JP2005132939A - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ノボラック型フェノール樹脂とハイドヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂成形材料において、電線のウレタン被膜劣化を大幅に低下させることを目的とする。
【解決手段】 ノボラック型フェノール樹脂及びヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂成形材料において、ハイドロタルサイト類を配合してなるフェノール樹脂成形材料であり、好ましくは、成形材料全体に対して、ハイドロタルサイト類0.1〜30重量%を配合してなるフェノール樹脂成形材料である。
【選択図】 なし
【解決手段】 ノボラック型フェノール樹脂及びヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂成形材料において、ハイドロタルサイト類を配合してなるフェノール樹脂成形材料であり、好ましくは、成形材料全体に対して、ハイドロタルサイト類0.1〜30重量%を配合してなるフェノール樹脂成形材料である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ハイドロタルサイト類を配合してなるフェノール樹脂成形材料に関するものである。
フェノール樹脂成形材料は、耐熱性、電気特性、機械的強度の面から重電分野、電気電子分野、自動車分野等に好適に使用されている。これらの分野では成形品周辺にウレタン被覆電線が多く使用されている。ノボラック型フェノール樹脂(以下、ノボラック樹脂という)を用いた成形材料の場合、通常、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを用いるが、これに起因するアンモニアガスがその成形体から発生し、電線のウレタン被膜を劣化させることがある。このため、アンモニアガスが発生しないレゾール型フェノール樹脂(以下、レゾール樹脂という)が一般に使用されている。しかしながら、レゾール樹脂はノボラック樹脂に比べて価格が高くコストの面で不利であるといえる。
一方、ハイドロタルサイト類を配合した成形材料として、メラミン樹脂成形材料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、ハイドロタルサイト類を配合した成形材料として、メラミン樹脂成形材料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、ノボラック樹脂を含有するフェノール樹脂成形材料において、ヘキサメチレンテトラミンに起因するアンモニアガスの発生を抑えることにより、電線のウレタン被膜を劣化させ難いフェノール樹脂成形材料を提供するものである。
このような目的は、以下の本発明(1)〜(2)により達成される。
(1) ノボラック樹脂及びヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂成形材料において、ハイドロタルサイト類を配合してなることを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
(2) 成形材料全体に対して、ハイドロタルサイト類0.1〜30重量%を配合してなる前記(1)に記載のフェノール樹脂成形材料。
(1) ノボラック樹脂及びヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂成形材料において、ハイドロタルサイト類を配合してなることを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
(2) 成形材料全体に対して、ハイドロタルサイト類0.1〜30重量%を配合してなる前記(1)に記載のフェノール樹脂成形材料。
本発明は、ノボラック樹脂及びヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂成形材料において、ハイドロタルサイト類を配合してなることを特徴とするフェノール樹脂成形材料であり、ノボラック樹脂を含むフェノール樹脂成形材料による電線のウレタン被膜劣化を大幅に低下させたものである。
本発明のフェノール樹脂成形材料において、フェノール樹脂は、ノボラック樹脂単独、またはノボラック樹脂とレゾール樹脂との併用である。硬化剤として使用するヘキサメチレンテトラミンは、ノボラック樹脂に対して通常5〜30重量%の割合で使用する。フェノール樹脂の配合割合は、ヘキサメチレンテトラミンの量を含めて、成形材料全体に対して25〜60重量%使用するのが好ましい。25重量%未満では流動性が小さくなるため成形性が低下し、60重量%を超えると基材量が少ないことによる強度低下や樹脂量が多いことによる成形不良等が発生するようになる。
本発明で用いられるハイドロタルサイト類は、一般的には、マグネシウム、アルミニウムの含水塩基性炭酸塩であり、天然物および合成物がある。また、結合水は,加熱により部分的にあるいは全部脱離する。一部マグネシウムイオンに代えて、例えば、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等、2価金属イオンのうちの1種以上が含有されていてもよく、一部アルミニウムイオンに加えて、例えば、鉄、コバルト等、3価金属の一種以上が含有されていてもよい。さらに、一部炭酸イオンに代えて、例えば、フッ素、塩素、臭素、硝酸、硫酸、フェロシアン酸、酢酸、シュウ酸等、陰イオンの1種以上が含有されていてもよい。
本発明で用いられるハイドロタルサイト類は、ウレタン被膜劣化性の低減効果に加えて、成形材料の作業性、生産性、さらには成形体の外観および物性の面から150メッシュ全通以下の粒子径のものが適している。
ハイドロタルサイト類の配合量はフェノール樹脂成形材料全体に対し0.1〜30重量%であることが好ましく、さらには、0.5〜10重量%であることがより好ましい。配合量が前記下限値未満ではウレタン被膜劣化の抑制効果が十分ではないことがあり、前記上限値を越えると成形品の外観、機械的特性あるいは耐熱性を低下させることがあり、かつコスト高なり、レゾール樹脂に対する価格的優位性が不十分となることがある。
本発明において、ハイドロタルサイト類の配合により電気的信頼性が向上する理由であるが、ノボラック樹脂の硬化剤として用いられているヘキサメチレンテトラミンは加熱により分解してアンモニアを発生する。高温下においては、特に密閉された系においてこのアンモニアは電線のウレタン被膜の劣化を促進し、この絶縁膜としての機能を破壊することがある。これらのことが実際の製品で発生すると電気的ショートによる機能不全等が発生することもある。
本発明者は、ハイドロタルサイト類がアンモニアの吸着剤として機能することを推定し、これをもとに種々実験した結果、ノボラック樹脂とヘキサメチレンテトラミンを含むフェノール樹脂成形材料にハイドロタルサイト類を配合することにより、この成形材料を用いた成形体からのアンモニアの発生が大きく抑制されることを見出した。本発明により、ヘキサメチレンテトラミンを含まないレゾール樹脂成形体と同等の低いウレタン被膜劣化性が付与されるものである。
本発明において、ノボラック樹脂、ヘキサメチレンテトラミン、ハイドロタルサイト類以外にも、成形体に必要とされる特性に応じて、粉砕布、パルプ、木粉、積層板粉砕物等の有機基材、タルク、炭酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、ガラス繊維等の無機基材、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの硬化助剤、着色剤、離型剤等を添加することができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料の製造方法は、通常の方法を適用することが出来る。即ち、上記の配合物を所定の配合で混合し、40〜90℃程度で通常のミキシングロールや二軸押出混練機で混練してもよいし、また高速回転混合機によって造粒化してもよい。本発明のフェノール樹脂成形材料を用いて成形品を得るための成形方法は、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形等のいずれにも適用でき、特に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を説明する。
表1に示す原材料を所定の配合でミキシングロールにて90℃で5分間混練し、シート状にした後粉砕して成形材料を製造した。得られた成形材料を用い、移送成形により12.7mm×42mm×1.0mmの成形品を作製し、ASTM D5642に基づくシー
ルドチューブ試験を行った。
表1に示す原材料を所定の配合でミキシングロールにて90℃で5分間混練し、シート状にした後粉砕して成形材料を製造した。得られた成形材料を用い、移送成形により12.7mm×42mm×1.0mmの成形品を作製し、ASTM D5642に基づくシー
ルドチューブ試験を行った。
(成形条件)
1.成形圧 80kgf/cm2
2.金型温度 175℃
3.硬化時間 180秒
1.成形圧 80kgf/cm2
2.金型温度 175℃
3.硬化時間 180秒
(試験条件)
1.加熱温度 50℃
2.加熱時間 336時間
3.シールドチューブ試験に供した電線 日立電線 UEW 18AWG
ASTM D5642に基づきツイストペアにして5セットをチューブに入れた。
4.チューブ内に入れた試験片の数 3枚
1.加熱温度 50℃
2.加熱時間 336時間
3.シールドチューブ試験に供した電線 日立電線 UEW 18AWG
ASTM D5642に基づきツイストペアにして5セットをチューブに入れた。
4.チューブ内に入れた試験片の数 3枚
(表の注)
1)ノボラック樹脂:秋田住友ベークライト製「A−1084」(数平均分子量900)2)レゾール樹脂:以下の製造方法により製造した。
3)ハイドロタルサイト類:協和化学 HDT−4A(150メッシュ全通)
1)ノボラック樹脂:秋田住友ベークライト製「A−1084」(数平均分子量900)2)レゾール樹脂:以下の製造方法により製造した。
3)ハイドロタルサイト類:協和化学 HDT−4A(150メッシュ全通)
<レゾール樹脂の製造方法>
フェノール(P)100kg、87%パラホルムアルデヒド(F)62kg(F/Pモル比1.70)、酢酸亜鉛0.5kgを還流コンデンサー撹拌機、加熱装置、真空脱水装置、スタティックミキサー付きレジン循環装置を備えた300リッター反応釜内に入れ、還流反応を3時間行った。この時点のフェノール反応率は92%であった。その後、脱水を行いながら115℃まで加熱し、更に115℃、真空度100Torrを1時間維持して反応を進めた後、冷却バット上に取り出し、フェノール換算での数平均分子量が700のレゾール樹脂(固形)105kgを得た。
フェノール(P)100kg、87%パラホルムアルデヒド(F)62kg(F/Pモル比1.70)、酢酸亜鉛0.5kgを還流コンデンサー撹拌機、加熱装置、真空脱水装置、スタティックミキサー付きレジン循環装置を備えた300リッター反応釜内に入れ、還流反応を3時間行った。この時点のフェノール反応率は92%であった。その後、脱水を行いながら115℃まで加熱し、更に115℃、真空度100Torrを1時間維持して反応を進めた後、冷却バット上に取り出し、フェノール換算での数平均分子量が700のレゾール樹脂(固形)105kgを得た。
(測定方法)
1.曲げ強さ・シャルピー衝撃強度:JIS K 6911による
2.遊離アンモニア量:JIS K 7230による
3.シールドチューブ試験後ツイストペアの絶縁破壊電圧:ASTM D5642による
1.曲げ強さ・シャルピー衝撃強度:JIS K 6911による
2.遊離アンモニア量:JIS K 7230による
3.シールドチューブ試験後ツイストペアの絶縁破壊電圧:ASTM D5642による
比較例1〜3はノボラック樹脂とレゾール樹脂の比率を置換することでヘキサメチレンテトラミンの使用量を変化させたものである。比較例1〜3のシールドチューブ試験後ツイストペアの絶縁破壊電圧を比較するとヘキサメチレンテトラミンの配合量が増えるに応じて成形材料からの遊離アンモニア量が増え、絶縁劣化が大きくなって行くことがわかる。
実施例1および2では、ノボラック樹脂とヘキサメチレンテトラミンを含む成形材料組成に、ハイドロタルサイト類を適正量配合したものであり、比較例1比べて機械的強度に遜色なく、成形材料中からの遊離アンモニア量を大幅に低減し、シールドチューブ試験後ツイストペアの絶縁破壊電圧を比較例3のヘキサメチレンテトラミンを含まないレゾール樹脂成形品に匹敵するほど向上していた。
実施例1および2では、ノボラック樹脂とヘキサメチレンテトラミンを含む成形材料組成に、ハイドロタルサイト類を適正量配合したものであり、比較例1比べて機械的強度に遜色なく、成形材料中からの遊離アンモニア量を大幅に低減し、シールドチューブ試験後ツイストペアの絶縁破壊電圧を比較例3のヘキサメチレンテトラミンを含まないレゾール樹脂成形品に匹敵するほど向上していた。
本発明は、ノボラック樹脂及びヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂成形材料にハイドロタルサイト類を配合してなるフェノール樹脂成形材料であり、ノボラック樹脂を含むフェノール樹脂成形材料により電線のウレタン被膜劣化を大幅に低下させたものである。本発明のフェノール樹脂成形材料は、重電分野、電気電子分野、自動車分野等の用途に好適に用いられる。
Claims (2)
- ノボラック型フェノール樹脂及びヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂成形材料において、ハイドロタルサイト類を配合してなることを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
- 成形材料全体に対して、ハイドロタルサイト類0.1〜30重量%を配合してなる請求項1に記載のフェノール樹脂成形材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003369879A JP2005132939A (ja) | 2003-10-30 | 2003-10-30 | フェノール樹脂成形材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005132939A true JP2005132939A (ja) | 2005-05-26 |
Family
ID=34647052
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003369879A Pending JP2005132939A (ja) | 2003-10-30 | 2003-10-30 | フェノール樹脂成形材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005132939A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104744883A (zh) * | 2015-04-08 | 2015-07-01 | 浙江嘉民塑胶有限公司 | 纳米改性阻燃酚醛模塑料及其制备方法 |
CN104744882A (zh) * | 2015-04-08 | 2015-07-01 | 浙江大学 | 纳米改性阻燃酚醛注塑料及其制备方法 |
JP2017500397A (ja) * | 2013-12-09 | 2017-01-05 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | アンモニアおよび/または尿素接触向けのフルオロエラストマー構成要素 |
-
2003
- 2003-10-30 JP JP2003369879A patent/JP2005132939A/ja active Pending
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US10294344B2 (en) | 2013-12-09 | 2019-05-21 | 3M Innovative Properties Company | Fluoroelastomer component for contacting ammonia and/or urea |
CN104744883A (zh) * | 2015-04-08 | 2015-07-01 | 浙江嘉民塑胶有限公司 | 纳米改性阻燃酚醛模塑料及其制备方法 |
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