JPH09169523A - 複合酸化鉄微粒子およびその製造方法 - Google Patents

複合酸化鉄微粒子およびその製造方法

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JPH09169523A
JPH09169523A JP7335023A JP33502395A JPH09169523A JP H09169523 A JPH09169523 A JP H09169523A JP 7335023 A JP7335023 A JP 7335023A JP 33502395 A JP33502395 A JP 33502395A JP H09169523 A JPH09169523 A JP H09169523A
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chloride
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vapor
gas
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JP7335023A
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Yoshiki Shibuya
佳樹 渋谷
Tatsuo Inoue
辰雄 井上
Hiroshi Sakaguchi
央 坂口
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IROX N K K KK
KOKAN KOGYO KK
Kokan Mining Co Ltd
JFE Engineering Corp
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IROX N K K KK
KOKAN KOGYO KK
Kokan Mining Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気特性が良好でしかも、粒度が大きくかつ均
一な複合酸化鉄微粒子およびその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】水素を含む強還元性燃料ガスを内側部か
ら、理論燃焼空気量より過剰な量の燃焼用空気をその外
側から噴射するバーナーによって燃焼炎を形成し、この
燃焼炎の中心に、この燃焼炎の方向と実質的に同方向に
塩酸を添加した混合塩化物水溶液を噴霧する。この際に
還元性の燃焼炎内側部で完全に気相の塩化物を形成し、
その外側で気相成長により複合酸化物を形成する。生成
された微粒子とガスとからなる混合流に希釈冷却用空気
を吹き込み、微粒子が流路内壁に付着することを防ぎつ
つ混合流を回収部へ導入する。400℃以上600℃以
下の範囲の温度で混合流の固気分離を行い、ガス流から
微粒子を分離回収する。この複合酸化鉄微粒子は平均粒
径が0.1μm以上、飽和磁化比が70%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はソフトフェライトの
原料として用いられる複合酸化鉄微粒子およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】複合酸化鉄を合成する方法として、フェ
ライトを構成する複数の主要金属酸化物をそれぞれ粉末
原料として所定の量比で混合した後、800から100
0℃の温度で仮焼し粉砕する乾式法が一般的である。
【0003】しかしこの方法によって得られる複合酸化
鉄粉は、(1)粉体原料の均一な混合は不可能であり、
さらに仮焼によっても均質に拡散させることは不可能で
あること、(2)800から1000℃の温度での仮焼
にコストがかかること、(3)仮焼後の粉砕に長時間を
要し、さらに不純物の混入があること、等の点で古くか
ら問題視されている。
【0004】これに対して、他の製造方法による複合酸
化鉄粉の開発が多数行われてきたが、乾式法に対して均
質性を著しく高めた複合酸化鉄粉を十分に低コストで製
造することは未だ実現されていない。
【0005】開発が最も盛んに行われているのは、フェ
ライトを構成する主要金属を塩化物の混合水溶液とし
て、これを原料として噴霧焙焼する方法である(特公昭
47−11550号)。この方法は水溶液の状態で混合
するものであるから、得られる粉末は完全に均質な複合
酸化鉄であるはずであり、またコストもかなり低くなる
ことが予想されたため、多大な期待が寄せられた。
【0006】しかし、この方法においては、鉄、マンガ
ン、マグネシウム、ニッケルなど塩化物の蒸気分圧が低
い金属元素の酸化物で構成されたフェライトは複合化さ
れるが、亜鉛のように塩化物の蒸気分圧が高い成分はフ
ェライトの重要な成分でありながら複合化されなかっ
た。
【0007】そこでこの方法を進化させ、高温のガスと
噴霧あるいは焙焼粉の流れる方向を同じにすることによ
り塩化物の蒸気分圧が高い亜鉛を複合酸化鉄粉に取り込
めることが見出されている(特開平1−192708
号、特開平3−40921号、特開平5−94912
号)。
【0008】これらの方法で亜鉛を取り込むことによ
り、亜鉛が原料液の量比にしたがった濃度で複合酸化物
中に存在することが化学分析によって確認されている
が、X線回折によれば、複合酸化物中に塩化物が少なか
らず存在することも確認された。また亜鉛に限らず、銅
やマンガンの塩化物も複合酸化物中に確認されることが
多かった。
【0009】このような残留塩素分は高温処理すること
で除去できることが開示されているが(特開平2−27
1923号、特開平5−43247号)、この処理は塩
化物を蒸発させて除去することを意味しており、塩化物
として蒸発した金属成分と、鉄やニッケルなどのほぼ完
全に酸化されている金属成分との組成比が狂ってしまう
という問題があった。
【0010】このように還元性のない雰囲気で強制的に
酸化させるという方法では、亜鉛等の複合化しにくい金
属成分については、混合塩化物水溶液から直接複合化で
きる割合が高くならないため、これを含まない混合塩化
物水溶液を噴霧焙焼した後に亜鉛等の酸化物粉末を添加
する方法(特開昭55−144421号)、これを含ま
ない混合塩化物水溶液に亜鉛等の酸化物等を混ぜてスラ
リー化したものを噴霧焙焼する方法(特開平4−206
606号)等が開示されており、混合塩化物水溶液を噴
霧焙焼する方法で期待された利点は大きく損なわれてい
る。
【0011】一方コストは高くなるが、噴霧ノズルに二
流体ノズル等を用いて噴霧液滴が微細になるようにし、
さらに投入熱量を多めにして焙焼温度を高めに保つこと
や反応を早く終わらせること、焙焼終了後は急冷するこ
となどにより、組成比の変化が問題にならない程度まで
残留塩素を低減できることも開示されている(特開平5
−51218号、特開平5−330828号、特開平6
−244015号、特開平7−89728号)。
【0012】ところがこの方法で製造された複合酸化鉄
微粒子は、例えば平均粒径が0.1μm以下であったり
(特開平6−293521号)、比表面積が15〜25
2/gであり(特開平7−89728号など)、非常
に粒度の細かいものであった。このような細かい複合酸
化鉄を必要とする用途も存在するが、一般的には平均粒
径が0.1μm以下のものは使いにくく、特に成形密度
を高くするためには特殊な方法が必要である。このよう
な理由でこれらの粒度の細かいものは使用に耐えるもの
ではなかった。
【0013】これに対して製品複合酸化鉄微粒子の粒度
を大きくするために、脱塩素を兼ねた熱処理中に焼結粒
成長させ、その後粉砕して使用する方法が提案されてい
るが(特開平5−343220号)、これでは従来の乾
式法よりもむしろ工程数が増えコストが高くなってしま
う。
【0014】また、特開平5−279044号には比表
面積が小さい(つまり粒度が大きい)焙焼品が得られる
ことが示されているが、比表面積のような平均的な情報
として満足する値であっても、電子顕微鏡で観察する
と、ほとんどの粒子は0.1μm以下の微粒子でそれに
混じって5〜10μmの粗大粒子が小量存在しているも
のであることが多かった。この場合にはほとんどが微粒
子であるために、成型密度が高くならないだけでなく、
粗大粒子の存在が焼成時に異常粒成長の原因となり、こ
れも使用に耐えるものではない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、磁気特性が良好でしか
も、粒度が大きくかつ均一な複合酸化鉄微粒子およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らが混合塩化物
水溶液を原料として複合酸化鉄微粒子を製造する方法を
開発してきた中で、やはり前述したような問題が生じ
た。すなわち、前述の特公昭47−11550号公報に
示された方法に基づいて条件設定することにより、所望
量の亜鉛を含み、なおかつ残留塩素分の少ない複合酸化
鉄微粒子を製造する条件が把握されてきている。しかし
ながらこの場合、粒度が細かくなってしまい実用的でな
いものになってしまう。また粒度の大きなものを製造し
ようとすると粗大粒子が混ざってしまい品質上大きな問
題となってしまう。
【0017】この点について本発明者らが検討した結
果、このような問題が生じるのは、反応の素過程に関し
て、ルスナー法やドラボー法といった通常の酸化鉄焙焼
プロセスと同じと認識してきたことが最大の原因である
と考えた。例えば、上述した粗大粒子はヘマタイト結晶
にMn23 が固溶しているものであって、亜鉛がほと
んど含まれていないことが確認されたが、このような通
常の酸化鉄焙焼プロセスでは現れない現象の原因につい
ては従来考察されていなかったが、このような現象を考
察することが重要であると考えた。
【0018】そしてこのような噴霧焙焼法が、原理的に
見て高品質のソフトフェライト原料用複合酸化鉄粉末を
製造できるはずであるとの立場から、この製造プロセス
の本質を徹底的に解明した。また安価なソフトフェライ
ト用原料を提供するために、コスト削減の限界を追及す
る試験を繰り返した。その結果、画期的な複合酸化鉄微
粒子を工業規模で製造することに成功した。
【0019】すなわち、水溶液に微量の塩酸を添加する
とともに、燃料ガスを強還元性のガスとし、焙焼条件を
制御して酸化反応する際に気相成長させれば特性が極め
て良好でしかも適度な粒度を有する複合酸化鉄微粒子を
安価に得られることを見出した。
【0020】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであって、第1に、気相成長により得られた、
鉄、ならびにマンガン、亜鉛、ニッケルおよび銅のうち
一種または二種以上の金属の複合酸化鉄微粒子であっ
て、平均粒径が0.1μm以上であり、その微粒子の飽
和磁化値の、その微粒子を焼結して得られるフェライト
の飽和磁化値に対する比が70%以上であることを特徴
とする気相成長複合酸化鉄微粒子を提供するものであ
る。
【0021】第2に、塩化鉄水溶液とマンガン、亜鉛、
ニッケル、銅のうち一種または二種以上の金属塩化物水
溶液とを混合して得られた原料液を噴霧し、噴霧された
液滴に燃料ガスの燃焼炎の熱を直接与えることにより酸
化反応させるとともに気相成長させて複合酸化鉄微粒子
を製造する方法であって、前記金属塩化物水溶液を所定
の割合で混合した後に塩酸を添加し、混合塩化物水溶液
を調整する工程と、燃料ガスを内側部から噴射し、燃焼
用空気をその外側から噴射するバーナーによって燃焼炎
を形成するとともに、この燃焼炎の中心に、この燃焼炎
の方向と実質的に同方向に前記混合塩化物水溶液を噴霧
する工程と、これにより生成した微粒子、燃焼ガス、反
応生成ガスからなる混合流に、希釈冷却用空気を吹き込
み、微粒子が流路内壁に付着または堆積することを防ぎ
つつ混合流を回収部へ導入する工程と、400℃以上6
00℃以下の範囲の温度で前記混合流の固気分離を行
い、ガス流から製品となる微粒子を分離回収する工程
と、を具備し、前記燃料ガスは水素を含む強還元性のガ
スであり、燃焼用空気量は理論燃焼空気量より過剰であ
り、燃焼炎および液滴噴霧状態を制御することにより、
前記噴霧液滴の水分が燃焼炎の内側の還元性雰囲気の中
で実質的に完全に蒸発されて塩化物となり、この塩化物
が略完全に蒸発してから燃焼炎の外側の酸化性雰囲気部
分に達し、その中の酸素と水蒸気により酸化反応する際
に、気相成長によって複合酸化鉄微粒子が生成されるこ
とを特徴とする気相成長複合酸化鉄微粒子の製造方法を
提供するものである。
【0022】第3に、塩化鉄水溶液とマンガン、亜鉛、
ニッケル、銅のうち一種または二種以上の金属塩化物水
溶液とを混合して得られた原料液を噴霧し、噴霧された
液滴に燃料ガスの燃焼炎の熱を直接与えることにより酸
化反応させるとともに気相成長させて得られた気相成長
複合酸化鉄微粒子であって、平均粒径が0.1μm以上
であり、その微粒子の飽和磁化値の、その微粒子を焼結
して得られるフェライトの飽和磁化値に対する比が70
%以上であることを特徴とする気相成長複合酸化鉄微粒
子を提供するものである。
【0023】次に、本発明を完成するに至った検討結果
および実験結果について説明する。ここで、反応の素過
程を推定するために熱力学的検討、熱天秤試験、素反応
ビーカー試験を行い、さらに得られた複合酸化鉄微粒子
については、化学分析、比表面積測定のほかに電子顕微
鏡観察、EDX、X線回折、粉体のままとそれを焼成し
たものの飽和磁化値測定等を行った。
【0024】1.熱力学検討 系内に投入する金属元素として、鉄の他に銅、マンガ
ン、ニッケル、亜鉛を考える。混合したそれぞれの塩化
物が酸化反応し複合化する場合、すなわちスピネル結晶
になる場合、スピネルの3価の位置に入るのは鉄だけで
あり、2価の位置には鉄を含む全ての金属が入る。また
3価の酸化物になり得るのは鉄とマンガンだけである。
さらに反応後のガスには塩素Cl2 が全く検出されない
ことから、考慮すべき反応式は次の7本である。
【0025】 FeCl2 +1/4O2 +H2 O→1/2Fe23 +2HCl (1) MnCl2 +1/4O2 +H2 O→1/2Mn23 +2HCl (2) FeCl2 +H2 O→FeO+2HCl (3) MnCl2 +H2 O→MnO+2HCl (4) NiCl2 +H2 O→NiO+2HCl (5) ZnCl2 +H2 O→ZnO+2HCl (6) CuCl+1/4O2 +1/2H2 O→CuO+HCl (7) (1)と(2)の各反応の自由エネルギー変化を温度に
対してプロットしたグラフを図1に示す。鉄、マンガン
共に塩化物が固相または液相でも酸化することが予想さ
れる。特に鉄は低温でわずかに酸素が存在すれば、その
量に応じて酸化すると考えられる。
【0026】(3)から(6)の各反応については図2
に示す。鉄は塩化物が固相または液相ではかなり高い温
度まで酸化しないことになり、実際には蒸発が先に起こ
ってしまい、気相から酸化反応することが予想される。
マンガンとニッケルもほぼ同様で固相または液相では酸
化せず、蒸発した後に酸化する。また亜鉛は非常に酸化
しにくいが、蒸気圧が高いため低温で蒸発し、気相から
の酸化反応は多少起こるものと予想される。
【0027】(7)の反応については図3に示す。銅の
場合は1価の塩化物が安定であり、2価の酸化物になる
ためには酸素が必要である。塩化銅は沸点が1400℃
以上だが、低温でも蒸気圧が高いため蒸発し易く、酸素
があれば容易に気相から酸化すると予想される。
【0028】さらに、3価の酸化鉄と2価の各酸化物は
それぞれ独立しているわけではなく、スピネル結晶にな
るのであるから、次の4本の反応式についても検討し
た。すなわち、3価の酸化鉄が先に存在するときに、他
の金属塩化物が酸化反応によって酸化鉄と共にスピネル
を生成する反応である。
【0029】 MnCl2 +H2 O+Fe23 →MnFe24 +2HCl (8) NiCl2 +H2 O+Fe23 →NiFe24 +2HCl (9) ZnCl2 +H2 O+Fe23 →ZnFe24 +2HCl (10) CuCl+1/4O2 +1/2H2 O+Fe23 →CuFe24 +HCl (11) (8)から(11)までの反応の自由エネルギー変化を
図4に示す。それぞれ単独の酸化物になる反応よりも起
こりやすくなっているが、特に亜鉛については蒸発した
温度で自由エネルギー変化が負になっている。実際には
さらに複雑な多成分系のスピネル結晶になっているはず
であるが、熱力学データからの検討はこの程度が限界で
ある。
【0030】2.熱天秤試験 各塩化物の水和物を熱天秤にかけ、不活性ガス中および
空気中で昇温試験を行った。これらの結果を表1に示
す。
【0031】
【表1】
【0032】不活性ガス中ではほぼ予想した温度で蒸発
を始めていたが、鉄とニッケルは終了後に必ず小量の酸
化物を生成していることが確認された。また、鉄とニッ
ケルは空気中においてはほとんど蒸発せず、大半が酸化
した。マンガン、亜鉛、銅はいずれの場合もきれいに蒸
発して無くなっていた。
【0033】鉄とニッケルについては、無水塩化物を使
用し、不活性ガス中での昇温試験も行ったが、この場合
にはマンガンおよび銅と同じく、きれいに蒸発して無く
なった。
【0034】鉄とニッケルの塩化物については、酸素が
なくても結晶水と反応して酸化してしまうことがわかっ
た。またマンガンと銅の塩化物は空気中で加熱しても、
酸化せずに蒸発してしまうことがわかった。
【0035】3.素反応ビーカー試験 まず、図5に示す管状炉で塩化鉄水和物の酸化をさせる
試験を行った。塩化鉄の水和物を石英ボートに入れ、さ
らにこのボートを石英管に入れて、空気60%、水蒸気
40%のガスを流通して加熱昇温し、酸化物を作成する
試験を行った。この結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】800℃までの昇温を100℃/分で行っ
たものは電子顕微鏡観察の結果平均粒径が0.3μmで
あったのに対して、既に800℃になっている石英管に
ボートを挿入して急激に昇温したものは5から10μm
の粗大粒子になっていた。
【0038】また、塩化鉄水和物とマンガン水和物を混
ぜて石英ボートにいれて行った実験でも全く同じ結果と
なり、この場合X線回折とEDX分析により、Mn2
3 がヘマタイト結晶に固溶したものであることが推察さ
れた。このことから粗大粒子が生成するのは塩化鉄の水
和物が急熱されることが原因であることがわかった。
【0039】次に、同じ装置で酸化しやすい塩化物の酸
化を抑さえる試験を行った。塩化鉄および塩化ニッケル
の水和物を石英ボートにいれ、さらにこのボートを石英
管にいれて水素95%、塩化水素5%のガスを流しなが
ら環状炉で加熱昇温する試験をそれぞれ行った。この結
果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】どちらも極くわずかな酸化物が残ったもの
の、重量を測定できるほどではなく、ほとんどの塩化物
は蒸発して無くなった。つまり、還元性でなおかつ塩化
水素の存在する雰囲気では塩化物の酸化をほとんど抑さ
えることができることが確認された。比較のために水素
40%、窒素55%、塩化水素5%と水素30%、窒素
65%、塩化水素5%についても同じ実験を行ったが、
水素が30%の結果で塩化鉄水和物の場合に酸化物がボ
ート内にスポンジ状に残り、水素の濃度は40%以上で
あることが好ましいことが確認された。
【0042】また、塩化銅の場合には水素95%では一
部金属銅に還元されてしまい、銅を含む系では水素分圧
を下げる必要があることもわかった。 4.複合反応ビーカー試験 図6に示す装置で気相成長による酸化反応を試験した。
無水塩化鉄と酸化しにくい金属塩化物の無水物をそれぞ
れ窒素中に蒸発させ、水蒸気を含んだ空気で酸化させ、
気相で発生する微粒子を石英ウールで捕集した。この結
果を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】ここで捕集された微粒子はほとんどの場合
スピネル結晶のみで、ヘマタイトが共存していたのは一
部酸化鉄の蒸発量が大過剰だったケースだけであった。
さらに流通させるガスを窒素で希釈して酸素濃度を下げ
る実験では、酸素濃度が5%以下では塩化亜鉛と塩化鉄
の系および塩化銅と塩化鉄の系でスピネルが発生せず、
ヘマタイトしか捕集されなかった。
【0045】このことから上記金属塩化物は全て気相で
析出した酸化鉄を核としてその表面でスピネル結晶へと
酸化反応すること、およびこの際にガス中にある程度の
酸素が必要であることが確認された。また、得られた微
粒子は電子顕微鏡観察から、ほぼ完全な球形で平均粒径
が0.01μm程度で均一な、典型的気相成長微粒子で
あることがわかった。
【0046】以上の結果から、粗大粒の生成を防止する
ためには、塩化物水溶液の水分を蒸発させ、かつ塩化物
を蒸発させてから酸化反応を進行させることが必要であ
ること、その際における塩化物の酸化を抑制するために
は、塩化物水溶液に適量の塩化水素を添加し、かつ水素
を含む強還元雰囲気で水分を蒸発させればよいこと、お
よび塩化物の酸化反応は、水蒸気および酸素の存在下に
おいて、気相で析出した酸化鉄を核とした気相成長によ
り進行し、したがってこの反応を十分に行わせることに
より所望の粒度を有する均一な複合酸化鉄微粒子が得ら
れることが導かれる。
【0047】従って、この結果を本発明で前提とする噴
霧焙焼法に適用する場合には、上述の結果が反映される
ように、反応装置のバーナーと噴霧ノズルの関係、反応
温度、炉形状等を最適化したうえで、以下のプロセスに
よって焙焼を行う。
【0048】(1)主要金属成分の塩化鉄を所定の割合
で混合した水溶液に適量の塩酸を添加し、混合塩化物水
溶液を調製する。 (2)水素などの還元性の強いガスを好ましくは40%
以上含んだ燃料ガスを中心部から、燃焼用空気を外側か
ら噴射するように構成されたバーナーで熱源となる層流
拡散燃焼炎を形成する。この場合に燃焼炎の内側は還元
性雰囲気となり、その外側は酸化雰囲気となる。
【0049】(3)次にこの燃焼炎の中心に燃焼炎の方
向と同方向に混合塩化物水溶液を噴霧する。これによっ
て、噴霧された液滴が、最初、燃焼炎の内側の還元性雰
囲気の部分に達し、ここで液滴から水分と塩酸が蒸発し
た後、乾燥した塩化物が酸化することなく、完全に蒸発
する。
【0050】(4)蒸発した塩化物が燃焼炎の高温部を
通過し外側の酸化性雰囲気の部分に出ると、酸素と水蒸
気により酸化反応する際に、気相成長により均質な複合
酸化鉄微粒子を生成する。この場合に、この酸化反応に
必要な酸素は、燃焼用空気量を理論燃焼空気量より過剰
にしておくことにより確保される。
【0051】(5)生成した微粒子は600℃以上の温
度では徐々に凝集し焼結するため、燃焼ガス、反応生成
ガスからなる流れに希釈冷却用空気を吹き込み、微粒子
が流路内壁に付着または堆積することを防ぎつつ回収部
へ導入する。
【0052】(6)次いで、反応生成ガス中の塩酸蒸気
によってマンガンなどの塩化しやすい成分が再塩化され
ることを防止するため、400〜600℃程度の温度で
固気分離を行い、混合流から製品となる微粒子を分離回
収する。
【0053】以上のようなプロセスを採用することによ
り、所望の粒度をおよびほぼ理論どおりの組成を有する
均一な複合酸化鉄微粒子が得られるのである。この中
で、(1)の工程で添加する塩酸の量は0.1%以下で
はその効果が顕著ではなく、2%以上になると、雰囲気
の塩酸蒸気分圧が高くなり過ぎて平衡転化率が下がり、
また再塩化反応も起こりやすくなる。従って、塩酸量は
0.1〜2.0%が好ましい。さらに狭い範囲で一層好
ましい結果が得られるが、その量は燃焼のガス量と噴霧
液量のバランスで決定する必要がある。
【0054】次に(2)の工程において、層流拡散燃焼
炎内には未燃の燃料ガスしかないため酸化性雰囲気では
なく、また塩化鉄や塩化ニッケルなどの水分によって酸
化してしまう成分も水素と塩酸の蒸気が存在すれば酸化
を防ぐことができる。
【0055】(3)の工程により、略完全に塩化物の蒸
発が終了するまで塩化物が燃焼炎の内側に存在するよう
にしておけば、粗大粒子が混入したり、主要成分の組成
が理論値からシフトすることがない。またこの条件を満
たしていることのみが必要であり、噴霧液滴径や噴霧の
拡がり角度、噴霧の吹き出し速度などはこれを満たす範
囲で自由に決めることができる。
【0056】この後(4)の工程で塩化物が燃焼炎の外
に出てくると、まだ燃焼に用いられていない酸素、およ
び過剰な酸素が存在するので、まず塩化鉄から酸化が起
こり気相中に数分子のクラスターを形成する。そして、
これが核となって全ての塩化物がその核の表面で反応
し、スピネル単結晶の微粒子へと成長する。このように
微粒子が気相反応で析出する場合、得られる微粒子の平
均粒径は、核のできやすさ、原料蒸気の分圧、反応温度
での滞留時間等によって決定することが知られている。
これらは燃料ガス量、噴霧液量、炉内の滞留時間などで
制御することができる。このようにして、粗大粒子が混
入したり主要成分の組成が理論値からシフトしたりしな
い複合酸化鉄微粒子の一次粒子平均径を自由に作り分け
ることが可能になり、特にこれまで作ることのできなか
った平均粒径が0.1μm以上の使いやすいものを作る
ことができるようになった。
【0057】この場合に、酸化反応に必要な酸素は、上
述したように、燃焼用空気量を理論燃焼空気量より過剰
にしておくことにより確保されるが、その過剰量は5%
以上であることが好ましい。
【0058】このようにして生成された微粒子は500
℃以上ではしだいに凝集焼結し、その粉体性状を著しく
悪化させる。焼結に要する時間は温度によって異なる
が、500℃では60分、550℃では30分、600
℃では10分で使用に耐えなくなる。このため少なくと
も600℃以下に冷却する必要がある。
【0059】一方、この微粒子は反応生成ガスと共に流
れているが、この反応生成ガスには多量の水分と塩酸蒸
気を含んでいるため120℃前後の温度の面には濃塩酸
が凝縮してしまい、微粒子を瞬時に塩化してしまう。こ
のため水冷などによる冷却はできず、(5)の工程にお
いて常温の空気を吹き込み、混合することによって冷却
するのが適当である。
【0060】また、400℃未満ではマンガン、亜鉛、
銅の反応平衡が塩化側へ傾き、反応速度もある程度速い
ため、再塩化の影響が無視できない。これについても、
空気吹き込みにより、塩酸蒸気の分圧を下げることがで
き、400℃以上では再塩化は実用上問題ないレベルに
低下させることができる。
【0061】こうしたことから、(6)の固気分離工程
では400℃から600℃の範囲で行う必要がある。こ
の条件において固気分離を行うためには、セラミックフ
ィルターが最適である。
【0062】このような方法で製造された複合酸化鉄微
粒子は粗大粒子をほとんど含まずに平均粒子径0.1μ
m以上となっているという大きな特徴を持っているが、
これはX線回折法での解析結果がスピネル以外のピーク
を全く持たないということのほかに、粉体の飽和磁化値
が非常に大きいという際だった特徴がある。
【0063】フェライトの飽和磁化値は、組成によって
変化するので、同じ組成で比較する必要がある。そこ
で、複合酸化鉄微粒子の飽和磁化比を次の様に定義し
た。 飽和磁化比(%)=(粉体飽和磁化値(emu/g)/焼成飽
和磁化値(emu/g))×100 ここで焼成飽和磁化値は、その粉体に一切添加物を混ぜ
ずにプレス成型した後に焼成し、十分に結晶粒を成長さ
せた焼成体の飽和磁化値である。
【0064】本発明の複合酸化鉄微粒子ではこの飽和磁
化比が70%以上である。平均粒径が0.1μm未満の
細かい微粒子では70%以上にはならず、また平均粒径
が大きくても粗大粒子がある程度以上混ざっているとこ
れまた飽和磁化比が70%以上にはならない。ちなみに
一般に用いられる仮焼粉はこの比が10%以下である。
【0065】複合酸化鉄微粒子はソフトフェライトの中
間原料となるものであるが、本発明の複合酸化鉄微粒子
は粉体の状態でその結晶構造が最終的なフェライトと同
一であるだけでなく、磁気特性の面でも最終的な値に近
いため、成形するだけでもフェライトになるといっても
過言ではない。実際には焼成しないと密度が十分に上昇
しないが、焼成温度パターンは結晶粒の制御のみを考慮
すればよく、容易に理想的なフェライトが得られる。
【0066】また成形性についても、平均粒径が0.1
μm未満のものでは成型密度を高くするために特殊な方
法が必要であったが、本発明の複合酸化鉄微粒子では通
常の成型方法で容易に成形密度を高くすることができ
る。
【0067】さらに、粗大粒子が多く混ざっている場合
には焼成時に異常粒成長を起こし磁気特性を悪化させる
原因となるが、本発明の複合酸化鉄微粒子においては異
常粒成長は全く生じず、常に均一な結晶粒を持つフェラ
イトが製造できる。
【0068】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明する。図7は本発明の実施に用いられる焙焼反応
炉である。炉体1の上部にはバーナー2が設けられてい
る。バーナー2は略円柱状をなし、その中央部には上下
に貫通する塩化物混合水溶液通路3が形成されており、
その下端には噴霧ノズル4が設けられている。バーナー
2の塩化物混合水溶液通路3の周囲には複数の燃料ガス
通路5が形成されており、さらにその外側には複数の燃
焼用空気通路6が設けられている。
【0069】このように構成される焙焼反応炉において
は、燃料ガス通路5から噴出された燃料ガスと燃焼用空
気通路6から噴出された空気とによって燃焼炎7を形成
する。それと共に、主要金属成分の塩化鉄を所定の割合
で混合した水溶液に適量の塩酸を添加して混合塩化物水
溶液を調製し、その水溶液を塩化物混合水溶液通路3に
通流させて、噴霧ノズル4から燃焼炎7の中心にその放
射方向と同じ方向に沿って噴霧させる。
【0070】ここで、燃料ガスは40%以上の水素を含
む強還元性のガスであり、燃焼用空気量は理論燃焼空気
量よりも過剰となっており、燃焼炎7の内側部分8は還
元雰囲気、外側部分9は酸素および水蒸気により酸化性
雰囲気となっている。
【0071】そして、燃焼炎および液滴噴霧状態を制御
することにより、燃焼炎7の内側部分8において噴霧液
滴の水分を完全に蒸発させて塩化物とし、かつこの塩化
物を略完全に蒸発させる。
【0072】蒸発した塩化物が酸化性雰囲気の外側部分
9に達すると、酸素と水蒸気とにより酸化反応が生じる
が、この際に気相成長により複合酸化鉄微粒子が形成さ
れる。気相成長の場合、粒径は原料蒸気の分圧、反応温
度での滞留時間等によって決定されるから、燃料ガス
量、噴霧液量、炉内の滞留時間によりこれらを制御する
ことにより、平均粒径が0.1μm以上の複合酸化鉄微
粒子を得ることができる。
【0073】次に、このようにして生成された複合酸化
物微粒子、燃焼ガス、反応生成ガスからなる混合流を図
7に示す反応炉の下流側に設けられている回収部(図示
せず)へ導入し、400〜600℃の範囲の温度でセラ
ミックフィルターにより混合流の固気分離を行い、ガス
流から製品となる微粒子を分離回収する。このようにし
て、平均粒径が0.1μm以上で飽和磁化比が70%以
上の均一な複合酸化鉄微粒子が得られる。
【0074】
【実施例】マンガン亜鉛系用複合酸化鉄微粒子の製造例
を以下に示す。各塩化物の水溶液を混合して、FeCl
2 :MnCl2 :ZnCl2 のmol比が、71.5:
23.0:5.5となり、総塩化物濃度が140g/l
になるように調整し、さらに塩酸を加え、HCl濃度を
2g/lに調整したものを原料液として使用した。反応
炉の上部に取り付けた、燃料ガス通路を内側に燃焼用空
気通路を外側に配置したバーナーで、水素60%を含
み、発熱量が約5000kcal/Nm3 のガスを燃料
ガスとして燃焼させ、拡散燃焼炎を形成した。燃焼用空
気は理論燃焼空気量の5%増しとした。
【0075】このバーナーの中心から燃焼炎と同方向に
原料液を120l/hで噴霧することにより反応を生じ
させた。以上のような実施例に対し、比較例1では捕集
温度を低くし、比較例2では燃料ガスおよび燃焼用空気
を3割減らし、比較例3では燃料ガスおよび燃焼用空気
を5割増して複合酸化鉄微粒子を製造した。その際の温
度条件、ならびに生成された粒子の粒径および飽和磁化
比を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】反応炉温度を950℃に保ち、捕集温度を
500℃にした実施例においては、平均粒径が0.11
μmで粒度分布が比較的狭い微粒子が得られた。この実
施例では飽和磁化比が非常に高く、85%にも達した。
金属元素の組成比はFe:Mn:Znが原子数比で7
1.0:22.9:6.1と原料液に対して亜鉛が約1
割増加した。これは反応炉内に理論生産量に対して重量
比で約10%相当の付着が発生し、この付着物中に亜鉛
が含まれないために製品の亜鉛濃度が高くなってしまっ
たものである。気相成長法の場合には、拡散が速いた
め、積極的な付着防止策を施さない限り、反応炉内壁に
ある程度の付着が発生する。逆に冷却用希釈空気の効果
で捕集フィルターへの導入路では運転の初期に少量の付
着が発生するだけであった。
【0078】比較例1では捕集温度が低いために再塩化
反応が著しく多く起こり、製品中の塩素濃度は6%にも
なった。塩化物がこれほど多いと全く使用できないが、
このような場合にも飽和磁化比が低くなっているので、
飽和磁化比による複合酸化鉄の評価は精度が高いという
ことができる。
【0079】燃料ガスおよび燃焼用空気を3割減らした
比較例2では、反応炉温度が比較的低く、また燃焼炎も
小さいため、燃焼炎内で塩化物の蒸発が完了せず、気相
成長でない粗大粒子が製品中に多く混入した。この場合
には、平均粒径は大きくなるが、飽和磁化比が極端に低
くなった。
【0080】比較例3は、燃料ガスおよび燃焼用空気を
5割増やすことにより、反応炉温度を高くするととも
に、塩化物が蒸発した後の蒸気分圧を下げた例である。
この場合の製品は飽和磁化比も高く、電子顕微鏡観察で
は粒度分布の狭い非常に均一な微粒子であった。しかし
平均粒径が小さいために、造粒時のスラリー粘度が10
00mPa・s以上となり、実用的なフェライト中間原
料ではなかった。一方、実施例の製品は、スラリー濃度
50wt%、分散剤0.3wt%、バインダー1.5w
t%の条件で、スラリー粘度が55mPa・sであっ
た。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
磁気特性が良好でしかも、粒度が大きくかつ均一な複合
酸化鉄微粒子およびその製造方法が提供される。具体的
には、平均粒径が0.1μm以上で飽和磁化比が70%
以上の均一な複合酸化鉄微粒子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェライトを生成する際に考慮すべき反応式の
自由エネルギー変化を温度に対してプロットしたグラ
フ。
【図2】フェライトを生成する際に考慮すべき反応式の
自由エネルギー変化を温度に対してプロットしたグラ
フ。
【図3】フェライトを生成する際に考慮すべき反応式の
自由エネルギー変化を温度に対してプロットしたグラ
フ。
【図4】フェライトを生成する際に考慮すべき反応式の
自由エネルギー変化を温度に対してプロットしたグラ
フ。
【図5】素反応ビーカー試験を説明するための図。
【図6】複合反応ビーカー試験を説明するための図。
【図7】本発明を実施するための焙焼反応炉の概略構成
を説明するための図。
【符号の説明】
1……炉体 2……バーナー 3……塩化物混合水溶液通路 4……噴霧ノズル 5……燃料ガス通路 6……燃焼用空気通路 7……燃焼炎 8……内側部 9……外側部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/34 B (72)発明者 渋谷 佳樹 東京都千代田区丸の内二丁目3番2号 鋼 管鉱業株式会社内 (72)発明者 井上 辰雄 東京都千代田区丸の内二丁目3番2号 鋼 管鉱業株式会社内 (72)発明者 坂口 央 東京都千代田区丸の内二丁目3番2号 鋼 管鉱業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相成長により得られた、鉄、ならびに
    マンガン、亜鉛、ニッケルおよび銅のうち一種または二
    種以上の金属の複合酸化鉄微粒子であって、 平均粒径が0.1μm以上であり、 その微粒子の飽和磁化値の、その微粒子を焼結して得ら
    れるフェライトの飽和磁化値に対する比が70%以上で
    あることを特徴とする気相成長複合酸化鉄微粒子。
  2. 【請求項2】 塩化鉄水溶液とマンガン、亜鉛、ニッケ
    ル、銅のうち一種または二種以上の金属塩化物水溶液と
    を混合して得られた原料液を噴霧し、噴霧された液滴に
    燃料ガスの燃焼炎の熱を直接与えることにより酸化反応
    させるとともに気相成長させて複合酸化鉄微粒子を製造
    する方法であって、 前記金属塩化物水溶液を所定の割合で混合した後に所定
    量の塩酸を添加し、混合塩化物水溶液を調整する工程
    と、 燃料ガスを内側部から噴射し、燃焼用空気をその外側か
    ら噴射するバーナーによって燃焼炎を形成するととも
    に、この燃焼炎の中心に、この燃焼炎の方向と実質的に
    同方向に前記混合塩化物水溶液を噴霧する工程と、 これにより生成した微粒子、燃焼ガス、反応生成ガスか
    らなる混合流に、希釈冷却用空気を吹き込み、微粒子が
    流路内壁に付着または堆積することを防ぎつつ混合流を
    回収部へ導入する工程と、 400℃以上600℃以下の範囲の温度で前記混合流の
    固気分離を行い、ガス流から製品となる微粒子を分離回
    収する工程と、を具備し、 前記燃料ガスは水素を含む強還元性のガスであり、燃焼
    用空気量は理論燃焼空気量より過剰であり、燃焼炎およ
    び液滴噴霧状態を制御することにより、前記噴霧液滴の
    水分が燃焼炎の内側の還元性雰囲気の中で実質的に完全
    に蒸発されて塩化物となり、この塩化物が略完全に蒸発
    してから燃焼炎の外側の酸化性雰囲気部分に達し、その
    中の酸素と水蒸気により酸化反応する際に、気相成長に
    よって複合酸化鉄微粒子が生成されることを特徴とする
    気相成長複合酸化鉄微粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 塩化鉄水溶液とマンガン、亜鉛、ニッケ
    ル、銅のうち一種または二種以上の金属塩化物水溶液と
    を混合して得られた原料液を噴霧し、噴霧された液滴に
    燃料ガスの燃焼炎の熱を直接与えることにより酸化反応
    させるとともに気相成長させて得られた気相成長複合酸
    化鉄微粒子であって、 平均粒径が0.1μm以上であり、 その微粒子の飽和磁化値の、その微粒子を焼結して得ら
    れるフェライトの飽和磁化値に対する比が70%以上で
    あることを特徴とする気相成長複合酸化鉄微粒子。
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Cited By (4)

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