JP2005125152A - 水処理方法及び水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原水、凝集剤が添加された水、又は濾過処理水のリン濃度を測定し、この測定結果に基いて凝集剤の添加量を制御する。原水中のリンに起因する凝集剤の不足及びそれによる凝集不良を防止して、良好な水質の濾過処理水を得ることができる。そして、この濾過処理水をRO膜分離処理することにより、RO膜における透過流束の低下、操作圧力の上昇を有効に防止することができる。
【選択図】図1
Description
(1) RO膜の前処理としての凝集濾過で使用している凝集剤の添加量が一時的に不足した際に、凝集フロックが十分に成長せず、微細な凝集フロック(マイクロフロック)が形成され、そのマイクロフロックが濾過処理を通過して、濾過処理水、即ちRO膜分離装置の供給水に含まれるようになる。また、凝集剤自体(特にアルミニウム)も微細な粒子や部分的に溶存した状態で濾過処理を通過し、そのままRO膜分離装置に供給され、RO膜での濃縮により析出する。この結果、RO膜分離装置において、急激な透過流束の低下や操作圧力の上昇を引き起こし、最終的にはRO膜分離装置の緊急停止に到る。
(2) 上述の凝集剤の不足は、原水中のリン濃度の変動(リン濃度の上昇)が主要因である。即ち、凝集処理を伴う濾過処理において、被濾過処理水中にリンが存在する場合、アルミニウム塩系凝集剤、例えば液体硫酸アルミニウムを凝集剤として添加すると、リンとアルミニウムが下記式で反応してAlPO4(リン酸アルミニウム)を生成する。
Al3++PO4 3− → AlPO4
(3) 原水のリン濃度の変動は特に原水が生物処理水である場合に多く生じる。このような処理としては、工場などで廃水を回収する際、前段で廃水中の有機物を生物処理し、その後、SSを凝集濾過して除濁した後、RO膜にて脱塩処理して回収する処理がある。
(4) 上記(3)の処理では、多くの場合、既にそのまま下水道等に放流することが可能な排水基準以下に浄化されており、RO膜分離装置に供給するためにリン除去処理が行われることはない。これは、RO膜分離装置に供給される給水のリン濃度が高い場合であっても、リンはRO膜分離処理で除去されるため、これが問題とならないためである。
(5) 上記(4)の理由で、従来の水処理では、RO膜分離処理の前処理として行われる凝集濾過処理において、リン除去を目的とする処理は行われていない。従って、従来の水処理において、原水のリン濃度に基く凝集剤の注入制御は行われておらず、前述の如く、原水のSS濃度の変動が殆どない場合は凝集剤の定量注入が、原水のSS濃度の変動が大きい場合にはSSに対する比例制御が行われていた。
(6) なお、原水中のリン濃度の変動による凝集剤の不足を防止するために、リン濃度の上昇を見込んで予め凝集剤の添加量を過剰に設定することは、凝集剤使用量の増加のみならず、濾過処理による圧力損失の増大、逆圧洗浄頻度の増加、発生汚泥量の増加の問題があり、運転、維持管理費の面で好ましくない。しかも、予め見込んだリン濃度の上昇以上のリン濃度の上昇があった場合には対応し得ない。
(凝集剤の最適添加量)
=(凝集フロック形成に必要な凝集剤量)+(リンと反応する凝集剤量)
となり、原水のリン濃度が変動するような場合には、(リンと反応する凝集剤量)の変化を考慮して凝集剤の添加量を調整する必要がある。このアルミニウム塩系凝集剤を用いた場合、(リンと反応する凝集剤量)は、一般的には、Al3+とPO4 3−との反応を考慮し、Al/Pのモル比1、重量比0.87(=Alの分子量27.0/Pの分子量31.0)として算出できる(ただし、リンは溶解性リン(ポリリン酸)としてAlOH3等の凝集フロックに取り込まれるものもあり、必ずしもこの反応比で凝集剤が消費されるとは限らない。)。従って、予めジャーテストなどにより(凝集剤の最適添加量)を求め、そのときのリン濃度を測定すれば、(凝集剤の最適添加量)と(リンと反応する凝集剤量)を求めることができ、更にその差から(凝集フロック形成に必要な凝集剤量)を求めることができる。
図1に示す水処理装置により、機械系工場排水処理設備における活性汚泥処理水を原水として水処理を行った。
(リンと反応する凝集剤量)=0.5×0.87/0.042=10.4mg/L
であるから、
(凝集剤の最適添加量)=(凝集フロック形成に必要な凝集剤量)+(リンと反応する凝集剤量)
の関係より
(凝集フロック形成に必要な凝集剤量)=20−10.4=9.6mg/L
を求め、
(凝集剤の注入量)=9.6mg/L+0.87/0.042×(リン濃度)
で凝集剤の注入量を算出し、この結果に基いて凝集剤添加量を制御して連続運転を実施した。
凝集剤注入量を液体硫酸アルミニウム30mg/Lに固定したこと以外は実施例1と同様に連続運転を実施したところ、濾過処理水のアルミニウム濃度は、連続運転期間中0.1〜2.5mg/Lの範囲で変動し、低濃度を維持することができなかった。また、RO膜分離装置においては、運転開始30日で透過水量が4.0m3/dまで低下し、薬品洗浄が必要となった。
2 濾過器
3 RO膜分離装置
4 凝集剤注入装置
5 リン濃度計
6 演算制御装置
Claims (8)
- 原水に凝集剤を添加した後濾過処理し、得られた濾過処理水を逆浸透膜分離処理する水処理方法において、
前記原水、前記凝集剤が添加された水、又は前記濾過処理水のリン濃度を測定し、この測定結果に基いて前記凝集剤の添加量を制御することを特徴とする水処理方法。 - 請求項1において、原水が廃水の生物処理水であることを特徴とする水処理方法。
- 請求項1又は2において、前記凝集剤がアルミニウム塩系凝集剤であることを特徴とする水処理方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、リン濃度の測定値に基いてリンとの反応で消費される凝集剤量を算出し、この算出値と予め設定した凝集剤添加量の基準値との合計値に基いて、前記凝集剤の添加量を制御することを特徴とする水処理方法。
- 原水に凝集剤を添加する凝集剤添加手段と、
該凝集剤が添加された水を濾過処理する濾過手段と、
該濾過手段の濾過処理水を逆浸透膜分離処理する逆浸透膜分離装置と
を備えてなる水処理装置において、
前記原水、前記凝集剤が添加された水、又は前記濾過処理水のリン濃度を測定するリン濃度測定手段と、
該リン濃度測定手段の測定結果に基いて、前記凝集剤添加手段の凝集剤添加量を制御する凝集剤添加量制御手段と
を設けたことを特徴とする水処理装置。 - 請求項5において、原水が廃水の生物処理水であることを特徴とする水処理装置。
- 請求項5又は6において、前記凝集剤がアルミニウム塩系凝集剤であることを特徴とする水処理装置。
- 請求項5ないし7のいずれか1項において、前記凝集剤添加量制御手段は、リン濃度測定手段の測定値に基いてリンとの反応で消費される凝集剤量を算出し、この算出値と予め設定した凝集剤添加量の基準値とを合計し、この合計値に基いて、凝集剤の添加量を制御することを特徴とする水処理装置。
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