JP2005131495A - 噴射装置及び噴射体の保持治具 - Google Patents

噴射装置及び噴射体の保持治具 Download PDF

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Abstract

【課題】 被塗布物の塗布面積の大きさに応じて、少なくとも二つの噴射体の噴射軸線の交差位置を可変として、該少なくとも二つの噴射体から噴射される液体の重なり領域の大きさを変更して、液体の無駄を省きつつ仕上がりよく被塗布物の塗布面に塗布することを可能とする噴射装置及び噴射体の保持治具を提供する。
【解決手段】 複数種の液体のそれぞれを被塗布物に対して別々に噴射する複数の噴射体1,2,3を有し、複数の噴射体1,2,3のうち少なくとも二つの噴射体1,2の噴射軸線1C,2Cが互いに交差している噴射装置において、上記少なくとも二つの噴射体1,2の噴射軸線の交差位置を可変に設定しその設定を固定する可変設定手段が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、異なる複数種の液体を異なる位置から被塗布物の同一部位へ向け同時に噴射して、該複数種の液体を混合して該被塗布物に塗布する噴射装置、及び、複数種の液体のそれぞれを被塗布物に対して別々に噴射する複数の噴射体を一括して保持する保持治具に関するものである。
この種の装置としては、例えば、銀鏡液と還元液との二種の液体を異なる位置から被塗布物の同一部位に同時に噴射して、この二種の液体を混合そして銀鏡反応させて、該被塗布物に銀鏡塗装を施す装置が知られている(例えば、特許文献1)。
例えば、特許文献1の装置は、二つのノズルを有する一つのスプレーガンとして形成され、一方のノズルから銀鏡液、他方のノズルから還元液が噴射されるようになっている。
この二つのノズルは、それぞれの噴射方向が定位置で固定されていて、両噴射軸線が噴射方向前方で交差してその交差位置で両液が混合される。
一方のノズルから噴射された銀鏡液と他方のノズルから噴射された還元液は、それぞれ、角度をもって拡がっており、これに伴い各ノズルの噴射方向に直角な断面でのそれぞれの噴射液のひろがり範囲(以下、「噴射領域」という)が次第に大きくなる。銀鏡液の噴射領域と還元液の噴射領域は、ノズルの出口位置近傍では重ならないが、上記交差位置に向け前方に行くにつれて重なり部分を有するようになり、その重なり領域の大きさが徐々に増大して交差位置で最大に達した後に、上記交差位置よりも前方になるにつれ徐々に小さくなって、再び重ならなくなる。
銀鏡液の噴射領域と還元液の噴射領域の重なり領域では銀鏡液と還元液が混合される。銀鏡液の噴射領域と還元液の噴射領域は、上記両噴射軸線の交差位置で一致し完全に重なる。
上記両噴射軸線の交差位置以外、すなわち、その前後では、銀鏡液の噴射領域と還元液の噴射領域との重なり部分があっても、その重なり領域は銀鏡液の噴射領域と還元液の噴射領域との一部でしか重なっていない。
銀鏡液の噴射領域と還元液の噴射領域とが重ならない部分は、銀鏡液と還元液が混合されていないので、銀鏡反応を生じさせることができず、銀膜形成に寄与せず無駄になる。
特許文献1の装置での液体噴射に際して、銀鏡液と還元液を無駄なく被塗布物の塗布面上で混合させるためには、上記両噴射軸線の交差位置を被塗布物の塗布面に位置せしめ銀鏡液と還元液が混合する条件で、銀鏡液と還元液とを噴射することが必要である。こうすることにより、被塗布物の塗布面が上記両噴射軸線の交差位置にあるので該塗布面上では銀鏡液の噴射領域と還元液の噴射領域が完全に一致し、噴射された両液体が上記塗布面上で全量混合され、上記重なり領域外にて銀鏡液もしくは還元液が単独で塗布されることがない。
上記塗布面上で混合された銀鏡液と還元液は、銀鏡反応を起こして、該塗布面上に薄い銀膜を形成する。被塗布物の塗布面に一定厚以上の銀膜が形成されると、上記銀鏡反応がそれ以上進行しづらくなり、銀鏡反応しなかった銀鏡液及び還元液が上記塗布面上に余剰
分として残る。
この余剰分として上記塗布面上に残った銀鏡液及び還元液は、上記銀鏡液と還元液との噴射と同時にそしてその噴射範囲とほぼ同範囲で噴射された純水により洗い流される。
特開2003−93934(図1)
上述の特許文献1に係る装置では、二つのノズルの噴射方向が固定であるので、二つのノズルの噴射軸線が互いに交差する位置とノズルとの距離が一定となってしまう。
すなわち、一方のノズルから噴射される銀鏡液の噴射領域と他方のノズルから噴射される還元液の噴射領域とが完全に重なる位置及びその重なり領域の大きさが一定となる。
したがって、銀鏡液と還元液とを被塗布物の塗布面上で両者の噴射領域を一致させて無駄なく混合させるためには、上記の完全に重なる位置を被塗布物の塗布面上にくるようにする必要があるので、これらの液体の噴射に際しノズルを被塗布物に対して常に一定距離の位置に保たなければならない。
上記一定距離に対して被塗布物の塗布面積が極端に小さかったり大きかったりすると、上記重なり領域の大きさが上記塗布面積の大きさに合わなくなる。
また、被塗布物の塗布面積には様々な大きさのものがあるが、二つのノズルの噴射軸線の交差位置が一定となってしまうので、上記重なり領域の大きさは上記塗布面積の大きさによらず一定となってしまう。
被塗布物の塗布面積が上記重なり領域よりも小さい場合には、噴射された銀鏡液及び還元液が該被塗布物からはみ出て塗布されずに無駄に消費されてしまう。
また、被塗布物の塗布面積が上記重なり領域よりも大幅に大きい場合には、被塗布物に対する銀鏡液及び還元液の塗布に長時間を要してしまう。また、塗布に長時間を要すると、すでに塗布を終えた部分に余剰分として残った銀鏡液及び還元液は、未塗布部分に流下して部分的に付着し、ノズルから噴射された銀鏡液及び還元液が該未塗布部分に直接塗布される前あるいは該未塗布部分を純水で洗浄する前に、未反応のまま乾燥して該未塗布部分に固着してしまう。その結果、この固着した銀鏡液や還元液の上では、その後に上記未塗布部分に銀鏡液及び還元液が塗布されても、銀鏡がうまく形成されず、銀鏡塗装の仕上がりが悪くなる。
そこで、本発明は、被塗布物の塗布面積の大きさに応じて、少なくとも二つの噴射体の噴射軸線の交差位置を可変として、該少なくとも二つの噴射体から噴射される液体の重なり領域の大きさを変更して、液体の無駄を省きつつ仕上がりよく被塗布物の塗布面に塗布することを可能とする噴射装置及び噴射体の保持治具の提供を目的とする。
本出願は、上記目的を達成する手段として、異なる複数種の液体を異なる位置から被塗布物の同一部位へ向け同時に噴射して、該複数種の液体を該被塗布物に混合状態で塗布する噴射装置に関しては第一の発明を、そしてこの第一の発明の噴射装置を実現するために複数の噴射体を一括保持する保持治具に関しては第二の発明を提供する。
<第一の発明>
第一の発明に係る噴射装置は、異なる複数種の液体を異なる位置から被塗布物の同一部位へ向け同時に噴射して、該複数種の液体を混合して該被塗布物に塗布するようになっていて、複数種の液体のそれぞれを被塗布物に対して別々に噴射する複数の噴射体を有し、該複数の噴射体のうち少なくとも二つの噴射体の噴射軸線が互いに交差している。
かかる噴射装置において、第一の発明では、上記少なくとも二つの噴射体の噴射軸線の交差位置を可変に設定しその設定を固定する可変設定手段が設けられていることを特徴としている。
このような特徴を有する第一の発明にあっては、少なくとも二つの噴射体の噴射軸線の交差位置が上記可変設定手段によって変更されて、上記少なくとも二つの噴射体から噴射される液体の噴射領域の上記交差位置での重なり領域の大きさが被塗布物の塗布面積の大きさの大小に対応した大きさに適宜変更される。その結果、小さな塗布面積の被塗布物であっても該被塗布物に対し液体がはみ出ること無く塗布され、また、大きな塗布面積の被塗布物であっても該被塗布物に対し液体が素早く塗布される。
噴射体の噴射液体としては、例えば、可変設定手段により噴射軸線の交差位置が可変となっている複数の噴射体のうちの少なくとも一つの噴射体には銀鏡液、他の少なくとも一つの噴射体には還元液を用いることができる。こうすることにより、上記少なくとも一つの噴射体から銀鏡液、上記他の少なくとも一つの噴射体から還元液が同時に噴射されて、銀鏡液と還元液が混合して該被塗布物に塗布されて、該塗布物上で銀鏡反応が生じて銀膜が形成される。また、銀鏡液の噴射領域と還元液の噴射領域との重なり領域の大きさが被塗布物の塗布面積の大きさの大小に対応した大きさに適宜変更されるので、被塗布物の塗布面積が大きい場合であっても、被塗布物の塗布面の全面に素早く液体を塗布することができ、被塗布物の塗布面の全面塗布終了まで銀鏡液や還元液が乾燥せずに該塗布面上に塗布されて、該塗布面上に均一に銀膜が形成され、仕上がりが向上する。
また、可変設定手段が上記少なくとも二つの噴射体の噴射軸線の交差位置を可変に設定しその設定を固定することを可能とするために、例えば、複数の噴射体が各噴射体ごとに保持体に保持され、可変設定手段が該保持体を回動調整自在に支持し、その回動軸線が、保持体に保持された少なくとも二つの噴射体の噴射軸線を含む軸線共通面に対し直角となっているようにすることができる。
さらに、少なくとも一つの保持体が、軸線共通面に対し、該保持体に保持された噴射体の噴射軸線の傾きを可変に該噴射体を保持しているようにすると、複数の噴射体の噴射軸線の軸合わせが可能となり、軸ずれが生じても修正できる。
保持体と噴射体を別体として形成し、噴射体を保持体に着脱自在に保持させるようにすることができる。この場合、噴射体としては例えば既製品が利用でき、その結果、装置が安価となる。
噴射体には、噴射体から液体を噴射させるトリガーが設けられているが、各噴射体のトリガーが、複数のトリガーの同時操作を可能とする操作部材に係合しているようにすることができる。こうすることにより、複数のトリガーの同時操作が可能となり、その結果、操作性が向上する。
<第二の発明>
第二の発明に係る噴射体の保持治具は、複数種の液体のそれぞれを被塗布物に対して別々に噴射する複数の噴射体を一括して保持するようになっている。
かかる保持治具において、第二の発明では、少なくとも二つの噴射体を各噴射体ごとに保持するための保持体と、該保持体に保持される少なくとも二つの噴射体の噴射軸線の交差位置を可変に設定しその設定を固定する可変設定手段とを備え、該可変設定手段は各保持体を回動調整自在に支持し、その回動軸線が、保持体に保持された少なくとも二つの噴射体の噴射軸線を含む軸線共通面に対し直角となっていることを特徴としている。
このような特徴を有する第二の発明に係る保持治具は、複数種の液体を被塗布物にそれぞれ噴射する複数の噴射体を一括して保持することにより、上述の第一の発明と同様の噴射装置を形成する。
また、少なくとも一つの保持体が、軸線共通面に対し、噴射体の噴射軸線の傾きを可変に該噴射体を保持しているようにすると、上述の第一の発明と同様に、複数の噴射体の噴射軸線の軸合わせが可能となる。
また、上述の第一の発明と同様に、少なくとも一つの保持体が、複数の保持体に保持される噴射体のトリガーと係合して同時操作を可能とすることができる。
また、保持体には、使用者が把持するための取手が設けられていると、使い勝手よくなるので好ましい。
上述の本発明によれば、少なくとも二つの噴射体の噴射軸線の交差位置が可変となっているので、被塗布物の塗布面積の大きさの大小に対応して、少なくとも二つの噴射体から噴射される液体の重なり領域の大きさを変更して、被塗布物に対して液体を多量にはみ出すことなくそして素早く塗布することができ、その結果、液体の無駄や手間が省ける。特に、被塗布物の塗布面の全面に素早く液体を塗布することができるので、塗布時間が短くて済み、銀鏡液と還元液との二種の液体を噴射して銀鏡塗装を行う場合には、被塗布物の塗布面の全面塗布終了まで銀鏡液や還元液が乾燥せずに該塗布面上に塗布されて、該塗布面上に均一に銀膜を形成し、仕上がりを向上することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態にかかる噴射装置を図1ないし図3にもとづいて説明する。
図1は、本実施形態に係る噴射装置の概略構成を示す斜視図である。
図1に示す噴射装置は、銀鏡液と還元液を異なる位置から被塗布物の同一部位へ向け同時に噴射して、上記銀鏡液と上記還元液を混合して該被塗布物に塗布して、該塗布物上で銀鏡反応を生じせしめて該塗布物上に銀膜を形成する装置である。
かかる噴射装置は、図1に示すように、噴射液体として銀鏡液を噴射する噴射体1と、噴射液体として還元液を噴射する噴射体2と、未反応の銀鏡液及び還元液を被塗布物上から洗い流すため噴射液体として純水を噴射する噴射体3と、噴射体1,2,3を一括保持する保持治具4(図2参照)とを有している。ここで、該保持治具4は、後で詳述するが、上記噴射体1の噴射軸線1Aと上記噴射体2の噴射軸線2Aとを図1に示す角θをもって互いに交差させその交差位置を可変に設定しその設定を固定するようになっている。なお、図2は保持治具が噴射体を保持していない状態で示されており、図2(A)は該保持治具4の正面図、図2(B)は保持治具4の平面図、図2(C)は保持治具4の側面図である。
上記保持治具4に保持される上記噴射体1,2,3は、図1に示すように、それぞれの噴射軸線(噴射体1にあっては噴射軸線1A、噴射体2にあっては噴射軸線2A、噴射体3にあっては図示せず)方向に延びる管状をなし、一端部(図にて左端部)には噴射口1B,2B,3Bがそれぞれ形成されている。また、上記噴射体1,2,3は、図示しない供給手段によって上記噴射口1B,2B,3Bの直後方の部位から噴射液体として、噴射体1の内部には銀鏡液が、噴射体2の内部には還元液が、噴射体3の内部には純水が供給されるようになっている。また、上記噴射体1,2,3は、図示しないコンプレッサによって他端部(図にて右端部)から圧縮空気の供給を受け、噴射体1,2,3の周面から突出して設けられたトリガー(噴射体1についてはトリガー1C、噴射体2,3については図示せず)が押圧されることにより、上記圧縮空気の圧力で噴射口1B,2B,3Bから液体を噴射する。
上述の噴射体1,2,3を一括保持する上記保持治具4は、図1及び図2に示すように、上記噴射体1,2,3をそれぞれ保持する別個の保持体5,6,7と、保持体7を支持する支持体8と、上記噴射体1,2,3の同時操作のための操作部材9と、使用者の把持のための取手10とを有し、上記保持体5,6、上記支持体8、該操作部材9、取手10が、図1及び図2(A)にて上下に延びる可変設定手段としてのピン11によって該ピン11の軸線まわりに回動調整自在に支持されている。
上記保持体5,6は、図2(A),(B)にて左右に延びる部材として形成され、該保持体5,6の隣接せる内側端部同士が互いに重なり合っていて、その重なり部分で縦方向に形成された孔5A,6Aに上記ピン11が挿入されていて、該ピン11の軸線まわりに回動調整自在となっている。上記保持体5,6は、上記ピン11のための孔5A,6Aが形成された内側端部とは反対側の外側端部に、噴射体1,2が挿入されるための貫通孔5B,6Bが上記ピン11の軸線に対し直角に延びて形成されている。したがって、この貫通孔5B,6Bに挿入された噴射体1,2の噴射軸線1A,2Aは、上記ピン11の軸線に対し直角な一つの面上に位置し、上記ピン11の軸線まわりに保持体5,6が回動調整されることによって噴射軸線1A,2Aが互いに交差し、そしてその交差位置が変化する。また、本実施形態では、上記保持体5,6には、貫通孔5B,6Bに挿入された噴射体1,2を保持体5,6に固定するための固定用ねじ5C,6Cが設けられていて、貫通孔5A,6Aに挿入された噴射体1,2の外周面へこの固定用ねじ5C,6Cが押し付けられることにより該噴射体1,2が保持体5,6に固定保持される。
上記保持治具4には、三つの噴射体1,2,3の同時操作のための操作部材9が設けられている。該操作部材9は、本実施形態では、第一操作部材9Aと第二操作部材9Bとを有し、上記噴射体1,2の同時操作のための第一操作部材9Aが、保持体6の上面から図1にて前方に向けて延びた後に横方向に延びたT字状をなして設けられていて、その前端の横方向部が噴射体1,2のトリガーに当接もしくは近接している。上記第一操作部材9Aは、比較的薄い板状部材で作られていて、保持体6の上面での取付け部分から前方に延出する部分で可撓性を有している(この点、後述の第二操作部材9Bも取付け部分から前方への延出部分で可撓性を有している。)。又、本実施形態では、後述の保持体7の上面にも、第一操作部材9Aと同様に、上記噴射体3の操作のための板状T字状をなす第二操作部材9Bがその前端の横方向部で噴射体3のトリガーに当接もしくは近接するように取り付けられている。この第二操作部材9Bは、上記第一操作部材9Aから上方に延びる二本の連結部材9Cによって該第一操作部材9Aと連結されていて、両操作部材9A,9Bは連動して、噴射体1,2,3の同時操作を可能とする。
上記支持体8は、図2に見られるように、横方向に延びるピン8Aが設けられている。このピン8Aは、上記保持体7の下部に形成された孔7Aに挿入されていて、上記保持体7を該ピン8Aの軸線まわり回動可能に支持している。上記保持体7は、上記噴射体3が
挿入されるための前後に延びる貫通孔7Bが形成されていて、上述の保持体5,6の場合と同様に保持体7に螺合する固定用ねじ7Cによって、貫通孔7Bに挿入された噴射体3が保持体7に固定される。このように上記保持体7に保持された噴射体3の噴射軸線の方向は、上記ピン11の軸線まわりに上記支持体8を回動調整、そして上記ピン8Aの軸線まわりに上記保持体7を回動調整させることによって所定向きに設定される。本実施形態では、上記噴射体3の噴射軸線は上記噴射軸線1A,2Aの交差位置もしくはその周辺位置を通るように設定される。
上述の保持体5の下面側には、上記取手10が取り付けられている。該取手10は、保持体5,6及び支持体8とともに上記ピン11によって該ピン11の軸線まわりに回動調整自在に支持されている。
上述したように保持体5,6、支持体8、取手10を回動調整自在に支持する上記ピン11は、上端部に抜け防止のための頭部11Aを有している。一方、上記ピン11の下端には、噴射体1,2,3の噴射軸線の姿勢の設定後にこれらを固定するために、該ピン11に螺合する固定用ナット11Bが取り付けられていて、該固定用ナット11Bと上記頭部11Aとの間で上記保持体5,6、上記支持体8、上記取手10を締め付けてこれらを互いに固定する。
ここで、上述のように構成された噴射装置における、噴射体1から噴射された銀鏡液の噴射領域と、噴射体2から噴射された還元液の噴射領域との関係を図3にもとづき説明する。
噴射体1から噴射され前方に向けて次第に拡がる、噴射銀鏡液の噴射領域と、噴射体2から噴射された噴射還元液の噴射領域は、図3(A)に示すように、噴射体1及び噴射体2の噴射口近傍では重ならないが、図3(A)にて斜線で示すように前方に行くにつれて重なり部分を有するようになり、その重なり領域の大きさが徐々に増大して最大に達する。この重なり領域は最大となる位置よりもさらに前方に行くと、銀鏡液と還元液の重なり領域は、徐々に小さくなって、再び重ならなくなる。
上記ピン11の軸線まわりでの上記保持体5及び上記保持体6の相対回動調整により、上記噴射軸線1Aと上記噴射軸線2Aとのなす角度θを、図3(A)に示すθ1から、図3(B)に示すθ2へ変化して小さくすると、上記噴射軸線1Aと上記噴射軸線2Aの交差位置が噴射方向前方(図3にて上方)に移動する。各噴射体1,2からの液の噴射領域が前方へ行くにしたがい拡がるので、該交差位置が前方に移動すると、噴射体1からの銀鏡液の噴射領域と噴射体2からの還元液の噴射領域との重なり領域の大きさが大きくなる。さらに、上記角度θが図3(C)に示すθ3へ変化して大きくなると、上記交差位置はさらに前方に移動して、上記重なり領域はさらに大きくなる。
次に、本実施形態装置の操作及び使用要領を図1ないし図3にもとづき説明する。
1)先ず、各噴射体1,2,3を対応保持体5,6,7にそれぞれ装着し、固定用ねじ5C,6C,7Cでしっかりと固定する。
2)次に、固定用ナット11Bを緩め、被塗布物の塗布面積の大小に対応して、噴射体1を保持する保持体5と噴射体2を保持する保持体6とをピン11の軸線まわりに回動調整して、噴射体1の噴射軸線1Aと噴射体2の噴射軸線2Aとのなす角θを変更する。すなわち、被塗布物の塗布面積の大小に対応して、上記噴射軸線1Aと噴射軸線2Aとの交差位置を変更する。その結果、銀鏡液の噴射領域と還元液の噴射領域との重なり領域の大きさが被塗布物の塗布面積の大きさに応じて変更される。例えば、被塗布物の塗布面積が
大きいほど、上記交差位置を噴射方向前方に位置せしめて、上記重なり領域の大きさを大きくする。また、被塗布物の塗布面積が小さいほど、上記交差位置を噴射方向後方に位置せしめて、上記重なり領域の大きさを小さくする。その後、上記固定用ナット11Bを締めて、所望の調整状態となった上記交差位置が固定される。
3)一方、噴射体3に関しては、ピン8Aの軸線まわりに保持体7を回動調整させて噴射体3の向きを変えて、その軸線が上記噴射体1,2の軸線1A,2Aとの交差位置近傍にくるように設定して、上記噴射体1から噴射された銀鏡液と噴射体2から噴射された還元液とが被塗布物に塗布された後にこれらの液をすぐに洗い流せるようにする。
4)液の塗布に際しては、上記交差位置を被塗布物の塗布面に位置せしめ、操作部材9を押圧することにより、噴射体1、噴射体2そして噴射体3のトリガーを同時操作して、これらの噴射体から同時に銀鏡液、還元液、純水をそれぞれ噴射させる。上記被塗布物には銀鏡液及び還元液が混合状態で塗布されて、銀鏡反応が起きて該被塗布物上に銀膜が形成され、銀鏡反応せずに上記被塗布物上に残った銀鏡液及び還元液は純水により被塗布物上から洗い流される。こうして、上記被塗布物上には銀鏡が形成される。
なお、上述の実施形態では、噴射液体として銀鏡液、還元液、純水を用いたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば他の金属イオン溶液とその還元液を用いてもよく、また油性あるいは水性の各種塗料を用いることができる。
また、上述の実施形態では噴射体の数が3つであるが、噴射体の数を2つとしても、また4以上としてもよく、少なくとも2つの噴射体の噴射軸線が交差し、その交差位置が可変となっていればよい。
さらに、本実施形態では噴射体と保持体を別体として形成しているが、噴射体と保持体を一体として形成してもよい。
本発明の一実施形態に係る噴射装置の概略構成を示す斜視図である。 図1の噴射装置に備えられた保持治具の図であって、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。 図1の噴射装置の二つの噴射体の噴射軸線のなす角θと、これらの噴射体から噴射された液体の重なり領域の大きさとの関係を説明するための図であり、(A),(B),(C)の順に上記角θを小さくしたときの上記重なり領域の変化を説明するための図である。
符号の説明
1,2,3 噴射体
4 保持治具
5,6,7 保持体
9 操作部材
10 取手
11 可変設定手段(ピン)

Claims (10)

  1. 異なる複数種の液体を異なる位置から被塗布物の同一部位へ向け同時に噴射して、該複数種の液体を混合して該被塗布物に塗布する噴射装置であって、複数種の液体のそれぞれを被塗布物に対して別々に噴射する複数の噴射体を有し、該複数の噴射体のうち少なくとも二つの噴射体の噴射軸線が互いに交差している噴射装置において、上記少なくとも二つの噴射体の噴射軸線の交差位置を可変に設定しその設定を固定する可変設定手段が設けられていることを特徴とする噴射装置。
  2. 可変設定手段により噴射軸線の交差位置が可変となっている複数の噴射体のうちの少なくとも一つの噴射体は噴射液体が銀鏡液であり、他の少なくとも一つの噴射体は噴射液体が還元液であることとする請求項1に記載の噴射装置。
  3. 複数の噴射体は各噴射体ごとに保持体に保持され、可変設定手段は該保持体を回動自在に支持し、その回動軸線が、保持体に保持された少なくとも二つの噴射体の噴射軸線を含む軸線共通面に対し直角となっていることとする請求項1に記載の噴射装置。
  4. 少なくとも一つの保持体は、軸線共通面に対し、該保持体に保持された噴射体の噴射軸線の傾きを可変に該噴射体を保持していることとする請求項3に記載の噴射装置。
  5. 保持体は、噴射体と別体として形成され、噴射体を着脱自在に保持していることとする請求項3に記載の噴射装置。
  6. 噴射体は、噴射体から液体を噴射させるトリガーが設けられており、各噴射体のトリガーは、複数のトリガーの同時操作を可能とする操作部材に係合していることとする請求項1に記載の噴射装置。
  7. 複数種の液体のそれぞれを被塗布物に対して別々に噴射する複数の噴射体を一括して保持する保持治具において、少なくとも二つの噴射体を各噴射体ごとに保持するための保持体と、該保持体に保持される少なくとも二つの噴射体の噴射軸線の交差位置を可変に設定しその設定を固定する可変設定手段とを備え、該可変設定手段は各保持体を回動自在に支持し、その回動軸線が、保持体に保持された少なくとも二つの噴射体の噴射軸線を含む軸線共通面に対し直角となっていることを特徴とする噴射体の保持治具。
  8. 少なくとも一つの保持体は、軸線共通面に対し、噴射体の噴射軸線の傾きを可変に該噴射体を保持していることとする請求項7に記載の噴射体の保持治具。
  9. 少なくとも一つの保持体は、複数の保持体に保持される噴射体のトリガーと係合して同時操作を可能とすることとする請求項7に記載の噴射体の保持治具。
  10. 保持体は、使用者が把持するための取手が設けられていることとする請求項7に記載の噴射体の保持治具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20200115136A (ko) * 2019-03-29 2020-10-07 공주대학교 산학협력단 막힘 방지 기능을 갖는 액상물질 토출장치
KR20200115137A (ko) * 2019-03-29 2020-10-07 공주대학교 산학협력단 액상물질 토출장치

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KR20200115136A (ko) * 2019-03-29 2020-10-07 공주대학교 산학협력단 막힘 방지 기능을 갖는 액상물질 토출장치
KR20200115137A (ko) * 2019-03-29 2020-10-07 공주대학교 산학협력단 액상물질 토출장치
KR102246199B1 (ko) * 2019-03-29 2021-04-29 공주대학교 산학협력단 막힘 방지 기능을 갖는 액상물질 토출장치
KR102293040B1 (ko) * 2019-03-29 2021-08-26 공주대학교 산학협력단 액상물질 토출장치

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