JP2003313093A - 単結晶セラミックス粉末、複合材料および電子部品 - Google Patents
単結晶セラミックス粉末、複合材料および電子部品Info
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Abstract
ス粉末を提供する。 【解決手段】 セラミックス成分からなる粉体をキャリ
アガスとともに加熱処理領域に供給する粉体供給工程
と、加熱処理領域に供給された粉体を単結晶化するのに
必要な温度まで加熱する加熱工程と、加熱処理工程で得
られた生成物を冷却することにより単結晶セラミックス
粉末を得る冷却工程とを経ることにより、球形度が0.
9以上で粒径が小さな単結晶セラミックス粉末を得るこ
とができる。
Description
粉末およびその製造方法に関するものである。
等のセラミックス粉末が多くの分野で使用されている。
例えば誘電体粉末として、チタン酸バリウムや酸化チタ
ン等は誘電性、圧電性および焦電性に優れ、磁器コンデ
ンサやフィルタ、センサ等の材料として用いられてい
る。セラミックス粉末を磁器コンデンサ用の材料として
使用する場合、誘電率が高く、損失の小さいものが望ま
れる。また磁性フェライト材料として使用する場合は、
損失が小さく、透磁率がフラットに高周波域まで伸びて
いるものが望まれる。これら特性はセラミックス粉末の
形状、粒径、純度、反応性等の物性に依存する。例え
ば、セラミックス粉末が多結晶や不定形の粉末である
と、局部的異常粒成長を起こしたり、組成の不均一を生
じやすくなり、磁気的特性や電気的特性の劣化を招くこ
とになる。したがってセラミックス粉末は結晶粒界や不
純物を有せず、単相であり、また単結晶であることが好
ましい。また、さらに優れた特性を得るため、セラミッ
クス粉末は2種類以上の金属と酸素の化合物であること
が好ましい。
有するセラミックス粉末は製造することが難しい。例え
ば固相反応法では、最終生成物の組成に対応した金属酸
化物の混合粉末を空気中や不活性ガス中で焼成すること
により、2種類以上の金属と酸素の化合物である金属酸
化物の誘電体を得ることができるが、単相の粉末を得る
ことが難しい。また、共沈法等の液相法では、金属塩の
水溶液或いは有機溶媒溶液から水和物などの金属酸化物
の前駆体(1次粒子)を製造し、この前駆体を空気中や
不活性ガス中で焼成してセラミックス粉末を得る。しか
し、結晶性に優れた誘電体粉末を得ることは難しく、ま
た金属酸化物の前駆体の結合が強く最終的に大きな塊と
して得られるため、誘電体粉末を得るためには焼成後の
誘電体を粉砕しなければならない。このようにして得ら
れる粉末では、個々の粒子の形状が不定形であり、また
粒度分布も広いものとなり、さらに不純物が混入する可
能性も高い。
布を改良した水熱合成法や気相反応法等も提案されてい
るが、いずれも生産性やコストの点で工業的に効率的に
製造することは困難である。また特開平7−33579
号公報には、溶液に原料を溶解させたものを加水分解や
共沈法等により酸化物の微粉末を形成し、微粉末を熱処
理して結晶化および粒子の成長をさせ、さらに得られた
ものに含まれるガラスを溶解除去し、粒径の揃った単結
晶粉末を得る方法が開示されている。しかし、この方法
では工程が複雑であり、工業的に量産するのが困難であ
る。
平均粒子径が10μm以下のチタン酸バリウムを161
8℃未満1200℃以上で焼結させて、単結晶のチタン
酸バリウムを得る方法が開示されている。この方法で
は、チタン酸バリウムの融点より低い温度で、焼結時に
温度勾配を付けて異常粒成長をさせ、単結晶のチタン酸
バリウムを形成している。しかし、この方法では、得ら
れるチタン酸バリウムの径が500μm程度と大きく、
微粒子を得るものではない。また単結晶は多結晶体中に
含有された状態で得られるので、単結晶を取り出すには
多結晶体を濃塩酸中に浸漬させて多結晶部分を破壊する
工程が必要である。
を単体として利用する場合もあるが、樹脂材料に分散し
た複合材料として利用することもある。複合材料として
用いられるセラミックス粉末には、樹脂材料に対する分
散性、充填性が要求される。樹脂材料に対する分散性、
充填性を確保するための一つの要素として、粉末を構成
する微粒子の粒径がある。しかし、前記した共沈法で得
られるセラミックス粉末は粒径が微細すぎて樹脂材料に
対する分散性、充填性を確保することができない。ま
た、前記した液相法により得られたセラミックス粉末
は、粉砕により得られるものであるため粉末の形態が不
定形となり、樹脂材料に対する分散性、充填性を確保す
ることができない。また前記特開平9−263496号
公報に記載の単結晶のチタン酸バリウムは粒径が大きい
ので、高い充填性を得ることが難しい。
晶セラミックス粉末を製造する方法および単結晶セラミ
ックス粉末を提供することを目的とする。
ス成分からなる粉体を気流に乗せた状態で加熱処理領域
を透過させ、その後冷却することにより単結晶のセラミ
ックス粉末を容易に製造できることを知見した。そし
て、この方法によれば、球形度の高い単結晶セラミック
ス粉末を容易に得ることができる。そして、このような
球形度の高い微細な単結晶セラミックス粉末を用いるこ
とにより、樹脂材料との複合材料中への充填性が向上し
て粉末の有する特性を有効に発揮することができる。本
発明は以上の知見に基づきなされたものであり、粉体供
給工程において、セラミックス成分からなる粉体をキャ
リアガスとともに加熱処理領域に供給し、加熱処理工程
において加熱処理領域に供給された粉体を単結晶化する
のに必要な温度、具体的にはその粉体の融点以上に加熱
し、冷却工程において加熱処理工程で得られた生成物を
結晶化過程を経て冷却することにより単結晶セラミック
ス粉末を得ることを特徴とする単結晶セラミックス粉末
の製造方法である。
形度を備える単結晶セラミックス粉末を得ることができ
る。この製造方法の加熱処理工程では、セラミックス成
分からなる粉体を溶融させて溶融物を形成した後、冷却
工程において結晶化させることで、球形度が高く、結晶
性に優れた単結晶セラミックス粉末を得ることができ
る。加熱処理工程における溶融処理後、連続して冷却工
程で結晶化を行うことにより、少ないエネルギーで単結
晶粉末の製造が可能となる。この場合加熱処理工程は電
気管状炉中で行われることが好ましい。電気管状炉中で
行うことにより、温度および温度プロファイルのコント
ロールが容易となるので、製造上好ましい。
m以下の粒子から形成されていると、粒径が30μm以
下の単結晶セラミックス粉末を得ることができる。ま
た、セラミックス成分からなる粉体は、平均粒径が1μ
m以下の1次粒子から形成された顆粒であると、粒径の
小さな単結晶セラミックス粉末を得ることができるので
好ましい。
法を他の観点から把握すると、セラミックス成分からな
る粉体を浮遊させながら加熱炉中を移動させ、得られた
生成物を冷却することにより球形度が0.9以上の単結
晶セラミックス粉末を得ることを特徴とする製造方法と
して捉えることができる。このようにセラミックス成分
からなる粉体を浮遊させながら加熱することで、球形度
の高い単結晶セラミックス粉末を得ることができる。
ス粉末は、平均粒径が0.1〜30μmであり、かつ
0.9以上の球形度を備える単結晶セラミックス粉末で
ある。この単結晶セラミックス粉末は粒径が小さく球形
度も高いので、優れた特性を有し、特に樹脂等に対する
充填性が高い。この単結晶セラミックス粉末は、例えば
酸化物磁性材料や酸化物誘電体材料から構成され、優れ
た磁気的特性や電気的特性を示すものとなる。この単結
晶セラミックス粉末として、平均粒径が1〜20μmで
あるとさらに優れた充填性を有するものとなる。
結晶球状酸化物粉末と、この単結晶球状酸化物粉末を分
散、保持する結合材と、からなる複合材料に適用するこ
とができる。そして、この複合材料において、単結晶球
状酸化物粉末は、平均粒径が0.1〜30μm、0.9
以上の球形度を備えることを特徴とする。球形度の高い
微細な粉末を用いることにより、樹脂材料との複合材中
への充填性が向上して粉末の有する特性を有効に発揮す
ることができる。以上の複合材料において、結合材とし
ては樹脂を用いることができる。このとき、単結晶球状
酸化物粉末は、30〜98wt%の範囲で含有すること
が望ましい。また、以上の複合材料において、単結晶球
状酸化物粉末を誘電体材料から構成することができる。
そして、本発明では、単結晶球状酸化物粉末を構成する
誘電体材料よりも低融点の誘電体材料によって結合材を
構成することができる。このとき、単結晶球状酸化物粉
末を30〜70体積%の範囲で含有せしめることが望ま
しい。また、以上の複合材料において、単結晶球状酸化
物粉末を磁性材料から構成することもできる。そして、
本発明では、単結晶球状酸化物粉末を構成する磁性材料
よりも低融点の磁性材料によって結合材を構成すること
ができる。このとき、単結晶球状酸化物粉末を30〜7
0体積%の範囲で含有せしめることが望ましい。本発明
は、以上の複合材料を用いた電子部品を提供する。この
電子部品は、誘電体層中に内部金属電極が配設された電
子部品であって、誘電体層が、誘電体材料からなる単結
晶球状酸化物粉末と、この単結晶球状酸化物粉末を分
散、保持する結合材と、からなる複合材料からなり、単
結晶球状酸化物粉末は、平均粒径が0.1〜30μm、
0.9以上の球形度を備えることを特徴とする。また、
本発明は、磁性体層中に内部金属電極が配設された電子
部品であって、磁性体層が、磁性材料からなる単結晶球
状酸化物粉末と、この単結晶球状酸化物粉末を分散、保
持する結合材と、からなる複合材料からなり、単結晶球
状酸化物粉末は、平均粒径が0.1〜30μm、0.9
以上の球形度を備えることを特徴とする電子部品を提供
する。
る。本発明による単結晶セラミックス粉末の製造工程概
略の一例を図1に基づき説明する。図1に示すように、
本発明の製造方法は、原料を粉砕して1次粒子を得る1
次粒子形成工程、1次粒子から顆粒を形成する顆粒形成
工程、顆粒からなる粉体を供給する粉体供給工程、供給
された粉体を所定温度に加熱する加熱処理工程、加熱処
理によって得られた生成物を冷却する冷却工程および後
処理工程から構成される。
ックス成分からなる原料より1次粒子を形成する。1次
粒子形成工程では、セラミックス成分からなる原料を粉
砕し、好ましくは平均粒径が1μm以下となるように調
整する。この粒径は、最終的に得られる単結晶セラミッ
クス粉末の粒径を左右するだけではなく、このような粒
径の1次粒子を用いることにより、単結晶セラミックス
粉末の品質を優れたものとすることができる。粉砕方法
は特に限定されないが、例えばボールミル等を使用する
ことができる。
ラミックスとして認識される酸化物、窒化物、炭化物等
の化合物を包含している。また、単一のセラミックスの
みならず、複数のセラミックスの混合体、複合酸化物、
複合窒化物等の複合化合物をも包含している。セラミッ
クス成分の具体例として、誘電体材料や磁性材料があ
る。
バリウム−ネオジウム系セラミックス、チタン酸−バリ
ウム−錫系セラミックス、鉛−カルシウム系セラミック
ス、二酸化チタンセラミックス、チタン酸バリウム系セ
ラミックス、チタン酸鉛系セラミックス、チタン酸スト
ロンチウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セラ
ミックス、チタン酸ビスマス系セラミックス、チタン酸
マグネシウム系セラミックス等や、CaWO4系セラミ
ックス、Ba(Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba
(Mg,Ta)O3系セラミックス、Ba(Co,M
g,Nb)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,T
a)O3系セラミックス等を挙げることができる。これ
らは単独または2種類以上を混合して使用できる。な
お、二酸化チタン系セラミックスとは、組成的には二酸
化チタンのみを含む系、または二酸化チタンに他の少量
の添加物を含む系であり、主成分として二酸化チタンの
結晶構造が保持されているものを意味する。他の系のセ
ラミックスについても同様である。また、二酸化チタン
はTiO2で示される物質で種々の結晶構造を有するも
のであるが、誘電体セラミックスとして使用されている
のはルチル構造のものである。
用する。例えば、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn
系フェライト、Mn−Mg−Zn系フェライト、Ni−
Cu−Zn系フェライト等を挙げることができる。ま
た、Fe2O3やFe3O4等の酸化鉄であってもよい。
ラミックスを使用することもでき、その他、セラミック
ス成分を形成するための組成物や材料を焼成することに
よってセラミックス成分を得ることができる。例えば、
酸化バリウムとチタン酸を混合して顆粒状の複合酸化物
を得て、この複合酸化物を適当な大きさに粉砕したもの
を焼成して反応させることによりチタン酸バリウム等の
セラミックス成分を得ることができる。
して得られた1次粒子から顆粒を形成する。具体的に
は、1次粒子をスプレー・ノズルから噴霧するためのス
ラリーを作成する。スラリーは、1次粒子を溶媒に適量
添加した後に、ボールミル等の混合機を用いて混合する
ことにより得ることができる。溶媒としては水やエタノ
ールを用いることができるが、1次粒子の分散性を向上
するために、分散剤を添加することが推奨される。分散
剤の添加量は、例えば1次粒子の重量に対して約1%程
度である。1次粒子同士を機械的に結合するための結合
剤、例えばPVA(ポリビニルアルコール)を添加する
こともできる。得られたスラリーをスプレー・ノズルに
より噴霧して液滴を形成する。
リーと圧縮気体とを噴霧するためのものであり、2流体
ノズル、あるいは4流体ノズル等を用いることができ
る。圧縮気体(例えば、空気、窒素ガス等)とともにス
プレー・ノズルから吐出されたスラリーは微粒化されて
噴霧を形成する。噴霧中の液滴の粒径は、スラリーと圧
縮気体との比率によりコントロールすることができる。
液滴の粒径をコントロールすることにより、最終的に得
られる単結晶セラミックス粉末の粒径を制御することが
できる。スプレー・ノズルによる噴霧の工程は、所定の
チャンバー内で行われる。なお、加熱下で乾燥をかねた
噴霧乾燥法によって顆粒を得ても良い。噴霧乾燥法を用
いると、粉砕粉末のように巨大な粉末が混入することが
ほとんどないため、最終的に得られる製品の品質の信頼
性を確保することができる。
と、本発明において使用するのに適した粒径の小さな顆
粒粉を得ることができ、例えば1〜20μm程度の微細
な顆粒粉を得ることができる。この粒径は、最終的に得
られる単結晶セラミックス粉末の粒径を左右する。粒径
は、前述のように、スラリーと圧縮気体との比率によっ
てコントロールすることができ、またスラリー同士を衝
突させることにより小さな液滴を作成することもでき
る。したがって、このようにして得られた顆粒は粉体供
給工程へと送られる。
た顆粒を、セラミックス成分から成る粉体として、キャ
リアガスとともに加熱領域に供給する。粉体供給工程を
実施する具体的な構成として、図1にはキャリアガスと
顆粒とを別途用意し、ノズルNを介してキャリアガスと
ともに顆粒を加熱処理工程に供給する形態を記載してい
る。キャリアガスとしては、各種ガスが使用でき、例え
ば、空気、窒素ガス、ArガスおよびNeガス等を用い
ることができる。1300℃以上の加熱が必要な材料に
ついては、加熱処理工程におけるNOxの発生を考慮す
ると、ArガスやNeガスを用いることが望ましい。
から成る粉体を加熱処理工程に供給する手法は、図1に
記載された方式に限定されない。例えば、セラミックス
成分から成る粉体に対してキャリアガスを含む圧縮ガス
を吹き付けることにより加熱処理工程に供給する方式を
採用することができる。また、分散機を利用した供給、
分級機や粉砕機の出力を利用し供給、つまり分級または
粉砕することで出力側から得られる粉末を加熱処理工程
に送り込むことも可能である。本実施の形態おいては、
セラミックス成分から成る粉体の噴霧は乾燥状態であっ
ても、水分等を含んだ湿潤状態であってもよい。
程からスプレー・ノズルを用いて供給されたセラミック
ス成分から成る粉体を加熱領域にて焼結処理することに
より、単結晶のセラミックス粉末を得る。加熱処理工程
は、加熱炉で実現される。加熱方式としては、電気によ
る加熱、ガスの燃焼熱による加熱および高周波加熱等の
公知の方式を採用することができる。特に電気管状炉を
用いると、燃焼ガスによる方法に比べて、炉内の雰囲気
の制御が容易である。セラミックス成分から成る粉体は
炉内で気流を生成するキャリアガスとともに加熱炉内を
浮遊した状態で単結晶化および球状化される。セラミッ
クス成分から成る粉体の流速は、捕集効率、熱分解温度
に応じて適宜定めることになるが、概ね0.05〜10
m/sの範囲、とりわけ1〜5m/sで選択するのが望
ましい。粉末の流速は、キャリアガスの流速を制御する
ことにより変えることができる。このとき、加熱炉内に
セラミックス成分の粉体が1〜10秒程度滞留するよう
に制御することが好ましい。ただし、少なくともセラミ
ックス粉末が非晶質とならない臨界冷却速度より遅いこ
とが好ましい。臨界冷却速度は物質によって異なり、例
えばチタン酸バリウムの場合には、臨界冷却速度は1.
3×106(k/sec)である。この速度より速い
と、得られるセラミックス粉末はガラス(非晶質)とな
る。なお、単結晶化に必要な時間は粒径に依存し、小さ
いほどその時間は短くなる。
ックスの組成によって適宜定められる。加熱の条件とし
て、加熱炉内の雰囲気は、例えば誘電体材料や磁性材料
等、目的とする最終生成物である単結晶セラミックス粉
末の種類に応じて酸化性雰囲気、還元性雰囲気または不
活性雰囲気が選択される。なお選択された雰囲気に応じ
て、キャリアガスを選択することができ、または必要な
ガスを加熱炉内へ供給する。加熱温度としては、セラミ
ックス成分からなる粉体が単結晶化する温度に設定すれ
ばよい。具体的には、セラミックス成分からなる粉体の
融点以上に設定する。融点以上に加熱することにより、
セラミックス成分の粉体が溶融し、単結晶が得られる。
また、セラミックス成分の粉末は一旦溶融するため、表
面張力によって得られるセラミックス粉末の形状がより
真球に近くなる。
ス成分の粉体を乾燥状態で加熱炉に供給すると、固相の
セラミックス成分の粉体を液体に分散させて供給する噴
霧熱分解法と比較して、液体の存在による減熱がなくな
るため、より少ないエネルギーで製造することができ
る。この場合、例えば顆粒形成工程において形成された
顆粒を、一旦保持・保管されることなく、直接キャリア
ガスと共に加熱処理工程の加熱炉に供給することができ
る。
に移行される。具体的には、加熱炉中に冷却ゾーンを設
けるか、または加熱炉からキャリアガスとともに大気中
に排出されることにより生成物を冷却する。この冷却
は、放冷でもよいが冷却媒体を用いて強制的に冷却する
こともできる。この冷却工程を経ることにより所望する
単結晶セラミックス粉末を得る。生成物を比較的急激に
冷却することにより、生成物の球体の形状が保たれる。
また、冷却工程では、加熱された粉体がそのまま冷却さ
れるため、得られる単結晶セラミックス粉末は粒径が
0.1〜30μm程度と小さな粒径のものを得ることが
できる。さらに好ましくは1〜20μm程度のものを得
る。冷却工程後には、例えばサイクロンやバグフィルタ
によって粉末を捕集する一方、キャリアガスについては
適切な排ガス処理を行った後に排気される。
晶であり、かつ球状である。ここで「球状」とは、表面
が平滑な完全な球状のほか、極めて真球に近い多面体を
含む。具体的には、Wulffモデルで表されるような安定
な結晶面で囲まれた等方的な対称性を有し、かつ球形度
が1に近い多面体粒子も含まれる。ここで「球形度」と
は、Wadellの実用球形度、すなわち粒子の投射面積に等
しい円の直径の粒子の投射像に外接する最小円の直径の
比である。本実施の形態では、球形度は0.9〜1であ
ることが好ましく、さらに好ましくは0.95〜1であ
る。球形度が0.9以上であると、単結晶セラミックス
粉末を樹脂材料に分散した複合材料として利用すると
き、単結晶セラミックス粉末が樹脂材料に対して均一に
分散しやすくなり、さらに焼成される場合において不均
一性に起因したクラックを発生しづらい。
晶セラミックス粉末は結晶粒界や不純物を有さず、単相
で、且つ単結晶である。そのため、この単結晶セラミッ
クス粉末は、誘電体材料や磁性材料として使用する場合
に、磁性または誘電特性の向上に寄与できる、優れた特
性を示す。また本実施の形態に記載の方法で単結晶セラ
ミックス粉末を形成すると、従来の方法で使用されてい
る酸や有機溶媒を使用しないので、有害ガス等の発生も
なく、また比較的安価な設備によって製造することがで
きる。さらに本実施の形態において、粉体供給工程にお
いて供給されるセラミックス成分からなる粉体とは、粉
末、顆粒粉、粉砕粉等、その形態に拘わらず粒子から構
成される種々の形態を包含している。したがって、粉体
供給工程において供給される粉体は、上記実施の形態の
ような顆粒に限られず、例えばセラミックス成分を粉砕
した粉体であってもよい。この場合、比較的大きな粒径
を有する粉体を用いることにより、比較的大きな単結晶
セラミックス粉末を形成することも可能である。具体的
には、50μm以下の粒子を用いることで、30μm以
下の単結晶セラミックス粉末を形成することができる。
且つ球状である単結晶セラミックス粉末を得ることがで
きる。このような単結晶セラミックス粉末は凝集性が低
く、分散性と充填性に優れたものとなる。したがって、
得られた単結晶セラミックス粉末を、この単結晶セラミ
ックス粉末を分散、保持する結合材と混合して複合材料
を形成することができる。結合材として樹脂を用いるこ
とができる。このとき、複合材料中に単結晶セラミック
ス粉末を30〜98wt%の範囲で含有することが好ま
しい。また、この樹脂として、例えば、熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂の双方が利用可能であり、具体的にはエポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキ
サイド樹脂、メラミン樹脂、シアネートエステル系樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリビニルベンジルエー
テル化合物樹脂、液晶ポリマー、フッ素系樹脂、ポリビ
ニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチ
ルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹
脂のうち少なくとも一種類以上含んだ樹脂等を挙げるこ
とができる。単結晶セラミックス粉末が、誘電体材料か
ら構成される場合、結合材として前記誘電体材料よりも
低融点な誘電体材料を用いることができる。より低温で
の焼結による複合誘電体材料の製造を可能とする一方、
そのような低温での焼結によって、本来は高い温度の焼
結でなければ得られなかった特性を得ることが可能とな
る。なお、結合材を構成する低融点な誘電体材料は、単
結晶セラミックス粉末よりも粒径の小さい粉末を用いて
焼結に供することが望ましい。単結晶セラミックス粉末
の隙間を、小径な粉末で埋めることにより、単結晶セラ
ミックス粉末を均一に分散させるためである。以上の考
え方は、単結晶セラミックス粉末が磁性材料から構成さ
れる場合にも適用することができる。つまり、相対的に
融点の低い磁性材料中に、相対的に融点の高い磁性材料
からなる単結晶セラミックス粉末が分散、保持された複
合磁性材料を得ることができる。
部品に適用することができる。その一例が図11および
図12に示されている。図11は、電子部品の一例であ
る高周波モジュールを示す斜視図である。この高周波モ
ジュールは、複合誘電体層5の表面に、ダイオード6、
トランジスタ7およびチップ抵抗8が実装されている。
また、高周波モジュールは、複合誘電体層5の裏面およ
び内部にグランド電極1を配設している。さらに、高周
波モジュールは、その内部に、スルーホール導体2、コ
ンデンサ形成電極3が配設されている。そして、この複
合誘電体層5に、以上説明した複合誘電体材料を適用す
る。また、図12は、電子部品の一例であるチップコイ
ルを示す斜視図である。このチップコイルは、複合磁性
体層14の内部に、コイル形成導体13とスルーホール
導体12とを配設している。さらに、このチップコイル
は、複合磁性体層14の側面に、外部端子電極11が形
成されている。そして、この複合磁性体層14に、前述
した複合磁性材料を適用する。なお、以上は電子部品の
あくまで例示であり、基板等の他の電子部品に本発明の
複合誘電体材料や複合磁性材料を適用できることはいう
までもない。
する。 (実施例1)酸化バリウム(BaO)粉末および酸化チ
タン(TiO2)粉末をモル比で1:1に秤量したもの
に水を加えてボールミルにて12時間混合することによ
り、スラリー(以下、第1のスラリー)を得た。なお、
混合に先立って、分散剤(東亞合成社製A−30SL)
を粉末の重量に対して1%の割合で添加した。第1のス
ラリーを噴霧乾燥機にて乾燥、顆粒化を行った。この際
の噴霧、乾燥条件は特に限定されるものではないが、顆
粒粉の粒径が200μm以下となるような条件を設定す
るのがよい。得られた顆粒粉を1250℃の温度で1時
間焼成することにより、複合酸化物焼結体としてチタン
酸バリウムを得た。この焼結体に水を加えかつ分散剤
(東亞合成社製A−30SL)を焼結体の重量に対して
1%の割合で添加した後ボールミルにて48時間粉砕す
ることにより、1次粒子として平均粒径0.3μmの粉
末を含むスラリー(第2のスラリー)を作成した。この
第2のスラリーに対して、10wt%濃度に希釈された
PVA(ポリビニルアルコール)溶液を粉末の総重量に
対して2wt%添加し、さらに第2のスラリー中の粉末
が40wt%になるように調整を行った。
粒粉を作成した。使用した噴霧乾燥機は藤崎電機(株)
製のMDL−050であり、4流体方式のノズルを用
い、送液量を40cc/min、ノズルエア量を160
NL/min、給気温度を190℃の条件とした。得ら
れた顆粒粉の平均粒径は9.7μmである。なお、1次
粒子の作成時にボールミルの条件を変えて平均粒径が
1.5μmの粉末を1次粒子として用いた点を除いて上
記と同様にして顆粒粉を得たところ、顆粒粉の平均粒径
は58μmとなり、平均粒径を30μm以下にすること
が困難であることが確認された。
粉をセラミックス管からなり加熱源を電気とする加熱炉
中へ供給した。炉内温度(加熱処理温度)は1650℃
である。また、キャリアガスの流量を1l/minとし
て、セラミックス管中における顆粒粉の滞留時間を1〜
10秒程度となるように調節した。
蛍光X線分析装置を用いたX線回折により組織を観察し
た。X線回折の結果を図2に示す。図2に示すように、
チタン酸バリウム(BaTiO3)のピークのみが観察
されたことから、得られた粉末はチタン酸バリウム(B
aTiO3)の単相から構成されるセラミックス粉末で
あることが確認された。なお、チタン酸バリウム(Ba
TiO3)の融点は1637℃である。また、得られた
チタン酸バリウム粉末をSEM(走査電子顕微鏡)によ
り観察した。その結果、粒径0.1〜10μm程度の極
めて真球状に近い粉末であること、およびこれら粉末に
凝集がないことが確認された。さらに平均粒径を測定し
たところ約2.5μmであり、また球形度は約1である
ことが判明した。さらに図3にSEMによる粉末の拡大
写真を示すが、個々の粒子を詳細に観察すると、粒子表
面全体にわたって対象性を持った結晶面のファセットが
見られ、粒子内に粒界を含まない単結晶粒子であること
がわかった。
微鏡)により観察した。電子線回折像を図4に示すが、
粉末単結晶特有の規則性がある構造を有していることが
確認された。
以外は実施例1と同様にしてチタン酸バリウム粉末を得
た。得られた粉末のSEMによる粉末の拡大写真を図5
に示す。図5より、チタン酸バリウム粒子の表面に粒界
の存在が観察された。さらに、電子線回折像を図6に示
すが、この電子線解析像の結果からも単結晶ではないこ
とが確認された。
末、酸化チタン(TiO2)粉末、酸化ネオジウム(N
d2O3)粉末および酸化マンガン(MnO)粉末を、1
3.8:54.7:31.4:0.1のモル比にて秤量し
たものを使用した点以外は、実施例1と同様にしてセラ
ミックス粉末を得た。得られた粉末を構成する粒子の平
均粒径は2.5μmであり、その形状は極めて真球状に
近い微粒子であった。また粒子表面全体にわたって、対
称性を持った結晶面のファセットが観察され、粒子内に
粒界を含まない単結晶粒子であることが確認された。
け小さな形状の顆粒粉となるようにスプレー方式の噴霧
による顆粒粉を形成した点以外は、実施例2と同様にし
てセラミックス粉末を得た。なお、顆粒粉の平均粒径は
9.1μmであった。得られた粒子を観察したところ、
実施例2とほぼ同じ単結晶粒子が生成されていることが
確認された。
化ニッケル(NiO2)粉末および酸化亜鉛(ZnO)
粉末を、45.3:47.1:7.6のモル比にて秤量
したものに水を加えてボールミルにて12時間混合する
ことにより、スラリー(以下、第1のスラリー)を得
た。なお、混合に先立って、分散剤(東亞合成社製A−
30SL)を粉末の重量に対して1%の割合で添加し
た。第1のスラリーを噴霧乾燥機にて乾燥、顆粒化を行
った。この際の噴霧、乾燥条件は特に限定されるもので
はないが、顆粒粉の粒径が200μm以下となるような
条件を設定するのがよい。
間焼成することにより、複合酸化物焼結体を得た。この
焼結体に水を加えかつ分散剤(東亞合成社製A−30S
L)を焼結体の重量に対して1%の割合で添加した後、
ボールミルにて48時間粉砕することにより、1次粒子
として平均粒径0.3μmの粉末を含むスラリー(第2
のスラリー)を作成した。この第2のスラリーに対し
て、10wt%濃度に希釈されたPVA(ポリビニルア
ルコール)溶液を粉末の総重量に対して2wt%添加
し、さらに第2のスラリー中の粉末が60wt%になる
ように調整を行った。
粒粉を作成した。使用した噴霧乾燥機は藤崎電機(株)
製のMDL−050であり、4流体方式のノズルを用
い、送液量を40cc/min、ノズルエア量を160
NL/min、給気温度を190℃の条件とした。得ら
れた顆粒粉の平均粒径は8.9μmである。
粉をセラミックス管からなり加熱源を電気とする加熱炉
中へ供給した。炉内温度(加熱処理温度)は1500℃
である。また、キャリアガスの流量は0.8l/min
として顆粒粉のセラミックス管中における滞留時間を1
〜10秒程度となるように調節した。このようにして顆
粒粉から、セラミックス粉末(磁性フェライト材料)を
得た。
X線分析装置を用いたX線回折により組織を観察した。
その結果、Fe2O3、Fe3O4、FeO、NiFe
2O4、ZnFe2O4、CuFe2O4のピークが観察され
ず、Ni−Cu−Znフェライトの単相から構成された
粉末であることが確認された。また、得られたNi−C
u−Znフェライト粉末をSEMにより観察した。その
結果、粒径0.1〜10μm程度の極めて真球状に近い
粉末であること、およびこれら粉末に凝集がないことが
確認された。さらに平均粒径を測定したところ約2.5
μmであり、球形度は約1であった。さらに図7にSE
Mによる粉末の拡大写真を示すが、個々の粒子を詳細に
観察すると、粒子表面全体にわたって対称性を持った結
晶面のファセットが見られ、粒子内に粒界を含まない単
結晶粒子であることがわかった。さらに、振動磁力計を
用いて単結晶セラミックス粉末の磁気特性を測定した。
結果を表1および図8に示す。なお、この磁気特性につ
いては後述する。
をエポキシ樹脂に対して含有率が40体積%となるよう
に混合し、スラリー(以下、第3のスラリー)を作成し
た。この際、エポキシ樹脂として、多官能エポキシ樹脂
としてエピビス型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社
製エピコート1001およびエピコート1007)をそ
れぞれ26.9wt%ずつ含有させ、またビスフェノー
ルA型高分子エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製エ
ピコート1225)を23.1wt%、特殊骨格を有す
るエポキシ樹脂としてテトラフェニロールエタン型エポ
キシ樹脂(油化シェルエポキシ社製エピコート1031
S)を23.1wt%含むものを主成分とし、硬化剤と
してビスフェノールA型のボラック樹脂(油化シェルエ
ポキシ社製YLH129B65)と、硬化促進剤として
イミダゾール化合物(四国化成工業社製2E4MZ)
と、を加えたものをトルエンおよびメチルエチルケトン
へ溶解させた。これにフェライト単結晶粒子を添加し、
ボールミルより分散、混合した。
ガラスクロスへ塗布し、半硬化状態のプリプレグを作製
し、基板の原材料とした。プリプレグを半硬化状態にす
るまでの熱処理条件として、100℃で2時間加熱し
た。またガラスクロスは、Hガラス、Eガラス、Dガラ
ス等、特に限定されず、要求特性によって使い分ければ
よいが、今回はEガラスを使用した。また、ガラスの厚
みについても要求に応じて適宜所望する厚みのものを使
用すればよく、今回は厚み100μmのものを使用し
た。得られた半硬化状態のプリプレグを所定枚数重ね、
加圧、加熱により約0.4mmの厚みの複合磁性材料と
した。この複合磁性材料をトロイダル状に加工して基板
を得た。この基板の透磁率の周波数特性を測定した。結
果を図10に示す。
化ニッケル(NiO2)粉末および酸化亜鉛(ZnO)
粉末を、45.3:47.1:7.6のモル比にて秤量
したものに水を加えてボールミルにて12時間混合する
ことにより、スラリー(以下、第1のスラリー)を得
た。なお、混合に先立って、分散剤(東亞合成社製A−
30SL)を粉末の重量に対して1%の割合で添加し
た。第1のスラリーを噴霧乾燥機にて乾燥、顆粒化を行
った。
間焼成することにより、複合酸化物焼結体を得た。この
焼結体をボールミルにて12時間粉砕することにより、
平均粒径3μmの粉末を得た。この粉末について実施例
4と同様に磁気特性を測定した。その結果を表1および
図9に示す。得られた粉末を用いた点を除いて実施例4
と同様にして複合磁性材料を作製して透磁率の周波数特
性を測定した。結果を図10に示す。
た磁気特性)表1に示すように、実施例4で得られたフ
ェライト粉末は比較例2で得られた粉末よりも飽和磁束
密度が向上していることがわかる。また、図8および図
9は実施例4および比較例2で得られた粉末のヒステリ
シス曲線を示すが、実施例4と比較例2の結果を比較す
ると、実施例4ではヒステリシス損失が低減され、磁性
フェライト材料として低損失のものであることが確認さ
れた。さらに、図10に示すように、実施例4と比較例
2における透磁率の周波数特性を比較すると、実施例4
による複合磁性材料の方が1000MHzを超える領域
まで20%ほど高い値を示していることが確認された。
gO)粉末、酸化チタン(TiO2)粉末をそれぞれ
1:1のモル比にて秤量したものに水を加えてボールミ
ルにて12時間混合することにより、スラリー(第1の
スラリー)を得た。なお、混合の際、分散剤(東亞合成
社製A−30SL)を粉末の総重量に対して1%の割合
にて添加した。この第1のスラリーを噴霧乾燥機にて乾
燥、顆粒化を行い、複合酸化物顆粒を得た。この際の噴
霧乾燥条件は、特に限定されるものではないが、顆粒径
がおおよそ200μm以下となるような条件を設定する
ことがよい。この顆粒を1250℃の温度で1時間焼成
することにより、複合酸化物を反応・焼結させた。その
後、この複合酸化物に水および分散剤(東亞合成社製A
−30SL)を加え、再度ボールミルにて48時間粉砕
し、平均粒径0.5μmの微粉末で構成されるスラリー
(第2のスラリー)を作製した。この第2のスラリー
に、10wt%濃度に希釈されたPVA(ポリビニルア
ルコール)溶液を粉末の総重量に対して2wt%濃度で
添加し、さらに第2のスラリー中の粉末が重量比で40
wt%になるように調整を行った。第2のスラリーに噴
霧乾燥法を適用して顆粒粉を作成した。使用した噴霧乾
燥機は藤崎電機(株)製のMDL−050であり、4流
体方式のノズルを用い、送液量を40cc/min、ノ
ズルエア量を160NL/min、給気温度を190℃
の条件とした。得られた顆粒粉の平均粒径は9.7μm
である。
と酸素の混合ガスをキャリアガスとして、1600℃に
加熱されたセラミックス管中に供給した。なお、キャリ
アガス流量により、生成粉末の滞留時間が1〜10秒程
度となるように調節した。セラミックス管を通過した粉
末について、蛍光X線分析装置を用いたX線回折の結果
から、チタン酸マグネシウムの単相であることが確認さ
れた。また、得られたチタン酸マグネシウム粉末をSE
Mで観察を行ったところ、この粉末には凝集がないこと
を確認した。また、各粉末は粒径0.1〜10μm程度
で極めて真球状に近い微粒子からなっており、平均粒径
は約1.5μm、球形度は約1であることを確認した。
個々の粒子を詳細に観察すると、粒子表面全体にわたっ
て対称性を持った結晶面のファセットがみられ、粒子内
に粒界を含まない単結晶粒子であることがわかった。
材料(日本電気硝子製MgO・B2O3・SiO2系ガラ
スGA−60、平均粒径:0.15μm)を、上記単結
晶粉末が65体積%となるように秤量し、トルエンとエ
タノールの混合溶媒中にポリビニルブチラール(積水化
学エスレックBH−3)を溶かしたスラリーに混合し、
誘電体スラリーを作製した。混合の際にはボールミルを
用い、均質な混合分散ができるようにした。これをドク
ターブレード法にて約200μm厚のグリーンシートに
成型した。その後厚み約1300μmになるようにグリ
ーンシートを積層し、900℃で2時間保持する条件で
焼成を行い、焼結体を得た。さらに、この焼結体から、
長さ8mm、幅1mm、厚み1mmのスティック状の試
料を作成して誘電率および品質係数Q(=1/tanδ)を
測定した。なお、比較例3として、前記ガラス材料のみ
を900℃で2時間保持する条件で焼成した焼結体の特
性を測定した。結果を表2に示す。実施例5は、900
℃という低温焼成においても、ガラス単体に比べてQの
大きな複合材料が得られることを示唆している。また、
実施例5は、単結晶のチタン酸マグネシウム粉末を用い
るため、焼成過程において、チタン酸マグネシウム粉末
とガラスとの反応が表面だけに抑制され、チタン酸マグ
ネシウムの有するQの低減を最小限にすることができる
ものと解される。その結果として、Qの高い複合材料が
実現される。
ェライト粉末を用意した。一方、酸化鉄(Fe2O 3 )、
酸化ニッケル(NiO2)、酸化銅(CuO)および酸
化亜鉛(ZnO)が、45.3:47.1:5.0:
7.6のモル比からなる固相反応法(焼結法)による平
均粒径0.07μmの多結晶フェライト粉末を用意し
た。単結晶フェライト粉末および多結晶フェライト粉末
を、前記単結晶フェライト粉末が65体積%となるよう
に秤量、混合した。この混合粉末をトロイダル形状に成
型後、900℃の温度で1時間保持することにより、焼
結体を得た。インダクタンス値Lが1μHになるよう
に、この焼結体に対して巻き線を施して評価用の試料を
得た。この試料について直流重畳特性を評価した。比較
例4として、上記多結晶フェライト粉末のみからなる焼
結体についても同様の評価を行った。結果を図13(実
施例6)および図14(比較例4)に示すが、単結晶フ
ェライト粉末と多結晶フェライト粉末を混合した実施例
6は、インダクタンス値Lの変化が小さく、高い電流ま
での使用が可能であることを確認した。
球状かつ単結晶のセラミックス粉末を得ることができ
る。
す説明図である。
X線回折結果を示すチャートである。
SEM像を示す写真である。
電子線回折像を示す写真である。
SEM像を示す写真である。
電子線回折像を示す写真である。
SEM像を示す写真である。
磁気特性を示すグラフである。
磁気特性を示すグラフである。
ラミックス粉末を用いて形成された基板の透磁率を示す
グラフである。
す透視斜視図である。
視斜視図である。
ンス値Lの変化率を示すグラフである。
値Lの変化率を示すグラフである。
ンサ形成電極、5…複合誘電体層、6…ダイオード、7
…トランジスタ、8…チップ抵抗、11…外部端子電
極、12…スルーホール導体、13…コイル形成導体、
14…複合磁性体層
Claims (13)
- 【請求項1】 平均粒径が0.1〜30μmであり、か
つ0.9以上の球形度を備えることを特徴とする単結晶
セラミックス粉末。 - 【請求項2】 前記単結晶セラミックス粉末が、酸化物
磁性材料から構成されることを特徴とする請求項1記載
の単結晶セラミックス粉末。 - 【請求項3】 前記単結晶セラミックス粉末が、酸化物
誘電体材料から構成されることを特徴とする請求項1記
載の単結晶セラミックス粉末。 - 【請求項4】 前記単結晶セラミックス粉末の平均粒径
が1〜20μmであることを特徴とする請求項1記載の
単結晶セラミックス粉末。 - 【請求項5】 磁性材料または誘電体材料からなる単結
晶球状酸化物粉末と、前記単結晶球状酸化物粉末を分
散、保持する結合材と、からなる複合材料であって、 前記単結晶球状酸化物粉末は、平均粒径が0.1〜30
μm、0.9以上の球形度を備えることを特徴とする複
合材料。 - 【請求項6】 前記結合材が樹脂から構成されることを
特徴とする請求項5記載の複合材料。 - 【請求項7】 前記単結晶球状酸化物粉末は、30〜9
8wt%の範囲で含有することを特徴とする請求項5記
載の複合材料。 - 【請求項8】 前記単結晶球状酸化物粉末が誘電体材料
から構成され、前記結合材が前記単結晶球状酸化物粉末
を構成する誘電体材料よりも低融点の誘電体材料から構
成されることを特徴とする請求項5記載の複合材料。 - 【請求項9】 前記単結晶球状酸化物粉末の量が30〜
70体積%であることを特徴とする請求項8記載の複合
材料。 - 【請求項10】 前記単結晶球状酸化物粉末が磁性材料
から構成され、前記結合材が前記単結晶球状酸化物粉末
を構成する磁性材料よりも低融点の磁性材料から構成さ
れることを特徴とする請求項5記載の複合材料。 - 【請求項11】 前記単結晶球状酸化物粉末の量が30
〜70体積%であることを特徴とする請求項10記載の
複合材料。 - 【請求項12】 誘電体層中に内部金属電極が配設され
た電子部品であって、 前記誘電体層が、 誘電体材料からなる単結晶球状酸化物粉末と、前記単結
晶球状酸化物粉末を分散、保持する結合材と、からなる
複合材料からなり、前記単結晶球状酸化物粉末は、平均
粒径が0.1〜30μm、0.9以上の球形度を備える
ことを特徴とする電子部品。 - 【請求項13】 磁性体層中に内部金属電極が配設され
た電子部品であって、 前記磁性体層が、 磁性材料からなる単結晶球状酸化物粉末と、前記単結晶
球状酸化物粉末を分散、保持する結合材と、からなる複
合材料からなり、前記単結晶球状酸化物粉末は、平均粒
径が0.1〜30μm、0.9以上の球形度を備えるこ
とを特徴とする電子部品。
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