JP6588278B2 - 走査プローブ顕微鏡および走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法 - Google Patents
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Description
一方、レーザ光を斜めにカンチレバーに照射する場合、光学顕微鏡で確認可能なレーザ光のスポット位置と、カンチレバーに実際に照射するレーザ光の位置とが一致せず、しかもカンチレバーに照射するレーザ光を光学顕微鏡で直接視認できないので、光軸調整を勘で行わざるを得ず、熟練を要するという問題がある。そこで、カンチレバーの下方に光学顕微鏡の観察画像のピントが合う補助照射面を設けることで、カンチレバーに照射するレーザ光を視認できるようにし、光軸調整を容易にする技術が開発されている(特許文献2)。
一方、特許文献2記載の技術の場合、補助照射面を設ける必要があるので、装置が複雑になったり、小型化が難しくなるという問題がある。また、作業者がレーザ光を見ながら手動で光軸調整をする点で、依然として光軸調整に熟練や時間を要する。
この走査プローブ顕微鏡によれば、制御手段は、カンチレバーの位置、検出光の入射角、及び取付角に基づき、カンチレバーの反射面に検出光が反射されるように、カンチレバーをカンチレバー支持部に取り付ける位置を幾何学的に自動計算する。そして、制御手段は、カンチレバーがこの取付位置に来るよう、移動機構を制御してカンチレバーをカンチレバー支持部に取り付けるので、対物レンズを用いて光テコの光軸調整を自動的に行える。
スポット光が円形から乖離したいびつな形状である場合、検出光の入射が異常であると考えられる。そこで、この走査プローブ顕微鏡によれば、検出光が正常に入射しているか否かを判断することができる。
この走査プローブ顕微鏡によれば、検出部の光軸調整も自動的に行うことができる。
カンチレバーが自身の移動方向と斜めにカンチレバー供給機構に保持されている場合、カンチレバーが移動方向に対して斜めに移動してしまうため、上記取付位置に正確にカンチレバーを移動することが困難になる。そこで、カンチレバーが自身の移動方向と、カンチレバーの長軸の方向とのずれ角を検出することで、カンチレバーを上記取付位置に正確に移動できるようになる。
この走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法によれば、カンチレバーの位置、検出光の入射角、及び取付角に基づき、カンチレバーの反射面に検出光が反射されるように、カンチレバーをカンチレバー支持部に取り付ける位置を幾何学的に自動計算する。そして、カンチレバーがこの取付位置に来るよう、移動機構を制御してカンチレバーをカンチレバー支持部に取り付けるので、対物レンズを用いて光テコの光軸調整を自動的に行える。
この走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法によれば、スポット位置の取得ができなかった場合には、スポット光の検出条件の変更等をして、スポット位置の再取得を確実に行うことができる。
この走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法によれば、スポット光の領域を超えるノイズ等を排除して、スポット位置を精度よく取得できる。
スポット光が円形から乖離したいびつな形状である場合、検出光の入射が異常であると考えられる。そこで、この走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法によれば、検出光が正常に入射しているか否かを判断することができる。
図1において、走査プローブ顕微鏡100は、試料18の表面に近接させる探針99を先端に有するカンチレバー4と、カンチレバー4の下方に配置されて試料18を載置する試料台(ステージ)19と、光てこに用いるレーザ光(検出光)L0を照射する光源部(半導体レーザ光源)1と、第1反射部(第1ミラー)3と、レーザ光を受光する検出部(4分割光検出素子)6と、第2反射部(第2ミラー)5と、カンチレバー4及び試料18に対向して配置される対物レンズ17と、制御手段40等を有する。なお、対物レンズ17で集光された光は光学顕微鏡本体25で観察又は撮像される。
走査プローブ顕微鏡100は、対物レンズ17のの光軸Oに対し、光源部1からレーザ光L0を斜めに照射するタイプとなっている。又、走査プローブ顕微鏡100は、カンチレバー4側をスキャンして測定を行うレバースキャン方式となっている。
制御手段40は走査プローブ顕微鏡100の動作を制御し、コントローラー、コンピュータ等を備えている。コンピュータは、制御基板、CPU(中央制御処理装置)、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段、インターフェース、操作部等を有する。
カンチレバー4は、斜面ブロック11内に設けられた真空配管30により斜面ブロック11に吸着固定され、斜面ブロック11は、加振機(振動子)13に固定されている。
斜面ブロック11が特許請求の範囲の「カンチレバー支持部」に相当する。図1においては、斜面ブロック11はカンチレバーを水平面(xy面)に対して右上がりとなる取付角θ(図3参照)で斜めに取り付けるようになっている。
連結部26の下面には、中央部が開口する微動機構(スキャナ)20が取付けられている。又、微動機構20の下面には、中央部が開口する枠状の光ヘッド筐体16が固定されている。微動機構20は、光ヘッド筐体16を3次元に移動(微動)させるものであり、光ヘッド筐体16をそれぞれxy(試料18の平面)方向に走査する2つの(2軸の)圧電素子と、光ヘッド筐体16をz(高さ)方向に走査する圧電素子とを備えたフラットスキャナ(アクチュエータ)である。圧電素子は、電界を印加すると結晶がひずみ、外力で結晶を強制的にひずませると電界が発生する素子であり、圧電素子としては、セラミックスの一種であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を一般に使用することができるがこれに限られない。
そして、光ヘッド筐体16の開口部に対物レンズ17が設置され、開口部を通して下方のカンチレバー4及び試料18に臨んでいる。
微動機構20の各圧電素子は、制御手段40からの所定の制御信号(電圧)により、それぞれxy方向及びz方向へ駆動する。
そして、加振機13は光源側モジュール10の下方に取り付けられ、カンチレバー4は光ヘッドの先端に配置されることになる。
2軸調整機構14aが特許請求の範囲の「検出部移動機構」に相当する。2軸調整機構14aは、例えばステッピングモータから構成することができる。
このようにして、試料18にカンチレバー4の探針99を近接又は接触させたときのカンチレバー1の変位を、上述の光テコ方式で検出し、微動機構20によりカンチレバー4の変位量を一定に保ちながら試料18表面を走査し、測定を行うことができる。
図2は、カンチレバー4を斜面ブロック11に取り付ける前の状態(つまり、XYステージ28上のカンチレバー供給機構29にカンチレバー4を保持した状態)で、光源部1からのレーザ光L0を対物レンズ17で撮像した光路を示す。レーザ光L0は試料18の表面上の点Qで反射され、対物レンズ17の光軸Oに沿って入射して光学顕微鏡本体25の撮像素子(CCD素子)でスポット光として撮像される(図4参照)。
一方、図3に示すように、斜面ブロック11にカンチレバー4を取り付けた状態では、光源部1からのレーザ光L0は、カンチレバー4の反射面との交点Pで反射され、反射光L1となって第2反射部5に入射し、検出部6で検出される。
また、図5の処理に当たっては、カンチレバー4が自身の移動方向(カンチレバー4を動かす微動機構20のx方向またはy方向)と斜めにカンチレバー供給機構29に保持されたり、カンチレバー4の長さ方向の中心軸(カンチレバー4の長軸Lの延長線)又はエッジ4eがx方向またはy方向に対して直角でない場合がある。この場合、x方向またはy方向に対して、カンチレバー4が斜めに移動してしまうため、正確にカンチレバー4を交点Pに移動することが困難になる。そこで、x方向またはy方向と探針99の長軸Lの方向とのずれ角、又はx方向またはy方向とエッジ4eとのずれ角を検出することで、カンチレバー4を交点Pに正確に移動できるようになる。
ここで、カンチレバー4の長軸Lの方向は、カンチレバー4の基部に繋がるカンチレバー(本体)4のエッジ4eと垂直であるか、又はエッジ4eと既知の角度であるので、エッジ4eを画像処理で抽出することで、長軸Lの方向を検出することができる。
制御手段40は、カンチレバー4が上述の取付位置に来るように粗動機構21を制御し、斜面ブロック11をZ方向へ移動(降下)させてカンチレバー供給機構29に接近させ、さらにカンチレバー4に接触させる。粗動機構21が特許請求の範囲の「移動機構」に相当する。カンチレバー供給機構2及びカンチレバー4は既知の高さであるので、その高さになるよう、粗動機構21を制御すればよい。
そして、制御手段40は真空配管30のバルブを制御し、カンチレバー4を斜面ブロック11に吸引させて取り付ける(カンチレバー取付工程 図6のS18)。これにより、カンチレバー4の反射面でレーザ光L0が反射されるような光軸調整を自動的に行うことができる。
検出部6側の光軸調整は一般にオペレータが行うが、後述するように制御手段40が自動的に行うこともできる。
図6は、レーザ光L0のスポット光の重心G1を検出するフロー、図7はスポット光の重心G1の検出のサブルーチンを示す。
図6において、制御手段40は、対物レンズ17(および光学顕微鏡本体25)で撮像したレーザ光L0のスポット光の画像データを取得し(ステップS2:画像取得工程)、画像処理により重心G1を検出する(ステップS100:スポット位置取得工程)。次に、ステップS4(スポット位置取得判定工程)で、制御手段40はステップS100の検出が成功したか否かを判定し、「Yes」であれば、重心G1を取得し(ステップS6)、処理を終了する。
一方、ステップS4で「No」であれば、次に、ステップS8で、制御手段40はステップS100の検出条件を3回変更したか否かを判定する。ステップS8で「Yes」であれば、重心G1の検出がうまく行かなかったとみなし、重心G1の検出が失敗した旨のエラー表示を行い(ステップS12)、処理を終了する。ステップS8で「No」であれば、検出条件を変更し(ステップS10)、ステップS100に戻る。
なお、検出条件の変更とは、例えば画像を白黒に2値化するときの閾値の変更が挙げられる。
次に、ステップS106で、制御手段40はステップS104のパラメータの設定が3回以下か否かを判定する。ステップS106で「No」であれば、パラメータの設定がうまく行かなかったとみなし、重心G1の検出が失敗した旨のエラー表示を行い(ステップS124)、処理を終了する。一方、ステップS106で「Yes」であれば、制御手段40は画像データを二値化する(ステップS108:二値化工程)。
なお、図8に示す例では、画像データ中に、白の部分が連続した3つのラベリング領域Ia〜Icが存在するが、そのうち領域Iaが最も大きい(最も多くの白の画素を含む)ので、領域Iaの円形度を計算することとなる。円形度も公知の画像処理であり、図8に示す例では、領域Iaの面積S(画素数)と、周囲長PLから、円形度=(4π×S)/(PL×PL)で計算される。
また、ステップS104〜S116が「スポット領域判定工程」に相当する。
ステップS118で「Yes」であれば、制御手段40は領域Iaの重心を計算し、所定の記憶手段に格納して(ステップS120)、処理を終了する。画像処理による重心の計算も公知であり、領域Iaを構成する各画素のX座標の平均と、Y座標の平均から重心の座標が求められる。
なお、ステップS110で「No」の場合、閾値が高過ぎて白い部分が検出されなかったことになるので、二値化閾値を低くする。また、ステップS114、S118で「No」の場合、閾値が低過ぎてノイズを検出したことになるので、二値化閾値を高くする。
又、走査プローブ顕微鏡は試料の表面形状を測定するものに限らず、探針を近接又は接触させて走査するものであれば、試料の各種の物性情報を測定するものでもよい。
光源部、検出光、検出部、移動機構、対物レンズの種類や、カンチレバー支持部へのカンチレバーの取り付け方法も上記実施形態に限定されない。また、カンチレバー4が固定され、試料18側をスキャンするサンプルスキャン方式であってもよい。
また、上記実施形態では、スポット光の重心G1、及びカンチレバー4の重心G2を、それぞれスポット位置及びカンチレバーの位置として検出したが、これに限られない。例えば、探針99の尖った先端をカンチレバーの位置と仮定して検出してもよい。
また、スポット光のスポット位置を検出する際、検出光を試料18の表面に照射する代わりに、所定のスポット反射面(ミラー)を設置し、この反射面に検出光を照射した反射光をスポット光として撮像してもよい。例えば、試料18の種類や表面状態によっては、試料18の表面からの反射光L2の強度が十分でないことがあるが、スポット反射面(ミラー)からの反射光は一定の強度を確保できるので、スポット光を撮像し易くなり、光軸調整をし易くなるという効果もある。
また、上記の実施形態における図6のステップS8、または図7のステップS106では、検出条件又はパラメータの設定の変更回数を3回としたが、任意の回数でよい。
4 カンチレバー
6 検出部
11 カンチレバー支持部
14a 検出部移動機構
17 対物レンズ
18 試料
21 移動機構
40 制御手段
99 探針
100 走査プローブ顕微鏡
O 対物レンズの光軸
L0,L1 検出光
G1 スポット位置
G2 カンチレバーの位置
φ 検出光の入射角
θ カンチレバーの取付角
Claims (8)
- 試料の表面に近接させる探針が設けられたカンチレバーと、
前記カンチレバーを水平面に対して所定の取付角で取り付けるカンチレバー支持部と、
前記カンチレバー支持部に取り付ける前の前記カンチレバーを保持するカンチレバー供給機構と、
前記カンチレバーの位置を調整する移動機構と、
検出光を照射する光源部と、
前記カンチレバーに設けられた反射面で反射された前記検出光を検出し、前記カンチレバーの変位を検出する検出部と、
前記カンチレバーに対向して配置され、該カンチレバーの近傍を観察又は撮像する対物レンズと、を備えた走査プローブ顕微鏡であって、
さらに、前記カンチレバーを前記カンチレバー支持部に取り付けないで前記カンチレバー供給機構に取り付けた状態で、前記対物レンズで撮像した前記検出光が前記試料の表面で反射されたスポット光のスポット位置を検出し、前記対物レンズで撮像した前記カンチレバー供給機構に取り付けられた状態の前記カンチレバーの位置を検出し、前記スポット位置、前記カンチレバーの位置、前記検出光の入射角、及び前記取付角に基づき、前記カンチレバーを前記カンチレバー供給機構から前記カンチレバー支持部に取り付けたときに前記反射面で前記検出光が反射されるように前記移動機構を制御する制御手段を備えることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。 - 前記制御手段は、前記対物レンズで撮像した前記スポット光の形状が所定の円形度以上であるときに、前記スポット位置を検出する請求項1に記載の走査プローブ顕微鏡。
- 前記検出部の位置を調整する検出部移動機構をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出部で検出される前記検出光の強度が最大となるように前記検出部移動機構を制御する請求項1又は2に記載の走査プローブ顕微鏡。 - 前記制御手段は、前記対物レンズで撮像した前記スポット光の重心を前記スポット位置として検出し、前記カンチレバーの重心及び前記カンチレバーの長軸の方向を前記カンチレバーの位置として検出する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の走査プローブ顕微鏡。
- 試料の表面に近接させる探針が設けられたカンチレバーと、
前記カンチレバーを水平面に対して所定の取付角で取り付けるカンチレバー支持部と、
前記カンチレバー支持部に取り付ける前の前記カンチレバーを保持するカンチレバー供給機構と、
前記カンチレバーの位置を調整する移動機構と、
検出光を照射する光源部と、
前記カンチレバーに設けられた反射面で反射された前記検出光を検出し、前記カンチレバーの変位を検出する検出部と、
前記カンチレバーに対向して配置され、該カンチレバーの近傍を観察又は撮像する対物レンズと、を備えた走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法であって、
前記カンチレバーを前記カンチレバー支持部に取り付けないで前記カンチレバー供給機構に取り付けた状態で、前記対物レンズで撮像した前記検出光が前記試料の表面で反射されたスポット光の前記スポット位置を検出するスポット位置検出工程と、
前記対物レンズで撮像した前記カンチレバー供給機構に取り付けられた状態の前記カンチレバーの位置を検出するカンチレバー位置検出工程と、
前記スポット位置、前記カンチレバーの位置、前記検出光の入射角、及び前記取付角に基づき、前記カンチレバーを前記カンチレバー供給機構から前記カンチレバー支持部に取り付けたときに前記反射面で前記検出光が反射されるよう、前記カンチレバーの取付位置を幾何学的に算出するカンチレバー取付位置算出工程と、
前記カンチレバーが前記取付位置に来るよう、前記移動機構を制御して前記カンチレバーを前記カンチレバー支持部に取り付けるカンチレバー取付工程と、
を有する走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法。 - 前記スポット位置検出工程は、
前記スポット光の画像データを取得する画像取得工程と、
画像処理により前記スポット光の重心を前記スポット位置として取得するスポット位置取得工程と、
前記スポット位置の取得の成否を判定するスポット位置取得判定工程と、
を含む請求項5に記載の走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法。 - 前記スポット位置取得工程は、
前記画像取得工程で取得した前記画像データを前処理する前処理工程と、
前記画像データから前記スポット光の領域を判定するスポット領域判定工程と、
を含む請求項6に記載の走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法。 - 前記スポット領域判定工程は、
前記前処理した前記画像データを二値化する二値化工程と、
二値化した前記画像データのうち最大の領域の円形度を算出する円形度算出工程と、
前記円形度が閾値を超えているかを判定し、該閾値以上の場合に前記スポット光の重心として取得する円形度判定工程と、
を含む請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡の光軸調整方法。
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