JP2005120179A - フィルムおよび光学部材 - Google Patents

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光正 小野
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Abstract

【課題】光学部材として使用するに好適な表面形状を備えたフィルムを得る。
【解決手段】物質(A)からなる層を少なくとも備える。物質(A)は、マレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%とからなる。マレイミド・オレフィン共重合体は、構造式(I)の成分40〜60モル%と構造式(II)の成分60〜40モル%とからなる。マレイミド・オレフィン共重合体は、数平均分子量≦1×10以上5×10以下。さらにアクリロニトリル・スチレン共重合体は、アクリロニトリル単位を21〜45重量%含む。物質(A)からなる層の表面で粗大筋状隆起の数が、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たり1本以下である。なお構造式中でRは、水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す。さらにRおよびRは、各々水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【化1】
Figure 2005120179

【化2】
Figure 2005120179

【選択図】なし

Description

本発明は、特定の表面形状を備え、光学部材の構成品として好適なフィルムに関する。
ポリカーボネートは耐熱性に優れた透明性プラスチックであり、ヘッドライトレンズなどの自動車部品、電気・電子部品、医療部品、住宅資材など多方面の用途に用いられている。特に最近では、コンパクトディスク基板、光学レンズなどの光学材料、或いはデザイン性および軽量化の目的で自動車用ウインド材料として検討されてきている。しかしながら、ポリカーボネートは屈折率の波長依存性が大きく、また、複屈折が大きいため光学用途などでは使用に制限を受ける場合がある。また、ポリカーボネートを自動車用ウインドとして用いた場合、複屈折が大きいため視野のゆがみや歪みが起こりやすいという大きな課題がある。また、ポリカーボネートは剛性が低い、表面硬度が低く傷つきやすいなどの課題も抱えている。
アクリロニトリル・スチレン共重合体は安価な透明性樹脂として、電気器具、車両部品、文具・雑貨など多くの分野で幅広く使用されている。しかしながら、アクリロニトリル・スチレン共重合体も複屈折が大きく、ポリカーボネートと同様の課題がある。このため光学部品としてはあまり用いられていない。また、アクリロニトリル・スチレン共重合体は耐熱性が低いため、自動車用ウインドとしての使用についても課題がある。アクリロニトリル・スチレン共重合体の耐熱性を改良する目的で、マレイミド類との共重合が検討されている。しかしながら、マレイミド類との共重合体は脆く、機械的な特性に課題がある。また、得られる共重合体が着色するという課題があった。
また、米国特許第4,374,951号公報には、アクリロニトリル・スチレン共重合体とスチレン・フェニルマレイミドからなる相溶性組成物が示されている。しかし、この組成物は、アクリロニトリル・スチレン共重合体の耐熱性は改善されるものの、得られる組成物が着色する、脆くなるといった課題があった。
一方、マレイミド・オレフィン系共重合体は良好な透明性、高い耐熱性および優れた機械強度を有する材料であるが、さらなる複屈折の低減が望まれている。日本国特許第3,414,083号公報には、マレイミド・オレフィン系共重合体および特定の組成からなるアクリロニトリル・スチレン共重合体からなる樹脂組成物が相溶性となり、かつ複屈折を低減する効果があり、上記目的を満たすことが記載されている。
米国特許第4374951号公報 特許第3,414,083号公報
従来の樹脂または樹脂組成物からなるフィルムは、表面欠陥の無い、平坦なものを得るために、溶液キャスト法にて製膜されることが多い。しかしながら、この溶液キャスト法には、溶剤を蒸散させるための長尺のキャスト用ベルトが必要で広大な場所が必要である。さらにキャスト用ベルトには優れた平坦性が必要である。そしてまた、高い生産性を得るためには広幅のものが必要なため製造が困難である。さらには、蒸散した溶剤を集め、無害化処理することが極めて困難でもある。こうしたことから溶液キャスト法は、コスト面において極めて不利な製造方法である。
一方、溶融押出キャスティング法による製膜は、上記の課題が生じることも無く、コスト面で有利な製造方法である。しかしながら、原料を加熱溶融するため、原料の劣化が起こりやすい。特に、押出ダイのスリットのリップ部に劣化した原料が少量付着することに起因する場合が多い、押出シート物の形状異常、具体的には、フィルム面外に筋状隆起が発生することがある。通常、この筋状隆起は、経時でその大きさを成長させ、フィルム外観上の大きな欠陥となるばかりでなく、透過すべき光を、散乱、吸収させてしまう。このため例えばディスプレイを構成する光学部材として使用した場合に、輝度低下や画像品位低下の原因となりうる。また、光学部材を積層してディスプレイを構成した場合に、この光学部材を構成するフィルムに上記筋状隆起があると、正常な積層の障害となりうる。
本発明のフィルムは、物質(A)からなる層を少なくとも備える。この物質(A)は、マレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%とからなる。さらにこのマレイミド・オレフィン共重合体は、構造式(I)であらわされる成分40〜60モル%と構造式(II)で表される成分60〜40モル%とからなる。なおかつこのマレイミド・オレフィン共重合体は、数平均分子量が1×10以上5×10以下である。さらにアクリロニトリル・スチレン共重合体は、アクリロニトリル単位を21〜45重量%含む。そして本発明のフィルムでは、この物質(A)からなる層の表面において、フィルム連続製膜方向に沿って生じる粗大筋状隆起は、高さ10μm以上かつ幅0.3mm以上かつ長さ5cm以上の粗大筋状隆起の数が、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たり1本以下である。
Figure 2005120179
Figure 2005120179
構造式中でRは、水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す。さらにRおよびRは、各々水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
すなわち本発明では、特定の組成からなるフィルムを、製造条件を調節しつつ製膜することで、特定の表面形状を備えたフィルムを得ることができる。特に本発明では、物質(A)からなる層を最表層でない層とした少なくとも3層で構成しておき、光学部材などを構成する製品として使用される際には、最表層が剥離除去されるものであることが好ましい。
本発明によれば、光学部材として使用するに適した表面形状を備えたフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
<フィルム素材>
本発明のフィルムを構成する物質(A)は、マレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%からなる。ここでマレイミド・オレフィン共重合体は構造式(I)であらわされる成分40〜60モル%と構造式(II)で表される成分60〜40モル%とからなる。なおかつこのマレイミド・オレフィン共重合体は、数平均分子量が1×10以上5×10以下となるものである。そしてアクリロニトリル・スチレン共重合体は、アクリロニトリル単位を21〜45重量%含む。なお構造式中で、Rは水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す。またRおよびRは各々水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
Figure 2005120179
Figure 2005120179
上記の構成成分(I)と構成成分(II)からなるマレイミド・オレフィン共重合体は、例えば、マレイミド類とオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。構成成分(I)を与える化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類が例示される。そして耐熱性、機械特性および透明性の点から特にN−メチルマレイミドが好ましい。さらに、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
構成成分(II)を与える化合物としては、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち耐熱性、機械特性および透明性の点から特にイソブテンが好ましい。また、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
構成成分(I)の含有量は、共重合体全体の40〜60モル%である。この含有量は、耐熱性および機械特性の点から45〜55モル%がより好ましい。構成成分(I)が60モル%を越える場合には得られる組成物は脆くなり、40モル%未満の場合では得られる組成物の耐熱性が低下するため好ましくない。
これらモノマーの重合は公知の重合法、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法のいずれもが採用可能である。得られる組成物の透明性、色調の点から特に沈殿重合法が好ましい。
本発明で使用されるアクリロニトリル・スチレン共重合体のアクリロニトリル含量は組成全体の21〜45重量%である。この範囲を外れるとマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との相溶性が低下するため、得られる組成物は不透明となり、また耐熱性も低下するため好ましくない。
本発明のフィルムを構成する物質(A)における、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体の割合は、1:99〜99:1(重量%)である。加工性と耐熱性のバランスの点から10:90〜90:10(重量%)がより好ましく、さらには50:50〜90:10(重量%)であることが特に好ましい。マレイミド・オレフィン共重合体が1重量%未満の場合には得られる組成物の耐熱性が低下するため好ましくない。また、マレイミド・オレフィン共重合体が99重量%を越える場合は得られる組成物の加工温度が高くなり、アクリロニトリル・スチレン共重合体の熱劣化が起こるため好ましくない。また、いずれの場合も得られる樹脂組成物の複屈折が大きくなるため好ましくない。
本発明の樹脂組成物には本発明の趣旨を超えない範囲で、その他のポリマー、安定剤、紫外線吸収剤、加工助剤、難燃剤、帯電防止剤等を添加することもできる。
<フィルム表面の粗大筋状隆起>
本発明のフィルムは、物質(A)からなる層の表面における粗大筋状隆起の数が、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たり1本以下である。粗大筋状隆起数がこれを超えるフィルムは、ディスプレイを構成する光学部材として使用した場合、透過すべき光を、散乱、吸収させてしまい、ディスプレイの輝度低下、画像品位低下の原因となりうる。とくに、液晶TVなどの大型ディスプレイの製造においては、フィルム中の、このような粗大筋状隆起の存在する部分は使用できないため、製品歩留を著しく低下させることとなり、製造コストの面において好ましくない。また、各光学部材は、積層されてディスプレイを構成するが、この光学部材を構成するフィルムに上記筋状隆起があると、正常な積層の障害となりうる。
ここで、粗大筋状隆起とは、高さ10μm以上、幅0.3mm以上、長さ5cm以上の、フィルムの押出方向(連続製膜方向)に沿って延びる隆起であり、連続的、あるいは断続的なものかは問わない。
上述の粗大筋状隆起の発生は、原料を加熱溶融した際の原料の劣化に起因することが多く、特に、押出ダイのスリットのリップ部に劣化した原料が少量付着することに起因する場合が多い。通常、この筋状隆起は、経時でその大きさを成長させ、フィルム外観上の大きな欠陥となる。
<フィルム製造方法>
本発明のフィルムは、溶融押出キャスティングすることにより製膜するのが、生産コストの面から好ましい。溶融押出には、従来公知の手法を用いることができる。例としては、乾燥した樹脂ペレットを押出機に供給し、Tダイなどのスリットダイより溶融樹脂を押出す方法が代表的である。
溶融押出の際に、上述の粗大筋状隆起の発生を防止させるための手段としては、(a)原料樹脂の加熱溶融押出の条件を適切なものとすること、具体的には、溶融温度をできるだけ低いものとすること、原料供給から溶融押出までの工程を真空下、あるいは窒素などの不活性気体雰囲気下とすること、など、(b)押出ダイのスリットのリップ部に筋上突起の原因となる物質が付着するのを防ぐこと、具体的には、リップ部の素材や形状を劣化原料が付着し難いものとすること、リップ部に溶融原料樹脂が接触しないような工程とすること、など、を例示することができる。
中でも、押出ダイのスリットのリップ部に溶融原料樹脂が接触しないようにする手段として、溶融押出製膜するフィルムを少なくとも3層から構成されるものとすることは好ましい方法である。すなわち、製品として使用するフィルムとなる、上記物質(A)からなる層を最表層でない層とし、最表層には、製品として使用される際に剥離して使用する、保護フィルムの役割を果たす層を設けることで、実際に製品として使用するフィルムの原料を、リップ部に接触させずに溶融押出させることが可能となる。
上記の積層フィルムは、押出ダイのスリットを通る前に積層させるため、公知の共押出法、すなわち、各層の原料を押出ダイのスリットの直前で合流させて押出す方法や、溶融押出系の途中で各層の原料を合流させてから押出ダイに導く方法などによって、溶融押出製膜される。特に共押出法であれば、ダイから押出される初期の段階から積層構成となることから、芯層部の表面形状を整えるためにはより好ましい。
スリットダイより押出された溶融樹脂は、キャストされ冷却固化させる。冷却固化の方法は、従来公知のいずれの方法をとっても良いが、回転する冷却用ロール上に溶融樹脂をキャストし、シート化する方法が代表的である。
冷却用ロールの表面温度は、溶融樹脂を固化前に該ロールに粘着させないため、または、固化が速すぎて該ロール表面を滑ってしまい、得られるシートの平面性が損なわれるのを防ぐため、最表層を構成する原料のTg(℃)に対して、Tg+20℃以下、特に、Tg〜Tg−100℃の範囲に設定するのが好ましい。
キャスティングの際に、冷却ロール上着地位置近傍に金属ワイヤーを張って電流を流すことで静電場を発生させ、押出された樹脂を帯電させることで、冷却ロールの金属表面上への密着を良くさせることも、フィルムの平面性が優れたものとなるなどの効果があるため有効である。その際、原料樹脂組成物中に、本発明の趣旨を超えない範囲で、何らかの電解質を添加することも有効である。
溶融押出キャスティングにより得られたシート状物を少なくとも一方向に延伸させてフィルムを製造しても良い。そうすることにより、製品収量の歩留を向上させることが可能であり、生産性の面で有利である。
延伸の方法は、従来公知の方法、例えば、縦方向(連続製膜方向)に延伸する場合は、ロール系をパスさせ、ロールの周速差を用いて延伸する方法(熱媒を通したロールで誘導加熱する方法、赤外加熱ヒーターなどで外部から加熱する方法、などがあり、一つないし複数の方法をとってよい)や、オーブン中で延伸する方法(フィルム両端をクリップ把持するテンター式オーブンにてクリップ間隔を延伸倍率にしたがって広げる方法、オーブン中にロール系を設置しフィルムをパスさせて延伸する方法、オーブン中幅方向をまったくフリーにして入側と出側の速度差のみで延伸する方法、などがあり、一つないし複数の方法をとってよい)などがあり、また、横方向(製膜方向と垂直な方向)に延伸する場合は、クリップ把持式のテンターオーブン中で入側と出側のクリップ搬送レール間隔に差をつけて延伸する方法などがある。縦、横の二方向に延伸する場合は、縦、横両方向を逐次に延伸しても、同時に延伸しても良い。
延伸したフィルムは、熱安定性向上などの必要に応じて、熱処理などの後加工を施しても良い.この後加工は、フィルム延伸工程に引き続き行っても良いし、別工程にて行っても良い。
<表層フィルム>
本発明のフィルムを積層フィルムとする場合の最表層の素材は、取扱いの容易さなどから、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、公知の各種樹脂を使用できる。例示すると、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などである。中でも特に、ポリエステル樹脂、さらには、ポリエチレン−2,6−ナフタレートのように、ガラス転移温度が、物質(A)のそれに近いものが、溶融押出製膜のしやすさの面から好ましい。上記の最表層の原料を、物質(A)と共押出する方法は、公知の任意の方法をとることができる。
<その他のフィルム特性>
本発明のフィルムの物質(A)からなる層は、高さ5μm以上の表面粗大突起の数が1個/m以下、大きさ6μm以上の内部異物の数が0.05個/m以下、大きさ6μm以上の表面付着異物の数が0.05個/m以下、深さ2μm、かつ幅100μm以上および/または長さ20mm以上の表面傷の数が0.05個/m以下、連続製膜方向での長さ5mと製膜方向に直交な方向でのフィルム全幅の範囲において、フィルムの厚み斑分布の最大範囲が平均厚みの10%以下であることが好ましい。これにより光学部材として使用するに当たっての支障となる、透過光の強度、波長特性、位相差特性に対する阻害を防止することができる。
なおここで異物の大きさは、その最大径によって判定する。また表面傷の深さや幅や長さは、目視による外観検査で傷の有無を判定した後、後述の粗大筋状隆起の大きさ評価方法と同様にして測定評価する。また厚み斑分布の最大範囲とは、フィルム平均厚みに対しての厚み最大値と最小値の差との比率である。
こうしたフィルム特性を得る手段としては、(ア)粗大突起・内部異物の低減のためには、押出系中に適正な目開きのフィルターを配置すること、(イ)表面付着異物の低減のためには、製膜工程のクリーン度を好ましくはクラス1万以下とすること、オリゴマー、モノマー類の発生のできるだけ少ない原料樹脂を使用すること、(ウ)表面傷の低減のためには、冷却ロールの表面粗度を適正なものにすること、(エ)厚み斑の低減のためには、冷却ロールの温度を適正な値に制御すること、などを例示することができる。
<本発明のフィルムの用途>
本発明のフィルムは、光学部材のうち特に、偏光板における偏光子の支持基材や、位相差板などのような、光学部材として使用するに当たっての支障となる欠点が解消されたフィルム状成形物が求められる用途に適用可能である。これらの場合、偏光子の支持基材として、位相差板としての機能を持たせたものであっても良い。そのような、機能を複合させた光学部材を使用することで、ディスプレイを構成する部品数を少なくさせることが可能となり、生産コストの面から有利なものとなるため、きわめて好ましい。
<評価の方法>
フィルム表面の粗大筋状隆起の数は、次の方法によって測定評価した。まずフィルムを任意の位置で、フィルム連続製膜方向と製膜方向に垂直な方向に沿った正方形(50cm×50cm)にサンプリングする。そして連続製膜方向に沿った5cmおきに、製膜方向に垂直な方向の全幅でフィルムの厚みを測定する。
得られた厚みプロファイルの中に隆起部がある場合に、その高さと幅と長さは次のように定義する。i)隆起頂点から該プロファイル内の隆起部を除くフィルム平面に平行な基準線に下した垂線上の、隆起頂点から隆起両直隣最低部の接線までの距離を隆起の「高さ」とする。ii)プロファイル中で隆起部の両側の稜線において、傾きが最大となるそれぞれの稜線接線と、隆起両直隣最低部の接線と交わる2点間の距離の、該プロファイル内のフィルム平面に平行な基準線と平行な成分を隆起の「幅」とする。
こうした高さが10μm以上で幅が0.3mm以上となる隆起の有無を調べる。該当する隆起があった場合、製膜方向に垂直な方向の全幅での厚み測定を、検出測定位置の連続製膜方向に沿った近傍で繰り返す。そして始めに見つけた隆起と連続していると考えられる隆起をチェックする。連続隆起があった場合、順次、その位置の近傍で連続隆起の有無を調べる。該連続隆起の「高さ」が1μm未満になった場所を、該隆起の始点ないし終点とし、始点〜終点間の距離を隆起の「長さ」とする。
こうして、高さが10μm以上で幅が0.3mm以上、なおかつ長さが5cm以上のものを粗大筋状隆起と判定する。この粗大筋状隆起のサンプル内の数を数える。上記測定をn=10行い、得られた平均値を1m幅当りの値に換算し(すなわち2倍し)、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たり粗大筋状隆起の数とする。
[実施例1]
撹拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いたオートクレーブに、N−メチルマレイミド12kg、t−ブチルパーオキシネオデカノエート8g、およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1 重量比)150リットルを仕込み、窒素で数回パージした後、さらにイソブテン85リットルを仕込み、60℃で6時間反応を行った。得られた粒子を遠心分離後乾燥した。得られたポリマー(分子量(Mn):95000)中のマレイミド単位およびイソブテン単位は、それぞれ50モル%であった。
得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体70重量部と、アクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体30重量部とをそれぞれ等量ずつ振り混ぜ、2軸押出機を用い、窒素下、混練押出しを行い、ペレット(1)とした。得られたペレット(1)を110℃で10時間乾燥後、押出機に供給し、溶融温度295℃で溶融後、フィルターで濾過し、単層ダイから押出した。この溶融物を表面温度120℃の回転冷却ドラム上に押出し、全厚み80μmのフィルムを得た。
得られたフィルムのうち、押出開始から8時間後のフィルムサンプルを採取し、表面状態を調べた。結果、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たりの粗大筋状隆起の数は、0.1本であった。
[実施例2]
実施例1で得られたペレット(1)を、実施例1と同条件で乾燥、溶融、濾過後、3層ダイの芯層側から押出した。
一方、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル100重量部、およびエチレングリコール60重量部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03重量部を使用し、150℃から238℃に徐々に昇温させながら120分間エステル交換反応を行なった。途中反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024重量部を添加し、エステル交換反応終了後、リン酸トリメチル(エチレングリコール中で135℃、5時間0.11〜0.16MPaの加圧下で加熱処理した溶液:リン酸トリメチル換算量で0.023重量部)を添加した。その後反応生成物を重合反応器に移し、290℃まで昇温し、27Pa以下の高真空下にて重縮合反応を行って、固有粘度が0.61dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートのペレット(2)を得た。得られたペレット(2)を170℃で6時間乾燥後、押出機に供給し、溶融温度305℃で溶融後フィルターで濾過し、3層ダイの両表層側(表層1と表層2)から押出した。
押出量は、下述するフィルムにおいて、表層1:芯層:表層2の厚み比が1:8:1となるように調整した。この3層溶融物を表面温度60℃の回転冷却ドラム上に押出し、全厚み100μmの3層フィルムを得た。得られた3層フィルムのうち、押出開始から48時間後のフィルムサンプルを採取し、両表層のポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを剥離し、芯層フィルムの表面状態を調べた。結果、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たりの粗大筋状隆起の数は、0.0本であった。
[実施例3]
全厚みを525μmとした以外は、実施例2と同様にして、3層フィルムを得た。得られた未延伸3層フィルムを125℃に予熱し、低速ローラーと高速ローラーの間で15mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーター1本にて加熱して縦方向に1.5倍に延伸した。続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に3.5倍に延伸し、100μm厚みの二軸延伸3層フィルムを得た。
得られた3層フィルムのうち、押出開始から48時間後のフィルムサンプルを採取し、両表層のポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを剥離し、芯層フィルムの表面状態を調べた。結果、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たりの粗大筋状隆起の数は、0.0本であった。
[実施例4]
ペレット(2)の代わりに、市販の低密度ポリエチレン樹脂ペレットを用い、溶融温度を250℃とした以外は、実施例2と同様にして、3層フィルムを得た。得られた3層フィルムのうち、押出開始から48時間後のフィルムサンプルを採取し、両表層のポリエチレンフィルムを剥離し、芯層フィルムの表面状態を調べた。結果、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たりの粗大筋状隆起の数は、0.0本/フィルム1m幅であった。
[実施例5]
ペレット(2)の代わりに、市販の6−ナイロン樹脂ペレットを用い、溶融温度を290℃とした以外は、実施例2と同様にして、3層フィルムを得た。得られた3層フィルムのうち、押出開始から48時間後のフィルムサンプルを採取し、両表層の6−ナイロンフィルムを剥離し、芯層フィルムの表面状態を調べた。結果、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たりの粗大筋状隆起の数は、0.0本であった。
[比較例1]
実施例1と同様にして得られたフィルムのうち、押出開始から48時間後のフィルムサンプルを採取し、表面状態を調べた。結果、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たりの粗大筋状隆起の数は、4.2本/フィルム1m幅であった。
本発明のフィルムは、光学部材の構成部材として有用である。特に偏光子の支持基材や位相差板の構成部材として好ましく用いられる。

Claims (15)

  1. 物質(A)からなる層を少なくとも備えたフィルムであり、物質(A)はマレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%からなり、マレイミド・オレフィン共重合体は構造式(I)であらわされる成分40〜60モル%と構造式(II)で表される成分60〜40モル%とからなり、なおかつマレイミド・オレフィン共重合体は数平均分子量が1×10以上5×10以下であって、アクリロニトリル・スチレン共重合体はアクリロニトリル単位を21〜45重量%含み、物質(A)からなる層の表面におけるフィルム連続製膜方向に沿って生じる粗大筋状隆起は、高さ10μm以上かつ幅0.3mm以上かつ長さ5cm以上の粗大筋状隆起の数が、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たり1本以下であることを特徴とするフィルム。
    Figure 2005120179
    Figure 2005120179
    ここでRは水素または炭素数1〜6のアルキル基を示し、RおよびRは各々水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
  2. 少なくとも3層から構成され、最表層でない層は物質(A)からなり、製品として使用される際には最表層が剥離除去されることを特徴とする請求項1記載のフィルム。
  3. 溶融押出キャスティングにより製膜される樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のフィルム。
  4. 構成する全ての層が共押出法により製膜されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 最表層が剥離された状態で、表面における高さ10μm以上かつ幅0.3mm以上かつ長さ5cm以上の粗大筋状隆起の数が、フィルム連続製膜方向に垂直な方向での幅1m当たり1本以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 物質(A)からなる層は、高さ5μm以上の表面粗大突起の数が1個/m以下、大きさ6μm以上の内部異物の数が0.05個/m以下、大きさ6μm以上の表面付着異物の数が0.05個/m以下、深さ2μm、かつ幅100μm以上および/または長さ20mm以上の表面傷の数が0.05個/m以下、連続製膜方向での長さ5mと製膜方向に直交な方向でのフィルム全幅の範囲において、フィルムの厚み斑分布の最大範囲が平均厚みの10%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. 最表層が熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のフィルム。
  8. 最表層が熱可塑性ポリエステル樹脂からなることを特徴とする請求項7に記載のフィルム。
  9. 最表層が熱可塑性ポリオレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項7に記載のフィルム。
  10. 最表層が熱可塑性ポリアミド樹脂からなることを特徴とする請求項7に記載のフィルム。
  11. 少なくともいずれか一方向に延伸されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のフィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のフィルムを、構成部材としていることを特徴とする光学部材。
  13. 請求項2〜12のいずれかに記載のフィルムを、最表層が剥離された状態で構成部材としていることを特徴とする光学部材。
  14. 偏光子の支持基材として用いられることを特徴とする請求項12〜13のいずれかに記載の光学部材。
  15. 位相差板として用いられることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の光学部材。
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