JP2005134113A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カンチレバー交換時等に変位検出用の光学系の調整がズレて正確な測定に支障をきたしたり試料と探針が衝突して破損することを確実に防止する。
【解決手段】 振動子7によりカンチレバー4を共振点又はその近傍の周波数で振動させ、そのときに光検出器13の二分割受光面13U、13Lでカンチレバー4からの反射光を受け各受光光量に基づく検出信号を出力する。演算器17は総受光光量に対応した信号S1、両受光面の受光光量の差分の直流成分の信号S2及び交流成分の信号S3を算出し、表示器21はこれをそれぞれ独立に表示する。オペレータはこの表示を見ながら、信号S1、S3が大きくS2が小さくなるように、レーザ光源8及び光検出器13の位置を調整する。これによって、簡便に且つ確実に光学系を最良に近い状態に調整することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、走査型プローブ顕微鏡に関する。
金属、半導体、セラミック、合成樹脂等の表面観察や表面粗さ等の測定を行うものとして、探針(プローブ)と試料表面間に作用する原子間力を測定する原子間力顕微鏡(AFM=Atomic Force Microscope)等の走査型プローブ顕微鏡(SPM=Scanning Probe Microscope)が広く知られている。この走査型プローブ顕微鏡は、尖鋭な探針を保持するカンチレバーと、このカンチレバーの撓みを検出する変位検出手段とを備え、探針の先端を試料のごく近傍(数nm以下の間隙)に近づける。このとき、探針と試料の原子との間には原子間力(引力又は反発力)が作用するから、この原子間力を一定に保ちつつ、試料表面に沿って探針と試料とが相対移動するように走査を行うと、試料の表面の凹凸に応じてカンチレバーが変位する。この変位量を検出することによって、試料の表面形状を観察することができる。
カンチレバーの変位を検出する手段としては、従来、ピエゾ素子等を利用したものがあるが、近年、光学的な検出手段が多く利用されている(例えば特許文献1など参照)。すなわち、レーザ照射光学系からカンチレバーに対してレーザ光を照射し、その反射光をカンチレバーの変位方向に複数(通常2つ)の受光面を有する光検出器で検出する。カンチレバーが変位すると、複数の受光面に入射する光量の割合が変化するから、その複数の受光光量に応じた検出信号を処理することでカンチレバーの変位量を算出することができる。
こうした光学的な変位検出手段を用いた走査型プローブ顕微鏡において、カンチレバー交換などのメンテナンス作業を行った際には、微妙な位置ズレなどによってカンチレバーで反射された光が適切に光検出器に入射しなくなる場合がある。こうした状態で探針を試料に近接させて測定を行うと、カンチレバーに作用する力を正確に測定できず、探針が試料に衝突して探針や試料を破損してしまうおそれがある。また、衝突には至らなくても、探針の性能を充分に引き出せずに走査を行うことになるため、観察像がぼやけてしまう。そのため、カンチレバー交換などの作業を行った際には、変位検出手段の光学系とカンチレバーとの位置関係を再調整する必要がある。
従来のこの種の顕微鏡では、例えばカンチレバーに照射されているレーザ光のスポット位置を光学顕微鏡で観察し、その観察像を参照しながら上記のような調整を行うようにしている。しかしながら、こうした観察では、カンチレバー上の或る位置にレーザ光が当たって反射している程度の判断は可能であるものの、照射レーザ光の全てがカンチレバーに当たっているか否かといった精度の高い判断は下せなかった。また、仮にカンチレバーへのレーザ光の照射が最良状態であったとしても、その反射光が光検出器の受光面に最良の状態で当たることを保証するものではない。そのため、こうした従来の手法では、カンチレバーの変位を最良の状態で検出するように光学系の調整を行うことは非常に困難であった。
特開平2000−338027号公報
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、カンチレバーの変位を検出するための光学系の調整を簡便に且つ正確に行うことができる走査型プローブ顕微鏡を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係る走査型プローブ顕微鏡は、試料表面を走査する探針が取り付けられたカンチレバーと、該カンチレバーの変位を検出するために、該カンチレバーに光を照射する照射手段、及びその照射光に対する反射光を受光する複数に分割された受光面を有する受光手段を含む変位検出手段と、備える走査型プローブ顕微鏡において、
a)前記カンチレバーをその共振点又はその近傍の周波数で振動させる加振手段と、
b)該加振手段による加振時に前記受光手段の各受光面により検出される複数の受光信号の差分の直流成分に応じた信号及びその交流成分の振幅に応じた信号、並びに、前記受光手段による総受光光量に応じた信号を求める信号取得手段と、
c)操作者が前記変位検出手段とカンチレバーとの相対位置関係を調整するためにその参考に供するべく、前記信号取得手段により得られた各信号の数値表示、又はその数値を反映した若しくはその各信号に基づいた表示又は報知を行う情報提示手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る走査型プローブ顕微鏡において、加振手段は例えば振動子である。この加振手段によりカンチレバーがその共振点又はその近傍の周波数で振動している状態で照射手段によりカンチレバーにレーザ光が照射されると、受光手段ではカンチレバーの振動に応じて複数の受光面を跨って入射光束の位置が変化する。したがって、受光手段の各受光面により検出される複数の受光信号の差分をとると、その差分信号の交流成分はこの振動に応じた周波数となり、その振幅は光の照射位置がカンチレバーの先端部になるほど大きくなる。また、差分信号の直流成分は複数の受光面に対する入射光束の初期的(つまりカンチレバー静止状態と同じ)な位置ズレを反映したものとなる。さらに、受光手段による総受光光量は、カンチレバーに照射光が十分に当たっているか否か、及び、カンチレバーからの反射光が受光面からはみ出すことなく当たっているか否か、を判断するための指標となり得る。
本発明に係る走査型プローブ顕微鏡では、信号取得手段により上記のような各信号が取得され、情報提示手段により、例えばその信号の大きさを表す数値やその数値を反映したレベル表示などが行われる。したがって、実際に測定作業を行う以前に、操作者(オペレータ)はこの表示を見ながら、例えば総受光光量ができるだけ大きく、差分信号の直流成分はできるだけ小さく、差分信号の交流成分はできるだけ大きくなるといった、変位検出のために最適であると想定される状態に、カンチレバーと変位検出手段(具体的には照射手段及び受光手段)との相対位置関係を調整することができる。それによって、調整が不十分な状態で測定を開始してしまうことがなくなり、測定時にカンチレバーと試料とが衝突して破損することを未然に防止できる。
上記情報提示手段として最も簡単な態様は上述したように信号の数値表示やレベル表示であるが、そのほかに、情報提示手段は、前記信号取得手段により得られる信号の少なくとも1つを所定の判定基準値と比較する判定手段を含み、その判定結果によって前記相対位置関係の調整状態を判断するようにした構成としてもよい。具体的には、判定手段の結果を表示や音で操作者に報知する構成とするとよい。
この構成では、判定基準値を適切に定めておきさえすれば、操作者が数値化された信号値やレベルを見ながらその適切性を判断する場合に比べて、正確な判断を行うことができ、操作者の負担も軽減される。なお、適切な判定基準値というのは、例えばカンチレバーの反射面の反射率、弾性定数などの振動振幅決定要因、或いは形状などに依存する。したがって、予め使用する可能性のあるカンチレバーの種類に応じた判定基準値を記憶させた記憶手段を用意しておき、実際に顕微鏡に装着されたカンチレバーの種類に応じた判定基準値を記憶手段から読み出してきて利用する構成とすることが好ましい。これによれば、どのようなカンチレバーが使用された場合であっても、カンチレバーの変位を最良又はそれに近い状態で検出できるように調整を行うことができる。
また、上記本発明に係る走査型プローブ顕微鏡においては、前記判定手段により前記相対位置関係の調整が不十分であると判定されたときに、前記カンチレバーと試料とが近接する動作を禁止する制御手段を備える構成とするとさらに好ましい。
この構成によれば、調整が不十分であって測定のために試料とカンチレバーとを近づけたときに両者が衝突するおそれがあるような場合には、そうした近接のための動作自体が行われない。したがって、仮に操作者による調整が不十分であったり調整を忘れたりした場合であっても、試料とカンチレバーとが衝突していずれかが破損するような事故を確実に防止することができる。
さらにまた、上記本発明に係る走査型プローブ顕微鏡においては、測定のために前記カンチレバーと試料とを近接させる途中の状態にあるとき、又はカンチレバーと試料とが近接した測定中の状態にあるとき、前記判定手段は、前記受光手段による総受光光量に応じた信号を判定基準値と比較し、前記制御手段は、その判定結果によって総受光光量が不足していると判断したときにカンチレバーと試料とが近接する動作を停止する又はカンチレバーと試料とを離間させる動作を実行する構成とするとさらに好ましい。
この構成によれば、測定のためにカンチレバーと試料とを近接させる途中の状態にあるときや測定中(走査中)の状態にあるときに、例えば何らかの理由でカンチレバーが破損してしまったり照射光の光量が急減してしまったりした場合でも、そうした不具合を迅速に検知し、カンチレバーと試料との間の距離を大きくすることができる。それによって、試料や顕微鏡の破損・損傷を最小限に食い止めることができる。また、適切な測定が行い得ない状況下で無用な測定を行うこともなくなる。
このように本発明に係る走査型プローブ顕微鏡によれば、実際に測定作業を行う以前に、操作者は変位検出用の光学系の調整が適切であるか否かを容易に且つ明確に確認することができるので、その光学系の調整が不十分な状態で測定を開始してしまうことを回避でき、測定時にカンチレバーと試料とが衝突して、カンチレバーが破損したり試料自体が損傷することを未然に防止できる。また、光学系の調整が不十分な場合には操作者が簡便に調整することができるので、走査時にカンチレバーの変位量を正確に検出することができ、それによって明瞭な表面観察像を得ることができる。また、そうした調整に関して操作者の技量や経験に頼ることも少なくなり、経験の浅い者でも良好な表面観察像を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態である走査型プローブ顕微鏡について、図面を参照して具体的に説明する。図1は本実施形態の走査型プローブ顕微鏡の全体構成図、図2はカンチレバーの上面図、図3は光検出器の受光面上における光スポット状態の一例を示す図、図4は光検出器による検出信号を処理した波形の一例を示す図である。
スキャナ2はその上面に試料1を保持するとともに、試料1をx、yの2軸方向に走査し且つz軸方向に微動させる。モータ3は試料1とスキャナ2とを一体に、後記カンチレバー4に近接させる又は遠ざけるような粗動を行う。試料1の上方には先端に探針5を有するカンチレバー4が配置され、カンチレバー4の端部には加振手段としての振動子7が取り付けられている。このカンチレバー4の変位を検出するために、次のような光学系が設けられている。すなわち、レーザ光源ホルダ9に保持されたレーザ光源8から出射された光は、ミラー12によりカンチレバー4先端上面の所定位置に集光されてレーザスポット6を形成する。レーザ光源ホルダ9に設けられた位置調整ネジ10、11を適宜調整することで、レーザ光源8からの出射光の位置をy−z面内で調整することができる。レーザスポット6においてカンチレバー4から反射した光は光検出器ホルダ14により保持される光検出器13に入射する。光検出器ホルダ14に設けられた位置調整ネジ15、16を適宜調整することで、入射光に対する光検出器13の受光面の位置をy−z面内で調整することができる。
光検出器13はその受光面が図3(a)に示すように上下(z軸方向)に二分割された構成となっており、上側受光面13Uと下側受光面13Lとにおける受光光量に応じた検出信号を独立に演算器17に出力する。演算器17は両検出信号より、光検出器13で受光した総受光光量(両受光面13U、13Lでの受光光量の和)に対応した第1信号S1と、上側受光面13Uと下側受光面13Lとの光量差の直流成分に対応した第2信号S2と、上側受光面13Uと下側受光面13Lとの光量差の交流成分の振幅に対応した第3信号S3と、を算出する。この3つの信号S1、S2、S3は制御/処理部18に入力されるとともに表示器21に入力され、表示器21では3つの信号S1、S2、S3のレベルをレベルインジケータ21aにより表示する。なお、レベルインジケータ21aでの表示を見易くするために適宜のホールド時間を設定したピークホールド表示を利用してもよい。また、単に数値をデジタル表示するだけでもよい。
制御/処理部18はマイクロコンピュータを中心に構成されており、入力部19と記憶部20とが接続され、所定のアルゴリズムに従って振動子7、モータ3、スキャナ2の動作を制御する。入力部19はキー操作スイッチやキーボードなどであって、オペレータが所定の指示を制御/処理部18に対して行うものである。一方、記憶部20には、使用する各種のカンチレバーの種類に応じた判定基準値を予め記憶させておく。これはカンチレバーの種類によって、例えば反射面の反射率や弾性率(ばね定数)、形状などが相違するため、こうした要素を考慮してカンチレバーの種類に依存しない正確な判定を行うようにするためである。
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡では、光検出器13による検出信号を元に演算器17で算出された信号S1、S2、S3に基づく表示を利用し、オペレータが手動で光学系、つまりレーザ光源8及び光検出器13の位置を調整することができる。次に、こうした調整に関連し、光学系の調整状態と演算器17で算出される信号S1、S2、S3との関係について説明する。
レーザ光源8から出射したレーザ光がカンチレバー4に当たり、その反射光が光検出器13に入射すると、その受光面13U、13Lには光スポットSPが形成される。カンチレバー4が静止した状態で、光スポットSPが二分割受光面13U、13Lのちょうど中間位置に当たると(図3(a)の状態)、両受光面13U、13Lによる受光光量は等しくなるため、演算器17で算出される差分信号はほぼゼロになる。光検出器13においては、原則的にはこの状態が光学系にとって最も良好な位置である。光スポットSPが二分割受光面13U、13Lの上方又は下方にズレた位置に在る場合(図3(b)、(c)の状態)には、定常的な差分信号が発生する。これが差分信号の直流成分、つまりオフセットである。
図3(a)〜(c)は、例えば図2(a)又は(b)に示すように照射光により形成されるレーザスポット6がカンチレバー4を外れることがなく、しかもその反射光が光検出器13の受光面に確実に当たる場合の例である。しかしながら、例えば図2(c)に示すようにレーザスポット6の一部がカンチレバー4を外れてしまう場合には、図3(d)に示すように受光面13U、13L上での光スポットSPの一部が欠損する。また、レーザスポット6がカンチレバー4を外れない場合であっても、光検出器13の位置が適切でなく反射光の一部が光検出器13を外れてしまった場合には、図3(e)に示すように光スポットSPの一部が受光面13U、13Lからはみ出す。いずれの場合にも、受光面13U、13Lによる受光光量が減少するため受光信号のS/N比が低下する。そこで、原則的には(後述する特殊な場合を除いて)、総受光光量に対応した第1信号S1はできるだけ大きいことが望ましい。
次に、振動子7を駆動することによってカンチレバー4をその共振点又はその付近の所定の周波数fでz方向に振動させた場合について考える。例えばカンチレバー4が静止しているときに光スポットSPが図3(a)に示す状態にある場合に、カンチレバー4が振動すると、カンチレバー4の振動変位に応じて光スポットSPはz方向に振動する。すなわち、光スポットSPの位置は例えば図3(b)と(c)との状態の間で振動するから、差分信号はこの振動に応じた例えば正弦波状の変化を生じる。但し、光スポットSPが受光面13U、13Lのいずれか一方に完全に入ってしまうほど振動すると、それ以上振動が大きくなっても差分信号の変化は大きくならない。したがって、差分信号の変化範囲には正負方向ともに制限があり、これが図4に示すように検出可能範囲となる。
正弦波状の差分信号の変化は差分信号の交流成分であり、上述したように初期的に差分信号に直流成分がある場合には、差分信号は直流成分に交流成分が乗った状態となる(図4の波形参照)。この交流成分が大きいほど検出精度は向上するが、直流成分が大きい場合には検出可能範囲の制限に掛かる可能性が高くなるため交流成分を大きくとることが困難である。したがって、直流成分はゼロに近いことが望ましく、その状態で交流成分をできるだけ大きくすることが望ましい。つまり、差分信号の直流成分である第2信号S2はできだけ小さく、差分信号の交流成分の振幅である第3信号S3はできるだけ大きいことが望ましい。
カンチレバー4のレーザスポット6で見た場合、カンチレバー4は先端部にゆくほど変位量が大きくなる。すなわち、例えば図2(a)に示すようにレーザスポット6がカンチレバー4の幅狭部(実質的な振動領域)の先端付近にある場合と、図2(b)に示すようにレーザスポット6がカンチレバー4の幅狭部の根元付近にある場合とを比較すると、探針5の同一変位量に対して前者は後者よりも変位量が大きくなり、その結果、差分信号の変動振幅も大きくなる。したがって、レーザスポット6がカンチレバー4から外れることなく、できるだけ振動領域の先端部に来るようにレーザ光源8の位置を調整し、且つ、カンチレバー4が静止した状態での反射光による光スポットSPが図3(a)に示す状態となるように光検出器13の位置を調整することにより、最良の状態を達成することができる。逆に言えば、この例では、第1信号S1及び第3信号S3をできるだけ大きくし、第2信号S2をできるだけ小さくするように、レーザ光源8及び光検出器13の位置を調整すればよい。
次に、非測定時(試料1をカンチレバー4に近接させていないとき)における光学系の調整確認の手順及び動作について説明する。こうした動作は主としてカンチレバー4を交換した後などに行われるものである。
オペレータが入力部19より調整動作の開始の指示を行うと、制御/処理部18はレーザ光源8を点灯させ、カンチレバー4に向けてレーザ光を照射する。また、振動子7を駆動して、カンチレバー4をその共振点又はその付近の所定の周波数fで振動させる。カンチレバー4からの反射光により光検出器13から検出信号が出力され、演算器17により上記のような演算が実行される。その結果、表示器21のレベルインジケータ21aには第1信号S1、第2信号S2及び第3信号S3のレベルが表示される。オペレータはこれら各信号S1、S2、S3のレベルを確認しながら、第1信号S1及び第3信号S3ができだけ大きく、第2信号S2ができるだけ小さくなるように、位置調整ネジ10、11を適宜回してレーザ光源8の位置を調整するとともに、位置調整ネジ15、16を適宜回して光検出器13の位置を調整する。
なお、初期的に大凡の位置決め(例えばレーザスポット6の一部がカンチレバー4の振動領域に当たる程度の位置決め)を行うために、光学顕微鏡などの他の手段を併用してもよい。いずれにしても、最終的に最良又はそれに近い状態になったか否かに関しては、表示器21の表示によって確認することができる。
上記のようにレベルインジケータ21aや数値表示を見ながらオペレータが手動で調整を行うだけでも、従来の手法に比べれば、遙かに簡便に且つ確実に良好な調整が達成できる。しかしながら、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡では、上記のような手動調整を補助する手段を設けている。すなわち、第1乃至第3信号S1、S2、S3を受け取った制御/処理部18は、各信号S1、S2、S3を記憶部20から読み込んだ判定基準値と比較し、大小関係を判定する。上述したように判定基準値はカンチレバーの種類毎に相違するから、始めにオペレータは使用するカンチレバーの種類を入力部19により指定しておき、その指定に応じた判定基準値が記憶部20から読み込まれる。
第1信号S1、第3信号S3はそれぞれの判定基準値よりも大きい場合に許容範囲に入ったものと判断できる。一方、第2信号S2はその判定基準値よりも小さい場合に許容範囲に入ったものと判断できる。そこで、制御/処理部18は各信号毎に許容範囲に入ったと判断した場合に、表示器21の表示灯(例えばLED)21bを点灯させる。これによって、オペレータはこの表示灯21bの点灯又は消灯によって調整状態を把握し、全ての表示灯21bが点灯するようにレーザ光源8及び光検出器13の位置を調整することにより、最良に近い状態とすることができる。
また、制御/処理部18は上記3つの信号S1、S2、S3が共に許容範囲に入った場合にのみ、試料1をカンチレバー4に近接させるべくモータ3を駆動する動作の実行を許可する。すなわち、第1、第2及び第3信号S1、S2、S3のいずれかが許容範囲に入っていない状態でオペレータが測定開始を行う旨の指示を入力部19を行っても、制御/処理部18はこれを受け付けず、スキャナ2及び試料1をカンチレバー4に近づける方向に作動させるための制御信号をモータ3へと送出しない。好ましくは、警告表示や警告音により測定不可であることをオペレータに知らせるとよい。したがって、変位検出用の光学系の調整が不十分な状態で試料1がカンチレバー4に近づくことがないので、探針5(又はカンチレバー4本体)と試料1とが衝突することを未然に防止することができる。また、光学系の調整が不十分であると衝突は起きなくてもカンチレバー4に作用する力を正確に測定できない可能性があるが、こうした状態で測定が行われること自体を避けることができる。
さらにまた、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡では上記のような非測定時のみならず、測定前作業として試料1をカンチレバー4に近接させるべくモータ3を作動させているときや、試料1とカンチレバー4とをごく近接させた状態でスキャナ2により試料1の走査を行っている測定中においても、制御/処理部18は演算器17から得られる信号に基づいて動作の不具合を検出することができる。例えば、上記測定前作業時や測定中に探針5が試料1に接触して探針5が破損することがある。また、レーザ光源8の不具合でその出力パワーが急に減少することもある。そうした場合、カンチレバー4に作用する力を測定できなくなり、力が無い又は弱いと判断すると、さらに試料1をカンチレバー4に近接させるような制御を行うことになる。その結果、試料1がカンチレバー4の本体に強く押し付けられ、試料1が酷く破損してしまったりカンチレバー4以外の装置部品まで損傷を及ぼしたりするおそれがある。
そこで、制御/処理部18は測定前作業時及び測定中に総受光光量に応じた第1信号S1を判定基準値と比較し、第1信号S1が判定基準値を下回った場合にはカンチレバー4に何らかの不具合が発生したと判断する。そして、測定中である場合には測定を中止し、試料1をカンチレバー4から遠ざける方向にモータ3を作動させる。これにより、試料1の破損や装置の深刻な損傷を最小限に食い止めることができる。
図2に示したようなカンチレバーの形状では、総受光光量について最も大きな状態が最良の状態であるが、カンチレバーの種類によっては必ずしもそうでない場合もあり得る。例えば図5に上面形状を示すカンチレバー4の場合には、振動領域が先端にゆくほど狭くなっておりレーザスポット6の一部が必然的にカンチレバー4からはみ出してしまう。そのため、レーザスポット6を振動領域の先端方向に移動させてゆくと、或る位置以降は総受光光量が減少してゆくことになる。こうした場合には、上述したようにレベルインジケータの表示や数値表示を見ながら、適切な位置を決めるのは容易ではない。しかしながら、その場合であっても、上述したように判定基準値を適宜に定めておけば、送受光光量が適当に大きく、且つ変位量に対する振動振幅も十分に大きくなるような位置を迅速に見出すことができる。
なお、上記実施形態では、オペレータが位置調整ネジ10、11、15、16を回すことによりレーザ光源8と光検出器13の位置を調整するようにしていたが、レーザ光源ホルダ9と光検出器ホルダ14とをそれぞれy−z面内で移動させる駆動手段を設け、制御/処理部18が演算器17から入力される信号S1、S2、S3に基づいて上記駆動手段の動作をフィードバック制御することにより、自動的に最良に近い状態に光学系が調整されるようにしてもよい。
また、上記実施形態は本発明の一例であるから、上記に記載した以外の点においても、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願発明に包含されることは明らかである。
本発明の一実施形態による走査型プローブ顕微鏡の全体構成図。 カンチレバーの上面図。 光検出器の受光面上における光スポット状態の一例を示す図。 光検出器による検出信号を処理した波形の一例を示す図。 他の形状を有するカンチレバーの上面図。
符号の説明
1…試料
2…スキャナ
3…モータ
4…カンチレバー
5…探針
6…レーザスポット
7…振動子
8…レーザ光源
9…レーザ光源ホルダ
10、11…位置調整ネジ
12…ミラー
13…光検出器
13U…上側受光面
13L…下側受光面
14…光検出器ホルダ
15、16…位置調整ネジ
17…演算器
18…制御/処理部
19…入力部
20…記憶部
21…表示器
21a…レベルインジケータ
21b…表示灯

Claims (4)

  1. 試料表面を走査する探針が取り付けられたカンチレバーと、該カンチレバーの変位を検出するために、該カンチレバーに光を照射する照射手段、及びその照射光に対する反射光を受光する複数に分割された受光面を有する受光手段を含む変位検出手段と、備える走査型プローブ顕微鏡において、
    a)前記カンチレバーをその共振点又はその近傍の周波数で振動させる加振手段と、
    b)該加振手段による加振時に前記受光手段の各受光面により検出される複数の受光信号の差分の直流成分に応じた信号及びその交流成分の振幅に応じた信号、並びに、前記受光手段による総受光光量に応じた信号を求める信号取得手段と、
    c)操作者が前記変位検出手段とカンチレバーとの相対位置関係を調整するためにその参考に供するべく、前記信号取得手段により得られた各信号の数値表示、又はその数値を反映した若しくはその各信号に基づいた表示又は報知を行う情報提示手段と、
    を備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  2. 前記情報提示手段は、前記信号取得手段により得られる信号の少なくとも1つを所定の判定基準値と比較する判定手段を含み、その判定結果によって前記相対位置関係の調整状態を判断するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  3. 前記判定手段により前記相対位置関係の調整が不十分であると判定されたときに、前記カンチレバーと試料とが近接する動作を禁止する制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 測定のために前記カンチレバーと試料とを近接させる途中の状態にあるとき、又はカンチレバーと試料とが近接した測定中の状態にあるとき、前記判定手段は、前記受光手段による総受光光量に応じた信号を判定基準値と比較し、前記制御手段は、その判定結果によって総受光光量が不足していると判断したときにカンチレバーと試料とが近接する動作を停止する又はカンチレバーと試料とを離間させる動作を実行することを特徴とする請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡。
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