JP2005113712A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 触媒コンバータに流入する排気の空燃比をリーン空燃比側とリッチ空燃比側とに周期的に強制変調させる空燃比強制変調手段と、該空燃比強制変調手段により変調させる排気の空燃比の目標値を設定する目標空燃比設定手段とを備え、該目標空燃比設定手段は、空燃比が所定リーン空燃比に到達後直ちに或いは該所定リーン空燃比以上となって所定短期間経過後直ちに、リーン空燃比相当の振幅d以上の振幅d’となるように該目標値をリッチ空燃比側に変更する。
【選択図】 図5
Description
例えば、排気空燃比のばらつきにより排気空燃比が全体としてリッチ空燃比側にシフト(リッチシフト)した場合でもリッチ変調時にO2を供給可能とするためには、ある程度以上の振幅をもって空燃比変調させる必要がある。
また、リーン度合いが大きくO2濃度が高いほどO2の触媒内への拡散速度が大きいことから、同一振幅にして変調空燃比の幾何学的面積を同一にしても、同一のO2供給とはならず、空燃比変調の変調波形(幾何学的パターン)によって排気浄化性能が異なる結果となる。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、触媒コンバータにおける排気浄化性能の最適化を図った内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
従って、空燃比が所定リーン空燃比に到達した直後或いは該所定リーン空燃比以上となって所定短期間経過した直後、例えば触媒コンバータにおけるO2の拡散速度が最大となった直後に即座に目標空燃比をリッチ空燃比側に切り換えるようにするので、排気空燃比のばらつきにより排気空燃比が全体的にリーンシフトしたとしても、リーン空燃比側からリッチ空燃比側への切り換え遅れによるリーン空燃比期間の延長を防止し、排気空燃比を即座にして確実にリッチ空燃比に切り換えるようにでき、触媒コンバータにおけるO2吸蔵量のオーバフローを良好に防止することができる。
これにより、触媒コンバータにおける排気浄化性能の最適化を図ることができる。
請求項2の内燃機関の排気浄化装置によれば、空燃比強制変調による実空燃比の平均値または該平均値の相関値がリーン空燃比であるときにはリッチ化度合いを大きくして目標空燃比のリッチ空燃比側への変更を行い、実空燃比の平均値または該平均値の相関値がリッチ空燃比であるときにはリッチ化度合いを小さくして目標空燃比のリッチ空燃比側への変更を行うようにするので、排気空燃比のばらつきにより排気空燃比が全体的にリーンシフト或いはリッチシフトした場合であっても、適宜良好に目標空燃比に対する実空燃比の適正化を図るようにでき、触媒コンバータにおけるO2吸蔵量のオーバフローとO2吸蔵量の不足とを確実に防止でき、触媒コンバータにおける排気浄化性能のさらなる最適化を図ることができる。
図1を参照すると、車両に搭載された本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成図が示されており、以下、当該排気浄化装置の構成を説明する。
同図に示すように、内燃機関であるエンジン本体(以下、単にエンジンという)1としては、吸気管噴射型(Multi Point Injection:MPI)ガソリンエンジンが採用される。
シリンダヘッド2には、各気筒毎に吸気ポートが形成されており、各吸気ポートと連通するようにして吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。吸気マニホールド10には、電磁式の燃料噴射弁6が取り付けられており、燃料噴射弁6には、燃料パイプ7を介して燃料タンクを擁した燃料供給装置(図示せず)が接続されている。
なお、当該MPIエンジンは公知のものであるため、その構成の詳細については説明を省略する。
排気マニホールド12の他端には排気管20が接続されており、当該排気管20には、排気浄化触媒装置として三元触媒(触媒コンバータ)30が介装されている。
ECU(電子コントロールユニット)40は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えており、当該ECU40により、エンジン1を含めた排気浄化装置の総合的な制御が行われる。
一方、ECU40の出力側には、上述の燃料噴射弁6、点火コイル8、スロットル弁14等の各種出力デバイスが接続されており、これら各種出力デバイスには各種センサ類からの検出情報に基づき演算された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期等がそれぞれ出力される。詳しくは、各種センサ類からの検出情報に基づき空燃比が適正な目標空燃比(目標A/F)に設定され、当該目標A/Fに応じた量の燃料が適正なタイミングで燃料噴射弁6から噴射され、またスロットル弁14が適正な開度に調整され、点火プラグ4により適正なタイミングで火花点火が実施される。
先ず、第1実施例について説明する。
図2を参照すると、本発明の第1実施例に係る空燃比制御の制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同フローチャートに沿い説明する。
次に、ステップS12では、現在空燃比強制変調モード中であって上記強制変調制御を実施しているか否かを判別する。判別結果が偽(No)で、例えば三元触媒30が不活性状態にあるような場合等であって、空燃比強制変調モード中ではないと判定された場合には、目標A/Fは基準A/Fに維持される。
ステップS14では、次式(1)から現在の目標A/F(n)を求める。
目標A/F(n)=目標A/F(n-1)+ゲイン …(1)
ここに、目標A/F(n-1)は前回算出した目標A/Fを示し、ゲインは例えば固定値でもよいし、後述するように変数としてもよい。
ステップS16では、ステップS14で求めた目標A/F(n)が所定リーンA/F(リーン側片振幅)以上{目標A/F(n)≧所定リーンA/F(=基準A/F+リーン側片振幅)}であるか否かを判別する。ここに、所定リーンA/F(=基準A/F+リーン側片振幅)は、基準A/Fに対するリーンA/F側の振幅d、例えばO2の拡散速度が最大となる振幅に対応する空燃比を示している。判別結果が偽(No)で目標A/F(n)が所定リーンA/F(=基準A/F+リーン側片振幅)に達していないと判定された場合には、上記ステップS14に戻り、目標A/F(n)を繰り返し求める。一方、判別結果が真(Yes)で、目標A/F(n)が所定リーンA/Fに達したと判定された場合には、ステップS18に進む。
次に、ステップS20では、目標A/F(n)を次式(2)から求める。
目標A/F(n)=所定リッチA/F(=基準A/F−リッチ側片振幅)
+(目標平均A/F−実平均A/F) …(2)
ここに、所定リッチA/F(=基準A/F−リッチ側片振幅)は、基準A/Fに対するリッチA/F側の振幅d’を示している。詳しくは、ここではリッチ側片振幅d’と上記リーン側片振幅dは例えば同値(d=d’)であり、所定リッチA/Fは所定リーンA/Fに対し基準A/Fを挟んで対称の値をなす。
ところで、目標平均A/Fに対し実平均A/Fがリッチシフト或いはリーンシフトする場合、上記ステップS18で求めたように、シフトした分だけ修正するようにすれば、以降、目標A/Fに対して実A/Fが適正なものとなる。しかしながら、このようにしてもリッチシフト或いはリーンシフトしていたときの目標A/Fと実A/Fとの差分は相殺されることがなく、実平均A/Fは直ぐには目標平均A/Fとはならない。故に、実平均A/Fがリッチシフトしていた場合には余剰のHC、COが十分に浄化されず、実平均A/Fがリーンシフトしていた場合には余剰のO2によるNOxが十分に浄化されないという問題が生じる。
次のステップS22では、リッチA/Fへの切り換え後、所定変調周期後に目標A/F(n)が所定リーンA/Fとなるようにゲインを調整する。具体的には、例えば次式(3)から求める。
/所定変調周期×(ステップS14の算出周期) …(3)
これにより、リッチシフト或いはリーンシフトしていたときの目標A/Fと実A/Fとの差分に対する補償は、一変調周期のみとなり、リッチシフト或いはリーンシフトしていたときの一変調周期と併せて二変調周期間の実平均A/Fを所望の値とすることができ、以降の不要な補償を回避することができる。また、リッチシフト或いはリーンシフトした場合であっても変調周期を一定に保持することが可能となり、変調周期を維持した方が触媒性能の低下を抑制することができるシステムにおいては有効である。なお、変調周期を変更した方が触媒性能の低下が小さい場合において当該変調周期を一定に維持しないようにすることを妨げるものではない。
このように、リッチA/F側における目標A/F(n)を求めたら、ステップS12を経てステップS14に進み、ステップS20で求めた目標A/F(n)を上記式(1)における目標A/F(n)の初期値とする。
図3を参照すると、実平均A/Fが例えばリーンシフトした場合の当該強制変調制御の制御結果である排気A/F、即ち実A/Fの時間変化が示されているが、同図に示すように、目標平均A/Fに対し実平均A/Fがリーンシフトしている場合(一点鎖線)には、目標A/F(n)が所定リーンA/Fに達すると、リッチ側片振幅d’に目標平均A/Fと実平均A/Fとの差分δが反映(加算)されてリッチ空燃比側での目標A/F(n)が算出されるとともに燃料誤差が加味され、排気A/Fは一気にリッチA/F側に変化させられる。そして、以降、排気A/Fは、ゲイン調整により目標A/F(n)に対応した適正な値(破線)に近づきながらリッチA/F側からリーンA/F側に徐々に変化させられる。
図6を参照すると、本発明の第2実施例に係る空燃比制御の制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同フローチャートに沿い説明する。なお、第2実施例では、上記第1実施例の図2フローチャートに対してステップS18の燃料誤差量を目標A/F(n)に包含した点が異なるのみであり、ここでは第1実施例と異なる部分を中心に説明する。
目標A/F(n)=所定リッチA/F(=基準A/F−リッチ側片振幅)
+(目標平均A/F−実平均A/F)+(目標平均A/F−実平均A/F) …(2')
ここに、「所定リッチA/F+(目標平均A/F−実平均A/F)」は、第1実施例に対して、目標A/Fに対する排気A/Fのばらつき(目標平均A/F−実平均A/F)を考慮して、目標A/Fを取り扱うようにしたものである。
ゲイン={リーン側片振幅+リッチ側片振幅−(目標平均A/F−実平均A/F)}
/所定変調周期×(ステップS14の算出周期) …(3)
そして、ステップS24’において目標燃料量{目標A/F(n)に相当する燃料量}を求め、供給する燃料量を決定する。
そして、上記同様、ステップS16’で目標A/F(n)が「所定リーンA/F+(目標平均A/F−実平均A/F)」に達したと判定されるまでステップS14において式(1)から目標A/F(n)を繰り返し求めるようにする。
このように、目標A/F(n)が所定リーンA/Fとなり、例えば三元触媒30におけるO2の拡散速度が最大となった直後に制御A/F(n)を大きく一気にリーンA/F側からリッチA/F側に切り換えることにより、排気A/Fのばらつきによって実平均A/Fがリーンシフトしたとしても、リーンA/F側からリッチA/F側への切り換え遅れによるリーンA/F期間の延長を良好に防止し、排気A/Fを確実にリッチA/Fに切り換えるようにでき、三元触媒30におけるO2吸蔵量のオーバフローを良好に防止することができる。これにより、三元触媒30の排気浄化性能の最適化を図ることができる。
以上で、本発明に係る排気浄化装置の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
また、上記実施形態では、エンジン1としてMPIエンジンを採用したが、これに限られず、エンジン1は強制変調制御が可能であれば如何なるエンジンであってもよく、筒内噴射型エンジンであってもよい。
また、上記第1及び第2実施例で使用しているA/Fの代わりにA/F相関値を用いるようにしてもよい。例えば、F/A、当量比、空気過剰率、燃料量、さらにO2センサを用いている場合には、O2センサがリーンA/Fを示す期間(リーン出力期間)、O2センサがリッチA/Fを示す期間(リッチ出力期間)、リーン出力期間/変調周期、リッチ出力期間/変調周期及びこれらの相関値を用いるようにしてもよい。
6 燃料噴射弁
22 リニア空燃比センサ(実空燃比検出手段)
30 三元触媒(触媒コンバータ)
40 ECU(電子コントロールユニット)
Claims (2)
- 内燃機関の排気通路に設けられた触媒コンバータと、
前記触媒コンバータに流入する排気の空燃比をリーン空燃比側とリッチ空燃比側とに周期的に強制変調させる空燃比強制変調手段と、
該空燃比強制変調手段により変調させる前記排気の空燃比の目標値を設定する目標空燃比設定手段とを備え、
前記目標空燃比設定手段は、空燃比が所定リーン空燃比に到達後直ちに或いは該所定リーン空燃比以上となって所定短期間経過後直ちに、リッチ側片振幅がリーン側片振幅以上となるように該目標値を変更することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記触媒コンバータに流入する排気の実空燃比を検出する実空燃比検出手段をさらに備え、
前記目標空燃比設定手段は、前記空燃比強制変調手段による強制変調の変調周期間において前記実空燃比検出手段により検出される排気の実空燃比の平均値または該平均値の相関値がリーン空燃比であるときにはリッチ化度合いを大きくして前記リッチ空燃比側への変更を行い、該平均値または該平均値の相関値がリッチ空燃比であるときにはリッチ化度合いを小さくして前記リッチ空燃比側への変更を行うことを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
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