JP2005121244A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、ガス、石油等を燃料とするバーナを用いたコンロに関するものである。
従来この種のバーナを用いたコンロは、特許文献1に示すようなものがある。これは、図3に示されているように、内周面の周方向に多数の炎口40を列設した環状バーナ41の上方に複数の爪部42を備えた五徳43を配設したもので、環状バーナ41のすべての炎口40の噴出方向を、中心から所定の角度傾けたというものである。そして、環状バーナ41の内周面の周方向に設けたすべての炎口40の噴出方向を、中心から所定の角度ずらせたため、対向する火炎同士の衝突が少なくなり、炎口40からの噴出ガスが流れ易くなって旋回火炎となり、一次空気の吸引、および二次空気との接触が促進され、良好な燃焼状態が維持できるとしている。
特開平9−4853号公報
しかしながら前記従来の構成では、生成する火炎が旋回火炎となるため、火炎形状は切れ目の無い紡錘形となり、環状バーナ41の上方に設けられる五徳43の爪部42に火炎が必ず接触し、爪部42を加熱する。その結果、爪部42が赤熱したりして、その耐久性を損なったり、また、爪部42が火炎を破ることによって、COなどの未燃ガスが発生したり、鍋などの被加熱物への火炎接触割合が低下し、高い熱効率が得にくいという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、燃焼空気の火炎への接触、拡散を促進して火炎長を短縮して良好な燃焼を維持し、五徳の爪部と火炎との接触を極小にして、高い熱効率を確保し、同時に五徳の爪部の耐久性を確保できるコンロを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のコンロは、中心に向かって斜め上方に傾斜させた傾斜面で構成した内周面に上下方向に縦長に開口するスリット状炎口部を列設した環状の炎口板を備え環状の中心方向に向かって斜め上向きの火炎を形成するバーナと、バーナの上方に板材で構成した複数の爪部を設けた五徳とを備え、スリット状炎口部を、長スリット炎口群および一種類以上の長さの短スリット炎口群を交互に組合せて構成し、最短スリット炎口群の上方に、五徳の爪部を配設したものである。
これによって、各スリット状炎口の間を下方からの二次空気が拡散し、上昇気流として火炎中に流入するため燃焼が促進される。また、バーナの長スリット炎口群では比較的長い火炎が形成されるが、短スリット炎口群では短い火炎が形成され、長火炎、短火炎が交互に存在するため、長火炎同士の干渉がなく、全体としての火炎長が短縮され、バーナの環状の中心方向に向かって斜め上向きの火炎を形成した良好な燃焼状態が得られる。さらに、最も短い短スリット炎口群の上方に、五徳の爪部を配設したことにより、板材で構成した五徳の爪部の直下に最短火炎が位置することになり、爪部と最短火炎との接触を極小に抑えることができるため、爪部とバーナとの距離を短縮しても爪部の過熱を防止でき、結果として高い熱効率を確保し、同時に五徳の爪部の耐久性を確保することができる。
本発明のコンロは、燃焼空気の火炎への接触、拡散を促進して火炎長を短縮して良好な燃焼を維持し、板材で構成した五徳の爪部と直下の最短火炎との接触を極小にできるため、被加熱物との距離を短縮して高い熱効率を確保し、同時に五徳の爪部の耐久性を確保することができる。
第1の発明は、中心に向かって斜め上方に傾斜させた傾斜面で構成した内周面に上下方向に縦長に開口するスリット状炎口部を列設した環状の炎口板を備え環状の中心方向に向かって斜め上向きの火炎を形成するバーナと、バーナの上方に板材で構成した複数の爪部を設けた五徳とを備え、スリット状炎口部を、長スリット炎口群および一種類以上の長さの短スリット炎口群を交互に組合せて構成し、最短スリット炎口群の上方に、五徳の爪部を配設したことにより、各スリット状炎口の間を下方からの二次空気が拡散し、上昇気流として火炎中に流入するため燃焼が促進される。また、バーナの長スリット炎口群では比較的長い火炎が形成されるが、短スリット炎口群では短い火炎が形成され、長火炎、短火炎が交互に存在するため、長火炎同士の干渉がなく、全体としての火炎長が短縮され、バーナの環状の中心方向に向かって斜め上向きの火炎を形成した良好な燃焼状態が得られる。さらに、最短スリット炎口群の上方に、板材で構成した五徳の爪部を配設したことにより、五徳の爪部の直下に最短火炎が位置することになり、爪部と最短火炎との接触を極小に抑えることができるため、爪部とバーナとの距離を短縮しても爪部の過熱と、爪部と火炎の接触によるCO等の未燃ガスの発生を防止でき、結果として高い熱効率を確保し、同時に五徳の爪部の耐久性を確保することができる。
第2の発明は、特に第1の発明のバーナの短スリット炎口群の上端部の上下方向の位置を、長スリット炎口群の上端部の位置と同一または近傍の位置に設けたことにより、火炎全体の位置を五徳に接近させることができ、周囲からの冷却空気の流入を抑えて高い熱効率を確保することができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるコンロの部分縦断面図、図2は、同実施の形態におけるコンロのバーナと五徳の爪部の位置関係を示す要部上面図である。
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるコンロの部分縦断面図、図2は、同実施の形態におけるコンロのバーナと五徳の爪部の位置関係を示す要部上面図である。
図1、2において、バーナ1は、SUS304、SUS316、SUS321等のオーステナイト系ステンレス、またはSUS430、SUS436等のフェライト系ステンレスといった耐熱耐食性に優れた板厚0.5〜1mmの板金材料(本実施例の場合、0.5〜0.6mm)をプレス成型加工した、内周が環状の炎口板2と底板3を嵌合して構成したものである。炎口板2は、内周側の上部を約75°程度上向きに傾斜させた環状の傾斜面4と、傾斜面4の下方の内周部に内周フランジ部5を構成し、炎口板2の一端は上部混合管通路6と連通している。さらに、傾斜面4にはスリット幅約0.55〜0.65mmで上下方向に縦長に開口するスリット状炎口部7が列設されている。また、底板3は、炎口板2に対応した形状となっており、炎口板2の上部混合管通路6と対応する位置に下部混合管通路8を構成し、炎口板2の外周部に外周嵌合部9と内周部に斜め下方に傾斜させた内周嵌合部10を構成して、炎口板2の周囲を下側から被覆嵌合している。また、上部混合管通路6と下部混合管通路8によって、予混合ガスの混合管11を形成している。スリット状炎口部7は、傾斜面4の上端部から一定の距離を隔てたところから設けられ、2列の長スリット12からなる長スリット炎口群13の間に短スリット炎口群14を組合わせて配置した構成であり、長スリット炎口群13の上端部と短スリット炎口群14の上端部は、傾斜面4の上端部から同一の距離のところから始まり、スリット状炎口部7と内周嵌合部10の間には無炎口領域15が設けられている。また、短スリット炎口群14は、長スリット12よりも短いスリットで構成され、そのうちの5列の最短スリット16で構成されたものを最短スリット炎口群17としている。なお、無炎口領域15は、煮汁の蓄積防止およびバーナ1の下方からの二次空気の流入に関係しており、長スリット12の下端部から内周嵌合部10までの間隔にして3〜8mmが適当であるが、本実施例では約5mmとしている。
一方、天板18の開口部19の周囲には、板材で構成した複数の爪部20からなる五徳21を一体で構成した環状の枠体22が設置され、爪部20が最短スリット炎口群17の中央の直上に位置するようにバーナ1が配設されている。バーナ1の上方には、空隙23を介して二次空気整流体24が隔設されている。二次空気整流体24の内周部は、枠体22の内周部より大きな開口径で構成され、枠体22の内周部に被覆されている。さらに、バーナ1の下方には、バーナ1を載置するバーナ台25が外気と連通する空気通路26を介して設けられている。一方、バーナ台25の中央部は開口形状となっており、この開口部の周端部に汁受皿27の周縁部が載置されている。汁受皿27は、五徳21の枠体22の内周部の直径よりも小さい寸法で構成されており、バーナ1の内側空間を通過させて天板16の外部へ取出し可能としている。
以上のように構成されたコンロついて、以下動作、作用について説明する。
まず、予混合ガスがバーナ1内に導入されると、スリット状炎口部7はスリット幅0.55〜0.65mm程度の細スリットで構成しているので、コンロ用バーナで通常設定される一次空気比の40〜50%よりも高一次空気比(例えば60〜80%)でも逆火しにくくなっており、ちなみに、バーナ1は耐熱耐食性に優れたステンレス板などで構成することにより、スリット状炎口部7のスリット幅は、通常は板厚の0.8〜1.2倍の範囲でプレス加工が可能であり、板厚によって炎口形状の選択の自由度を拡大させることができる。このため、水素と空気の混合物などのように燃焼速度の速い燃料の場合でも、バーナ1の板厚とスリット状炎口部7の幅を最適化することが容易である。本実施の形態の場合、板厚0.5〜0.6mmのステンレス鋼板を用い、一次空気比を65〜70%に設定している。このように、高一次空気比の予混合ガスを導入でき、スリット状炎口部7で中央に向かって形成される斜め上向きの火炎29は、比較的短い火炎28となる。また、炎口板2は、中心に向かって斜め上方に傾斜した傾斜面4で構成されているため、火炎28の噴出角度を斜め上方に向けることができ、炎口板2の内周径は上方になるほど拡大して、各スリットの間隔も拡大するため、スリット状炎口部7で形成される火炎28同士の距離がはなれて相互の干渉を少なくでき、傾斜面4の上方への放熱も良好になって傾斜面4の温度上昇を抑制することができる。この時、二次空気整流体24とバーナ1の間の空隙23には、火炎28の上昇気流による負圧の発生で、空隙23内に火炎28に向かう上方からの二次空気流29が発生し、火炎28は中央に集中しながら上方に上向き化が促進される。一方、バーナ1の下方では、バーナ台25の空気通路26を通じて、火炎28の上昇気流によって発生した下方からの二次空気流30が発生するが、炎口を上下方向に縦長のスリット状炎口部7で構成したことにより、隣り合う縦長のスリットの間に下方からの二次空気流30を効果的に流入させることができる。さらに、長スリット炎口群13の間に短スリット炎口群14を配置した構成により、短スリット炎口群14が長スリット炎口群13で形成される火炎28同士の干渉を抑制して火炎28を分割して短炎化を実現するとともに、長スリット炎口群13の間の火移りを良好にできる。このようにして、上方からの二次空気流29と下方からの二次空気流30が、火炎28中に効果的に拡散して燃焼が促進される。
一方、五徳21の爪部20は、板材で構成され、さらに最短スリット炎口群17の中央の直上に位置するように配設されているため、長スリット炎口群13の上端部と短スリット炎口群14の上端部が、傾斜面4の上端部から同一の距離のところから始まっていても、爪部20の直下に最短スリット炎口群17で形成される最短火炎が位置することになり、爪部20と火炎28との接触を最も少なくできるため、爪部20とバーナ1との距離を短縮しても爪部23の過熱と、爪部20と火炎28の接触によるCO等の未燃ガスの発生を防止でき、結果として鍋などの被加熱物と火炎28の距離を短縮して、高い熱効率を確保することができる。
さらに、調理中に煮こぼれが発生した時には、煮汁の一部はバーナ1の炎口板2に落下するが、煮汁の流れ方向とスリット状炎口部7の縦長の開口方向が平行となるため、煮汁が傾斜面4に伝播しても、スリット状炎口部7内に侵入する確率は低下する。さらに、内周嵌合部10の上に煮汁が落下しても、無炎口領域15を越えてスリット状炎口部7内に煮汁が侵入することは少なく、同時に内周嵌合部10の斜め下方の傾斜に従って煮汁が誘導されて流出するため、スリット状炎口部7の目詰まりを抑制することができる。また、仮にスリット状炎口部7が目詰まりした場合でも、炎口板2は板厚が1mmに満たない板金材料で構成されているので、容易にスリット状炎口部7を正常に復帰させることが可能である。また、スリット状炎口部7での燃焼、消火などにより、炎口板2の傾斜面4が若干の熱膨張、収縮を起こすが、無炎口領域15によって、熱膨張、収縮が内周嵌合部10におよぶことを防止して、きしみ音などの異常音の発生を防止することができる。
以上のように、バーナ1で火炎長の短い、バーナの環状の中心方向に向かって斜め上向きの火炎を形成した良好な燃焼性能を維持して、五徳の爪部と火炎との接触を極小に抑えて高い熱効率を確保し、同時に五徳の爪部の耐久性を確保することが可能なコンロを実現することができる。
以上のように、本発明にかかるコンロは、燃焼空気の火炎への接触、拡散を促進して火炎長を短縮して良好な燃焼を維持し、五徳の爪部と火炎との接触を少なくして、被加熱物との距離を短縮して高い熱効率を確保できるため、これを加熱源とする他の調理器、焼却器など多くの用途に適用が可能である。
1 バーナ
2 炎口板
4 傾斜面
7 スリット状炎口部
13 長スリット炎口群
14 短スリット炎口群
17 最短スリット炎口群
20 爪部
21 五徳
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Claims (2)
- 中心に向かって斜め上方に傾斜させた傾斜面で構成した内周面に上下方向に縦長に開口するスリット状炎口部を列設した環状の炎口板を備え環状の中心方向に向かって斜め上向きの火炎を形成するバーナと、バーナの上方に板材で構成した複数の爪部を設けた五徳とを備え、スリット状炎口部を、長スリット炎口群および一種類以上の長さの短スリット炎口群を交互に組合せて構成し、最短スリット炎口群の上方に、五徳の爪部を配設したコンロ。
- 短スリット炎口群の上端部の上下方向の位置を、長スリット炎口群の上端部の位置と同一または近傍の位置に設けた請求項1に記載のコンロ。
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