JP2005128494A - 近赤外線吸収フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐熱性、耐光性及び耐湿熱性が優れ、かつ、色調変化の少ない近赤外線吸収フィルターを提供する。
【解決手段】 下記一般式(I)
【化1】
Figure 2005128494

(式(I) 中、Mは金属原子を示し、環Aは含窒素芳香環を示し、環Bはベンゼン環又はピリジン環を示す。R1 及びR2 は、それぞれ独立して、一価基を示し、k及びhは、それぞれ独立して、0〜4の整数を示す。R3 及びR4 は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基を示す。Zは1価又は2価の陰イオンを示す。mは2又は3示し、nは1又は2を示す。)
で表される含金属インドアニリン系化合物含有樹脂層を有し、紫外線吸収剤を含有する層が積層されていることを特徴とするする近赤外線吸収フィルター。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、近赤外線吸収色素として、含金属インドアニリン系化合物を含有する樹脂層を有する近赤外線吸収フィルターに関する。詳しくは、電子ディスプレイ用途に用いた場合でも耐光性、耐湿性及び耐熱性等の特性も良好であり、加えて、黄変が無い近赤外線吸収フィルターに関する。
近年、大型の壁掛けテレビをはじめ種々の電子機器の表示パネルとしてプラズマディスプレイが注目されているが、これらは近赤外線を発生して近赤外線リモコンを用いる電子機器に誤動作を起こさせることから、近赤外線吸収色素を含有した光学フィルターの要求がある。該近赤外線吸収色素としては、各種検討がなされており、これらのうちでもジイモニウム系色素を用いたもの(特許文献1参照)は、実用的には最もよく用いられている。
しかしながら、分子構造中にイミノ基を有する化合物である該ジイモニウム系色素を用いた場合、近赤外線吸収フィルターは、該色素の耐光性、耐熱性及び耐湿熱性試験の色素残存率は高いものの、光、熱、水分による色素の分解によるフィルターの黄色変化が激しく問題を有することが知られている。
また、最近では、特定の置換基を有する含金属インドアニリン系化合物を含有する近赤外線吸収フィルターに関する提案がなされており(特許文献2参照)、実施例において耐湿熱性が優れている旨の記載はなされているものの、ディスプレイ用フィルターとしての重要な特性である耐熱性及び耐光性に関しての記載は一切無く、これに対して、当社で検討したところ、耐光性の点で未だ不十分であることが判明した。
特開平10−180922号公報 特開平11−101912号公報
本発明は、耐熱性、耐光性及び耐湿熱性が優れ、かつ、色調変化の少ない、近赤外線吸収能を有する新規な光学フィルターを提供することにある。
本発明者等は、種々検討を重ねた結果、含金属インドアニリン系化合物含有層の他に紫外線吸収剤を含有する層を積層させた近赤外線吸収フィルターは、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(I)
Figure 2005128494
(式(I) 中、Mは金属原子を示し、環Aは含窒素芳香環を示し、環Bはベンゼン環又はピリジン環を示す。
1 及びR2 は、それぞれ独立して、一価基を示し、k及びhは、それぞれ独立して、0〜4の整数を示す。但し、カルボニル基のα位がNHCORで表される基(Rは、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルケニル基、置換されていても良いアリール基、置換されていても良い複素環基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアルケニルオキシ基、置換されていても良いアリールオキシ基、置換されていても良い複素環オキシ基又は置換されていても良いアミノ基を示す。)で置換されることはない。
3 及びR4 は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基を示す。ここで、R3 とR4 は、互いに結合して含窒素5又は6員環を形成してもよいし、R3 及び/又はR4 は環Bと結合して5又は6員の環を形成していてもよい。
Zは1価又は2価の陰イオンを示す。mは2又は3示し、nは1又は2を示す。)
で表される含金属インドアニリン系化合物含有樹脂層を有し、紫外線吸収剤を含有する層が積層されていることを特徴とするする近赤外線吸収フィルターに存する。
本発明によれば、耐光性、耐熱性及び耐湿熱性が良好であり、且つ、黄色変化等の色変化のない近赤外線吸収フィルターを提供することができ、該フィルターを用いると色調の安定した光学フィルターを得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
1.近赤外線吸収フィルター
本発明の近赤外線吸収フィルターにおいては、上記一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物含有層と紫外線吸収剤含有層と有するものである。
(含金属インドアニリン系化合物)
本発明で用いられる含金属インドアニリン系化合物は上記一般式(I) で表されるものである。
Mは、2価のカチオンになりうる金属原子であれば特に限定されないが、好ましくはNi、Cu、Fe、Co又はZnであり、より好ましくはNi、Cu又はCoであり、特に好ましくはNiである。
環Aは、含窒素芳香環であり、通常、5又は6員のものが挙げられ、好ましくはピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環等の6員の含窒素芳香環であり、より好ましくはピリジン環又はピリミジン環であり、特に好ましくはピリジン環である。
環Bは、ベンゼン環又はピリジン環であり、好ましくはベンゼン環である。
1 及びR2 は、それぞれ独立して、一価基である。該一価基としては、色素の安定性に悪影響を与えない限りにおいて特に限定されないが、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;置換されていても良いアルキル基;置換されていても良いアルコキシ基;置換されていても良いアルケニル基;置換されていても良いアリール基;置換されていても良いアリールオキシ基;置換されていても良い複素環基;置換されていても良い複素環オキシ基;アシル基;アシルオキシ基;置換されていても良いアミノ基;―COOR5 で表される基;−SR5 で表される基;又は、−SO25 で表される基が挙げられる。ここで、上記R5 は、アルキル基、アリール基、アルケニル基又は5員もしくは6員の複素環基を示す。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数10以下の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状アルキル基が挙げられる。
上記アルコキシ基を形成するアルキル基としては、上述のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、1−ノネニル、1−デセニル等の炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖状アルケニル基が挙げられる。
上記アリール基としては、好ましくはフェニル基、ナフチル基等の炭素数15以下の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
上記アリールオキシ基を形成するアリール基としては、上述のアリール基と同様のものが挙げられる。
上記複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基等の芳香族複素環基が挙げられ、好ましくは6員のものが挙げられる。
上記複素環オキシ基を形成する複素環基としては、上述の複素環基と同様のものが挙げられる。
上記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、ベンジルカルボニル基等の置換されていても良いアルキルカルボニル基又は置換されていても良いアリールカルボニル基が挙げられ、好ましくは炭素数10以下のものである。
上記アシルオキシ基を形成するアシル基としては、上述のアシル基と同様のものが挙げられる。
上記COOR5 で表される基、SR5 で表される基及びSO2 5 で表される基におけるR5 は、アルキル基、アリール基、アルケニル基又は5員もしくは6員の複素環基であり、該アルキル基、アリール基、アルケニル基及び複素環基としては、上述のものと同様のものが挙げられる。
上記R1 及びR2 におけるアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基及び複素環オキシ基の置換基としては、色素の安定性に悪影響を与えない限りにおいて特に限定されず、具体的には、上記R1 及びR2 として用いられる基として例示されたような基が挙げられるが、そのうち好ましくは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、―COOR5 で表される基又は置換されていても良いスルファモイル基が挙げられる。
上記R1 及びR2 におけるアミノ基の置換基としては、色素の安定性に悪影響を与えない限りにおいて特に限定されないが、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アシル基、COOR5 で表される基、置換されていてもよいアミノカルボニル基、SO25 で表される基又は置換されていても良いスルファモイル基が挙げられる。
ここで、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、―COOR5 で表される基及びSO25 で表される基としては、上述と同様の基が挙げられ、置換されていてもよいスルファモイル基及び置換されていても良いアミノカルボニル基を形成するアミノ基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基及び5又は6員のヘテロ環基からなる群より選ばれる置換基で1又は2置換されていても良いアミノ基が挙げられる。
このうち、R1 としては、置換されていても良いアシルアミノ基が好ましく、より好ましくは−NHCOR5'(R5'は、炭素数3〜10、好ましくは炭素数4〜8のアルキル基又はアルケニル基である。)で表される基である。
但し、上記R1 が、NHCORで表される基(Rは、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルケニル基、置換されていても良いアリール基、置換されていても良い複素環基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアルケニルオキシ基、置換されていても良いアリールオキシ基、置換されていても良い複素環オキシ基又は置換されていても良いアミノ基を示す。)の場合、カルボニル基のα位が該NHCORで表される基で置換されることはない。
2 としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数4以下であり、特に好ましくはメチル基である。
h及びkは、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、hとしては0又は1が好ましく、kとしては1又は2が好ましい。
また、R1 の好ましい置換位置としては、カルボニル基のα位が挙げられ、R2 の好ましい置換位置としては、末端アミノ基が結合している炭素原子から見てメタ位が挙げられる。
3 及びR4 の置換されていても良いアルキル基及びアリール基としては、前記R1 及びR2 の説明の項で挙げたのと同様のものが挙げられる。
また、R3 とR4 は、互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルフォリン環等の含窒素5又は6員環を形成しても良いし、R3 及び/又はR4 が環Bとと5又は6員の縮合環を形成していてもよい。例えば、環Bがベンゼン環の場合の該縮合環としてはテトラヒドロキノリン環、ジヒドロインドール環、ジュロリジン(Julolidine)環が挙げられる。
このうち、R3 及びR4 として好ましくは、アルキル基、又は、アルキル基及び置換アミノ基からなる群より選ばれる置換基で置換されていても良いフェニル基が挙げられ、より好ましくはアルキル基である。ここで、上記置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基及び5又は6員のヘテロ環基からなる群より選ばれる置換基で置換されているアミノ基が挙げられ、好ましくは炭素数8以下、より好ましくは炭素数3〜5のアルキル基で2置換されたアミノ基である。
Zは1価又は2価の陰イオンであり、具体的には、Cl- 、Br- 、I- 等のハロゲンイオン;ClO4 - 、R7 COO- (R7 はR1 で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基を表す。)、R7 (COO- 2 、R7 SO3 - 、R7 (SO3 - 2 等の1価又は2価の無機酸又は有機酸の残基;(CF3 SO22- 等のビス(ハロアルキルスルホニル)イミド系アニオン;B(Ph)4 - ;PF6 - 等が挙げられ、このうち好ましくはPF6 - 、ClO4 - 、又は、B(Ph)4 - が好ましい。
mは2又は3であり、nは、1又は2であり、2が好ましい。
上記一般式(I) で表される化合物において、環Aがピリジン環、環Bがベンゼン環のものは以下のような構造式で記載することができ、その好ましい具体例を下記表−1に示す。
Figure 2005128494
Figure 2005128494
Figure 2005128494
又、環Aがピリミジン環、環Bがベンゼン環の好ましい具体例として下記のNo.1−19及びNo.1−20の化合物が挙げられる。
Figure 2005128494
上記一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物は、特開昭63−227569号公報、特開平3−103476号公報等に記載の公知の方法によって合成することが出来る。すなわち、下記一般式(IA)
Figure 2005128494
(環A、R1 及びhは、前記一般式(I) と同義であり、Xは水素原子又はハロゲン原子を示す。)
で表される化合物と、下記一般式(IB)
Figure 2005128494
(環B、R2 、R3 、R4 及びkは、前記一般式(I) と同義である。)
で表される化合物若しくはその塩酸塩とを酸化的縮合させることにより、下記一般式(IC)
Figure 2005128494
を得ることができ、次いで、上記化合物と、下記一般式(ID)
2+(Z)n (ID)
(M、Z及びnは、前記一般式(I) と同義である。)
で示される金属塩とを反応させることにより得られる。
上記一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物は、波長750nm〜1000nmの範囲付近にその透過率曲線の極小値を有するものである。また、その透過率曲線の形状としては、750nm〜1000nm付近の透過率曲線の極小値以外には、大きな吸収ピークを有さないので、ディスプレイ用の光学フィルターに用いてもディスプレイの明るさ等に影響を与えないという優れた性能を有するものである。
さらに、本発明に用いられる上記一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒に対する溶解性が良好であり、これらの溶媒を使用した塗布方法により色素薄膜を製造することが出来るため、工業的にも好ましい。具体的には、メチルエチルケトンを溶媒として用いた場合の溶解度が、0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上のものである。
(近赤外線吸収剤含有層)
一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物は安定性が高いため、本発明の近赤外線吸収フィルターに用いられる上記一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物を含有する層には、380〜780nmに最大吸収波長を有する公知の色調調整用色素を同時に含有させることができる。該色調調整用色素としては、電子ディスプレイの色調調節用、色純度改善用、コントラスト改善用、又は色再現範囲拡大用色素等が挙げられ、具体的には、特開2002−131530号公報記載の表−1のNo.1〜No.23のピラゾール系メチン化合物、及び/又は、特開2002−131530号公報記載のV−1〜V−8のピラゾール系スクアリリウム化合物、特開2002−131530号公報記載のIV−1〜IV−12のビフェニル系スクアリリウム化合物、特開2002−363434号公報記載のビフェニル系スクアリリウム化合物、及び/又は、特開2000−275432号公報記載のテトラアザポリフィリン系化合物、及び/又は、特開平10−226172号公報記載のジピロメテン系化合物、及び/又は、特開2002−148430号公報記載のシアニン系化合物等が挙げられる。
更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を添加して使用することができる。
上記色調調整用色素のうち、ピラゾール系メチン化合物、各種スクアリリウム系化合物、テトラアザポルフィリン系化合物が好ましく、ピラゾール系メチン化合物、各種スクアリリウム系化合物がより好ましい。
一般に、近赤外線吸収色素と色調調整用色素を同一樹脂層に含有させた場合、近赤外線吸収色素と色調調整用色素の相互作用により、どちらかの色素、あるいはその両方が劣化したり、それぞれの吸収波長が変化する等の影響を生じることが多く、劣化が少ない場合にも、それぞれの色素の組み合わせが限定されるなどの問題があった。これに対して、本発明の、上記一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物含有樹脂層に380〜780nmに最大吸収波長を有する色調調整用色素を含有する近赤外線フィルターは、これらの問題を解決するものである。
本発明の近赤外線吸収フィルターに用いられる上記一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物を含有する層は、含金属インドアニリン系化合物を各種樹脂に直接溶解あるいは分散させて得られた含金属インドアニリン系化合物含有樹脂を、射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形あるいは圧縮成形などの成形技術を用いて成形又はフィルム化し、必要に応じて他の透明基板と張り合わせて製造する方法や、透明基板を構成する樹脂シート又はフィルムに染着させる方法、もしくは、樹脂シート又はフィルムに染着させて他の透明基板と張り合わせて製造する方法、さらには、フィルムあるいはシート等に成形された透明基板に、一般式(I) の含金属インドアニリン系化合物を含む塗工液を塗布する方法等により製造することができるが、このうち、透明基板上に塗工液を塗布する方法が好ましい。
上記透明基板の材質としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない材料であれば特に制限はない。具体的な例としては、ガラス、ポリオレフィン樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等を挙げることができる。これらの中では、特に非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が好ましい。上記の樹脂には、一般的に公知である添加剤、耐熱老化防止剤、滑剤、帯電防止剤等を配合することができる。また、上記樹脂は、公知の射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶融させてキャスティングする方法などを用い、フィルムまたはシート(板)に成形される。その厚みとしては、目的に応じて10μm〜5mmの範囲が望ましい。かかる透明基板を構成する基材は、未延伸でも延伸されていても良い。また、他の基材と積層されていても良い。更に、該透明基板は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施しても良い。
塗工液は、一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物をバインダーと共に有機溶剤に溶解させる方法、又は粒径0.1〜3μmに微粒化した該化合物を、必要に応じ分散剤を用い、バインダーと共に溶剤に分散させる方法により調製される。このとき溶剤に溶解又は分散される含金属インドアニリン系化合物、バインダー及び分散剤の塗工液に対する含有量は0.5〜50重量%で、含金属インドアニリン系化合物、バインダー及び分散剤の中で含金属インドアニリン系化合物が占める割合は0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%である。
必要に応じて使用される分散剤としては、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、硬化ロジン、ロジンエステル、マレイン化ロジン、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。その使用量は、含金属インドアニリン系化合物に対して0.5〜150重量倍、好ましくは0.5〜20重量倍である。
使用されるバインダーとしては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチルアクリレート樹脂等のアクリレート系樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレンービニルアルコール共重合樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂、AS樹脂、ポリエステル樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、PVPA、ポリスチレン系樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリスルフォン、ナイロン、セルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂等が挙げられる。その使用量は含金属インドアニリン系に対して、10〜500重量倍、好ましくは50〜350重量倍である。
バインダーとして、粘着剤を使用しても良い、粘着剤としては、ポリアクリル酸アルキルエステル系等のポリマー系粘着剤、又はスチレンブタジエンラバー、天然ゴム等のゴム系粘着剤が使用できる。
一般式(I) の含金属インドアニリン系化合物を含む塗工液のコーティングは、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、プレードコート法及びエアーナイフコート法等の公知の塗工方法でコーティングされる。このとき膜厚は、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmとなるようコーティングされる。
(紫外線吸収層)
本発明の近赤外線吸収フィルターでは、近赤外線吸収剤含有層とは別に紫外線吸収剤含有層を設ける。ここで、積層方法としては、一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物を含有する層に接して積層しても良いし、間に他の層が積層されていても良く、例えば、一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物を含有する層を塗布した透明基板の一般式(I) 表される含金属インドアニリン系化合物を含有する層と反対側に積層しても良い。特には、近赤外線吸収層よりも該フィルター使用時の外光側に紫外線吸収層を形成させるのが好ましい。
上記紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤及び無機系紫外線吸収剤のいずれもが使用出来る。有機系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、フェニルサルシレート、4−t−ブチルフェニルサルシレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾーエート等のヒドロキシベンゾエート系化合物等を挙げることが出来る。無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等を挙げることが出来る。
紫外線吸収剤としては、50%透過率での波長が350〜420nmが好ましく、より好ましくは360nm〜400nmであり、350nmより低波長では、紫外線遮断能が弱く、420nmより高波長では着色が強くなり好ましくない。
紫外線吸収剤含有樹脂層に用いられる樹脂としては、前記の一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物のバインダーとして挙げた樹脂等のバインダー樹脂として一般的なものを使用することが出来る。このとき紫外線吸収剤を含有層の膜厚は、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmとなるように積層する。又、紫外線吸収剤含有層を塗布して形成する代わりに、市販の紫外線カットフィルターを積層して使用しても良い。この様なフィルターとしては、シャープカットフィルターSC−38、SC−39、SC−40(富士写真フィルム(株)製)やアクリプレンHBS、HBE、HBC(三菱レーヨン(株))等を挙げることが出来る。
(近赤外線吸収フィルター)
本発明の近赤外線吸収フィルターは、750〜1000nmの波長域に吸収を有するものであり、その範囲の平均透過率は、通常、50%以下、好ましくは30%以下である。 また、本発明の近赤外線吸収フィルターをプラズマディスプレイの近赤外線カットといったようなディスプレイ用のフィルターとして用いる場合には、750〜1000nmにおける透過率曲線の極小値の透過率が10%以下、好ましくは5%以下となるように本発明の含金属インドアニリン系化合物の含有量を調節するのが好ましい。さらに、前述の範囲以外に透過率曲線の極小値以外を有さないことが好ましく、上記一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物含有層の可視光線透過率は70%以上、より好ましくは80%以上であるのが好ましい。また、他の部材との組み合わせにより最終的なディスプレイ用フィルターとした場合でも、視感透過率が25%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であり、且つ、上限が50%以下、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下となるようにを調整するのがよい。
また、本発明の近赤外線吸収フィルターは、80℃で500Hr保存といった条件による耐熱性試験、キセノンフェードメーターによる2000万Lux・hr露光といった条件による耐光性試験及び60℃、相対湿度90%で500Hr保存といった条件による耐湿熱性試験後の色素残存率が80%以上、特には、耐光性試験後の色素残存率は好ましくは90%以上と優れた耐久性を示すものである。
そして、前述の、本発明の一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物と色調調整用色素を同一樹脂層に含有する近赤外線吸収フィルターにおいても、キセノンフェードメーターによる2000万Lux・hr露光といった条件による耐光性試験後の色素残存率が75%以上、好ましくは80%以上であり、且つ、80℃で500Hr保存といった条件による耐熱性試験及び60℃、湿度90%で500Hr保存といった条件による耐湿熱性試験後の色素残存率が80%以上、好ましくは90%以上と優れた耐久性を示すものである。
加えて、本発明の近赤外線吸収フィルターは、黄色変化といった色調変化の少ないものであり、その黄色変化の指標としては、JIS Z8729に規定されるL* * * 表色系におけるの色座標b* 値の変化量を用いることができる。該b* 値の変化量としては、+5.0以上であると黄色変化が激しいと感じられる。本願のフィルターは通常、b* が±3.0以下、より好ましくは±2.0以下、さらに好ましくは±1.0以下、特に好ましくは±0.5以下のものである。
さらに、上記近赤外線吸収フィルターには、必要に応じて、酸化防止剤等を含有する層を設けることが出来る。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等を挙げることが出来る。酸化防止剤を紫外線吸収剤と併用することによりより効果が大となる。紫外線吸収剤によって遮断しきれなかった紫外光によるか、又は可視光線による色素の活性化により生じる系色素のラジカルを酸化防止剤が不活性化することにより、色素の耐光性が向上するものと考えられる。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、含金属インドアニリン系化合物を含有する近赤外線吸収層を有することを特徴とするものであるが、その用途に応じて、その他の近赤外線吸収物質を併用しても良い。その他の近赤外線吸収物質としては、ニトロソ化合物及びその金属錯塩、シアニン系化合物、ジチオールニッケル錯塩系化合物、アミノチオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物の近赤外線吸収色素、あるいは、カーボンブラックや、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズなどの近赤外線吸収化合物を、単独又は組み合わせて使うことができる。
2.ディスプレイ用フィルター
本発明の近赤外線吸収フィルターは、ディスプレイから放射される近赤外線によるリモコンや伝送系光通信における誤動作を防止する目的でディスプレイの前面に設置することができる。その場合、必要に応じて、電磁波カット層、表面への蛍光灯などの外光の写り込みを防止する反射防止層、ぎらつき防止層(ノングレア層)、色調補正層を設け、ディスプレイ用、より好ましくはプラズマディスプレイパネル用フィルターとして使用することができる。
本発明のディスプレイ用フィルターは、上記近赤外線吸収フィルターを用いている他は、通常、用いられる構成や製造方法等を任意にとることができ、特に限定されるものではないが、以下にプラズマディスプレイパネル用フィルターとして用いる場合を代表例として説明する。
(色調調整用色素)
前述の通り、色調調整用色素と近赤外線吸収色素とを同一樹脂層に含有させることができるが、それとは別層として色調調整用色素含有層を設けてもよい。
一般式(I) で表される含金属インドアニリン系化合物の他に、380〜780nmに最大吸収波長を有する公知の色素から、色調調節用、色純度改善用、コントラスト改善用、又は色再現範囲拡大用色素として、特開2002−131530号公報記載の表−1のNo.1〜No.23のピラゾール系メチン化合物、及び/又は、特開2002−131530号公報記載のV−1〜V−8のピラゾール系スクアリリウム化合物、特開2002−131530号公報記載のIV−1〜IV−12のビフェニル系スクアリリウム化合物、特開2002−363434号公報記載のビフェニル系スクアリリウム化合物、及び/又は、特開2000−275432号公報記載のテトラアザポリフィリン系化合物、及び/又は、特開平10−226172号公報記載のジピロメテン系化合物、及び/又は、特開2002−148430号公報記載のシアニン系化合物等を含有させることが出来る。
更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を添加して使用することができる。
また、積層体の形成方法としては、上述で記載したような塗工液を塗布し積層する方法、又はそれぞれ透明基板上に層を形成させた上でそれらを貼り合わせる方法等が挙げられる。
(電磁波カット層)
電磁波カット層は、ディスプレイ装置からの発光に伴い発生する電磁波による生体や電子機器への悪影響を防ぐために設けるものである。電磁波カット層は、銀、銅、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ等のような金属又は金属酸化物の薄膜からなり、これらは真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、プラズマ化学蒸着法等の従来公知のドライプレーティング法を利用し、製造することができる。電磁波カット層は、最もよく用いられるのは、酸化インジウムスズ(ITOと略記されることもある)の薄膜であるが、メッシュ状の穴を有する銅の薄膜や誘電体層と金属層を基材上に交互に積層させた積層体も好適に用いることができる。前記誘電体層としては酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物等であり、金属層としては銀あるいは銀−パラジウム合金が一般的である。積層体は、通常、誘電体層よりはじまり3〜13層程度の間で奇数層となるように積層される。
電磁波カット層は、該フィルター上にそのまま形成させても良いし、樹脂フィルムあるいはガラス上に蒸着あるいはスパッタリング後に、該フィルターと貼り合わせて形成させても良い。また、電磁波カット層は、表面固有抵抗値が5Ω/□以下であることが好ましい。
(反射防止層)
反射防止層は、表面の反射を抑えてフィルターの透過率を向上させるために、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。
(ノングレア層)
ノングレア層は、フィルターの視野角を広げる目的で、透過光を散乱させるために、シリカ、メラミン、アクリル等の徴粉体をインキ化して、表面にコーティングする方法などを用いることができる。インキの硬化は、熱硬化あるいは光硬化を用いることができる。また、ノングレア処理をしたフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。更に必要であればハードコート層を設けることもできる。
これらの各層の膜厚は、それぞれ、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmとなるように積層する。
(粘着剤層)
本発明のディスプレイ用フィルターの最外層に粘着剤層を設けることによりフィルターがディスプレイと一体形成され、プラズマディスプレイ等のディスプレイの薄肉化が可能となる。この際の粘着剤層の厚みは、通常、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。但し、ディスプレイ自体の表面が高温になるので、加熱によりガスが発生するような粘着剤は好ましくない。
具体的には、ポリアクリル酸アルキルエステル系等のポリマー系粘着剤、又はスチレンブタジエンラバー、天然ゴム等のゴム系粘着剤を、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エ−テル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系等の有機溶剤を単独又は複数混合した溶剤系に分散又は溶解して粘度を調整したものをディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、プレードコート法及びエアーナイフコート法等の塗工方法で塗工し、その後溶剤を乾燥させ、粘着剤層とする。
また、プラズマディスプレイにフィルターを貼着時、プラズマディスプレイの表面とフィルターとの間に気泡が入ると画像が歪んだり、見にくくなったりする等、実用上の大きな問題となるので気泡の巻き込みには十分に注意する必要がある。
さらにフィルターの縁綾部の粘着剤層と剥離フィルムとの間に、粘着剤層を設けない部分を形成したり、非粘着性のフィルムを挟む等して非粘着部分を形成し、剥離開始部とすれば貼着時の作業がやりやすい。
上記ディスプレイパネル用フィルターは単独はもちろん、さらに透明のガラスや他の透明樹脂板等と貼り合わせた積層体として用いることにより、ディスプレイから取り外し可能なフィルターとすることもできる。
以下に、実施例により本発明の実施態様を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
比較例1
ポリエチレンテレフタレート製フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製PETフィルム「T100E」、厚み100μm )に、一般式(I) のNO.I−2の含金属インドアニリン系化合物0.017gをメチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(容量比))4.42gに溶解した色素溶液と、アクリル系樹脂OZ−1100(日立化成(株)製)の35重量%メチルエチルケトン/トルエン=1/1(容量比))混合溶液5gとを混合溶解したインク溶液を、バーコーター(NO.12;江藤器械(株)製)で塗工し、乾燥して、膜厚3μmのコーティング膜を有する近赤外線吸収フィルターを得た。このフィルターの透過率の極小値における波長は785nmであり、極小値以外の領域には、大きな極小値はなく、プラズマディスプレイパネルの赤、青、緑の三原色発光の阻害が小さく、視野の明るさの低下がない近赤外線吸収フィルターであることが確認できた。
このフィルターについて、80℃の恒温槽中に500時間放置した後、分光光度計(日立製作所製「U−3500」)を用いて吸光度を測定(耐熱性試験)することにより色素の残存率を算出したところ、81.8%と優れた耐熱性を示した。この耐熱性試験前後の色調をグレタグマクベス社の色彩計(機器名;グレタグSPM50)を用いて測定したところ、JIS Z8729に規定されるL* * * 表色系におけるの色座標b* 値の変化は、−0.70で黄色変化はなかった。
また、キセノンフェードメーター(スガ試験機(株)製「FAL−25AX−HC.B.EC」)中で、ブラックパネル温度63℃、相対湿度33%の条件下で、2000万Lux・hr露光処理した後、分光光度計(日立分光光度計(U−3500))で吸光度を測定し、その値から色素の残存率を算出したところ、色素残存率78.6%であった。この耐光性試験前後の色座標b* 値の変化は、−0.12で黄色変化はなかった。
さらに、60℃、相対湿度90%中に、500時間保存した後の色素残存率を日立分光光度計(U−3500)の吸光度で測定した(耐湿熱性試験)ところ、92.3%と、優れた耐湿熱性を示した。また、グレタグマクベス社の色彩計(機器名;グレタグSPM50)を用いて測定した、この耐湿熱性試験前後の色座標b* 値の変化は、−0.13で黄色変化はなかった。
実施例1
比較例1の近赤外線吸収フィルターの含金属インドアニリン系化合物含有層面と反対側のポリエテレンテレフタレート樹脂面上に、紫外線吸収剤である2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールの0.63%シクロヘキサノン溶液0.36g、ポリエテレンテレフタレート樹脂(バイロン200;東洋紡(株)製)の20%シクロヘキサノン溶液3gを混合し、バーコーター(No.24;江藤器械(株)製)で塗工し、乾燥して、膜厚6μmのコーティング膜を得た(紫外線吸収層積層膜)。この紫外線吸収層の50%透過率での波長は390nmであった。
この近赤外線吸収フィルターについて、同様に耐熱性、耐光性及び耐湿熱性の評価を行ったところ、耐熱性及び耐湿熱性試験の結果としては比較例1と同様であり、耐光性試験結果としては、色素の残存率は97.3%であり、非常に耐光性が優れていることが確認できた。また、この場合の色座標b* 値の変化は、+0.06で黄色変化はなかった。ここで、耐光性試験において紫外線吸収層側を露光面として行った。
比較例2
含金属インドアニリン系化合物0.017gの他に、更に、紫外線吸収剤である2−(2' −ヒドロキシ−3' ,5' −ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.0051gを追加してインク溶液を作成した以外は比較例1と同様に実施して近赤外線吸収フィルターを得た。この近赤外線吸収フィルターについて、同様に耐熱性、耐光性及び耐湿熱性の評価を行ったところ、耐熱性試験後の色素残存率は93.0%、色座標b* 値の変化は、−0.47であり、耐光性試験後の色素残存率は72.0%、色座標b* 値の変化は、―0.05であり、耐湿熱性試験後の色素残存率は64.4%、色座標b* の変化は、―0.16であった。
比較例3
比較例1の一般式(I) のNO.I−2の含金属インドアニリン系化合物の代わりに、下記式
Figure 2005128494
で表されるジイモニウム系近赤外線吸収色素0.017gを使用し、他は同様にして処理して、実施例1と同様に近赤外線吸収フィルターを作製した。
この赤外線吸収フィルターについて、実施例1と同様にして、耐熱性、耐光性及び耐湿熱性試験を行ったところ、耐熱性試験後の色素残存率は86.5%と良好であったが、色座標b* 値の変化は+10.29と黄色変化が激しく色調変化が大きいものであった。また、耐光性試験後の色素残存率は89.0%と良好であったが、色座標b* 値の変化は+6.79であり、同様に黄色変化が激しく色調変化が大きいものであった。さらに、耐湿熱性試験後の色素残存率は、88.1%と良好であったが、色座標b* 値の変化は+9.10であり、黄色変化が激しく色調変化が大きいものであった。
以上の実施例1及び比較例1〜3の結果を以下の表に示す。
Figure 2005128494
以上の結果から分かるように、ジインモニウム系近赤外線吸収色素を用いた近赤外線吸収フィルター(比較例3)は、耐熱性、耐光性及び耐熱性試験後の色素残存率がいずれも85%以上と高いものの、フィルターの黄変が激しいものであるのに対し、含金属インドアニリン系色素を用いた場合(実施例1)には黄変が無いことが分かる。
加えて、紫外線吸収剤層を近赤外線吸収剤含有層と別に設け積層したもの(実施例1)は、紫外線吸収剤を用いない場合(比較例1)及び紫外線吸収剤を同一層に加えた場合(比較例2)に比べ、耐光性試験後の色素残存率は格段に向上し、特に耐湿熱性試験結果によれば、紫外線吸収剤を同一層に加えた場合(比較例2)かえって色素残存率が低下してしまい好ましくないことも分かる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 2005128494
    (式(I) 中、Mは金属原子を示し、環Aは含窒素芳香環を示し、環Bはベンゼン環又はピリジン環を示す。
    1 及びR2 は、それぞれ独立して、一価基を示し、k及びhは、それぞれ独立して、0〜4の整数を示す。但し、カルボニル基のα位がNHCORで表される基(Rは、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルケニル基、置換されていても良いアリール基、置換されていても良い複素環基、置換されていても良いアルコキシ基、置換されていても良いアルケニルオキシ基、置換されていても良いアリールオキシ基、置換されていても良い複素環オキシ基又は置換されていても良いアミノ基を示す。)で置換されることはない。
    3 及びR4 は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基を示す。ここで、R3 とR4 は、互いに結合して含窒素5又は6員環を形成してもよいし、R3 及び/又はR4 は環Bと結合して5又は6員の環を形成していてもよい。
    Zは1価又は2価の陰イオンを示す。mは2又は3示し、nは1又は2を示す。)
    で表される含金属インドアニリン系化合物含有樹脂層を有し、紫外線吸収剤を含有する層が積層されていることを特徴とするする近赤外線吸収フィルター。
  2. ディスプレイパネル用であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収フィルター。
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