合部113および第2係合ピン155を介してスイッチレバー150に伝達され、当該スイッチレバー150が反時計回りに回転して第2扉操作検出センサS2をON操作することになるため、この第2扉操作検出センサS2の検出結果に基づいてインサイドハンドルIHの車両後方側への揺動操作を検出することは可能である。また、インサイドハンドルIHの車両後方側への揺動によって第2リンクレバー130が回転するため、第2連結ロッドR2を介してフェイルセーフレバー180が時計回りに回転し、第5ワイヤケーブルWC5が引張操作されることになり、クローザ装置CLのクラッチ機構が遮断状態となる。従って、チャイルドロックレバー140がロック位置にある場合においても、インサイドハンドルIHを車両後方側へ揺動操作すれば、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態への移行動作を中断することができるようになる。
一方、上記ドア開閉装置のリンクユニット200は、スライドドアDのアウタパネルOPに設けたアウトサイドハンドルOHと、インナパネルIPに設けたコントロールユニット100との間の中継動作を主機能とするものである。本実施の形態で例示するリンクユニット200は、図19に示すように、スライドドアDのインナパネルIPにおける車両室内側の外表面下方部、より具体的にはウィンドウガラスGの開閉移動領域よりもさらに下方となる部位にリンクベースプレート201を介して取り付けられるもので、リンクベースプレート201にリンクシャフト202を備え、かつこのリンクシャフト202にオープンハンドルレバー210、オープンハンドルサブレバー220を備えているとともに、リンクシャフト202の周囲となる部位にリリースアクチュエータRAを備えている。
オープンハンドルレバー210は、リンクシャフト202に対して回転可能となる態様でリンクベースプレート201の表面側(車両内側)に配設したもので、第6ワイヤケーブルスライド接続部211、第4ワイヤケーブル接続部212および入力部213を有している。第6ワイヤケーブルスライド接続部211は、リンクシャフト202から車両前方側に向けて下方に延在した後、車両前方側に向けて上方に湾曲延在した部分である。この第6ワイヤケーブルスライド接続部211には、湾曲延在した部分に長孔を介して第6ワイヤケーブルWC6の一端部がスライド可能に連結してある。第6ワイヤケーブルWC6は、その他端部がアウトサイドハンドルOHに連係してあり、アウトサイドハンドルOHが操作された場合にオープンハンドルレバー210を時計回りに回転させるように機能するものである。本実施の形態では、図2および図3に示すように、ウィンドウガラスGの開閉移動領域よりも下方側となる部位を通過するようにアウトサイドハンドルOHとリンクユニット200のオープンハンドルレバー210との間を連係する第6ワイヤケーブルWC6を敷設するようにしている。第4ワイヤケーブル接続部212は、リンクシャフト202から車両後方側に向けて延在した部分であり、その先端部に第4ワイヤケーブルWC4の他端部が連結してある。入力部213は、第4ワイヤケーブル接続部212の先端上部に小径円筒状のカラーを設けることによって構成したものである。
オープンハンドルサブレバー220は、リンクシャフト202に対して回転可能となる態様でリンクベースプレート201とオープンハンドルレバー210との間に配設したもので、リンク側第1ワイヤケーブルスライド接続部221、第7ワイヤケーブル接続部222および当接突起片223を有している。リンク側第1ワイヤケーブルスライド接続部221は、リンクシャフト202から車両前方側に向けて膨出した部分である。このリンク側第1ワイヤケーブルスライド接続部221には、オープンハンドルレバー210の第6ワイヤケーブルスライド接続部211よりもリンクシャフト202に近接した部分に長孔を介して第1ワイヤケーブルWC1の他端部がスライド可能に連結してある。第7ワイヤケーブル接続部222は、リンクシャフト202から車両前方側に向けて下方に延在した部分である。この第7ワイヤケーブル接続部222には、第7ワイヤケーブルWC7の一端部が連結してある。第7ワイヤケーブルWC7は、その他端部が全開ラッチユニットORに連係してあり、引張操作された場合に当該全開ラッチユニットORを解除動作させるものである。当接突起片223は、リンクシャフト202から車両後方側に向けて延在した後、その下端縁から車両室内側に向けて屈曲延在した部分であり、その上面を介してオープンハンドルレバー210における第4ワイヤケーブル接続部212の下面に当接している。尚、このオープンハンドルサブレバー220には、リンクベースプレート201との間に押圧スプリング224が介在してある。この押圧スプリング224は、図19においてオープンハンドルサブレバー220を常時反時計回りに付勢することにより、当接突起片223を第4ワイヤケーブル接続部212の下面に圧接させるためのものである。
リリースアクチュエータRAは、リンクベースプレート201の最も車両後方側となる部位に取り付けたもので、車両前方側となる部位にリリース出力レバーRALを備えている。リリース出力レバーRALは、リンクベースプレート201の表面に沿って上下に揺動するもので、その揺動移動域がオープンハンドルレバー210における入力部213の揺動移動域を通過するように設けてある。このリリースアクチュエータRAは、通常状態においてリリース出力レバーRALが最も上方に揺動し、該リリース出力レバーRALの下端面が入力部213に当接した状態にある。この状態においては、オープンハンドルレバー210に連結した第6ワイヤケーブルWC6および第4ワイヤケーブルWC4のいずれにも張力が発生しておらず、またオープンハンドルサブレバー220に連結した第1ワイヤケーブルWC1および第7ワイヤケーブルWC7のいずれにも張力が発生していない。この状態から、例えば第3扉操作検出センサS3がON状態となると、この第3扉操作検出センサS3のON状態をトリガとして駆動し、リリース出力レバーRALが下方に揺動することになる。
図20および図21は、リンクユニット200が動作した場合の各構成要素の状態を示す概念図である。以下、リンクユニット200の初期状態を示す図19とともにこれらの図を適宜参照しながらリンクユニット200の動作について説明する。
まず、リンクユニット200では、初期状態においてリリースアクチュエータRAのリリース出力レバーRALが最も上方に揺動した状態にあり、第1ワイヤケーブルWC1、第4ワイヤケーブルWC4、第6ワイヤケーブルWC6および第7ワイヤケーブルWC7のいずれもが引張操作されていない。従って、第1ワイヤケーブルWC1および第4ワイヤケーブルWC4によって連係されたコントロールユニット100も上述した初期状態に維持されている。
この初期状態からアウトサイドハンドルOHが操作されると、図20に示すように、第6ワイヤケーブルWC6を介してオープンハンドルレバー210が時計回りに回転し、第4ワイヤケーブルWC4が引張操作されることになるとともに、オープンハンドルレバー210の回転により当接突起片223を介してオープンハンドルサブレバー220が時計回りに回転することになり、第7ワイヤケーブルWC7が引張操作されることになる。第4ワイヤケーブルWC4が引張操作されると、コントロールユニット100においては、ロック手段190がアンロック状態である場合、図13に示すように、オープンサブレバー170およびオープンレバー160がそれぞれ時計回りに回転し、第2ワイヤケーブルWC2および第3ワイヤケーブルWC3がそれぞれ引張操作されることになり、フロント全閉ラッチユニットCRFおよびリア全閉ラッチユニットCRRがそれぞれ解除動作される。この結果、例えばスライドドアDが全閉状態にあった場合であっても、アウトサイドハンドルOHの操作によってこれを開扉移動させることができるようになる。また、第7ワイヤケーブルWC7が引張操作されると、全開ラッチユニットORが解除動作されることになる。この結果、例えばスライドドアDが全開状態にあった場合であっても、アウトサイドハンドルOHの操作によってこれを閉扉移動させることができるようになる。
一方、上述した初期状態から第1ワイヤケーブルWC1が引張操作されると、つまりインサイドハンドルIHを車両前方側へ向けて揺動させ、図12に示すように、コントロールユニット100の第2リンクレバー130が反時計回りに回転することによって第1ワイヤケーブルWC1が引張操作されると、リンクユニット200においては、図21に示すように、オープンハンドルサブレバー220が時計回りに回転することになり、第7ワイヤケーブルWC7が引張操作されて全開ラッチユニットORが解除動作される。この結果、例えばスライドドアDが全開状態にあった場合であっても、インサイドハンドルIHの車両前方側への揺動操作によってこれを閉扉移動させることができるようになる。この場合、第1ワイヤケーブルWC1の引張操作によっては、オープンハンドルレバー210が回転動作することがない。従って、例えばスライドドアDが全閉状態である場合に誤ってインサイドハンドルIHを車両前方側へ揺動操作した場合にも、スライドドアDの全閉状態が維持されることになり、当該スライドドアDが不用意に開扉移動することがない。
ここで、上記のように構成したドア開閉装置では、アウトサイドハンドルOH、リンクユニット200、コントロールユニット100、全閉ラッチユニットCR、全開ラッチユニットORの相互間をワイヤケーブルWC1,WC2,WC3,WC4,WC5,WC6,WC7で連係するようにしている。従って、それぞれの部品をスライドドアDに組み付ける際に多少の位置ずれが生じたとしてもワイヤケーブルWC1,WC2,WC3,WC4,WC5,WC6,WC7によってこれを吸収することが可能であり、組付作業において正確な位置合わせが必要になることもなく、組み付け後においても動作の検査・調整する作業が不要となり、製造作業の容易化を図ることが可能になる。
しかも、ウィンドウガラスGの開閉移動領域よりも下方となる部位にリンクユニット200を設けているため、アウトサイドハンドルOHとリンクユニット200のオープンハンドルレバー210との間を連係する第6ワイヤケーブルWC6、並びにリンクユニット200のオープンハンドルレバー210とコントロールユニット100のオープンサブレバー170との間を連係する第4ワイヤケーブルWC4をそれぞれウィンドウガラスGの開閉移動領域に干渉させることなく可及的に直線状に敷設することができる。従って、アウトサイドハンドルOHやインサイドハンドルIHを操作すれば、伝達ロスが発生することもなく、コントロールユニット100を円滑、かつ性格に動作させることが可能になる。
尚、上述した実施の形態では、四輪自動車のスライドドアDに適用するドア開閉装置を例示しているが、必ずしもスライドドアDである必要はなく、ウィンドウガラスG等の開閉体によって窓が開閉されるドアであれば、ヒンジによって左右方向や上下方向に開閉可能に配設されたものにも適用することが可能である。
また、上述した実施の形態では、コントロールユニット100をインナパネルIPに設け、このコントロールユニット100とアウタパネルOPに設けたアウトサイドハンドルOHとの間をリンクユニット200によって連係させるようにしているが、コントロールユニット100をアウタパネルOPに設け、このコントロールユニット100とインナパネルIPに設けたインサイドハンドルIHとの間をリンクユニット200によって連係させるようにしても構わない。尚、いずれの場合においてもリンクユニット200をインナパネルIPに設ける必要はなく、アウタパネルOPに設けるようにしても良い。
さらに、上述した実施の形態では、開閉体であるウィンドウガラスGの開閉移動領域よりも下方となる部位にリンクユニット200を設けるようにしているが、開閉体の開閉移動領域外であれば、下方部以外に設けても構わない。
またさらに、上述した実施の形態では、開閉体の開閉移動領域よりも下方側となる部位を通過するようにアウトサイドハンドルOHとリンクユニット200との間を連係する第6ワイヤケーブルWC6を敷設するようにしているが、必ずしも開閉移動領域よりも下方側となる部位を通過させる必要はなく、開閉移動領域よりも前方側となる部位や後方側となる部位を通過させるようにしても良い。
本発明の実施の形態であるドア開閉装置を適用したスライドドアの斜視図である。 図1に示したスライドドアの正面図である。 図1に示したスライドドアの平面図である。 図1に示したスライドドアを備える四輪自動車の側面図である。 図1に示したドア開閉装置のコントロールユニットを車両室内側から見た図である。 図5に示したコントロールユニットの詳細構成を車両室内側から見た図である。 図5に示したコントロールユニットの詳細構成を車両室外側から見た図である。 図6における VIII−VIII 線断面図である。 図6における IX−IX 線断面図である。 図6における X−X 線断面図である。 図5に示したコントロールユニットにおいてインサイドハンドルを開扉操作した状態を示す概念図である。 図5に示したコントロールユニットにおいてインサイドハンドルを閉扉操作した状態を示す概念図である。 図5に示したコントロールユニットにおいてアウトサイドハンドルを操作した状態を示す概念図である。 図5に示したコントロールユニットのロック状態を示す概念図である。 図5に示したコントロールユニットがロック状態にある場合にインサイドハンドルを開扉操作した状態を示す概念図である。 図5に示したコントロールユニットがロック状態にある場合にアウトサイドハンドルを操作した状態を示す概念図である。 図5に示したコントロールユニットのチャイルドロック状態を示す概念図である。 図5に示したコントロールユニットがチャイルドロック状態にある場合にインサイドハンドルを開扉操作した状態を示す概念図である。 図1に示したドア開閉装置のリンクユニットを車両室内側から見た図である。 図19に示したリンクユニットにおいてアウトサイドハンドルを操作した状態を示す概念図である。 図19に示したリンクユニットにおいてインサイドハンドルを閉扉操作した状態を示す概念図である。
符号の説明
100 コントロールユニット
101 コントロールベースプレート
101a 突起
101b 位置決め突起
102 インサイドハンドルシャフト
103 ハンドルリターンスプリング
104 レバー軸
110 インサイドハンドルレバー
111 第1リンク係合部
112 第2リンク係合部
113 スイッチレバー係合部
114 第1ワイヤケーブルスライド接続部
120 第1リンクレバー
121 第1スプリング係合部
122 第1ピンスライド部
122a 第1スライド溝
123 第1ロッドスライド接続部
124 第1係合ピン
130 第2リンクレバー
131 ハンドルレバー係合部
132 第2ロッドスライド接続部
133 係合穴
134 第1扉操作検出部
140 チャイルドロックレバー
141 チャイルドロックレバー軸
142 第1ピン作用部
143 第2ピン作用部
144 切換操作部
145 位置決め部
146 第1ピン作用溝
147 第2ピン作用溝
150 スイッチレバー
151 スイッチレバー軸
152 第2ピンスライド部
152a 第2スライド溝
153 第2スプリング係合部
154 第2扉操作検出部
155 第2係合ピン
156 第2リターンスプリング
160 オープンレバー
161 サブレバー係合部
162 ワイヤケーブル接続部
163 ロックピンスライド溝
164 係合凸部
170 オープンサブレバー
171 オープンレバー係合部
172 第4ワイヤケーブルスライド接続部
173 第1ロッド接続部
174 ロックピン係合部
175 第3扉操作検出部
176 係合凹部
180 フェイルセーフレバー
181 サブレバー押圧部
182 第2ロッド接続部
183 第5ワイヤケーブル接続部
184 コイルスプリング
190 ロック手段
191 ロッキングレバー
192 ロックレバー軸
193 ロックピン保持部
194 アクチュエータ係合部
195 ロック部材
196 ロックピン
200 リンクユニット
201 リンクベースプレート
202 リンクシャフト
210 オープンハンドルレバー
211 第6ワイヤケーブルスライド接続部
212 第4ワイヤケーブル接続部
213 入力部
220 オープンハンドルサブレバー
221 リンク側第1ワイヤケーブルスライド接続部
222 第7ワイヤケーブル接続部
223 当接突起片
224 押圧スプリング
B 車両本体
CL クローザ装置
CR 全閉ラッチユニット
CRF フロント全閉ラッチユニット
CRR リア全閉ラッチユニット
D スライドドア
DO 乗車口
G ウィンドウガラス
IH インサイドハンドル
IP インナパネル
LA ロッキングアクチュエータ
LD ロッキングロッド
OH アウトサイドハンドル
OP アウタパネル
OR 全開ラッチユニット
R1 第1連結ロッド
R2 第2連結ロッド
RA リリースアクチュエータ
RAL リリース出力レバー
RL ロッキング出力レバー
RLa 係合突起
S1 第1扉操作検出センサ
S2 第2扉操作検出センサ
S3 第3扉操作検出センサ
SF サポートフレーム
SN インサイドロックボタン
WC1,WC2,WC3,WC4,WC5,WC6,WC7 ワイヤケーブル
WO 窓穴

Claims (6)

  1. 一対のドアパネルの間に配設した開閉体によって窓が開閉されるドアを適用対象とし、一方のドアパネルに設けたハンドルが操作された場合に他方のドアパネルに設けたコントロールユニットを従動動作させ、このコントロールユニットの従動動作によって扉保持手段を解除動作させることにより、車両本体に対するドアの開閉移動を許容するようにしたドア開閉装置であって、
    前記ドアにおいて開閉体の開閉移動領域外となる部位にリンクユニットを設けるとともに、このリンクユニットと前記ハンドルとの間および前記リンクユニットと前記コントロールユニットとの間をそれぞれ個別のワイヤケーブルによって連係し、前記ハンドルが操作された場合にワイヤケーブルを介して前記リンクユニットを中継動作させ、さらに前記リンクユニットが中継動作された場合にワイヤケーブルを介して前記コントロールユニットを従動動作させることを特徴とするドア開閉装置。
  2. 一対のドアパネルの間に配設した開閉体によって窓が開閉されるドアを適用対象とし、車両外側のドアパネルに設けたアウトサイドハンドルが操作された場合に車両内側のドアパネルに設けたコントロールユニットを開扉動作させ、このコントロールユニットの開扉動作によって全閉保持手段を解除動作させることにより、車両本体に対するドアの開扉移動を許容するようにしたドア開閉装置であって、
    前記ドアにおいて開閉体の開閉移動領域外となる部位にリンクユニットを設けるとともに、このリンクユニットと前記アウトサイドハンドルとの間および前記リンクユニットと前記コントロールユニットとの間をそれぞれ個別のワイヤケーブルによって連係し、前記アウトサイドハンドルが操作された場合にワイヤケーブルを介して前記リンクユニットを中継動作させ、さらに前記リンクユニットが中継動作された場合にワイヤケーブルを介して前記コントロールユニットを開扉動作させることを特徴とするドア開閉装置。
  3. 前記コントロールユニットは、ロック状態とアンロック状態とに切り換わるロック手段を備え、ロック状態にある場合にアウトサイドハンドルの操作を無効化する一方、アンロック状態にある場合に前記アウトサイドハンドルの操作を前記全閉保持手段に伝達することを特徴とする請求項2に記載のドア開閉装置。
  4. 前記リンクユニットは、アウトサイドハンドルが操作された場合に前記全閉保持手段の解除動作を補助するリリースアクチュエータを備えたことを特徴とする請求項2に記載のドア開閉装置。
  5. 前記ドアは、車両本体に対してスライド可能に配設したスライドドアであることを特徴とする請求項2に記載のドア開閉装置。
  6. 前記コントロールユニットに車両室内側に露出する態様でインサイドハンドルを設けるとともに、車両本体との間にドアを全開状態に保持する全開保持手段を設け、前記インサイドハンドルを閉扉操作した場合に全閉保持手段を解除動作させることなく前記全開保持手段を解除動作させることを特徴とする請求項5に記載のドア開閉装置。
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