JP2005112642A - 単結晶セラミックス粒子の製造方法 - Google Patents

単結晶セラミックス粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 単結晶粒子を低コストで大量に製造することのできる単結晶セラミックス粒子の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 バーナからの燃焼炎で原料粉体を溶融させて球状化した後に、得られた球状粉体を熱処理(アニール)することにより、単結晶球状粒子を得るようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、単結晶セラミックス粒子の製造方法に関する。
従来、誘電体粒子や磁性フェライト粒子等のセラミックス粒子が多くの分野で使用されている。例えば誘電体粒子として、チタン酸バリウムや酸化チタン等は誘電性、圧電性および焦電性に優れ、磁器コンデンサやフィルタ、センサ等の材料として用いられている。
セラミックス粒子を磁器コンデンサ用の材料として使用する場合、誘電率が高く、損失の小さいものが望まれる。また磁性フェライト材料として使用する場合は、損失が小さく、透磁率がフラットに高周波域まで伸びているものが望まれる。これら特性はセラミックス粒子の形状、粒径、純度、反応性等の物性に依存する。例えば、セラミックス粒子が多結晶や不定形の粒子であると、局部的異常粒成長を起こし、あるいは組成の不均一を生じやすくなり、磁気的特性や電気的特性の劣化を招くことになる。したがってセラミックス粒子は結晶粒界や不純物を有せず、単相であり、また単結晶であることが好ましい。また、さらに優れた特性を得るため、セラミックス粒子は2種類以上の金属と酸素の化合物であることが好ましい。
しかし、優れた特性を有するセラミックス粒子は製造することが難しい。例えば固相反応法では、最終生成物の組成に対応した金属酸化物の混合粒子を空気中や不活性ガス中で焼成することにより、2種類以上の金属と酸素の化合物である金属酸化物の誘電体を得ることができるが、単相の粒子を得ることが難しい。また、共沈法等の液相法では、金属塩の水溶液或いは有機溶媒溶液から水和物などの金属酸化物の前駆体(一次粒子)を製造し、この前駆体を空気中や不活性ガス中で焼成してセラミックス粒子を得る。しかし、結晶性に優れた誘電体粒子を得ることは難しく、また金属酸化物の前駆体の結合が強く最終的に大きな塊として得られるため、誘電体粒子を得るためには焼成後の誘電体を粉砕しなければならない。このようにして得られる粒子では、個々の粒子の形状が不定形であり、また粒度分布も広いものとなり、さらに不純物が混入する可能性も高い。
そこで、粒子の形状や粒度分布を改良した水熱合成法や気相反応法等も提案されているが、いずれも生産性やコストの点で工業的に効率的に製造することは困難である。また特許文献1には、溶液に原料を溶解させたものを加水分解や共沈法等により酸化物の微粒子を形成し、微粒子を熱処理して結晶化および粒子の成長を促し、さらに得られたものに含まれるガラスを溶解除去し、粒径の揃った単結晶セラミックス粒子を得る方法が開示されている。しかし、この方法では工程が複雑であり、工業的に量産するのが困難である。
また特許文献2には、平均粒径が10μm以下のチタン酸バリウムを1618℃未満1200℃以上で焼結させて、単結晶のチタン酸バリウムを得る方法が開示されている。この方法では、チタン酸バリウムの融点より低い温度で、焼結時に温度勾配を付けて異常粒成長をさせ、単結晶のチタン酸バリウムを形成している。しかし、この方法では、得られるチタン酸バリウムの粒径が500μm程度と大きく、微粒子を得るものではない。また単結晶は多結晶体中に含有された状態で得られるので、粒子形状が不規則であり、単結晶を取り出すには多結晶体を濃塩酸中に浸漬させて多結晶部分を溶解する工程が必要である。
ところで、セラミックス粒子は、粒子のみを単体として利用する場合もあるが、樹脂材料と複合化した複合材料として利用することもある。複合材料として用いられるセラミックス粒子には、樹脂材料に対する分散性、充填性が要求される。樹脂材料に対する分散性、充填性を確保するための一つの要素として、粒子を構成する微粒子の粒径がある。
しかし、前記した共沈法で得られるセラミックス粒子は粒径が微細すぎて樹脂材料に対する分散性、充填性を確保することができない。また、前記した液相法により得られたセラミックス粒子は、粉砕により得られるものであるため粒子の形態が不定形となり、樹脂材料に対する分散性、充填性を確保することができない。また前記特許文献2に記載の単結晶のチタン酸バリウムは粒径が大きいので、高い充填性を得ることが難しい。
そこで本出願人は、優れた特性を有する球状の単結晶セラミックス粒子を得るために、セラミックス成分からなる粉体をキャリアガスとともに加熱処理領域に供給する粉体供給工程と、加熱処理領域に供給された粉体を当該粉体の融点以上に加熱する加熱処理工程と、加熱処理工程で得られた生成物を冷却することにより単結晶セラミックス粒子を得る冷却工程とを備える製造する方法を先に提案している(特許文献3参照。)。
特開平7−33579号公報 特開平9−263496号公報 特許第3423303号公報
特許文献3にて提案した方法は、樹脂材料への分散性、充填性に優れた球状の単結晶セラミックス粒子を容易に得るために好適な方法であり、このような方法が提案されることで、単結晶セラミックス粒子を、実験レベルから大量生産レベルで製造するための方向性が見出されたと言える。しかし、本発明者等の検討によると、当該方法で得られた球状の粒子の中には、非晶質状態の粒子が含まれることがあることが確認され、依然として、単結晶セラミックス粒子を安定して大量製造を実現できるレベルには至っていないのが実状である。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、単結晶セラミックス粒子を低コストで大量に製造することのできる単結晶セラミックス粒子の製造方法を提供することを目的としている。
前述した特許文献3にて提案した方法の特徴は、出発原料粉体に加熱領域にて融点以上の熱エネルギーを与え、一度、結晶性を壊すことにある。したがって、原料粉体がたとえ、不定形な一塊の破粉粒、微粒子が凝集した形の顆粒であったとしても、それを溶融させることにより一粒(球状)の液滴を作製し、表面張力によって球状となり、球状のまま冷却領域へ運ばれることで真球状に再結晶した単結晶セラミックス粒子が得られることを説明している。特許文献3においては、加熱温度が融点よりも低い場合、例えば、不定形な一塊の粉砕粉であれば不定形のまま、微粒子が凝集した形の顆粒であれば、加熱領域を通過後、中空孔および各粒子が凝集したセラミックス粒子が形成されると説明がなされている。
本出願人がさらなる検討を重ねたところ、出発原料粉体の性状によっては、加熱温度が融点未満の場合であっても単結晶の粒子を得ることができることを確認した。
このような知見に基づき、本出願人は、原料粉体をキャリアガスとともに加熱処理領域に供給し、加熱処理領域に供給された原料粉体に最終的に作製したいセラミックスの融点未満であってかつ当該融点−200℃以上の温度の加熱処理を施し、この加熱処理で得られた生成物を冷却する単結晶セラミックス粒子の製造方法を既に提案している(特願2003−94311号)。
この方法では、原料粉体に最終的に作製したいセラミックスの融点未満であってかつ当該融点−200℃以上の温度で加熱処理するために、電気炉を用いている。この場合、原料粉体がキャリアガスによって電気炉の入口から出口まで移動する間に加熱処理を行い、単結晶化を図ろうとしている。したがって、原料粉体の昇温、溶融、冷却、単結晶化といった工程の全てを、原料粉体が電気炉の入口から出口まで移動する間に完了する必要がある。ところが、原料粉体が溶融した後の冷却工程において、臨界冷却速度を超えると単結晶化しないという制約がある。これにより、電気炉の入口から出口までの距離が短い場合には、昇温、冷却といった工程をゆっくり行わなければならず、生産性を向上させることが困難である。もちろん、電気炉の入口から出口までの距離を長くすれば良いが、その場合には電気炉が大型化し、設備コストが大幅に上昇してしまう。
生産性を上げるには、単位時間当りに投入する原料粉体の量を増やすことも考えられるが、キャリアガスの中に浮遊する粒子の数がある限界を超えると、粒子どうしが接触した際に凝集し、粒子が巨大化したり、炉内に落下してしまうことがある。このため、単位時間当りに投入する原料粉体の量、つまり濃度を上げるにも限界がある。
これらの要因から、電気炉を用いて加熱処理を行った場合には、現状では1時間当り数グラムの単結晶セラミックス粒子を得るのが限界であり、単結晶セラミックス粒子を低コストで大量に製造しようとするのは依然として障害があるのが実状である。
これに対してなされた、本発明の単結晶セラミックス粒子の製造方法は、原料粉体の少なくとも一部を溶融した後、凝固させて凝固物粒子を得る溶融凝固工程と、凝固物粒子を熱処理し、単結晶セラミックス粒子を得る熱処理工程と、を備えることを特徴とする。このように、原料粉体の一部を溶融凝固させる工程と、その後に熱処理する工程とで、2回熱を加えるのである。ここで、溶融凝固工程では、原料粉体の一部を溶融させることで、その中心部に結晶質部分を残し、その外周部に非晶質部分が形成された凝固物粒子を得ることができる。これにより、その後の熱処理工程で、中心部の結晶質部分の結晶が成長し、冷却工程を経ることで単結晶セラミックス粒子を得ることができる。
また、溶融凝固工程では、原料粉体を完全に溶融させ、溶融後の凝固過程で少なくとも一部を結晶化させた凝固物粒子を得ることもできる。
溶融凝固工程では、バーナで発生する燃焼炎中に原料粉体をキャリアガスとともに供給することで原料粉体の一部を溶融するのが好ましく、燃焼炎温度T1を、原料粉体の融点Tmに対し、T1≦Tmとするのが好ましい。
一方、熱処理工程では、熱処理温度T2を、燃焼炎温度T1に対し、T2≦T1とするのが好ましい。
なお、溶融凝固工程では、バーナに限らず、電気炉等の加熱炉を用いることも可能である。その場合も、加熱溶融領域を非常に短時間で通り抜け、原料粉体の少なくとも一部を溶融し、凝固させればよいので、昇温、溶融、冷却、単結晶化までを行う場合に比較すれば、処理をより短時間で行うことが可能である。
本発明の単結晶セラミックス粒子の製造方法は、結晶質部分の周囲に非晶質部分を有した粒子を形成する粒子形成工程と、熱処理により粒子の結晶質部分の結晶を成長させ、単結晶セラミックス粒子を得る結晶成長工程と、を備えることもできる。
粒子形成工程では、原料粉体の少なくとも一部を溶融した後に凝固させることで粒子を形成するのが好ましい。
また、粒子形成工程では、料粉体の融点Tmに対し、0.75≦T3/Tm≦1.20となる温度T3で原料粉体の少なくとも一部を溶融するのが良い。このとき、粒子形成工程では、バーナで発生する燃焼炎中に原料粉体をキャリアガスとともに供給することで原料粉体の少なくとも一部を溶融し、かつ原料粉体の搬送速度を5〜50m/secとするのが好ましい。
さらに、結晶成長工程では、原料粉体の融点Tmに対し、0.45≦T4/Tm≦0.75となる温度T4で熱処理するのが好ましい。
本発明の単結晶セラミックス粒子の製造方法は、バーナで、バーナの燃焼炎温度よりも高い融点を有した原料粉体を溶融し、球状化した球状粉体を得る工程と、球状粉体をアニールし、単結晶セラミックス粒子を得る工程と、を備えることを特徴とすることもできる。
本発明によれば、例えばバーナからの燃焼炎で原料粉体を溶融させて球状化した後に、得られた処理粉体を熱処理することにより、球状の単結晶セラミックス粒子を得ることができる。このとき、少なくともその一部が溶融した処理粉体を熱処理し、単結晶化を図ればよいので、従来の単結晶粒子製造法に比べ、生産能力が非常に高く、また生産コストも低いので、単結晶セラミックス粒子を大量に製造することが可能となる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
本発明による単結晶セラミックス粒子の製造工程概略の一例を図1に基づき説明する。図1に示すように、本発明の製造方法は、原料を粉砕して原料粉体を得る。次いで、原料粉体をバーナで溶融して球状化し、球状粉体を得た後、この球状粉体を熱処理する。なお、ここでは原料粉体に粉砕粉を用いる例を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、原料を顆粒化し、これを原料粉体とする場合等をも含む。
まず、原料粉体生成工程において、セラミックス成分からなる原料より原料粉体を形成する。原料粉体生成工程では、セラミックス成分からなる原料を粉砕し、好ましくは平均粒径が5μm以下となるように調整する。この粒径は、最終的に得られる単結晶セラミックス粒子の粒径を左右するだけではなく、このような粒径の原料粉体を用いることにより、単結晶セラミックス粒子の品質を優れたものとすることができる。粉砕方法は特に限定されないが、例えばボールミル等を使用することができる。
本発明におけるセラミックス成分とは、セラミックスとして認識される酸化物、窒化物、炭化物等の化合物を包含している。また、単一のセラミックスのみならず、複数のセラミックスの混合体、複合酸化物、複合窒化物等の複合化合物をも包含している。セラミックス成分の具体例として、誘電体材料や磁性材料がある。
誘電体材料としては、ABO3で表されるものを主剤とすることが好ましく、AはCa、Sr、Ba、Mgの中から選ばれた一種または二種以上のアルカリ土類元素、BはTi、Zrの中から選ばれた一種または二種以上の元素とすることができる。また、上記主剤に加え、Mn、Si、希土類、V、Ni、Ag、Cu、Fe、Li、Nb、Ta、Cr、Sc、Bi、Pbから選ばれた一種または二種以上の酸化物を含むこともできる。
なお、これらセラミックス成分を構成する原料粉体は、市販されているセラミックス微粒子、例えば、金属塩から作製した金属酸化物粒子(湿式沈殿法、噴霧熱分解法、スプレー法等による粒子)を使用することもでき、その他、セラミックス成分を形成するための組成物や材料を焼成することによって原料粉体を得ることができる。その中でも、溶液による出発原料を用いることにより、粉砕工程を経て得られる粒子よりも粒子の粒度分布をシャープに作製できる。例えば、炭酸バリウムと酸化チタンを混合して顆粒を得て、この顆粒を適当な大きさに粉砕したものを焼成して反応させることによりセラミックス成分(原料粉体)としてのチタン酸バリウムを得ることができる。
原料粉体としては、固相法により仮焼した後に粉砕した粉砕粉、溶液法から得た粒子のいずれであってもよい。ただし、活性度が高いことが望ましい。融点未満の温度で粒子の一部を溶融させるのに有利であるためである。
以上の原料粉体は、キャリアガスとともに球状化処理工程に供給する。
本実施の形態では、上記のようにして生成された原料粉体に対し、その流動性を高めるための処理剤や添加剤を添加した後、この原料粉体を球状化処理装置に供給し、バーナの燃焼炎中に投入することで、球状粉体を得る。また、燃焼炎を生じさせるバーナに、原料粉体の凝集を解砕するための機構を設ける構成とすることが望ましい。
原料粉体に処理剤を添加する場合、用いる処理剤としては、分散材、表面処理材として用いられる高級脂肪酸、もしくはその誘導体、高級炭化水素、高級アルコール等のワックス類、およびシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等があるが、この中でも、カップリング剤が好ましく、特にシランカップリング剤が好適である。
シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、具体的にはGE東芝シリコーン株式会社製のTSL−8113(商品名)が好適である。ここで、添加剤の原料粉体に対する添加量は、粉体の比表面積にもよるが、平均粒径1〜5μmの粉体では、0.5重量%以上、さらには0.5重量%以上1.5重量%以下とするのが好ましい。
上記のようにして、処理剤や添加剤が添加された原料粉体は、図2に示すような球状化処理装置10に供給され、球状化処理がなされる。ここで、球状化処理装置10の構成について説明する。なお、以下に説明する球状化処理装置10の構成はあくまで一例であり、適宜他の構成を採用することが可能である。
図2に示すように、球状化処理装置10は、チャンバ20、チャンバ20の上部に設けられたバーナ30を有する。チャンバ20の下部には、回収容器41とサイクロン42とから構成される処理粉体回収手段と、ガス排出手段50が設けられている。
チャンバ20は、例えば耐熱性の高いSUS、アルミナ等で形成され、上下方向に軸線を有した円筒状で、同一の内径を有する円筒壁部20aと、その下端部に連続して形成され、下方に行くにしたがい内径が徐々に小さくなるテーパ部20bとを有している。
チャンバ20の上部は開口しており、この開口部に蓋体21が設けられている。この蓋体21は、チャンバ20の中央部に臨む位置にバーナ30を備えている。
バーナ30自体の詳細な構成は後述するが、このバーナ30は多重管構造をなし、各々の領域に、原料粉体100aを供給する原料粉体供給系統31、支燃ガスとして酸素を供給する酸素供給系統32および燃焼ガスを供給する燃焼ガス供給系統33が接続されている。
原料粉体100aの供給は、空気、酸化性ガス、不活性ガス等のキャリアガスを用いて行われる。酸化性ガスとしては、酸素濃度が20%以上のガスを用いることができる。不活性ガスとしては、N2ガス、Heガス、Neガス、Arガス、Krガス、Xeガス、Rnガス等を用いることができる。
このようなバーナ30は、酸素供給系統32から供給される酸素と燃焼ガス供給系統33から供給される燃焼ガスとをチャンバ20内の下方に向けて噴出しつつ、これに着火することで、チャンバ20中央部の上部に、燃焼炎Fを生成する。
燃焼炎Fを得るための燃焼ガスは、特に制限されない。LPG、水素、アセチレン等公知の燃焼ガスを用いることができる。
ここで、燃焼炎Fの温度T1は、原料粉体100aに含まれる酸化物の融点Tm(絶対温度)に対し、
0.75 ≦ T1/Tm ≦ 1.20
となるようにするのが好ましい。温度T1が低すぎると、粒子を溶融させることができない。また温度T1が高すぎると、粒子間の融合や粒子の蒸発が発生するほか、粒子内の結晶構造が完全に壊され、その後の熱処理工程で単結晶が得られにくくなる。
原料粉体100aは、燃焼炎F中に投入され、自然落下しながら燃焼炎F中に所定時間滞留し、燃焼炎Fの熱によって溶融され、または化学的・物理的修飾を受け、チャンバ20内を落下する。原料粉体100aが溶融すると、その表面張力により、溶融状態の原料粉体100aは球状化する。そして原料粉体100aは、チャンバ20内を落下する間にその温度が低下し、凝固する。
このようにして燃焼炎Fを通過した原料粉体100aは、処理粉体100bとなる。なお、化学的・物理的修飾とは、原料粉体100aの物質形態、純度、粒子サイズ、粒子構造、形状もしくは表面性状を変化させることを意味する。
このとき、本発明では、原料粉体100aの少なくとも一部を溶融し、溶融後の凝固した状態で、図3(a)に示すように、原料粉体100aの表層部101が非晶質で、中心部102が核となる結晶質である状態、あるいは図3(b)に示すように、原料粉体100aの全体が単結晶となる状態とする。これは、前記の如く、燃焼炎Fの温度T1を、原料粉体100aに含まれる酸化物の融点Tm(絶対温度)に対し、
0.75 ≦ T1/Tm ≦ 1.20
とすることで実現できる。
また、燃焼炎F中における原料粉体100aの飛行速度が、5〜50m/secとなるよう、キャリアガスの供給量等を調整するのが好ましい。飛行速度が低い(5m/secを下回る)と、原料粉体100aが凝集しやすく、また生産性が低くなり、飛行速度が高い(50m/secを上回る)と、原料粉体100aの不完全溶融が生じやすいからである。
上記のような処理が行われるチャンバ20のテーパ部20bの下端部には、回収容器41が接続されている。この回収容器41の側面には、サイクロン42が接続されている。
チャンバ20内を落下した処理粉体100bは、回収容器41の底部に堆積し、またその一部はガスとともにサイクロン42に送り込まれる。
サイクロン42では、処理粉体100bが混在したガスの気体(ガス)と固体(処理粉体100b)とを上下に分離する。ガスと分離された処理粉体100bはサイクロン42の底部に堆積する。
これら回収容器41およびサイクロン42の底部に堆積した処理粉体100bを回収することで、球状粉体(凝固物粒子、粒子)100cを得ることができるのである。
また、サイクロン42の上部にはバグフィルタ等のフィルタ装置52が接続され、サイクロン42から排出されるガスに残存する球状粉体100cを、フィルタ本体52aで回収し、ガスのみを、排風機53を介して、排出管54から排出するようになっている。
次に、図4および図5を用いて、バーナ30について詳述する。
ここで、図4はバーナ30の断面図である。また、図5(a)は図4のA−A断面図、図5(b)は図4のB−B断面図、図5(c)は図4のC−C断面図である。以下、原料粉体100aの流れを基準として、図4の紙面左側をバーナ30の上流側、紙面右側をバーナ30の下流側という。
図4および図5に示すように、バーナ30は、略円筒状のアウターケース80内に、アウターケース80と同心円上に配置された原料粉体供給管(流路)60を有し、さらに、原料粉体供給管60の外周を取り囲むようにして所定本数の酸素供給管70が配列されている。
アウターケース80の上流側には、燃焼ガス供給系統33に接続されたチャンバ33aと、酸素供給系統32に接続されたチャンバ32aとが設けられている。そして、酸素供給管70は、チャンバ33aを貫通し、酸素供給系統32に接続されたチャンバ32aにその端部が開口するよう設けられている。
そして、酸素供給系統32から供給された支燃ガスとしての酸素は、チャンバ32a内に供給され、酸素供給管70内に流入し、バーナ30の下流側の開口から噴出するようになっている。また、燃焼ガス供給系統33から供給されたLPG等の燃焼ガスは、チャンバ33aに供給され、アウターケース80の内側で、かつ酸素供給管70の外側の空間を通り、バーナ30の下流側の開口から噴出するようになっている。
これにより、バーナ30の下流側では、LPG等の燃焼ガスと酸素等の支燃ガスとが噴出し、これに着火することで燃焼炎Fが発生するようになっている。
また、原料粉体供給管60は、チャンバ32a、33aを貫通し、その上流側は、図示しないフィーダに接続され、下流側は、バーナ30の下流側にて開口している。フィーダからキャリアガスによって搬送される原料粉体100aは、原料粉体供給管60を通り、バーナ30の下流側の開口部から燃焼炎F内へ供給されるようになっている。
この原料粉体供給管60には、原料粉体100aの凝集を解砕するための機構が設けられている。このため、原料粉体供給管60の中間部には、周方向に連続するスリット61(あるいは周方向に間隔を有して形成された複数のスリット)が形成されている。
原料粉体供給管60は、原料粉体供給管60の外径よりも所定寸法大きな内径を有した外筒62内に、同心状に設けられている。ここで、原料粉体供給管60のスリット61よりも下流側にて、原料粉体供給管60と外筒62との隙間には、円筒状のスリーブ63が設けられ、このスリーブ63に支持される形で、原料粉体供給管60は外筒62の中心部に位置している。
外筒62も、原料粉体供給管60と同様、チャンバ32a、33aを貫通しており、その上流側の端部にて、外筒62と原料粉体供給管60との隙間に、凝集解砕用ガスGが送り込まれるようになっている。外筒62と原料粉体供給管60との隙間の寸法Lは、例えば0.5〜10mmとすることができる。この寸法Lを適宜設定することで、凝集解砕用ガスGの流量および速度を制御することが可能である。
ここで、凝集解砕用ガスGとしては、上述したキャリアガスと同様のもの、つまり空気、酸化性ガス、不活性ガス等を用いることができる。また、燃焼ガスとして挙げたLPG、水素、アセチレン等を凝集解砕用ガスGとして用いてもよい。
スリット61の下流側において、スリット61の端面61aとスリーブ63の端面63aは連続し、原料粉体供給管60の軸線に対し、所定の角度θで交差するテーパ面64を形成している。また、スリット61の上流側において、スリット61の端面61bも、原料粉体供給管60の軸線に対し、所定の角度θでほぼ交差するように形成されている。
これにより、外筒62と原料粉体供給管60との隙間に送り込まれた凝集解砕用ガスGは、スリット61の部分から原料粉体供給管60内に流入する。このとき、原料粉体供給管60の軸線に対し所定の角度θで交差するように形成されたテーパ面64により、凝集解砕用ガスGは、原料粉体供給管60内でキャリアガスおよび原料粉体100aの流れに対し、所定角度で交差するように、原料粉体供給管60内に噴出することになる。これにより、原料粉体100aが燃焼炎F内へ供給される前に、搬送中の原料粉体100aに対して凝集解砕用ガスGを噴射し、原料粉体100aの凝集を解砕するのである。
ここで、凝集解砕用ガスGは、原料粉体供給管60の軸線に対し5〜85°の角度で噴射することが望ましい。その角度が5°未満の場合には、凝集解砕用ガスGによって与えられる原料粉体100aに対する衝撃が小さく、原料粉体100aから構成される凝集粒子を十分に解砕することが困難であり、また噴射角度が85°を超えると、原料粉体100aが原料粉体供給管60やテーパ面64の内壁に付着しやすいからである。
凝集解砕用ガスGの噴射角度を5〜85°とするには、テーパ面64の、原料粉体供給管60の軸線に対して交差する角度θで5〜85°とすれば良い。
また、凝集解砕用ガスGのより望ましい噴射角度は15〜75°、さらに望ましくは20〜60°である。
また、スリット61のサイズは、原料粉体供給管60のサイズや原料粉体100aの処理量に応じて適宜設定すればよい。スリット61の軸方向の位置は、燃焼炎Fまでの距離を考慮して決定する。具体的には、燃焼炎Fまでの距離が10〜300mmの範囲となるようにして、原料粉体供給管60にスリット61を形成する。スリット61から燃焼炎Fまでの距離が10mm未満になると、確実に凝集粒子を解砕した上で、燃焼炎Fに原料粉体100aを供給することが困難となる。一方、スリット61から燃焼炎Fまでの距離が300mmを超えると、一旦凝集が解砕された原料粉体100aが、搬送されている間に再凝集するおそれがあるため、好ましくない。
このような構成の球状化処理装置10では、その前段にて処理剤が添加された原料粉体100aを、図示しないフィーダからキャリアガスによって原料粉体供給管60を通して搬送し、バーナ30の先端部から燃焼炎F中に投入する。これによって原料粉体100aが溶融し、さらに燃焼炎F外に移動することで冷却・凝固して球状化処理が施され、最終的に球状粉体100cを得ることができるようになっている。
また、球状化処理装置10に対して供給する原料粉体100aに、凝集を防止するための処理剤を添加するようにした。これにより、従来に較べ、バーナ30に供給するために原料粉体100aが図示しないフィーダ内に収容されている間に自然凝集しにくく、また搬送中においても凝集しにくくなる。しかも、原料粉体100aと処理剤を加熱炉で加熱し、処理剤が少なくとも溶融、さらには気化させることで、処理剤を原料粉体100aの表面に薄く均一に、つまりまんべんなく付着させることができ、これによって凝集防止効果もより確実なものとなる。
また、フィーダ内に収容されている間に原料粉体100aが自然凝集してしまった場合も、原料粉体供給管60の外周側からその内部に凝集解砕用ガスGを噴射することで、原料粉体100aの凝集を解砕することができる。
上記のようにして得られた球状粉体100cは、坩堝やセッター等に載せて高温炉内で所定時間熱処理すればよい。また、粒子間の凝集を防ぐために、粒子を浮遊させた状態、または流動層等で撹拌させた状態で熱処理を行うのが望ましい。
球状粉体100cを加熱炉において所定の温度に加熱することにより、単結晶のセラミックス粒子を得る。このときの熱処理温度T2(T4)を、原料粉体100aに含まれる酸化物の融点Tmに対し、
0.45 ≦ T2/Tm ≦ 0.75
とするのが好ましい。T2/Tmが0.45を下回ると熱処理効果が得られず、0.75を上回ると粒子間の融着や凝集がひどくなる。
また、熱処理の雰囲気は、酸素含有量20%以上とするのが好ましい。
これにより、球状粉体100cから単結晶の粒子が生成される。このとき、熱エネルギーが加えられることによって、球状粉体100c内部の結晶性の部分を核として結晶化が進み、表面エネルギーが小さくかつ安定な球状単結晶を得ることができる。単結晶化されることによる結晶性の向上にともない、誘電体セラミックスであれば誘電特性、磁性材料であれば磁気特性の向上が図られる。また、溶融状態からの凝固でないため、生成される粒子が非晶質となることを防ぐことができる。
このようにして、球状化されたセラミックス粒子を得ることができる。
本実施の形態では、得られたセラミックス粒子を、平均粒径0.1〜50μm、単結晶でありかつ球形とすることができる。ここで「球形」とは、表面が平滑な完全な球形のほか、極めて真球に近い多面体を含む。具体的には、Wulffモデルで表されるような安定な結晶面で囲まれた等方的な対称性を有し、かつ球形度が1に近い多面体粒子も含まれる。ここで「球形度」とは、Wadellの実用球形度、すなわち粒子の投射面積に等しい円の直径の粒子の投射像に外接する最小円の直径の比である。本実施の形態では、球形度が0.85以上で、しかも平均粒径0.1〜30μmであることのが好ましい。
このように、本実施の形態で得られる単結晶セラミックス粒子は結晶粒界や不純物を有さず、単相で、且つ単結晶である。そのため、この単結晶セラミックス粒子は、誘電体材料や磁性材料として使用する場合に、磁性または誘電特性の向上に寄与できる、優れた特性を示す。
また本実施の形態に記載の方法で単結晶セラミックス粒子を形成すると、従来の方法で使用されている酸や有機溶媒を使用しないので、有害ガス等の発生もなく、また比較的安価な設備によって大量に製造することができる。
さらに、本実施の形態では粒径が小さく、且つ球形である単結晶セラミックス粒子を得ることができる。このような単結晶セラミックス粒子は凝集性が低く、分散性と充填性に優れたものとなる。
以上の考え方は、単結晶セラミックス粒子が磁性体材料から構成される場合にも適用することができる。つまり、相対的に融点の低い磁性体材料中に、相対的に融点の高い磁性体材料からなる単結晶セラミックス粒子が分散、保持された複合磁性材料を得ることができる。
このようにして、バーナ30からの燃焼炎Fで原料粉体100aを溶融させて球状化した後に、得られた球状粉体100cを熱処理(アニール)することにより、単結晶球状粒子を得ることができる。このとき、バーナ30で、少なくともその一部が溶融した球状粉体100cを加熱炉等で熱処理すればよいので、従来の単結晶粒子製造法に比べ、生産能力がバーナ一本あたり数〜数十kg/hrと非常に高く、また生産コストも低いので、工業的な利用価値が大きい。
原料粉体100aとして、平均粒径1.2μm、最大粒径5μmのCa0.65Sr0.35Ti0.95Zr0.053破砕粉(融点2080℃)を用意した。
この原料粉体100aを、1.5%のTSL8113シランカップリング剤で表面処理した後、球状化処理装置10にて溶融球状化した。このときの条件は、燃焼ガス(LPG)の流量を15 l(リットル)/min、支燃ガス(O2)の流量を75 l(リットル)/min、キャリアガス(N2)の流量を70 l(リットル)/min、原料粉体100aの供給量は1.8kg/hrとした。
球状化させた球状粉体100cを球状化処理装置10から回収し、加熱炉にて熱処理(アニーリング)した。このとき、融点Tmが2080℃である球状粉体100cに対し、熱処理温度T2を、1000℃、1150℃、1200℃の3通り、熱処理時間については4hrとした。
熱処理前後の球状粉体100cについて、粒子の形態変化をSEM(走査電子顕微鏡)で確認した。
図6、図7は、その結果を示すものである。
図6(a)は、熱処理前の球状粉体100c、(b)は熱処理温度T2=1000℃、図7(a)は熱処理温度T2=1150℃、(b)は熱処理温度T2=1200℃で熱処理が施された球状粉体100cである。
その結果、図6(b)、図7(a)、(b)に示すように、粒径1〜2μm程度の極めて真球状に近い粉体であること、およびこれら粉体に凝集がないことが確認された。さらに平均粒径を測定したところ約1.2μmであり、また球形度は約0.98であることが判明した。また、熱処理温度T2が高いほど、ファセットが見える粒子の割合が多く、また粒子表面のファセットも明確となる傾向が確認された。図6(b)の熱処理温度T2=1000℃では、数パーセント程度の粒子において、うっすらとファセットが確認されたのみであったが、図7(a)、(b)の熱処理温度T2=1150℃以上の粒子では、ほとんどの粒子からファセット模様が確認された。ただし、熱処理温度T2=1150℃以上の粒子では、熱処理後に粒子間のネックグロースが進行しているため、解砕処理する必要がある。そこで粒度分布を確認したところ、図7(a)の熱処理温度T2=1150℃の粒子では、4hrの解砕が必要であり、図7(b)の熱処理温度T2=1200℃の粒子では、6hrの解砕処理が必要であった。
さらに、熱処理前の球状粉体100c、熱処理温度T2=1000℃、および熱処理温度T2=1200℃で熱処理が施された球状粉体100cから、それぞれ一個の粒子を抽出し、粒子の結晶性等を評価した。
<熱処理前の球状粉体>
図8(a)に示すように、ファセット・結晶面の方向の断面に沿ってFIB(集束イオンビーム加工観察装置)で粒子を削り、粒子の薄片を切り出した。これをTEM(透過電子顕微鏡)で解析した。図8(b)が、その観察像(写真)である。この図8(b)に示すように、観察像から、粒子内に試料の微小な湾曲や傾き、そして試料作成時に発生した歪等によるドメインのような電子線の回折コントラスト模様が観察されたが、粒界が認められなかった。
さらに、粒子より切り出した薄片をTEMでさらに拡大して解析したところ、図9に示すように、粒子の表層部101が非晶質であり、それより内方の部分102が結晶質であることが認められた。
そこで、その薄片を、EDS(エネルギー分散形分析装置)で組成分析し、またSADP(制限視野電子回折)で撮影した。
EDSでは、図8(b)に示す点a、点b、点c、点d、点eの計5点について組成分析を行った。図10(a)、(b)、(c)、図11(d)、(e)は、その分析結果を示すものである。その結果、図10(b)に示した、粒子の中心部に位置する点bと、図10(a)、(c)、図11(d)、(e)に示した、粒子の表層部に位置する点a、c、d、eとでは、組成に差が認められなかった。
また、図12(a)と図12(b)は、SADPで入射方向を互いに異ならせて粒子全体を制限視野に入れた制限視野電子線回折パターンであるが、これらは、入射方向が異なっても単一なパターンを示している。
これら、EDS、SADPでの分析・回折結果から、観察対象の、熱処理前の球状粉体100c、つまり溶融後の粒子は、粒子の表層部101が非晶質であり、それより内方の部分102が単一核の結晶質であると認められる。
<熱処理温度T2=1000℃の球状粉体>
図13(a)に示すように、ファセット・結晶面の方向の断面に沿ってFIBで粒子を削り、粒子の薄片を切り出した。これをTEMで解析した。図13(b)が、その観察像(写真)である。この図13(b)に示すように、観察像から、粒子内に試料の微小な湾曲や傾き、そして試料作成時に発生した歪等によるドメインのような電子線の回折コントラスト模様が観察されたが、粒界が認められなかった。
そこで、その薄片を、EDSで組成分析し、またSADPで撮影した。
EDSでは、図13(b)に示す点f、点g、点h、点i、点jの計5点について組成分析を行った。図14(f)、(g)、(h)、図15(i)、(j)は、その分析結果を示すものである。その結果、図14(g)に示した、粒子の中心部に位置する点gと、図14(f)、(h)、図15(i)、(j)に示した、粒子の表層部に位置する点f、h、i、jとでは、組成に差が認められなかった。
また、図16(a)と図16(b)は、SADPで入射方向を互いに異ならせて粒子全体を制限視野に入れた制限視野電子線回折パターンであるが、これらは、入射方向が異なっても単一なパターンを示している。
これら、EDS、SADPでの分析・回折結果から、観察対象の粒子は単結晶だと認められる。
<熱処理温度T2=1200℃の球状粉体>
図17(a)に示すように、ファセット・結晶面の方向の断面に沿ってFIBで粒子を削り、粒子の薄片を切り出した。これをTEMで解析した。図17(b)が、その観察像(写真)である。この図17(b)に示すように、観察像から、粒子内に試料の微小な湾曲や傾き、そして試料作成時に発生した歪等によるドメインのような電子線の回折コントラスト模様が観察されたが、粒界が認められなかった。
そこで、その薄片を、EDSで組成分析し、またSADPで撮影した。
EDSでは、図17(b)に示す点a、点b、点c、点dの計4点について組成分析を行った。図18(a)、(b)、(c)、(d)は、その分析結果を示すものである。その結果、図18(a)に示した、粒子の中心部に位置する点aと、図18(b)、(c)、(d)に示した、粒子の表層部に位置する点b、c、dとでは、組成に差が認められなかった。
また、図19(a)と図19(b)は、SADPで入射方向を互いに異ならせて粒子全体を制限視野に入れた制限視野電子線回折パターンであるが、これらは、入射方向が異なっても単一なパターンを示している。
これら、EDS、SADPでの分析・回折結果から、観察対象の粒子は単結晶だと認められる。
なお、図20は、SADPに基づいての面指数付の結果を示す。
このようにして、バーナ30からの燃焼炎Fで原料粉体100aを溶融させて球状化した後に、得られた球状粉体100cを熱処理(アニール)する工程では、適切に処理条件を選ぶことにより単結晶球状粒子が得られることを確認できた。
次に、温度を一定にしたバーナ30の燃焼炎Fに対し、融点Tmが異なる複数種の原料粉体100aを溶融させて球状化させた後、熱処理を行った場合の比較をしたのでその結果を示す。
原料粉体100aとして、
実施例:平均粒径1.2μm、最大粒径5μmのCa0.65Sr0.35Ti0.95Zr0.053破砕粉(融点Tmは2080℃)を用意した。
比較例1:BaNd2Ti412(融点Tmは1550℃)を用意した。
比較例2:Ba5Bi0.8Nd6Ti8Si0.321.8(融点Tmは1450℃)を用意した。
実施例、比較例1、比較例2とも、原料粉体100aを、1.5%のTSL8113シランカップリング剤で表面処理した後、球状化処理装置10にて溶融球状化した。このときの条件は、バーナ30の燃焼炎Fの温度T1を約1800℃、燃焼ガス(LPG)の流量を15 l(リットル)/min、支燃ガス(O2)の流量を75 l(リットル)/min、キャリアガス(N2)の流量を70 l(リットル)/min、原料粉体100aの供給量は1.8kg/hrとした。
球状化させた球状粉体100cを球状化処理装置10から回収し、加熱炉にて熱処理(アニーリング)した。このとき、融点Tmが2100℃である実施例の球状粉体100cは、熱処理温度T2=を1200℃×4hrとし、融点Tmが1550℃である比較例1の球状粉体100cは、熱処理温度T2を1150℃×4hr、融点Tmが1450℃である比較例2の球状粉体100cは、熱処理温度T2を1100℃×4hrとした。
熱処理前後の球状粉体100cについて、粒子の形態変化をSEM(走査電子顕微鏡)で確認した。
図21、図22は、その結果を示すものである。
図21は、熱処理前の球状粉体100cを示すものであり、(a)実施例、(b)は比較例1、(c)は比較例2である。図22は、熱処理後の球状粉体100cを示すものであり、(a)実施例、(b)は比較例1、(c)は比較例2である。
なお、表1に、実施例、比較例1、比較例2のそれぞれについて、
条件(1):0.75≦T1/Tm≦1.20
条件(2):0.45≦T2/Tm≦0.75
の上限値、下限値を示した。
Figure 2005112642
図22(a)に示したように、燃焼炎Fの温度T1および熱処理温度T2が、条件(1)、(2)を満たす実施例では、溶融凝固後の粒子はガラス質の平滑な表面を持ち、ファセットが観察できないものの、XRDにより非常に良い結晶性を示していることが確認された。熱処理後の球状粉体100cの粒子表面にファセットが明確に確認された。これに対し、図22(b)に示したように、条件(1)、(2)ともに満たすものの、燃焼炎Fの温度T1が融点Tmを上回る比較例1では、熱処理後の球状粉体100cの粒子表面に粒界の存在が観察され、単結晶ではないことが確認された。また、図21(c)に示したように、条件(1)、(2)ともに満足しない比較例2では、熱処理前の球状粉体100cにおいて、粒子表面に一部結晶化しているのが観察され、熱処理後には、図22(c)に示したように、結晶が成長しているのが観察された。
これらの結果から、条件(1)、(2)ともに満たすものの、燃焼炎Fの温度T1が融点Tmを上回れば単結晶化が実現せず、条件(1)、(2)を満たす、つまり燃焼炎Fの温度T1と、熱処理温度T2を、
0.75≦T1/Tm≦1.20
0.45≦T2/Tm≦0.75
ともに満たす条件に設定することが必要であることが確認された、と言える。
本実施の形態における単結晶セラミックス粒子の製造工程を示す図である。 球状化工程で用いる球状化処理装置の例を示す図である。 球状化粉体の例を示す図である。 球状化処理装置のバーナを示す断面図である。 (a)は図4のA−A断面図、(b)は図4のB−B断面図、(c)は図4のC−C断面図である。 熱処理温度の違いによる粒子形態の変化を示す図であり、(a)は熱処理前、(b)は熱処理温度1000℃での粒子の写真である。 同、(a)は熱処理温度1150℃、(b)は熱処理温度1200℃での粒子の写真である。 熱処理前の粒子の断面を観察するにあたり、(a)は粒子断面の位置を示す図、(b)は断面(観察用薄片)のTEM像である。 熱処理前の粒子の断面の拡大TEM像である。 図8(b)に示した位置a、b、cにおけるEDS定性スペクトルを示す図である。 図8(b)に示した位置d、eにおけるEDS定性スペクトルを示す図である。 SADPによる制限視野電子線回折パターンであり、(a)は[10T]方向、(b)は[21(−4)]方向の制限視野電子線回折パターンである。 1000℃で熱処理した粒子の断面を観察するにあたり、(a)は粒子断面の位置を示す図、(b)は断面(観察用薄片)のTEM像である。 図13(b)に示した位置f、g、hにおけるEDS定性スペクトルを示す図である。 図13(b)に示した位置i、jにおけるEDS定性スペクトルを示す図である。 SADPによる制限視野電子線回折パターンであり、(a)は[10T]方向、(b)は[21(−4)]方向の制限視野電子線回折パターンである。 1200℃で熱処理した粒子の断面を観察するにあたり、(a)は粒子断面の位置を示す図、(b)は断面(観察用薄片)のTEM像である。 図17(b)に示した位置a、b、c、dにおけるEDS定性スペクトルを示す図である。 SADPによる制限視野電子線回折パターンであり、(a)は[10T]方向、(b)は[21(−4)]方向の制限視野電子線回折パターンである。 SADPに基づく面指数付を示す図である。 原料粉体の組成、バーナ燃焼温度の違いを比較する図であって、球状化処理後(溶融後)の撮影像である。 同、熱処理後(溶融後)の撮影像である。
符号の説明
10…球状化処理装置、30…バーナ、100a…原料粉体、100c…球状粉体(凝固物粒子、粒子)、101…表層部、102…中心部、F…燃焼炎、N…ノズル、T1…燃焼炎の温度、T2…熱処理温度、Tm…融点

Claims (11)

  1. 原料粉体の少なくとも一部を溶融した後、凝固させて凝固物粒子を得る溶融凝固工程と、
    前記凝固物粒子を熱処理し、単結晶セラミックス粒子を得る熱処理工程と、
    を備えることを特徴とする単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  2. 前記溶融凝固工程では、前記原料粉体の一部を溶融させることで、その中心部に結晶質部分を残し、その外周部に非晶質部分が形成された前記凝固物粒子を得ることを特徴とする請求項1に記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  3. 前記溶融凝固工程では、前記原料粉体を完全に溶融させ、溶融後の凝固過程で少なくとも一部を結晶化させた前記凝固物粒子を得ることを特徴とする請求項1に記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  4. 前記溶融凝固工程では、バーナで発生する燃焼炎中に前記原料粉体をキャリアガスとともに供給することで当該原料粉体の一部を溶融し、燃焼炎温度T1を、前記原料粉体の融点Tmに対し、T1≦Tmとすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  5. 前記熱処理工程では、熱処理温度T2を、前記燃焼炎温度T1に対し、T2≦T1とすることを特徴とする請求項4に記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  6. 結晶質部分の周囲に非晶質部分を有した粒子を形成する粒子形成工程と、
    熱処理により前記粒子の前記結晶質部分の結晶を成長させ、単結晶セラミックス粒子を得る結晶成長工程と、
    を備えることを特徴とする単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  7. 前記粒子形成工程では、原料粉体の少なくとも一部を溶融した後に凝固させることで前記粒子を形成することを特徴とする請求項6に記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  8. 前記粒子形成工程では、前記原料粉体の融点Tmに対し、0.75≦T3/Tm≦1.20となる温度T3で前記原料粉体の少なくとも一部を溶融することを特徴とする請求項7に記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  9. 前記粒子形成工程では、バーナで発生する燃焼炎中に前記原料粉体をキャリアガスとともに供給することで当該原料粉体の少なくとも一部を溶融し、かつ前記原料粉体の搬送速度を5〜50m/secとすることを特徴とする請求項7または8に記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  10. 前記結晶成長工程では、前記原料粉体の融点Tmに対し、0.45≦T4/Tm≦0.75となる温度T4で熱処理することを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の単結晶セラミックス粒子の製造方法。
  11. バーナで、当該バーナの燃焼炎温度よりも高い融点を有した原料粉体を溶融し、球状化した球状粉体を得る工程と、
    前記球状粉体をアニールし、単結晶セラミックス粒子を得る工程と、
    を備えることを特徴とする単結晶セラミックス粒子の製造方法。
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