JP2005126299A - カルシウムアルミネート積層体とその製造方法 - Google Patents

カルシウムアルミネート積層体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高濃度に酸素ラジカルを含有するC12積層体を安価に提供する。
【解決手段】結晶質カルシウムアルミネート粉末を用いて酸化マグネシウムで安定化又は部分安定化した酸化ジルコニウム基体上に、高濃度に酸素ラジカルを含有する結晶質カルシウムアルミネート膜を成膜することによる積層体の製造方法であり、好ましくは、結晶質酸素ラジカル含有カルシウムアルミネート膜の酸素ラジカル含有量が1020cm−3以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化触媒、イオン伝導体などの用途展開が期待されている、活性酸素種であるO やOの酸素ラジカルを高濃度に含むカルシウムアルミネート膜およびその積層体に関する。
やOの酸素ラジカルは、活性酸素の1種であり、有機物や無機物の酸化過程で重要な役割を果たすことが知られている。酸化物化合物の固体表面上に吸着したO については、広範な研究が行われている(非特許文献1参照)。
J.H.Lunsford、Catal.Rev.8,135,1973、M.Che and A.J.Tench,Adv.Catal,32,1,1983。
前記の研究では、γ線などの高エネルギーの放射線を酸化物化合物表面に照射することでO を作成している。
を構成アニオンとする結晶はRO(R=アルカリ金属)が知られているが、これらの化合物はいずれも300℃以下の低温で容易に分解してしまうため、酸化触媒、イオン伝導体などの用途には使用できない。
1970年にH.B.Bartlらは、12CaO・7Al(以下、C12という)結晶においては、2分子を含む単位胞にある66個の酸素のうち、2個はネットワークに含まれず、結晶の中に存在するケージ内の空間に「フリー酸素」として存在すると主張している(非特許文献2参照)。
H.B.Bartl and T.Scheller,Neues Jarhrb.Mineral.,Monatsh.1970,547。
また、細野らは、CaCOとAlまたはAl(OH)を原料として空気中で1200℃の温度で固相反応により合成したC12結晶中に1×1019/cm程度のO が包接されていることを電子スピン共鳴の測定から発見し、フリー酸素の一部がO の形でゲージ内に存在するというモデルを提案している(非特許文献3参照)。
H.Hosono and Y.Abe,Inorg.Chem.26、1193,1997。
12は、融点1415℃の安定な酸化物であり、包接されるO の量を増加させ、可逆的な取り込み、放出が可能となれば、酸化触媒、イオン伝導体などとしての用途が開けるものと期待できる。
細野らは更に、前記O を包接するC12について検討を行い、CaCO、Ca(OH)又はCaOと、Al又はAl(OH)とを原料に用い、酸素分圧10Pa以上、水蒸気分圧10Pa以下の乾燥酸化雰囲気下、1200℃以上1415℃未満に焼成し、固相反応させることで、活性酸素種であるO 及びOを1020/cm以上の高濃度で包接するC12を得ている(特許文献1参照)。
特開2002―3218公報。
しかし、細野らの見いだした高濃度に活性酸素種を含有するC12を産業上利用する場合に更に解決するべき課題がある。
すなわち、高濃度の酸素ラジカルを含有するC12を、酸化触媒、イオン伝導体等の用途に適用する場合、当該用途に応じた機能を充分発揮させるためには、それぞれの用途に適合した様々な形態とする必要がある。
12を粉末形態で使用する場合以外は、形態の付与はC12を焼結させることによってなされるのが一般的である。焼結体は、原料となるC12粉末またはカルシウム化合物とアルミニウム化合物との混合粉末を、金型等を用いて所定の形状に成形した後に焼成することによって、製造することができる。しかし、大面積の板状品等の大型品を製造する際には大規模な成形機や焼成炉が必要になるため、高価なものとなってしまう。
この対策として、大面積化が比較的容易なC12の膜を、膜への酸素供給が可能な酸素イオン伝導性を有する基体上に形成させることが考えられる。膜形成の具体的な方法として、スパッタ法やレーザーアブレイシブ法などの物理気相蒸着(PVD)法、ゾルゲル法、化学気相蒸着(CVD)法、溶射法あるいは塗布法等が挙げられるが、それぞれに問題点があった。
すなわち、PVD法やゾルゲル法で得られるC12膜は非晶質であり、そのままでは酸素ラジカルを包接することができない。酸素ラジカルを高濃度に包接できる結晶質のC12とするためには、成膜後さらに1000℃以上の高温で熱処理して結晶化させる必要がある。しかし、C12は非晶質が結晶化する際に大きな体積膨張を伴うため、膜が剥離してしまう問題がある。
CVD法によれば結晶質のカルシウムアルミネート膜を直接成膜することが可能であるが、C12以外のカルシウムアルミネートが生成しやすいため、結晶質のC12だけを含む膜を得ることは極めて困難である。
溶射法においては、原料粉末として結晶質のC12粉末を用い、これを溶射ガンと呼ばれる部位に搬送した後プラズマやフレームによって高温に加熱して少なくとも粉末表面を溶融し、溶射ガンの先端から連続的に噴射して基体表面に付着させた後、凝固させることによって膜が形成される。
溶射法で得られるカルシウムアルミネート膜は、PVD法やゾルゲル法で得られる膜とは異なり、大部分が結晶質C12になる。しかし、原料粉末が溶融した時点で、少量の非晶質C12が生成して溶射膜中に残存する。C12の使用法として、含有する酸素ラジカルを効率的に外部へ取り出すために高温に加熱する場合があるが、このときC12膜中に非晶質が残存すると、加熱時に結晶化して急激に体積が変化して、膜が基体から剥離してしまう問題が生じる。
一方塗布法においては、結晶質のカルシウムアルミネート粉末を含んでなるスラリーを塗布後、加熱して塗膜を焼き付けることによって、非晶質のカルシウムアルミネートを含まない膜を得ることが可能である。但し、基体として一般的に用いられる酸素イオン伝導性を有するイットリア(Y)安定化酸化ジルコニウム(YSZ)や酸化カルシウム安定化酸化ジルコニウムが、焼き付けの際にカルシウムアルミネート粉末と反応してしまいジルコン酸カルシウム(CaZrO)等が生成するため、結晶質のC12だけを含む膜を得ることは極めて困難である。
本発明者らは、C12膜と基体からなる積層体の有する前記の問題点が、特定材質の基体を用いて結晶質C12粉末を基体表面に塗布した後、所定の雰囲気及び温度で加熱、焼成してC12膜を形成させたときに解決でき、しかも酸素イオンラジカルを高濃度で含有し、かつ酸素イオン伝導性を有する積層体が容易に再現性高く得られること見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウム焼結体表面に、結晶質の酸素ラジカル含有カルシウムアルミネートからなる膜を設けていることを特徴とするカルシウムアルミネート積層体であり、好ましくは、前記酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウム焼結体が、酸化マグネシウムで安定化又は部分安定化した酸化ジルコニウムからなることを特徴とする前記のカルシウムアルミネート積層体である。
また、本発明は、酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウム焼結体表面に、結晶質のカルシウムアルミネート粉末を含んでなるスラリーを塗布し、これを酸素分圧10Pa以上、水蒸気分圧10Pa以下の雰囲気下、1300℃以上1400℃以下の温度範囲で加熱することを特徴とするカルシウムアルミネート積層体の製造方法である。
本発明のカルシウムアルミネート積層体は、酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウム焼結体表面に、結晶質の酸素ラジカル含有カルシウムアルミネートからなる膜を設けているので、加熱によってカルシウムアルミネート膜と基体とが反応し、その結果カルシウムアルミネート膜が剥離してしまうという問題点が改良され、結晶質のカルシウムアルミネート膜を有する複合体が得ら、酸素マイナスイオンの安定供給が達成できることから、例えば酸化触媒、イオン伝導体用途などに好適であり、産業上有用である。また、本発明のカルシウムアルミネート積層体の製造方法は、前記特徴のあるカルシウムアルミネート積層体が、安価に安定して得ることができるし、塗布法を採用しているので、大面積の酸素ラジカル含有のカルシウムアルミネート積層体が得られるし、曲面を有するカルシウムアルミネート積層体も容易に得られる特徴がある。
本発明は、本発明者が酸素ラジカル含有カルシウムアルミネート膜の積層体を得る方法を実験的に種々検討した結果、基体に酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウム焼結体を用い、結晶質カルシウムアルミネート粉末を原料粉末として、これを含むスラリーを作製し、このスラリーを前記基体上に塗布後、酸素分圧10Pa以上、水蒸気分圧10Pa以下の乾燥酸化雰囲気下、1300℃以上1400℃以下の温度で加熱することによって、基体上に高濃度の酸素ラジカルを含有する結晶質のカルシウムアルミネート膜が焼き付けられた積層体を得ることができ、しかも、焼き付けの際にカルシウムアルミネート粉末と反応することがなく、従来技術の前記問題が一気に解消できることを見出したことに基づいている。
本発明におけるカルシウムアルミネートとは、主たる元素がCa、Al、酸素(O)で構成され、さらに主たる鉱物相が結晶性の12CaO・7Al(C12)である。カルシウムアルミネートには、他に、3CaO・Al(CA)、CaO・Al(CA)、CaO・2Al(CA)、CaO・6Al(CA)などの鉱物相を含有できる。
カルシウムアルミネートの主たる成分をC12にするためには、原料中に含まれるCaとAlのモル比を、0.77:1 〜 0.96:1とすれば良い。CaとAlのモル比が上記以外の範囲では、C12以外のカルシウムアルミネートであるCAやCAの生成量が多くなり、酸素ラジカルを包接する性質が損なわれる。このため前記範囲が好ましく選択される。
本発明に用いられるカルシウムアルミネート粉末は、前述の配合となるように、いろいろな原料から得ることができる。その原料として用いられるCa源の物質としては、例えば石灰石(CaCO)、消石灰(Ca(OH))または生石灰(CaO)などがあげられる。またAl源の物質としてはアルミナ(Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、ボーキサイトまたはアルミ残灰などがあげられる。これらのうち、入手が容易であり安全性が高い事から、特にCaCO及びAlを好適に使用することができる。
前記の原料を混合後、雰囲気、温度を制御した条件下で直接固相反応させることによって、主たる成分がC12からなるカルシウムアルミネートが得られる。雰囲気と温度を制御した条件の具体例は、例えば大気中、1200℃以上1415℃未満の温度である。
前記操作で得たカルシウムアルミネートは通常塊状であるが、必要に応じ粉砕を行って粉末に調製される。この際、粉砕機としては、スタンプミル、トップグラインダー、ジョークラッシャー、ロールクラッシャー等の粗粉砕機や、粉砕ボール等の粉砕メディアを用いて粉砕するボールミル、振動ミル、アトリッションミル等の微粉砕機を用いることができる。但し、カルシウムアルミネートが水分と反応するのを防ぐため、粉砕は通常乾式で行われ、平均粒径1〜5μm、比表面積1〜10m/g程度のスラリー化に適した粒度にまで粉砕される。
カルシウムアルミネートは水と反応するため、スラリー化の際の溶媒として水を用いることはできず、代わりにメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、n−へキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素化炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶媒を用いることができる。これらのうちアルコール類、とりわけエタノールを好適に用いることができる。
また、塗布後の塗膜に強度を付与するために、必要に応じて、ニトロセルロース、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリメタクリル酸エステル、あるいはエチルセルロース等の結合剤が用いられる。これらのうち、とりわけポリビニルブチラールを好適に用いることができる。これらの結合剤は通常予め有機溶剤に溶解させて使用することができる。
本発明に於いて、カルシウムアルミネート粉末は前記操作を経ていることから、PVD法若しくはゾルゲル法で得られるものとは異なり、カルシウムアルミネート粉末は結晶質である。また、CVD法や従来の塗布法で得られる膜とは異なり、C12の含有量が極めて高い特徴がある。このため、本発明の方法で得られたカルシウムアルミネート積層体において、C12膜が高濃度の酸素ラジカルを含有することができ、しかも使用時に酸素ラジカルを効率的に外部へ取り出すことができる特徴を有すると共に、高温に加熱する場合においても膜が基体から剥離してしまう問題が生じ難い特徴がある。
本発明に於いては、基体として酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウムからなる焼結体を用いることを特徴としているが、当該知見は本発明者が実験的に得た知見であり、酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウムの焼結体を基材に用いる時に、基材とカルシウムアルミネートとの反応が防止されるのかについては不明な点が多い。特に、前記酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウムからなる焼結体に関しては、酸化マグネシウムが酸化ジルコニウム中に固溶している、いわゆる安定化酸化ジルコニウム或いは部分安定化酸化ジルコニウムが市販されており、入手しやすいことから好ましく選択される。
また、本発明においては、基材は必要に応じ、膜との密着性を向上させるため表面粗化の前処理が施される場合がある。本発明者の実験的検討結果に拠れば、JIS B 0601:2001に規定される表面粗さの指標である最大高さ(Rz)で、5〜15μmのとき膜と基材との密着性が高く、好ましい。
以下、実施例及び比較例をあげて、さらに本発明を説明する。
(実施例1)炭酸カルシウム(CaCO)粉末と、アルミナ(γ−Al)粉末を、CaとAlのモル比が0.86:1になるように混合した後、大気中、1300℃で3時間焼成して白色焼成物を得た。冷却後X線回折測定を行い、この焼成物がC12であることを確認した。
さらに前記焼成物を酸素分圧4×10Pa、水蒸気分圧10Paの乾燥酸化雰囲気下、1250℃で2時間焼成した。焼成物を冷却後、室温及び77KでのESRスペクトルを測定し、それぞれの吸収バンドの強度からO イオンラジカル及びOイオンラジカルの濃度を求めたところ、それぞれ5×1020cm−3であった。
この焼成物をスタンプミルで1時間粉砕した後、目開き1mmの篩を用いて篩い落として粗砕物500gを調製し、これを直径10mmのジルコニア(ZrO)製粉砕ボール1500g及びエタノール1リットル(約795g)を、2リットルのポリエチレン製容器に充填し、ボールミルで一分間当たり72回の回転数で15時間連続粉砕した。得られた粉末をろ過、乾燥、解砕した後、X線回折測定を行い、C12であることを確認した。またESRスペクトルを測定から求めたO イオンラジカル及びOイオンラジカルの濃度は、それぞれ5×1020cm−3であった。さらにこの粉末の平均粒径及び比表面積を、レーザー回折・散乱法及びBET1点法にて測定したところ、それぞれ3.7μm及び2.0m/gであった。
この粉末を、エタノールとポリビニルブチラール100:0.5(質量比?)の混合溶媒に分散させてスラリー化した後、表面を#80のAlブラスト材でサンドブラスト処理した長さ60mm、幅25mm、厚さ2mmの酸化マグネシウム部分安定化酸化ジルコニウム(品川ファインセラミックス製SZM−H)焼結体からなる基体の表面に、刷毛を用いて塗布した後、酸素分圧8×10Pa、水蒸気分圧0.5×10Paの乾燥酸化雰囲気下、1350℃で2時間加熱して膜を焼き付け、積層化を行った。尚、触針式表面粗さ測定器を用いて測定した前記基体のサンドブラスト後の最大高さは、9.4μmであった。
得られた積層体の膜は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって厚さ約150μmで基材に隙間無く密着していることを確認した。またX線回折図において非晶質特有の幅広いベースラインの盛り上がり(ハロー)が全く認められず、非晶質を含まない結晶質のC12であると判断された。さらに膜を基材から剥ぎ取った後、ESRスペクトルを測定し、O イオンラジカル及びOイオンラジカルの濃度を求めたところ、それぞれ4×1020cm−3であった。
(実施例2)炭酸カルシウム(CaO)粉末と、アルミナ(γ−Al)粉末を、CaとAlのモル比が0.82:1になるように混合した後、大気中、1300℃で5時間焼成して白色焼成物を得た。冷却後X線回折測定を行い、この焼成物がC12であることを確認した。
この焼成物をスタンプミルで2時間粉砕した後、目開き1mmの篩を用いて篩い落として粗砕物500gを調製し、これを直径10mmのジルコニア(ZrO)製粉砕ボール1500g及びエタノール1リットル(約795g)を、2リットルのポリエチレン製容器に充填し、ボールミルで一分間当たり72回の回転数で20時間連続粉砕した。得られた粉末をろ過、乾燥、解砕した後、X線回折測定を行い、C12であることを確認した。またESRスペクトル測定から求めたO イオンラジカル及びOイオンラジカルの濃度は、いずれも1×1019cm−3未満であった。さらにこの粉末の平均粒径及び比表面積を、レーザー回折・散乱法及びBET1点法にて測定したところ、それぞれ2.9μm及び2.6m/gであった。
この粉末を、実施例1と同様にしてスラリー化した後、表面を#54のAlブラスト材でサンドブラスト処理した長さ42mm、幅40mm、厚さ3mmの酸化マグネシウム部分安定化酸化ジルコニウム(品川ファインセラミックス製SZM−M)からなる焼結体の基体の表面に、噴霧器を用いて塗布した後、酸素分1×10Pa、水蒸気分圧0.1×10Paの乾燥酸化雰囲気下、1380℃で2時間加熱して膜を焼き付け、積層化を行った。
得られた積層体の膜は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって厚さ約40μmで基材に隙間無く密着していることを確認した。またX線回折測定によって非晶質を全く含まない結晶質のC12であると判断された。さらに膜を基材から剥ぎ取った後、ESRスペクトルを測定し、O イオンラジカル及びOイオンラジカルの濃度を求めたところ、それぞれ3×1020cm−3であった。
(実施例3)長さ45mm、幅30mm、厚さ2.5mmの板状酸化マグネシウム安定化酸化ジルコニウム焼結体(ニッカトー製ZR−15M)を基体として用いたこと以外は実施例2と同様にして、C12塗膜との積層化を行った。積層体の膜は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって厚さ約110μmで基材に隙間無く密着していることを確認した。またX線回折測定によって非晶質を全く含まない結晶質のC12であると判断された。さらに膜のESRスペクトルを測定し、O イオンラジカル及びOイオンラジカルの濃度を求めたところ、それぞれ5×1020cm−3であった。この積層体は800℃において、酸素イオンのイオン源として動作可能であった。
(比較例1)実施例2において、酸化マグネシウム部分安定化酸化ジルコニウムの代わりに、直径25mm、厚さ2.8mmのイットリア(Y)安定化酸化ジルコニウム焼結体(ニッカトー製YSZ−8)からなる円板を基体として用いたこと以外は、実施例2と同様にして塗膜との積層化を行った。その結果、焼き付けた膜は元のC12ではなく、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)に変質していることをX線回折測定によって確認した。さらに膜のESRスペクトルを測定したところ、O イオンラジカル及びOイオンラジカルはいずれも検出されなかった。
(比較例2)実施例2において、酸化マグネシウム部分安定化酸化ジルコニウムの代わりに、直径21mm、厚さ2mmの酸化カルシウム安定化酸化ジルコニウム円板(ニッカトー製ZR−11)を基体として用いたこと以外は、実施例2と同様にして塗膜との積層化を行った。その結果焼き付けた膜は元のC12ではなく、CA(CaO・Al)に変質していることをX線回折測定によって確認した。さらに膜のESRスペクトルを測定したところ、O イオンラジカル及びOイオンラジカルはいずれも検出されなかった。
本発明によれば、原料に結晶質C12からなるカルシウムアルミネート粉末を用い、これをスラリー化して酸化マグネシウムで安定化又は部分安定化した酸化ジルコニウム基体上に塗布し、高酸素分圧及び低水蒸気分圧の乾燥酸化雰囲気下で加熱することのみによって、高濃度に酸素ラジカルを含有するカルシウムアルミネート膜の積層体が得られるので、用途に応じて大面積や複雑形状の酸素ラジカル含有カルシウムアルミネート膜の積層体を容易に再現性高く提供することができ、この積層体は、例えば、酸化触媒、イオン伝導体用途に好適であり、産業上非常に有用である。

Claims (3)

  1. 酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウム焼結体表面に、結晶質の酸素ラジカル含有カルシウムアルミネートからなる膜を設けていることを特徴とするカルシウムアルミネート積層体。
  2. 前記酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウム焼結体が、酸化マグネシウムで安定化又は部分安定化した酸化ジルコニウムからなることを特徴とする請求項1記載のカルシウムアルミネート積層体。
  3. 酸化マグネシウムを含有する酸化ジルコニウム焼結体表面に、結晶質のカルシウムアルミネート粉末を含んでなるスラリーを塗布し、これを酸素分圧10Pa以上、水蒸気分圧10Pa以下の雰囲気下、1300℃以上1400℃以下の温度範囲で加熱することを特徴とするカルシウムアルミネート積層体の製造方法。
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