JP2005126869A - ポリエステル未延伸糸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 紡糸における配向を抑制するだけでなく紡糸時の工程安定性も改善し、高伸度のポリエステル未延伸糸を高効率的に生産することができる方法を提供すること。
【解決手段】 チタンアルコキシド又はチタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸(又はその無水物)との反応生成物と特定のホスホノ酢酸誘導体との存在下に重縮合した、チタン元素とリン元素の含有割合が特定範囲にあるポリエステルに、該ポリエステルとは非相溶性のポリマーを0.3〜5.0重量%添加して溶融紡糸し、複屈折率が0.005〜0.070のポリエステル未延伸糸を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル未延伸糸及び該未延伸糸を利用した混繊糸の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ポリエステルを溶融紡糸するに際して、特定のチタン化合物とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルを用いると共に、該ベース・ポリエステルとは異なる非相溶性のポリマーを溶融混合して紡糸するポリエステル未延伸糸の製造方法、及び、その際該未延伸糸とは異なるポリエステル未延伸糸を紡糸混繊してなる未延伸糸の製造方法に関するものである。
ポリエステル繊維は種々の特性に優れていることから、多量に且つ広い分野にわたって用いられている。なかでも、紡糸引取速度が2000〜4000m/分といった高配向未延伸糸(以下POYと略する)は、延伸仮撚加工に供されたり、他の延伸糸や未延伸糸と混ぜられて複合的な混繊使いに使用されるなど、非常に用途が広く、ポリエステル繊維の中での工業的な位置は高い。また、POYは延伸仮撚加工性に優れているため、従来の延伸糸を使用するよりもより高速加工が可能となり、その生産性も飛躍的に向上した。
近年、さらなる生産性向上に対する要求が高まっており、紡糸引取速度を速くすることによって、時間あたりの生産量向上による生産性向上を狙い、種々の試みが行われてきた。しかしながら、ポリエステル繊維は、紡糸引取速度の増大と共に配向結晶化が進み、機械的な性質が変わってしまうのは周知の事実であり、延伸仮撚加工性は低下する。この問題を解決すべく、紡糸引取速度を速くした場合でも同等の特性のポリエステル繊維を得るという目的で、紡糸引取速度が速くなるにつれて、配向結晶化が増大することを抑制する方法が検討されてきた。
例えば、特許文献1には、スチレン系重合体を含むポリエステルを用いることにより、また、特許文献2には、メタクリル酸エステル系重合体を含むポリエステルを用いることにより、伸度の向上を狙った技術が提案されている。これらの問題としては、ブレンドした際の混練が不十分な場合には伸度向上効果が認められないこと、また該重合体の重合度が上がるにしたがって伸度の向上が認められるが、紡糸時に断糸(糸切れ)が多発して紡糸調子が悪くなることがあげられる。
このような問題を改善するため、ポリエステルに含有させるポリマーを改質する方法が検討されている。例えば、特許文献3には、50〜90%がイミド化されたポリメチルメタクリレートを高重度のポリエチレンテレフタレートに0.1〜5.0重量%添加して、高速製糸性を高めると同時に同一紡糸引取速度における伸度を高める方法が、また、特許文献4には、無水マレイン酸の平均共重合量がポリマー1モル当たり2〜20モルであるビニル系ポリマー(例えばスチレン・無水マレイン酸系共重合体)を、ポリエステルに対して0.01〜10重量%配合することにより、ポリエステルの分子配向を抑制する方法が提案されている。さらに、特許文献5には、配向結晶抑制機能を有するリン化合物を含有するポリエステルに、特定の流動特性を有するポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテンなどを配合することが提案されている。
これらの技術は、いずれも配合するポリマーとポリエステルとの親和性を向上させ、該ポリマーをポリエステル中に微分散化して製糸性を向上させようというものである。しかしながら、該ポリマーがポリエステルと反応しやすい場合には、ゲル化しやすくなる等の問題がある。また、該ポリマーは非常に高価なものが多く、コスト的にも問題がある。
このような、ポリマーブレンドの問題を解消するため、例えば特許文献6には、芯部に該ポリマーを配した芯鞘型複合繊維とする方法が提案されている。しかしこの方法では、芯成分として導入したポリマーが延伸時に分離しやすいため、染斑の原因となるだけでなく、複合紡糸機を使用する必要があるために設備が複雑且つ高価になるだけでなく、添加ポリマーの残留・滞留により、長時間での製糸は不安定になるという問題もある。
さらに、特許文献7には、ポリエステル中に分散されたポリマーの分子量及び分散径を規定して製糸性を改善する方法が提案されている。しかしながら、本発明者の検討によれば、必ずしも製糸工程安定性には反映されていないことが判明した。
また、他種ポリマーを併用せずに伸度を向上させる方法としては、例えば特許文献8や特許文献9には、ポリエステルを紡糸口金から溶融吐出した後の冷却方法をエジェクター方式とすることにより、紡糸引取速度によって発生する随伴流の糸速度と冷却風の速度を同一にする方法が提案されている。この方法によれば、ポリエステル中に他種ポリマーを添加しなくてもよく、長期ランニングでの該ポリマーの滞留に起因する問題は解消されるものの、特に単糸繊度が1dtex以下の場合には物性コントロール及び冷却風の均一化が困難になって糸斑が発生しやすくなるだけでなく、設備投資も増大するという問題がある。
また、このようにして得られるポリエステル未延伸糸は、別工程で製糸された他の原糸と延伸混繊や延伸仮撚混繊することができるが、一方の原糸だけを高生産性にしても、コスト的なメリットはない。このため、かかる高生産性のポリエステル未延伸糸を利用した高効率的な混繊方法も従来種々提案されている。
従来混繊糸を得る方法としては、熱収縮差が大きい2種以上の糸条を混繊する方法が知られ、該混繊糸を熱処理して嵩高糸を得るというものである。そして熱収縮差を得る方法としては、ポリエステルの粘度差を利用する方法や、一方のポリエステルに第3成分を共重合し、その分子構造差による結晶配向差を利用する方法が知られている。
熱処理を施すことによって嵩高性を呈するポリエステル混繊糸は、熱収縮差を有するポリエステル繊維同士を混繊することによって得られるが、かかる混繊糸は、熱処理により低収縮率を有するポリエステル繊維が該高収縮ポリエステル繊維の周辺に張り出すことによって嵩高性を発現するものである。この時、高収縮ポリエステル繊維の単繊維の繊度を太くし、低収縮ポリエステル繊維の単繊維の繊度を細くすることにより、熱処理後に得られる混繊糸の風合いは、表面タッチがソフトであって、且つ腰があるものとなる。このような熱収縮率差を有するポリエステル混繊糸を得るには、潜在的に熱収縮率差を有する複数の糸条群を混繊する方法が多く採用されている。
例えば、特許文献10には、同一紡糸口金からポリエステルを溶融吐出し急冷して得られるフィラメントを2つの群に分割し、その一方の糸束には水が主体である油剤を付与し、他方の糸束には水よりも高温の沸点を有する油剤を付与し、次いで、両者を別々に同一条件で熱処理しつつ延伸を施した後、両者を混繊する方法が提案されている。しかし、この方法では紡糸油剤の沸点差を利用してのみなので、糸束間の沸水収縮差を十分に大きくすることができず、最終的に得られる嵩高糸は嵩高性に乏しく、満足し得る風合は得られない。
また、特許文献11には、同一紡糸パックより2つのマルチフィラメント糸条を溶融吐出し、一方の糸条と他方の糸条に集束位置に差をつけると共に速度4500m/分以上で引取ることにより、該引取りの差異による空気抗力差を発生させ、2つの糸条に収縮差を生じさせる方法が提案されている。この方法は、発生する張力差を利用して糸条に熱収縮差をつけるもので、熱収縮差はそれ程大きくなく、しかも、空気抗力の大きい糸条は糸切れ等が発生しやすいという問題がある。
さらに特許文献12には、同一紡糸パックより2以上のマルチフィラメント糸条を溶融吐出させ、一方の糸条の紡糸速度と他方の糸条の紡糸速度とに差を生じるように一旦引取り、次いで、紡糸速度の早い糸条と紡糸速度の遅い糸条とを混繊し引取り、捲取ることにより、熱収縮差を生じさせる混繊糸が提案されている。しかし、この方法では糸条の熱収縮差は得られるものの、パワー不足から織物としての十分な膨らみが発現されず、また、風合いも不十分である。
また特許文献13には、溶融吐出させた複数の糸条群のうち、一方の糸条群には水を付与し、他方の糸条群には水を付与せず非集束状態で、夫々温度150℃以上に設定された加熱筒に同時に通して、3000〜5500m/分の速度で引取った後に合糸混繊する方法が提案されている。この方法によれば、確かに、集束位置が異なることと水を先に付与することで、水を付与した糸条群が加熱筒内での熱の影響をあまり受けずに、ある程度高い収縮率を維持し、しかも、延伸が施されない状態になるため、高い伸度を有し、熱収縮差による嵩高性を発現する。しかし、均一な染め上がりの混繊糸が得難いだけでなく、発色性にも乏しく、所謂、霜降り糸に近い状態の濃淡のある嵩高性の高い混繊糸しか得られない。
さらに特許文献14には、イソフタル酸と2種のヒドロキシエトキシフェノールを主体とする3種の共重合成分を特定量共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートからなる高収縮繊維と、ポリエチレンテレフタレートからなる低収縮繊維からなり、その収縮差が5〜25%の範囲にある混繊糸が提案されている。確かに、第3成分を共重合することにより十分な収縮差が得られるものの、安価で生産性に優れた混繊糸とは言い難く、イソフタル酸を主体とする第3成分の重合の点でも能力が落ち好ましくない。
また別の方法として、特許文献15には、紡糸口金の各吐出孔の吐出径及び温度を規定することにより、ドラフト差及び温度差に起因する熱収縮率や伸度に差を付与する方法が提案されている。確かに、ポリエステルは、高ドラフト条件や急冷却する条件により、高配向及び高結晶化、高比重の糸が得られ易くなる。
近年、繊維製品に対する市場のニーズは、均一、均質なものから、消費者の高級化指向に伴う多種、多様なものへと変化し、少品種・大量生産から多品種・少量生産の付加価値品生産へと変化している。このため、付加価値銘柄の品質・量の確保という要求に応えながら、生産性の向上とコストアップ要因を押さえて付加価値品を生産していく生産技術が必要となってきている。
かかる要求にこたえるため、特許文献16には、鞘成分にポリエステル、芯成分に該鞘成分よりも伸長粘度の温度依存性が大きいポリマーをポリエステルに1〜10重量%添加する方法が提案されている。確かにこの方法によれば、紡糸速度は8000〜15000m/分と非常に高いため生産が非常に高く、また、細化挙動が、鞘成分のポリエステル単独糸よりも遅れるため、高速でより効果が増大するとされている。したがって、芯鞘複合繊維における生産性の向上は図れるが、混繊糸用の原糸としては使用できない。また、伸度差を利用する混繊糸の場合には、より低速で紡糸したより高伸度のものを用いる時、初めて延伸仮撚加工して適度な風合を発現させることができるのであって、上記の繊維を用いても十分な風合は得られない。
特開昭56−91013号公報 特開昭57−47912号公報 特表平7−504717号公報 特開平11−61568号公報 特開2000−136437号公報 特開平8−246247号公報 特開2001−140126号公報 特開2001−81625号公報 特開2001−336023号公報 特開昭54−82423号公報 特開昭58−191211号公報 特開昭60−126316号公報 特開平7−243144号公報 特開平8−209442号公報 特開平4−194010号公報 特開平10−1825号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みなされたもので、その目的は、紡糸における配向を抑制するだけでなく紡糸時の工程安定性も改善し、高伸度のポリエステル未延伸糸を高効率的に生産することができる方法を提供することにある。また別の目的は、該方法を利用した効率的な紡糸混繊された未延伸糸を製造する方法を提供することにある。
本発明者の研究によれば、上記課題は、「複屈折率が0.005〜0.070のポリエステル未延伸糸を製造するに際し、下記一般式(I)で表されるチタン化合物及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分と、下記一般式(III)で表されるリン化合物成分とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルであって、該ポリエステル中のチタンとリンの含有濃度が下記数式(1)及び(2)を同時に満足するポリエステルを用いると共に、該ポリエステル中に該ポリエステルとは非相溶性のポリマーを0.3〜5.0重量%の範囲で溶融添加し、次いで紡糸口金より溶融吐出することを特徴とするポリエステル未延伸糸の製造方法。」により達成できることが見出された。
Figure 2005126869
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Figure 2005126869
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その際、上記の非相溶性ポリマーを含有するポリエステルと、それとは異なるポリエステル又は非相溶性ポリマーを含有しないポリエステルとを、同一の紡糸口金又は互いに異なる紡糸口金から溶融吐出し、引取り・巻取りの工程において、得られた未延伸糸を合糸して巻取ることが望ましい。
本発明の製造方法によれば、紡糸における配向が従来よりも抑制されるだけでなく紡糸時の工程安定性も改善することができるので、より高伸度の未延伸糸を高効率的に生産することが可能となる。また、他のポリエステルを同一又は異なる紡糸口金を用いて紡糸混繊することにより、付加価値を付与することができるポリエステル未延伸混繊糸を効率よく生産することも可能となる。
本発明においては、複屈折率が0.005〜0.070のポリエステル未延伸糸を製造するに際して、下記のポリエステルを用いる必要がある。未延伸糸の複屈折率が上記範囲を外れる場合には、本発明の高効率生産という効果が発現されなくなるので好ましくない。
本発明で用いられるポリエステルは、上記一般式(I)で表されるチタン化合物及び上記一般式(I)で表されるチタン化合物と上記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分と、上記一般式(III)で表されるリン化合物成分とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるものである。かかるポリエステルは、該触媒に起因する異物の生成が少ないため、紡糸時の工程安定性が向上するので好ましい。
一般式(I)で表されるチタン化合物としては、具体的には、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドに例示されるチタンテトラアルコキシド、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネートなどを挙げることができ、なかでもチタンテトラアルコキシドが好ましく、特にチタンテトラブトキシドが好ましい。
また、該チタン化合物と反応させる一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
該チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる条件は特に限定する必要はなく、例えば、適当な溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部又は全部を溶解し、この溶液中にチタンアルコキシドを滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱すればよい。この際、反応圧力も特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸又はその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キシレン等、所望に応じて任意の溶媒を適宜選択して用いればよい。
ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比も特に限定する必要はないが、芳香族多価カルボン酸又はその無水物の割合が少なくなりすぎると、得られるポリエステルの色調改善効果が小さくなり、逆に多くなりすぎると重縮合反応が進みにくくなる場合がある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
本発明におけるポリエステルは、上記のチタン化合物成分に加えて、上記式(III)で表されるリン化合物の存在下で、芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合することにより得られるものである。好ましく用いられる該リン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボブトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボエトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボプロポキシフェニルメタンホスホン酸、カルボブトキシフェニルメタンホスホン酸等のホスホン酸誘導体のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類、ジブチルエステル類等から選ばれることが好ましい。
このようなホスホネート化合物は、通常ポリエステルの重縮合反応時に安定剤として使用されるリン化合物と比較すると、前記チタン化合物成分との反応がより緩やかに進行するため、反応中における該チタン化合物成分の触媒活性持続時間が長くなり、結果として該チタン化合物成分の存在量を少なくすることができる。また、前記チタン化合物成分に対して該ホスホネート化合物を比較的多量に用いても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調も悪化させることもない。
このように重縮合して得られる本発明にかかるポリエステルは、チタン金属元素濃度及びリン元素濃度が、下記数式(1)及び(2)を同時に満足する必要がある。
Figure 2005126869
ここで、(P/Ti)が1未満の場合には、重縮合時に着色が進み、得られるポリエステルの色相が黄味を帯びたものとなるので好ましくない。一方、(P/Ti)が5を越える場合には、ポリエステルの重縮合反応性が大幅に低下するため、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。
また、(Ti+P)が10未満の場合には、製糸工程における生産性が大きく低下するため、満足な性能を有する繊維が得られなくなるので好ましくない。一方、(Ti+P)が250を越える場合には、重縮合反応時に、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生しているので好ましくない。
なお、前記(1)式の(P/Ti)は1.2〜4.5、特に1.5〜4.0の範囲が好ましく、(2)式の(Ti+P)は15〜200、特に20〜150の範囲が好ましい。
また、Ti金属元素濃度は、ポリエステルの全酸成分を基準として2〜15ミリモル%の範囲が適当である。
本発明で用いられているポリエステルは、上記のチタン化合物とリン化合物との存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるものであるが、該芳香族ジカルボキシレートエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとからなるジエステルであることが好ましい。
ここで芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸を主とすることが好ましい。より具体的には、テレフタル酸が全芳香族ジカルボン酸を基準として70モル%以上、なかでも80モル%以上を占めていることが好ましい。ここでテレフタル酸以外の好ましい芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等を挙げることができる。
また、脂肪族グリコールはアルキレングリコールが好ましく、具体的には、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコール等を例示することができる。なかでも、エチレングリコールが好ましい。
なかでも、全繰り返し単位の70モル%以上がエチレンテレフタレートからなるポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明にかかるポリエステルは、上記の芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコール以外の酸成分又はジオール成分が、少なくとも1種共重合された共重合ポリエステルであってもよい。
好ましく用いられる共重合成分としては、酸成分として、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などの二官能性カルボン酸をあげることができる。また、ジオール成分として、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどをあげることができる。
さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を、得られるポリエステルが実質上線状である範囲で少量共重合したものであってもよい。
本発明においては、上記の芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとからなる芳香族ジカルボキシレートエステルが用いられるが、該芳香族ジカルボキシレートエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとのジエステル化反応によって得てもよいし、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルと脂肪族グリコールとのエステル交換反応により得てもよく、その製造方法は任意である。しかしながら、後者のエステル交換反応による方法の方が、前者のジエステル化反応による方法よりも、重縮合反応中に存在させる前記リン化合物の飛散がより少なくなるので好ましい。
なお、前記チタン化合物成分の一部及び/又は全量を、該エステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒との両反応の触媒として兼用させることが好ましい。このようにすることにより、得られるポリエステル中の金属触媒の含有量を低減することができる。
以下、ポリエチレンテレフタレートを例として、好ましい態様をさらに具体的に説明する。まず、テレフタル酸のジアルキルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応を、前記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド、及び、該チタンアルコキシドと前記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも1種のチタン化合物成分の存在下に行う。得られたテレフタル酸とエチレングリコールとのジエステルを含有する反応混合物に、さらに前記一般式(III)で表されるリン化合物を添加し、これらの存在下に重縮合する。
なお、該エステル交換反応は、通常常圧下で実施されるが、0.05〜0.20MPaの加圧下に実施すると、チタン化合物成分の触媒作用による反応がさらに促進され、かつジエチレングリコールの副生も低減するので、得られるポリエステルの熱安定性などの特性が良好となるので好ましい。温度は160〜260℃の範囲が適当である。
次に、前記チタン化合物成分とリン化合物との存在下に、上記で得られたエチレングリコールエステル又はその低重合体を、減圧下で、得られるポリエステルの融点以上分解点未満の温度(通常240℃〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応のエチレングリコール及び重縮合で発生するエチレングリコールを反応系外に留去させながら行うことが望ましい。
重縮合反応は、1槽で行ってもよく、複数の槽に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が2段階で行われる場合には、第1槽目の重縮合反応は、反応温度が245〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が100〜1kPa、好ましくは50〜2kPaの条件下で行われ、最終第2槽での重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜290℃、反応圧力は通常10〜1000Paで、好ましくは30〜500Paの条件下で行われる。
本発明で用いられるポリエステルは、上記のようにして製造することができるが、得られたポリエステルは、通常、粒状(チップ状)にされる。なお、得られるポリエステルの固有粘度は0.40〜0.80、好ましくは0.50〜0.70であることが望ましい。所望により、固相重縮合によりさらに固有粘度をあげても構わない。
該固相重縮合工程に供給される粒状ポリエステルは、予め、固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。
本発明においては、上述のポリエステルに、該ポリエステルとは非相溶性のポリマーを0.3〜5.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%を溶融混合する必要がある。該非相溶性ポリマーの添加量が0.3重量%未満の場合には、伸度向上効果は不十分となり、逆に5.0重量%を超える場合には、断糸が多発するようになり工程安定性が悪化するので好ましくない。
好ましく用いられる非相溶性ポリマーとしては、例えば、分子量が2000以上の不飽和モノマー付加重合体をあげることができ、特にその熱変形温度(T)が105〜150℃の範囲にあるものが好ましい。具体的には、ポリメチルメタクリレート系重合体、アイソタクチックポリスチレン系重合体、シンジオタクチックポリスチレン系重合体、ポリメチルペンテン系重合体をあげることができ、これら重合体は、ポリエステルとは独立に応力担持体として作用させて残留伸度を向上させる点から、その分子量は2000以上、特に8000以上であることが好ましい。一方、該分子量が大きくなりすぎると紡糸時の曳糸性が悪化すると共に、巻取りも困難になり、さらには、得られるフィラメントの機械的特性も低下する傾向にあるので、20万以下、好ましくは15万以下とすることが望ましい。
より好ましい該付加重合体としては、分子量が8000以上20万以下であって、ASTM−D1238で規定される条件(230℃、荷重3.8kgf)において、メルトインデックス(M.I.)が0.5〜15.0g/分であるポリメチルメタクリレート系共重合体やスチレンを主成分とするアイソタクチックポリスチレン系共重合体、また、同様の分子量範囲でM.I.(ASTM−D1238に準拠;260℃、5.0kgf)が5.0〜40.0g/10分の範囲にあるポリメチルペンテンないしその誘導体、さらに、同様の分子量範囲でM.I.(ASTM−D1238に準拠;300℃、2.16kgf)が6.0〜25.0g/10分のシンジオタクチックポリスチレン(結晶性)ないしその誘導体をあげることができる。これらの重合体は、ポリエステルの紡糸温度において、熱安定性と分散状態の安定性に優れているので好ましい。
かかる非相溶性ポリマーを前記ポリエステル中に溶融添加する方法は特に限定されず、任意の方法を採用することができる。例えば、ポリエステルの重合末期の段階で該ポリマーを添加混合してもよく、また、重合後のポリエステルと該ポリマーとを溶融混合してもよい。さらには、サイドストリームから該ポリマーを溶融状態でポリエステルの溶融紡糸装置に、動的又は静的混合装置を介して添加混合してもよい。また、両者をチップ状態で混合した後、そのまま溶融紡糸してもよい。中でも、ポリエステル直重・直紡ラインのポリエステル配管から一部のポリエステルを引き出し、それをマトリックスとして該非相溶性ポリマーを混練り分散させ、次いでこの混合ポリマーを元のベースポリマーラインに戻し、次いで動的又は静的混合装置の介して混合してもよい。
得られた混合ポリマーは、紡糸口金直上に設置したポアサイズが40μm以下、特に25μm以下のフィルターを通過させて吐出孔より溶融吐出する。吐出孔の長さ(L)と直径(D)との比(以下L/Dと称する)は4〜10の範囲が好適であり、Dは0.2〜0.6mmの範囲とするのが吐出ポリマー流を安定にする上で好ましい、吐出された糸条は、紡糸ドラフトを150〜800、特に250〜600の範囲に調整して、1500〜8000m/分、特に2000〜6000m/分の速度で引取ることが好ましい。紡糸ドラフト及び引取速度が上記範囲を外れると、該非相溶性ポリマーを溶融添加する効果が小さくなり、本発明の目的を達成することが難しくなりやすい。また、上記範囲を越える場合には、得られる未延伸糸の伸度が低下するため、延伸、延伸仮撚加工などの後加工性も低下しやすい。なお、ここでいう紡糸ドラフトは以下の式で定義されたものである。
紡糸ドラフト=紡糸引取り速度(m/分)/吐出面におけるポリマー平均通過速度(m/分)
ここで、紡糸口金から溶融吐出された糸条は、例えば温度が室温以下で湿度が65%以下、風速が0.2〜0.8m/秒の冷却風で均一に冷却固化した後、延伸、仮撚加工などの後加工に応じた適正な油剤を付与し、引取ローラーを介して未延伸糸として巻取る。
なお、紡糸口金面から0〜100mmの距離内を、吐出糸条の冷却が遅延されるように、雰囲気温度が100〜300℃の範囲となるよう加熱してもよい。また、紡糸口金吐出面から2000mm以内の位置でフィラメント束を集束すれば、吐出糸条の揺らぎを小さくすることができ、得られるポリエステル未延伸糸の単糸断面の均斉性(イブネスU%)を向上することができる。特に、より高速領域で製糸する場合には、非相溶性ポリマーの添加により伸長粘度が上がるためにポリエステル未延伸糸に負荷される紡糸張力が上がるので、該非相溶性ポリマーを施さない場合よりも集束位置を上げる(口金により近づける)ことが好ましい。
上述の方法により得られるポリエステル未延伸糸の物性としては、分子配向度(複屈折率)が0.005〜0.080であり、イブネスU%が0.8%以下、密度が1.330〜1.380g/cm、温水(65℃)収縮率が3〜60%、最大点強度が1.0〜3.0cN/dtex、破断伸度が80〜450%、一次降伏応力が0.20〜2.0cN/dtex、熱応力ピーク値が0.1〜0.6cN/dtex、熱応力ピーク温度が繊維を構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)より0〜10℃高いことが好ましい。このような物性を有するポリエステル未延伸糸は、例えば延伸仮撚加工に供すると安定して加工することが可能であり、より優れた均染性、加工糸物性を有するものが得られる。また、多種未延伸糸と混繊して延伸又は延伸仮撚加工を施せば、膨らみのある嵩高間に優れた混繊糸を効率的に得ることができる。
また、上述のポリエステル未延伸糸の製造方法は、単独のポリエステルからなる未延伸糸を製造するのみならず、他のポリエステルを同時に紡糸・混繊したポリエステル未延伸糸(未延伸混繊糸)の製造に応用できる。例えば、非相溶性ポリマーを溶融添加したポリエステルと、添加しないポリエステル又は添加したポリエステルとは異なるポリエステルとを、同一の紡糸口金又は互いに異なる紡糸口金からそれぞれ溶融吐出し、得られた未延伸糸を合糸して巻き取ることによって、特性の異なる2種の未延伸糸を混繊したポリエステル未延伸糸(複合糸)を得ることができる。合糸する際、必要に応じてインターレースノズルなどにより交絡を付与してもよい。
非相溶性ポリマーを添加したポリエステルとは異なるポリエステルとしては、全繰り返し単位の85モル%以上、好ましくは95モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエステルが好ましい。テレフタル酸成分及びエチレングリコール成分以外の第3成分を少量(通常は、テレフタル酸成分に対して20モル%以下)共重合したものであってもよい。通常、織物として使用されるポリエステルの固有相対粘度IV(35℃のo−クロロフェノール溶液を溶媒として使用し算出)は、0.45〜0.70、特に0.50〜0.67の範囲が適当である。また、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤を含んでもよい。
以上に説明した本発明の方法により得られるポリエステル未延伸糸は、これを延伸仮撚加工することにより、毛羽などが極めて少ない品質に優れた仮撚加工糸とすることができる。また、非相溶性ポリマーが添加されたポリエステル未延伸糸と添加されないポリエステルのみからなる未延伸糸を混繊した複合糸からは、さらに効率的に、付加価値のある加工糸を得ることができる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)触媒のチタン金属含有量
触媒化合物中のチタン金属濃度は、理学電機工業株式会社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。
(2)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
(3)複屈折率(Δn)
オリンパスBH−2偏光顕微鏡を使用し、コンペンセーター法により単糸のレターデーションと糸径を測定し、複屈折率を求めた。
(4)密度
密度が1.276〜1.416g/cmの範囲内になるように調整したn−ヘプタン/四塩化炭素混合液を使用し、密度勾配管法により測定した。
(5)破断強度、破断伸度
(株)島津製作所製テンシロン引張試験機を用いて試料長20cm、伸長速度20%/分の条件で引張試験を行い、荷重・伸張曲線をから求めた。混繊の場合の伸度差は、混繊状態の原糸を引張試験機で引張り、完全に切断するまでの伸長曲線を描かせ、一段目の破断が終わるのを非相溶性ポリマーが含まれていない未延伸糸、2段目の破断が終わるのを非相溶性ポリマーが含まれている未延伸糸とし、これらの差を伸度差とした。
(6)紡糸断糸
1錘建ての溶融紡糸機を1週間連続運転し、人為的あるいは機械的要因に起因する断糸を除き、その間に発生した断糸回数を記録し、捲取機1台・1日当たりの断糸回数を計算し、紡糸断糸とした。通常1日に1回であれば、生産する上では問題ないレベルと判断できる。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.009部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、カルボエトキシメタンホスホン酸ジエチルエステル0.035部を添加し、エステル交換反応を終了させた。次いで、該反応生成物を重合容器に移し、290℃まで昇温し、26.67Pa以下の高真空にて重縮合反応を行った。重縮合反応の進行度合いを、系内の撹拌翼への負荷をモニターしなから確認し、所望の重合度に達した時点で、反応を終了した。その後、系内の反応物を吐出部からストランド状に連続的に押し出し、冷却、カッティングして、約3mm程度の粒状ペレットを得た。得られたポリエチレンテレフタレートは固有粘度が0.630であった。
得られたチップを乾燥し、スクリュー式押出機を装備した溶融紡糸設備にて温度290℃で溶融し、一方、非相溶性ポリマーであるポリスチレン(平均分子量が8万、熱変形温度が110℃のシンジオタクチックポリスチレン)を85℃×5時間乾燥した後に溶融温度290℃で1軸溶融押出機にて押出してポリエステルのポリマー導管側に流入させ、スタッテック・ミキサー(10段)を通して混練し、温度290℃に保たれたスピンブロックに導入し、紡糸パックで濾過し、直径0.20mmの円形吐出孔が48個穿設された紡糸口金から、吐出量32g/分の割合で吐出した。紡糸捲取機は4台であり、パック当たり6個の紡糸口金を使用した。(合計で24錘建ての紡糸設備)
次いで、吐出されたポリマー流を、紡糸口金面から40mmの間の雰囲気が230℃に保たれたホットゾーンを通過せしめ、クロスフロー式紡糸筒からの温度25℃の冷却風で冷却し、紡糸口金面から800mmの位置(集束長)に設置されたメタリングノズル式給油ガイドで油剤を付与しつつ、フィラメント束として集束し、表面速度3200m/分で回転している1対(2個)のゴデットローラーで引き取り、捲取機で巻き取って90dtex/48フィラメントの未延伸糸を得た。この破断伸度は250%、複屈折率(配向度)は0.018、密度は1.333g/cmであった。紡糸断糸は、5日間ランニングし、断糸回数は0.4回/台・日であった。
[比較例1]
酢酸カルシウムをエステル交換触媒、3酸化アンチモン(Sb)を重合触媒とし、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとを常法にて重縮合し、固有粘度0.630のポリエチレンテレフタレートを得た。
このポリエチレンテレフタレートを、実施例1と同様にして溶融紡糸し、90dtex/48フィラメントのポリエステル未延伸糸を得た。この破断伸度は200%、複屈折率(配向度)は0.025で、密度は1.338g/cmであった。また、紡糸断糸は、5日間ランニングし、断糸回数は0.3回/台・日であった。
[実施例2]
紡糸口金の吐出孔(48ホール)を2群(24ホールずつ)に分け、一方の吐出孔から実施例1の非相溶性ポリマーを配合したポリエステルを吐出させ、他方の吐出孔から比較例1で用いたポリエステル単独で吐出させ、実施例1と同様にして冷却固化した後に油剤を付与し、インターレースノズルにより交絡を付与してから表面速度3200m/分で回転している1対(2個)のゴデットローラーで引き取り、捲取機で巻き取って90dtex/48フィラメントの未延伸複合糸を得た。
得られた未延伸複合糸に複合延伸仮撚加工を施したところ、伸度差が十分大きいので、極めて嵩高で風合の良好な加工糸が得られた。
なお、合糸することなく、比較例1で用いたポリエステルに非相溶性ポリマーを溶融添加しないで溶融紡糸した未延伸糸を単独で巻き取った未延伸糸の破断伸度は115%、複屈折率(配向度)は0.037、密度は1.345g/cmであった。また、紡糸断糸は、5日間ランニングし、断糸回数は0.2回/台・日であった。
本発明の製造方法により得られるポリエステル未延伸糸は、向上した残留伸度、及び延伸仮撚加工などにおいて優れた加工性を有するものである。また、高い効率をもって、高速生産が可能でもある。

Claims (6)

  1. 複屈折率が0.005〜0.070のポリエステル未延伸糸を製造するに際し、下記一般式(I)で表されるチタン化合物及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分と、下記一般式(III)で表されるリン化合物成分とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルであって、該ポリエステル中のチタンとリンの含有濃度が下記数式(1)及び(2)を同時に満足するポリエステルを用いると共に、該ポリエステル中に該ポリエステルとは非相溶性のポリマーを0.3〜5.0重量%の範囲で溶融添加し、次いで紡糸口金より溶融吐出することを特徴とするポリエステル未延伸糸の製造方法。
    Figure 2005126869
    Figure 2005126869
    Figure 2005126869
    Figure 2005126869
  2. 芳香族ジカルボキシレートエステルが、下記一般式(I)で表されるチタン化合物及び下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物から選ばれた少なくとも1種のチタン化合物成分を含む触媒の存在下に、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを脂肪族グリコールでエステル交換反応させて得られたジエステルである請求項1記載のポリエステル未延伸糸の製造方法。
    Figure 2005126869
    Figure 2005126869
  3. ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートである請求項1又は2記載のポリエステル未延伸糸の製造方法。
  4. 溶融吐出された糸条を1500〜8000m/分の速度で引き取る請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル未延伸糸の製造方法。
  5. 前記ポリエステルとは非相溶性のポリマーを0.3〜5.0重量%の範囲で溶融添加した前記ポリエステルと、溶融添加しない前記ポリエステルとを、同一の紡糸口金又は互いに異なる紡糸口金からそれぞれ溶融吐出し、引取り・巻取り工程において、得られた未延伸糸を合糸しながら巻き取る請求項1〜4記載のポリエステル未延伸糸の製造方法。
  6. 前記ポリエステルとは非相溶性のポリマーを0.3〜5.0重量%の範囲で溶融添加した前記ポリエステルと、溶融添加しない前記ポリエステルとは異なるポリエステルとを、同一の紡糸口金又は互いに異なる紡糸口金からそれぞれ溶融吐出し、引取り・巻取り工程において、得られた未延伸糸を合糸しながら巻き取る請求項1〜4記載のポリエステル未延伸糸の製造方法。
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