JP2005132728A - メチルトリフルオロメチル安息香酸誘導体の製造方法 - Google Patents

メチルトリフルオロメチル安息香酸誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 工業的に入手の容易なビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体、またはビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類を出発原料として、医・農薬の中間原料として有用なメチルトリフルオロメチルベンズアミドおよびメチルトリフルオロメチルベンゾニトリルを効率良く合成する。
【解決手段】 ビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体またはビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類を塩基および遷移金属触媒の存在下、水素ガスと反応させ、メチルトリフルオロメチル安息香酸を得る。続いて、この化合物にハロゲン化剤を作用させ、メチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物を得る。続いて、この化合物にアンモニアもしくはアンモニウム塩を作用させメチルトリフルオロメチルベンズアミドを得る。続いてこの化合物に脱水剤を作用させ、メチルトリフルオロメチルベンゾニトリルを得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、医薬・農薬の中間体として有用なメチルトリフルオロメチル安息香酸誘導体、詳しくはメチルトリフルオロメチル安息香酸アミドおよびメチルトリフルオロメチルベンゾニトリルの製造方法に関する。
芳香環上にメチル基とトリフルオロメチル基とを有するメチルトリフルオロメチルベンゾニトリルは、種々の公知の方法を適用することで合成することができる。例えば、特許文献1には、2−トリクロロメチルベンゾニトリルを三フッ化アンチモンでフッ素化することで2−トリフルオロメチルベンゾニトリルが得られ、また4−トリフルオロメチルアニリンジアゾニウム塩をK[Cu(CN)]と加熱すると、4−トリフルオロメチルベンゾニトリルが得られると記載されている。そして、これと同様の手法を、芳香環上にさらにアルキル基を有する原料化合物に適用すれば、アルキルトリフルオロメチルベンゾニトリルが合成できることが示唆されている。
また特許文献2によれば、2−ヨード−4−トリフルオロメチルトルエンをマグネシウムを用いてグリニヤール試薬へと変換し、二酸化炭素と反応させると2−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸が得られる。一方、非特許文献1には4−トリフルオロメチル−2−ブチン酸と2−メチル−1,3−ブタジエンとをディールス−アルダー反応により1−カルボキシ−2−トリフルオロメチル−4−メチル−1,4−シクロヘキサジエン及び1−カルボキシ−2−トリフルオロメチル−5−メチル−1,4−シクロヘキサジエンとの混合物に変換し、次いで臭素化、芳香族化して2−トリフルオロメチル−4−メチル安息香酸と2−トリフルオロメチル−5−メチル安息香酸との混合物を得る方法が開示されている。さらに、非特許文献2には、一般の安息香酸誘導体のオルト位を、特定の塩基の共存下、二級ブチルリチウムを用いてリチオ化した後に、よう化メチルを用いてメチル化し、メチルトリフルオロメチル安息香酸を合成する方法が開示されているが、この中で2−メチル−3−トリフルオロメチル安息香酸の場合には収率が0%であったことが明らかにされている。
これらの方法でメチルトリフルオロメチル安息香酸を合成した後、この化合物のカルボキシル基をニトリル基に変換すればメチルトリフルオロメチルベンゾニトリルを得ることができる。
一方で、芳香環にトリフルオロメチル基が2個ついている化合物において、片方のトリフルオロメチル基を水素化してメチル基とする方法に関しては、本出願人が特許文献3および特許文献4において、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン類の水素化によるトリフルオロメチルトルエン類の製造法を提示している。
特開2001−294560号公報 仏国特許1,522,956号明細書 特開昭63−28035号公報 特開平1−193233号公報 J.Fluorine.Chem.,42,P.105(1989) J.Chem.Soc.,Perkin.Trans.1,P.1265(1995)
本発明は、容易に入手可能なビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体、またはビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類を出発原料として、医・農薬の中間原料として有用なメチルトリフルオロメチルベンゾニトリルを効率良く得る手段を提供する。
特許文献1に記載の方法では、原料が高価である上に、有害なアンチモンを使用したり、低温でのみ安定なジアゾニウム塩を使用するなど、大量の取扱いには問題がある。
一方、特許文献2に記載の方法では、大量での取り扱いが困難なグリニヤール試薬を用いており、工業的な規模で実施する上では問題がある。非特許文献1に記載の方法は工程数が多い上に、生成物の位置選択性が制御できず、特定の化合物の収率、純度が十分に確保できないという問題がある。また、非特許文献2の方法では、大量の取扱いが困難なアルキルリチウムを使用している上に、該文献に記載のように、目的とするメチルトリフルオロメチル安息香酸を得られなかったり、収率が低い場合があり、工業的に適した方法とは言い難い。
一方、特許文献3及び特許文献4に記載された方法によって製造できるトリフルオロメチルトルエンの芳香環に対し、カルボキシル基(−COOH)を導入すれば、メチルトリフルオロメチル安息香酸を得られ、続いてこのカルボキシル基をニトリル基(−CN)に変換すれば、メチルトリフルオロメチルベンゾニトリルを得られると考えられる。しかし芳香環にカルボキシル基を導入するためには多数の工程を要し、大量生産を行うためには多大な労力を要する。
このように、メチルトリフルオロメチルベンゾニトリルを工業的に製造する方法は未だ確立しているとは言い難く、より効率的な手段が求められていた。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた。その結果、メチル(トリフルルオロメチル)安息香酸を経由させる新規な方法によって、上記課題が解決することを見いだした。
すなわち本発明者らは、入手の容易な化合物である、一般式[1a]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体
(式中、LはORで表される基(ここでRは水素原子または、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、またはフェニル基を表す)、ハロゲン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子の何れかを表す)、またはN(R)(R)で表されるアミノ基(RとRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、またはフェニル基を表す。RとRはお互いがつながって環構造を形成していてもよい)の何れかを表す。)
または、一般式[1b]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類
(式中、aは1,2,3の何れかを表し、Ma+は、+a価に帯電した金属カチオンまたはオニウムイオンを表す)
を塩基および遷移金属触媒の存在下、水素ガスと反応させると、非常に効率よく一方のトリフルオロメチル基がメチル基に変換され、一般式[2]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸
が得られることを見いだした(この工程を「第1工程」と呼ぶ)。そして、この特徴ある方法で製造できるメチルトリフルオロメチル安息香酸をハロゲン化剤でハロゲン化すると、一般式[3]に表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物
(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)
が得られ(この工程を「第2工程」と呼ぶ)、次いでこのメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物にアンモニアもしくはアンモニウム塩を作用させると、一般式[4]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸アミド
を得ることができる(この工程を「第3工程」と呼ぶ)ことを見出した。
第3工程で得られたメチルトリフルオロメチル安息香酸アミドをさらに脱水工程(この工程を「第4工程」と呼ぶ)に付すと、目的とする、一般式[5]で表されるメチルトリフルオロメチルベンゾニトリル
が効率よく得られることも見いだした。
この発明において用いる原料はいずれも工業的な入手が容易であり、しかも各段階とも穏和な条件で操作上の負担も少なく実施できるため、目的とするメチルトリフルオロメチルベンゾニトリルを合成する上で、従来の手段よりもはるかに有利である。
本発明者らはさらに、特徴ある反応である、第1工程の反応(選択的水素化)が、水及び水溶性有機溶媒からなる混合溶媒中で好ましく進行し、この際、添加する水または水溶性有機溶媒が一定量以上であると、選択性を維持したまま反応変換率が顕著に向上するという、工業的に重要な知見を見いだし、本発明の完成に到達した。
すなわち本発明は、一般式[1a]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸誘導体または、一般式[1b]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類を、塩基および遷移金属触媒の存在下、水素ガスと反応させて一般式[2]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸もしくはその塩を合成し(第1工程)、第1工程で得られたメチルトリフルオロメチル安息香酸またはその塩にハロゲン化剤を作用させて、一般式[3]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物を合成し(第2工程)、第2工程で得られたメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物に、アンモニアもしくはアンモニウム塩を作用させて、一般式[4]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸アミドを合成する(第3工程)ことを特徴とする、メチルトリフルオロメチル安息香酸アミドの製造方法を提供する。また前記メチルトリフルオロメチル安息香酸アミドをさらに脱水工程(第4工程)に付すことを特徴とする、一般式[5]で表されるメチルトリフルオロメチルベンゾニトリルの製造方法を提供する。本発明に係る反応スキームを以下にまとめる。
次に本発明について、さらに詳細に説明する。本発明の第1工程の出発化合物である一般式[1a]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体とは、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、そのエステル類、酸ハロゲン化物、酸アミド類のことである。これらは何れも公知の手段に基づいて容易に製造することができる。
このうち、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸は、特開2000−169419号公報に開示されたように、ビス(トリフルオロメチル)ハロゲノベンゼンを特定のパラジウム錯化合物とホスフィン類からなる触媒と塩基の存在下、一酸化炭素と水を作用させることによって合成できる。またビス(トリフルオロメチル)安息香酸エステルは、やはり特開2000−169419号公報に記載された方法にしたがってビス(トリフルオロメチル)ハロゲノベンゼンを特定のパラジウム錯化合物とホスフィン類からなる触媒と塩基の存在下、一酸化炭素とアルコール類を作用させることによって合成できる。この際、アルコール(ROH)のRとしてはアルキル基だけでなくシクロアルキル基であってもよい。また、アルコールに代えてフェノールを用いれば、対応するフェニルエステルを得ることができる。
ビス(トリフルオロメチル)安息香酸ハロゲン化物は、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸に、塩化チオニル(SOCl)等のハロゲン化剤を作用させることで得ることができる。また、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸アミド類は、特開2000−191612号公報に記載された通り、ビス(トリフルオロメチル)ハロゲノベンゼンを特定のパラジウム錯化合物とホスフィン類からなる触媒と塩基の存在下、一酸化炭素とアンモニア、1級アミンもしくは2級アミンを作用させることによって合成できる。
さらに、一般式[6]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩は、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸を、それと当量の塩基と反応させれば得ることができる。
一般式[5]で表される化合物の官能基(CO)Lを以下に例示するが、これに限定されるものではない。
一般式[1b]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩におけるMa+で表される対陽イオンは、+a価に帯電した金属カチオンまたはオニウムイオンであれば制限はない。金属カチオンとしては、Na、K、Li+、Mg2+、Ca2+、Al3+などが挙げられる。 オニウムイオンとしてはアンモニウムイオン(例えばNH 、N(Me) 、N(Et) 、N(Ph) )(ここでMeはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を表す)、ピリミジウムイオンなどの含窒素オニウムイオンの他に、以下に示す含リンオニウムイオン、含イオウオニウムイオンなどが挙げられる。
一般式[4]、または一般式[5]に表される目的化合物のうち、その有用性の顕著なことから、3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸アミドまたは3−メチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルは特に好ましい例である。この化合物は、式[6a]で表される3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体
(式中、Lは前記に同じ)、
または、一般式[6b]で表される3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類
(式中、a、Ma+は前記に同じ)
を原料として用い、これを第1工程〜第4工程の反応に付することによって合成できる。
まず、第1工程について説明する。第1工程は、一般式[1a]または一般式[1b]に表される化合物を、塩基および遷移金属触媒の存在下で、水素ガスとの反応に付すことによって、一般式[2]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸を得る工程である。当反応は、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体もしくはその塩を、塩基と遷移金属触媒の共存下で水素ガスと接触させ、加熱することによりなる。ここで、原料化合物がカルボン酸である場合(すなわち一般式[1a]において、官能基(CO)Lがカルボキシル基である場合)には、この基は不変のまま、当化合物に属する2つのトリフルオロメチル基のうち一方が選択的に水素化を受けてメチル基に変換され、一般式[2]で表される目的化合物が効率よく得られる。また、一般式[1a]の化合物がそれ以外のカルボン酸誘導体である場合、および、原料が一般式[1b]で表されるカルボン酸塩である場合には、それぞれの持つ官能基(−(CO)L、または−COO)は何れもカルボキシル基に変換され、なおかつ、2つのトリフルオロメチル基のうち一方のみがメチル基に選択的に変換され、結果として一般式[2]の目的物が効率よく得られる。
本反応に使用できる、一般式[1a]または[1b]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体またはビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩が、(CO)L基または(CO)O基に対して対称型の化合物、すなわち3,5−ビス(トリフルオロメチル)誘導体、および1,6−ビス(トリフルオロメチル)誘導体である場合には、第1工程の反応によって得られる目的物は単一である。つまり3,5−ビス(トリフルオロメチル)誘導体からは3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸が、2,6−ビス(トリフルオロメチル)誘導体からは2−メチル−6−トリフルオロメチル安息香酸が得られる。
これに対して、非対称の化合物を原料とする場合には、メチル基に変換されるトリフルオロメチル基の位置によって、それぞれ2通りの生成物(異性体)が得られる。例えば2,4−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸を原料とした場合には、2−メチル−4−トリフルオロメチル安息香酸と4−メチル−2−トリフルオロメチル安息香酸が得られる。また2,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸を原料とした場合には第1工程によって2−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸と5−メチル−2−トリフルオロメチル安息香酸が得られる。これら異性体の生成比は、基質や反応条件によって異なる。このような非対称の系において、単一のメチル(トルフルオロメチル)安息香酸を製造する場合には、反応終了後に異性体の分離を行う必要があり、その際にはカラムクロマトグラフィー、再結晶、晶析等の手段が有効である。
一方、対称系の原料を出発化合物とする場合には、異性体が存在しないため、このような異性体分離の操作は必要ない。
第1工程の反応には塩基の共存が必須である。塩基としてはアルカリ金属水酸化物(NaOH、KOH、LiOHなど)、アルカリ土類金属水酸化物(Ca(OH)、Mg(OH)など)、これらの炭酸塩(KCO、NaCO、LiCO、CaCOなど)、酢酸塩(酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、酸化物(酸化カルシウム、酸化マグネシウムなど)、アンモニアおよびアミン類(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジンなど)、ナトリウムメトキシドなど、汎用の塩基を使用すればよい。塩基の必要量は、式[1a]または式[1b]で表される原料化合物1当量あたり、3当量以上が好ましく、4当量以上であることがさらに好ましい。塩基が3当量に満たないと、反応変換率が低くなるため、好ましくない。塩基の量に上限はないが、原料化合物1当量あたり、20当量を超えても反応性に有意な向上が見られず、経済的に不利であるから好ましくない。
当反応には遷移金属触媒が必要である。ここで使用できる遷移金属触媒とは、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウムまたはニッケル、またはこれら金属を主成分とする合金を担体に担持させたものをいう。この中でパラジウムが触媒活性が高いため特に好ましい。複数種類の金属を同時に使用してもよい。担体としては活性炭、シリカ、アルミナが使用でき、活性炭が好ましい。担持方法は特に限定されないが、上記金属の金属化合物の溶液に担体を浸漬したり、溶液を担体に噴霧した後、乾燥させ、おおむね150℃〜350℃に加熱しながら水素ガスで還元処理することによって得られる。得られた触媒はそのまま使用しても良いが、適当量の水と混合した「水を含有する触媒(wet品)」として使用すると、取扱いやすく好ましい。
本発明の方法において担体に担持させる遷移金属の量(金属原子に換算した量)の合計値は特に制限はないが、担体100gに対し0.1g〜10gが好ましく、0.2g〜5gが特に好ましい。0.1gに満たないと反応速度が遅くなり、10gを超えると経済的に好ましくない。このようにして調製した遷移金属触媒を、一般式[1a]または[1b]に表される原料化合物に対し1〜30重量%(水分を除いた重量)用いることが好ましく、5〜20重量%(水分を除いた重量)用いることがさらに好ましい。なお、これらの遷移金属触媒は固相触媒であるから、反応に使用した後、ろ過等の操作によって分離し、再利用することもできる。
本反応に必要な水素(H)の理論量は、一般式[1a]に表される原料化合物1モル(一般式[1b]で表される原料化合物にあっては1/aモル)に対して3モルである。しかし実際には、反応器内に常圧または加圧で水素ガスを送り込んで反応させ、原料が十分に消費され目的物に変換されるか、水素ガスがもはや吸収されなくなった時点をもって反応工程を終了すればよい。反応器内に一時に過剰の水素ガスを送り込み、加圧したとしても、本発明の方法を行う限り、水素化の過反応により両方のトリフルオロメチル基が水素化したり、カルボキシル基が還元を受けたりすることはないか、わずかに抑えられる。
当反応は、水および水溶性有機溶媒からなる混合溶媒中で特に円滑に実施できるので、これらの混合溶媒中で行うことが好ましい。ここで水溶性有機溶媒とは、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、エチレングリコールなど)、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルカーボネート、トリエチルアミンなどを挙げることができる。これらの中ではアルコール類は化学的に特に安定で取扱いやすいために好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールは特に安価であり、沸点も適度で取り扱いやすいため、特に好ましい。一方、水溶性の有機溶媒の中で、酸性を有する液体(酢酸、プロピオン酸など)は、上述の塩基と中和反応を起こすので好ましくない。
ここで本発明者らは、該反応を行う場合において、水または水溶性有機溶媒を、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体またはビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類、および塩基を完全に溶解させ、均一な系にするのに十分な量用いると、選択性を維持したまま反応速度が顕著に向上し、限られた時間内に、より高い収率をもって目的化合物が合成できることを見いだした。
一般に塩基化合物は親水性が強く、水への溶解性が相対的に高い。一方、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体およびその塩類は親油性が相対的に高く、水への溶解性が低い。この結果、塩基化合物とビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体またはその塩類を混ぜ合わせても、均一な系とはならない。本発明者らは、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体またはビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類を塩基の存在下、遷移金属触媒と水素を作用させる反応の速度は、反応物をお互いに混和させることで増大できると考えた。そこで、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体またはビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類と塩基の共存する系に対して、水と水溶性有機溶媒を添加したところ、十分な量これらの溶媒を加えると、これら双方が溶解してお互いに混和するようになることを知った。そしてこの状態で該反応に付したところ、反応速度に著しい増大が観測され、目的物の収率向上が実現することを見いだした。
具体的にどれだけの水および水溶性有機溶媒を加えた場合に系が均一になるかは、原料化合物の種類(一般式[1a]または[1b]の化合物の何れであるか)、用いる塩基の種類、反応温度にも依存する。しかしながら、一般式[1a]または[1b]の原料化合物1gに対する水の量が0.5g以上であり、かつ水溶性有機溶媒の量が0.1g以上である場合に、反応基質の混和性は良好になり、反応速度の増大と目的物の収率増大がもたらされることが分かった。原料化合物1gに対し、水が1g以上、かつ水溶性有機溶媒が0.15g以上であると反応速度の増大はさらに顕著であり、さらに好ましい。
以上の知見を総合すると、一般式[1a]または[1b]で表される原料化合物1gに対して水を1g以上、メタノールを0.15g以上添加して反応を行うことは、第1工程の特に好ましい態様である。
具体的な操作手順に特に制限はないが、例えば次の手順で実施することができる。加圧条件に耐えられるステンレス性のオートクレーブ中に塩基水溶液を投入する。次いでビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体もしくはその塩類を投入する。続いて所定量の遷移金属触媒とアルコールを加え、容器を密閉し、容器内の撹拌を開始する。水素ガスのボンベに接続して加圧し、加熱する。その後は、系内が所定の圧力に維持される様、水素ガスを連続的もしくは断続的に供給すればよい。反応中は適宜、サンプリングを行って、薄相クロマトグラフィー、NMR、ガスクロマトグラフィー等の分析法で反応の進行状況を測定しながら反応を実施することが好ましい。そして原料が十分に目的物に変換されたか、水素ガスがもはや吸収されなくなるまで反応を続ける。反応温度は40〜200℃が好ましく、80〜150℃が特に好ましい。系内における水素の圧力は常圧(0.1MPa)でもよいが、加圧条件の方が反応速度が高いので好ましい。具体的には0.5〜5.0MPaが好ましく、0.8〜1.5MPaが特に好ましい。
このように得られた反応混合物から、一般式[2]で表される目的化合物を単離する方法は特に限定されないが、塩酸等を添加して酸性にし、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンなど、汎用の有機溶媒に抽出した後、溶媒留去を行うなどの手段が有効である。反応混合物中に含まれる主な不純物は、原料に由来するビス(トリフルオロメチル)安息香酸、過剰反応生成物であるジメチル安息香酸である。これらは有機溶媒による洗浄、再結晶、カラム精製など、有機合成の汎用の精製手段で取り除き、目的物の純度を高めることができる。しかし、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸やジメチル安息香酸が混在した状態で、以下に述べる第2工程に付することもできる。第2工程の結果生成するメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物は、蒸留によって容易に精製できるから、メチルトリフルオロメチル安息香酸は敢えて再結晶、カラム精製等を行わず、第2工程に利用する方が簡便である。
次に第2工程につき、説明する。第2工程は、一般式[2]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸をハロゲン化剤によってハロゲン化し、一般式[3]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物を生成する工程である。
この第2工程はメチルトリフルオロメチル安息香酸を溶媒の存在下もしくは無溶媒下でハロゲン化剤と接触させ、加熱することにより達せられる。ハロゲン化剤に特別な制限はないが、塩化チオニル(SOCl)、塩化スルフリル(SOCl)、ホスゲン(COCl)、塩化オキザリル{(COCl)}、塩化ホスホリル(POCl)、三塩化リン(PCl)、五塩化リン(PCl)、ジクロロトリフェニルホスホラン{(CPCl}、ジブロモトリフェニルホスホラン{(CPBr}、フッ化シアヌルなど、汎用のハロゲン化剤を用いることができる。これらの中では塩化チオニル、塩化ホスホリル、塩化オキザリルは特に安価であり、反応性も高いので、これらの試薬を用いて塩素化することが特に好ましい。反応変換率を上げるためには、これらのハロゲン化剤は小過剰量、具体的にはメチルトリフルオロメチル安息香酸1モルに対し0.8〜10モル用いることが好ましく、1〜5モル用いることが特に好ましい。
反応は撹拌しながら実施することが好ましい。溶媒はハロゲン化の条件下で不活性なものならば特に制限なく用いることができ、例えばベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などを好適に使用できる。ハロゲン化剤として塩化チオニルのような液体を用いる場合にはこの塩素化剤が溶媒の役割も兼ねるため、敢えて溶媒を使用しなくてもよい。反応温度にも特別な制限はないが、25〜200℃の範囲が好ましく、50〜120℃がより好ましい。塩化チオニルを用いる場合には反応と共に二酸化硫黄が、塩化オキザリルを用いる場合には一酸化炭素が発生するので、大きな規模で実施する時は副生ガスの処理に注意を要する。
この第2工程で得られた反応混合物を蒸留等の手段で精製すれば、一般式[3]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物を単離することができる。第2工程で得た反応混合物は精製をせず、次工程の原料として使用することもできるが、メチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物を精製単離しておくと、次工程以降での不純物処理の負担が著しく低減されるので、この時点で蒸留精製しておくことが好ましい。
次に第3工程について説明する。第3工程は、第2工程で得られたメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物を一般式[4]で表されるメチルトリフルオロメチルベンズアミドに変換する工程であり、メチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物に液体アンモニア、アンモニア水もしくはアンモニウム塩(炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウムなど)を混合することで達せられる。アンモニアまたはアンモニウム塩はメチルトリフルオロメチル安息香酸ハライド1モルに対し1〜8モル用いることが好ましく、1〜4モル用いることが特に好ましい。また反応中は撹拌を行うと円滑に実施できる。
液体アンモニアを使用する場合は25℃以下で行うことが好ましい。溶媒は必ずしも使用しなくてよい。メチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物と液体アンモニアは連続的もしくは逐次的に混合した方が、反応を制御しやすく、好ましい。
一方、アンモニア水もしくはアンモニウム塩を使用する場合は、−20〜+200℃で行うことが好ましく、0〜150℃がより好ましい。原料のメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物は液体であるため、溶媒は必ずしも使用しなくてもよい。溶媒を用いる場合、その種類に特別な制限はないが、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフランなど、適度な極性を有しアンモニウム塩を溶解しやすい溶媒が好適に使用できる。
第3工程の反応が終了した後、反応液をろ過し、ろ別した固体を乾燥するか、あるいは反応液を適当な有機溶媒で抽出した後にその溶媒を留去することによって、メチルトリフルオロメチルベンズアミドを主成分とする固体が得られる。
次に第4工程につき説明する。第4工程は、第3工程で得られた、一般式[4]で表されるメチルトリフルオロメチルベンズアミドに脱水剤を作用させて、一般式[5]で表されるメチルトリフルオロメチルベンゾニトリルを合成する工程である。
本工程は、一般式[4]で表される化合物と脱水剤を混合し、加熱することにより達せられる。脱水剤としては五酸化二リン、三塩化リン、五塩化リン、塩化ホスホリル、塩化チオニル、無水酢酸など、汎用の脱水剤を使用できる。これらの脱水剤は、一般式[4]で表される化合物1モルあたり、0.5〜5モル用いることが好ましく、0.5〜2モル用いることが特に好ましい。この際、撹拌を行うと穏和に実施できる。
温度に特別な制限はないが、60〜200℃が好ましく、80〜150℃が特に好ましい。常圧下、ハロゲン化剤もしくは溶媒の還流温度で実施すると特に簡便である。
第4工程の反応が終了した後、反応混合物をNaOHなどのアルカリで中和し、溶媒を留去した後、精密蒸留することによって、目的とする式[5]で表されるメチルトリフルオロメチルベンゾニトリルを単離することができる。
なお、第2〜第4工程の何れにおいても、反応中は適宜サンプリングを行って、NMR、薄相クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどの分析手段で反応進行状況を追跡し、原料が十分に消費された時点で反応工程を終了することが好ましい。
次に、実施例をもって本発明を明示するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
[実施例1]3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の合成
100mlの電磁撹拌式オートクレーブに3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸13g(0.05mol)、水酸化カリウム14g(0.25mol)、水42gおよび5%パラジウム担持カーボン粉末(50%wet品)(活性炭100gあたり金属重量換算で5gのパラジウムが担持されたものを、これと同重量の水と混合した触媒をいう。以下の実施例でも同じ)1.3gを秤取り、系内を密閉した(当実施例では水溶性有機溶媒を添加しなかった)。次いで系内に水素ガスを導入して加圧した。反応温度を110℃に制御し、全圧を1Mpaに保つように水素を連続的に供給しながら撹拌した。7時間後に反応を止め、触媒を濾過により除去し、反応液を塩酸で処理した後、ジエチルエーテルで抽出した。その後溶媒を留去して11.3gの有機物の固体を得た。この有機物の組成をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、目的物3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の組成は15%、原料の3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸の組成は82%、3,5−ジメチル安息香酸の組成は3%であった。(変換率18%、選択率83%)。
この実施例1では水溶性有機溶媒が添加されていない。反応の選択性は良好であるが、反応速度が遅く、原料が未反応のまま多量に残存していることが認められる。
[実施例2]3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の合成
100mlの電磁撹拌式オートクレーブに3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸13g(0.05mol)、水酸化カリウム8.4g(0.15mol)、水34g、メタノール0.08gおよび5%パラジウム担持カーボン粉末(50%wet品)1.3gを秤取り、系内を密閉した。次いで系内に水素ガスを導入して加圧した。反応温度を110℃に制御し、全圧を1Mpaに保つように水素を連続的に供給しながら撹拌した。5時間後に反応を止め、触媒を濾過により除去し、反応液を塩酸で処理した後、ジエチルエーテルで抽出した。その後溶媒を留去して9.5gの有機物の固体を得た。得られた有機物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の組成は29%、原料の3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸の組成は68%、3,5−ジメチル安息香酸の組成は3%であった(変換率32%、選択率91%)。
この実施例2では水溶性有機溶媒としてメタノールを添加しているが、その量は相対的に少ない。目的物の選択性は良好であるが、やはり反応は遅く、工程終了後にも原料が多量に残存していた。
[実施例3]3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の合成
1Lの機械撹拌式オートクレーブに3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸200g(0.78mol)、水酸化カリウム218g (3.89mol)、水520g、メタノール58gおよび5%パラジウム担持カーボン粉末(50%wet品)20gを秤取り、系内を密閉した。次いで系内に水素ガスを導入して加圧した。。反応温度を120℃に制御し、全圧を1Mpaに保つように水素を漸次供給しながら撹拌した。10時間後に反応を止め、触媒を濾過により除去し、反応液を塩酸で処理した後、ジエチルエーテルで抽出した。その後溶媒を留去して151gの有機物の固体を得た。得られた有機物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、目的物3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の組成は80%、原料の3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸の組成は18%、3,5−ジメチル安息香酸の組成は2%であった(変換率82%、選択率98%)。
この実施例3では反応基質が混和するに十分な水およびメタノールが添加されている。この結果として、実施例3では実施例1、実施例2に比較して反応速度が増大し、反応変換率が著しく増大していることが認められる。
[実施例4]3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の合成
1Lの機械撹拌式オートクレーブに3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド213g (0.77mol)、水酸化カリウム261g (4.65mol)、水520g、メタノール 58gおよび5%パラジウム担持カーボン粉末(50%wet品)20gを秤取り、系内を密閉した。次いで系内に水素ガスを導入して加圧した。反応温度を120℃に制御し、全圧を1Mpaに保つように水素を漸次供給しながら撹拌した。9時間後に反応を止め、触媒を濾過により除去し、反応液を塩酸で処理した後、ジエチルエーテルで抽出した。その後溶媒を留去して161gの有機物の固体を得た。得られた有機物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、目的物3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の組成は79%、原料の3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸の組成は18%、3,5−ジメチル安息香酸の組成は3%であった(変換率82%、選択率96%)。
[実施例5]3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の合成
1Lの機械撹拌式オートクレーブに3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸カリウム214g (0.72mol)、水酸化カリウム182g (3.25mol)、水600g、メタノール 58gおよび5%パラジウム担持カーボン粉末(50%wet品)20gを秤取り、系内を密閉した。次いで系内に水素ガスを導入して加圧した。反応温度を120℃に制御し、全圧を1Mpaに保つように水素を漸次供給しながら撹拌した。8.5時間後に反応を止め、触媒を濾過により除去し、反応液を塩酸で処理した後、ジエチルエーテルで抽出した。その後溶媒を留去して135gの有機物の固体を得た。得られた有機物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸の組成は77%であったのに対し原料の3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸の組成は20%、3,5−ジメチル安息香酸の組成は3%であった(変換率80%、選択率96%)。
[実施例6]3−メチル−5−トリフルオロメチルベンゾイルクロリドの合成
3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸134g(純度81%、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸4%、3,5−ジメチル安息香酸15%含有。約0.66mol)を塩化チオニル148g(1.24mol)に溶解し、79℃で6時間撹拌した。過剰の塩化チオニルを留去した後、蒸留を行った結果、3−メチル−5−トリフルオロメチルベンゾイルクロリド 118g(純度90%、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド2%、3,5−ジメチルベンゾイルクロリド8%含有。約0.53mol。収率約81%)を得た。
[実施例7]3−メチル−5−トリフルオロメチルベンズアミドの合成
炭酸アンモニウム89g(0.92mol)を水450mlに溶解してから10℃まで冷却し、その中へ3−メチル−5−トリフルオロメチルベンゾイルクロリド110g(純度85%、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸クロリド2%、3,5−ジメチル安息香酸クロリド12%含有。約0.49mol)を添加した後、室温で1時間撹拌した。反応液をジイソプロピルエーテルで抽出した後にジイソプロピルエーテルを留去した結果、3−メチル−5−トリフルオロメチルベンズアミド94g(純度85%、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド3%、3,5−ジメチルベンズアミド12%含有。約0.46mol。収率約94%)を得た。
[実施例8]3−メチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの合成
3−メチル−5−トリフルオロメチルベンズアミド94g(純度85%、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド3%、3,5−ジメチルベンズアミド12%含有。約0.46mol)と塩化ホスホリル108g(0.70mol)をトルエン100mlに溶解し、110℃で5時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、トルエンを留去し精密蒸留を行った結果、3−メチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリル(純度99%)を66g(0.36mol)得た(収率約77%)。

Claims (6)

  1. 次の3工程によりなる、一般式[4]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸アミド
    の製造方法。
    第1工程:一般式[1a]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体
    (式中、LはORで表される基(ここでRは水素原子または、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、またはフェニル基を表す)、ハロゲン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子の何れかを表す)、またはN(R)(R)で表されるアミノ基(RとRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、またはフェニル基を表す。RとRはお互いがつながって環構造を形成していてもよい)の何れかを表す。)、もしくは、一般式[1b]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類
    (式中、aは1,2,3の何れかを表し、Ma+は、+a価に帯電した金属カチオンまたはオニウムイオンを表す)
    を塩基および遷移金属触媒の存在下、水素ガスと反応させて、一般式[2]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸
    もしくはその塩を合成する工程。
    第2工程:第1工程で得られたメチルトリフルオロメチル安息香酸またはその塩にハロゲン化剤を作用させて、一般式[3]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物
    (式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)
    を合成する工程。
    第3工程:第2工程で得られたメチルトリフルオロメチル安息香酸ハロゲン化物に、アンモニアもしくはアンモニウム塩を作用させて、一般式[4]で表されるメチルトリフルオロメチル安息香酸アミドを合成する工程。
  2. 請求項1の方法で得られたメチルトリフルオロメチル安息香酸アミドを、脱水工程(第4工程)に付すことを特徴とする、一般式[5]で表されるメチルトリフルオロメチルベンゾニトリル
    の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2において、メチルトリフルオロメチル安息香酸を得る反応(第1工程)を、水及び水溶性有機溶媒からなる混合溶媒中で行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 請求項3において、水溶性有機溶媒がアルコール類であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 一般式[1a]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体が、一般式[6a]で表される3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体
    (式中、Lの意味は、一般式[1a]と同じ。)
    であり、一般式[1b]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類が、一般式[6b]で表される3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類
    (式中、a、Ma+の意味は、一般式[1b]と同じ。)
    であることを特徴とする、請求項1、請求項3または請求項4に記載の、3−メチル−5−トリフルオロメチル安息香酸アミドの製造方法。
  6. 一般式[1a]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体が、一般式[6a]で表される3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸誘導体
    (式中、Lの意味は、一般式[1a]と同じ。)
    であり、一般式[1b]で表されるビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類が、一般式[6b]で表される3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸塩類
    (式中、a、Ma+の意味は、一般式[1b]と同じ。)
    であることを特徴とする、請求項2乃至請求項4の何れかに記載の、3−メチル−5−トリフルオロメチルベンゾニトリルの製造方法。
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