JP2002327641A - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents
エンジンの排気浄化装置Info
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Abstract
O2センサ出力のしきい値を運転条件に応じて変更する
ことにより、排気エミッションをさらに低減する。 【解決手段】 排気浄化装置は、エンジン1の吸入空気
量を検出するセンサ9と、エンジン1の排気通路に設け
られた触媒3と、触媒3に流入する排気の空燃比を検出
するセンサ4と、触媒3から流出する排気の酸素濃度あ
るいは空燃比を検出するセンサ5とを備える。コントロ
ーラ6は、検出された触媒3に流入する排気の空燃比と
エンジン1の吸入空気量に基づき触媒3の酸素ストレー
ジ量を演算し、演算された酸素ストレージ量に基づき触
媒3の酸素ストレージ量が所定値となるようにエンジン
1の空燃比を制御する。さらに、コントローラ6は、検
出された触媒3から流出する排気の酸素濃度あるいは空
燃比が所定しきい値となったときに酸素ストレージ量の
補正を行うとともに、この所定しきい値を吸入空気量に
応じて補正する。
Description
排気浄化装置に関する。
率を最大に維持するためには触媒雰囲気を理論空燃比に
する必要があるが、触媒の酸素ストレージ量を一定に保
っておくことで、触媒に流入する排気がリーン側にずれ
ても排気中の酸素が触媒に吸収され、逆に、触媒に流入
する排気がリッチ側にずれても触媒に吸収されている酸
素が放出され、触媒雰囲気を実質的に理論空燃比に保つ
ことができる。
排気浄化装置において、触媒の酸素ストレージ量をエン
ジンの吸入空気量と触媒に流入する排気の空燃比から算
出し、触媒の酸素ストレージ量が一定になるようにエン
ジンの空燃比制御を行い、触媒の転換効率を高く保つ技
術を提案している。
技術において、触媒下流に設けられたO2センサの出力
に基づき酸素ストレージ量の演算値を補正するようにす
れば、酸素ストレージ量の演算誤差を解消することがで
きる。例えば、O2センサ出力が所定のリッチ側スライ
スレベルとなったときは触媒の酸素ストレージ量はゼロ
になっていると考えられることから、その演算値がゼロ
になっていない場合はゼロにリセットする。
行う際のスライスレベルの設け方としては、運転条件と
無関係に一定のレベルとすることも考えられるが、本出
願人の知見によれば、排気エミッションの浄化効率はO
2センサ出力のスライスレベルの設け方によって変化
し、また、排気エミッションの浄化効率を最良とするO
2センサ出力のスライスレベルは運転条件によって、特
にエンジンの吸入空気量に応じて変化する。
ッション浄化効率との関係に着目してなされたものであ
り、酸素ストレージ量の演算の補正を行う際のO2セン
サ出力のスライスレベルを運転条件に応じて変更するこ
とにより、さらなる排気エミッション低減を図ることを
目的とする。
ンの排気浄化装置において、エンジンの吸入空気量を検
出する手段と、エンジンの排気通路に設けられた触媒
と、前記触媒に流入する排気の空燃比を検出する手段
と、前記触媒から流出する排気の酸素濃度あるいは空燃
比を検出する手段と、検出された前記触媒に流入する排
気の空燃比と前記エンジンの吸入空気量に基づき触媒の
酸素ストレージ量を演算する酸素ストレージ量演算手段
と、演算された酸素ストレージ量に基づき、前記触媒の
酸素ストレージ量が所定値となるように前記エンジンの
空燃比を制御する空燃比制御手段と、検出された前記触
媒から流出する排気の酸素濃度あるいは空燃比が所定し
きい値となったときに、前記酸素ストレージ量の演算誤
差が縮小されるように酸素ストレージ量の演算値を補正
する酸素ストレージ量補正手段と、前記所定しきい値を
吸入空気量に応じて補正するしきい値補正手段とを備え
たことを特徴とするものである。
い値補正手段が、前記所定しきい値を吸入空気量が多い
ほどリーン側に補正することを特徴とするものである。
しきい値としてリッチ側しきい値とリーン側しきい値の
少なくとも2つを有することを特徴とするものである。
い値補正手段が、前記リッチ側しきい値を吸入空気量が
多いほどリーン側に補正するものである。
いて、しきい値補正手段が、前記リーン側しきい値を吸
入空気量が多いほどリーン側に補正するものである。
い値補正手段が、前記リッチ側しきい値とリーン側しき
い値の中央値を吸入空気量が多いほどリーン側にシフト
することによって前記リッチ側しきい値とリーン側しき
い値をリーン側にシフトすることを特徴とするものであ
る。
て、酸素ストレージ量演算手段が、吸収速度が異なる高
速成分と低速成分とに分けて酸素ストレージ量を演算す
ることを特徴とするものである。
ストレージ量演算手段が、酸素吸収時、高速成分が優先
して酸素を吸収し、高速成分が酸素を吸収しきれなくな
ったら低速成分が酸素を吸収し始めるという特性に基づ
き前記触媒の酸素ストレージ量を演算することを特徴と
するものである。
ストレージ量演算手段が、酸素放出時、高速成分に対す
る低速成分の比が所定値より小さい場合は高速成分から
優先して酸素が放出されるという特性に基づき前記触媒
の酸素ストレージ量を演算することを特徴とするもので
ある。
素ストレージ量演算手段が、酸素放出時、高速成分に対
する低速成分の比が所定値より大きい場合は高速成分に
対する低速成分の比が変化しないように高速成分と低速
成分とから酸素が放出されるという特性に基づき前記触
媒の酸素ストレージ量を演算することを特徴とするもの
である。
燃比制御手段が、酸素ストレージ量のうち高速成分が所
定量となるように前記エンジンの空燃比を制御すること
を特徴とするものである。
いて、酸素ストレージ量補正手段が、前記触媒から流出
する排気の酸素濃度あるいは空燃比が前記リッチ側しき
い値になったときに高速成分及び低速成分の演算値をそ
れらの最小容量に補正する請求項3から6のいずれかひ
とつに記載のエンジンの排気浄化装置。
いて、酸素ストレージ量補正手段が、前記触媒から流出
する排気の酸素濃度あるいは空燃比が前記リーン側しき
い値になったときに高速成分の演算値をその最大容量に
補正することを特徴とするものである。
装置では、触媒に流入する排気の空燃比に基づき触媒の
酸素ストレージ量が演算され、触媒の転換効率を高める
べく酸素ストレージ量が一定となるようにエンジンの空
燃比制御が行われる。そして、触媒下流の排気の酸素濃
度あるいは空燃比が所定しきい値(スライスレベル)に
なると酸素ストレージ量の演算誤差を解消するために酸
素ストレージ量の演算値の補正が行われる。
い値の設け方によって排気エミッションの浄化効率が変
化し、排気エミッションの浄化効率を最適にする前記し
きい値は吸入空気量に応じて決定される。そのため、本
発明に係る排気浄化装置においては、前記所定しきい値
を吸入空気量に応じて補正し、排気エミッションの浄化
効率が最適となるようにする(第1の発明)。
入空気量が多くなるほど前記所定しきい値をリーン側に
補正することが考えられる(第2の発明)。所定しきい
値をリーン側に補正すれば、触媒から流出する排気がリ
ーン側にずれたときの補正(リーンリセット)が行われ
にくくなってエンジンが比較的リーン側で運転されやす
くなり、触媒から流出するNOx量を低減できる。
しきい値とリーン側しきい値との2つを設定することが
でき、この場合は吸入空気量が多くなるほどリッチ側し
きい値、リーン側しきい値あるいはその両方をリーン側
に補正する(第3から第5の発明)。補正量は両しきい
値で異ならせてもよいし同じとしてもよい。また、リッ
チ側しきい値とリーン側しきい値をある値(中央値)か
らリーン側、リッチ側に所定量離れたところに設定する
場合にはその中央値をリーン側に補正するようにしても
良い(第6の発明)。
媒の貴金属に高速で吸収/放出される特性と、触媒のセ
リア等の酸素ストレージ材に低速で吸収/放出される特
性とに分かれるが、第7から第10の発明によると、触
媒の酸素ストレージ量が実際の特性に合わせて高速成分
と低速成分とに分けて演算されるので、酸素ストレージ
量を正確に演算することができる。この結果、酸素スト
レージ量を一定にするための空燃比制御の精度が高めら
れ、触媒の転換効率を高く保つことができ、エンジンか
ら排出されるエミッションの量をより一層低減すること
ができる。
するのは主として吸収/放出速度が速い高速成分と考え
られるが、第11の発明によると高速成分が一定となる
ようにエンジンの空燃比制御が行われる。
き、触媒から流出する排気の酸素濃度あるいは空燃比が
リッチ側しきい値になると高速成分及び低速成分の演算
値をそれらの最小容量に補正し、触媒から流出する排気
の酸素濃度あるいは空燃比がリーン側しきい値になった
ときに高速成分の演算値をその最大容量に補正するよう
にすれば、それまでに蓄積された演算誤差を解消するこ
とができ、酸素ストレージ量の演算精度を一層高めるこ
とができる(第12,13の発明)。
実施の形態について説明する。
の概略構成を示し、火花点火式エンジン1の排気浄化装
置は、排気通路2に設けられた触媒3と、フロントA/
Fセンサ4と、リアO2センサ5と、コントローラ6と
を備える。
クセル操作と独立して制御可能な電子制御式スロットル
弁8と、スロットル弁8によって調整された吸入空気量
Qaを検出するエアフローメータ9とが設けられている。
また、エンジン1にはエンジン回転速度を検出するクラ
ンク角センサ12が設けられている。
囲気が理論空燃比のときにNOx、HC及びCOを最大
効率で浄化する。触媒3は触媒担体がセリア等の酸素ス
トレージ材で被覆されており、流入する排気の空燃比に
応じて酸素の吸収あるいは放出を行う機能(以下、「酸
素ストレージ機能」)を有している。
3の貴金属(Pt、Rh、Pd等)に吸収/放出される
高速成分HO2と、触媒3の酸素ストレージ材に吸収/放
出される低速成分LO2とに分けることができる。低速成
分LO2は高速成分HO2に比べて多くの酸素を吸収/放出す
ることができるが、その吸収/放出速度は高速成分HO2
に比べて遅いという特性を有している。
O2は、− 酸素吸収時は、高速成分HO2に優先して酸素が
吸収され、高速成分HO2が最大容量HO2MAXに達して酸素
を吸収しきれない状態になったら低速成分LO2に酸素が
吸収され始める。
速成分LO2の比(LO2/HO2)が所定値未満の場合、すな
わち高速成分が比較的多い場合は高速成分HO2から優先
して酸素が放出され、高速成分HO2に対する低速成分LO2
の比が所定値以上の場合は高速成分HO2に対する低速成
分LO2の比が変化しないよう高速成分HO2及び低速成分LO
2の両方から酸素が放出される。という特性を有してい
る。
センサ4は触媒3に流入する排気の空燃比をリニアに検
出し、触媒3の下流に設けられたリアO2センサ5は触
媒3下流の酸素濃度を理論空燃比に対して反転的に検出
する。なお、ここでは触媒3の下流に安価なO2センサ
を設けたが、リニアに空燃比を検出できるA/Fセンサ
を設けても良い。
する冷却水温センサ10が取り付けられており、検出さ
れた冷却水温はエンジン1の運転状態を判断するのに用
いられる他、触媒3の触媒温度を推定するのにも用いら
れる。
AM、ROM、I/Oインターフェース等で構成され、
エアフローメータ9、フロントA/Fセンサ4及び冷却
水温センサ10の出力に基づき、触媒3の酸素ストレー
ジ量(高速成分HO2及び低速成分LO2)を演算する。
ストレージ量の高速成分HO2が所定量(例えば高速成分
の最大容量HO2MAXの半分)よりも多いときはエンジン1
の空燃比をリッチ側にシフトさせて高速成分HO2を減少
させ、逆に、所定量よりも少ないときは空燃比をリーン
側にシフトさせて高速成分HO2を増大させ、酸素ストレ
ージ量の高速成分HO2が一定に保たれるようにする。
トレージ量と実際の酸素ストレージ量との間にずれが生
じるが、コントローラ6は触媒3下流の酸素濃度に基づ
き所定のタイミングで酸素ストレージ量のリセットを行
い、実際の酸素ストレージ量とのずれを修正する。
定した場合は、少なくとも高速成分HO2は最大となって
いると判断し、高速成分HO2を最大容量にリセットす
る。また、リアO2センサ5がリッチ判定した場合は、
高速成分HO2のみならず低速成分LO2からの酸素放出も行
われなくなっていることから、低速成分HO2及び高速成
分LO2を最小容量にリセットする。
リッチ判定のスライスレベル(リッチ判定しきい値RD
T、リーン判定しきい値LDT)はエンジン1の運転条件に
応じて変更され、具体的には、エンジン1の吸入空気量
Qaが多くなるほどリーン側に変更される。これは後述す
るように、設定するスライスレベルによって触媒3で浄
化されずに触媒3をそのまま通過する排気エミッション
の量、すなわち排気エミッションの浄化効率が変化する
ことから、排気エミッションの浄化効率を最適にするス
ライスレベルを設定するためである。
詳しく説明する。
ついて説明し、その後で、酸素ストレージ量のリセッ
ト、酸素ストレージ量に基づくエンジン1の空燃比制御
について説明する。
るためのルーチンの内容を示し、コントローラ6におい
て所定時間毎に実行される。
転パラメータとして、代表的に冷却水温センサ10、ク
ランク角センサ12、エアフローメータ9の出力が読み
込まれ、触媒3の温度TCATがそれらに基づき推定される
(ステップS1、S2)。そして、推定された触媒温度
TCATと触媒活性温度TACToとを比較することによって触
媒3が活性化したか否かが判断される(ステップS
3)。
ると判断された場合は触媒3の酸素ストレージ量の演算
を行うべくステップS4以降に進む。触媒活性温度TACT
oに達しないと判断された場合は、触媒3は酸素の吸収
/放出作用を行わないとして処理を終了する。
するためのサブルーチン(図3)が実行されて触媒3に
流入する排気中の酸素過不足量O2INが演算され、ステッ
プS5では酸素ストレージ量の高速成分の酸素放出率A
を演算するためのサブルーチン(図4)が実行され、高
速成分の酸素放出率Aが演算される。
量の高速成分HO2を演算するためのサブルーチン(図
5)が実行され、酸素過不足量O2INと高速成分の酸素放
出率Aに基づき高速成分HO2及び高速成分HO2で吸収され
ずに低速成分LO2に溢れるオーバーフロー分OVERFLOWが
演算される。
れたオーバーフロー分OVERFLOWに基づき触媒3に流入す
る排気中の酸素過不足量O2INが全て高速成分HO2で吸収
されたか否かを判断する。そして、酸素過不足量O2INが
高速成分で完全に吸収された場合(OVERFLOW=0)は処
理を終了するが、そうでない場合はステップS8へ進ん
で低速成分LO2を演算するためのサブルーチン(図6)
が実行され、高速成分HO2から溢れ出たオーバーフロー
分OVERFLOWに基づき低速成分LO2が演算される。
の冷却水温、エンジン負荷、エンジン回転数から推定す
るようにしているが、図1に示すように触媒3に温度セ
ンサ11を取り付け、触媒3の温度を直接測定するよう
にしてもよい。
温度TACToよりも低いときは酸素ストレージ量を演算し
ないようにしているが、ステップS3を無くして、触媒
温度TCATの影響を高速成分の酸素放出率Aや後述する低
速成分の酸素吸収放出率Bに反映するようにしても良
い。
8で実行されるサブルーチンについて説明する。
足量O2INを演算するためのサブルーチンの内容を示す。
このサブルーチンでは触媒3上流の空燃比とエンジン1
の吸入空気量に基づき触媒3に流入する排気の酸素過不
足量O2INが演算される。
サ出力とエアフローメータ出力が読み込まれる(ステッ
プS11)。
A/Fセンサ出力を所定の変換テーブルを用いて空燃比
に変換し、触媒3に流入する排気の過不足酸素濃度を演
算する。ここで過不足酸素濃度とは理論空燃比時の酸素
濃度を基準とした相対的な濃度で、排気が理論空燃比で
ゼロ、リッチで負、リーンで正の値をとる。
を所定の変換テーブルを用いて吸入空気量に変換し、ス
テップS14ではステップS13で演算した吸入空気量
にステップS12で演算した過不足酸素濃度を乗じて触
媒3に流入する排気の過不足酸素量O2INを演算する。
ら、過不足酸素量O2INは、触媒3に流入する排気が理論
空燃比のときゼロ、リッチのとき負、リーンのとき正の
値をとる。
分の酸素放出率Aを演算するためのサブルーチンの内容
を示す。このサブルーチンでは高速成分HO2の酸素放出
速度が低速成分LO2の影響を受けることから、低速成分L
O2に応じて高速成分の酸素放出率Aが演算される。
速成分の高速成分に対する比LO2/HO2が所定値ARより大
きいか否かが判断される。
さいと判断された場合、すなわち、高速成分HO2が低速
成分LO2に対して比較的多い場合はステップS22へ進
み、高速成分HO2から酸素が優先して放出されるとして
高速成分の酸素放出率Aに1.0がセットされる。
大きいと判断された場合は、高速成分HO2に対する低速
成分LO2の比が変化しないよう高速成分HO2及び低速成分
LO2から酸素が放出されるので、ステップS23へ進ん
で高速成分の酸素放出率Aとして比LO2/HO2が変化しない
ような値が演算される。
分HO2を演算するためのサブルーチンの内容を示す。こ
のサブルーチンでは触媒3に流入する排気の酸素酸素過
不足量O2INと高速成分の酸素放出率Aに基づき高速成分H
O2の演算が行われる。
酸素過不足量O2INの値に基づき高速成分HO2が酸素を吸
収する状態にあるか、あるいは酸素を放出する状態にあ
るかが判断される。
がリーンであって、酸素過不足量O2INがゼロより大きい
場合、高速成分HO2が酸素を吸収する状態にあると判断
してステップS32に進み、次式(1)、 HO2 = HO2z + O2IN ・・・・・(1) HO2z:高速成分HO2の前回値 により高速成分HO2が演算される。
で、高速成分が酸素を放出する状態にあると判断された
場合はステップS33に進み、次式(2)、 HO2 = HO2z + O2IN × A ・・・・・(2) A:高速成分HO2の酸素放出率 により高速成分HO2が演算される。
ら、ステップS34、S35でその値が高速成分の最大
容量HO2MAXを超えていないか、あるいは最小容量HO2MIN
(=0)以下になっていないかが判断される。
上になっている場合はステップS36に進み、高速成分
HO2に吸収されずに溢れ出るオーバーフロー分(過剰
量)OVERFLOWが次式(3)、 OVERFLOW = HO2 − HO2MAX ・・・・・(3) により演算され、さらに、高速成分HO2が最大容量HO2MA
Xに制限される。
になっている場合はステップS37に進み、高速成分HO
2に吸収されずに溢れ出るオーバーフロー分(不足量)O
VERFLOWが次式(4)、 OVERFLOW = HO2 − HO2MIN ・・・・・(4) により演算され、さらに、高速成分HO2が最小容量HO2MI
Nに制限される。なお、ここでは最小容量HO2MINとして
ゼロを与えているから高速成分HO2を全て放出した状態
で不足する酸素量が負のオーバーフロー分として算出さ
れることになる。
小容量HO2MINの間にあるときは、触媒3に流入した排気
の酸素過不足量O2INは全て高速成分HO2に吸収されるの
で、オーバーフロー分OVERFLOWにはゼロが設定される。
上あるいは最小容量HO2MIN以下となって高速成分HO2か
ら溢れ出たオーバーフロー分OVERFLOWは低速成分LO2で
吸収あるいは放出される。
LO2を演算するためのサブルーチンの内容を示す。この
サブルーチンでは高速成分HO2から溢れ出たオーバーフ
ロー分OVERFLOWに基づき低速成分LO2が演算される。
分LO2が次式(5)、 LO2 = LO2z + OVERFLOW × B ・・・・・(5) LO2z:低速成分LO2の前回値 B:低速成分の酸素吸収放出率 により演算される。ここで低速成分の酸素吸収放出率B
は1以下の正の値に設定されるが、実際には吸収と放出
で異なる特性を有し、また、実際の吸収放出率は触媒温
度TCAT、低速成分LO2等の影響を受けるので、吸収率と
放出率をそれぞれ分離して可変に設定するようにしても
良い。その場合、オーバーフロー分OVERFLOWが正である
とき、酸素が過剰であり、このときの酸素吸収率Bは、
例えば、触媒温度TCATが高いほど、また低速成分LO2が
小さいほど大きな値に設定される。また、オーバーフロ
ー分OVERFLOWが負であるとき、酸素が不足しており、こ
のときの酸素放出率Bは例えば、触媒温度TCATが高いほ
ど、また低速成分LO2が大きいほど大きな値に設定され
る。
2の演算時と同様に、演算された低速成分LO2がその最大
容量LO2MAXを超えていないか、あるいは最小容量LO2MIN
(=0)以下になっていないかが判断される。
合はステップS44に進み、低速成分LO2から溢れる酸
素過不足量O2OUTが次式(6)、 O2OUT = LO2 − LO2MAX ・・・・・(6) により演算されて低速成分LO2が最大容量LO2MAXに制限
される。酸素過不足量O2OUTはそのまま触媒3の下流に
流出する。
テップS45へ進み、低速成分LO2が最小容量LO2MINに
制限される。
ジ量のリセットについて説明する。酸素ストレージ量の
リセットを実行することにより、それまでに蓄積された
演算誤差が解消され、酸素ストレージ量の演算精度を高
めることが可能となる。
を示す。このルーチンは、触媒3下流の酸素濃度から酸
素ストレージ量(高速成分HO2及び低速成分LO2)のリセ
ット条件が成立したか否かを判定し、フラグFrich及び
フラグFleanのセットを行うものである。
度を検出するリアO2センサ5の出力RO2が読み込まれる
(ステップS51)。そして、リアO2センサ出力RO2と
リーン判定しきい値LDT、リッチ判定しきい値RDTとの比
較が行われる(ステップS52、S53)。
ン判定しきい値LDTを下回っていた場合はステップS5
4に進んでフラグFleanに酸素ストレージ量のリーンリ
セット条件が成立したことを示す「1」が設定される。
また、リアO2センサ出力RO2がリッチ判定しきい値RDT
を上回っていた場合はステップS55に進んでフラグFr
ichに酸素ストレージ量のリッチリセット条件が成立し
たことを示す「1」が設定される。
値LDTとリッチ判定しきい値RDTの間にあるときはステッ
プS56に進んで、フラグFlean及びFrichにリーンリセ
ット条件、リッチリセット条件が不成立であることを示
す「0」が設定される。
Qaに応じて設定される。これは排気エミッションを低減
するのに最適なしきい値がエンジン1の吸入空気量Qaに
応じて変化するからである。
い値RDTとNOx流出率(=触媒に流入するNOx量に
対する触媒から流出するNOx量の割合)との関係を示
したものである。これに示されるように、目標とするN
Ox流出率(例えば3%)を実現するリッチ判定しきい
値RDTは吸入空気量Qaが多くなるほどリーン側になる。
すれば酸素ストレージ量の演算値を最小容量とするリッ
チリセットが行われやすくなり、リッチリセット後は酸
素ストレージ量が増加するように比較的リーン側の空燃
比で運転される。
するNOx流出率を実現する値よりもリッチ側にずらせ
ばNOx流出率をさらに下げることができるが(図8参
照)、この場合はHC、COの流出率が上がってしま
い、全体としては排気エミッションの増加となってしま
う可能性がある。
関係も図8に示した特性と略同じ特性となり、目標とす
るNOx流出率を実現するのに最適なリーン判定しきい
値LDTは吸入空気量が多くなるほどリーン側になる。
すれば酸素ストレージ量の演算値を最大容量にリセット
するリーンリセットが行われにくくなる。リーンリセッ
ト後は最大容量とされた酸素ストレージ量を減少させる
ようにリッチ空燃比運転が行われるため、このようにリ
ーンリセットが行われにくくすることにより間接的にエ
ンジン1の運転が比較的リーン側で行われやすくするこ
とができる。
チンを示したものである。
が読み込まれ(ステップS58)、図10に示すテーブ
ルを参照してこの吸入空気量Qaに応じたリッチ判定しき
い値RDTが設定される(ステップS59)。これによ
り、リッチ判定しきい値RDTを、吸入空気量Qaが多くな
るほどリーン側の値に、逆に、吸入空気量Qaが少なくな
るほどリッチ側の値に設定することができる。
図9に示した処理と同様の処理であり、その際には図1
0に示したテーブルと同様の特性のテーブルを参照して
リーン判定しきい値LDTが設定される。これにより、リ
ーン判定しきい値LDTを、吸入空気量Qaが多くなるほど
リーン側の値に、吸入空気量Qaが少なくなるほどリッチ
側の値に設定することができる。
T、リーン判定しきい値LDTをそれぞれ別のルーチンによ
り設定しているが、図9に示したのと同様の設定ルーチ
ンにより、両判定しきい値の中央値を吸入空気量Qaに応
じて設定しておき、この中央値に固定値である所定値d
を加えた値をリッチ判定しきい値RDT、減じた値をリー
ン判定しきい値LDTとしてもよい。中央値と吸入空気量Q
aとの関係は図10に示した特性と同様であり、中央
値、判定しきい値RDT及びLDTは吸入空気量Qaが多くなる
ほどリーン側に補正される。上記所定値dは固定値であ
るので、中央値が変化しても両判定しきい値RDT、LDTの
間隔は常に一定となる。
うためのルーチンの内容を示す。
フラグFlean及びFrichの値の変化に基づきリーンリセッ
ト条件あるいはリッチリセット条件が成立したか否かが
判断される。
に変化し、リーンリセット条件が成立したと判断された
場合はステップS63に進み、酸素ストレージ量の高速
成分HO2が最大容量HO2MAXにリセットされる。このと
き、低速成分LO2のリセットは行わない。一方、フラグF
richが「0」から「1」に変化し、リッチリセット条件
が成立したと判断された場合はステップS64に進み、
酸素ストレージ量の高速成分HO2及び低速成分LO2がそれ
ぞれ最小容量HO2MIN、LO2MINにリセットされる。
速成分LO2の酸素吸収速度が遅いため、高速成分HO2が最
大容量に達すると低速成分LO2が最大容量に達していな
くても酸素が触媒下流に溢れることから、触媒下流がリ
ーンになった時点では少なくとも高速成分HO2は最大容
量になっていると考えられるからである。
緩やかに酸素を放出する低速成分LO2からも酸素が放出
されていないといえ、高速成分HO2、低速成分LO2共に酸
素を殆ど保持しておらず最小容量になっていると考えら
れるからである。
(酸素ストレージ量一定制御)について説明する。
を演算するルーチンの内容を示す。
ジ量の高速成分HO2が読み込まれ(ステップS71)、
現在の高速成分HO2と高速成分の目標値TGHO2の偏差DHO2
(=触媒3が必要としている酸素過不足量)が演算され
る(ステップS72)。高速成分の目標値TGHO2は、例
えば高速成分の最大容量HO2MAXの半分に設定される。
差DHO2が空燃比相当の値に換算され、エンジン1の目標
空燃比が設定される。
ストレージ量の高速成分HO2が目標とする量に満たない
場合はエンジン1の目標空燃比がリーン側に設定され、
酸素ストレージ量(高速成分HO2)の増大が図られる。
これに対し、高速成分HO2が目標とする量を超えている
場合はエンジン1の目標空燃比がリッチ側に設定され、
酸素ストレージ量(高速成分HO2)の減少が図られるこ
とになる。
作用について説明する。
ンジン1が始動されると触媒3の酸素ストレージ量の演
算が開始され、触媒3の転換効率を最大に保つべく、触
媒3の酸素ストレージ量が一定となるようにエンジン1
の空燃比制御が行われる。
空燃比、エンジン1の吸入空気量に基づき触媒3の酸素
ストレージ量を推定演算するが、酸素ストレージ量の演
算は実際の特性に合わせて高速成分HO2と低速成分LO2と
に分けて行われる。
が優先して吸収し、高速成分HO2が吸収しきれない状態
となったら低速成分LO2が吸収し始めるとして演算が行
われる。また、酸素放出時は、低速成分LO2と高速成分H
O2の比(LO2/HO2)が一定割合AR以下の場合は高速成分H
O2から優先して酸素が放出されるとし、比LO2/HO2が一
定割合になったらその比LO2/HO2を保つように低速成分L
O2と高速成分HO2の両方から酸素が放出されるとして演
算が行われる。
速成分HO2が目標値よりも多いときは、コントローラ6
はエンジン1の空燃比をリッチ側に制御して高速成分HO
2を減少させ、目標値よりも少ないときは空燃比をリー
ン側に制御して高速成分HO2を増大させる。
2が目標とする値に保たれるので、触媒3に流入する排
気の空燃比が理論空燃比からずれたとしても、応答性の
高い高速成分HO2から直ちに酸素が吸収あるいは放出さ
れて触媒雰囲気が理論空燃比方向に修正され、触媒3の
転換効率が最大に保たれる。
酸素ストレージ量が実際の酸素ストレージ量とずれてく
るが、触媒3下流がリッチあるいはリーンになったタイ
ミングで酸素ストレージ量(高速成分HO2及び低速成分L
O2)のリセットが行われ、演算値と実際の酸素ストレー
ジ量とのずれが修正される。
行ったときの高速成分HO2の変化の様子を示したもので
ある。この場合、時刻t1では、リアO2センサ5の出力
がリーン判定しきい値より小さくなりリーンリセット条
件が成立するので、高速成分HO2が最大容量HO2MAXにリ
セットされる。ただし、このとき低速成分LO2は最大に
なっているとは限らないので低速成分LO2のリセットは
行われない。
力がリッチ判定しきい値より大きくなりリッチリセット
条件が成立するので、酸素ストレージ量の高速成分HO2
が最小容量(=0)にリセットされる。このとき低速成
分LO2も最小容量にリセットされる(図示せず)。
あるいはリーンになったタイミングで酸素ストレージ量
のリセットが行われ、実際の酸素ストレージ量とのずれ
が修正される結果、触媒の酸素ストレージ量の演算精度
がさらに向上し、酸素ストレージ量を一定に保つための
空燃比制御の精度も高められて触媒の転換効率を高く維
持することができる。
ど上記定しきい値RDT、LDT(あるいはそれらの中央値)
をリーン側に変更するようにしたことにより、吸入空気
量Qaが多いときはリッチリセットが行われやすくなると
ともに、リーンリセットが行われにくくなって、エンジ
ン1の運転が比較的リーン側で行われやすくなる。この
ようにエンジン1の運転が比較的リーン側で行われやす
くすることによって排気エミッションの浄化効率を最適
にすることができる。
る。
チンの内容を示したフローチャートである。
ためのサブルーチンの内容を示したフローチャートであ
る。
ーチンの内容を示したフローチャートである。
サブルーチンの内容を示したフローチャートである。
サブルーチンの内容を示したフローチャートである。
ローチャートである。
示した特性図である。
ローチャートである。
きい値を設定するためのテーブルである。
ーチンの内容を示したフローチャートである。
ルーチンの内容を示したフローチャートである。
子を示したタイムチャートである。
Claims (13)
- 【請求項1】エンジンの吸入空気量を検出する手段と、 エンジンの排気通路に設けられた触媒と、 前記触媒に流入する排気の空燃比を検出する手段と、 前記触媒から流出する排気の酸素濃度あるいは空燃比を
検出する手段と、 検出された前記触媒に流入する排気の空燃比と前記エン
ジンの吸入空気量に基づき触媒の酸素ストレージ量を演
算する酸素ストレージ量演算手段と、 演算された酸素ストレージ量に基づき、前記触媒の酸素
ストレージ量が所定値となるように前記エンジンの空燃
比を制御する空燃比制御手段と、 検出された前記触媒から流出する排気の酸素濃度あるい
は空燃比が所定しきい値となったときに、前記酸素スト
レージ量の演算誤差が縮小されるように酸素ストレージ
量の演算値を補正する酸素ストレージ量補正手段と、 前記所定しきい値を吸入空気量に応じて補正するしきい
値補正手段と、を備えたことを特徴とするエンジンの排
気浄化装置。 - 【請求項2】前記しきい値補正手段は、前記所定しきい
値を吸入空気量が多いほどリーン側に補正することを特
徴とする請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項3】所定しきい値としてリッチ側しきい値とリ
ーン側しきい値の少なくとも2つを有することを特徴と
する請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項4】前記しきい値補正手段は、前記リッチ側し
きい値を吸入空気量が多いほどリーン側に補正する請求
項3に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項5】前記しきい値補正手段は、前記リーン側し
きい値を吸入空気量が多いほどリーン側に補正する請求
項3または4に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項6】前記しきい値補正手段は、前記リッチ側し
きい値とリーン側しきい値の中央値を吸入空気量が多い
ほどリーン側にシフトすることによって前記リッチ側し
きい値とリーン側しきい値をリーン側にシフトすること
を特徴とする請求項3に記載のエンジンの排気浄化装
置。 - 【請求項7】前記酸素ストレージ量演算手段は、吸収速
度が異なる高速成分と低速成分とに分けて酸素ストレー
ジ量を演算することを特徴とする請求項1から6のいず
れかひとつに記載のエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項8】前記酸素ストレージ量演算手段は、酸素吸
収時、高速成分が優先して酸素を吸収し、高速成分が酸
素を吸収しきれなくなったら低速成分が酸素を吸収し始
めるという特性に基づき前記触媒の酸素ストレージ量を
演算することを特徴とする請求項7に記載のエンジンの
排気浄化装置。 - 【請求項9】前記酸素ストレージ量演算手段は、酸素放
出時、高速成分に対する低速成分の比が所定値より小さ
い場合は高速成分から優先して酸素が放出されるという
特性に基づき前記触媒の酸素ストレージ量を演算するこ
とを特徴とする請求項7に記載のエンジンの排気浄化装
置。 - 【請求項10】前記酸素ストレージ量演算手段は、酸素
放出時、高速成分に対する低速成分の比が所定値より大
きい場合は高速成分に対する低速成分の比が変化しない
ように高速成分と低速成分とから酸素が放出されるとい
う特性に基づき前記触媒の酸素ストレージ量を演算する
ことを特徴とする請求項7に記載のエンジンの排気浄化
装置。 - 【請求項11】前記空燃比制御手段は、酸素ストレージ
量のうち高速成分が所定量となるように前記エンジンの
空燃比を制御する請求項7に記載のエンジンの排気浄化
装置。 - 【請求項12】前記酸素ストレージ量補正手段は、前記
触媒から流出する排気の酸素濃度あるいは空燃比が前記
リッチ側しきい値になったときに高速成分及び低速成分
の演算値をそれらの最小容量に補正することを特徴とす
る請求項3から6のいずれかひとつに記載のエンジンの
排気浄化装置。 - 【請求項13】前記酸素ストレージ量補正手段は、前記
触媒から流出する排気の酸素濃度あるいは空燃比が前記
リーン側しきい値になったときに高速成分の演算値をそ
の最大容量に補正することを特徴とする請求項3から6
のいずれかひとつに記載のエンジンの排気浄化装置。
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