JP2019188661A - 木質ボードの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】省エネで快適な住空間を提供できる蓄熱性を有した建材として有用な木質ボードを安定して製造できる製造方法を提供する。【解決手段】バインダーが付着した木質チップからなる表層用材料、バインダーが付着した木質チップ及びバインダーが付着した熱可塑性樹脂と潜熱蓄熱材とからなる粒状樹脂よりなる芯層用材料を、表層用材料、芯層用材料、表層用材料の順に積層した予備成形体を形成し、予備成形体を熱プレスして成形する木質ボード。【選択図】図1

Description

本発明は、省エネで快適な住空間を提供できる蓄熱性を有した建材として有用な木質ボードを安定して製造できる木質ボードの製造方法に関する。
最近の住宅では、スマートハウスに代表されるように、「省エネ」、「創エネ」、「蓄エネ」をキーワードとして、快適で二酸化炭素を排出させない住宅が注目されている。また、パッシブハウスという考え方があり、高性能な遮熱性能を備えることで、高い省エネルギー性と快適性を実現した住宅が注目されている。いずれの住宅においても、住宅の断熱性能と熱環境に対する性能が必要不可欠とされており、その効果を最大限に高めることを目的として蓄熱技術に対する関心が高まっている。
一方、二酸化炭素排出削減のために、「木材利用促進法」の制定にみられるようにできるだけ木材を利用して住宅を建てるという傾向が高まっている。そのような背景から、木質材との組み合わせを考え、住宅の床、壁で蓄熱し、省エネで快適な住空間を提供できる蓄熱性を有した建築部材の研究・開発が盛んとなっている。
例えば、特許文献1には、蓄熱材料としてのパラフィン系炭化水素等の低分子量成分の滲み出しがなく、生活環境温度範囲で形状を保持可能な蓄熱材として、分子中にポリスチレンブロックを1つのみ有する熱可塑性エラストマー(A)と、パラフィン系炭化水素等の鉱物系油又は植物系油(B)と、ポリプロピレン系樹脂等の樹脂成分(C)とからなる蓄熱材が記載されている。そして該蓄熱材からなる粒状成形体を小片(木質チップ等)及び接着剤と混合し、熱圧着してパーティクルボード等の木質ボードとすることが記載されている。
WO2017/010410
しかしながら、特許文献1の如く、パーティクルボード等の木質ボードへ蓄熱材料としてパラフィン系炭化水素等の低分子量化合物を含む粒状樹脂を配合する場合、パーティクルボード製造時の熱プレス工程においてプレス機の加圧盤の解圧時に製造されたパーティクルボードが破裂する現象、いわゆるパンクが発生する場合がある。パンクが発生したパーティクルボードは、ボードの一部が欠け、表面が凹んだような状態である為、表面の平滑性が悪く、フロアボード等の建材として使用することができない。また、このパンク発生の問題は、特に高温での熱プレス時に多く見られ、パーティクルボード製造ラインの高速化に重大な支障をきたしている。
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、省エネで快適な住空間を提供できる蓄熱性を有した建材として有用な木質ボードを安定して製造できる木質ボードの製造方法を提供することを目的とする。
先ず、本発明者らは、木質ボード製造時の熱プレス工程においてプレス機の加圧盤の解圧時に木質ボードのパンクが発生する原因について検討したところ、蓄熱材料としてのパラフィン系炭化水素等の低分子量化合物の蒸発が影響していることを見出した。つまり、パンクの発生は、通常、熱圧プレス時にボード内部で発生する蒸気が外部へ抜けず、ボード内部の蒸気圧が上昇することにより発生するものであるが、ボード内部にパラフィン系炭化水素等の低分子量成分が存在する場合、熱プレスによりこのパラフィン系炭化水素等の低分子量成分の一部が気化し、ボード内部の蒸気圧が通常よりも高くなることで発生するものであることを突き止めた。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、木質ボードへ配合するパラフィン系炭化水素等の低分子量化合物を含む粒状樹脂として、特定の粒径を有する粒状樹脂、詳しくは、平均幅(W50)が3.0mm以上、平均長さ(L50)が4.5mm以上、かつ平均長さ(L50)を芯層の厚さ未満とすることにより、粒径が比較的大きく、表面積が小さくなるため、粒状樹脂の表面に位置するパラフィン系炭化水素等の低分子量化合物からの気化が少なくなることでボード内部の蒸気圧上昇が抑えられ、また粒状樹脂と木質チップとの接点が少なくなることでボード内部の蒸気が外部へ抜ける隙間が適切に確保され、延いてはパンクの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
(1)バインダーが付着した木質チップからなる表層用材料ならびにバインダーが付着した木質チップ及びバインダーが付着した粒状樹脂からなる芯層用材料を準備し、前記表層用材料、前記芯層用材料、前記表層用材料の順に積層してフォーミングした予備成形体を形成した後、前記予備成形体を熱プレスして成形する木質ボードの製造方法において、前記粒状樹脂は、熱可塑性樹脂と潜熱蓄熱材とを含む樹脂組成物からなり、その大きさが下記要件(A1)〜(A3)を満たすことを特徴とする木質ボードの製造方法が提供され、
(A1)前記粒状樹脂の投影図のさしわたし長さを測定した際の最小値の体積積算粒度分布における50%の積算粒度である平均幅(W50)が3.0mm以上
(A2)前記粒状樹脂の投影図を挟む2本の平行線の距離を測定した際の最大値の体積積算粒度分布における50%の積算粒度である平均長さ(L50)が4.5mm以上
(A3)前記平均長さ(L50)が前記木質ボードの芯層の厚さ未満
(2)下記式(1)により求められる前記粒状樹脂の幅(W)のばらつき(R)が0.37以上であり、下記式(2)により求められる前記粒状樹脂の長さ(L)のばらつき(R)が0.21以下であることを特徴とする請求項1記載の木質ボードの製造方法が提供される。
幅(W)のばらつき(R)=(W90−W10)/W50・・・式(1)
〔ただし、W10、W50及びW90は、それぞれ、前記粒状樹脂の投影図のさしわたし長さを測定した際の最小値の体積積算粒度分布における10%、50%、90%の積算粒度である〕
長さ(L)のばらつき(R)=(L90−L10)/L50・・・式(2)
〔ただし、L10、L50及びL90は、それぞれ、前記粒状樹脂の投影図を挟む2本の平行線の距離を測定した際の最大値の体積積算粒度分布における10%、50%、90%の積算粒度である〕
本発明の木質ボードの製造方法は、蓄熱性を有するパラフィン系炭化水素等の低分子量化合物を含む樹脂組成物からなる粒状樹脂を配合した場合においても、木質ボード製造時の熱プレス工程におけるプレス機の加圧盤の解圧時に木質ボードが破裂し、パンクが発生することを抑制することができる。さらに、高温の熱プレスにおいてもパンクが抑制されるため、木質ボード製造ラインの高速化に寄与することができる。
本発明の一実施形態に係る木質ボードの製造方法によって得られた木質ボードの断面図である。 本発明の一実施形態に係る木質ボードの製造方法を示す工程フロー図である。
[木質ボード]
先ず、本発明の木質ボードの製造方法について説明する前に、図1に基づいて、本発明の一実施形態に係る木質ボードの製造方法により得られた木質ボードについて説明する。図1に示すように、木質ボード1は、表層2、芯層3、表層2がこの順に積層された多層構成である。図1において、符号mは木質ボード1を構成する木質チップを示し、符号nは粒状樹脂を示す。
表層は、主として木質ボードの平滑な表面性を担う層であり、図1の上拡大図に示すように、木質チップm、バインダー(図示しない)から構成される。また、表層を設けることにより、木質ボードにおける曲げ強さを表層で補助することもできる。なお、芯層の両外側に設けられる表層は同一の構成材料から成るものであっても、異なっていても良い。
表層に用いられる木質チップは、原料木材を粉砕し、切削して得られたチップ状、繊維状、フレーク状、ウェハー状又はストランド状の材料であり、無機物材料に比べ、低密度かつ嵩高であるという性質を有する。また、これらをさらに細かくして得られた粉末状等を含む。木質チップの種類としては、従来公知のものを使用することができ、特に制限するものではないが、例えば、スギ、ヒノキ、スプルース、ファー、ラジアータパイン等の針葉樹、シラカバ、アピトン、カメレレ、センゴン、ラウト、アスペン等の広葉樹、イネ科タケ亜科に属するタケ類やササ類等の植物材料が挙げられる。木質チップとしては、例えばこれらの樹種の丸太、間伐材等の生材料、工場や住宅建築現場で発生する端材、部材輸送後に廃棄されるパレット材、建築解体時に発生する解体廃材等が使用される。木質チップを作製する方法については後述する。
表層に用いられる木質チップとしては、例えば、目開き4.75mmの篩を通過するものが使用されるが、表層は緻密かつ平滑であることが望ましく、目開き1.00mmの篩を通過する木質チップを95重量%以上含み、かつ目開き0.50mmの篩を通過する木質チップを50重量%以上含むものが好ましい。
表層に用いられるバインダーとしては、イソシアネート系樹脂、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、ユリアメラミン系樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、これらを単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。木質チップとの接着性の観点から、好ましくはイソシアネート系樹脂が使用される。イソシアネート系樹脂としては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(PMDI)、エマルションタイプのPMDI等が挙げられ、これらを単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。バインダーは、木質チップ100重量部に対して、例えば5重量部以上35重量部以下添加され、好ましくは10重量部以上25重量部以下添加され、より好ましくは15重量部以上25重量部以下添加される。
芯層は、主として木質ボード全体の強度と潜熱蓄熱性を担う層であり、図1の下拡大図に示すように、木質チップm、バインダー(図示しない)、熱可塑性樹脂と潜熱蓄熱材とを含む樹脂組成物からなる粒状樹脂nから構成される。木質ボード中における粒状樹脂は、熱プレス時における熱や圧力によって熱プレス前後で変形(弾性変形、塑性変形、溶融変形)し、芯層を構成する木質チップの隙間に収まるよう、或いは木質チップの隙間を埋めるよう構成されている。なお、熱プレス前の粒状樹脂の大きさや形状についての詳細は後述する製造方法にて説明する。
芯層に用いられる木質チップとしては、上述した木質チップを使用することができる。また、芯層に用いられる木質チップは、例えば、目開き4.75mmの篩を通過するものが使用されるが、表層に比べて木質チップが粗大であっても所望の機械特性が得られやすいことから、例えば、目開き2.80mmの篩を通過するが、目開き0.50mmの篩を通過しないものを90重量%以上含む木質チップが好ましい。木質チップが上記範囲であれば、後述する粒状樹脂が木質チップの隙間に収まりやすく、木質チップ同士の交差点が多くなる為、バインダーにより木質チップ同士が強固に接着され、得られる木質ボードのはく離強さが大きくなる。
芯層に用いられるバインダーとしては、上述したバインダーを使用することができる。木質チップや後述する粒状樹脂との接着性の観点から、好ましくはイソシアネート系樹脂が使用される。また木質ボードの加工性及び強度の観点から、木質チップ100重量部に対して、例えば、5重量部以上15重量部以下添加され、好ましくは5重量部以上10重量部以下添加される。
芯層に用いられる粒状樹脂は、熱可塑性樹脂と潜熱蓄熱材とを含む樹脂組成物から構成され、木質ボードに潜熱蓄熱性を付与するものである。このような樹脂組成物からなる粒状樹脂は、潜熱蓄熱材が熱可塑性樹脂により担持されてなる為、凝固と融解による相転移を繰り返すヒートサイクル下においても担持材料からの潜熱蓄熱材の滲みだしや相分離が抑制され、延いては木質ボードからの潜熱蓄熱材の滲みだしや、潜熱蓄熱性能の低下、木質ボードの連続生産において製造ラインを汚染するといった問題を抑制することができる。
潜熱蓄熱材は、日射光により付与される日射熱、冷暖房による熱などで固体−液体の相転移する潜熱蓄熱性の低分子量化合物である。潜熱蓄熱材としては、例えば、パラフィン系炭化水素;ナフテン系炭化水素;ベンゼン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等又はこれらの混合物で構成される長鎖脂肪酸;パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のエステル化合物、ステアリン酸アルコール等のアルコール類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル化合物等の分子量が1万未満の化合物が挙げられ、これらを単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
木質ボードを住宅建材に利用することを考慮すると、潜熱蓄熱材の相転移温度(融点)は、−20℃〜60℃の範囲であることが好ましく、−15℃〜40℃の範囲であることがより好ましい。相転移温度が−15℃〜40℃の範囲である潜熱蓄熱材としては、炭素数が12以上20以下のn−パラフィンであり、例えば、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン及びn−エイコサンが挙げられ、これらを単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。木質ボードを室内の壁や床用に用いる場合、潜熱蓄熱材は融点が5℃以上40℃以下の範囲にあることが望ましく、上述したn−パラフィンの中でも、炭素数が14以上20以下のn−パラフィンがより好ましく、炭素数が16以上18以下のn−パラフィンが特に好ましい。
なお、潜熱蓄熱材は、上述した化合物を内包するマイクロカプセルとされていても良い。上述した化合物をマイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を採用することができ、特に制限するものではないが、例えば、複合エマルジョン法によるカプセル化法、化合物粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法、化合物粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法、化合物粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法、界面重縮合反応によりマイクロカプセル化する方法等が挙げられる。マイクロカプセルの粒子径は、10μm以下が好ましく、5μm以下であることがより好ましい。この粒子径以上になるとマイクロカプセルが外圧で容易に壊れやすくなる恐れがある。
熱可塑性樹脂は、潜熱蓄熱材を担持するものであり、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数4〜18の少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物のモノマーとグラフト化した不飽和カルボン酸グラフト変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;環状ポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、等のポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂;熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらを単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリエチレン系樹脂やポリプレピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂は潜熱蓄熱材と安定した海島構造をなし、潜熱蓄熱材を効果的に担持することができる。
樹脂組成物は、潜熱蓄熱材の凝固と融解による相転移を繰り返すヒートサイクル下における担持材料からの潜熱蓄熱材の滲みだしや相分離を効果的に抑制する為、熱可塑性樹脂として熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、エチレン−エチレン/共役ジエン−エチレンブロック共重合体(CEBC)等のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー;スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体(SIR)、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)等のポリスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー;塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;アクリル系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらを単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、これらはパラフィン系炭化水素等の低分子量化合物の漏洩の抑制に優れる。
樹脂組成物は、潜熱蓄熱材を30重量%以上80重量%以下、熱可塑性樹脂を20重量%以上70重量%以下の割合で含むことが好ましい。潜熱蓄熱材が30重量%未満の場合、潜熱蓄熱性の材料として使用するに十分な蓄熱性を確保できない恐れがあり、80重量%を超える場合、樹脂組成物から潜熱蓄熱材が漏れ出す恐れがある。また、熱可塑性樹脂として熱可塑性エラストマーを含む場合、潜熱蓄熱材を30重量%以上80重量%以下、熱可塑性エラストマー以外の他の熱可塑性樹脂を10重量%以上60重量%以下、熱可塑性エラストマーを5重量%以上50重量%以下で含むことが好ましく、潜熱蓄熱材を40重量%以上70重量%以下、熱可塑性エラストマー以外の他の熱可塑性樹脂を15重量%以上50重量%以下、熱可塑性エラストマーを10重量%以上40重量%以下含むことがより好ましい。このような配合量とすることにより、潜熱蓄熱材及び熱可塑性エラストマーのリッチ相である島相と、熱可塑性エラストマー以外の他の熱可塑性樹脂のリッチ相である海相とを有する海島構造を成す。
樹脂組成物には、上述した成分の他に、これらの樹脂の特性を阻害しない範囲で、他の樹脂成分を配合することができる。また必要に応じて、公知の充填剤、顔料、核剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、金属石鹸、界面活性剤、ワックス等の滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、飽和もしくは不飽和カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの金属塩等のゲル化剤等の添加剤を添加することができる。
粒状樹脂は、芯層の木質チップ100重量部に対して、例えば、20重量部以上150重量部以下添加することが好ましい。粒状樹脂が20重量部未満の場合、潜熱蓄熱性の材料として使用するに十分な蓄熱量を確保できない恐れがあり、150重量部を超える場合、木質ボードとして成形できない恐れがある。粒状樹脂の添加量は、木質チップ100重量部に対して、30重量部以上120重量部以下であることがより好ましく、40重量部以上90重量部以下であることが特に好ましい。
木質ボードの厚さは、使用される用途等に応じて、後述するマット量やプレス圧等を調整して適宜設計すれば良く、特に制限するものではないが、例えば、3〜50mmであることが好ましく、5〜40mmであることがより好ましく、6〜20mmであることがさらに好ましく、6〜15mmであることが特に好ましい。
木質ボードの各層の厚さは、後述する表層用材料及び芯層用材料のマット量やプレス圧等を調整して適宜設計すれば良く、特に制限するものではないが、例えば、木質ボードの厚さをt、芯層の厚さをta、両表面層の厚さをそれぞれtb、tbとしたとき、芯層の厚さは、0.2t≦ta≦0.9tであることが好ましく、0.4t≦ta≦0.8tであることがより好ましく、0.5t≦ta≦0.7tであることが特に好ましい。両表面層の厚さは、0.1t≦tb+tb≦0.8tであることが好ましく、0.2t≦tb+tb≦0.6tであることがより好ましく、0.3t≦tb+tb≦0.5tであることが特に好ましい。なお、芯層の両外側に設けられる表層の厚さは同一であることが好ましいが、必ずしも同一でなくても良い。
木質ボードの密度は、使用される用途等に応じて、後述するマット量やプレス圧等を調整して適宜設計すれば良く、特に制限するものではないが、例えば、0.40g/cm以上1.00g/cm以下である。
木質ボードの曲げ強さは、使用される用途等に応じて適宜設計すれば良く、特に制限するものではないが、壁面等の構造部材やフロアボードとして使用することを考慮すると、8.0N/mm以上であることが好ましく、13.0N/mm以上であることがより好ましく、18.0N/mm以上であることが特に好ましい。
木質ボードのはく離強さは、使用される用途等に応じて適宜設計すれば良く、特に制限するものではないが、壁面等の構造部材やフロアボードとして使用することを考慮すると、0.3N/mm以上である。はく離強さは、0.6N/mm以上であることが好ましく、0.8N/mm以上であることがより好ましく、1.0N/mm以上であることが特に好ましい。はく離強さが0.6N/mm以上であれば、実の加工適正に優れる。
木質ボードの表層:芯層:表層の重量割合は、特に制限するものではないが、例えば、10:80:10〜40:20:40であることが好ましい。木質ボードの潜熱蓄熱性(蓄熱量)を確保するためには、芯層の重量割合が大きい方が好ましい為、芯層の重量割合は30重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、60重量%以上が特に好ましい。
木質ボードは、上述したように、木質チップとバインダーとからなる表層と、木質チップと粒状樹脂とバインダーとからなる芯層とを有する構成であれば良く、目的に応じて他の層を配置しても良い。なお、粒状樹脂は、芯層以外の層に配合されていても良く、表層以外の層に含まれる構成とすることが好ましいが、フォーミングの工程などを考慮すると厳密に表層に粒状樹脂が含まれない構成とすることは難しく、表層にもその特性を阻害しない範囲であれば粒状樹脂が含まれていても良い。表層に粒状樹脂が含まれる場合、木質チップ100重量部に対して10重量部未満、好ましくは5重量部未満、より好ましくは3重量部未満であれば、表層に与える影響が小さく、また表層からの潜熱蓄熱材の流出もほとんど見られない。
木質ボードには、上述した木質チップ、バインダー及び粒状樹脂の他に、その特性を阻害しない範囲で、他の樹脂成分を配合することができる。また必要に応じて公知の粘着付与剤、アルデヒドキャッチャー剤、硬化促進剤、離型剤、剥離剤、乳化剤、乳化安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、シランカップリング剤、ポバール、金属触媒、ワックス等の滑剤、合成ゴムラテックス、アクリル系エマルション等の添加剤を添加することができる。
[木質ボードの製造方法]
次に、本発明の一実施形態に係る木質ボードの製造方法について説明する。図2は本発明の一実施形態に係る木質ボードの製造方法を示す工程フロー図である。以下、図2の工程フローに沿って説明する。
(第1工程(切削))
本発明においては、先ず、原料木材等を必要に応じて調木し、従来公知のチッパー機で粉砕した後に、従来公知のフレーカーで切削して木質チップを作製する。木質チップは表層用の木質チップと、表層用の木質チップよりも粗い芯層用の木質チップの2種類の木質チップをそれぞれ作成することが好ましい。表層用の木質チップと芯層用の木質チップは、例えば、得られた木質チップを従来公知の分級機で分級することによって準備すれば良い。なお、木質チップの形状はチップ状に限定されるものではなく、種々の形状を採用することができる。
木質チップは、含水率が所定の値(例えば、2〜4%程度)となるよう調整されていることが望ましい。乾燥方法は特に制限するものではないが、例えば、従来公知の熱風乾燥機を用い、105〜120℃の環境下で所定時間(例えば、0.5〜24時間)乾燥して水分含有量が所望の含水率となるように調整すれば良い。
(第2工程(バインダー付着))
次に、バインダーが付着した表層用の木質チップからなる表層用材料と、バインダーが付着した芯層用の木質チップ及びバインダーが付着した粒状樹脂からなる芯層用材料と、を準備する。木質チップ及び/又は粒状樹脂にバインダーを付着させる方法は、木質チップ及び/又は粒状樹脂の表面にバインダーがある程度付着させることができる方法であれば良く、その手段は特に制限されないが、表層用材料は、例えば、所定量に計量した木質チップを従来公知のブレンダーに投入し、これに所定のバインダー及び必要に応じて添加剤等を噴霧して混合撹拌することにより得られる。芯層用材料についても、表層用材料と同様、所定量に計量した木質チップ及び粒状樹脂を従来公知のブレンダー機に投入し、これらに所定量のバインダー及び必要に応じて添加剤等を噴霧して混合撹拌することにより得られる。表層用材料及び芯層用材料の混合には従来公知のリボンブレンダー、高速ミキサー、タンブラー等の混合設備を利用することができる。なお、木質ボードの含水率を調整するために、ここで所定の水を加えても良い。
ここで木質ボードの原料として配合する粒状樹脂について説明する。粒状樹脂はペレット等の粒状の樹脂成形体であり、その大きさが下記要件(A1)〜(A3)を満たすことを特徴とする。本発明においては、粒状樹脂の平均幅(W50)及び平均長さ(L50)を下記範囲とすることにより、粒径が比較的大きく、表面積が小さくなるため、粒状樹脂の表面に位置するパラフィン系炭化水素等の低分子量化合物からの気化が少なくなり、ボード内部における蒸気圧上昇が抑えられてパンクの発生が抑制される。また、粒状樹脂の表面積が小さくなることで、粒状樹脂と木質チップとの接点が少なくなり、ボード内部の蒸気が外部へ抜ける隙間が適切に確保されてパンクの発生が抑制される。
(A1)粒状樹脂の投影図のさしわたし長さを測定した際の最小値の体積積算粒度分布における50%の積算粒度である平均幅(W50)が3.0mm以上
(A2)粒状樹脂の投影図を挟む2本の平行線の距離を測定した際の最大値の体積積算粒度分布における50%の積算粒度である平均長さ(L50)が4.5mm以上
(A3)平均長さ(L50)が木質ボードの芯層の厚さ未満
粒状樹脂は、平均幅(W50)が3mm以上であることを特徴とする。平均幅(W50)は3.0mm以上10.0mm以下であることが好ましく、3.0mm以上8.0mm以下であることがより好ましく、3.2mm以上6.0mm以下であることがさらに好ましく、3.4mm以上5.5mm以下であることが特に好ましい。なお、粒状樹脂の平均幅(W50)は、デジタル画像解析式粒子径分布測定装置(Retsch Co.,Ltd製「CAMSIZER(登録商標)」)を用い、粒状樹脂の投影図のさしわたし長さを64方向から測定した際の最小の値(Xcmin)を各粒状樹脂の粒子径として求め、体積積算粒度分布を求めたときに、体積積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径を意味する。
下記式(1)により求められる前記粒状樹脂の幅(W)のばらつき(R)が0.05以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましく、0.37以上であることがさらに好ましく、0.40以上であることが特に好ましい。ばらつき(R)が上記範囲であれば、パンクの発生をより効果的に抑制することができる。ばらつき(R)の上限としては、2.00以下が好ましく、1.50以下がより好ましく、1.00以下がさらに好ましく、0.50以下が特に好ましい。
幅(W)のばらつき(R)=(W90−W10)/W50・・・式(1)
10、W50及びW90は、それぞれ、デジタル画像解析式粒子径分布測定装置(Retsch Co.,Ltd製「CAMSIZER(登録商標)」)を用い、粒状樹脂の投影図のさしわたし長さを64方向から測定した際の最小の値(Xcmin)を各粒状樹脂の粒子径として求め、体積積算粒度分布を求めたときに、体積積算粒度分布における10%、50%、90%の積算粒度を意味する。
粒状樹脂は、平均長さ(L50)4.5mm以上であることを特徴とする。平均長さ(L50)は4.5mm以上10.0mm以下であることが好ましく、4.5mm以上9.0mm以下であることがより好ましく、5.0mm以上8.0mm以下であることがさらに好ましく、5.5〜7.5mmであることが特に好ましい。なお、粒状樹脂の平均長さ(L50)は、デジタル画像解析式粒子径分布測定装置(Retsch Co.,Ltd製「CAMSIZER(登録商標)」)を用い、粒状樹脂の投影図を挟む2本の平行線の距離を64方向から測定した際の最大の値(XFemax)を各粒状樹脂の粒子径として求め、体積積算粒度分布を求めたときに、体積積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径を意味する。
粒状樹脂は、平均長さ(L50)が芯層の厚さ未満であることを特徴とする。本発明においては、粒状樹脂の粒径が大きいほど、一定量の粒状樹脂を木質ボードに配合した際の粒状樹脂の総表面積が小さくなることから、その粒径は大きいことが好ましい。しかしながら、粒状樹脂の平均長さ(L50)が木質ボードにおける芯層の厚さを超えると、粒状樹脂が木質チップの隙間に収まりづらくなるとともに、粒状樹脂が木質チップ同士の接着を阻害し、曲げ強さやはく離強さ等の機械特性が不足する恐れがある。また、粒状樹脂の平均長さ(L50)が木質ボードにおける芯層の厚さを超えると、粒状樹脂が木質ボードの表面に露出され、粒状樹脂に含まれるパラフィン系炭化水素等の低分子量化合物が木質ボードの表面から流出して蓄熱量が減少することや、成形時にプレス機の加圧盤を汚染する恐れがある。粒状樹脂の平均長さ(L50)は、芯層の厚さをtaとしたとき、0.9ta未満であることが好ましく、0.85ta未満であることがより好ましく、0.8ta未満であることがさらに好ましい。
下記式(2)で求められる粒状樹脂の長さ(L)のばらつき(R)が2.00以下であることが好ましく、0.50以下であることがより好ましく、0.21以下であることがさらに好ましく、0.20以下であることが特に好ましい。ばらつき(R)が上記範囲であれば、パンクの発生を効果的に抑制することができる。ばらつき(R)の下限としては、0.05以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましい。
長さ(L)のばらつき(R)=(L90−L10)/L50・・・式(2)
10、L50及びL90は、それぞれ、デジタル画像解析式粒子径分布測定装置(Retsch Co.,Ltd製「CAMSIZER(登録商標)」)を用い、粒状樹脂の投影図を挟む2本の平行線の距離を64方向から測定した際の最大の値(XFemax)を各粒状樹脂の粒子径として求め、体積積算粒度分布を求めたときに、体積積算粒度分布における10%、50%、90%の積算粒度を意味する。
粒状樹脂は、アスペクト比[平均長さ(L50)/平均幅(W50)]が1.00〜3.00であることが好ましい。アスペクト比は1.00〜2.50であることがより好ましく、1.00〜2.00であることがさらに好ましく、1.00〜1.80であることが特に好ましい。アスペクト比が上記範囲であれば、一定量の粒状樹脂を木質ボードに配合した際の粒状樹脂の総表面積が小さくなるため、粒状樹脂の表面に位置するパラフィン系炭化水素等の低分子量化合物からの気化が少なくなり、ボード内部における蒸気圧上昇が抑えられてパンクの発生が抑制される。
粒状樹脂の製造方法としては、従来公知の方法を採用することができ、特に制限するものではないが、例えば、上述した各成分を溶融・混練した樹脂組成物をストランド状に引取り、ストランドカットすることにより製造することができる。その際、ストランド状に引取る孔の大きさとストランドカットする長さを調整することにより、任意の大きさの粒状樹脂を得ることができる。
(第3工程(フォーミング))
次に、バインダーが付着した木質チップからなる表層用材料を、上側表層用の表層用材料と下側表層用の表層用材料とに分けた後、上側表層用の表層用材料(第1層用材料)、芯層用材料(第2層用材料)、下側表層用の表層用材料(第3層用材料)の順に堆積(散布)してフォーミング(マット成形)し、上側表層(第1層)/芯層(第2層)/下側表層(第3層)の板状の予備成形体(マット)を形成する。フォーミングは、通常の木質ボード製造ラインを使用することができ、例えば、成形台やスチールベルト等を用いて、その上に各層用の材料を供給して堆積すれば良いが、成形台やスチールベルト等への堆積前や堆積後に各層用の材料を目的とする形状に予備圧縮しておけば得られる木質ボードの品質を安定させることができる。なお、木質ボードの含水率を調整するために、ここで所定の水を予備成形体に加えても良い。
(第4工程(熱プレス))
そして、得られた板状の予備成形体を上部熱盤と下部熱盤とを備えた熱圧プレス機により熱プレスし、上側表層(第1層)/芯層(第2層)/下側表層(第3層)の順に積層された木質ボードを作製する。熱プレスの条件は特に制限するものではないが、例えば、プレス温度は120〜250℃であり、プレス圧は2〜10N/mmであり、プレス時間は40〜300秒であり、使用される用途に応じて上記範囲内で適宜調整すれば良い。熱プレス方法としては、上記のような成形体を成形することができる方法であれば特に制限されず、例えば、バッチ式の方法であっても良いし、連続プレス又は多段プレスであっても良い。
本発明においては、熱プレスを芯層用材料(第2層用材料)の温度が116℃超となる条件とすることが好ましい。熱プレスは、118℃超となる条件であることがより好ましく、120℃超となる条件であることがさらに好ましい。通常、プレス温度が高温になるほど予備成形体に与える熱量が相対的に大きくなり、プレス時間を短縮することができるが、ボード内部の蒸気圧が高くなるためにパンクが発生しやすくなる。しかしながら、本発明においては、原料としての粒状樹脂の平均幅(W50)、平均長さ(L50)を上記範囲とすることにより、ボード内部における蒸気圧上昇が抑えられるとともに、ボード内部の蒸気が外部へ抜ける隙間が適切に確保されることから、高温の熱プレスにおいてもパンクの発生を抑制することができ、木質ボード製造ラインの高速化に寄与することができる。なお、ここでいう高温の熱プレスとは、170℃超の熱プレスであり、好ましくは180℃超であり、より好ましくは190℃超である。
熱プレスにおける芯層用材料の温度を116℃超とする方法としては、例えば、熱プレス時の芯層用材料の温度を熱電対等の公知の温度測定機で測定し、プレス機等の加圧盤の加熱温度やプレス時間を調整すれば良い。
なお、ここで熱プレスにおける芯層用材料の温度を116℃超とするとは、マットに含まれる芯層用材料が、いずれの位置においても116℃超であることが望ましいが、マットの平面視における中心部、かつマットの厚さ方向における中心部が最も蒸気圧が高くパンクしやすい為、マットの中心部が上記温度を超えることを言う。また、通常の熱プレスにおいては、プレス機の加圧盤の解圧直前の芯層用材料温度が熱プレスにおける芯層用材料の最高温度となると考えられる為、プレス機の加圧盤の解圧直前の温度が上記温度を超えるようにすれば良い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的態様は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の木質ボードは、人が実質的に快適な住空間を感じる蓄熱性を有しつつも、実用的な強度を備えるものであり、住宅の屋根下地材、壁面等の構造部材、フロアボード等、蓄熱性を有した建築部材として好適に使用することができる。
以下、本発明の木質ボードの製造方法について、実施例に基づき説明する。なお、各木質ボードにおいて行った測定・評価の方法は以下の通りである。
(1)はく離強さ
JIS A 5908(2003)の6.8に準拠して算出した。
(2)成形性
板状の予備成形体を熱プレスした後のプレス機の加圧盤解圧時におけるパンク発生状況を目視により確認した。評価基準は以下の通りである。
○:4サンプル作製し、4サンプルともパンクが発生しなかった。
△:4サンプル作製し、1〜3サンプルにパンクが発生した。
×:4サンプル作製し、4サンプルともパンクが発生した。
(3)蓄熱性
住宅を模した実験棟のフロアに得られた木質ボードを配置し、冬季期間中の3週間における木質ボードの表面温度を測定した。評価基準は以下の通りである。
○:表面温度が19℃以下となる時間が1日あたり2時間半未満
×:表面温度が19℃以下となる時間が1日あたり2時間半を超える
尚、国際標準化機構(ISO7730)においては、住宅における快適条件として床表面温度が19℃〜26℃とされており、表面温度が19℃以下となる時間が少ないほど快適な住空間を維持できていると言える。
(4)粒状樹脂の大きさ
明細書の本文中に記載した方法により測定した。
各実施例、比較例で使用した原料は以下の通りである。
(木質チップ)
表層用の木質チップ:目開き1.00mmの篩を通過する木質チップを95重量%以上含み、かつ目開き0.50mmの篩を通過する木質チップを50重量%以上含む
芯層用の木質チップ:目開き2.80mmの篩を通過し、目開き0.50mmの篩を通過しない木質チップを90重量%以上含む
(バインダー)
イソシアネート系接着剤:4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
(粒状樹脂)
粒状樹脂A、B、C、D:n−パラフィンとポリエチレン系樹脂とを含む樹脂組成物からなるペレット
なお、粒状樹脂A〜Dの大きさを表1に示す。
Figure 2019188661
[実施例1及び2、比較例1乃至3]
表2に示す組成比にて、バインダーが付着した表層用の木質チップからなる表層用材料と、バインダーが付着した芯層用の木質チップ及びバインダーが付着した粒状樹脂からなる芯層用材料とを準備し、次いで、上側表層用の表層用材料、芯層用材料、下側表層用の表層用材料の順に積層してフォーミングし、上側表層/芯層/下側表層(重量比20:60:20)の積層体である板状の予備成形体を形成した後、表2に示す条件にて熱プレスを行い、設定密度0.77g/cm、長さ360mm、幅360mm、厚さ12mmの木質ボードを得た。得られた木質ボードのはく離強さ、成形性、及び蓄熱性を表2に併せて示す。
Figure 2019188661
表2に示すように、平均幅(W50)が3.0mm以上、平均長さ(L50)が4.5mm以上、かつ平均長さ(L50)が芯層の厚さ未満である粒状樹脂を原料として配合した実施例1及び2の木質ボードは、いずれのサンプルにおいても熱プレス工程(熱プレス温度:200℃、170℃)におけるプレス機の加圧盤の解圧時にパンクが発生しなかった。一方、表2に示すように、平均幅(W50)が2.1mm、平均長さ(L50)が2.9mmである最も小さい粒状樹脂を原料として配合した比較例1の木質ボードは、すべてサンプルにおいて熱プレス工程におけるプレス機の加圧盤の解圧時にパンクが発生した。また、平均幅(W50)が2.2mm、平均長さ(L50)が4.4mmである粒状樹脂を原料として配合した比較例2及び平均幅(W50)が2.6mm、平均長さ(L50)が4.2mmである粒状樹脂を配合した比較例3の木質ボードは、ほとんどのサンプルにおいて熱プレス工程におけるプレス機の加圧盤の解圧時にパンクが発生した。この結果からも分かるように、原料として配合する粒状樹脂の大きさが大きくなるほどパンクの発生が抑制される。
1:木質ボード
2:表層
3:芯層
m:木質チップ
n:粒状樹脂


Claims (2)

  1. バインダーが付着した木質チップからなる表層用材料ならびに
    バインダーが付着した木質チップ及びバインダーが付着した粒状樹脂からなる芯層用材料を準備し、
    前記表層用材料、前記芯層用材料、前記表層用材料の順に積層してフォーミングした予備成形体を形成した後、
    前記予備成形体を熱プレスして成形する木質ボードの製造方法において、
    前記粒状樹脂は、熱可塑性樹脂と潜熱蓄熱材とを含む樹脂組成物からなり、その大きさが下記要件(A1)〜(A3)を満たすことを特徴とする木質ボードの製造方法。
    (A1)前記粒状樹脂の投影図のさしわたし長さを測定した際の最小値の体積積算粒度分布における50%の積算粒度である平均幅(W50)が3.0mm以上
    (A2)前記粒状樹脂の投影図を挟む2本の平行線の距離を測定した際の最大値の体積積算粒度分布における50%の積算粒度である平均長さ(L50)が4.5mm以上
    (A3)前記平均長さ(L50)が前記木質ボードの芯層の厚さ未満
  2. 下記式(1)により求められる前記粒状樹脂の幅(W)のばらつき(R)が0.37以上であり、下記式(2)により求められる前記粒状樹脂の長さ(L)のばらつき(R)が0.21以下であることを特徴とする請求項1記載の木質ボードの製造方法。
    幅(W)のばらつき(R)=(W90−W10)/W50・・・式(1)
    〔ただし、W10、W50及びW90は、それぞれ、前記粒状樹脂の投影図のさしわたし長さを測定した際の最小値の体積積算粒度分布における10%、50%、90%の積算粒度である〕
    長さ(L)のばらつき(R)=(L90−L10)/L50・・・式(2)
    〔ただし、L10、L50及びL90は、それぞれ、前記粒状樹脂の投影図を挟む2本の平行線の距離を測定した際の最大値の体積積算粒度分布における10%、50%、90%の積算粒度である〕


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