JP2005118635A - 耐アブレージョン性と曲げ加工性に優れた表面処理金属材及びその製法 - Google Patents

耐アブレージョン性と曲げ加工性に優れた表面処理金属材及びその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐アブレージョン性(耐疵付き性)に優れると共に、密着曲げ加工や張出し加工の如く大きな素材変形を伴う加工にも耐える加工性を有する表面処理金属材を提供すること。
【解決手段】 エチルポリシリケートを加水分解して加水分解率を100%以上とした後、SiO換算の固形分濃度で1質量%超20質量%以下に希釈し、得られる希釈加水分解液を、Si元素換算の付着量が50〜1000mg/mとなる様に金属材の表面に塗布、乾燥して表面皮膜を形成する。

Description

本発明は、耐アブレージョン性(耐疵付き性)に優れると共に、密着曲げ加工や張出し加工の如く大きな素材変形を伴う加工にも耐える加工性に優れた表面処理金属材とその製法に関するものである。
亜鉛めっき鋼板などの金属材の表面を、エチルポリシリケートの如き珪酸エステルと硝酸アルミニウムなどのアルミニウム無機塩を含む処理液で処理し、Si−O結合とAl−O結合を有するガラス質の皮膜を形成すると、金属表面への水の透過が抑えられて耐食性(耐白錆性)が改善され、更には耐疵付き性や潤滑性なども改善されることは、例えば特許文献1〜3などにも記載されている如く公知である。
特開平9−137283号公報 特開平10−18049号公報 特開平10−251864号公報
しかし、上記の如きシロキサン系の表面被覆が施された金属材は、アルカリ脱脂後の耐食性が不十分である他、上塗り塗膜や印刷インキの密着性も十分とはいえない。また、この種の表面処理ではガラス質の硬い皮膜が形成されることから、耐アブレージョン性(耐疵付き性)は著しく改善されるが、密着曲げや張出し加工の如く大きな素材変形を伴う場合の加工性は大幅に低下するため、例えばホウロウ鋼板に類似の金属加工品を得ることはできない。
本発明はこうした従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐アブレージョン性(耐疵付き性)と加工性という、当業分野の一般的な常識では相反すると考えられている両特性を共に満たす表面処理金属材を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る耐アブレージョン性と曲げ加工性に優れた表面処理金属材の製法とは、エチルポリシリケート、好ましくは、一般式[Sin(n-1)(C25O)2(n+1)](n数は2〜7)で表わされるエチルポリシリケート、より具体的には、テトラエトキシシラン[Si(CO)]を固形分換算で25〜30質量%程度、エタノールを10質量%程度以下で含むエチルポリシリケートを加水分解して加水分解率を100%以上とした後、SiO換算の固形分濃度で1質量%超20質量%以下に希釈してなる希釈加水分解液を、Si元素換算の付着量が50〜1000mg/mとなる様に金属材の表面に塗布し乾燥するところに特徴を有している。
本発明を実施するに当っては、上記希釈加水分解液に更に下記成分(1)〜(3)の1種または2種以上を配合すれば、塗膜性能を更に高めることができるので好ましい。
(1)酸性溶液に溶解もしくは分散可能な樹脂を、上記加水分解液中のSiO分に対し固形分換算で3〜80質量%、
(2)酸性コロイダルシリカを、上記加水分解液中のSiO分に対し固形分換算で5〜50質量%、
(3)シランカップリング剤を、上記加水分解液中のSiO分に対し固形分換算で1〜40質量%。
また、エチルポリシリケートの前記加水分解は、エチルポリシリケート中のシリカ(SiO)1質量部に対し、水を0.3〜1質量部と塩酸(HCl)を0.0001〜0.01質量部添加し、透明になるまで撹拌することによって行うのがよく、これによりエチルポリシリケートの加水分解率を容易に100%以上に高めることができる。
また、上記希釈加水分解液を金属材の表面に塗布した後は、水洗することなく100℃以下の温度で乾燥することにより、耐アブレージョン性と曲げ加工性を共に一段と高めることができるので好ましい。
なお本発明は、上記の様に金属材の表面に形成される保護皮膜を、硬質で且つ高度の加工にも耐える変形能を有するものとすることによって、耐アブレージョン性と曲げ加工性を両立せしめたもので、板状、波板状、管状、異形棒状、線状など様々の形状の金属材に適用することができ、金属の種類も一般的な鋼板を始めとする鉄基金属材の他、非鉄金属材や合金材に適用できるが、亜鉛系めっき鋼板に適用すると、亜鉛系めっき層の特性(耐食性や加工性など)とも相俟ってその特徴が一層効果的に発揮されるので好ましい。また本発明は、上記の方法を採用することによって得られる耐アブレージョン性と曲げ加工性に優れた表面処理金属板も保護範囲に包含するものである。
本発明によれば、エチルポリシリケートの加水分解率を特定すると共に、加水分解の後直ちに所定濃度に希釈してから、金属材の表面に所定付着量となる様に塗布・乾燥することで、安定した塗装作業性と均一且つ緻密な塗膜の形成を可能とし、耐アブレージョン性や加工性、更には耐食性(耐白錆性)や塗膜密着性などにも優れた表面処理金属材を提供できる。
上記の様に本発明では、エチルポリシリケートを加水分解して加水分解率を100%以上とした後、SiO換算の固形分濃度で1質量%超20質量%以下に希釈し、得られる希釈加水分解液を、Si元素換算の付着量が50〜1000mg/mとなる様に金属材の表面に所定量塗布してから乾燥するところに基本的特徴を有するもので、これらの要件を定めた理由は次の通りである。
まず本発明で使用するエチルポリシリケートとは、好ましくは一般式[Sin(n-1)(C25O)2(n+1)]で表わされる縮重合体(好ましいn数は2〜7)であり、中でも工業的に入手が容易で且つ安価に入手できるものとして好ましいのは、テトラエトキシシラン[Si(CO)]を固形分換算で25〜30質量%程度、エタノール10質量%程度以下を含むエチルポリシリケートである。
また本発明において、エチルポリシリケートの加水分解率を100%以上と定めたのは、皮膜形成剤として造膜性を高め、金属材の表面に緻密で均一な保護皮膜を形成するためであり、加水分解率が100%未満では造膜性が不十分となり、金属材の表面に形成されるシロキサン系の皮膜が不均一で緻密性にも劣るものとなり、本発明で意図するレベルの耐アブレージョン性や加工性が得られ難くなるばかりでなく、耐食性(耐白錆性)なども不足気味となる。
よって、加水分解率は少なくとも100%以上に高めねばならず、より好ましくは120%以上、更に好ましくは150%以上に高めるのがよい。尚、エチルポリシリケートを完全加水分解した時の理論上の加水分解率は200%である。
次に、エチルポリシリケートを加水分解率が100%以上となるまで加水分解した後は、該加水分解液を、一旦SiO換算の固形分濃度で1質量%超20質量%以下にまで希釈して希釈加水分解液とする。この様に加水分解液を希釈するのは、塗布液としての安定性を保ちつつ、金属材の表面に所定付着量の保護皮膜を容易に形成可能にするためである。ちなみに、エチルポリシリケートを加水分解することによって得られる高濃度の加水分解液では、加水分解によって生成するシラノール基が縮合反応を起こしてゲル化し易いが、加水分解後直ちに水で1質量%超20質量%以下に希釈すると、ゲル化の進行が著しく抑えられるため、塗布液としての安定性が高められると共に保護皮膜としての付着量の調整も容易となる。
ちなみに、濃度が20質量%を超えると、希釈による前記縮合反応の抑制効果が不十分となり、塗布液が短時間のうちにゲル化して塗装不能になる恐れが生じてくる。逆に1質量%以下にまで希釈すると、塗布液としての安定性は向上するものの、濃度不足のため1回の塗布作業で所定厚さの保護皮膜を形成するのが困難になり、多層塗りが必要となって作業効率の低下を招く。塗布液としての安定性と塗膜形成性を両立させる上でより好ましい濃度は5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上で、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
金属材の表面に塗布する保護皮膜としての付着量は、Si元素換算で50〜1000mg/mの範囲とすべきであり、50mg/m未満では、金属材の表面を皮膜で完全に覆うことが困難になってピンホールなどの欠陥が生じ、耐アブレージョン性や耐食性、加工性が悪くなる。一方、Si元素換算の付着量が1000mg/mを超えると、皮膜形成のための乾燥時に皮膜にクラックが発生し易くなり、やはり耐アブレージョン性や耐食性、加工性が低下する。
ピンホール欠陥などがなく且つクラックのない均質な皮膜を形成して高レベルの耐アブレージョン性や耐食性、加工性を確保する上でより好ましい付着量は、200mg/m以上500mg/m以下である。
なお、金属材の表面に上記希釈加水分解液を塗布した後の乾燥温度は、金属材の温度で100℃以下に抑えるのがよく、100℃を超えて乾燥温度が高くなり過ぎると、造膜時にクラックやピンホールが発生し易くなり、耐アブレージョン性、耐食性および加工性が悪くなる。但し乾燥温度が低過ぎると、乾燥皮膜の形成に長時間を要し生産性が低下するので、好ましくは30℃程度以上に加熱することが望ましい。より好ましい乾燥温度は40℃以上、100℃以下である。
ところで、エチルポリシリケートの加水分解率を100〜200%(理論値)にするために必要な水は、エチルポリシリケート中に含まれるSiのSiO換算量で1質量部に対し水が0.3〜1質量部の割合であり、0.3質量部未満では加水分解率を100%以上に高めることができず、また1質量部を超えると、加水分解に要する時間が長くなると共に、塗布液としての安定性が低下してゲル化を起こし易くなる。従って加水分解時の加水量は、用いるエチルポリシリケート中に含まれるSiのSiO換算量で1質量部に対し0.3質量部以上、1質量部以下とするのがよく、より好ましくは0.5質量部以上、0.8質量部以下である。
尚、加水分解を短時間で効率よく進めるには、促進用の触媒として塩酸(HCl)を用いるのがよい。その割合は、エチルポリシリケート中に含まれるSiのSiO換算量1質量部に対して0.0001〜0.01質量部、より好ましくは0.0005〜0.005質量部の範囲であり、0.0001質量部未満ではその添加効果が有意に発揮されず、0.01質量部を超えて過度に多く配合すると、加水分解に要する時間は短縮されると共に液の安定性は向上するものの、乾燥皮膜の耐食性(特に耐白錆性)が劣悪となる。
本発明の基本的な構成要素は上記の通りであり、皮膜形成素材としては、エチルポリシリケートを加水分解して加水分解率を100%以上とした後、SiO換算の固形分濃度で1質量%超20質量%以下に希釈した希釈加水分解液を使用することで目的を達成できるが、該希釈加水分解液に、他の成分として下記成分(1)〜(3)を所定量配合すると、乾燥皮膜の特性が一段と改善されるので好ましい。
(1)酸性溶液に溶解もしくは分散可能な樹脂:上記希釈加水分解液中のSiO
に対し固形分換算で3〜80質量%
酸性溶液に溶解もしくは分散可能な樹脂を、前記希釈加水分解液の固形分(SiOとして)に対し固形分換算で3質量%以上配合すると、優れた耐アブレージョン性を維持しつつ、加工性が一段と向上する。但し配合量が80質量%を超えると、エチルポリシリケート加水分解物の造膜性に悪影響を及ぼし、耐アブレージョン性が悪くなるので、80質量%以下に抑えるべきである。より好ましくは5質量%以上60質量%以下、更に好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
酸性溶液に溶解もしくは分散可能な樹脂として最も好ましいのはポリエステル系樹脂であり、優れた耐アブレージョン性向上効果を有するばかりでなく、上塗り塗膜に対する密着性も高める。この様なポリエステル系樹脂は、例えば大日本インキ社製の商品名「HYDRAN HW−910」、第一工業製薬社製の商品名「エラストロンH−3」、同「エラストロンMC−7」等として入手できる。
(2)酸性コロイダルシリカ:上記希釈加水分解液中のSiO分に対し固形分換算で
5〜50質量%
酸性コロイダルシリカを、前記希釈加水分解液の固形分(SiOとして)に対し固形分換算で5質量%以上配合すると、優れた耐アブレージョン性を維持しつつ、加工性が一段と向上する。但し配合量が50質量%を超えると、エチルポリシリケート加水分解物の造膜性に悪影響を及ぼし、耐アブレージョン性が著しく劣化するので、50質量%以下に抑えるべきである。より好ましくは好ましくは10質量%以上30質量%以下、更に好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
好ましい酸性コロイダルシリカの市販品としては、日産化学社製の商品名「スノーテックスST−O」、同「スノーテックスST−OL」、日本化学社製の商品名「シリカドール」等が例示される。
(3)シランカップリング剤:上記希釈加水分解液中のSiO分に対し固形分換算で
1〜40質量%
シランカップリング剤を、上記希釈加水分解液の固形分(SiO)に対し固形分換算で1質量%以上配合すると、皮膜の耐アブレージョン性が更に向上する。しかし多過ぎると造膜性に悪影響を及ぼし、皮膜の耐アブレージョン性が著しく劣化するので、40質量%以下に抑えるべきである。より好ましいシランカップリング剤の配合量は3質量%以上30質量%以下、更に好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
好ましいシランカップリング剤は、例えば信越化学社製の3−グリシドキシプ口ピルトリメトキシシラン(商品名「KBM403」)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM903」)、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のビニルトリアセトキシシラン(商品名「SZ6075」)などとして入手できる。
上記成分(1)〜(3)を配合した複合組成の皮膜形成剤の場合についても、表面保護皮膜としての付着量は、前掲と同様の理由で、Si元素濃度換算の付着量で50〜1000mg/mの範囲とすべきである。
こうした複合組成の中でも、本発明の特徴が最も有効に発揮されるのは、エチルポリシリケートの200%加水分解液に水を加えて、SiO換算の固形分濃度を9±1質量%程度に希釈し、これに、酸性溶液に溶解もしくは分散可能な樹脂(1)を上記希釈加水分解液の固形分(SiOとして)に対し固形分換算で70±5質量%程度、酸性コロイダルシリカ(2)を上記希釈加水分解液の固形分(SiOとして)に対し固形分換算で10±2質量%程度、およびシランカップリング剤(3)を希釈加水分解液の固形分(SiOとして)に対し30±5質量%程度含有させた複合組成の塗布液であり、この塗布液を金属材の表面にSi元素換算の付着量で約300mg/mとなる様に塗布してから乾燥することで、耐アブレージョン性と加工性のバランスが最も良好で、耐食性や上塗り塗膜の密着性も最良の保護皮膜を形成することができる。
本発明は上記の様に皮膜形成剤組成を特定すると共に、塗布剤としての安定性や塗装作業性なども考慮して適正濃度に調整し、適正付着量の乾燥皮膜を形成することによって、耐アブレージョン性と加工性を兼ね備えた皮膜を形成し得るもので、金属材の性状や種類には一切制限がなく、最も一般的な鉄基金属材である鋼材やアルミニウムなどの非鉄金属材からなる板材、管材、波板材、棒材、線材、異形棒材などに幅広く適用できる。しかし本発明の特徴が実用面で最も有効に発揮されるのは、亜鉛系めっき鋼板(電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板などを含む)である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらも当然本発明の技術的範囲に包含される。
実施例
板厚0.8mmで亜鉛付着量が20g/mである電気亜鉛メッキ鋼板の表面を酸洗した後、その表面に、エチルポリシリケートの各種希釈加水分解液、又はこれと、酸性溶液に溶解もしくは分散可能な樹脂(表1)、酸性コロイダルシリカ(表2)、またはシランカップリング剤(表3)を含む水性処理液をロールコーターで塗布し、熱風乾燥炉で到達板温度を変えて加熱処理を実施した。鋼板表面に形成される皮膜の付着量(固形分)は、上記水性処理液の固形分量やロールコーターによる塗布条件によって調整した。尚、エチルポリシリケートとしては、多摩化学工業社製の商品名「シリケート40」を用いた。尚、使用したシリケート40は、エチルポリシリケート[SinO(n-1)(C2H5O)2(n+1),nは2〜7]を固形分換算で60〜70質量%、テトラエトキシシラン[Si(C2H5O)4]を固形分換算で25〜30質量%含み、10質量%以下のエタノールを含有する。
次に、上記で得た各サンプル(表面被覆鋼板)の品質・性能(耐白錆性、加工性、耐アブレージョン性)を下記の方法で評価し、結果を表4〜11に示した。なお下記表において「エチルポリシリケート濃度」とは、SiO換算の固形分濃度を表わし、また酸性溶液に溶解または分散可能な樹脂、酸性コロイダルシリカ、シランカップリング剤の各添加量は、何れも希釈加水分解液中のSiO分に対する固形分換算量を表わす。また下記表4〜11において、「表10」に示したもの以外は、「熱風乾燥炉での到達板温度」を全て「80℃」とした。
[耐白錆性]
各サンプルについて塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を行い、72時間後の白錆発生率から下記の基準で評価した。
◎:白錆発生率5%未満、○:白錆発生率5%以上25%未満、△:白錆発生率25%以上50%未満、×:白錆発生率50%以上100%以下。
[加工性]
各サンプルについて90゜曲げ試験を行い、摺動部の外観から下記の基準で評価した。
◎:摺動部の摺り疵なし、○:摺動部の摺り疵小、△:摺動部の摺り疵中程度、×:摺動部の摺り疵大。
[耐アブレージョン性]
各サンプルについて、包装貨物−振動試験(JIS−Z−0232)に準拠して振動試験を行い、所定時間後の外観から下記の基準で評価した。振動試験機としては、アイデック社製の商品名「BF−50UC」を用いた。
◎:亜鉛素地が全く現れない、○:亜鉛素地が少し現れる、△:亜鉛素地が中程度現れる、×:亜鉛素地が大きく現れる。
表4〜11より次の様に解析できる。
表4からは、エチルポリシリケートの加水分解率が皮膜性能に顕著な影響を及ぼし、該加水分解率が100%未満では、耐アブレージョン性、加工性、耐白錆性のいずれにおいても劣悪になることが分る。
表5,6は、処理液中のエチルポリシリケート加水分解液としてSiO換算の固形分濃度とそれに伴うSi換算の付着量が皮膜性能に与える影響を調べた結果を示しており、加水分解液の濃度が低過ぎてもまた高過ぎても、満足のいく皮膜性能を得ることはできない。即ち、濃度が低過ぎると、皮膜としてのSi換算付着量が不足するため表面保護作用が有効に発揮されず、逆に濃度が高過ぎると、加水分解物の一部がゲル化を起こして塗布液の安定性が劣悪になり、短時間のうちにゲル化して塗装不能となる恐れが生じてくる。
表7は、エチルポリシリケート加水分解物と共に酸性溶液に溶解もしくは分散可能な樹脂を併用した場合の例であり、適量の樹脂の併用は有効であるが、該樹脂の配合量が多過ぎると、耐アブレージョン性や加工性、耐白錆性が著しく害される。
表8は、エチルポリシリケート加水分解物と共に酸性コロイダルシリカを併用した場合の例であり、適量のコロイダルシリカの併用は有効であるが、その配合量を多くし過ぎると、耐アブレージョン性や加工性、耐白錆性が著しく害される。
表9は、エチルポリシリケート加水分解物と共にシランカップリング剤を併用した場合の例であり、適量のシランカップリング剤の併用は有効であるが、その配合量が多過ぎると、耐アブレージョン性や加工性、耐白錆性が劣悪になる。
表10は、皮膜形成剤を塗布した後の乾燥温度を変えた場合の皮膜特性を示したもので、乾燥温度が100℃を超えると、耐アブレージョン性や加工性、耐白錆性が著しく劣化している。これは、乾燥温度が高過ぎると、造膜時に皮膜にクラックやピンホールが生じ、これらが皮膜特性の劣化を引き起こしたものと考えられる。
表11は、エチルポリシリケート加水分解物と共に、酸性溶液に溶解もしくは分散可能な樹脂(1)、酸性コロイダルシリカ(2)およびシランカップリング剤(3)の3者を適量併用した例であり、何れも優れた耐アブレージョン性と加工性、耐白錆性が得られている。

Claims (9)

  1. エチルポリシリケートを加水分解して加水分解率を100%以上とした後、SiO換算の固形分濃度で1質量%超20質量%以下に希釈してなる希釈加水分解液を、Si元素換算の付着量が50〜1000mg/mとなる様に金属材の表面に塗布し乾燥することを特徴とする、耐アブレージョン性と曲げ加工性に優れた表面処理金属材の製法。
  2. エチルポリシリケートが、一般式[Sin(n-1)(C25O)2(n+1)](n数は2〜7)で表わされるものである請求項1に記載の製法。
  3. 前記希釈加水分解液に、酸性溶液に溶解もしくは分散可能な樹脂を、上記希釈加水分解液中のSiO分に対し固形分換算で3〜80質量%含有させる請求項1または2に記載の表面処理金属材の製法。
  4. 前記希釈加水分解液に、酸性コロイダルシリカを上記希釈加水分解液中のSiO分に対し固形分換算で5〜50質量%含有させる請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理金属材の製法。
  5. 前記希釈加水分解液に、シランカップリング剤を上記希釈加水分解液中のSiO分に対し固形分換算で1〜40質量%含有させる請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理金属材の製法。
  6. 前記エチルポリシリケートの加水分解は、エチルポリシリケート中のシリカ(SiO)1質量部に対し、水:0.3〜1質量部と塩酸(HCl):0.0001〜0.01質量部を添加し、透明になるまで撹拌することによって行う請求項1〜5のいずれかに記載の表面処理金属材の製法。
  7. 前記希釈加水分解液を金属材の表面に塗布した後、水洗することなく100℃以下の温度で乾燥する請求項1〜6のいずれかに記載の表面処理金属材の製法。
  8. 金属材として亜鉛めっき鋼材を使用する請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理金属材の製法。
  9. 前記請求項1〜8の何れかの方法によって製造されたものであることを特徴とする、耐アブレージョン性と曲げ加工性に優れた表面処理金属材。
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