JP2005125737A - リサイクル木質ボード及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ホルムアルデヒド放散量が少なく、かつホルムアルデヒドを含有する木質廃棄物の処理を促進する。熱圧成形時にホットプレスの熱板に木質チップが付着しない。
【解決手段】 表裏層がリサイクル木質チップを非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーを主成分とする表裏層用バインダで接着した層で構成されるリサイクル木質ボードである。このポリマー又はプレポリマーが、ガラス転移温度が0℃以上120℃以下であって、合成ゴム、合成ゴムの誘導体、天然ゴム、天然ゴムの誘導体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂誘導体、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール誘導体、スチレン又はスチレン誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基又はカルボキシル基を有するモノマー又はポリマーを水酸基及び/又はカルボキシル基が10重量%以下の割合になるように重合又は共重合させた化合物であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、建築産業又は木材産業などにおいて排出される木質廃棄物を再利用して作られるリサイクル木質ボード及びその製造方法に関する。更に詳しくはホルムアルデヒドの放散量が少ないリサイクル木質ボード及びその製造方法に関するものである。
近年、建築工事、住宅の解体、或いは木材産業において排出される木質廃棄物は再利用又はリサイクルが義務付けられるようになり、住宅解体材として発生する柱や梁材、及び製材工場や合板工場、又は家具工場などの木材工業から排出される木質廃棄物はチップ化されて、一部は製紙原料として、又はパーティクルボードや各種の繊維板の原料として使用されている。
しかし、ホルムアルデヒド系ポリマーの接着剤を含む合板やボード類などの木質廃棄物はチップ化してボード原料としてリサイクルボードとして再利用しても、チップからホルムアルデヒドを多量に放散するため、この木質廃棄物は使用されずに焼却されたり、又は産業廃棄物として投棄されることが多く、環境破壊の原因として社会問題になっている。
また近年、これらの木質廃棄物の焼却は厳しく規制されると同時に、更に平成15年7月に建築基準法が改正されて、木質建材から放散するホルムアルデヒドの規制が一層厳しくなるに及んで、木質廃棄物をボード原料として処理することが難しくなり、その処理は建築業界や木材産業において更に大きな問題となり、不法投棄などがますます増えることが心配されている。
その処理対策として、大量に発生する木質廃棄物を高温焼却してエネルギー回収を行うバイオマス発電などへの利用が進められているが、設備の建築に多大な費用を要するために、この計画はなかなか進展せず、現在のところ有効な対策にはなっていない。
また現在、パーティクルボードや繊維板などの原料として、一部の木質廃棄物を再利用するときに、製品から放散するホルムアルデヒドを抑えるために、尿素、有機アミン化合物、ヒドラジンの誘導体などを製品表面に塗布してホルムアルデヒドの放散を抑制する方法が採られている。しかし、この方法は費用と工数が増えて、リサイクルボードとしてコストアップの原因にもなるとともに、ホルムアルデヒドを抑制する効果が少なかったり、また長期的に効果が持続しないなどの問題もあり、更に人に対する安全性に関するデータが少ないなどの問題も多い。
このようなリサイクル木質ボードからのホルムアルデヒド放散量を抑制するために、ボードのバインダとして非ホルムアルデヒド系のポリマー又はプレポリマーであるジフェニルメタン・ジイソシアネート(MDI)のようなイソシアネート系化合物やアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂などの非ホルムアルデヒド系接着剤を使用する試みもされているが、これらのバインダは金属にもよく接着するために、製造工程においてホットプレスの熱板に木質チップが付着するという大きな問題があり、離型剤などの添加も試みられているものの、実用上大きな障害になっている。
そのために、現在、ボードの芯層のバインダとしてイソシアネート化合物を用い、表層のバインダにはホルムアルデヒド放散が比較的少ないフェノール樹脂を使用するパーティクルボードの製造方法が一般的に行われている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−34017号公報(請求項1、図1)
しかし、この方法もボードの表層が暗色になるので製品の用途が制限されること、有害な遊離のフェノールが表層に存在するなどの問題がある。更にはこの方法でも改正された建築基準法の規制に確実に適合させるために前記ホルムアルデヒド吸収剤を塗布せねばならないなど、種々の対策を併用する必要性があるのが実状である。
本発明の第1の目的は、木質廃棄物を原料としてリサイクル木質ボードへ再利用する際に問題となるホルムアルデヒド放散量の少ないリサイクル木質ボード及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、建築工業及び木材工業において排出される、ホルムアルデヒドを含有する木質廃棄物の処理を促進し得るリサイクル木質ボード及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、熱圧成形時にホットプレスの熱板に木質チップが付着しないリサイクル木質ボードの製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、1又は2以上の芯層と、表裏層とからなる多層で構成されるリサイクル木質ボードにおいて、表裏層がリサイクル木質チップを非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーを主成分とする表裏層用バインダで接着した層であることを特徴とするリサイクル木質ボードである。
この請求項1に記載されたリサイクル木質ボードは、表裏層がリサイクル木質チップを非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーを主成分とするバインダで接着されているため、ホルムアルデヒド放散量が少ない。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された発明であって、非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーが、ガラス転移温度が0℃以上120℃以下であって、合成ゴム、合成ゴムの誘導体、天然ゴム、天然ゴムの誘導体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂の誘導体、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールの誘導体、スチレン又はスチレンの誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基が10重量%以下の割合になるように前記水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマー又はポリマーを重合或いは共重合させた化合物であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された発明であって、ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーが、合成ゴム、合成ゴムの誘導体、天然ゴム又は天然ゴムの誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下の割合になるように前記水酸基及び/又はカルボキシル基を有するエチレングリコール、ビニルアルコール、プロピレングリコール、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸又はグリシジル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸を重合或いは共重合させることにより変性させてなるラテックスを主成分とすることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項2に記載された発明であって、ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーが、ポリ酢酸ビニル樹脂又はポリ酢酸ビニル樹脂の誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下の割合になるように前記水酸基及び/又はカルボキシル基を有するエチレングリコール、ビニルアルコール、プロピレングリコール、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸又はグリシジル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸を重合或いは共重合させてなるエマルジョンを主成分とすることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項2に記載された発明であって、ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリブチレングリコールであるポリアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールの誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下の割合になるようにアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸又はイタコン酸によりエステル化してなるポリマーを主成分とすることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項2に記載された発明であって、ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーが、スチレン又はスチレンの誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下の割合になるように前記水酸基及び/又はカルボキシル基を有するエチレングリコール、ビニルアルコール、プロピレングリコール、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸又はグリシジル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸を重合或いは共重合させてなるエマルジョンを主成分とすることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーが、請求項3記載のラテックスと、請求項4記載のエマルジョンと、請求項5記載のポリマーと、請求項6記載のエマルジョンとを少なくとも2種混合した混合物であることを特徴とする。
これらの請求項2ないし7に記載されたリサイクル木質ボードは、表裏層用バインダとしての非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーに上述した化合物を用いることにより、ホルムアルデヒド放散量が少ないとともに、熱圧成形時にホットプレスの熱板に接着剤や木質チップが付着しない。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれか1項に記載された発明であって、表裏層用バインダが、非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマー100重量%と、ホルムアルデヒドと容易に反応する尿素、尿素の誘導体、アンモニア、アンモニアの塩類、有機アミン化合物、ヒドラジン、ヒドラジンの誘導体、蛋白質及びアミノ酸化合物からなる群より選ばれた1又は2種以上のホルムアルデヒド吸収剤0.1〜10重量%とを含むことを特徴とする。
この請求項8に記載されたリサイクル木質ボードは、表裏層用バインダにホルムアルデヒド吸収剤を含むため、原料のチップ自体がホルムアルデヒドを含んでいても、ボードとしてのホルムアルデヒド放散量を低減することができる。
請求項9に係る発明は、請求項1ないし7いずれか1項に記載された発明であって、表裏層用バインダが、非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマー100重量%と、ホルムアルデヒド系ポリマー2〜50重量%とを含むことを特徴とする。
この請求項9に記載されたリサイクル木質ボードは、ホルムアルデヒド放散量の平均値が20℃デシケータ法で0.5mg/l以下に規制されたボードに好適である。
請求項10に係る発明は、請求項9に記載された発明であって、ホルムアルデヒドと容易に反応する尿素、尿素の誘導体、アンモニア、アンモニアの塩類、有機アミン化合物、ヒドラジン、ヒドラジンの誘導体、蛋白質及びアミノ酸化合物からなる群より選ばれた1又は2種以上のホルムアルデヒド吸収剤1〜15重量%を更に含むことを特徴とする。
この請求項10に記載されたリサイクル木質ボードは、請求項9に記載されたものに更にホルムアルデヒド吸収剤を含むため、請求項9に記載されたものより更にホルムアルデヒド放散量を低減できる。
請求項11に係る発明は、請求項1ないし10いずれか1項に記載された発明であって、 芯層用バインダが、イソシアネート化合物、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂誘導体、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂誘導体及びポリエステル樹脂からなる群より選ばれた1又は2以上を含むことを特徴とする。
この請求項11に記載されたリサイクル木質ボードでは、芯層用バインダがホルムアルデヒドを有しないため、ボードとしてのホルムアルデヒド放散量は少ない。
請求項12に係る発明は、請求項2ないし11いずれか1項に記載されたリサイクル木質ボードの製造方法である。
この請求項12に記載された方法では、熱圧成形時にホットプレスの熱板に木質チップが付着せずにホルムアルデヒド放散量の少ないリサイクル木質ボードを作製することができる。
従来、パーティクルボードの低ホルムアルデヒド化対策は、芯層用バインダに非ホルムアルデヒド系樹脂であるクルードMDIなどのイソシアネート化合物を使用し、表層用バインダにフェノール樹脂を使用していたのに対して、本発明では、表層用バインダに非ホルムアルデヒド系の樹脂、例えばクルードMDI、ポリ酢酸ビニル樹脂やポリアクリル酸エステル樹脂、合成ゴムのラテックスなどを用いることにより、芯層用バインダにユリア樹脂やメラミン樹脂などのホルムアルデヒド系樹脂を用いてもボードの低ホルムアルデヒド化を達成することできる。
本発明のリサイクル木質ボードは、従来の低ホルムアルデヒド化したリサイクル木質ボードと比べて、ボード製造に際してその生産性を低下することがなく、またこの方法によりホルムアルデヒドを含有する合板やボード廃材をチップ化して得たリサイクルチップを原料に使用しても、ボードから放散するホルムアルデヒド量を減少させることができる。
それと同時に、これまでホルムアルデヒド放散量が増えることで嫌われていたコンクリート型枠合板などの建築廃材の処理が容易になるために、木質廃棄物の再利用率が増えるために環境の保全にも大きく貢献する効果を有するとともに、低ホルムアルデヒド放散タイプのボード類のコストを低下させる効果も有する。
本発明のリサイクル木質ボードは、リサイクル木質チップ100%からなる木質ボード又はリサイクル木質チップを一部含む木質ボードである。このリサイクル木質ボードは、フレークボード、ストランドボード、パーティクルボード、ファイバーボードを含む。このリサイクル木質ボードは、1又は2以上の芯層と、表裏層とからなる多層で構成されるリサイクル木質ボードにおいて、表裏層がリサイクル木質チップを非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーを主成分とする表裏層用バインダで接着した層である。
ここで非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーとは、ホルムアルデヒドを原料とするフェノール樹脂やアミノ系樹脂などのホルムアルデヒド系樹脂を除くポリマー又はプレポリマー、或いはN−メチロール基を有するアクリル酸やテトラメチロールメタンなどメチロール基を有するポリオール原料を用いたアクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びロンガリットを触媒に用いて重合した熱可塑性樹脂を除くポリマー又はプレポリマーのことである。
非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーを具体的に例示すると、(a)フルフリルアルコールやフルフラールなどのフラン化合物よりなるポリマー又はプレポリマー、(b)トリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタン・ジイソシアネート(MDI)などのイソシアネート化合物と水とを反応させてなるポリ尿素、或いは非メチロール系ポリオールとを反応させたポリウレタンなどからなるポリマー又はプレポリマー、(c)ポリ酢酸ビニル樹脂又はその誘導体にアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、エチレン、ビニルアミンなどの不飽和化合物を重合或いは共重合させることにより変性させてなるポリマー又はプレポリマー、(d)ポリアクリル酸エステル樹脂又はその誘導体、ポリメタクリル酸エステル樹脂又はその誘導体からなるポリマー又はプレポリマー、(e)ポリアクリルアミド樹脂又はその誘導体、或いはポリメタクリルアミド樹脂又はその誘導体からなるポリマー又はプレポリマー、(f)スチレン又はその誘導体にアクリル酸又はそのエステル化合物を重合或いは共重合させてなるポリマー又はプレポリマー、(g)スチレン又はその誘導体にメタクリル酸又はそのエステル化合物を重合或いは共重合させてなるポリマー又はプレポリマー、(h)スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、メタクリル酸・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴムなどの合成ゴム又はその誘導体よりなるポリマー、(i)天然ゴム又はその誘導体からなるポリマー、(j)ナイロンに代表されるポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、又はその誘導体よりなるポリマー又はプレポリマー、(k)エチレングリコールやプロピレングリコールなどのようなアルキレングリコールよりなるポリマー又はプレポリマー、或いは(l)それらの誘導体からなるポリマー又はプレポリマー、(m)不飽和ポリエステル樹脂並びにアルキレングリコールにモノアクリル酸エステルを重合或いは共重合させてなるポリマー又はプレポリマー、(n)不飽和ポリエステル樹脂並びにアルキレングリコールにモノメタクリル酸エステルを重合或いは共重合させてなるポリマー又はプレポリマー、(o)スチレンやイソブチレンなどの不飽和基を有する化合物に無水マレイン酸などのような無水カルボン酸を重合或いは共重合させてなるポリマー又はプレポリマー、(p)ポリエチレンやポリプロピレンなどのようなポリアルキレン樹脂又はその誘導体からなるポリマー又はプレポリマー、(q)ポリエチレンテレフタレート樹脂又はその誘導体よりなるポリマー又はプレポリマー、(r)ポリビニルアルコール又はその誘導体よりなるポリマー又はプレポリマー、(s)アラビアガムなどのガム質又はセルロースなどのような天然多糖類や炭水化物又はその誘導体よりなるポリマー、(t)ニカワ、ミルクカゼイン、ツェイン、グルテンなどのタンパク質又はそれらの誘導体などがある。
上記ポリマー又はプレポリマーの多くは、木質チップのバインダとして使用する場合に溶液化するか又はエマルジョン化して使用される。その際、上記ポリマー又はプレポリマーの1種類若しくは2種類以上を混合して使用する。
上記ポリマー又はプレポリマーのうち、バインダとしての使い易さ、及び経済性の面で、第一にポリ酢酸ビニル樹脂又はその誘導体からなるエマルジョン、第二にスチレン・ブタジエンゴムラテックス又はその誘導体からなるラテックス、第三にスチレンにアクリル酸又はアクリル酸エステルを重合或いは共重合させた樹脂、或いは第四にスチレンにメタクリル酸又はメタクリル酸エステルを重合或いは共重合させた樹脂が好ましい。上記エマルジョン、ラテックスなどに、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド又はポリメタクリル酸アミド、スチレン又はイソブチレンなどと、無水マレイン酸の交互共重合樹脂のアルカリ又はアンモニウム水溶液などのような水酸基又はカルボキシル基とを混合した混合物が好ましい。この混合物では、混合ポリマーの平均分子量に対して水酸基及び/又はカルボキシル基の含有量が10重量%以下に調製される。更にホットプレスの熱板への木質チップの付着を防止するためにはポリ酢酸ビニル樹脂又はその誘導体、スチレン・ブタジエン・ゴムラテックス又はその誘導体、ポリスチレン又はその誘導体或いはポリメタクリル酸メチル又はその誘導体が好適である。
改正された建築基準法によれば、ホルムアルデヒド放散量によるボードの区分は次の表1の通りである。
Figure 2005125737
[1] 本発明の第1の態様
これまで芯層用バインダとして使用されてきたポリメリックMDIを表層用バインダとして使用し、これまで表層用バインダとして使用されてきたホルムアルデヒド系樹脂であるフェノール樹脂を芯層用バインダとして使用してリサイクル木質ボードを作製する。このボードから放散するホルムアルデヒド量は低減される。芯層用バインダとして、ホルムアルデヒド系樹脂であるアミノ樹脂を用いても同程度のホルムアルデヒド放散量の低減効果がある。これらのリサイクル木質ボードは少なくともF☆☆の規制値に適合する。
[2] 本発明の第2の態様
一方、ポリメリックMDIは内部離型剤を添加しても、これを表層用バインダとして用いると、ホットプレスの熱板に木質チップが付着してボードの量産が容易でないので、熱板への付着防止のために、表層用バインダとして、次のポリマー又はプレポリマーを使用することが好ましい。
(1) ホルムアルデヒドを全く含まず、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマー又はポリマーであって、水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下含むポリマー又はプレポリマー:
この水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%を越えて含むポリマー又はプレポリマーの場合には、内部離型剤を使わないと、熱圧成形時に木質チップがホットプレスの熱板に付着するけれども、上記水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下、好ましくは5重量%以下含むように重合又は共重合又は混合して得たポリマー又はプレポリマーであれば、熱板付着の問題が軽減してボード表層用バインダとして適する。ホルムアルデヒドを全く含まない水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下有するモノマー又はポリマーとすることにより、この種の官能基を全く含まないものと比較して、安定性、可塑性、乳化性等が高まる。
(2) ホルムアルデヒドを全く含まず、水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下有するモノマー又はポリマーであって、ガラス転移温度が0℃以上のポリマー又はプレポリマー:
このガラス転移温度が0℃以上120℃以下のポリマー又はプレポリマーを表層用バインダとして用いた場合には、ボードの曲げ性能が低下しない利点がある。好ましいガラス転移温度は10〜100℃である。0℃未満では接着剤膜の柔軟性が増すため、リサイクル木質ボードの機械的強度が十分でなく、またホットプレスの温度は200℃程度であるためガラス転移温度が120℃を越えると熱圧成形時にバインダが溶融しないか溶融しにくいため、やはりリサイクル木質ボードが所望の強度にならない。このような表層用バインダを例示すれば、合成ゴムラテックス、可塑剤を減少させたポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリメタクリレート、及びそれにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などを水酸基及び/又はカルボキシル基が10重量%以下含むように重合又は共重合させて得た樹脂やポリエステル樹脂が挙げられる。またそれらの樹脂にポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸のポリマーを混合使用した場合でも、バインダ中の水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマー又はポリマーであって、水酸基及び/又はカルボキシル基が10重量%以下になるものであれば、熱圧成形時にホットプレスの熱板に木質チップが付着しない。
それに加えて合成ゴムの中でもスチレン、アクリロニトリルやメチルメタクリル酸エステルとブタジエンとを共重合したゴムで高い架橋成分を含み、ガラス転移温度が0℃以上のゴムラテックスや最低造膜温度が10℃以上のポリ酢酸ビニル樹脂又はその変性樹脂であれば、価格も安くリサイクル木質ボードのバインダとしてより好ましい。
[3] 本発明の第3の態様
上記[1]及び[2]の態様の表層用バインダである非ホルムアルデヒド系バインダに更にメラミン・ユリア樹脂やフェノール樹脂のようなホルムアルデヒド系樹脂を少量混合して表層用バインダとして使用する。この場合には、上記[2](1)の態様のボードと比べてより一層曲げ性能の低下を防止することができ、かつホルムアルデヒド放散量の低減効果が得られて改正建築基準法が定めるF☆☆又はF☆☆☆の規制値を満足するリサイクル木質ボードを得ることができる。
その際、メラミン・ユリア樹脂やフェノール樹脂などのホルムアルデヒド系樹脂の混合比率は非ホルムアルデヒド系バインダ100重量%に対して2〜50重量%、好ましくは10〜30重量%が望ましい。そしてこのホルムアルデヒド系樹脂の添加比率が2重量%未満であると、得られるボードの曲げ性能や耐水性能の向上は見られず、また添加比率が50重量%を越えると、得られるボードからのホルムアルデヒド放散量の低減効果が乏しくなり、改正建築基準法が定めるF☆☆の規制値に適合しない不都合を生じる。
[4] 本発明の第3の態様
上記[1]〜[3]の態様の表層用バインダを使用した上に、更に芯層用バインダとしてイソシアネート化合物、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂誘導体、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂誘導体、ポリエステル樹脂及びポリスチレン樹脂からなる群より選ばれた1又は2以上を含む化合物を使用すると、ホルムアルデヒド放散量がより一層低減する。
[5] 本発明の第5の態様
上記[1]〜[4]の態様の表層用バインダにホルムアルデヒド吸収剤を添加することが好ましい。このホルムアルデヒド吸収剤を例示すれば、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類と容易に反応する、尿素、尿素の誘導体、ビューレット、イソシアネート化合物と水との反応により生成するポリ尿素化合物などの尿素化合物、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩類、有機カルボン酸のアンモニウム塩やアミド化合物、イミド化合物、アミノ基を側鎖に有するポリアミド化合物、ヒドラジンやその誘導体、小麦や大豆、トウモロコシなどから得られる穀物蛋白質、グリシンやアラニンなどのアミノ酸化合物、過酸化水素や過硫酸及びその塩類、メチルパーオキサイドなどの有機過酸化物の少なくとも1種が挙げられる。
例えば、コンクリート型枠合板などから得たチップを原料に用いて、上記[1]で述べたように、表層に非ホルムアルデヒド系バインダを用いることによって、芯層にホルムアルデヒド系樹脂を用いたとしても、得られるボードのホルムアルデヒド放散量は改正建築基準法が定めるF☆☆やF☆☆☆の規制値に適合する。更にこのバインダに上記ホルムアルデヒド吸収剤を添加することにより、得られるボードから放散するホルムアルデヒド量は更に低減し、改正建築基準法が定めるF☆☆☆又はF☆☆☆☆の規制値に適合するようになる。
その際に添加するホルムアルデヒド吸収剤は使用するバインダ100重量%に対して0.5〜10重量%が望ましい。この吸収剤の添加量が0.5重量%未満である場合、ホルムアルデヒドの削減効果は小さく、また10重量%を越えると得られるボードの強度や耐水性能を損なうおそれがある。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
コンクリート型枠合板を20メッシュの篩いを通過する大きさに粉砕した後乾燥して、含水率が平均5%の木質チップを得た。この木質チップを表層用と芯層用と裏層用とに重量比で1:3:1に分けた。芯層用木質チップには、非ホルムアルデヒド系樹脂であるポリメリックMDIをバインダとしてスプレーで塗布した。一方、表層用と裏層用の各木質チップには、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)を主成分とする非ホルムアルデヒド系樹脂エマルジョンをバインダとしてそれぞれスプレーで塗布した。
バインダを塗布した表層用と芯層用と裏層用の各木質チップをこの順に30cm平方で厚さ1.2mmの鉄製コールプレート(caul plate)上に載せ、厚さ20mmのマットを形成させた。そのマットの上に鉄製の別のコールプレートを載せ、200℃の温度に保持したホットプレスに挿入し、4MPaの圧力を加えて5分間熱圧成形した。成形後ホットプレスからコールプレートを取り出して30cm×30cm×12mmのリサイクル木質ボードを得た。
<実施例2>
実施例1と同じ木質チップを表層用と芯層用と裏層用とに重量比で1:3:1に分けた。芯層用木質チップには、非ホルムアルデヒド系樹脂であるポリメリックMDIをバインダとしてスプレーで塗布した。一方、表層用及び裏層用の木質チップに実施例1と同じ非ホルムアルデヒド系樹脂エマルジョン75重量%と、ホルムアルデヒド系樹脂であるフェノール樹脂25重量%とをバインダとしてそれぞれスプレーで塗布した。
バインダを塗布した表層用と芯層用と裏層用の各木質チップをこの順に実施例1と同じプレートの上に載せ、厚さ20mmのマットを形成させた。そのマットの上に鉄製の別のコールプレートを載せ、以下実施例1と同様に熱圧成形した。成形後ホットプレスからコールプレートを取り出して30cm×30cm×12mmのリサイクル木質ボードを得た。
<比較例1>
実施例1と同じ木質チップを表層用と芯層用と裏層用とに重量比で1:3:1に分けた。芯層用木質チップには、非ホルムアルデヒド系樹脂であるポリメリックMDIをバインダとしてスプレーで塗布した。一方、表層用及び裏層用の木質チップにホルムアルデヒド系樹脂であるフェノール樹脂をバインダとしてそれぞれスプレーで塗布した。
バインダを塗布した表層用と芯層用と裏層用の各木質チップをこの順に実施例1と同じプレートの上に載せ、厚さ20mmのマットを形成させた。そのマットの上に鉄製の別のコールプレートを載せ、以下実施例1と同様に熱圧成形した。成形後ホットプレスからコールプレートを取り出して30cm×30cm×12mmのリサイクル木質ボードを得た。
<比較評価>
実施例1、2及び比較例1で得られたリサイクル木質ボードの性能をJIS A 5908に規定する試験方法により試験した。また熱圧成形時におけるコールプレートへのチップの付着状態を観察した。その結果を表2に示す。
Figure 2005125737
表2から明らかなように、実施例1、2及び比較例1の各リサイクル木質ボードはいずれもホルムアルデヒド放散量が改正建築基準法が定めるF☆☆☆☆の規制値を満足する。また20℃におけるホルムアルデヒド放散量は実施例1、2及び比較例1のリサイクル木質ボード間で大差はないが、40℃においては実施例1のホルムアルデヒド放散量は比較例1の約半分であった。また比較例1、実施例2、実施例1の順にボード表面は淡色化した。更に実施例1、2及び比較例1では、すべて熱圧成形時におけるコールプレートへのチップの付着は見られなかった。
<実施例3>
コンクリート型枠合板を20メッシュの篩いを通過する大きさに粉砕した後乾燥して、含水率が平均5%の木質チップを得た。この木質チップを表層用と芯層用と裏層用とに重量比で1:3:1に分けた。これらの木質チップのホルムアルデヒド放散量をデシケータ法で測定したところ、表層用と裏層用の各木質チップでは20℃で0.48mg/l、40℃で6.15mg/lであった。また芯層用の木質チップでは20℃で0.28mg/l、40℃で2.53mg/lであった。芯層用木質チップには、ホルムアルデヒド系樹脂であるメラミン・ユリア樹脂100重量%とホルムアルデヒド吸収剤である40%尿素水溶液20重量%(尿素正味量8重量%)をバインダとしてスプレーで塗布した。一方、表層用及び裏層用の木質チップに造膜温度が20℃のポリ酢酸ビニル樹脂を主成分とする非ホルムアルデヒド系樹脂エマルジョンをバインダとしてそれぞれスプレーで塗布した。
バインダを塗布した表層用と芯層用と裏層用の各木質チップをこの順に実施例1と同じプレートの上に載せ、厚さ20mmのマットを形成させた。そのマットの上に鉄製の別のコールプレートを載せ、以下実施例1と同様に熱圧成形した。成形後ホットプレスからコールプレートを取り出して30cm×30cm×12mmのリサイクル木質ボードを得た。
<実施例4>
実施例3と同様に木質チップを表層用と芯層用と裏層用とに重量比で1:3:1に分けた。表層用と芯層用と裏層用の各木質チップは、実施例3と同一であって、それぞれ実施例3と同程度のホルムアルデヒド放散量を有していた。芯層用木質チップには、ホルムアルデヒド系樹脂であるメラミン・ユリア樹脂100重量%とホルムアルデヒド吸収剤である40%尿素水溶液20重量%(尿素正味量8重量%)をバインダとしてスプレーで塗布した。一方、表層用及び裏層用の木質チップに実施例3と同じ非ホルムアルデヒド系樹脂エマルジョン87.5重量%と、ホルムアルデヒド系樹脂であるメラミン・ユリア樹脂12.5重量%とをバインダとしてそれぞれスプレーで塗布した。
バインダを塗布した表層用と芯層用と裏層用の各木質チップをこの順に実施例1と同じプレートの上に載せ、厚さ20mmのマットを形成させた。そのマットの上に鉄製の別のコールプレートを載せ、以下実施例1と同様に熱圧成形した。成形後ホットプレスからコールプレートを取り出して30cm×30cm×12mmのリサイクル木質ボードを得た。
<実施例5>
実施例3と同様に木質チップを表層用と芯層用と裏層用とに重量比で1:3:1に分けた。表層用と芯層用と裏層用の各木質チップは、実施例3と同一であって、それぞれ実施例3と同程度のホルムアルデヒド放散量を有していた。芯層用木質チップには、ホルムアルデヒド系樹脂であるメラミン・ユリア樹脂100重量%とホルムアルデヒド吸収剤である40%尿素水溶液20重量%(尿素正味量8重量%)をバインダとしてスプレーで塗布した。一方、表層用及び裏層用の木質チップに実施例3と同じ非ホルムアルデヒド系樹脂エマルジョン75重量%と、ホルムアルデヒド系樹脂であるメラミン・ユリア樹脂25重量%とをバインダとしてそれぞれスプレーで塗布した。
バインダを塗布した表層用と芯層用と裏層用の各木質チップをこの順に実施例1と同じプレートの上に載せ、厚さ20mmのマットを形成させた。そのマットの上に鉄製の別のコールプレートを載せ、以下実施例1と同様に熱圧成形した。成形後ホットプレスからコールプレートを取り出して30cm×30cm×12mmのリサイクル木質ボードを得た。
<比較例2>
実施例3と同様に木質チップを表層用と芯層用と裏層用とに重量比で1:3:1に分けた。表層用と芯層用と裏層用の各木質チップは、実施例3と同一であって、それぞれ実施例3と同程度のホルムアルデヒド放散量を有していた。芯層用木質チップには、ホルムアルデヒド系樹脂であるメラミン・ユリア樹脂100重量%とホルムアルデヒド吸収剤である40%尿素水溶液20重量%(尿素正味量8重量%)をバインダとしてスプレーで塗布した。一方、表層用及び裏層用の木質チップにホルムアルデヒド系樹脂であるメラミン・ユリア樹脂をバインダとしてそれぞれスプレーで塗布した。
バインダを塗布した表層用と芯層用と裏層用の各木質チップをこの順に実施例1と同じプレートの上に載せ、厚さ20mmのマットを形成させた。そのマットの上に鉄製の別のコールプレートを載せ、以下実施例1と同様に熱圧成形した。成形後ホットプレスからコールプレートを取り出して30cm×30cm×12mmのリサイクル木質ボードを得た。
<比較評価>
実施例3、4、5及び比較例2で得られたリサイクル木質ボードの性能をJIS A 5908に規定する試験方法により試験した。また熱圧成形時におけるコールプレートへのチップの付着状態を観察した。その結果を表3に示す。
Figure 2005125737
表3から明らかなように、実施例3〜5のリサイクル木質ボードは、原料の木質チップのホルムアルデヒド放散量が多くても、芯層用バインダとして尿素をメラミン・ユリア樹脂に対して8重量%添加したものを用いることにより、表層用バインダにホルムアルデヒド吸収剤を用いなくても、ホルムアルデヒド放散量が改正建築基準法が定めるF☆☆以上の規制値を満足する。表層及び裏層用バインダ中の非ホルムアルデヒド樹脂の配合割合を高める程、ホルムアルデヒド放散量は減少した。特に実施例3のリサイクル木質ボードは、表層及び裏層用バインダとして非ホルムアルデヒド系樹脂を100重量%用いることにより、F☆☆☆の規制値を満足する。更に実施例1、2及び比較例1では、すべて熱圧成形時におけるコールプレートへのチップの付着は見られなかった。
<実施例6>
コンクリート型枠合板を20メッシュの篩いを通過する大きさに粉砕した後乾燥して、含水率が平均5%の木質チップを得た。この木質チップに表4に示す水酸基又はカルボキシル基が10重量%以下のポリマーをバインダとしてスプレーで塗布した。
バインダを塗布した木質チップを30cm平方で厚さ1.2mmの鉄製コールプレート上に載せ、厚さ20mmのマットを形成させた。そのマットの上に鉄製の別のコールプレートを載せ、200℃の温度に保持したホットプレスに挿入し、4MPaの圧力を加えて5分間熱圧成形した。成形後ホットプレスからコールプレートを取り出したときのコールプレートへのチップの付着状態を観察した。その結果を表4に示す。
Figure 2005125737
<比較例3>
実施例6と同様にして得たこの木質チップに表5に示す水酸基又はカルボキシル基が10重量%を越えるポリマーをバインダとしてスプレーで塗布した。バインダを塗布した木質チップを実施例6と同様に熱圧成形した後、ホットプレスからコールプレートを取り出し、そのときのコールプレートへのチップの付着状態を観察した。その結果を表5に示す。
Figure 2005125737
表4及び表5から明らかなように、水酸基又はカルボキシル基が10重量%以下のポリマーをバインダとした場合には、コールプレートへのチップの付着はなく、10重量%を越えた場合には、コールプレートにチップが付着した。
<実施例7、実施例8及び比較例4>
コンクリート型枠合板を20メッシュの篩いを通過する大きさに粉砕した後乾燥して、含水率が平均5%の木質チップを得た。この木質チップを60メッシュの篩いで再度篩別した。この60メッシュの篩いを通過したチップを表層用と裏層用にし、60メッシュの篩いを通過しなかったチップを芯層用にして、表層用と芯層用と裏層用とに重量比で1:3:1に分けた。芯層用木質チップには、非ホルムアルデヒド系樹脂であるポリメリックMDIをバインダとしてスプレーで塗布した。一方、スチレン含有量をゲル分含量を変えることにより、ガラス転移温度を18℃(実施例7)、76℃(実施例8)及び−5℃(比較例4)にそれぞれ調整したラテックスを用意した。表層用と裏層用の木質チップには、これら3種類のラテックスを全乾チップ重量に対して12重量%それぞれスプレーで塗布した。
バインダを塗布した表層用と芯層用と裏層用の各木質チップをそれぞれが均一な厚さになるように散布してマットを形成させた。そのマットを200℃の温度に保持したホットプレスの熱板間に挿入し、3MPaの圧力を加えて2分30秒間熱圧成形した。これにより厚さ15mmのパーティクルボードを得た。
得られたボードを1週間室温に養生した後、JIS A 5908に規定する試験方法によって、曲げ強さ及び曲げヤング率を測定した。その結果を表6に示す。
Figure 2005125737
表6から明らかなように、比較例4のボードが常態曲げ強さ、常態曲げヤング率のJIS規格を満足することができなかった反面、実施例7及び8のボードはこれより優れ、JIS規格を満足していた。
本発明のリサイクル木質ボードは、建築内外装材料、住宅設備部材、家具部材などに利用できる。

Claims (12)

  1. 1又は2以上の芯層と、表裏層とからなる多層で構成されるリサイクル木質ボードにおいて、表裏層がリサイクル木質チップを非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーを主成分とする表裏層用バインダで接着した層であることを特徴とするリサイクル木質ボード。
  2. 非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーは、ガラス転移温度が0℃以上120℃以下であって、合成ゴム、合成ゴムの誘導体、天然ゴム、天然ゴムの誘導体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂の誘導体、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールの誘導体、スチレン又はスチレンの誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基が10重量%以下の割合になるように前記水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマー又はポリマーを重合或いは共重合させた化合物である請求項1記載のリサイクル木質ボード。
  3. ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーは、合成ゴム、合成ゴムの誘導体、天然ゴム又は天然ゴムの誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下の割合になるように前記水酸基及び/又はカルボキシル基を有するエチレングリコール、ビニルアルコール、プロピレングリコール、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸又はグリシジル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸を重合或いは共重合させることにより変性させてなるラテックスを主成分とする請求項2記載のリサイクル木質ボード。
  4. ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーは、ポリ酢酸ビニル樹脂又はポリ酢酸ビニル樹脂の誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下の割合になるように前記水酸基及び/又はカルボキシル基を有するエチレングリコール、ビニルアルコール、プロピレングリコール、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸又はグリシジル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸を重合或いは共重合させてなるエマルジョンを主成分とする請求項2記載のリサイクル木質ボード。
  5. ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリブチレングリコールであるポリアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールの誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下の割合になるようにアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸又はイタコン酸によりエステル化してなるポリマーを主成分とする請求項2記載のリサイクル木質ボード。
  6. ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーは、スチレン又はスチレンの誘導体からなる化合物か、或いは前記化合物に水酸基及び/又はカルボキシル基を10重量%以下の割合になるように前記水酸基及び/又はカルボキシル基を有するエチレングリコール、ビニルアルコール、プロピレングリコール、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸又はグリシジル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸を重合或いは共重合させてなるエマルジョンを主成分とする請求項2記載のリサイクル木質ボード。
  7. ガラス転移温度が0℃以上120℃以下の非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマーは、請求項3記載のラテックスと、請求項4記載のエマルジョンと、請求項5記載のポリマーと、請求項6記載のエマルジョンとを少なくとも2種混合した混合物であるリサイクル木質ボード。
  8. 表裏層用バインダは、非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマー100重量%と、尿素、尿素の誘導体、アンモニア、アンモニアの塩類、有機アミン化合物、ヒドラジン、ヒドラジンの誘導体、蛋白質及びアミノ酸化合物からなる群より選ばれた1又は2種以上のホルムアルデヒド吸収剤0.1〜10重量%とを含む請求項1ないし7いずれか1項に記載のリサイクル木質ボード。
  9. 表裏層用バインダは、非ホルムアルデヒド系ポリマー又はプレポリマー100重量%と、ホルムアルデヒド系ポリマー2〜50重量%とを含む請求項1ないし7いずれか1項に記載のリサイクル木質ボード。
  10. ホルムアルデヒドと容易に反応する尿素、尿素の誘導体、アンモニア、アンモニアの塩類、有機アミン化合物、ヒドラジン、ヒドラジンの誘導体、蛋白質及びアミノ酸化合物からなる群より選ばれた1又は2種以上のホルムアルデヒド吸収剤1〜15重量%を更に含む請求項9記載のリサイクル木質ボード。
  11. 芯層用バインダは、イソシアネート化合物、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂誘導体、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂誘導体及びポリエステル樹脂からなる群より選ばれた1又は2以上を含む請求項1ないし10いずれか1項に記載のリサイクル木質ボード。
  12. 請求項2ないし11いずれか1項に記載されたリサイクル木質ボードの製造方法。
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