JP2005118091A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】 縫製開始時において縫い針からの上糸の脱落を抑制する。
【解決手段】 上糸経路上の縫い針101よりも上流側に配置されると共に縫い針101の上下動と同じ周期で周期的に変化する張力を上糸に付与する回転天秤部材20を備えるミシン10であって、回転天秤部材20は、回転中心側となる基部21と、上糸Tが掛け渡された状態で回転することでその長手方向に沿って上糸Tを往復移動させる腕部22とを備え、上糸Tの天秤上死点位置26から当該上糸Tが落ち込む凹部23を腕部22に設け、一針目形成前に上糸Tを凹部23に移動させる上糸位置変更手段30を有する、という構成を採っている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転天秤方式のミシンに関する。
図10は従来の回転天秤方式のミシン100の正面図、図11は図10のX−X−線に沿った断面図、図12は側面図を示す。かかる従来のミシン100は、縫い針101をその下端部で保持する針棒102と、針棒102を左右方向に揺動させると共に上下動可能に支持する針棒揺動腕103と、針棒102に上下動駆動力を付与する上軸104と、上軸104の先端部に設けられたトルク変動解消用の錘105と、錘105に偏心状態で設けられた針棒クランク106と、針棒クランク106と針棒102とを連結し上下駆動力を伝達する針棒クランクロッド107と、針棒クランク106の先端側に固定装備された天秤取付台板108と、天秤取付台板108に固定支持された回転天秤部材109とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
かかるミシン100は、さらに、上糸Tの経路に沿って、上軸の供給源のすぐ下流に位置し上軸に所定の張力を付与する第一テンション110と、ロータリー式の第二テンション111と、糸案内112と、第一の糸案内112に案内されている上糸Tを必要に応じてたぐり出す糸たぐり装置113と、第一の糸案内112の下流に位置する回転天秤部材109のさらに下流側であって針棒102の手前に配置された第二の糸案内114と、針棒102に設けられた針棒糸掛け115とを備えている。また、縫い針101のさらに下流側には、図示しない縫製物に連動する上糸Tを切断する糸切り装置(不図示)を備えている。
上記従来のミシン100の回転天秤部材109の動作を説明する。図13は適正に動作が行われた場合の動作説明図であり、図13(A)は上軸回転角度60°の場合を示し、図13(B)は上軸回転角度80°の場合を示し、図13(C)は上軸回転角度100°の場合を示す。また、図14は上軸基準角度の変化に応じて回転天秤部材及び釜が縫い針側に供給する上糸Tの供給量を示す線図である。C1が回転天秤部材を示し、C2が釜を示す。また、供給量は下に行くほど多くなるように示している。
図13に示すように、回転天秤部材109は、回転中心位置から半径方向外側に延びた腕部109aに上糸Tが掛け渡され、当該腕部109aの角度変化に応じてその長手方向に沿って上糸Tが移動し、回転中心に上糸Tが接離することで上糸供給量の調節が行われる。
上軸回転角度80°の位置において、回転天秤部材109による糸取り量が最も大きく(糸供給量が最も小さく)なり、かかる場合の回転天秤部材109の腕部109aにおける適正な上糸Tの位置が天秤上死点位置となる(図13(B)の上糸位置)。さらに、回転天秤部材109が回転し、上軸回転角度100°に至る前に、天秤上死点位置よりも回転中心側に設けられた凹部109bに上糸Tが落ち込み(図13(C))、これにより、凹部109bにより生じた撓み分の糸供給が縫い針101側に行われ、かかるタイミングで、針棒102が下降動作を行う。
特開平8−155171号公報(第1図)
図15は従来のミシン100の問題点を示す動作説明図であって、図15(A)は上軸回転角度60°の場合を示し、図15(B)は上軸回転角度80°の場合を示し、図15(C)は上軸回転角度100°の場合を示す説明図である。
上述のミシン100にあっては、縫製終了後は糸切り装置による上軸切断が行われ、上軸回転角度60°の位置で停止される。従って、次回の縫製に際しては、上軸回転角度60°から開始されることとなるが、縫い始めは縫い針101に挿通された上糸Tは布地に差し込まれていないために摩擦保持力がなく、フリーの状態となっている。このため、回転天秤部材109の回転による遠心力の影響を上糸Tは受けやすく、本来は腕部109aに沿って回転中心側に移動するはずの上糸Tが移動を行わない場合があった(図15(B))。
その場合、上糸は凹部109bに到達せず、所定の糸供給量を確保できない状態で針棒102が下降動作を開始すると、上糸Tは縫い針101から抜けてしまい、縫製が行えなくなる場合がある、という不都合があった。
本発明は、縫製開始時に縫い針からの上糸の抜けを抑制することをその目的とする。
請求項1記載の発明は、上糸経路上の縫い針よりも上流側に配置されると共に縫い針の上下動と同じ周期で周期的に変化する張力を上糸に付与する回転天秤部材を備えるミシンであって、回転天秤部材は、回転中心側となる基部と、上糸が掛け渡された状態で回転することでその長手方向に沿って上糸を往復移動させる腕部とを備え、上糸の天秤上死点位置から当該上糸が落ち込む凹部を腕部に設け、一針目形成前に上糸を凹部に移動させる上糸位置変更手段を有する、という構成を採っている。
上記「一針目形成前」とは、前回の縫製の終了時の前後期間、完全に終了してから縫製を開始するまでの期間、縫製を開始してから第一針目形成完了時(より望ましくは第一目の開始時点における針棒が最も最下位置となるまで)のいずれの期間も含まれるものとする。
上記構成において、針棒の上下動周期と同じ周期で回転天秤部材が回転することで、腕部の長手方向に沿って上糸が往復移動し、その際、上糸が腕部の縁に対して摺接する位置に応じて下流側への上糸供給量が変動を生じる。そして、腕部の向き及び形状により、上糸が最も高位置となる位置が腕部には決まっており、かかる部位にさしかかると上糸供給量が最小となる。かかる位置が天秤上死点となる。その後、腕部の回転によりすぐに凹部に上糸が落ち込むことで上糸が縫い針に近接し、糸供給量が増加する。
ところで、上記構成では、例えば前回縫製が行われ、さらに糸端部が切断され、縫い針の糸通し穴に幾分かの上糸が挿通された状態において、針棒の上下動が開始される前或いは最下位置に到達する前に、上糸位置変更手段により上糸が天秤上死点位置を通過して凹部に落ち込むように移動される。従って、糸供給量が大きく必要となる針棒が最下位置となる前に、強制的に天秤上死点位置を上糸は通過させられると共に、糸供給量に余裕を持たせる凹部に配置される。
従って、例え、縫い針の糸通し穴に既に挿通されている上糸量が少ないために上糸の逆流が生じやすい環境下であっても、既に上糸は天秤上死点を通過した状態にあることから、当該天秤上死点位置よりも遠心力により外側に上糸が移動することを抑制すると共に、上糸が凹部に位置することから上糸供給量に余裕があるため、上糸の縫い針からの脱落を回避する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、上糸経路変更手段は、上糸に係合して天秤上死点位置から凹部まで移動させる係合部材を有する、という構成を採っている。
上記構成にあっては、針棒の上下動が開始される前或いは最下位置に到達する前において、上糸位置変更手段の作動の際に、回転天秤部材の腕部と係合する上糸に係合部材が係合して掛かる係合状態で回転天秤部材の凹部に移動させる。即ち、係合部材が上糸を凹部まで運ぶこととなる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、腕部は、その表面から裏面にかけて上糸が掛け渡される平板状部を有すると共に、係合部材は、上糸の表面側に延在する部分と裏面側に延在する部分の双方に係合した状態で凹部まで移動させる、という構成を採っている。
上記構成では、係合部材が上糸の回転天秤部材の両面側にそれぞれ延在する部分と同時に係合して凹部まで運ぶこととなる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明と同様の構成を備えると共に、腕部の平板状部に、天秤上死点位置から凹部に向かう方向に沿った長穴が貫通して形成され、係合部材が、長穴内を移動して上糸を移動させる、という構成を採っている。
上記構成では、係合部材が、凹部に向かう方向に沿った長穴内を移動して上糸を移動させるため、上糸の回転天秤部材の両面側にそれぞれ延在する部分と同時に係合して凹部まで運ぶこととなる。
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、係合部材は、可撓性を有すると共にその先端部が腕部の表面に摺接して上糸を凹部に移動させる、という構成を採っている。
上記構成では、係合部材が上糸に係合する際に、当該係合部材の先端部が回転天秤部材の腕部の表面に摺接した状態となる。従って、腕部の表面と係合部材との間には隙間がなく、掛け渡された状態の上糸は、より確実に上糸と係合して移動することとなる。
請求項6記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、係合部材は、回転天秤部材よりも上流側に配置されると共に、その移動により上糸に対して天秤上死点位置から凹部側へ移動する方向に張力を付与する。
上記構成では、係合部材が上糸に係合し、当該係合状態で上糸に対して天秤上死点位置から凹部側へ移動する方向に張力を付与する。従って、かかる張力により上糸が凹部に移動される。
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、上糸位置変更手段は、天秤上死点位置から凹部側へ送風する送風手段である、という構成を採っている。
上記構成では、針棒の上下動が開始される前或いは最下位置に到達する前に、上糸位置変更手段により、上糸に送風が行われ、これにより、上糸は天秤上死点位置を越えて凹部まで送られる。
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、回転天秤部材は、その回転動作により回転半径外側端部が上下動するように配設されると共に、天秤上死点位置よりも凹部が基部に近い配置で設けられ、上糸位置変更手段は、縫製時よりも低速回転で回転天秤部材の回転半径外側端部を上方に移動させて逆回転で現位置に戻す制御手段である、という構成を採っている。
上記構成では、回転天秤部材の回転半径外側端部を上方に移動させることにより、上糸が天秤上死点位置を通過して凹部まで落下状態で移動することとなる。また、凹部を通過したとしても、次回の縫製開始時に上糸が縫い針下降により張力を付与されると、凹部側に移動して凹部に入り込ませることができる。
なお、回転天秤部材の回動を通常の補正時よりも遅い速度で行うのは、遠心力の影響を低減するためである。
請求項9記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、上糸経路上の縫い針よりも上流側であって回転天秤部材よりも下流側に配置され、上糸位置変更手段の作動時に上糸の戻り方向の移動を規制する上糸保持手段を備える。
上記構成では、上糸位置変更手段により上糸が天秤上死点位置から凹部側へ移動される際に縫い針側からの上糸の戻りが防止される。このため、縫い針からの上糸の脱落をより効果的に防止される。
請求項1記載の発明は、予め上糸位置変更手段により上糸が天秤上死点位置を通過して凹部に落ち込むように移動されるので、縫い針の糸通し穴に挿通されている上糸量が少ないために上糸の逆流が生じやすい環境下であっても、既に上糸は天秤上死点を通過した状態にあることから、当該天秤上死点位置よりも遠心力により外側に上糸が移動することを抑制すると共に、上糸が凹部に位置することから上糸供給量に余裕があるため、上糸の縫い針からの脱落を効果的に回避することができ、縫製不良を防止し、ミシンの信頼性を向上することが可能となる。
請求項2記載の発明は、上糸位置変更手段の係合部材が上糸と係合した状態で凹部まで移動させるので、物理的な接触状態で上糸が運ばれる状態となり、高い確実性で上糸が凹部に移動され、上糸の縫い針からの脱落をより効果的に回避し、ミシンの信頼性をさらに向上することが可能となる。
請求応3記載の発明は、上糸位置変更手段の係合部材が、上糸の回転天秤部材の両面側にそれぞれ延在する部分と同時に係合して係合部材が凹部まで運ぶ構成のため、表裏面のいずれか一方に延在する部分のみと係合する場合と比して、他方の面に延在する部分に引っかかり等が発生して上糸が充分に移動されないような不慮の不具合の影響をより抑制し、高い確実性で上糸が凹部に移動され、上糸の縫い針からの脱落をさらに効果的に回避し、ミシンの信頼性をさらに向上することが可能となる。
請求項4記載の発明は、係合部材が、凹部に向かう方向に沿った長穴内を移動して上糸を移動させるため、高い確実性で上糸を凹部に移動しミシンの信頼性をより向上させると共に、貫通穴を挿通されることから、係合部材を回転天秤部材の両面に回り込むような複雑な形状に形成する必要がなく、装置の生産性の向上を図ることが可能となる。
請求項5記載の発明は、係合部材の先端部が回転天秤部材の腕部の表面に摺接した状態で移動するため、腕部の表面と係合部材との間には隙間がなく、掛け渡された状態の上糸をより確実に捕捉して凹部に移動させることから、より高い確実性で上糸が凹部に移動され、上糸の縫い針からの脱落をより効果的に回避し、ミシンの信頼性をさらに向上することが可能となる。
請求項6記載の発明は、係合部材が上糸に対する張力付与を行い、上糸を凹部に誘導するため、係合部材自体は直接回転天秤部材の凹部の近傍に配置しなくとも良く、係合部材の配置を広く選択でき、設計の自由度を向上することが可能となる。
請求項7記載の発明は、送風により上糸を回転天秤部材における天秤上死点位置から凹部に移動させる構成のため、上糸と係合して凹部に誘導する部材を不要とし、また、凹部側への誘導のための送風方向には幅を持たせることが用意であるため、送風を行うための構成の配置の自由度が高く、設計の自由度を向上することが可能となる。
請求項8記載の発明は、回転天秤部材の回動端部を上方まで回動させる動作制御により上糸を凹部に移動させる構成のため、上糸位置変更手段として直接的に上糸を凹部に移動させる部材やその部材の移動を行う駆動手段を不要とし、装置の構成の簡略化を図ることで生産性の向上を図ることが可能となる。
請求項9記載の発明は、上糸保持手段によって、上糸位置変更手段の作動時に上糸の戻り方向の移動を規制されることから、縫い針からの上糸の脱落をより効果的に回避することが可能となる。
(第一の実施形態の全体構成)
以下、本発明の第一の実施形態たる回転天秤方式のミシン10について図1及び図2に基づいて説明する。なお、実施形態たるミシン10において前述した従来のミシン100と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。
図1は、ミシン10を正面方向から見た動作説明図であり、図1(A)は上軸回転角度60°の場合を示し、図1(B)は上軸回転角度80°の場合を示し、図1(C)は上軸回転角度100°の場合を示す。
かかるミシン10は、縫い針101をその下端部で保持する針棒102と、針棒102を左右方向に揺動させると共に上下動可能に支持する針棒揺動腕103と、針棒102に上下動駆動力を付与する上軸104と、上軸104の先端部に設けられたトルク変動解消用の錘105と、錘105に偏心状態で設けられた針棒クランク106と、針棒クランク106と針棒102とを連結し上下駆動力を伝達する針棒クランクロッド107と、針棒クランク106の先端側に固定装備された天秤取付台板11と、天秤取付台板11に固定支持され、縫い針101の上下動と同じ周期で周期的に変化する張力を上糸Tに付与する回転天秤部材20と、縫製開始の一針目形成前に上糸Tを回転天秤部材20の天秤上死点位置26から後述する凹部23に移動させる上糸位置変更手段30とを備えている(図10参照)。
かかるミシン10は、さらに、上糸Tの経路に沿って第一テンション110、第二テンション111、糸案内112、糸たぐり装置113、回転天秤部材20、第二の糸案内114と、針棒102に設けられた針棒糸掛け115とを備え、縫い針101のさらに下流側には、図示しない糸切り装置13を備えている(図4参照)。そして、回転天秤部材20と第二の糸案内114との間には、上糸位置変更手段30の作動時に上糸Tの戻り方向の移動を規制する上糸保持手段40と上記各構成の動作制御手段50とを備えている。
(天秤取付台板)
以下、各部を詳説する。上述の天秤取付台板11は円板状に形成され、上軸104と同心で回転動作を行う。この天秤取付台板11は、その中心位置近くにおいて回転天秤部材20の基部21を固定支持すると共に、後述する回転天秤部材20に設けられる長穴25に対応して同じ位置に同じ大きさで貫通した切り欠き11aが形成されている(図2及び図3参照)。
(回転天秤部材)
回転天秤部材20は、回転中心側となる基部21と、上糸Tが掛け渡された状態で回転することでその長手方向に沿って上糸Tを往復移動させる腕部22とを備えている。そして、上糸Tの天秤上死点位置26からさらなる回転により当該上糸Tが落ち込む凹部23を腕部22に有する点は前述した回転天秤部材109と同じである。
上糸Tは、その縫製時において、下方に位置する第一の糸案内112側から繰り出されて回転天秤部材20の腕部22に掛け渡された状態で折り返して下方に位置する第二の糸案内114側に導かれる経路を辿る。その際、回転天秤部材20の腕部22はそのほぼ全長に渡って平板状に形成されており、その表面(図1に現れている面)から裏面(天秤取付台板11に対向する面)にかけて上糸Tが掛け渡される。
そして、上記回転天秤部材20は、その基部21において水平方向に設けられた上軸104を中心に回転運動を行うので、その腕部22の回転半径方向外側端部(回転端部とする)は、一回転につき上下にその位置が入れ替わる動作を行うこととなる。
さらに、回転天秤部材20の回転端部は回転円の円周方向に沿って両側に張り出された張り出し部24が設けられており、回転天秤部材20の回転動作に応じて、上糸Tは腕部22に沿って張り出し部24と凹部23との間を往復移動することとなる。これを詳述すると、上軸回転角度が60°前後の区間では、回転天秤部材20の腕部22の長手方向が水平状態に近くなり、凹部23は上側に向かって開口した状態となる。かかる状態では、上糸Tは張り出し部24の近傍に位置し、腕部22の回転がさらに進行すると、張り出し部24が上方に移動し、上糸Tは低部となる凹部23まで移動してゆく。かかる移動過程において、凹部23の手前位置は凹部23の深度方向逆側に幾分突出した形状に形成されており、ここを通過する際に、上糸Tの折り返し部分が最も高位置となり、その直後に上糸Tは凹部23に落ち込んで最高位置状態から脱することとなる。即ち、凹部23の手前の最高位置が天秤上死点位置26となる。
また、回転天秤部材20の腕部22にはその長手方向に沿ってその平板面を貫通する長穴25が形成されている。この長穴25は、腕部22の長手方向中間位置から基部21近傍まで延びている。これは、上糸位置変更手段30において、上糸Tを天秤上死点位置26から凹部23に導く際に使用されるものであり、詳細は後述する。
(上糸位置変更手段)
図2は上糸位置変更手段30及びその周辺の構成を示す一部切り欠いた平面図、図3は回転天秤部材20の図示を省略したミシン10の正面図である。上糸位置変更手段30は、上糸Tに係合して天秤上死点位置から回転天秤部材20の凹部23まで移動させる係合部材31と、係合部材31をその先端部で起伏回動自在に支持する支持体32と、支持体32を介して所定方向に沿って係合部材31を往復移動させる駆動手段34と、支持体32の一方向の移動により係合部材31と当接して起伏を促す当接体33とを備えている。
上記支持体32は、天秤取付台板11よりもミシン筐体の内側に固定配置され、天秤取付台板11の中心線よりも図1における左方であって幾分上方にされている。また、支持体32は、例えば電磁ソレノイドからなる駆動手段34によりその先端部が左右方向に沿って出退可能に支持されている。
支持体32の先端部には、その回動先端部が上糸Tを引っ掛ける易いように鉤状に形成され、基端部において図1における垂直上下方向に沿った中心線により起伏回動自在に係合部材31が支持されている。かかる係合部材31は、図示しないバネにより、当該係止部材31の長手方向が支持体32に沿って横たわった状態となる方向に弾性力が付勢されている。
一方、当接体33は、上軸回転角度60°で上軸104が停止した状態においてその長手方向が支持体32の往復駆動方向を平行となるように天秤取付台板11に固定支持されている。かかる当接体33は、片持ち状態で天秤取付台板11に固定支持されている。一方、係合部材31,支持体32及び駆動手段34は、ミシン10のフレーム側の定位置に固定装備されている。そして、上軸回転角度60°の状態で、当接体33の自由端側の先端部と支持体32の先端部とが相対した状態で一致するように配置設定されている。そして、上軸回転角度60°の状態で、支持体32が駆動手段により図1における右方に駆動されると、支持体32の先端部支持された係合部材31の基端部側の角が当接部材33の先端部に当接し、起伏回動が促される。かかる起伏回動時における係合部材31の先端部の移動軌跡と、天秤取付台板11の切り欠き11a及び回転天秤部材20の長穴25との長手方向とが一致するように切り欠き11a及び長穴25は形成されているため、係合部材31は、天秤取付台板11や回転天秤部材20にぶつかることなく円滑に起伏回動を行うことが可能である。これにより、係合部材31はほぼ90°起伏回動して、天秤取付台板11に対してほぼ垂直に且つ天秤取付台板11の外側に突出した状態となる。そして、かかる係合部材31の起伏動作により、回転天秤部材20の腕部22に掛け渡された状態にある上糸Tは、基部21側に向かって凹部23の位置まで移動させられることとなる。
なお、前述したように、天秤取付台板11には切り欠き11aが設けられ、回転天秤部材20には長穴25が設けられている。これらはいずれも、上軸回転角度60°の状態で係合部材31の起伏回動経路上となるような配置で形成されており、上軸回転角度60°の状態で係合部材31の起伏回動を妨げないようになっている。なお、この上軸回転角度60°とは、後述する動作制御手段50により、縫製終了時に上糸が切断され、ミシンモータ51の駆動が停止される状態における規定の上軸停止角度である。上軸104は通常は必ずこの角度で停止され、また、縫製を開始する場合には、上軸104はこの角度から駆動が開始される。
(上糸保持手段)
上糸保持手段40は、第二の糸案内114のすぐ手前に配置され、通過する上糸Tを挟持する挟持手段と、当該挟持動作を駆動するソレノイド等の駆動手段とを備えている。かかる駆動手段は後述する動作制御手段50の動作制御に従って駆動し、上糸保持手段40は、第二の糸案内40の手前位置において、所定のタイミングで通過する上糸Tの移動を規制することができる。
このため、例えば、縫い針101の糸通し穴に通された上糸Tが、回転天秤部材20側に引き寄せられて縫い針101から脱落することを防止することができる。
(動作制御手段)
動作制御手段50について図4により説明する。図4はミシン10の制御系を示すブロック図である。
図4に示すように、動作制御手段50は、ミシン10の後述する各種機能,動作を実行させる制御プログラム,制御データ又は各種縫製データが書き込まれているROM52と、制御プログラムに従って各部の動作を集中制御するマイコンであるMPU51と、MPU51の処理データや縫製処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM53とを備えている。
さらに、動作制御手段50は、ミシンモータ12、上糸位置変更手段30の駆動手段、糸切り装置13、第一テンション110、第二テンション111、糸たぐり装置113、上糸保持手段40、糸切り装置13に図示しないドライバを介して接続され、これらに対して動作制御を行うことが可能である。また、ミシンモータ12はステッピングモータであり、その出力軸一回転ごとに基準位置信号を動作制御手段50に出力する。一方、動作制御手段50は、このミシンモータ12に対する駆動制御を行うと共に、基準位置信号からの現在の変動角度を認識することができる。
また、動作制御手段50には操作入力手段14が接続されており、この操作入力手段14により、縫製の開始や縫製終了時における糸切りの指示入力が行われると共に、第一テンション110、第二テンション111、糸たぐり装置113等のミシンモータ12の回転角度に対する作動タイミング、テンション強さ、たぐり量等の設定が行われる。動作制御手段50のROM52に記憶されたプログラムにより、MPU51は、縫製時において、上記各設定に基づく各部の動作制御を行う。
また、ROM52に記憶されたプログラムにより、MPU51は、糸切りの指示入力を受けて上軸104の上軸回転角度が60°で停止するようにミシンモータ12の動作制御を行うと共に、糸切り装置13の糸切り動作を行う。
さらに、MPU51は、ミシンモータ12の駆動停止後、上糸保持手段40の駆動手段を駆動させて上糸を挟持状態とする動作制御を行うと共に、上糸位置変動手段30の駆動手段34であるソレノイドを駆動して、係合部材31を図2における左方である退避位置から右方である作動位置に移動させる動作制御を行う。これにより、上糸Tを回転天秤部材20の腕部22に沿って凹部23まで移動させて当該凹部23に上糸Tを落とし込む。次いで、MPU51は、上糸保持手段40の駆動手段を駆動させて上糸の挟持状態を解除する動作制御を行うと共に、上糸位置変動手段30の駆動手段34であるソレノイドを再度駆動して、係合部材31を図2における右方である駆動位置から左方である退避位置に退避移動させる動作制御を行う。
(ミシンの動作説明)
上記構成からなるミシン10の動作説明を図1及び図2に基づいて行う。
即ち、操作入力手段14から縫製の開始が入力されると、MPU51が設定された回転数でミシンモータ12の駆動を開始する。また、この時、第一テンション110、第二テンション111、糸たぐり装置113は、所定の駆動タイミングと所定の駆動量で作動する。これにより、各部の駆動量に応じて縫製が行われる。
次いで、動作入力手段14による糸切りの指示入力を受けると、上軸104の上軸回転角度が60°で停止され、糸切り装置13による糸切り動作が行われる。これにより、縫い針101の糸通し穴から上糸Tが所定長さだけ挿通された状態でそれより先の上糸が切断される。
さらに、図1(A)に示すように、上糸保持手段40が駆動して上糸Tが上流側に戻されないように挟持される。かかる状態で、上糸位置変更手段30の駆動手段34により支持体32が突出状態となり、これにより、当接体33に係合部材31の基端部の角部が当接し、図示しないバネに抗して係合部材31が起伏回動する。かかる起伏回動に伴い、係合部材31は、回転天秤部材20の長穴25に沿って移動し、上糸Tにおける腕部22の表面側に位置する部分と裏面に位置する部分の双方が係合部材3に係合しつつ、凹部23側に移動されて、凹部23に上糸Tが落とし込まれる。
その後、支持体32は、再び突出状態から退避状態に戻るように後退し、当接体33との当接状態が解除されて、係合部材31はバネの弾性に従って支持体32側に倒れ、退避位置に戻される。また、上糸保持手段40の上糸保持状態は解除される。
これにより、次回の縫製において、上糸Tは回転天秤部材20の凹部23に落とし込まれた状態から縫製が開始され、回転天秤部材20から下流側の上糸長が十分に確保されることから、縫い針101が下降動作を行っても、縫い針101よりも下流側からの上糸の戻り量を低減することが可能となり、縫い針101からの上糸Tの脱落を抑制することができるため、縫製不良を防止し、ミシンの信頼性を向上することが可能となる。
また、回転天秤部材20に長穴25を設け、係合部材31が挿通された状態で上糸Tと係合するため、腕部22の両面側にそれぞれ延在する上糸Tの両部分と同時に係合部材31は係合することとなり、より高い確実性で上糸Tが凹部23に移動され、上糸Tの縫い針101からの脱落をさらに効果的に回避し、ミシン10の信頼性をさらに向上することが可能となる。
また、係合部材31が、長穴25内を移動して上糸Tを移動させるため、係合部材31を回転天秤部材20の腕部22の両面に回り込むような複雑な形状に形成する必要がなく、図2の如く、真っ直ぐな単純形状を採ることができ、装置の生産性の向上を図ることが可能となる。
(その他)
上記ミシン10の動作制御手段50では、縫製の終了時における上糸切断作業の後に上糸Tを回転天秤部材20の凹部23に移動させる動作制御を行っているが、かかる上糸Tの凹部23への移動動作は、それ以降の次の縫製を開始してから第一針目の針棒が最下点位置に到達するまでに行うことも可能である。かかるタイミングであれば、縫い針101から上糸Tの端部の脱落の抑制効果を得ることが可能である。
なお、後述する他の実施形態についても、同様である。
(第2実施形態)
上糸位置変更手段30と異なる構成の新たな上糸位置変更手段30Aを図5に示す。本実施形態では、この上糸位置変更手段30A以外の構成についてはミシン10と同一であることから重複する説明は省略するものとする。
この図5は上糸位置変更手段30Aの平面図であり、ミシンにおける配置は上糸位置変更手段30と異なり、天秤取付台板11よりも外側において図示しないフレームに支持されている。
即ち、上糸位置変更手段30Aは、上下垂直方向を中心に揺動可能にフレームに支持されたリンク体32Aと、リンク体32Aの基部に固定支持された係合部材31Aと、リンク体32Aの揺動動作を付与する駆動手段とを有している。
係合部材31Aは、リンク体32Aの揺動に伴って揺動し、その先端部は鍵状に形成されている。また、揺動により係合部材31Aの先端部は、上軸回転角度60°における回転天秤部材20の長穴25内に侵入すると共に当該長穴25に沿って移動するように配置されている。
上記構成では、糸切り動作の後に、上糸保持手段40が駆動して上糸Tが上流側に戻されないように挟持される。かかる状態で、上糸位置変更手段30Aの駆動手段によりリンク体32Aを所定方向に揺動させ、これにより、係合部材31Aが揺動動作を行う。即ち、係合部材31Aの先端部は、回転天秤部材20の長穴25に沿って移動し、上糸Tにおける腕部22の表面側に位置する部分が係合部材31Aに係合しつつ、凹部23側に移動されて、凹部23に上糸Tが落とし込まれる。
その後、駆動手段はリンク体32Aを逆方向に揺動させ、係合部材31Aはその先端部が凹部23から離間する方向に揺動し、上糸保持手段40の上糸保持状態は解除される。
かかる構成の上糸位置変更手段30Aを適用した場合であっても、前述したミシン10とほぼ同様な効果を得ることができる。
(第3実施形態)
上糸位置変更手段30と異なる構成の新たな上糸位置変更手段30Bを図6に示す。
本実施形態では、回転天秤部材20に長穴25を設ける必要がないという点と、この上糸位置変更手段30B以外の構成についてはミシン10と同一であることから重複する説明は省略するものとする。
この図6は上糸位置変更手段30Bを有するミシン10Bの正面図である。
上糸位置変更手段30Bは、水平方向(上軸104と平行な方向)を中心に揺動可能にフレームに支持されたリンク体32Bと、リンク体32Bの基部に固定支持された係合部材31Bと、リンク体32Bの揺動動作を付与する駆動手段としてのモータ33Bとを有している。
係合部材31Bは、リンク体32Bの揺動に伴って揺動し、その先端部は回転天秤部材20の正面側の面部(図6に現れた面部)に摺接するように当該面部側に屈曲すると共に係合部材31Bは可撓性或いは弾性を備える素材で形成されている。また、揺動により係合部材31Bの先端部は、上軸回転角度60°において、天秤上死点位置26よりも回転半径外側の位置から凹部23までの範囲を摺接するように配置設定されている。
上記構成では、糸切り動作の後に、上糸保持手段40が駆動して上糸Tが上流側に戻されないように挟持される。かかる状態で、上糸位置変更手段30Bの駆動手段33Bの所定方向への回転駆動によりリンク体32Bを所定方向に揺動させ、これにより、係合部材31Bが回転天秤部材20の正面面上を天秤上死点位置よりも手前から凹部23位置まで摺接し、当該先端部で上糸Tを引きずるようにして凹部23側に移動させ、当該凹部23に上糸Tを落とし込む。
その後、駆動手段33Bは、リンク体32Bを逆方向に揺動させ、係合部材31Bはその先端部が凹部23から離間する方向に揺動し、上糸保持手段40の上糸保持状態は解除される。
かかる構成の上糸位置変更手段30Bを適用した場合であっても、前述したミシン10とほぼ同様な効果を得ることができ、さらには、腕部22の表面と係合部材31Bとの間には隙間がなく、腕部22に掛け渡された状態の上糸Tをより確実に捕捉して凹部23に移動させることが可能となり、より高い確実性で上糸Tが凹部22に移動され、上糸Tの縫い針101からの脱落をより効果的に回避し、ミシン10Bの信頼性をさらに向上することが可能となる。
(第4実施形態)
上糸位置変更手段30と異なる構成の新たな上糸位置変更手段を図7に示す。
本実施形態では、回転天秤部材20に長穴25を設ける必要がないという点と、この上糸位置変更手段以外の構成についてはミシン10と同一であることから重複する説明は省略するものとする。
この図7は上糸位置変更手段を有するミシン10Cの正面図である。
上糸位置変更手段は、天秤取付台板11とほぼ同一平面上であって、糸案内112から回転天秤部材20までの間の配置において、フレームに設けられたスリットに沿って上下方向に移動可能に支持された係合部材31Cと、この係合部材31Cを上下二位置に切り替える図示しないソレノイド等の駆動手段とを有している。
係合部材31Cは、糸案内112の近傍からほぼ垂直上方に移動を行い、これにより、上糸Tに対して上軸回転角度60°における天秤上死点位置26から凹部23側への移動を生じる方向に張力付与を行う。
なお、上糸Tに対して天秤上死点位置26から凹部23側への移動を生じる方向に張力付与することができれば、係合部材31Cは上述の移動方向に限定されるものではない。
上記構成では、糸切り動作の後に、上糸保持手段40が駆動して上糸Tが上流側に戻されないように挟持される。かかる状態で、上糸位置変更手段の駆動手段が係合部材31Cを糸案内112の近傍位置から上方に移動させる。これにより、係合部材31Cが上糸Tに対して天秤上死点位置26から凹部23側への移動を生じる方向に張力付与し、凹部23に上糸Tを落とし込む。
その後、駆動手段は、係合部材31Cを糸案内112に近傍位置まで下降させ、上糸Tへの張力付与状態が解除されると共に、上糸保持手段40の上糸保持状態は解除される。
かかる構成の上糸位置変更手段30Cを適用した場合であっても、前述したミシン10とほぼ同様な効果を得ることができ、さらに、係合部材31Cは直接的に上糸Tを凹部32に移動させるのではなく、張力付与により誘導するので、係合部材31Cが必ず目標位置に到達する配置する必要がなくなり、配置設計の面において自由度を向上させることが可能となる。
(第5実施形態)
上糸位置変更手段30と異なる構成の新たな上糸位置変更手段30Dを図8に示す。
本実施形態では、回転天秤部材20に長穴25を設ける必要がないという点と、この上糸位置変更手段30D以外の構成についてはミシン10と同一であることから重複する説明は省略するものとする。
この図8は上糸位置変更手段を有するミシン10Dの正面図である。
上糸位置変更手段30Dは、フレームにより支持され、上軸回転角度60°の状態における回転天秤部材20の天秤上死点位置26から凹部23側に上糸Tを移動させることができる角度で送風を行う送風手段である。
送風手段は、例えば、周囲に外気を取り込んで吹き出しを行うファンであっても良いし、ボンベ等に封入された圧縮気体を吹き出すものであっても良い。
上記構成では、糸切り動作の後に、上糸保持手段40が駆動して上糸Tが上流側に戻されないように挟持される。かかる状態で、上糸位置変更手段30Dが送付を行う。これにより、上糸Tが吹き付けられる送風により天秤上死点位置26から凹部23側への移動を行い、凹部23に到達する。
その後、上糸位置変更手段30Dは、停止すると共に、上糸保持手段40の上糸保持状態は解除される。
かかる構成の上糸位置変更手段30Dを適用した場合であっても、前述したミシン10とほぼ同様な効果を得ることができ、さらに、上糸位置変更手段30Dは直接的に上糸Tを凹部32に移動させるのではなく、送風により誘導するので、上糸Tと係合する部材やその移動を行う駆動手段を不要とし、なおかつ、上糸の誘導状態からの解除動作を不要とし、装置の構成の簡略化及び制御の簡略化を図ることで生産性の向上を図ることが可能となる。また、送風手段であれば、送風方向は厳密性を問われないので、配置設計の面において自由度を向上させることが可能となる。
(第6実施形態)
上糸位置変更手段30と異なる構成の新たな上糸位置変更手段を図9に示す。
本実施形態では、回転天秤部材20に長穴25を設ける必要がないという点と、上糸位置変更手段が前述した動作制御手段50における動作制御により実現する点以外の構成についてはミシン10と同一であることから重複する説明は省略するものとする。
この図9(A)はミシン10Eの上糸切断後であって、上軸104の駆動を停止した状態における正面図であり、図9(B)は動作制御手段50による上糸位置変更手段としての動作制御を実行している状態の正面図である。
回転天秤部材20は、前述したように、天秤上死点位置26よりも凹部23が基部21に近い配置で設けられている。即ち、天秤上死点位置26は、凹部23よりも回転半径外側に位置していることから、動作制御手段50のMPU51は、予めROM52に格納されたプログラムに従い、上軸104をその回転角度60°の位置で駆動停止し、上糸切断後において、腕部22の先端部が基部21の上方に位置する角度(例えばさらに90°回転駆動する、つまり上軸回転角度150°まで)まで通常の回転速度よりも遅い速度で上軸104を回転駆動し、逆回転により回転角度60°の位置に戻すようにミシンモータ12の動作制御を行う。これにより、上糸位置変更手段としての機能を動作制御手段50が実行する。
上記構成では、上軸104が上軸回転角度60°において停止され、上糸Tの切断が行われる。また、上糸保持手段40の駆動手段を駆動させて上糸の挟持状態とされる(図9(A))。かかる状態で、上糸Tは回転天秤部材20の腕部22において、天秤上死点位置26よりも回転半径方向外側に位置しており、動作制御手段50の動作制御により、さらに上軸104が時計方向に90°回転駆動される。このときの回転速度は、次の縫製作業に支障を来さない範囲で遅い速度とすることが望ましい。即ち、上糸Tに遠心力が付与されないようにするためである(図9(B))。
これにより、上糸Tは落下方向に移動して、天秤上死点位置26を通過して凹部23に入り込む。その後、上軸104が反時計方向に90°回転駆動され、回転天秤部材は図9(A)と同じ姿勢に戻される。また、上糸保持手段40の上糸保持状態は解除される。
かかる構成の上糸位置変更手段を動作制御手段50により実行した場合であっても、前述したミシン10とほぼ同様な効果を得ることができ、さらに、上糸位置変更手段は直接的に上糸Tを凹部32に移動させる部材やその部材の移動を行う駆動手段を不要とし、装置の構成の簡略化を図ることで生産性の向上を図ることが可能となる。
発明に実施形態たるミシンを正面方向から見た動作説明図であり、図1(A)は上軸回転角度60°の場合を示し、図1(B)は上軸回転角度80°の場合を示し、図1(C)は上軸回転角度100°の場合を示す。 上糸位置変更手段及びその周辺の構成を示す一部切り欠いた平面図である 回転天秤部材の図示を省略したミシンの正面図である。 ミシンの制御系を示すブロック図である。 第二の実施形態の平面図である。 第三の実施形態の正面図である。 第四の実施形態の正面図である。 第五の実施形態の正面図である。 図9(A)は第六の実施形態たるミシンの上糸切断後であって、上軸の駆動を停止した状態における正面図であり、図9(B)は動作制御手段による上糸位置変更手段としての動作制御を実行している状態の正面図である。 従来の回転天秤方式のミシンの正面図である。 図10のX−X−線に沿った断面図である。 従来の回転天秤方式のミシンの側面図である。 従来のミシンが適正に動作が行われた場合の動作説明図であり、図13(A)は上軸回転角度60°の場合を示し、図13(B)は上軸回転角度80°の場合を示し、図13(C)は上軸回転角度100°の場合を示す。 上軸基準角度の変化に応じて回転天秤部材及び釜が縫い針側に供給する上糸Tの供給量を示す線図である。 従来のミシンの問題点を示す動作説明図であって、図15(A)は上軸回転角度60°の場合を示し、図15(B)は上軸回転角度80°の場合を示し、図15(C)は上軸回転角度100°の場合を示す動作説明図である。
符号の説明
10,10B,10C,10D,10E ミシン
20 回転天秤部材
21 基部
22 腕部
23 凹部
25 長穴
26 天秤上死点位置
30,30A,30B 上糸位置変更手段
30D 上糸位置変更手段(送風手段)
31,31A,31B,31C 係合部材
40 上糸保持手段
50 動作制御手段
101 縫い針
102 針棒
T 上糸

Claims (9)

  1. 上糸経路上の縫い針よりも上流側に配置されると共に前記縫い針の上下動と同じ周期で周期的に変化する張力を上糸に付与する回転天秤部材を備えるミシンであって、
    前記回転天秤部材は、回転中心側となる基部と、前記上糸が掛け渡された状態で回転することでその長手方向に沿って前記上糸を往復移動させる腕部とを備え、
    前記上糸の天秤上死点位置から当該上糸が落ち込む凹部を前記腕部に設け、
    一針目形成前に前記上糸を前記凹部に移動させる上糸位置変更手段を有することを特徴とするミシン。
  2. 前記上糸経路変更手段は、前記上糸に係合して前記天秤上死点位置から前記凹部まで移動させる係合部材を有することを特徴とする請求項1記載のミシン。
  3. 前記腕部は、その表面から裏面にかけて前記上糸が掛け渡される平板状部を有すると共に、
    前記係合部材は、前記上糸の前記表面側に延在する部分と前記裏面側に延在する部分の双方に係合した状態で前記凹部まで移動させることを特徴とする請求項2記載のミシン。
  4. 前記腕部の平板状部に、前記天秤上死点位置から前記凹部に向かう方向に沿った長穴が貫通して形成され、
    前記係合部材が、前記長穴内を移動して前記上糸を移動させることを特徴とする請求項3記載のミシン。
  5. 前記係合部材は、可撓性を有すると共にその先端部が前記腕部の表面に摺接して前記上糸を前記凹部に移動させることを特徴とする請求項2記載のミシン。
  6. 前記係合部材は、前記回転天秤部材よりも上流側に配置されると共に、その移動により前記上糸に対して天秤上死点位置から凹部側へ移動する方向に張力を付与することを特徴とする請求項2記載のミシン。
  7. 前記上糸位置変更手段は、前記天秤上死点位置から凹部側へ送風する送風手段であることを特徴とする請求項1記載のミシン。
  8. 前記回転天秤部材は、その回転動作により回転半径外側端部が上下動するように配設されると共に、前記天秤上死点位置よりも前記凹部が前記基部に近い配置で設けられ、
    前記上糸位置変更手段は、縫製時よりも低速回転で前記回転天秤部材の回転半径外側端部を上方に移動させて逆回転で現位置に戻す制御手段であることを特徴とする請求項1記載のミシン。
  9. 上糸経路上の縫い針よりも上流側であって前記回転天秤部材よりも下流側に配置され、前記上糸位置変更手段の作動時に前記上糸の戻り方向の移動を規制する上糸保持手段を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一に記載のミシン。
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