JP2011056858A - 木質板材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】木質板材1の中心層13は、木片と、木片の重量に対して7重量%のMDI、及び、木片の重量に対して5重量%のMUFを含む接着剤とを用いて形成されている。内層12,14夫々と中心層13との主要な差異は、MUFが2.5重量%に減少されていることであり、外層11,15夫々と中心層13との主要な差異は、MUFが0重量%に減少されていることである。このような木質板材1は、各層に係るMUFが0重量%で一定の場合よりも、木質板材1の剥離強度を効率よく、しかも大幅に向上させることができる。また、中心層13及び内層12,14夫々に係るMUFが5重量%で一定の場合よりも、MDI及びMUFの総使用量を減少させることができるため、木質板材の製造コストを低減することができる。
【選択図】図1
Description
木質板材を製造する際には、例えば、MUF(ユリアメラミン共縮合樹脂)を含むMUF接着剤が使用される。しかしながら、MUFはホルマリン系の合成樹脂であり、シックハウス症候群の原因のひとつとされるホルムアルデヒドを放出する。そこで、ホルムアルデヒドを放出しないノンホルマリン系の合成樹脂であるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を含むMDI接着剤を使用することが検討されている。
そこで、発明者らは、木片の重量に対するMDIの重量パーセントを増加させることによって接着剤添加率を増加させた木質板材を製造したが、剥離強度は大幅には向上しなかった。しかも、接着剤添加率の増加に伴い、MDIの使用量が増加したため、木質板材の製造コストが高騰した。
一方、木質板材の剥離強度を向上させるためには、外層の接着剤添加率よりも中心層の接着剤添加率を増加させる方が効果的であることが知られている。
この問題を解決するためには、外層におけるMDIの重量パーセントを減少させるか、又は、中心層におけるMDI及び/又はMUFの重量パーセントを減少させることによって、合成樹脂の総使用量を更に減少させることが考えられる。ところが、この場合には、十分な剥離強度が得られない虞がある。
中心層は、木片と、木片の重量に対してW1重量%の第1合成樹脂、及び、木片の重量に対してW2重量%の第2合成樹脂を含む接着剤とを用いて形成されている。ここで、第2合成樹脂は第1合成樹脂とは異なるものであり、W1,W2>0である。
従って、M層構造の木質板材の場合、第1外層に係る第2合成樹脂の重量パーセントW3をW400とし、1番目、2番目、…、及びN番目の第1内層夫々に係る第2合成樹脂の重量パーセントW3をW401,W402,…,W40Nとすると、0≦W400<W401<W402<…<W40N<W2が成立する。同様に、第2外層に係る第2合成樹脂の重量パーセントW3をW500とし、1番目、2番目、…、及びN番目の第2内層夫々に係る第2合成樹脂の重量パーセントW3をW501,W502,…,W50Nとすると、0≦W500<W50N<…<W502<W501<W2が成立する。
第1合成樹脂及び第2合成樹脂夫々の重量パーセントの合計値が高い(又は低い)ほど、各層に係る合成樹脂の使用量は多く(又は少なく)、各層の接着剤添加率は高い(又は低い)といえる。
この結果、中心層に係る合成樹脂の使用量は、内層に係る合成樹脂の使用量よりも多く、より中心層に近い位置の内層に係る合成樹脂の使用量は、より外層に近い位置の内層に係る合成樹脂の使用量よりも多い。更に、内層に係る合成樹脂の使用量は、外層に係る合成樹脂の使用量よりも多い。
ところで、一般的な木質板材においては、外層よりも中心層の方が密度が低い。また、密度が低い層は、密度が高い層よりも剥離破壊し易い。従って、より剥離破壊し易い層の接着剤添加率を増加させることによって、この層の密度を増加させてある本発明の木質板材は、剥離強度が向上されている。
外層を形成するために第2合成樹脂が使用されていない分、第2合成樹脂が使用された場合に比べて、外層に係る合成樹脂の使用量は更に減少するが、外層の接着剤添加率は更に低くなる。しかしながら、外層の接着剤添加率の高低は、木質板材全体の剥離強度には大きく影響しないため、格別の問題は生じない。
ただし、各層に係るノンホルマリン系の合成樹脂(具体的にはMDI)の重量パーセントは、一定である。一方、各層に係るホルマリン系の合成樹脂(具体的にはMUF)の重量パーセントは、中心層から外層へ向けて、段階的に減少させてある。つまり、本発明の木質板材におけるMUFの含有量は最小限である。このため、本発明の木質板材は、例えば各層に係るMDI及びMUF夫々の重量パーセントが一定である木質板材に比べて、ホルムアルデヒドの放出量は減少する。
ところで、木質板材の剥離強度を向上させるためには、外層の接着剤添加率を増加させるよりも中心層の接着剤添加率を増加させる方が効果的である。
従って、本発明の木質板材は、各層に係る第2合成樹脂の重量パーセントが、例えば外層に係る第2合成樹脂の重量パーセントで一定の場合であるよりも、木質板材の剥離強度を効率よく向上させることができる。
つまり、本発明の木質板材は、剥離強度を効率よく向上させることと、合成樹脂の総使用量を減少させることによって木質板材の製造コストを低減することとを両立させることができる。
つまり、本発明の木質板材は、剥離強度を向上させることと、合成樹脂の総使用量を更に減少させることによって木質板材の製造コストを更に低減することとを両立させることができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る木質板材1の構成を模式的に示す側面図であり、図2(a),(b),(c)は、木質板材1と比較すべき木質板材2,3,4の構成を模式的に示す側面図である。以下では、図1及び図2夫々における上下方向を、木質板材1〜4夫々の上下方向という。
図1に示す木質板材1は、約13mmの厚さを有する5層構造のパーティクルボードであり、2層の第1外層11及び第2外層15夫々と、1層の中心層13との間に、各1層の第1内層12及び第2内層14を有する。更に詳細には、木質板材1は、上から順に、第1外層11、第1内層12、中心層13、第2内層14、及び第2外層15を積層してなる。
以下では、第1外層と第2外層とを区別しない場合には、単に外層といい、第1内層と第2内層とを区別しない場合には、単に内層という。
図1及び図2に示す各層の境界線が実線(又は破線)である場合には、隣接する2層に係るMUFの重量パーセントは異なる(又は等しい)。
次の表1は、木質板材1〜4夫々が有する各層に係るMDI及びMUF夫々の重量パーセント[重量%]を示すものである。
また、外層に係るMUFの重量パーセントW3は0重量%で一定である。更にまた、第1内層に係るMUFの重量パーセントW3と、第2内層に係るMUFの重量パーセントW3とは等しい。つまり、木質板材1〜4におけるMDIの重量パーセントの分布は、中心層を中心にして上下対称である。
木質板材1〜4夫々の面積が等しい場合、木質板材1〜4夫々を製造するためのMUFの使用量は、木質板材2、木質板材1、木質板材4、及び木質板材3の順に多い。
まず、製造者は、外層11,15を形成すべき外層用混合物、内層12,14を形成すべき内層用混合物、及び中心層13を形成すべき中心層用混合物を準備する。
外層11,15を形成すべき外層用混合物を準備するために、製造者は、夫々が16メッシュ通過以下、且つ50メッシュ非通過以上の粒度を有するチップを準備する。次に、製造者は、含水率が約4重量%になるまでチップを乾燥させる。更に、製造者は、乾燥したスギ及びマツ夫々のチップを、重量比が1:1になるように混合する。
そして、製造者は、得られたMDI接着剤を、混合されたチップに噴霧することによって、外層用混合物を得る。
また、製造者は、混合されたチップの全乾重量に対して7重量%のMDIと、2.5重量%のMUFと、水とを混合することによって、熱硬化性の混合接着剤を得る。ただし、MDI及びMUFと混合すべき水の量は、マット含水率が15重量%になる量である。
そして、製造者は、得られた混合接着剤を、混合されたチップに噴霧することによって、内層用混合物を得る。
また、製造者は、混合されたチップの全乾重量に対して7重量%のMDIと、5重量%のMUFと、水とを混合することによって、熱硬化性の混合接着剤を得る。ただし、MDI及びMUFと混合すべき水の量は、マット含水率が15重量%になる量である。
そして、製造者は、得られた混合接着剤を、混合されたチップに噴霧することによって、中心層用混合物を得る。
最後に、製造者は、積層した混合物を、13.2mmのディスタンス・バーで厚さを規制した状態で、熱圧成型する。このとき、温度は185℃であり、圧力は26kg/cm2であり、熱圧時間は4分間である。
以上の結果、木質板材1が得られる。
ここで、各層のマット重量比は、各層の厚みに対応する。即ち、中心層13は、中心層13以外の各層の約1.5倍の厚みを有する。
次に、製造者は、木質板材2に係る外層用混合物、内層用混合物、及び中心層用混合物を用いて、木質板材1を製造する場合と同様にフォーミングを行なう。
最後に、製造者は、積層した混合物を、木質板材1を製造する場合と同様に熱圧成型する。
以上の結果、木質板材2が得られる。
内層32,34を形成すべき内層用混合物を準備するために、製造者は、内層12,14を形成すべき内層用混合物を準備する場合と同様にして、含水率が約4重量%になるまで乾燥したスギ及びマツ夫々のストランド状のチップを、重量比が1:1になるように混合する。
また、製造者は、混合されたチップの全乾重量に対して7重量%のMDIと、水とを混合することによって、熱硬化性のMDI接着剤を得る。ただし、MDIと混合すべき水の量は、マット含水率が15重量%になる量である。
次に、製造者は、木質板材3に係る外層用混合物、内層用混合物、及び中心層用混合物を用いて、木質板材1を製造する場合と同様にフォーミングを行なう。
最後に、製造者は、積層した混合物を、木質板材1を製造する場合と同様に熱圧成型する。
以上の結果、木質板材3が得られる。
木質板材3は、約13mmの厚さを有し、各層が木片とMDI接着剤とを用いて形成された従来の木質板材に対応する。
次に、製造者は、木質板材4に係る外層用混合物、内層用混合物、及び中心層用混合物を用いて、木質板材1を製造する場合と同様にフォーミングを行なう。
最後に、製造者は、積層した混合物を、木質板材1を製造する場合と同様に熱圧成型する。
以上の結果、木質板材4が得られる。
また、木質板材1,2夫々(又は木質板材3,4夫々)の剥離強度に顕著な差はない。測定誤差を考え合わせれば、木質板材1,2夫々(又は木質板材3,4夫々)の剥離強度は略同一値といえる。ところが、木質板材1,2夫々の剥離強度は、木質板材3,4夫々の剥離強度に比べて、非常に大きい。
この理由は、外層よりも密度が低く剥離破壊し易い内層を、接着剤添加率を増加させることによって強化することが、木質板材の剥離強度を効率よく向上させることにつながるからである。
この理由は、内層の接着剤添加率の増加は、中心層の接着剤添加率の増加ほどには、木質板材の剥離強度の向上に影響を及ぼさないからである。従って、内層の接着剤添加率は、中心層の接着剤添加率と外層の接着剤添加率との中間的なものであればよい。このためには、内層に係るMUFの重量パーセントW3は、中心層に係るMUFの重量パーセントW2と外層に係るMUFの重量パーセントW3との中間的なものであればよい。
しかも、木質板材1の製造に要したMUFの量は、木質板材2の製造に要したMUFの量よりも少ないため、木質板材1からのホルムアルデヒドの放出量は、木質板材2からのホルムアルデヒドの放出量よりも少ない。
以上の結果、非常に大きい剥離強度を有し、更に、MDI及びMUFの総使用量が少なく、しかも、ホルムアルデヒドの放出量が最小限であるという点で、木質板材1〜4の内、木質板材1が最も優秀であるといえる。
つまり、木質板材1は、品質の高さと製造コストの低さと安全性の高さとをバランスよく兼ね備えている。
7層構造の木質板材は、従来の3層板材の中心層を5分割し、更に、MUFを外層側に向けて段階的に減少させることによって、新たな中心層と、中心層に隣接する2層の内層と、外層に隣接する2層の内層とを設けた構成である。このような木質板材の曲げ強度及び剥離強度は、木質板材1の曲げ強度及び剥離強度と遜色がないと考えられる。しかも、7層構造の木質板材は、5層構造である木質板材1よりも更にMUFの使用量を減少させることができるため、製造コストを更に低減させ、且つ、安全性を更に向上させることができる。
本実施の形態における木質板材1,2は、実施の形態1における木質板材1,2に対応する。従って、本実施の形態の木質板材1,2夫々の製造手順は、実施の形態1の木質板材1,2の製造手順と略同様である。ただし、MUFの使用量、延いてはMDI及びMUFの総使用量が異なる。
その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
次の表3は、実施の形態1の表1に対応し、本実施の形態の木質板材1,2夫々が有する各層に係るMDI及びMUF夫々の重量パーセント[重量%]を示すものである。
ただし、内層12,14に係るMUFの重量パーセントW3が中心層13に係るMUFの重量パーセントW2の1/2である点、及び、内層22,24に係るMUFの重量パーセントW3が中心層23に係るMUFの重量パーセントW2に等しい点等は、実施の形態1,2で共通である。
表4と実施の形態1の表2とを比較すると、曲げ強度及び剥離強度は、本実施の形態の木質板材1の方が、実施の形態1の木質板材1に比べて幾分向上していることがわかる。その代わり、コスト比は本実施の形態の木質板材1の方が高いことがわかる。
従って、中心層13及び内層12,14夫々に係るMUFの重量パーセントは、製造コストの高低と木質板材1の品質の高低との兼ね合いで決定すればよいと考えられる。
例えば、木質板材1は、MUFを第1合成樹脂とし、MDIを第2合成樹脂とする構成でもよい。ただし、MDIを第1合成樹脂とし、MUFを第2合成樹脂とする構成の方が、ホルムアルデヒドの放出量が減少するため、好ましい。
また、第1合成樹脂又は第2合成樹脂として採用されるべき合成樹脂はMUF及びMDIに限定されるものではなく、ユリア樹脂、メラミン樹脂、又はフェノール樹脂等でもよい。また、第1合成樹脂又は第2合成樹脂が、複数種類の合成樹脂からなるものであってもよい。
また、本発明の効果がある限りにおいて、木質板材1に、実施の形態1,2に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
11 第1外層(外層)
12 第1内層(内層)
13 中心層
14 第2内層(内層)
15 第2外層(外層)
Claims (3)
- 2層の外層夫々と、1層の中心層との間夫々に、N(Nは自然数)層の内層を有し、
各層は、木片と接着剤とを用いて形成されている木質板材において、
前記中心層を形成すべき接着剤は、前記木片の重量に対してW1(W1>0)重量%の第1合成樹脂、及び、該第1合成樹脂とは異なり、前記木片の重量に対してW2(W2>0)重量%の第2合成樹脂を含み、
前記中心層以外の各層を形成すべき接着剤は、前記第1合成樹脂、及び、前記木片の重量に対してW3(0≦W3<W2)重量%の第2合成樹脂を含み、
前記中心層以外の各層に係るW3は、{W2−W3}の大/小が、前記中心層以外の各層の前記中心層からの厚み方向の距離の長/短に対応するようにしてあることを特徴とする木質板材。 - 各外層については、W3=0であることを特徴とする請求項1に記載の木質板材。
- 第1合成樹脂はMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)であり、
第2合成樹脂はMUF(ユリアメラミン共縮合樹脂)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の木質板材。
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