JP2005126860A - ポリ塩化ビニル製手袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリ塩化ビニルペーストレジン(重合度1500);100重量部に対し、(メタ)アクリル系モノマーを主体として重合した分子量1600の(メタ)アクリル系可塑剤;100重量部、Ca-Zn系安定剤;3重量部、増粘剤;1重量部、顔料;微量を加えた配合のものを用い、ポリ塩化ビニル製の手袋を成形した。該手袋は、灯油、ガソリン等の油性物質などと接触した際の可塑剤の移行が少なく、耐油性に優れた効果を示した。
【選択図】 なし
Description
しかし、これら可塑剤を含有してなるポリ塩化ビニル製手袋は、油性物質などと接触した際に可塑剤が油性物質に移行してしまうことがあり、手袋が硬化することによりごわごわした、使用感の悪い手袋になり易いという問題点があった。
可塑剤の含有量が50重量部未満では、手袋としての柔軟性に乏しく硬い風合いの製品に仕上がり、手に装着して作業する際、手が疲れやすくなるなどの不具合が生じるため好ましくない。
また、可塑剤の含有量が150重量部を超えると、手袋が硬くなりすぎ、物理的耐久性が低下して、破損し易くなると共に、可塑剤が手袋表面にしみ出てブリード現象が起こり粘着性が強くなるなどの不具合が生じるため好ましくない。
分子量が10000を超える(メタ)アクリル系可塑剤を用いた場合、ポリ塩化ビニルに対する混合が困難になるなどの不具合が生じるため好ましくなく、分子量が3000以下である場合、このような問題がより確実に解消される。
すなわち、本発明に用いる(メタ)アクリル系可塑剤のより好ましい分子量の範囲は、請求項2記載のように、1000〜3000である。
このようにした場合、配合時にはより低分子量の可塑剤として、ポリ塩化ビニルに対する混合と、ポリ塩化ビニルペーストによる手袋の浸漬成形(手袋の成膜)を容易に行うことができ、成膜後の加熱ゲル化時に架橋を行うことで、分子量が大きく耐油性により優れたポリ塩化ビニル製手袋を提供することが可能になる。
ここで、架橋とは手袋成膜後の架橋を意味し、本発明では手袋成膜後の加熱ゲル化時に架橋を行うものとする。本発明において可塑剤の分子量は、ポリ塩化ビニルに対する可塑剤混合時(配合時)の分子量であり、前記架橋をした後の可塑剤分子量は、前記配合時より大きくなる。
エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどをあげることができる。それ以外の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、請求項3記載のアクリル系モノマーやメタクリル系モノマーなどをあげることができる。
このような可塑剤を用いた場合、反応性架橋剤などを別途用いることなく、該可塑剤の自己反応により、手袋成膜後の架橋を行わせることができる。
尚、エポキシ官能基のみでも自己反応による架橋は可能であるが、反応性に劣る場合があるので、活性水素基を持つ(メタ)アクリルモノマーをさらに共重合させることが好ましい。
活性水素基を持つモノマーとしては、カルボキシル基をもつものとして例えばアクリル酸をあげることができ、また、水酸基をもつものとして、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどの2、3または4−ヒドロキシ基を有するヒドロキシ官能性アクリルモノマーをあげることができる。
それ以外の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、請求項3記載のアクリル系モノマーやメタクリル系モノマーなどをあげることができる。
このような可塑剤を用いた場合、エポキシ官能基や、ジイソシアネート、カルボジアミドなどの活性水素基反応性架橋剤を用いて、手袋成膜後の架橋を行わせることができる。
具体的には、カルボキシル基はビニルエーテルでブロック化することが可能であり、イソシアネート基はメチルエチルオキシム、マロン酸ジアルキルなどでブロック化することが可能である。
よって、耐油性に優れるため、灯油やガソリン等の油性物質の取り扱い用として有効に供することができ、また、例えば食品加工や精密機器加工などの各種作業用としても供することが期待でき、幅広い用途での使用が可能な新規なポリ塩化ビニル製手袋を提供することができた。
また、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーや活性水素基含有(メタ)アクリルモノマーを、前記(メタ)アクリル系モノマーと共重合させ、ポリ塩化ビニルとの混合後に架橋させた場合、耐油性がさらに向上し、前記効果をより実効あるものとし得る。
ディッピング装置を用い、手袋成形型を軟質ポリ塩化ビニル樹脂溶液に浸漬して引き上げ、その手袋成形型の表面に、厚みが所定の範囲、本例では0.3mm厚になるよう調整して、手袋部と袖被覆部が一体の手袋形状に成膜し、これを加熱ゲル化してポリ塩化ビニル製手袋を作製した。
浸漬試験に用いる試料は、前記ポリ塩化ビニル製手袋の平滑な面から切り取った50mm×50mm×厚さ0.3mmの試験片を用い、この試験片を、JIS K 2203に規定する1号試験液である灯油中に、浸漬温度23℃、浸漬時間22時間の条件で浸漬し、浸漬後の試験片の表面積変化率(収縮率)を、次式により算出した。
(式1)
表面積変化率(%)=(1−浸漬後の試験片の2本の対角線の長さ(mm)の積/浸漬前の試験片の2本の対角線の長さ(mm)の積)×100
(メタ)アクリル系モノマーを主体として重合した分子量1000、3000の(メタ)アクリル系可塑剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして試験片を作製し、前記同様の試験を行って耐油性を評価した。結果を表2中に示す。
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)を、4(2EHA):4(BA):2(EA)の配合割合になるよう重合した(メタ)アクリル系可塑剤を用いると共に、分子量を表中記載としたこと以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、前記同様の試験を行って耐油性を評価した。結果を表2中に示す。
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、ブチルアクリレート(BA)、アクリル酸(AA)、グリシジルメタクリレートを、4(2EHA):4(BA):1(AA):1(グリシジルメタクリレート)の配合割合になるよう重合し、手袋成膜後に架橋させた(メタ)アクリル系可塑剤を用いると共に、該可塑剤の配合時(ポリ塩化ビニルペーストレジンに対する混合時)の分子量を表中記載としたこと以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、前記同様の試験を行って耐油性を評価した。結果を表2中に示す。
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、ブチルアクリレート(BA)、アクリル酸(AA)を4(2EHA):4(BA):2(AA)の配合割合になるよう重合し、さらにジイソシアネート(MDI):2重量部を添加し、手袋成膜後に架橋させた(メタ)アクリル系可塑剤を用いると共に、該可塑剤の配合時の分子量を表中記載としたこと以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、前記同様の試験を行って耐油性を評価した。結果を表2中に示す。
フタル酸ジ2−エチルヘキシルを可塑剤として用いること以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、前記同様の試験を行って耐油性を評価した。結果を表2中に示す。
また、「耐油性有り」の中でも、表面積変化率が10%以下であれば、「耐油性極めて高い」との評価を付した。
図1に示すポリ塩化ビニル製手袋Aは、手を収納し得るよう形成された手袋部1の手首部位2に袖被覆部3を延設した手袋本体aの手首部位2の近傍に、前記袖被覆部3のズリ落ちを防止する厚肉部bを一体に形成した薄手の軟質ポリ塩化ビニル製手袋であって、厨房,家事などにおける水仕事や食品加工、医療行為や医療器具の取り扱い、精密機器の組立てや検査などの各種作業を行なう際に使用することができる。
すなわち、厚肉部bは、上記手首部位2を基準として少なくとも、指先側の端部b1が袖口4方向に対し+20mmに位置し、袖口側の端部b2が袖口4方向に対し+40mmに位置する全範囲(図2中に示す範囲L1)に一体成形されることで、厚肉部bと手首部位2若しくは厚肉部bと袖口4との間での手袋本体aの折れ、すなわち、厚肉部b以外の手袋本体aの薄肉部分の折れを防いで、袖被覆部3のズリ落ちを防止している。
また、袖被覆部3における袖口4から指先5に向けて20mmの範囲には、脱着性が劣るなどの理由から、厚肉部bを形成しないほうが良い。
本例では、厚肉部bの形成位置を前記の如く選択することで、袖被覆部3における厚肉部bと指先、厚肉部bと袖口4との間での折れ、すなわち、厚肉部b以外の薄肉部の折れを防いで、袖被覆部3のズリ落ちを防止することができた。
a:手袋本体
1:手袋部
2:手首部位
3:袖被覆部
4:袖口
5:指先
b:厚肉部
b1:指先側の端部
b2:袖口側の端部
t1:手袋本体の厚み
t2:厚肉部の厚み
h:厚肉部の形成幅
Claims (5)
- ポリ塩化ビニル100重量部に対し、可塑剤として、(メタ)アクリル系モノマーを主体として重合した分子量500〜10000の(メタ)アクリル系可塑剤を50〜150重量部含有したことを特徴とするポリ塩化ビニル製手袋。
- 前記(メタ)アクリル系可塑剤の分子量が1000〜3000であることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビニル製手袋。
- 前記(メタ)アクリル系モノマーが、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートなどのアクリル系モノマー、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのメタクリル系モノマーのうちの何れかであることを特徴とする請求項1又は2記載のポリ塩化ビニル製手袋。
- 前記(メタ)アクリル系可塑剤が、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーと、それ以外の(メタ)アクリル系モノマーとを共重合させた分子量500〜10000の可塑剤であり、該可塑剤をポリ塩化ビニルとの混合後に架橋させてなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のポリ塩化ビニル製手袋。
- 前記(メタ)アクリル系可塑剤が、活性水素基含有(メタ)アクリルモノマーと、それ以外の(メタ)アクリル系モノマーとを共重合させた分子量500〜10000の可塑剤であり、該可塑剤をポリ塩化ビニルとの混合後に架橋させてなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のポリ塩化ビニル製手袋。
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