JP2005110672A - 汎用形コンバインの脱穀装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 回転筒により構成したロータ1の外周にオーガ3を巻設し、該オーガより放射方向に、扱歯2を突設したスクリューロータにおいて、ロータ1に巻設したオーガ3の高さと、該オーガ3から突出する扱歯2の出代との比率は、オーガの高さが5に対して、扱歯の出代は1.57から5.4の間とした。
【選択図】図2
Description
例えば、スクリューロータの螺旋体(オーガ)から扱歯を突出する長さを前半分より後半分を長くした技術が開示されている(特許文献1参照)。また、スクリューロータの胴径を前半よりも後半を小径とした技術も開示されている(特許文献2参照)。
本発明においては、汎用形コンバインの脱穀装置において、スクリューロータを構成するオーガと扱歯の関係を最適なものとして、所要動力を出来るだけ少なくするものである。
また、スクリューロータの上部に配置する送塵弁の調整機構を、スクリューロータの構成の変更に合わせて所要動力を最低にすべく構成したものである。
請求項5においては、前記オーガの高さを略44.0mmとしたものである。
請求項1の如く、回転筒により構成したロータの外周にオーガを巻設し、該オーガより放射方向に、扱歯を突設したスクリューロータにおいて、ロータに巻設したオーガの高さと、該オーガから突出する扱歯の出代との比率は、オーガの高さが5に対して、扱歯の出代は1.57より大きく5.4以下としたことにより、脱穀性能は現状を維持したままで、スクリューロータの回転に要する所要動力を従来の汎用形コンバインよりも低減することが出来たものである。
クローラ式走行装置15の上に脱穀装置を載置している。該脱穀装置より前方へフィーダーボックス16を突出し、該フィーダーボックス16の先端にプラットフォーム14を設け、該プラットフォーム14内にオーガ機構20を配置している。該プラットフォーム14の前下部の先端に、メイン刈刃19を刈取幅一杯に配置し、更にメイン刈刃の前部両側に分草装置18を配置している。
グレンタンク24の上には、穀粒排出オーガ23が配置されており、またグレンタンク24の前方位置には、運転席キャビン22が設けられている。
本発明は以上のような構成の汎用形コンバインにおいて、脱穀装置の内部に配置したスクリューロータ(扱胴)と受網としてコンケーブまたはクリンプ網と送塵弁の構成に関するものである。
円筒状に構成して回転可能に配置したのロータ1の外周にオーガ(螺旋羽根)3を巻設し、該オーガ3より放射方向に扱歯2を突設してスクリューロータが形成され、該スクリューロータが汎用形コンバインの脱穀装置の扱室の内部に前後水平方向に配置され、軸心位置に固設したスクリューロータ軸10により回転自在に進行方向と平行な前後方向に軸受け支持されている。
該スクリューロータを構成するロータ1(胴)の先端部分はコーン状の前端ロータ部1aに構成されて、該前端ロータ部1aの部分には、更にオーガ(螺旋羽根)3とは異なる特殊な形状(三日月状)の前端オーガ4が固設されている。該前端オーガ4は、刈取部Kにより株元を刈り取られた穀稈と穀粒の一体状態の被選別材料が、扱室に取り込まれてスムーズに後方へ搬送出来る構成とされている。
またオーガ3は、被選別材料を扱室の前部から後方へ搬送する役目を主として具備しており、該オーガ3とオーガ3の周囲に突設した扱歯2と後述するコンケーブGとの間で、穀稈や穂先から穀粒を脱穀する為の役割を具備している。オーガ間補強板41はオーガ3の補強の役目をしている。
扱胴カバー6を開閉する場合において、扱胴カバー6の重量が大であるので、この持ち上げ力を補助する為に扱胴カバー6の側部と機体フレームの間にスプリングダンパー40が介装され、更に、スプリングダンパー40により押し上げて扱胴カバー6を開放した状態で、それ以上に開放されないようにロックする為の扱胴カバーロック金具39が扱胴カバー6の側部と機体フレームの間に配置されている。
図2において図示する如く、扱室の内部を、前後方向三区画に便宜上分割している。即ち、第1区画の前部扱室L1と、第2区画の中間部扱室L2と、第3区画の後部扱室L3に区画している。
前部扱室L1と中間部扱室L2と後部扱室L3において、それぞれ扱歯2と送塵弁の構成を変更している。
即ち、送塵弁は、前部扱室L1においては、コーン状の前端ロータ部1aの後部のロータ1前部上に前部送塵弁13を配置しており、該前部送塵弁13は、扱胴カバー6の外から前部送塵弁調節レバー9により操作可能としている。該前部送塵弁調節レバー9の操作角度は、図11に図示する如く、前部送塵弁調節レバーガイド38において多段の係止部を設けて、複数段階で設定できるように構成している。但し、係止構成は限定するものではない。
そして、後部送塵弁12の中の前端の後部送塵弁12aと結合リンク12fの一端に、調節固定アーム部12gが設けられており、該調節固定アーム部12gにより、扱胴カバー6に設けられた複数箇所(本実施例では3箇所)のいずれかの固定孔にピン等で固定して角度を設定すべく構成している。
即ち、前部送塵弁13の構成及び角度調節機構(第1区画の調整機構)は前記図4と同じ構成とし、第2区画と第3区画の送塵弁を同時に角度調節可能に構成している。中間送塵弁11と後部送塵弁12は弁体11a・11b・11c・11dと弁体12a・12b・12c・12d・12eはそれぞれ左右中途部がカバー(機体)側に枢支され、各弁体11a・11b・11c・11d・12a・12b・12c・12d・12eの一端(本実施例では進行方向左側)が結合リンク34にそれぞれ枢支され、該結合リンク34は前方に延出されて、その前端を連結リンク35の一端に枢支され、該連結リンク35の他端はカバー(機体)側に枢支されるとともに、角度操作装置となる中後部送塵弁調節レバー36の後端が固設され、該中後部送塵弁調節レバー36の中途部はレバーガイド37により回動範囲内の所望の位置で係止可能に構成している。
但し、上記調節機構は限定するものではなく、連結リンク13d・35の回動基部にモータの出力軸と連結して、運転席からレバー等の調節手段でモータを駆動して、各弁体を回動する構成とすることもできる。なお、調節手段となるレバー近傍に目盛等を配置して調節位置が容易に分かるようにしておくことが望ましい。
従来から、受網としてコンケーブGを丸棒式桟により構成した技術は公知とされているのである。しかし、本発明においては、スクリューロータ軸10の軸心方向に配置した該縦方向丸棒桟5を、中間横方向板状桟7と端部横方向板状桟8に対して、固定する部分において、独特の構成を有しているのである。
そして、縦方向丸棒桟5を中間横方向板状桟7に対して固定する部分においては、図19に示すように、中間横方向板状桟7の内側に略円弧状の嵌入溝を取付所定位置に構成して、この中に縦方向丸棒桟5を嵌め込んで、縦方向丸棒桟5の直径Tに対して、突出部の長さtは半分以下となるように溶接固定構成としているのである。
なお、受網の種類としてコンケーブGの代わりに、図9(b)、図13(b)に示すクリンプ網を使用して脱穀することも可能であり、略同等の脱穀性能が得られる。該クリンプ網は図9(b)、図13(b)に示すように、波状の縦線25・25・・・と横線26・26・・・が格子状に編まれて、全体として湾曲して構成されて、周囲が網枠27に固定されている。
図20において、横軸は各条件(条件1〜7)を示し、縦軸は条件1に対する低減率(%)を示している。
本実験において、条件1を基準としており、この条件1は従来(以下現状と称する)のオーガ高さと扱歯の出代で得られる値である。即ち、図9、図16において、ロータの軸心Oに対して直角方向を基準として送塵弁の傾斜角度を0度、ロータ表面からのオーガ高さAが高さ54mm、オーガ3から突出する扱歯2の出代Bは17mmとし、脱穀装置に穀粒を除く全流量を9000kg/h流したときの値を基準値としている。そして、オーガ高さを変更した場合、扱歯先端と受網(コンケーブ)との隙間Cは一定(本実施例では10.5mm)とし(言い換えれば、オーガ高さAを高くすると扱歯の出代Bは低くなり、反対にオーガ高さAを低くすると扱歯の出代Bは高くなる)、各条件でこの基準値(縦軸:0、横軸:条件1)に対して比較する。なお、前記送塵弁の傾斜角度は、ロータの軸心に対して直角方向に対する送り方向の角度を指しており、本実施例ではロータの軸心が前後方向を向いているので進行方向に対して左右方向に対する傾斜角度ともいうことができる。また、ロータ径はE、ロータ1外周とコンケーブ上面ととの間隔をDとし、D=A+B+Cとしている。
条件3は、送塵弁の角度が4度、オーガ高さが−10mmとしたときに、ロータ軸動力低減率はマイナス10%(黒丸)となり、穀粒損失低減率はプラス16%(三角)となる。条件4〜7も同様に示している。
条件2・3・5においては穀粒損失は低減されるが、動力負荷は増加する。
条件6は動力負荷も穀粒損失も増加し、条件7は動力負荷は低減できるが穀粒損失は多くなる。
しかし、条件4は動力負荷は低減し、穀粒損失はほぼ現状を維持している。
以上のことから、図20で判断する限りでは、オーガ高さ−10mm(オーガ高さAは44mm、このとき扱歯の出代Bは27mm)で送塵弁の角度が8度の場合が負荷と穀粒損失を考慮した場合好適である。
図21の右端に、前部送塵弁13の角度を8度、中間送塵弁11と後部送塵弁12の角度を4度とした場合の結果を示している。この場合、動力は現状レベルで、穀粒損失は低減する。
図22は右端に前部送塵弁13と中間送塵弁11の角度を8度、後部送塵弁12の角度を4度とした場合の結果を示している。この場合、動力と穀粒損失ともに現状より低減する。
図23は右端に前部送塵弁13の角度を8度、中間送塵弁11の角度を7度、後部送塵弁12の角度を6度とした場合の結果を示している。この場合、穀粒損失は現状レベルで、動力は低減する。
このように、中間送塵弁11と後部送塵弁12の角度は前部送塵弁13と同等か、より小さい角度にすることにより、動力負荷および全穀粒損失を同時に現状より低減させることができるのである。
また、条件8〜条件13はオーガ高さをプラス側、つまり、高くすると動力負荷は減少するが、穀粒損失は多くなることが判る。これは、オーガとコンケーブの間の距離が短くなり、穀稈が揉まれることが減少してオーガの間に穀稈が入り込んで搬送され、選別装置側へ穀粒が落下しないため穀粒損失が大きくなり、搬送動力負荷が減少するためである。
図26は、脱粒性難種で、オーガ高さ水準を多くして試験を行った結果を示しており、その結果、オーガ高さを低くして送塵弁を開けると、脱穀性能を維持して動力が低減することが分かる。
以上を総合的に考察すると、水稲の品種が異なった場合でも、最も効率良く脱穀できるのは、条件4であることが判る。つまり、送塵弁の傾斜角度が8度で、オーガ高さが基準高さよりも10mm短い場合、つまり、44mmとなる。
図27、図28は、実験に基づく、オーガ高さと穀粒損失低減率の関係を示しており、オーガ高さを低くする程、穀粒損失低減率は増え、換言すれば、穀粒の損失は低減する。これは、オーガ高さを現状よりも低くしていくと、扱歯の出代が増加し、穀稈との接触頻度が高くなり脱粒性が向上し、穀粒損失が低減する。
また、送塵弁の送り角を大きくすると損失は増加する。これは搬送性が向上し、扱室内の滞留時間が減少するため穀粒損失が増加する。
しかし、送塵弁の角度を大きくすると、送塵弁の角度は大きい程、動力低減効果は大きくなる。これは搬送性が向上し、扱室内の滞留時間が減少し、動力が低減するためである。この送塵弁の関係を次の図31に示す。
図31の結果では、オーガ高さは約45mmよりも低く、送塵弁の角度は8度前後が最も効率良く穀粒が得られることになる。
この図からは、オーガ高さは現状の54mmよりも短くし、送塵弁角度を12度まで徐々に開けるほど動力低減効果があることが判る。そして、現状の動力と等価になる細線よりも送塵弁角度が大きい程動力が低減する。そして、現状の排稈口損失と等価になる太線よりも送塵弁開度が小さいほど排稈口損失が低減される。従って、斜線で囲まれる範囲が、現状に対して動力及び排稈口損失が同時に低減する範囲となる。
損傷粒はオーガ高さを低くすれば若干増加傾向にあり、枝梗粒は若干減少傾向にあるが、双方ともに現状レベル並である。 しかし、オーガ高さが34mmより低くなると稈切れが急激に増加することが判る。オーガが低くなることで扱歯の出代が多くなり、そのため穀稈との接触頻度が向上し、稈切れが増加する。オーガ高さ44mm付近はオーガ高さが多少変化しても稈切れの変化する度合いは小さく、安定して現状レベルを維持している。また損傷粒、枝梗粒も現状レベルを維持している。
以上から図9に示すように、ロータ1に巻設したオーガ3のロータ1外周からの高さをAとし、該オーガ3から突出する扱歯2の出代をBとすると、(1)図34の範囲1)に示すオーガ高さ34〜54mm(扱歯先端と受網との隙間Cを一定としているので、オーガ高さAが34mmのとき扱歯の出代Bは37mm、オーガ高さAが54mmのとき扱歯の出代Bは17mm、よって、A:B=5:5.4〜A:B=5:1.57)においては脱穀性能値を現状レベルに維持したまま、動力を低減させることができる。(2)オーガ高さ44mm付近(このときオーガ高さAが44mmで扱歯の出代Bが27mmであり、A:B=5:3)は脱穀性能値が安定して現状レベルを維持しつつ、動力を低減させることができる最適なオーガ高さである。
図36はオーガ高さAと扱歯の出代Bの比が5対1.5の現状と、5対2.7にした場合との排稈口損失の比較を示したもので、この場合15%改善されたことがわかる。
以上の結果から、ロータ径が変化してもA:Bを適切な比率、つまり略5対3にすることにより動力および損失は低減することがわかった。また、図19のコンケーブ構造との組み合わせで大幅な動力低減効果があることが分かった。この時のロータ径は580mmである。
なお、本実施例では、スクリューロータを脱穀装置の扱室の内部に(軸心が)前後水平方向に配置するようにしているが、スクリューロータを機体進行方向に対して直交するよう(軸心が左右水平方向)に配置するコンバインにも適用できる。
K 刈取部
1 ロータ
2 扱歯
3 オーガ
4 前端オーガ
5 縦方向丸棒桟
6 扱胴カバーロック
9 前部送塵弁調節レバー
10 スクリューロータ軸
11 中間送塵弁
12 後部送塵弁
13 前部送塵弁
Claims (9)
- 回転筒により構成したロータの外周にオーガを巻設し、該オーガより放射方向に、扱歯を突設したスクリューロータにおいて、ロータに巻設したオーガの高さと、該オーガから突出する扱歯の出代との比率は、オーガの高さが5に対して、扱歯の出代は1.57より大きく5.4以下としたことを特徴とする汎用形コンバインの脱穀装置。
- 回転筒により構成したロータの外周にオーガを巻設し、該オーガより放射方向に、扱歯を突設したスクリューロータにおいて、ロータに巻設したオーガの高さと、該オーガから突出する扱歯の出代との比率は、略5対3としたことを特徴とする汎用形コンバインの脱穀装置。
- 所定径の回転筒により構成したロータの外周にオーガを巻設し、該オーガより放射方向に、扱歯を突設したスクリューロータにおいて、ロータに巻設したオーガの高さを54mm未満とした汎用形コンバインの脱穀装置。
- 前記オーガの高さは34mm以上である請求項3記載の汎用形コンバインの脱穀装置。
- 前記オーガの高さを略44.0mmとした請求項3記載の汎用形コンバインの脱穀装置。
- 前記ロータ外周側に向かってロータ軸心に対して略直角方向に送塵弁を前後複数突出し、該送塵弁のロータ軸心に対して直角方向に対する角度を、脱穀上手側では送り方向に大きく、下手側で小さく設定したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の汎用形コンバインの脱穀装置。
- ロータの外周にオーガを巻設し、該オーガより放射方向に、扱歯を突設したスクリューロータにおいて、スクリューロータを、全長にわたり三区画に分割し、前方から第1区画と第2区画においては、扱歯の数を、1円周上に複数本配置し、第3区画においては、1円周上に前記複数本の扱歯よりも少ない扱歯を配置すると共に、スクリューロータの回転外周の扱胴室内に複数枚の送塵弁を配置したことを特徴とする汎用形コンバインの脱穀装置。
- 請求項7記載の汎用形コンバインの脱穀装置において、第1区画の扱歯の数を8本とし、第3区画の扱歯の数を4〜8本としたことを特徴とする汎用形コンバインの脱穀装置。
- 請求項7記載の汎用形コンバイン脱穀装置に設ける送塵弁おいて、第1区画の送塵弁の角度と、第2区画と第3区画の送塵弁の角度を、それぞれ操作装置により変更可能とし、該角度操作装置を運転席近傍に配置したことを特徴とする汎用形コンバインの脱穀装置。
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