以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明の金型監視システム、装置及び方法はいかなる種類の成形機にも適用することができるものであるが、ここでは射出成形機に適用した場合について説明する。
図2は本発明の実施の形態における成形機の概略図、図3は本発明の実施の形態における成形機に適用した金型監視システムの機器構成を示すブロック図である。
図2において、10は成形機としての射出成形機である。そして、17はフレーム、11は該フレーム17に固定された固定金型支持装置としての固定プラテン、15は該固定プラテン11との間に所定の距離を置いて、前記フレーム17に対して移動可能に配設されたベースプレートとしてのトグルサポートである。該トグルサポート15はトグル式型締装置支持装置として機能する。また、16は前記固定プラテン11とトグルサポート15との間に架設された複数、例えば、4本のガイド手段としてのタイバーである。
そして、14は前記固定プラテン11と対向して配設され、前記タイバー16に沿って前進又は後退(図2における右方向又は左方向に移動)可能に配設された可動金型支持装置としての可動プラテンである。また、前記射出成形機10は固定金型12及び可動金型13から成る金型装置を有する。そして、前記固定プラテン11における可動プラテン14と対向する金型取り付け面には、前記固定金型12が取り付けられ、前記可動プラテン14における前記固定プラテン11と対向する金型取り付け面には前記可動金型13が取り付けられる。なお、前記可動プラテン14の後端 (図2における左端) には、図3に示されるエジェクタ装置のエジェクタピン44を移動させるための駆動装置を取り付けるようにしてもよい。
そして、前記可動プラテン14とトグルサポート15との間には、射出成形機10のトグル式型締装置としてのトグル機構20が取り付けられ、前記トグルサポート15の後端(図2における左端)には、前記トグル機構20を作動させる型締用駆動源としての型締モータ26が配設される。そして、該型締モータ26は、回転運動を往復運動に変換するボールねじ機構等から成る図示されない運動方向変換装置を備え、駆動軸25を前進又は後退(図2における右方向又は左方向に移動)させることによって、トグル機構20を作動させることができる。
ここで、該トグル機構20は、前記駆動軸25に取り付けられたクロスヘッド24、該クロスヘッド24に揺動可能に取り付けられた第2トグルレバー23、前記トグルサポート15に揺動可能に取り付けられた第1トグルレバー21、及び、前記可動プラテン14に揺動可能に取り付けられたトグルアーム22から成る。そして、前記第1トグルレバー21と第2トグルレバー23との間、及び、第1トグルレバー21とトグルアーム22との間が、それぞれ、リンク結合される。なお、前記トグル機構20は、いわゆる、内巻き五節点ダブルトグル機構であり、上下が対称の構成を有する。
そして、前記型締モータ26が駆動して、被駆動部材としてのクロスヘッド24を前進又は後退(図2における右方向又は左方向に移動)させることによって、トグル機構20を作動させることができる。これにより、可動金型13が固定金型12に対して移動し、型閉、型締及び型開が行われる。すなわち、前記クロスヘッド24を前進させると、可動プラテン14及び可動金型13が前進させられ、型閉及び型締が行われる。また、前記クロスヘッド24を後退させると、可動プラテン14及び可動金型13が後退させられ、型開が行われる。なお、前記型締モータ26による推進力にトグル倍率を乗じた型締力が発生させられ、該型締力によって型締が行われる。
また、前記トグルサポート15には、図示されないタイバー挿通孔(こう)が複数、例えば、4つ形成され、前記タイバー16の図2における左端が、それぞれの前記タイバー挿通孔に挿入される。なお、前記タイバー16の右端は、固定ナット16aによって前記固定プラテン11に固定されている。そして、前記タイバー16は、図2における左端の外周にねじが形成されたねじ部16bを有し、調整ナット27がそれぞれのタイバー16のねじ部16bに螺(ら)合される。なお、前記調整ナット27は、トグルサポート15の後端に回転可能に、かつ、タイバー16の軸方向に移動不能に取り付けられる。
また、図3において、30は射出成形機10の射出装置であり、先端 (図3における左端) に射出ノズル32を備える加熱シリンダ31を有する。さらに、該加熱シリンダ31には、樹脂ペレット等の原料樹脂を加熱シリンダ31内に投入するための原料ホッパ34が取り付けられている。また、前記加熱シリンダ31内には、スクリュが回転可能に、かつ、進退可能に配設されている。そして、前記加熱シリンダ31の後方 (図3における右方) には、前記スクリュを加熱シリンダ31内で回転させるとともに前進又は後退(図3における左方向又は右方向に移動)させるための射出駆動装置33が配設されている。
そして、計量工程においては、前記射出駆動装置33が駆動してスクリュを回転させて樹脂をスクリュの前方に溜(た)めることによって、該スクリュが所定の位置まで後退する。このとき、原料ホッパ34から供給された原料樹脂は、加熱シリンダ31内において加熱され、溶融させられて前記スクリュの前方(図3における左方)に溜められた樹脂の圧力によって、スクリュは後退させられる。
続いて、射出工程においては、加熱シリンダ31の先端の射出ノズル32が固定プラテン11のノズル挿入孔11a内に挿入されて固定金型12に押し付けられる。そして、射出駆動装置33が駆動してスクリュが前進させられる。なお、射出工程の前に型閉が行われ、固定金型12の金型面に可動金型13の金型面が当接した状態になっている。そのため、固定金型12のキャビティ12aと可動金型13のキャビティ13aとによって成形品45の形状に対応する形状のキャビティ空間が形成される。この状態において、前記スクリュが前進することによって、該スクリュの前方に溜められた樹脂は、射出ノズル32から射出され、固定金型12内に形成されたスプルー12bや図示されないランナを通って前記キャビティ空間内に充填される。
そして、型締が行われた後、前記キャビティ空間内の樹脂がある程度冷却して固化され、成形品45が成形されると、可動プラテン14及び可動金型13が後退させられ、型開が行われる。なお、前記可動プラテン14は、成形品45を可動金型13の金型面から突き出す、すなわち、エジェクトするために、射出成形機10の付属装置としてのエジェクタ装置を備える。そして、1ショットの成形工程において、金型装置が型開されると、成形品45は可動金型13の金型面のキャビティ13aに付着しているので、前記エジェクタ装置が作動して、射出成形機10の付属装置としてのエジェクタピン44をキャビティ13aの面から突出させて、該面に付着している成形品45をエジェクトして離型させるようになっている。なお、前記キャビティ12a及びキャビティ13aは、それぞれ、単数であってもよいし、複数であってもよい。複数の場合には、1ショットの成形工程で複数の成形品45を成形することができる。
本実施の形態においては、撮像装置41が取り付けブラケット41aを介して前記固定プラテン11の上部に取り付けられ、可動金型13のキャビティ13aを含む金型面の画像を取得するようになっている。なお、前記撮像装置41は、固定金型12の上方から可動金型13の金型面の画像を取得することができる位置に配設されていれば、いかなる部材に取り付けられていてもよく、固定金型12の上部に取り付けられていてもよい。そして、前記撮像装置41は、望ましくは防水処理が施された筐(きょう)体を有し、該筐体は、レンズ、及び、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子又は撮像管等を備えている。なお、前記撮像装置41は、静止画像又は動画像を取得することができるものであれば、いかなる種類のものであってもよく、例えば、工業用カメラ、監視カメラ等であってもよい。そして、前記撮像装置41は、可動金型13の金型面の少なくともキャビティ13aを含む範囲を撮像範囲、すなわち、視野範囲とするように配設され、型開が行われた状態における可動金型13の金型面の画像を取得するようになっている。
また、前記撮像装置41の近傍には、図3に示されるように、照明ユニット42が配設されている。該照明ユニット42は、ランプフォルダに取り付けられたハロゲンランプ、LED(Light Emitting Diode)等の光源を備え、図示されない固定ブラケットを介して固定プラテン11の上部、固定金型12の上部等に固定され、該固定金型12の上方から可動金型13の金型面を照射するようになっている。
さらに、成形品45を自動的に取り出すために射出成形機10の付属装置としての取り出し機86が配設されている。該取り出し機86は、例えば、ロボットハンド装置であり、アーム86bの先端に取り付けられた把持装置86aを備え、可動金型13の金型面のキャビティ13aから離型した成形品45を把持装置86aによって把持して、取り出すようになっている。また、前記アーム86bの先端近傍には、射出成形機10の付属装置としての図示されないエアブロー装置からの圧搾空気を噴出してエアブローを行うエアブローノズル87が取り付けられている。
そして、射出成形機10のフレーム17に隣接して、金型監視装置のコントロールユニット43が配設されている。該コントロールユニット43は、制御装置としてのコントロール部40、表示部66及び入力部68を有する。ここで、前記コントロール部40は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備える一種のコンピュータであり、金型監視装置、取り出し機86及びエアブロー装置の動作を制御する。また、前記表示部66は、CRT、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ等を備え、前記コントロール部40が出力する出力信号、画像信号等に基づいて表示を行う。なお、前記表示部66はカラー表示が可能なものであることが望ましい。さらに、前記入力部68は、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチパネル等を備え、オペレータが操作して、各種の指令、データ等を入力する。そして、前記コントロール部40は、前記撮像装置41が取得した画像、すなわち、判別対象画像の画像処理を行い、記憶手段にあらかじめ格納され登録された基準画像と比較して、前記判別対象画像が正常か否かを判別することができる。
また、前記射出成形機10は、CPU、MPU等の演算手段、RAMやROMのような半導体メモリ、ハードディスクのような磁気ディスク等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備える図示されない制御装置を有する。そして、該制御装置は、一種のコンピュータであり、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチパネル等を備える成形機入力部47及びCRT、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ等を備える成形機表示部48を有し、前記射出成形機10の動作を制御する。なお、前記制御装置は、独立して構成されたものであってもよいし、前記コントロール部40のような他の制御装置等と一体的に構成されたものであってもよい。例えば、前記コントロール部40は、射出成形機10の制御装置に構築された複数のシステムの中の1つであってもよい。
さらに、前記取り出し機86及びエアブロー装置は、CPU、MPU等の演算手段、RAMやROMのような半導体メモリ、ハードディスクのような磁気ディスク等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備える図示されない制御装置を有する。そして、該制御装置は、一種のコンピュータであり、前記取り出し機86及びエアブロー装置の動作を制御する。なお、前記制御装置は、独立して構成されたものであってもよいし、前記コントロール部40や射出成形機10の制御装置のような他の制御装置等と一体的に構成されたものであってもよい。ところで、前記取り出し機86は、本来、型開が完了してエジェクタピン44が突出するタイミング信号に合わせて作動し、例えば、成形品45に付属するスプルー部を把持装置86aによって把持して、成形品45を取り出すものであり、あらかじめ設定された所定の動作を行うようになっている。しかし、本実施の形態においては、一時的に任意の位置にエアブローノズル87を移動させて圧搾空気を噴出させることができるように、取り出し機86及びエアブロー装置の動作は、前記コントロール部40によって制御される。
本実施の形態において、前記撮像装置41は、金型装置が型開されたことを示す信号を射出成形機10の制御装置等から取得して、金型装置が型開された時点における可動金型13の金型面を撮像する。前記金型装置が型開された時点において、成形品45は可動金型13の金型面のキャビティ13aに付着しており、また、前記可動金型13の金型面の少なくともキャビティ13aを含む範囲が前記撮像装置41の視野範囲となっているので、成形された成形品45の画像が前記撮像装置41によって取得される。
ここで、前記コントロール部40は、前記撮像装置41が取得した成形品45の画像を判別対象画像として画像処理を行い、記憶手段にあらかじめ格納され登録された成形品45の基準画像と比較し、例えば、成形品良否判別を行う場合、成形された成形品45にバリやショートが発生しているか否かを判別することができる。そして、成形工程において、溶融樹脂が漏れ出してバリが発生していたり、溶融樹脂が不足してショートが発生していたりすれば不良品、そうでなければ、良品であると判別する。また、例えば、成形品45に付属するスプルー部の傾きを画像処理によって数値化し成形品45の反り具合を判別して、成形品良否判別を行ってもよい。この場合、スプルー部の傾きが所定値以上であれば、反り具合が大きいので不良品、そうでなければ、良品であると判別する。
そして、不良品であると判別した場合、前記コントロール部40は表示部66に、不良品である旨を表示する。なお、コントロール部40がスピーカ等の音声出力手段を備える場合には、警告音を発生するようにしてもよい。また、前記コントロール部40の不良品であるとの判別結果を取り出し機86の制御装置に送信し、該制御装置が取り出し機86を作動させて、不良品と判別された成形品45を除去させるようにすることもできる。
さらに、前記コントロール部40は、成形品45が固定金型12又は可動金型13に残留していないことを確認するための成形品残留判別を行うことができる。この場合、前記コントロール部40は、前記金型装置が型開された時点において前記撮像装置41が取得した可動金型13における金型面の画像を判別対象画像として画像処理を行い、可動金型13のすべてのキャビティ13aに成形品45が付着しているか否かを判別する。そして、いずれかのキャビティ13aに成形品45が付着していない場合、該成形品45が固定金型12に残留していると判別する。また、前記コントロール部40は、前記エジェクタ装置が作動した直後の時点において前記撮像装置41が取得した可動金型13における金型面の画像を判別対象画像として画像処理を行い、すべてのキャビティ13aから成形品45がエジェクトされているか否かを判別する。そして、いずれかのキャビティ13aから成形品45がエジェクトされていない場合、成形品45が可動金型13に残留していると判別する。
成形品45が固定金型12又は可動金型13に残留している場合、次のショットの成形を行うと、前記成形品45が破損したり不良品が発生したりするだけでなく、金型装置が破損してしまう恐れがある。そこで、成形品45が固定金型12又は可動金型13に残留していると判別した場合、前記コントロール部40は表示部66に、成形品45が残留している旨を表示する。なお、コントロール部40がスピーカ等の音声出力手段を備える場合には、警告音を発生するようにしてもよい。また、前記コントロール部40の成形品45が残留しているとの判別結果を射出成形機10の制御装置に送信し、該制御装置に射出成形機10の動作を停止させるようにすることもできる。
本実施の形態においては、夜間等に射出成形機10を無人運転させる場合のように、オペレータが射出成形機10から離れている場合であっても、オペレータが金型装置を監視することができるように、コントロール部40は、後述される通信部69を備え、後述されるネットワーク85を介して、オペレータが所持する端末装置としての携帯端末装置75に電子メールや撮像装置41が取得した画像を送信するようになっている。前記携帯端末装置75は、CPU、MPU等の演算装置、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶装置、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、CRT等の表示装置としての表示部76、スピーカ等の音声出力手段、キーボード、ジョイスティック、十字キー、押しボタン、リモートコントローラ、タッチパネル等の入力装置としての操作部77、及び、通信インターフェイス、アンテナ等の通信装置としての後述される通信部78を備える。前記携帯端末装置75は、例えば、携帯電話機であるが、PHS(Personal Handy−Phone System)電話機、携帯情報端末、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、デジタルテレビ、車両用ナビゲーション装置等いかなるものであってもよい。また、携帯端末装置75以外に設置型の端末装置であってもよい。
そして、前記コントロール部40は、成形品良否判別を行って不良品であると判別した場合、又は、成形品残留判別を行って成形品45が固定金型12若しくは可動金型13に残留していると判別した場合、電子メールや金型面の画像を携帯端末装置75に送信する。なお、前記画像は、判別対象画像、基準画像等であり、電子メールの添付ファイルとして送信することができる。すると、前記携帯端末装置75は、着信音を発生したり、着信表示を表示部76に表示したりして、コントロール部40から判別対象画像を受信した旨をオペレータに通知するとともに、受信した電子メールの本文及び金型面の画像を表示部76に表示する。そのため、オペレータは、表示された電子メールの本文及び金型面の画像を視認することによって、成形異常の有無を容易に把握することができ、迅速に適切な措置を行うことができる。例えば、成形異常があることを把握した場合、オペレータは速やかに射出成形機10のところに出向き、成形異常の原因を究明して、該原因を除去することができる。また、前記コントロール部40は、成形品残留判別を行って成形品45が固定金型12若しくは可動金型13に残留していると判別した場合、又は、その他の異常を判別した場合、その判別位置によって、射出成形機10又は該射出成形機10の付属装置(エジェクタ、取り出し機等)を作動させて、異常の原因を除去する。そして、例えば、成形異常がないことを把握した場合、操作部77を操作して、動作再開指令を携帯端末装置75からコントロール部40に送信し、該コントロール部40から動作再開指令を射出成形機10の制御装置に送信させ、該制御装置に射出成形機10の動作を再開させるようにすることもできる。
次に、本実施の形態におけるコントロール部40の構成を詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における金型監視装置のコントロール部及び携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態において、コントロール部40は、機能の観点から図1に示されるように、各種のデータを記憶する記憶部50、各種の処理を実行する演算部60、並びに、射出成形機10の制御装置及び取り出し機86の制御装置等と信号の遣(や)り取りを行う外部信号入出力部62を有する。さらに、前記コントロール部40には、画像、文字等の各種の情報を表示する表示部66、可動金型13における金型面の画像等の画像を取得する画像入力部67、及び、判別に必要な設定値等の各種の設定情報等を取得する入力部68が接続されている。なお、前記撮像装置41は画像入力部67に対応する。
そして、前記記憶部50は、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段に対応し、画像入力部67によって入力された画像を格納する入力画像データベース51、及び、入力部68によって入力された設定情報を格納する設定情報データベース54を有する。さらに、前記入力画像データベース51は、撮像装置41が取得した画像であり、デジタル化されて複数の画素から構成されるデジタル画像を格納する。そして、前記入力画像データベース51は、あらかじめ撮像装置41によって取得された基準画像を格納する基準画像データベース52、及び、撮像装置41によって取得された判別対象画像等の画像を格納する撮像画像データベース53を備える。
また、前記設定情報データベース54は、判別のためのパラメータとして事前に設定されることが必要な各種の設定値を格納する。そして、前記設定情報データベース54は、感度に関する設定情報を格納する感度データベース56、監視範囲に関する設定情報を格納する監視範囲データベース57、判別サイズに関する設定情報を格納する判別サイズデータベース58、及び、各種プログラムを格納するシステムプログラムデータベース61を備える。ここで、前記感度データベース56は後述される異常単位判別用閾(しきい)値の値を格納し、判別サイズデータベース58は後述される異常単位閾値の値を格納する。また、監視範囲データベース57は、矩(く)形として設定された1つ以上の監視範囲を格納する。
そして、前記演算部60は、CPU、MPU等の演算手段に対応し、前記システムプログラムデータベース61に格納された各種プログラムに従って動作を行う。この場合、前記演算部60は、撮像装置41によって取得された判別対象画像を基準画像と比較して判別処理を実行し、前記判別対象画像に異常があるか否かを判別する。
また、前記外部信号入出力部62は、射出成形機10と各種信号の入出力を行う成形機入出力部63、取り出し機86と各種信号の入出力を行う取り出し機入出力部80、及び、エアブロー装置と各種信号の入出力を行うエアブロー装置入出力部83を有する。そして、前記成形機入出力部63は、射出成形機10の各部に配設されたセンサから型開動作が完了したこと、エジェクタピン44の突出動作が完了したこと等を示すタイミング信号が入力されるタイミング信号入力部64、及び、射出成形機10の各部のモータ等の駆動源に対して、型閉動作が開始可能であること、エジェクタピン44の突出動作が可能であること等を示すタイミング信号を出力するタイミング信号出力部65を備える。また、前記取り出し機入出力部80は、取り出し機86の動作目標値を出力する動作目標値出力部81、及び、取り出し機86に割り込み動作を行わせる信号を出力する割り込み動作出力部82を備える。
さらに、前記コントロール部40は、携帯端末装置75と通信を行うために、通信インターフェイス、アンテナ等の通信装置としての通信部69を有する。ここで、前記コントロール部40と携帯端末装置75とはネットワーク85を介して相互に通信可能に接続される。なお、該ネットワーク85は、有線又は無線の公衆通信回線網、専用通信回線網、携帯電話回線網、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、衛星通信回線網等いかなる通信回線網であってもよく、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。また、放送衛星によるCS放送やBS放送を利用して通信してもよく、地上波デジタルテレビ放送を利用して通信してもよく、FM多重放送を利用して通信してもよい。なお、前記携帯端末装置75は、表示部76、操作部77及び通信部78を備える。
次に、前記構成の金型監視装置の動作について説明する。まず、金型監視装置の一次監視及び二次監視の動作の流れについて説明する。
図4は本発明の実施の形態におけるタイミング信号を示すタイムチャート、図5は本発明の実施の形態における可動金型の金型面であり成形品が付着している状態を示す図、図6は本発明の実施の形態における可動金型の金型面であり成形品を離型させた状態を示す図である。
図4(a)に示されるように、射出成形機10の1ショットの成形工程において、成形品45が成形されると、可動プラテン14及び可動金型13が後退させられ、型開が行われる。そして、前記可動金型13が最も後退した位置で停止すると、射出成形機10のセンサから型開動作が完了して型が開ききった時点αで、図4(e)に示されるように、型が開ききった状態となったことを示すタイミング信号である型開限信号がオンになって、タイミング信号入力部64に入力される。すると、図4(c)に示されるように、一次監視信号がオンになって出力され、金型の一次監視が開始され、撮像装置41が、図5に示されるような可動金型13のキャビティ13aを含む金型面の画像を取得する。この場合、該可動金型13のキャビティ13aには、図5に示されるように、成形品45が付着している。なお、図5において45aは、固定金型12内に形成されたスプルー12bやランナに対応する部分としてのスプルー部であり、この場合、4つの成形品45を一体的に連結している。また、13bはガイドピンが挿入される孔である。
そして、取得された前記画像は、判別対象画像として撮像画像データベース53に格納され、演算部60は、前記判別対象画像を基準画像データベース52に格納されている基準画像と比較する判別処理を実行し、判別対象画像に異常があるか否か、すなわち、画像異常の有無を判別する。なお、一次監視においては、成形品45が正常に可動金型13に存在することを確認することで、固定金型12への成形品45の残留や、ショートショット等の成形品検査が行われる。
また、前記型開限信号がオンになると、取り出し機86が作動し、教示等の操作によってあらかじめ設定された所定の位置にまでアーム86bの先端に取り付けられた把持装置86aを移動させる。これにより、該把持装置86aは、型が開ききった状態となった可動金型13の金型面と固定金型12の金型面との間に進入し、可動金型13のキャビティ13aに付着している成形品45の近傍にまで移動する。
続いて、前記一次監視において画像異常がないと判別された場合、一次監視が完了した時点βで、図4(g)に示されるように、エジェクタピン44の突出動作が可能であること示すタイミング信号である突出可信号がオンになって、タイミング信号出力部65から射出成形機10の制御装置に出力される。これにより、エジェクタ装置が作動して、図4(b)に示されるように、エジェクタピン44をキャビティ13aの面から突出させ、該面に付着している成形品45をエジェクトして離型させる。
そして、前記エジェクタピン44が突出するのに合わせて、把持装置86aはエジェクトされた成形品45に付属するスプルー部45aを把持する。これにより、把持装置86aは4つの成形品45を把持した状態となる。続いて、前記取り出し機86が作動し、前記成形品45を把持した状態の把持装置86aを可動金型13の金型面と固定金型12の金型面との間から外部に退出させ、教示等の操作によってあらかじめ設定された所定の位置にまで移動させる。そして、把持装置86aは、図示されない成形品45の収容装置の上部に到達すると、成形品45の把持を解除する。これにより、成形品45は前記収容装置内に収容される。
続いて、突出可信号がオフになった時点γで、エジェクタ装置が作動してエジェクタピン44が元に戻ると、すなわち、エジェクタピン44をキャビティ13aの面から突出していない状態に戻ると、図4(f)に示されるように、射出成形機10のセンサからエジェクタピン44の突出動作が完了したことを示すタイミング信号である突出完了信号がオンになって、タイミング信号入力部64に入力される。すると、図4(d)に示されるように、二次監視信号がオンになって出力され、金型の二次監視が行われ、撮像装置41が、図6に示されるような可動金型13のキャビティ13aを含む金型面の画像を取得する。この場合、前記可動金型13のキャビティ13aには、図6に示されるように、何も付着していない。なお、図6において、13cはエジェクタピン44が突出する孔である。
そして、取得された前記画像は、判別対象画像として撮像画像データベース53に格納され、演算部60は、前記判別対象画像を基準画像データベース52に格納されている基準画像と比較する判別処理を実行し、判別対象画像に異常があるか否か、すなわち、画像異常の有無を判別する。なお、二次監視においては、成形品45が正常に可動金型13から取り除かれたことを確認する。
続いて、前記二次監視において画像異常がないと判別された場合、二次監視が完了した時点δで、図4(h)に示されるように、型閉が可能であること示すタイミング信号である型閉スタート可信号がオンになって、タイミング信号出力部65から射出成形機10の制御装置に出力される。これにより、トグル機構20が作動して可動プラテン14及び可動金型13を前進させて型閉が行われる。そして、次のショットの成形工程が行われる。なお、前記一次監視において、画像異常があると判別された場合、突出可信号又は型閉スタート可信号は出力されず、射出成形機10の動作が停止させられる。また、前記二次監視において、画像異常があると判別された場合の動作については後述する。
次に、判別対象画像に異常があるか否かを判別するための基本的な動作について説明する。ここでは、説明の都合上、一次監視における型開動作が完了した時点での判別対象画像について説明する。
ここで、撮像装置41が取得する画像は、デジタル化されて複数の画素から構成されるデジタル画像となっている。例えば、横長の画像の場合、モノクロテレビの標準的なデジタル画像と同様に、横が640の画素、縦が480の画素に分割され、307200の画素から構成される。すなわち、画素数が307200である。この場合、演算部60は、判別対象画像全体を監視範囲として設定し、該監視範囲に含まれる画素の特性値を、基準画像の監視範囲に含まれる画素の特性値と比較する。なお、演算部60は、判別対象画像における所定の範囲、例えば、図5において枠Aで示される範囲を監視範囲として設定することもできるが、本実施の形態においては、判別対象画像全体を監視範囲として設定する場合について説明する。また、画素の特性値は、いかなる種類のものであってもよいが、ここでは明るさを示す輝度を特性値として使用する場合について説明する。
この場合、判別対象画像の監視範囲における各画素には、横方向(x方向)に1〜640の番地が付与され、縦方向(y方向)に1〜480の番地が付与されるようになっている。なお、各画素の輝度は、黒を0、白を255として、256段階で表示される。
そして、演算部60は、各画素を観察単位とし、判別対象画像における観察単位の輝度と、基準画像における対応する観察単位の輝度との差が異常単位判別用閾値以上である場合、前記判別対象画像における観察単位を異常単位と判別する。ここで、前記異常単位判別用閾値はあらかじめ設定されている。なお、隣接する複数の画素をまとめて、複数の画素から成る観察単位を構成し、判別対象画像における前記観察単位の輝度を基準画像における対応する観察単位の輝度との差が異常単位判別用閾値以上である場合、前記判別対象画像における観察単位を異常単位と判別するようにしてもよい。
続いて、前記演算部60は、監視範囲全体における異常単位の数があらかじめ設定された異常単位閾値以上であると、判別対象画像に異常がある、すなわち、画像異常ありと判別する。また、監視範囲全体における異常単位の数があらかじめ設定された異常単位閾値を超えない場合には、判別対象画像に異常がない、すなわち、画像異常なしと判別する。なお、前記異常単位判別用閾値及び異常単位閾値の値は、あらかじめオペレータによって入力部68から入力され、感度データベース56及び判別サイズデータベース58にそれぞれ格納されている。
次に、判別処理について詳細に説明する。ここでは、二次監視における型開動作が完了した時点での判別対象画像について判別処理を行う場合について説明する。
図7は本発明の実施の形態における携帯端末装置の表示部に表示された画面を示す図、図8は本発明の実施の形態における可動金型の金型面の判別対象画像の異常を判別する動作を示すフローチャートである。なお、図7(a)は電子メールの本文が表示された画面、図7(b)は判別対象画像が表示された画面、図7(c)は判別結果が描き込まれた基準画像が表示された画面である。
まず、一次監視において画像異常がないと判別された場合、エジェクタ装置が作動して、エジェクタピン44をキャビティ13aの面から突出させ、該面に付着している成形品45をエジェクトして離型させる。そして、該成形品45は、取り出し機86によって取り出されて収容装置内に収容される。
続いて、突出可信号がオフになった時点γで、エジェクタ装置が作動してエジェクタピン44がキャビティ13aの面から突出していない状態に戻ると、射出成形機10のセンサからエジェクタピン44の突出動作が完了したことを示すタイミング信号である突出完了信号がオンになって、タイミング信号入力部64に入力される。すると、二次監視信号がオンになって出力され、金型の二次監視が行われ、撮像装置41が可動金型13のキャビティ13aを含む金型面の画像を取得する。
そして、取得された前記画像は、判別対象画像として撮像画像データベース53に格納され、演算部60は、前記判別対象画像を基準画像データベース52に格納されている基準画像と比較する。
ここで、演算部60は、輝度差による判別を行い、前記判別対象画像の各観察単位の輝度を、基準画像における対応する観察単位の輝度と比較する。そして、判別対象画像における観察単位の輝度と、基準画像における対応する観察単位の輝度との差が異常単位判別用閾値以上である場合、前記判別対象画像における観察単位を異常単位と判別する。そして、前記演算部60は、監視範囲全体における異常単位の数があらかじめ設定された異常単位閾値以上であると、判別対象画像に異常がある、すなわち、画像異常ありと判別する。また、監視範囲全体における異常単位の数があらかじめ設定された異常単位閾値未満である場合には、判別対象画像に異常がない、すなわち、画像異常なしと判別する。なお、前記異常単位判別用閾値及び異常単位閾値の値は、あらかじめオペレータによって入力部68から入力され、感度データベース56及び判別サイズデータベース58にそれぞれ格納されている。また、前記監視範囲もあらかじめオペレータによって入力部68から入力され、監視範囲データベース57に格納されているが、ここでは、可動金型13の金型面全体が監視範囲として設定されているものとする。
そして、前記演算部60が画像異常なしと判別した場合、すなわち、正常判別の場合、型閉スタート可信号がオンになって、タイミング信号出力部65から射出成形機10の制御装置に出力され、判別処理が終了する。これにより、トグル機構20が作動して可動プラテン14及び可動金型13を前進させて型閉が行われる。そして、次のショットの成形工程が行われる。
一方、前記演算部60が画像異常ありと判別した場合、すなわち、正常判別でない場合、外乱による一時的な影響によることもあり得るので、所定の再判別制限回数内で判別処理が繰り返し実行される。なお、射出成形機10の動作は、停止した状態にロックされ、型開された状態が維持される。この場合、前記演算部60は、判別処理の回数が前記再判別制限回数未満であるか否かを判断する。なお、前記再判別制限回数は、あらかじめ設定されている。そして、判別処理の回数が前記再判別制限回数未満である場合、再判別処理回数を1だけ増加させる、すなわち、1だけインクリメントさせる。なお、前記再判別処理回数は、画像異常ありと判別された場合に繰り返し実行される判別処理の回数であり、初期値として0が設定されている。
そして、前記演算部60は、最初の判別対象画像における異常単位の重心の位置を求め、取り出し機86を動作させて前記重心の近傍にまでエアブローノズル87を移動させるようになっている。この場合、前記演算部60は、二次元画像である判別対象画像上における可動金型13の金型面の四隅の位置を指定し、該四隅に囲まれている前記重心の内点としての比を算出し、あらかじめ記憶された前記四隅に対応する取り出し機目標位置を使用して、前記重心に対応する取り出し機目標位置を算出する。そして、動作目標値出力部81が前記取り出し機目標位置を取り出し機86の動作目標値として出力し、該取り出し機86の制御装置に送信する。続いて、割り込み動作出力部82が割り込み動作を行わせる信号としての割り込み動作出力信号をオンにして出力する。これにより、取り出し機86が作動して、アーム86bの先端近傍に取り付けられたエアブローノズル87が前記取り出し機目標位置にまで移動する。
続いて、エアブロー装置入出力部83がエアブロー装置出力信号をオンにして出力する。これにより、エアブロー装置が作動して、前記エアブローノズル87から圧搾空気が噴出し、エアブローが行われる。そして、前記圧搾空気が前記重心の近傍に位置すると考えられる成形品45に衝突して吹き飛ばす。続いて、エジェクタピン44の再突出動作が可能であること示すタイミング信号である再突出可信号がオンになって、タイミング信号出力部65から射出成形機10の制御装置に出力される。これにより、エジェクタ装置が再び作動して、エジェクタピン44をキャビティ13aの面から再び突出させる。なお、エジェクタピン44は、キャビティ13a内に存在することが通常であるため、異常単位がキャビティ13aに存在しない場合は、エジェクタピン44を突出させないことも可能である。
続いて、前記再突出可信号、エアブロー装置出力信号及び割り込み動作出力信号がいずれもオフにされる。これにより、エジェクタピン44がキャビティ13aの面から突出していない状態に戻り、エアブローノズル87からの圧搾空気の噴出が停止し、取り出し機86が作動して、アーム86bの先端近傍に取り付けられたエアブローノズル87が可動金型13の金型面と固定金型12の金型面との間から外部に退出する。そして、前記取り出し機86の可動金型13の金型面と固定金型12の金型面との間からの退出が完了し、突出完了信号がオンになって、タイミング信号入力部64に入力されると、二次監視信号が再びオンになって出力され、金型の二次監視が再び行われ、撮像装置41が可動金型13のキャビティ13aを含む金型面の画像を取得する。これにより、再び判別処理が行われる。
そして、繰り返し行われる判別処理の回数が前記再判別制限回数以上となる前に、演算部60が画像異常なしと判別した場合には、型閉スタート可信号がオンになって、タイミング信号出力部65から射出成形機10の制御装置に出力され、判別処理が終了する。これにより、射出成形機10の停止した状態でのロックが解除され、トグル機構20が作動して可動プラテン14及び可動金型13を前進させて型閉が行われる。そして、次のショットの成形工程が行われる。
一方、判別処理の回数が前記再判別制限回数になっても異常と判別される場合、コントロール部40からネットワーク85を介してオペレータが所持する携帯端末装置75に異常通知が送信される。ここで、該異常通知は、電子メールとして送信され、判別対象画像等の画像が添付ファイルとして前記電子メールに添付されるようになっている。そして、通信部69から送信された前記異常通知が携帯端末装置75の通信部78によって受信されると、図7(a)に示されるような電子メールの本文が表示された画面が表示部76に表示される。前記電子メールの本文には、射出成形機10を特定するための射出成形機番号95、携帯端末装置75からコントロール部40に動作指令を送信する際に必要な識別番号96、携帯端末装置75からコントロール部40に送信する動作指令を選択するための指令番号88、及び、表示部76に表示させる判別対象画像を選択するための画像番号89が含まれる。
なお、携帯端末装置75からコントロール部40に送信する動作指令も電子メールとして送信されるようになっている。この場合、該電子メールには前記識別番号96及び指令番号88が含まれる必要があり、前記コントロール部40は、前記識別番号96によって受信した電子メールが正当な動作指令であることを認識して、指令番号88に従った動作を行う。なお、前記識別番号96は、コントロール部40が携帯端末装置75に異常通知を送信する際に、コントロール部40によってランダムに採番される。
ここで、オペレータが操作部77を操作して画像番号89のうちの画像1を選択すると、図7(b)に示されるような判別対象画像が表示部76に表示される。図7(b)に示される例においては、可動金型13のキャビティ13aに成形品45の残留部91が付着していることが示されている。また、オペレータが操作部77を操作して画像番号89のうちの画像2を選択すると、図7(c)に示されるような基準画像が表示部76に表示される。図7(c)に示される例においては、基準画像の上に異常単位の集合92、異常単位の重心93、及び、マス目としてのグリッド94が重ねて表示されている。前記オペレータは、図7(c)に示される画像から、既にエアブローが行われた位置を把握することができ、エアブロー指令を送信する場合には、前記グリッド94によって目標位置のX座標及びY座標を特定することができる。
そして、オペレータは、前記画像1及び2を視認して、成形異常の有無を把握して必要な措置を判断して、携帯端末装置75からコントロール部40に動作指令を送信する。ここで、成形品45が可動金型13のキャビティ13aに付着していると判断した場合には、例えば、エジェクタ再突出指令を選択し、指令番号88として1番を含む電子メールをコントロール部40に送信する。また、成形品45の残留部91が可動金型13のキャビティ13aに付着していると判断した場合には、例えば、エアブロー指令を選択し、指令番号88として2番を含む電子メールをコントロール部40に送信する。この場合、目標位置のX座標及びY座標を指令することができる。なお、必要に応じてエジェクタ再突出指令とエアブロー指令の両方を選択することもでき、指令番号88として3番を含む電子メールをコントロール部40に送信する。これにより、判別された異常単位と実際の異常箇所がずれていても適切にエアブロー位置を修正することが可能である。
また、成形異常が発生していない、すなわち、演算部60による画像異常ありとの判別は誤りであると判断した場合には、誤判別であるとして、指令番号88として4番を含む電子メールをコントロール部40に送信する。この場合、該コントロール部40は、タイミング信号出力部65から型閉スタート可信号をオンにして、射出成形機10の制御装置に出力させる。これにより、射出成形機10の成形動作が再開され、トグル機構20が作動して可動プラテン14及び可動金型13を前進させて型閉が行われる。そして、次のショットの成形工程が行われる。さらに、エジェクタピン44を再突出させたり、エアブローを行っても解決することができない成形異常であると判断した場合には、ロック保持指令を選択し、指令番号88として5番を含む電子メールをコントロール部40に送信する。これにより、射出成形機10の停止した状態でのロックが保持される。また、成形技術者ではなく成形にあまり詳しくない作業者でも異常判別が付くようなメッセージを金型監視装置、成形機の表示部に表示させる場合には、作業指示表示をさせるために、指令番号6番を含む電子メールをコントロール部40に送信する。この場合、金型監視装置、成形機の表示部に作業指示が表示される。例えば、指令番号6番を選択すると、作業指示の一覧表が表示され、a.固定金型12に成形品が付着していれば、それを除去して成形機を再スタートさせる。b.可動金型13に成形品が付着していれば、それを除去して成形機を再スタートさせる等のa.b.等を選択する。また、一覧にないメッセージを発信したい場合は、携帯端末装置75からメッセージを入力して発信する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 エジェクタピン44の突出完了信号がオンにする。
ステップS2 判別対象画像を取得する。
ステップS3 判別処理を実行する。
ステップS4 画像異常なし、すなわち、正常判別か否かを判断する。正常判別の場合はステップS5に進み、正常判別でない場合はステップS6に進む。
ステップS5 型閉スタート可信号をオンにし、判別処理を終了する。
ステップS6 判別処理の回数が再判別制限回数未満であるか否かを判断する。再判別制限回数未満である場合はステップS7に進み、再判別制限回数未満でない場合はステップS14に進む。
ステップS7 再判別処理回数を1だけ増加させる。
ステップS8 取り出し機目標位置を算出し、該取り出し機86の動作目標値を出力する。
ステップS9 割り込み動作出力信号をオンにして出力する。
ステップS10 エアブロー装置出力信号をオンにして出力する。
ステップS11 再突出可信号をオンにする。
ステップS12 再突出可信号、エアブロー装置出力信号及び割り込み動作出力信号をいずれもオフにする。
ステップS13 取り出し機86の退出が完了する。
ステップS14 携帯端末装置75に異常通知が送信される(設定回数になっても異常である。)。
このように、本実施の形態においては、コントロール部40の演算部60が画像異常ありと判別した場合、オペレータの所持する携帯端末装置75に金型装置の画像を含む異常通知を送信するようになっている。そのため、オペレータは、遠隔地にいても射出成形機10における成形異常の有無や、異常状態を容易に、かつ、正確に把握することができる。
また、オペレータは、金型装置の画像を視認して必要な措置を判断し、携帯端末装置75からコントロール部40に動作指令を送信することができる。これにより、オペレータは、遠隔地にいても射出成形機10、取り出し機86、エアブロー装置等に必要な動作を行わせることができる。そのため、迅速に措置を行うことができ、射出成形機10の動作を速やかに再開することができる。したがって、射出成形機10のスループットが低下することがない。
なお、本実施の形態においては、二次監視における判別処理において携帯端末装置75に異常通知を送信する場合について説明したが、一次監視における判別処理においても、同様に、携帯端末装置75に異常通知を送信することができる。また、本実施の形態においては、演算部60が監視範囲全体における異常単位の数があらかじめ設定された異常単位閾値以上であると画像異常ありと判別する場合について説明したが、前記演算部60は、例えば、パターンマッチングによって観察単位の周辺を考慮して、異常単位を判別するようにしてもよい。さらに、誤判別の原因となる領域を監視範囲から除外してもよい。また、全異常単位の重心を取り出し機86の動作目標値としたが、連結している異常単位毎に重心を求めて、複数の動作目標値を出力できるようにしてもよい。ここで、連結している異常単位とは、ある異常単位があればそれらを連結して異常単位連結成分として取り扱う。したがって、異常単位が8個連結されていれば、異常単位連結成分のサイズが8になる。
なお、前記実施の形態においては、可動プラテンが横方向(水平方向)に移動する横置型の射出成形機について説明したが、本発明は、可動プラテンが縦方向(垂直方向)に移動する縦置型の射出成形機にも適用することができる。さらに、本発明は、射出成形機の他に、ダイキャストマシーン、IJ封止プレス等の成形機にも適用することができる。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。