JP3032098B2 - ソフトフェライト原料粉及びそれらの製造方法と装置 - Google Patents

ソフトフェライト原料粉及びそれらの製造方法と装置

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JP3032098B2 JP5073683A JP7368393A JP3032098B2 JP 3032098 B2 JP3032098 B2 JP 3032098B2 JP 5073683 A JP5073683 A JP 5073683A JP 7368393 A JP7368393 A JP 7368393A JP 3032098 B2 JP3032098 B2 JP 3032098B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はソフトフェライト原料粉
及びそれらの製造方法と装置に関し、更に詳しくは、ソ
フトフェライト原料粉及びフェライトを構成する金属元
素の塩化物を含む溶液を噴霧焙焼して一気にフェライト
粉体を製造する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源等に用いられるパワー
トランスは、近年、小型・軽量化が求められており、そ
のため駆動周波数が従来の100KHzから500KH
z以上の高周波領域に拡がりつつあり、将来的にはMH
z領域での適用が考えられている。しかしながら、電力
損失のうち高周波領域で特に問題となる過電流損失は、
駆動周波数の2乗に比例するため、周波数の増加により
電力損失が増大し、発熱が無視できない大きさとなる。
このような問題を解決するためには、種々の解決法が今
迄提案されて来た。その中で、高特性を発現するために
必要なソフトフェライト焼結体は、結晶粒子個々の組織
変動が少なく、しかも不純物の少ない高密度化した微細
構造を有することにある。
【0003】特に焼結体の粒径を小さくすることが効果
的であることから、例えば、特開平1−224265号
公報で知られているように、焼結体の平均結晶粒径を5
μm以下とすることにより電力損失を改善している。低
い動力損失、高飽和磁束密度等の優れた特性の焼結体を
得るためのソフトフェライト原料粉は、不純物が少な
く、成分の均質な、粉体の粒度分布が狭く、微粒子であ
ることが求められており、改善、開発が継続されている
のが実状である。
【0004】また、現在、ソフトフェライト原料の酸化
鉄の製法の一つとして、鉄鋼の酸洗廃液を噴霧熱分解す
る方法があり、この際に、酸洗廃液中にフェライトを構
成する各種金属イオンを混合しておけば、噴霧熱分解に
よりフェライト粉体が得られる。但し通常の噴霧熱分解
法では、亜鉛のような蒸気圧の高い成分は蒸発し、均質
な組成が得られていない。特開昭55−144421号
公報によると、ソフトフェライト原料粉体として高温熱
分解特性の安定しているFe及びMnイオンを混合し、
噴霧熱分解(焙焼)により、Fe−Mnを所定の組成で
含む混合酸化物を製造し、その後酸化亜鉛粉末を混合
し、粉砕、造粒、成形、焼成し、ソフトフェライト焼結
体を製造している。
【0005】一方、Znを含むソフトフェライト原料用
粉末複合酸化物を製造する方法として特開昭63−15
6017号公報のように、フェライト原料を所定の組成
で含む塩化物溶液を流動焙焼炉に噴霧し高温酸化反応を
行わしめ、分解生成物と共に取り出し、集塵機でソフト
フェライト原料粉体を回収する方法である。また、特開
昭63−156017号公報の改良として、特開平1−
192708号公報で知られているように、還元物質を
殆ど、または全く含有しない高温度の高速ガス流と、原
料金属塩化物の混合溶液を噴霧混合して急速に所定の焙
焼温度に保つと共に、原料並びに分解生成物の流れを熱
ガス流と並流的に同伴させつつ金属塩化物混合物の分解
を行う方法の開示がある。
【0006】また、塩化物溶液の精製としては、特開昭
63−315522号公報で知られているように、塩化
鉄溶液を焙焼して塩酸と酸化鉄粉を回収するプロセスに
おいて、塩化鉄水溶液をこのプロセスで発生する焙焼ガ
スと接触させて加熱濃縮して塩化鉄水溶液中のSi成分
を不溶化せしめ、次いでこの溶液に鉄を加えて液のpH
を1〜3の範囲で遊離酸を消費せしめて、液中のAl,
Cr,Cu及びP成分の大部分を不溶化せしめ、不溶化
物を分離除去する塩化鉄水溶液の精製方法にある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一方、ソフトフェライ
ト原料用粉末複合酸化物の製造する方法としての特開昭
63−156017号公報は、フェライト原料を所定の
組成で含む塩化物溶液を流動焙焼炉に噴霧し高温酸化反
応を行わしめるもので、流動焙焼炉はその構造上、原料
溶液を噴霧後の反応時間の厳密な制御が出来ず、ソフト
フェライト原料粉の粒径、組成のミクロ的均質性は従来
法に比べ改善されているものの、必ずしも十分では無
い。
【0008】特開平1−192708号公報は、Znの
ような揮発性の高い原料を用いる場合は、還元物質を殆
ど、または全く含有しない高温度の高速ガス流と、原料
金属塩化物の混合溶液を噴霧混合して急速に所定の焙焼
温度に保つと共に、原料並びに分解生成物の流れを熱ガ
ス流と並流的に同伴させつつ分解させることで、反応時
間を制御し、製品であるソフトフェライト原料粉が均質
な粒径、均質な成分を具備する方法ではあるが、しか
し、この発明は水蒸気を含む酸化性雰囲気下で焙焼する
との規定を除き、原料の噴霧方法、噴霧液滴の制御、一
定時間反応後の水等による急冷など、製品ソフトフェラ
イト原料粉の粒径及び成分を制御する必須条件が規定さ
れていない。これらの条件の規定がなされない場合、噴
霧焙焼による熱分解、高温酸化が不完全となり、未分解
物或いは反応生成物の塩化反応により、1〜3%もの塩
化物を残留したり亜鉛の揮散を招く。また、噴霧液滴の
制御が不完全な場合は生成酸化物粉体の粒径のバラツキ
を引き起こす等Fe,Zn,Mn系のソフトフェライト
原料粉製造方法としての課題を残している。
【0009】一方、焙焼炉に関する装置に関連した提案
がされている、特開昭63−315522号公報、特開
平1−192729号公報、特開平1−192731号
公報等が提案されているがこれらの方法はいずれも酸化
鉄を対象としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、噴霧焙焼時にH2 O及びO2 の量を所定の範囲に
し、焙焼後速やかにH2 O及び/又はO2 を含有する冷
媒で急冷することで、充分に酸化反応した残留塩素分の
極めて少なく、かつZnの揮散が殆ど無いソフトフェラ
イト原料粉が得られる噴霧焙焼方法及びその装置を提供
せんとするものである。その発明の要旨とするところは
以下の通りである。
【0011】理想的なソフトフェライト焼結体製造の必
要条件である、高純度で組成が均質、粉体の粒度分布が
シャープ、かつ粒径が微小なソフトフェライト原料粉を
高温酸化法によって大量生産可能とすること。また、こ
のソフトフェライト原料粉をそのまま或いは、所謂ビル
ドアップ法により所定の粒径にしたものを用い、必要な
特性を持つ高性能なソフトフェライト焼結体を提供出来
る。従来の所謂ブレークダウン法によるソフトフェライ
ト原料粉では達成が困難であったソフトフェライト焼結
体の微細構造制御も該ソフトフェライト原料粉の均質な
焼結特性故にHIP等の特殊な方法を用いることなく実
現出来る。
【0012】 その具体化した内容については、(1) Fe,Mn及びZnを塩化物の形で混合し、噴霧
焙焼法によりソフトフェライト原料粉を製造する方法に
おいて、噴霧ノズルより噴霧される噴霧液滴粒径を20
0μm以下とし、かつ噴霧焙焼後直ちに10秒以内に酸
露点以上400℃以下にH2 Oおよび/又はO2 を含む
冷媒で冷却することを特徴とするソフトフェライト粉体
の製造方法。
【0013】(2) 濃縮工程を経て、噴霧焙焼工程に供
給される原料塩化物溶液中に含まれる第2鉄イオンを鉄
以外のフェライト構成元素であるMn,Znを加え、当
量以上の塩酸を保持しながら第一鉄イオンに還元し、し
かる後さらに必要量の鉄以外のフェライト構成元素であ
るMn,Znを加え、存在する遊離酸を減少させ、pH
を1〜4に調整し、該溶液中に空気等酸素含有気体を投
入し、Feの酸化物を生成させると共に、更にゲーサイ
ト等既成の鉄酸化物を投入し、不純物を吸着除去し、P
及びCr不純物を抑制しとことを特徴とする請求項4記
載の三元系塩化物溶液の製造方法。
【0014】(3) Fe,Mn及びZnを塩化物の形で
混合し、噴霧焙焼法によりソフトフェライト原料粉を製
造する方法において、反応温度を600℃以上に保ちな
がら、反応中のH2 Oモル分圧が5%以上で、かつO2
モル分率を2%以上とした後、酸露点以上400℃以下
に10秒以内に急冷することを特徴とするソフトフェラ
イト原料粉の製造方法にある。
【0015】 以下本発明について図面に従って詳細に説
明する。図1は酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛粉末の
所定量を粉砕混合し、ソフトフェライト原料粉末の主要
三成分(Fe−Mn−Zn)のミクロ偏差を示す。図1
(A)は本発明によるソフトフェライト原料粉末の主要
三成分(Fe−Mn−Zn)のミクロ偏差を示し、ま
た、図1(B)は従来のソフトフェライト原料粉末の主
要三成分(Fe−Mn−Zn)のミクロ偏差を示す。組
成分析は0.16μm毎にスキャンされるコンピュータ
ー処理されたX線マイクロアナライザーによって実施し
た。
【0016】 本分析結果によれば、本発明の偏差は従来
の偏差に比較して、Fe2 3 では1/7〜1/6、M
nOで1/10〜1/4、ZnOで1/8〜1/3に改
善されているのが判る。これは本発明のソフトフェライ
ト原料粉の均質性を明確に示している。しかも、本発明
のソフトフェライト原料粉は、従来微小で均質なソフト
フェライト原料粉を得る方法であった水熱合成法に比べ
格段に量産性に優れる方法により製造される。
【0017】 先ず、本発明に係わるソフトフェライト原
料粉の粒径を0.1μm以下とした理由を以下に示す。
良く知られているように、結晶粒子間の組織バラツキの
小さい焼結体を得るためには原料粉体粒子の組織が均質
であり、しかも粒子径が微細でその分布もシャープであ
ることが必要となる。焼結体が微細構造になるほど、原
料粉の粒径が小さいことが高周波対応のソフトフェライ
ト焼結体製造の要件の一つとなる。また、粉体の粒子径
が小さいほど、その表面エネルギーが増加し反応性が高
まることも良く知られているが、あまりに反応性が良す
ぎると、焼結反応の進行の過程で気泡が結晶粒内にトラ
ップされ、健全な焼結体が得られないと言われている。
しかし、本発明の0.1μm以下の原料粉は、X線囘析
の面積比率で95%以上のスピネル化率が確保されてお
り、ヘマタイトへの分解によるミクロ的な焼結反応不均
質性を示すことはない。
【0018】 この原料粉をそのまま或いは必要な場合は
ビルドアップして、任意の粒径の組織、粒径、結晶構造
の均質な、言え換えると焼結反応特性の優れたソフトフ
ェライト原料粉となる。図2は、ソフトフェライト原料
粉の粉砕条件を、原料粉、粉砕(分散)用のメディア
量、時間を考慮した指標として横軸とし、粉砕(分散)
結果を比表面積として縦軸に示したものである。酸化
鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛を原料とするもので、通常
のソフトフェライト原料粉の特性とともに、本発明によ
るソフトフェライト原料粉に、200℃、400℃、8
00℃の熱処理を実施し、粒成長(ビルドアップ)させ
たものを、一定時間湿式分散装置で処理した場合の粒径
の変化を、吸着法で測定した比表面積で示したものであ
る。
【0019】 処理時間とともに粒径が小さく(比表面積
が大きく)なるが、粒径の変化率はある一定の粉砕エネ
ルギーの投入以上で急激に高くなる。これは従来法のソ
フトフェライト原料粉で顕著に出ているが、過粉砕によ
る極微粉の発生と粒度分布の悪化に対応している。また
通常法は粉砕の初期から、粒径の変化率が本発明に比べ
大きい。酸化鉄、酸化マンガン、酸化亜鉛粉体を原料と
して用いた、所謂ブレークダウン法によるソフトフェラ
イト原料粉の粒径制御の限界を示している。これに対し
て、本発明は0.1μm以下の原料粉をベースとして2
00℃から800℃の処理の例に示すように、所謂ビル
ドアップによる必要な粒径への増大が容易に出来る。ま
た、ビルドアップされた粉は緩い凝集体であり、短時間
処理で粒径分布のシャープな原料粉となる。更に、異常
な極微小粉の発生を抑制出来る粉砕エネルギー投入範囲
も広く、目的のソフトフェライト原料粉の造り分けが容
易に出来る。
【0020】 すなわち、0.1μm以下の微小粉から通
常仮焼粉と同等な粒径まで理想的なソフトフェライト焼
結体製造の必要条件を満たしたソフトフェライト原料粉
を提供出来るのが本発明の特徴である。Fe,Mn及び
Znの比率がFe2 3 換算で65〜85wt%、Mn
O換算で10〜30wt%、ZnO換算で2〜25wt
%の範囲の組成を保ち、かつその組成偏差がミクロ的に
均質で、微量成分としてのP,Crの含有量がP≦20
ppm、Cr≦50ppmであることがソフトフェライ
ト原料粉として必要とされる。図3及び図4に示すよう
に、燐の20ppm以下への抑制及びクロムの50pp
m以下への抑制が高飽和磁束密度、低電力損失等良好な
電磁特性を発現するソフトフェライト焼結体製造用原料
の必要条件であることがわかる。
【0021】 本発明のFe,Mn及びZn塩化物水溶液
の高温酸化反応(噴霧焙焼)によるソフトフェライト原
料粉製造は概略次の過程を経て進行する。 (1)金属塩化物水溶液の焙焼炉中への噴霧と高温酸化
反応の進行、 (2)反応生成物のFe−Mn−Zn三成分系金属酸化
物、塩化水素ガス及び水蒸気等の混合物が共存、 (3)Fe−Mn−Znを含む三成分系金属酸化物の塩
化水素ガスからの分離回収、 すなわち、残留塩化物を抑制する高温酸化条件、塩化水
素と共存状態でのFe−Mn−Zn三成分系金属酸化物
の塩化反応を抑制した状態での金属酸化物と塩化水素ガ
スの分離が必要となる。
【0022】 また、金属塩化物からのO2 及び/又はH
2 Oによる金属塩化物への分解、酸化反応は以下の式が
考えられる。 (a)MCl2 +(y/2x)O2 →(1/x)M
X Y +Cl2 (b)MCl2 +(y/x)H2 O →(1/x)M
X Y +2HCl+[(y/x)−1]H2 (c)MCl2 +[(y−x)/2x]O2 +H2
→(1/x)MX Y+2HCl 但し、MはFe,Mn,Zn等二価の金属元素を示す。
【0023】 なお、(a)反応の標準生成自由エネルギ
ーを図5に示す。図5の▲印及び◇印の塩化鉄の酸化反
応は容易に進む可能性があることを示し、工業的にも塩
化鉄結晶の空気中での酸化焙焼による高純度酸化鉄生成
に利用されている。また図5の■印はマンガン塩化物の
空気中酸化焙焼によるマンガン酸化物生成の可能性を示
す。塩化物水溶液の焙焼による分解・酸化反応は(b)
及び/或いは(c)であると考えられる。 (b)反応の標準生成自由エネルギーを図6に示す。相
対的に言うと、(b)反応においてもFe塩化物の酸化
が最も進み易い可能性があることを示し、Mnが最も酸
化し難い可能性を示す。 (c)反応の標準生成自由エネルギーを図7に示すが、
Fe塩化物の酸化は容易に進む可能性を示し、Mn塩化
物の酸化はFeより明らかに、進み難い可能性を示す。
但し、Mn塩化物の酸化反応は(b)式より、(c)式
による方がやや進み易い可能性を示す。
【0024】 塩化第一鉄(FeCl2 )水溶液の焙焼に
よる酸化鉄(Fe2 3 )の生成については、未分解の
残留塩化鉄もなく、安定した反応であり、工業的にも鉄
鋼廃酸の焙焼処理によるHCl回収と副産物としてのF
2 3 回収は広く行われており、平衡論の検討を支持
する。Fe2 3 はHCl環境下での安定性にも優れて
おり、塩化反応が殆ど起こらない。また、Fe2 3
他の金属の混合物(例えばMnFe2 4 ,MgFe2
4 ,CuFe2 4 )を350℃以下で、1%HCl
−N2 で反応させても、鉄成分は酸化鉄単独の場合と同
様に塩化せず、他の金属が2価の金属塩化物を生成する
ことも酸化鉄(Fe2 3 )の対塩化水素ガス安定性を
示す(日本化学会誌1977No11 1728〜17
36)。すなわち、平衡論的検討及び実際の反応の両面
から、Fe−Mn−Zn三成分系金属酸化物の生成反応
においては、マンガン及び亜鉛塩化物の酸化反応促進と
生成物のうちマンガン及び亜鉛の酸化物が共存する塩化
水素と反応し再び塩化物となることを防止することが要
諦となる。
【0025】 本発明の第2の発明である噴霧ノズルより
噴霧される噴霧液滴径を200μm以下とし、かつ噴霧
焙焼後直ちに10秒以内で酸露点以上400℃以下にH
2 O及び/又はO2 を含む冷媒で冷却することについ
て、図8及び図9に従って説明する。図8は噴霧焙焼か
ら冷却までの時間とZnO偏差、すなわち液組成と反応
生成物のZn含有量の差異をZnO換算で示した相関図
である。噴霧焙焼から冷却までの時間が長くなればなる
程ZnO偏差が増大することが判る。これは焙焼後粉体
を高温度に保ったまま、塩素及び/又は塩化水素ガス中
に長時間放置すると生成酸化物粉体中の亜鉛部分が塩化
物に変化し、残留塩化物の増加或いはZnO偏差を増大
させる等と考えられる。従って反応終了後400℃以下
に冷却し実用的な意味で反応を停止させることが必要で
あり、この時間は10秒以内である。
【0026】 ZnO偏差の発生は、亜鉛塩化物の蒸気圧
が高いことも原因の一つであるが、H2 O及び/又はO
2 を含有冷媒での冷却時にZnCl2 が殆ど蒸気となら
ない400℃以下への急冷が高蒸気圧原因による偏差を
防止する要件の一つとなる。急冷後雰囲気中の塩化水素
が結露により塩酸となると、急速に酸化物を塩化物化し
残留塩化物の増加に繋がることから、酸露点以上を確保
する必要がある。図5は全ガス量中に占める冷媒中のH
2 O及び/又はO2 のモル分率と全Zn中のZn酸化物
のモル分率の関係を示す。全ガス量中に占める冷媒中の
2 O及び/又はO2 のモル分率が小さい程Znの酸化
が進行しないことが判る。全ガス量中に占める冷媒中の
2 O及び/又はO2 のモル分率は高い程良いが3%以
上あれば実用上問題無いレベルとなる。
【0027】 表1はFe−Mn−Zn塩化物水溶液を焙
焼した場合の塩化物濃度を粉体のサンプリング過程での
酸化及び再塩化反応を抑制した特殊なオンラインサンプ
リング装置を用いて採取した粉体の化学分析値を示す。
【0028】
【表1】
【0029】単なる熱交換或いはN2 等による冷却では
なく、H2 O及び/又はO2 を含有する冷媒による冷却
を焙焼後直ちに実施することで残留塩化物、特に亜鉛塩
化物が減少することを表1及び図9が示している。表1
の中でMn塩化物が急冷後も変化しないのは、急冷時点
での温度が低すぎるためで、H2 O及び/又はO2 が反
応に必要な量存在しても十分反応が進んでいないものと
考えられる。噴霧液滴径が200μm以上あると、生成
酸化物の凝集粒子の発生が増え、粒径毎に反応領域での
滞留時間が異なり図8に示す理由でZnO偏差の増大原
因となる。
【0030】 従って、噴霧液滴径が200μm以下と
し、噴霧焙焼後速やかにH2 O及び/又はO2 含有冷媒
で400℃以下に冷却すること、この時間は60秒以内
好ましくは10秒以内で冷却を完了すること、さらに、
回収粉を酸露点以上に保持すること等が塩化物の酸化反
応の促進及び生成酸化物が共存する塩化水素と反応し再
び塩化物となり昇華する等に繋がりZnO偏差原因を抑
制する必須条件である。
【0031】 図10は本発明に係る実施装置の概略説明
図である。符号1は噴霧焙焼炉を示し、竪長円筒型の耐
火物を内張りした炉を用い、この噴霧焙焼炉1に近接し
てクエンチャー4を配設し、このクエンチャー4は、通
路3を介して噴霧焙焼炉1の下部に連結され、該クエン
チャー4の上部には噴霧焙焼後直ちに急冷可能なクエン
チャーノズル2がクエンチャー4の円周方向に配設され
た構造からなる。一方原料である塩化物混合液を噴霧す
る原料噴霧ノズル5は噴霧焙焼炉の炉頂部円周方向に中
央バーナー6を囲繞するように配設されている。このよ
うに中央バーナー6と原料噴霧ノズル5を並列的に配設
することによって、中央バーナーに直接原料噴霧ノズル
からの水溶液が噴霧されることがないように構成されて
いる。そのため燃焼炎が急冷されることはなく、中央バ
ーナーの周囲から並流的に原料混合液が燃焼完了後のガ
スと混合することになる。
【0032】 これにより混合を良くするための高速のガ
ス流が得られ、また、原料塩化物の混合液は噴霧ノズル
5から炉内に高速高温ガス中に噴霧される。この際の噴
霧液滴最大粒径は200μm以下、好ましくは5〜15
0μmの範囲である。また、液滴の粒径は常温における
値である。噴霧された混合液は高温の旋回気流と急速に
混合し、蒸発潜熱と分解熱等によって、総合的に所定の
反応温度に保持され、金属塩の分解が行われる。この際
の反応温度は600〜1000℃好ましくは750〜9
00℃で行われる。600℃未満ではフェライトを目的
とするスピネル構造への結晶化が進み難くなること及び
滞留時間を長くしなければならず、長くすれば亜鉛スピ
ネルが再塩化して、亜鉛偏差が増大する。また、100
0℃を超えると原料に揮発性の物質が含まれるとき、気
化が速く、気相で分解して生成する生成物のH2 O及び
/又はO2 含有冷媒による急冷の適性時間が60秒より
も短くなる等が生じ問題がある。
【0033】 一方、滞留時間は前述のように、出来るだ
け短い方が良く、10秒以下好ましくは.0.1〜5秒
が良い。このようにして焙焼炉で金属塩の分解が行われ
た生成微粒子と高温ガスの混合物はクエンチャー4で焙
焼炉と同様、クエンチャー4の頂部円周方向にクエンチ
ャーノズル2を囲繞するように配設し、該クエンチャー
ノズル2から水が噴出されて冷却され、サイクロンや電
気集塵機(図示せず)等で生成微粒子がガスと分離され
捕集される。この際クエンチャー4においては、急冷後
吸着塩化水素が結露により塩酸となると、急速に酸化物
を塩化物化することになる。これを回避するため、クエ
ンチャー4内は酸、露点温度以上に保持され、また、塩
化水素は常法により回収され回収酸として使用される。
【0034】 更に、本発明に係る第3の発明は、噴霧焙
焼時にH2 O及びO2 の量を所定の範囲とし、焙焼後速
やかに急冷させることで、充分に酸化反応した残留塩素
分の極めて少ないソフトフェライト原料粉の得られる噴
霧焙焼方法にある。すなわち、反応中のH2 Oモル分率
が5%未満で、かつO2 モル分率が2%未満だと金属塩
化物、特に塩化マンガンの酸化反応に必要な酸素が確保
できなくなり、急激に噴霧焙焼後の粉体中の残留塩素分
が増加する。H2 Oモル分率が5%以上で、かつO2
ル分率が2%以上だと金属塩化物の酸化反応は充分行わ
れ、残留塩素分は実用上問題無いレベルとなる。
【0035】 この理由を以下に説明する。塩化鉄は前述
の如く分解、酸化反応が容易に進み、塩化亜鉛もH2
及び/又はO2 含有冷媒による急冷により、酸化の促進
及び/或いは再塩化反応を防止出来る。しかし、塩化マ
ンガンは酸化に必要なH2 O及び/又はO2 の充分な量
が存在していれば、噴霧初期の高温状態で酸化反応レベ
ルは慨ね決まってしまい、その後いくらH2 O及び/又
はO2 を変化させても酸化レベルの変化は小さい。表1
の急冷後の結果は焙焼反応中のH2 O及び/又はO2
度不足による未分解マンガン塩化物の残留と考えられ
る。
【0036】 更に、本発明に係る噴霧焙焼炉のバーナー
構造については、図11に示す、すなわち、図11は本
発明に係る複合酸化物フェライト粉体を製造するための
噴霧焙焼炉の概略断面図である。噴霧焙焼炉1の炉頂部
には中央バーナー6を設け、該中央バーナー6の円周方
向に3個以上の液噴霧用ノズル5を配設する。また、噴
霧焙焼炉1を竪型とし、その炉頂部の拡がり傾斜部の角
度をθとするときのθの値を、θ≦50°とする。この
範囲とした理由はθが50度を超えると、炉頂部の縦方
向の長さが増大して中央バーナーから放出された燃焼エ
アー旋回流の助走距離が長くなるため、旋回流の影響が
炉のノズル噴霧孔下方付近まで残留する。そのため、噴
霧された液滴は一度炉の中央部に集まるので、炉中央部
における液滴の密度が増し、液滴同志の合体頻度が増加
して液滴径は増大する。液滴径は増大化は、液滴の持つ
慣性力を大きくさせ、炉壁面への液滴の衝突を増長させ
るため、炉壁への付着を増加させる。それ故炉頂部の拡
がり傾斜部7の角度を50度以下と定めた。
【0037】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げて説明す
る。 実施例1 図10に示す焙焼炉を用いて、原料混合液として24%
濃度のFeCl2 を熱回収塔にて濃縮して40%とした
FeCl2 とMnCl2 及びZnCl2 を酸化物換算で
Fe2 3 :MnO:ZnO=68.4:27.8:
3.8(wt%)に調整した水溶液を噴霧用空気を用い
て常温における液滴最大粒径50μm〜150μmの溶
液として噴霧した。焙焼温度を800℃とし、400℃
までのクエンチ時間を2秒、10秒、及び比較例として
60秒、4時間とした。その結果を図8に示すがクエン
チ時間60秒、4時間の比較例は本発明法に比べて、亜
鉛の偏差が極めて増大し、特に4時間置いた粉中には亜
鉛は殆ど存在しなかった。クエンチ後の電気集塵機(E
P)から得られた複合酸化物の組成を分析した結果、そ
の組成はFe2 3 :MnO:ZnO=68.1:2
7.7:4.2(wt%)なるものを得た。
【0038】 実施例2 図10に示す焙焼炉を用いて、原料混合液として24%
濃度のFeCl2 を熱回収塔にて濃縮して40%とした
FeCl2 とMnCl2 及びZnCl2 を酸化物換算で
Fe2 3 :MnO:ZnO=68.4:27.8:
3.8(wt%)に調整した水溶液を噴霧用空気を用い
て常温における液滴最大粒径50μm〜150μmの溶
液として噴霧した。焙焼温度を800℃とし、400℃
までのクエンチ時間を5秒とし、O2 モル分率をH2
モル分率10%一定の基で2%、3%、5%、10%、
15%の場合とH2 Oモル分率をO2 モル分率7%一定
の基で3%、5%、10%、15%の場合の2ケースを
実施した。その結果を図12に示す。O2 2%、H2
5%以上であれば残留塩素量は実用上問題ないレベルと
なった。
【0039】 実施例3 図11に示す竪型噴霧焙焼炉において、竪型噴霧焙焼炉
頂部の拡がり傾斜部の角度θを10度から70度、中央
バーナーの円周方向に3個の液噴霧ノズルを配設した構
造の焙焼炉を用いて、初めに冷間噴霧を行った結果、図
13に示すようにθが50度を超えると平均液滴径は、
増大化する傾向にある。次に噴霧焙焼炉頂部の拡がり傾
斜部の角度θが30度と65度のものを用いて、熱間噴
霧試験を下記の条件で行ったところ、焙焼炉壁面の粉体
付着量はθが30度のときの方が65度のときに比べて
1/2以下であり、微粉で付着力の強い3元系ソフトフ
ェライト粉末にもかかわらず、炉内壁やノズル周辺への
粉体の体積、また、ノズル詰まりや炉内ガス流の乱れは
全くなく、極めて良好な安定した操業が出来た。また、
乾燥時間も極めて短縮され、安定したフェライト化のた
めの焙焼と歩留向上を図ることが出来た。なお、試験条
件は原料混合溶液としてFeCl2 300g/l、Mn
Cl2 80g/l、ZnCl2 40g/lの濃度からな
る水溶液を噴霧用空気(圧力5kg/cm2 ・G)の液
滴を、30m/secの高速ガスとして竪型炉内に吹き
込み焙焼温度800℃条件で反応を行った。
【0040】 実施例4 噴霧焙焼により得られたFe2 3 71wt%,MnO
22wt%,ZnO7wt%,SiO2 150ppm,
CaO600ppmの組成を有し、平均粒子径(TEM
観察による一次粒子径)が400Åのフェライト原料粉
を用いる。粉体を直接造粒成形後、1100℃超135
0℃以下の温度で既知の焼成雰囲気調整をしながら焼成
し異常粒成長の無い、結晶粒径が2μm超の焼結体を得
ることが可能となる。既存ソフトフェライト工程でその
まま用いる等、量産には成形性の改善等が必要な場合は
200℃〜900℃の粉体熱処理を施し、TEM或いは
SEM観察による一次粒子径を0.3〜1.0μm迄粒
成長させた後、焼結性に大きな影響を及ぼす凝集性を制
御する目的で粉砕(解砕)を施し、種々の平均二次粒子
径(マイクロトラック粒径:D50)を有するソフトフェ
ライト原料粉を得ることも出来る。
【0041】 図14は一次粒子径が0.3〜0.7μm
で種々の平均二次粒子径を有する。本発明のソフトフェ
ライト原料粉を用いたソフトフェライトコアと酸化鉄、
酸化マンガン、酸化亜鉛を原料とした従来法ソフトフェ
ライト原料粉から、既知の方法で焼成したソフトフェラ
イトコアの、飽和磁束密度及び電力損失を示す。コアの
焼成温度を1300℃とした結果、本発明の微小粉をベ
ースに所謂ビルトアップ法で製造した原料の広い粒径範
囲での高性能及び安定性を示す図であり、図14(A)
は飽和磁束度を、図14(B)は電力損失の関係を示
す。特に本発明によるソフトフェライト原料粉を約40
0℃で熱処理し粒成長させた原料粉を用い、平均二次粒
子径を1.1μm付近に制御した場合、HIP処理材に
匹敵する5.00g/cm3 の焼結密度で飽和磁束密度
10が550mTを超える殆ど気泡がなくかつ粒径の均
一な焼結体を得ている。
【0042】 実施例5 噴霧焙焼により得られたFe2 3 71wt%,MnO
22wt%,ZnO7wt%,SiO2 120ppmの
組成を有し、かつ、CaOの量を200ppmから26
00ppm迄変更したソフトフェライト原料粉と、従来
法で製造した同様の組成を持つソフトフェライト原料粉
について、既知の焼成雰囲気調整を行い1300℃で焼
成して得られたソフトフェライト焼結体の電磁特性を図
15に示す。図15(a)に測定条件100KHz−2
00mTでの電力損失を(b)には10KHzでの初透
磁率を示す。それぞれ横軸にはCaOの含有量をとっ
た。MnZn系ソフトフェライト焼結体の電力損失等に
ついて、主としてソフトフェライト焼結体結晶の粒界に
濃縮し渦電流損失を防止するために添加される。微量成
分の影響をそれぞれ示すが、本発明によるソフトフェラ
イト原料粉は、従来法に較べて広いCaO量で適正な電
磁特性を示す。言え換えると、広い微量成分添加範囲で
異常粒成長の無い適正なミクロ構造を持つソフトフェラ
イト原料体を得ることが出来る。SiO2 の添加量を変
えた場合も同様な傾向を示す。本発明のソフトフェライ
ト原料粉は約800℃で熱処理を行い、従来法によるソ
フトフェライト原料粉とほぼ同等の成形特性等を持つよ
うに、原料粉粒径のビルドアップを行い比較を行った。
【0043】 さらに、図15の電磁特性に示すように、
従来法では微量成分の増加と共に電力損失初透磁率と
も、本発明の原料粉を用いた場合に較べ、悪化代が大き
い。これは、従来法では原料粉の組成及び粒径のミクロ
的均質性等が劣るため、適正範囲を超える微量成分の添
加は、異常粒成長の起点となり易いことを示し、本発明
のソフトフェライト原料粉は粒径分布、組成等焼結反応
への影響因子が均質で、所定以上に結晶粒界形成元素を
添加した場合でも、健全な焼結体結晶が得られることを
示す。これらのことは、MHz帯へ対応する電源用ソフ
トフェライトコア等焼結体の結晶粒径及びその微細構造
をコントロールしながら、所定の電磁気特性を発現させ
る。ソフトフェライト原料粉として極めて適切な特性を
本発明のソフトフェライト原料粉が持つことを示してい
る。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように、従来プロセスで作成
した仮焼粉、所謂ブレークダウン法による仮焼粉は、過
粉砕による微粉の発生、固い凝集体の存在による成形体
不均質あるいは粉体、組成両面での従来法原料粉体のミ
クロ的不均質が、焼成結晶の異常粒成長を引き起こす等
で特性の悪化を招くが、本発明による原料粉を用いる
と、均質な焼成体を容易に得ることが可能となる。しか
も、所定の組成の本発明によるソフトフェライト原料粉
を用い、その成形体の焼成条件を制御することで最終的
な焼結体の結晶粒組織を任意にコントロール出来るとい
う他にない特徴がある。例えば本発明によれば高周波、
特にMHz領域での電力損失に優れたソフトフェライト
コアも安価に製造することが出来、高周波トランスの小
型化に極めて有効である。
【0045】 また、製造法においても、従来の噴霧焙焼
法に比較して、亜鉛を含む高蒸気圧物質の液組成に対す
る回収粉の成分偏差が極めて少なくなり、20wt%を
超える高いZn濃度を有するソフトフェライト原料粉
も、高温酸化反応時のH2 O及び/又はO2 分圧を所定
の値の保持すること及び酸素含有冷媒による急冷の効果
で容易に製造出来る。また、残留塩化物も減少させるこ
とが出来、焙焼後の成分調整及び脱塩素工程の負荷軽
減、更には工程の省略も可能となる。
【0046】 ソフトフェライト原料粉の視点では、従来
ソフトフェライトに必要な性能に応じて、原料酸化鉄、
酸化マンガン、酸化亜鉛等の品質グレードを変えてい
た。このため粉体特性が異なり、ソフトフェライトの品
質毎に、原料処理から仮焼条件、造粒成形条件等々ソフ
トフェライト製造方法を微妙に変える必要があった。本
発明のソフトフェライト原料粉は少なくとも粉体製造条
件は全てのソフトフェライト用に共通であり、成形、焼
成プロセスの工程管理が容易になる。また、主要成分を
一貫した製造プロセスで造り込むため不純物の含有量等
品質に応じて容易にコントロール可能である等プロセス
面からの利点もある。このように本発明を適用すること
で、大幅なコストダウンと共に品質の安定化及び高性能
化を同時に達成することが可能となり、実用上の効果は
極めて顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ソフトフェライト原料粉末の主要三成分(Fe
−Mn−Zn)のミクロ偏差を示す図、
【図2】ソフトフェライト原料粉の粉砕条件を原料粉、
粉砕(分散)用のメディア量、時間を考慮した指標を横
軸に、粉砕(分散)結果を比表面積を縦軸に示した図、
【図3】燐の含有量がフェライト原料粉に及ぼす影響に
ついての関係を示す図、
【図4】クロムの含有量がフェライト原料粉に及ぼす影
響についての関係を示す図、
【図5】金属塩化物のO2 による金属塩化物の酸化反応
の標準生成自由エネルギーを示す図、
【図6】金属塩化物のH2 Oによる金属塩化物の分解反
応の標準生成自由エネルギーを示す図、
【図7】金属塩化物のO2 及びH2 Oによる金属塩化物
の分解、酸化反応の標準生成自由エネルギーを示す図、
【図8】噴霧焙焼からクエンチまでの時間と液組成のZ
nO偏差との関係を示す直線図
【図9】冷媒のH2 O又はO2 モル分率とZn酸化物モ
ル分率との関係を示す図、
【図10】本発明に係る実施装置の概略説明図、
【図11】本発明に係る複合酸化物フェライト粉体を製
造するための噴霧焙焼炉の概略断面図、
【図12】H2 O、O2 モル分率と残留塩素との関係を
示す図、
【図13】炉頂部角度と平均液滴径との関係を示す図、
【図14】本発明と従来法によるソフトフェライトコア
の飽和磁束度及び電力損失を示す図、
【図15】1300℃で焼成して得られたソフトフェラ
イト焼結体の電磁特性を示す図である。
【符号の説明】
1 噴霧焙焼炉 2 クエンチャーノズル 3 通路 4 クエンチャー 5 原料噴霧ノズル 6 中央バーナー 7 傾斜部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松下 泉 東京都千代田区大手町2−6−3 新日 本製鐵株式会社内 (72)発明者 大森 惇二 東京都千代田区大手町2−6−3 新日 本製鐵株式会社内 (72)発明者 長田 昭一 東京都千代田区大手町2−6−3 新日 本製鐵株式会社内 (72)発明者 山名 芳隆 東京都千代田区大手町2−6−3 新日 本製鐵株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−51220(JP,A) 特開 平5−24849(JP,A) 特開 平2−289430(JP,A) 特開 昭60−166234(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 49/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe,Mn及びZnを塩化物の形で混合
    し、噴霧焙焼法によりソフトフェライト原料粉を製造す
    る方法において、噴霧ノズルより噴霧される噴霧液滴粒
    径を200μm以下とし、かつ噴霧焙焼後直ちに10秒
    以内で酸露点以上400℃以下にH2 Oおよび/又はO
    2 を含む冷媒で冷却することを特徴とするソフトフェラ
    イト粉体の製造方法。
  2. 【請求項2】 濃縮工程を経て、噴霧焙焼工程に供給さ
    れる原料塩化物溶液中に含まれる3価の鉄イオンを鉄以
    外のフェライト構成元素であるMn,Znを加え、当量
    以上の塩酸を保持しながら2価の鉄イオンに還元し、し
    かる後さらに必要量の鉄以外のフェライト構成元素であ
    るMn,Znを加え、存在する遊離酸を減少させ、pH
    を1〜4に調整し、該溶液中に空気等酸素含有気体を投
    入し、Feの酸化物を生成させると共に、更にゲーサイ
    ト等既成の鉄酸化物を投入し、不純物を吸着除去し、P
    及びCr不純物を抑制したことを特徴とするFe,Mn
    及びZnを含む塩化物溶液の製造方法。
  3. 【請求項3】 Fe,Mn及びZnを塩化物の形で混合
    し、噴霧焙焼法によりソフトフェライト原料粉を製造す
    る方法において、反応温度を600℃以上に保ちなが
    ら、反応中のH2 Oモル分率が5%以上で、かつO2
    ル分率を2%以上とした後、酸露点以上400℃以下に
    10秒以内に急冷することを特徴とするソフトフェライ
    ト原料粉の製造方法。
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